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【 指名制 】香撫町の住人。【 リメイク / 日常 / 考察 】/71


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自分のトピックを作る
21:  [×]
2021-02-10 22:20:47




>18 來


……そっか。
( きっと深い、深い闇が広がっているのであろう。泣きそうな様子が、苦しそうな表情が。二人のことを思い出して、何も言えなくなる。ただ嫌いなわけではない。彼の中でのもやもやが形になっていく。そのまま心の霞がなくなっていけば良い。抱えているものがすっと溶けてなくなるなんて簡単なことではないけれど。ただ一言、肯定でも否定でもない言葉を発した。真っ向から受け止められるわけでないにしろ、そうして本音を口に出せる環境があるのは大切だと思う。安心して吐き出せる相手になれたら良い。会ったばかりの頃と同じ、それよりもより強く感じる。此処にいるとそう決めたから。深くつっこまず、あえて終了の言葉にも肯定の意を示す。「そうだね、もっと色々楽しみたいな」転がってゆくメダルを追い掛ける彼を見て、笑ってしまう。何だかんだで一枚一枚を大切にしているんだなあ、なんて。口に出したら文句を言われるだろうから、絶対に言わないけれど。メダルに対してわざわざ二人で行く必要もないから、待っていることにした。残りのメダルを使おうと、普通の大砲で景品を撃ち落としながら。すっかりハマってしまったのは彼のせいとしておこうか )


( / ご連絡有り難う御座います。睡さん待ちということで待機させて頂きますね。以前は名前すら聞かない状態で終わってしまったので、睡さんの名前を知っていて、かつ数度会ったことのあるということでお願いしたく思います。 )




22: 睡 / スイ [×]
2021-02-11 00:30:10



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >21 】


 ( コーヒーで身体を温め、店を出ると、もう雪は止んでいた。首にはワインレッドのマフラーを巻き、手には深緑の地に赤と色の線が入ったタータンチェックのマフラーを持つ。來が出てからまだそこまでの時間は経っていない。幸い、積もった雪で足取りも掴める。追うべきは、一番新しい足跡だ。隣の席に放置されたマフラーを発見したのがついさっき。忘れ物を届ける、なんて、いつ以来だろう。喫茶店から伸びる足跡を自分の足跡で上書きするように辿りながら、考える。しかし、思い出そうとすると眠気に襲われて、頭がぼんやりとしてきたので早々に諦めた。こんな雪の上で眠ってしまうわけにはいかない。雪に残る足跡は重ねてみると見事にぴったりで、性格も容姿も違えど、こういうところはしっかりと双子なのだと少し感心してしまう。……それにしても。自身の足が雪を踏みしめる音を聞きながら、思う。昨日は、確か一面の花畑だったような。この下にはあの花たちがいるのだろうか。足下へと目を落とす。もしそうだとしても、見えなければ、知らなければ、何も思うことはない。結局、足跡を追って辿り着いたのはショッピングモール。さすがにショッピングモールの中にまでは雪は積もっていないので、ひとつずつ店を見て回るしか方法は無い。骨が折れそうだ、と重い溜息。手に持ったマフラーを抱え直すと、店には入らずに、流し見しながら弟を探し歩いた。ゲームセンターを覗くと、弟とは違うものの、見知った背中を見つけて。吸い寄せられるように、そのまま声を掛ける。 )
 …………月?





23:  [×]
2021-02-11 12:47:41



(/参加させていただけること、本当に嬉しいです.!! 記憶喪失の設定を上書きしている為ご指摘等ありましたらお願い致します。/)



「 景...て日の光って意味もあるんだそうです..。私、何も無くて影みたいだから..自分自身への皮肉なんです。」

名前 : 景 / ケイ ( 偽名 )
性別 : 女
年齢 : 16


容姿 : 手入れされた黒髪は首元でふたつのお団子にされており、アーモンド型の黒い目は伏し目がちでも分かるほどに大きく年齢に見合った幼さがある。また影を落とすほどに伸びる羽のような睫毛は黒く妖艶な雰囲気を漂わせ、肌の色は白く、服装や外見も相まってそこだけ色彩が抜け落ちたかのような錯覚に陥るほどに血色が悪い。身長は160cmの痩せ型。
服装 : 袖にフリルのついた白のブラウスに灰色で脛ほどの長さの襟元にリボンのついたジャンパースカートを来ている。足元は白のソックスに可愛らしい白のパンプス。学生鞄は未だに使っている。若干ロリータ趣味にも見えるが本人は気に入っている。


性格 : かなりの優等生でなんでもそこそこに頑張れる出来のいい子だった。人当たりも良く好かれたが、八方美人と言われれば黙ることしかできない。また香撫町に来てからは表情の変化が乏しく花のような笑顔を見せることも苛立ち憤怒する様子も見せず常に下を向き悲しげな表情を浮かべている。元々自我が少なかった為なにか行動しろと言われなければ屍のように動かなくなってしまうことがしばしばあり、見目の不思議な雰囲気からか人形のようにも見える。


この町に来た理由 : ある事で苛烈ないじめが始まり、1度オカルト好きな父親から借りた本に乗っていた香撫町を鮮明に記憶しており、この無慈悲な世界から逃げる為の逃避行に向かった。睡眠不足で正常な考えが出来ずとりあえず森を進んでいけば..という考えでボロボロになりながらも辿り着いた。いじめの原因が自身の名前の為香撫町では偽名を使っている。心の傷が深く香撫町に来てからは、警戒心が強く会話ができないということは無いが本心をさらけ出す事はほとんど無い。

指名キャラクター : (/ トピ主様のお子様皆とっても魅力的で1人を選ぶことが難しいです.. お任せしても宜しいでしょうか...? /)


初回ロル :  【 2月下旬 / 図書館まで 】
( もうすぐ3月だと言うのに強く吹き荒れる風がまだ冷たく、冬が終わっていないことを報せる。
髪をまとめているお陰で邪魔になることは無いが完全に首元が無防備で冷たい風が諸に受ける。マフラーやカーデの1つでも持っておくべきだったと痛いほどに寒さで実感させられた。今更家に取りに戻るのも面倒になって足早に路面電車に乗り中央部まで向かう。中央部は東部ほどでは無いが小さい子供や自分と同じ位の学生達で賑わっていて、窓から見える景色はまるで御伽噺のネバーランドのようでもあった。それから5分程で目的地の場所についたことを車内アナウンスで確認する。降り立ったそこは先程とは打って変わって静けさに満ちていて、とても居心地が良かった。寒さに耐えながらも目前の図書館まで歩く。)
帰りはもっと寒いのかな.. 死んじゃう..



24: 管理人。 [×]
2021-02-11 16:13:29




>景ちゃん本体様

( / PFの提出、ありがとうございます。不備等ありません。また景ちゃんと絡めることを嬉しく思います、これからまたよろしくお願いいたします。
初回の相手なのですが、悩みに悩んだ末に結局決められず……シチュエーションから言えば 透 / 朔良 / 遊 / 瞳 の学生組、図書室で時間を潰している朝、変わり種として縋。幸も何か理由をつけて図書室近くに派遣することが可能です。半分ほどまでしか絞れていませんが、この中に好みのキャラクターがいらっしゃれば、また、こんな絡みがしたいという希望がありましたらお伝えくだされば出来る限りそれに添わせていただきます。ご参考までに、透は町の見回り中でマフラーをくれます。朔良は図書館からの帰りで景ちゃんの目の前で本を落とします。遊は急に現れて話しかけ、景ちゃんのことを幽霊だとか口走ります。瞳は散歩中で、たまたま見かけた初対面の景ちゃんへご挨拶。朝は図書館の前に佇んでいて景ちゃんにビビり散らかします。縋と幸は……考え事か何かしてます。たぶん。 )





25:  [×]
2021-02-11 17:56:16




>22 睡


( メダルを追い掛けていった來を見送って、数回ゲームで景品を撃ち落として。気付いたら手元に残ったメダルは少なくなってきていたようだった。來が来たらもう少しメダルゲームで遊んでから、他のゲームへと移ろうか。UFOキャッチャーも良いけれど、たまにはまったく違うこともしてみたい。太鼓を叩くのも良いかもしれない。そんなふわふわとした思考を止めたのは、待ち人とは違う知り合いの声だった。「……睡?睡だ、久し振り」振り返ってふんわりとした髪が揺れるのを見て、自然と声色も明るいものへと変化する。こうも偶然というものは重なるだろうか。気紛れで足を伸ばしたショッピングモールで知り合い二人に、しかも別行動をしているところで遭遇する確率は低いものであろう。憎しみの感情、感謝の思い。それらを聞いたところで会うとどんな顔をしたら良いのかわからなくなりそうではあったけれど、喜びがもやもやを上回るから単純だ。難しいことを考えるのは得意ではない。だったら本能のままに動くのが吉。きっとそれで良いだろう。「睡も遊んでいく?」ゲームセンター特有の喧騒の中、メダルの少量入った器を手にして問い掛ける。見たところ探し物があるようだから、引き留めるのは悪いかもしれないけれど。断られたらそのときはちゃんと見送るつもりで、ゆるゆると首を傾げてみて )





26: 景 / 背後 [×]
2021-02-11 19:37:25




          >管理人様

(/ とても悩みますが透くんとの絡みをお願いしたいです..! 景の方も指示がないと動けない子なので、難しいと思われましたら積極的に話しかけますので...!! また香撫町でお話が出来ること本当に嬉しいです...よろしくお願い致します./)





27: 睡 / スイ [×]
2021-02-12 00:40:55



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >25 】


 ……? 昨日も会ったけど。
 ( 振り返ったおれと同じチョコレート色の瞳が、嬉しそうにこちらを見つめている。会えて嬉しいのはおれも同じ。けれど、〝久し振り〟という言葉には首を傾げて。どれくらいを〝久し振り〟だと感じるのかは人それぞれではあるけれど、おそらく大半の人が一日会わないだけで久し振りとは言わない。見れば見るほど目の前の彼女は昨日花畑の中に居た女の子と同一人物で、間違えようがないし、謎は深まるばかりだ。「一面の花畑で……月が、宇宙人で……水素爆発……」昨日のことをよく思い出そうと、頭の中に残っている光景をぽつりぽつりと口に出す。記憶は断片的でぼんやりとしていて、結局何があったのかは分からなかった。しかし、一つだけ分かったことがある。「……ああ、夢か」声色すら変えないまま、そう結論付ける。夢と現実が混同してしまうことは、これまでにもよくあった。最近は少し落ち着いてきたと思っていたけれど、そうでもないらしい。メダルの入った器を見せて、月が一緒にどうかと誘ってくれる。彼女が今遊んでいたらしい機体を覗き見ると、懐かしい射的のメダルゲーム。少し困ったように眉を下げて、笑う。「ごめん。せっかくだけど、おれメダルゲームは……」幸せな思い出は、時に残酷な現実を突き付ける。もう今は手の届かない何もかもを受け止められる強さは、今も、昔も、おれには無かった。それに、いつまでもここに留まっていては來を見つけられない。月と遊ぶのはまた今度にして、とにかく今は來を探すことに専念する。 )
 そうだ、月。來を探してるんだけど、見てない? 忘れ物、届けないといけなくて。





28: 透 / トオル [×]
2021-02-12 01:17:50



>景


 【 2月下旬 / 図書館前 / >23 】


 ( いつものように、町の中を歩き回る。この町の住人は何か事情があって移住して来ている人が大半だし、そもそも移住管理がしっかりしているから、香撫町は比較的平和な町だ。しかし、〝管理人〟という役割を与えられた僕には、何か異変があればすぐに報せるようにと指示が出ている。それは、今日のような冷たい風が吹く日でも例外ではない。この生活が、特別苦だとは思わない。そういうものだと決められているのなら、大人しくそれに従うだけ。反抗も意見も、するだけ無駄だ。図書館近くの見回りが終わって、次は西部かなと考えながら歩を進める。あそこはほとんど人の出入りが無いから見回る必要もあまり無いけれど、抜かりなくと指示されれば行くしかない。丁度塀で見通しの悪い曲がり角に差し掛かった瞬間、風に乗ってか細い声が耳に届く。何かの内緒話ならば身を潜めて様子を窺おうかと身構えるけれど、内容からしてどうやらそうではないらしい。その直後、塀から一人の女の子が姿を現した。首を縮めて歩く様に、なるほど、確かに寒そうだとひとり笑みを零す。独り言を聞かれてしまうというのは、人によっては些か恥ずかしい事ではあるかもしれないけれど、きっとどんな言い回しをしたって次の行動で悟らせてしまうだろう。それならいっそ、という思いで「それは大変だね」と返事のような言葉を彼女へと投げる。同時に、自分の首に巻いていたマフラーを外して差し出しながら。 )
 良かったらこれ、使って。





29: 景  [×]
2021-02-13 01:36:00




 【 2月下旬 / 図書館前 / >26 】



____透..さん...?
( 反射的に口に出した名前は自分でも意外なものでその後に困惑が広がる。どこから来たのだろうと見回せば高い塀の横に道が続いていた。この通路に私以外の人がいないのは周知の事実なのだが、"大変だね"なんて声が自分に向けられたことに気付くのには1拍遅れてしまう。実際ここに来る前までは私に向けての言葉なんてひとつも無かったんだと思うと最高に可哀想な自分しか残らなくていっそ笑えてしまえた。ほんの少しの出来事すべてをマイナスに、トラウマとして蘇ってしまうのは直そうにも直せない呪縛のようでもあって。顔見知り程度の彼の前でこんな恥ずかしい顔をしたくは無いし彼もそんな気まずい空気は御免だろう。悶々と考えているうちにまた俯いてしまっていたようで寒々しい首にマフラーが差し出された。余程羨ましそうな顔をしていたのだろうか..彼の首に納まっていたマフラーがみるみるうちにほどかれていく。本来なら良心に快く応えるべきなのかもしれないが自分にはハードルが高すぎた。たどたどしく言葉を紡ぐが上手く言葉に出来ず濁らせてしまう。 )
ありがとう..ございます....でも..悪いです....。ほとんど..初対面なのに...




30: 景 / 背後 [×]
2021-02-13 11:14:34



(/ 29にて記載したものは >28 様に宛てたものです... 分かりずらくなってしまい申し訳ありません.. /)



31: 透 / トオル [×]
2021-02-13 15:47:20



>景


 【 2月下旬 / 図書館前 / >29 】


 ……実は、今日一日町の中を歩き回って少し暑いくらいなんだ。手に持って歩くのも荷物だし、受け取ってもらえると助かるな。
 ( 注意深く聞いていないと吹く風に掻き消されてしまいそうな声が、辿々しく言葉を紡ぐ。それがマフラーの受け取りを拒むものだと理解した瞬間、頭の中に現れるのはいくつかの選択肢。『僕がそうしたいからしてるだけ、気にしないで』、『僕はもう帰るところだから』、それとも有無を言わせず首に巻きつけてしまうか……僅かな逡巡の後、選択肢の中から一つを選び取り、口に出す。出来るだけ気を遣わせず、押し付けがましくないもの。きっと、これが〝最適解〟。こういう時、自分はひどく機械じみているな、と思う。決められた通り、教えられた通り。プログラムされた通りに動くロボット。〝最適解〟を導き出すのに、僕の意思なんてどこにも介在していない。この言葉で彼女はマフラーを受け取ってくれるだろうか。もし、受け取ってもらえなかったなら。大人しく差し出した手を引っ込めて、マフラーを手に持ったまま見回りを続けよう。今しがた吐いた小さな嘘に、勘付かせてしまわないように。口元には薄く笑みを浮かべ、威圧感を与えないよう気を配りながら、しかし意識は彼女にあることを伝えるように、柔らかでいて真っ直ぐな眼差しを彼女へと向ける。〝親切な管理人〟の顔。恐らく彼女が僕に抱いているであろうイメージを、そのまま再現する。透、なんて名前はオマケみたいなもので。文字通り透明で、あってもなくても同じ。大事なのはその上につく肩書きの方だ。だから、ほとんど初対面の彼女が、僕を〝管理人〟ではなく〝透〟と呼んだことに、本当は少し驚いていた。けれど、この話は彼女にはしない方がきっと正しい。理由は……よく、分からない。 )


( / アンカー間違いはあまりお気になさらず。私もよくやります。お互い様、ということで。 )





32: 景  [×]
2021-02-13 21:19:51



                    >透


 【 2月下旬 / 図書館前 / >31 】


( 断ろうにも拙く吐き出された言葉たちを全て汲み取ってくれた彼は緩く笑みを浮かべながら、あくまでも " 頼み事 " として私にマフラーを渡すのだ。罪悪感を感じさせず受け入れざるを得ない完璧な状況に逃げ場はなく、その機械的に並べられる言葉に関心と同時に多少の違和感が残るのは自身に植え付けられた猜疑心からなのか。そうなると彼の微笑みすら透き通るように綺麗で__..消えてしまいそうで、なんだかそれが酷く恐ろしかった。だんだんと顔が強ばっていくのを感じて申し訳ないと思いながら「 ..お心遣いに甘えてお借りします...。」と応え、その手からマフラーを受け取る。高校生の返答としては硬すぎたかもしれないが自分にしては緊張の中すらすらと出てきた言葉で褒めて欲しいぐらいに上出来だと思えた。マフラーにはまだ彼の体温が残っていたようで、悴んでキュッと結ばれた指先が温く解けていくようだった。不器用に首に巻き付けたそれをみて、人様からなにかを借りたのは久しぶりだと思った。いつも誰かに貸す側の人間だったから目の前の彼が見返りを求めて親切を行ったのではないと知っていながらもこの後何をもって感謝を伝えるべきなのか分からず思考が偏った。市販のチョコレートでも買ってきて渡そうと思ったが今は春にさしかかろうという時期。そんなイベントはとっくに終わっていることに遅れて気がつく。結局正解の選択は考えられなかった。図書館の前にいるのだから少し躊躇ってからぎこちない笑みで問いかける )
____えっと...透さんは、この後なにか予定とかって...


 (/ ありがとうございます..;; 以後気をつけます. /)




33: 透 / トオル [×]
2021-02-14 01:46:45



>景


 【 2月下旬 / 図書館前 / >32 】


 ( おずおずと伸ばされた手が、ようやくマフラーを掴む。その動作は申し訳なさそうで、そしてどこか怯えているようでもあったけれど、ひとまず彼女の首にマフラーが巻かれたことにほっとする。他人の身に付けていたものを身に付けることに抵抗を覚える人は少なくない。もし彼女もその一人だったのなら、僕の行動は迷惑に他ならず、それは〝間違い〟だから。いつか、先生が得意顔で『道徳に正解はない』のだと説いていたことを思い出す。けれど、確実に〝間違い〟は存在するのだ。〝正解はない〟のに〝間違い〟はあるなんて、あまりにも理不尽だと思ったけれど、その時の僕はまるで感銘を受けたような顔をした。それが〝正解〟──否、〝最適解〟だと思ったから。寒い中長々と引き留めてしまうのも申し訳ないし、どうやら彼女は図書館に用があるらしい。目的は達したことだし、そろそろ見回りを再開しようか、というところで、今度は彼女の方から声が掛かる。「予定という予定は無いけど……何か困り事?」予想外の質問に、きょとんとしながらも答えを返す。見回りは残すところ人の出入りの少ない西部だけだし、少し時間を割くことくらいは何の問題も無い。それに、実際のところ、問題や異変のほとんどは香撫町のネットワーク上にある掲示板で報告されるため、そもそも見回りの必要もあまり無いのだ。彼女が何か問題を抱えたり異変を感じていたならば、聞くべきだろう。そうでなくとも、住人達とはある程度の信頼や親交を深めておいた方が良い。特に、まだこの町に来たばかりの彼女とは。あくまで、この町の〝管理人〟として。 )





34:  [×]
2021-02-14 16:15:37




>27 睡


……私は人間だよ、ちゃんと触れるし。でも、うん。夢の中で会ってたなんて面白いね。
( 聞くからにファンタジー色の強いそれが現実だとしたらそれはとても滑稽で、彼らしいと言えばそれまでだった。夢であることは理解しているようだから大丈夫だろうとは思うけれど。やんわりと手を伸ばしてぐーぱーと動かしてみる。本当に触れて良いのだと勝手に判断できる程、まだきっぱり仲良しだとは言えないから。目の前でわーわーと声をあげて揺れてみせるのが精一杯だった。「見たよ。見たというか、さっきまで一緒に……」來がメダルを追い掛けていった方向へと視線を向けるも、見慣れた青紫はどこにも見当たらず。いつの間にかじゃらじゃらと煩いくらいに鳴っていたメダルの音も聞こえなくなっていた。「あれ……來?らーいーっ」このままではただ嘘をついていると思われても仕方がない。どうしようかと声を出してみる。周りにいる人は少数で、皆ゲームに興じているから目立つことはなかった。目立たないということはその本人にも届かないということだから、良いのかどうか一概には言い切れないけれど。ゆるりと首を傾げては、うーんと唸る。「一緒にいたから、そう遠くまでは行っていないと思うんだ。探すの、手伝おうか?」食指をぴんと立てて、提案をしてみる。これはきっと乗り掛かった船。最後まで、なんて自己満足かもしれないが。選択は委ねることとしようか )





35: 來 / ライ [×]
2021-02-14 20:18:32



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >34 】


 ( 転がってゆくコインを追いかけた先。顔を上げると、入ってきた方とは別の出入り口の傍だと気付く。ゆるり、口角が上がる。そうだ、回り込んで、おれの様子を気にしているであろう月を驚かせてやろう。最初に月と会った方の出入り口付近へと近付くと、丁度おれを呼ぶ声が聞こえてくる。わくわくとした気持ちで、ゲームセンターの中へと足を踏み入れる。射的ゲームの機体の方を見ると、そこに居たのは、月と──よく知る背中。「……兄さん?」予想外のことに、思わず立ち尽くす。何で兄さんがここに。その理由は、振り返った兄さんが手に抱えている物ですぐに分かった。自分の首元に触れて、マフラーを持っていなかったことに今さら気付く。二人の方に近付いてゆき、兄の手からひったくるようにマフラーを受け取る。おれは、この人に対して、未だに態度を決められずにいる。許せないと思う気持ち、感謝の念、家族としての愛情、助けてくれと縋る思い。色々なものが綯い交ぜになって、結局、いつも現状維持を選んでしまうのだ。一層注意深く作った笑顔で、「ありがとう、兄さん。丁度これから帰ろうと思ってたところなんだ、助かったよ」と言葉を紡ぐ。口を挟ませないよう、少しだけ早口に。手に持ったメダルを「あげる」と月に半ば強引に押し付けると、マフラーを首に巻き、逃げるようにその場を後にした。 )





36:  [×]
2021-02-16 22:18:00




>35 來


え……あ、ちょっと來!
( 名前を呼んで探していたところで現れた來。再会出来て良かったと安堵する間もないまま、すぐに去っていってしまった。きっとまだ楽しい時間が続くはずだったのだから、言葉に含まれた嘘に気付かない方が無理というもの。しかし引き留めようにも事情を聞いた後では一緒に遊ぼう、なんて提案することもできない。結果としてただ見送ることしかできずに、ただ立ち尽くすだけだった。「睡……來のこと、追い掛けなくて良いの?」話を聞いたことを伝えたとしたら、きっと來がこれからも一緒にいてくれることはないだろう。睡からしても嫌かもしれないし、迂闊に口を出すべきでないことくらい、自分にもわかった。手元に残ったたくさんのメダル。これは一人で消化することになりそうだ。一枚手に取ったメダルをちゃりん、と音を立てて落とす。あくまでも自分から聞き出さないで、判断は委ねる。「行くなら、だけど……ちゃんと話してあげてね」これは他人が指図する問題でない。だからこそ、自分に出来るのは背中をそっと押すくらい。「……私はこれ、終わらせるまでやるつもり!」メダルの入った器を掲げてみせる。空いた手ではピースして、ちゃんと普通にしたつもりだ。)




37: 睡 / スイ [×]
2021-02-17 22:16:44



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >36 】


 ( おれに一言も喋る隙を与えないまま、足早に去ってゆく弟の背中を茫然と見送る。隣で月が追い掛けなくても良いのかと心配してくれたけれど、おれには、とてもそんなことは出来なかった。あんな……あんな、母さんに向けるような顔。おれは來を傷付けたりしない、信じて欲しい、無理に笑わないでくれ、と伝えたかったけれど、伝えてきたつもりだったけれど。きっと、來にとってはおれも母さんも一緒なのだ。自分のことしか考えていないエゴイスト。弱虫。裏切り者。あの時逃げてしまったおれの言葉では、もう何一つ届かない。今朝、あの子がおれを探しに来てくれたから、少しでも溝は埋まったのかと勘違いしてしまった。けれど、違う。あの子は、ただ、優しいだけで。憎むべき相手にも優しく出来るだけだ。メダルの器を掲げ、努めて明るく振る舞ってくれている月を見て、來が彼女と仲良くしている理由が分かる気がした。彼女の傍は安心するのだろう。おれだって、今、隣に彼女が居てくれることでどれだけ救われているか分からない。「いいんだ。來は……おれが居ない方が、まっすぐ歩けるから」目を伏せて、感情の無い声で零す。近付くことでまた來が壊れてしまうなら、おれを憎むことで少しでも楽になるなら、このままでいい。〝慈愛〟なんて言い方をすれば聞こえは良いけれど、結局は自分で何かを変えることを諦めた言い訳だ。何が優しさで何が正しいのか分からない。分からないうちは触れられない。毎日、思う。逃げてばっかりで、おれはあの頃と何も変わっていない。どうやら來から押し付けられたメダルを今日中に消化しなければならないらしい彼女に、一言「ごめんね」と声を掛ける。來が迷惑を掛けたこと、おれ達の問題に巻き込んでしまったこと、背中を押してくれたのに來を追い掛けられないこと。色々な意味の〝ごめん〟だ。せめてものお詫びに、と彼女が掲げるカップからメダルを一枚拾い上げる。 )
 おれも手伝う。……って、遊ぶだけだけど。






38:  [×]
2021-02-19 20:28:43




>37 睡


……そんなこと、言っちゃだめだよ。
( 双子の兄弟。きっと唯一無二の存在である片割れがいなくなった方が良いなんて、絶対に違う。だからちゃんと隣にいるべきだ。抱えている事情はほんの少ししか明かされていないから、どう声を掛けて良いかはわからない。それでも彼らがばらばらになってしまうなんて、考えたくもなかった。それぞれと仲良くなっているからかもしれないけれど。最初に会ったとき、放っておけないなと感じたことを思い出す。近くにいる存在でありながら信用できないなんて、辛すぎる。もう一度ちゃんと話すことができたら、少しは変わるのではないだろうか。「來だって、睡に対して感謝もしてる。だから、嫌いなだけじゃないよ。本当に嫌いだったら、睡のこと見て見ぬふりするんじゃないかな?」勘違いしたまま、お互いがすれ違って離れていくのは好ましくない。香撫町という土地の中で完全に決別するのが難しいとしても、だからといって肩を並べられないのはどうなのか。ずっと膠着状態が続いたなら、和解するのは難しいはず。「あはは、うん。いっぱいあるからゆっくりやろう!時間が許すまで、何ならメダルゲーム以外も制覇するくらいの気持ちでたっくさん!」メダルを持ったまま、様々な筐体を見回す。先程まではずっと射的に興じていたけれど、次はどれをやってみようか。どれをとっても久し振りなのだから、目に移るものは新鮮でしかない。優劣よりも楽しむことに重きを置けば気分も軽くなる。彼の手を引いては首を傾げてみて )
睡は何が良い?





39: 睡 / スイ [×]
2021-02-20 14:49:05



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >38 】


 ( 月の言葉に、何も答えないまま曖昧に微笑む。彼女の気持ちは嬉しい。言いたいことだって、分かる。でも、さっきの來の態度だって、見て見ぬふりみたいなものだ。おれと話す時、來は、いつも目を合わせない。おれじゃない何かを見て、喋って、笑う。面と向かって言葉を交わしているはずなのに、一人で虚空に話しかけているような気にさえなるのだ。おれの言葉と違って、彼女の言葉は、來に届くのだろう。だから、あの時託した。その判断は間違っていなかったようで、先程の様子を見るに、二人は上手くやれているらしい。「月は、來と普段どんなことを話してるの?」話題を切り替えたのだと分かるように、これまでとは違う、少し軽い口調で質問を投げ掛ける。來が自分以外の人とどんな話をしているのか、月が自分以外の人とどんな話をしているのか、そのどちらもおれは知らなかった。「……あ、言いたくないなら、無理に言わなくてもいいけど」他人の会話を盗み聞きしているような感覚になり、少し遅れて言葉を付け足す。大抵のことは寝て起きたら忘れている。けれど、心を揺さぶられるようなことはきっと忘れられないから、それなら最初から聞かない方がお互いのため、だ。月に手を引かれ、ゲームセンターの中を見回す。当てもなく彷徨う視線が留まったのは、沢山のメダルがぶちまけられたような、二段の前後に動く台。台が手前に引き出されている間にタイミングよくメダルを投入して、その後台が引っ込んでゆく動きによって押し出されたメダルが下の排出口へと落とされる仕組みだ。大量のメダルが積まれている様は壮観で、否が応にも目を引かれてしまう。子どもの頃には手が出せなかったけれど、來が置いて行ったメダルの量ならば少しくらい遊んでもいいかもしれない。その場で足を止め、その単純でいて魅惑的な動きをじっと見つめていた。 )






40:  [×]
2021-02-24 21:30:58




>39 睡


そうだなー……
( 彼の言葉に、少しだけ考え込む。今日、初めて核心に触れた。まだすべてを知っているわけではないにしろ、來の抱えているものについて、少しだけ知ることができた気がした。それ以外の会話といったら、他愛のないものばかり。「言えないようなことはないよ。ふざけて、笑いあって、それだけ!」軽く緩い笑みを浮かべて、ぴんと食指を立てる。言葉は当たり障りのない話題を選んだようにみえて、どれも本当。來といる時間は、楽しくて心地よい。ずっと続けば良いとさえ思う。初めて香撫町に来たときの金木犀の香りと、案内して貰ったお気に入りの場所。あのときのお菓子屋さんは今ではすっかり行きつけだし、平和に暮らせている。彼ら兄弟のおかげで馴染めたといっても過言ではないし、何だかんだ他の人とはあまり言葉を交わしたことがない。何ひとつ不自由ない生活のできる毎日が楽しくて仕方ないのだ。「んー……じゃあ、これやろっか?」その場でぴたりと足を止めたことに気づくと、メダルの入った器を席の前に置く。もうひとつの器を持ってきて大体半分こになるように調整して差し出す。自分の持っていたものと來の残したメダルを混ぜると、半分でも結構多く見える。元々長居する予定で買ったであろうたくさんのメダルであったが、本人が不在であるからには二人でどんな形で消費したとて問題ないだろう。「はいこれ、睡のぶんね!」半ば押し付けるくらいのテンションで渡すと、すぐ隣の席について台へと向き合う。単純な作業ではあるが、これが結構面白い。子どものとき少しやったくらいで止める程にタイミングが掴めなかったメダルゲームも、今時間も関係なしに没頭できるとあれば楽しめる。「わー、すご……」勢いよく吐き出されたメダルに思わずぽつりと呟いて )





41: 睡 / スイ [×]
2021-02-28 23:57:29



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >40 】


 ……そう。
 ( 小さく呟いて、また微笑む。今度は純粋な喜びと安堵の思いで。それだけ、と、簡単なことのように彼女は言うけれど、他愛もない話をするというのは存外簡単ではない。殊に、社会性というものがあまり必要とされないこの町では。もし、仮におれが來にふざけた話題を振ったりしようものなら、どれだけ良く見積もっても怪訝な表情しか返って来ないだろう。下手をすると今以上に避けられるかもしれない。それ程のことを、彼女はいとも簡単にやってのけるのだから頭が下がる。彼女と一緒に居る時だけでも、來が本当の意味で笑えているのなら良かった。彼女がこの町に来てくれて良かった。そう、心から思う。彼女も何か事情を抱えてここに来たのだろうから、そんなことは口が裂けても言えないけれど。「ありがとう、月」代わりに、在り来りな感謝の言葉だけを彼女に伝える。「月さえ良ければ、これからも來と一緒に居てあげて」続く言葉は、祈るように響く。彼女に頼りきりで申し訳ないとは思うけれど、今のところ來が一番心を許しているのは彼女だ。おれには祈る他何も出来ない。断られてしまったらどうしようか、と少し考えるけれど、何故だか断られる気はしなかった。おれが大量のメダルに目を奪われていると、それに気が付いた月によってあれよあれよという間に遊ぶ準備が整えられてゆく。その動作は、早く遊びたくて仕方がない子どもと言うより、世話を焼いてくれるお姉さんのようで、そういえば月はおれ達より年上だったかな、と、ここにきてやっと思い出す。双子とはいえ弟しか居なかったから、ちょっと変な感覚だ。備え付けの椅子に座ると、早速隣からメダルの落ちる音が聞こえてくる。ちらりと様子を伺うと、月が呆然とした顔で台を見つめていた。おれも一瞬動きを止める。興味を引かれるままに選んでしまったけれど、元々はメダルを消費するためのゲームを探していたのだ。もしかしたら、選ぶゲームを間違えたかもしれない。 )






42:  [×]
2021-03-02 17:07:19





>41 睡


うん、そうだよ。
( どういう答えが最適なのか、それはよくわからない。もしかしたら、馴れ合いなど不要、と思う人もいるかもしれない。踏み込むものではないと言われてしまえばそれまで。しかし、最初に感じたことを無視することはできなかった。最終的には二人が笑い合えれば良いと、そう思う。これも単なる夢物語ではないのではないか。來は感謝もしている、と言っていたのだから。本気で憎悪の念しか抱いていなかったのなら、少しだけでも心配することもないはずであり。何も考えていないポジティブな頭は、マイナスな考えを一切しない。皆が幸せになればそれが一番。平和主義者、との肩書きが近いだろうか。「どういたしまして。一緒にいるよ、勿論睡とも」緩い笑みを浮かべて、ピースサインを掲げてみせる。もし彼が嫌だと言ったら離れるけれど、踏み込みすぎない限り嫌われることはないだろう、と考えて。仲良くしたいのが最も強いが、ただの自分本位ではいられない。「だから……きつくなったら、ちゃんと頼ってね」聞こえるか否か微妙な声量でぽつりと呟く。抱えるばかりではどうしようもないから。他の住人に言えないことでも、不満でも、溢すことで楽になることだってある。彼らの支えになりたいのだ。壊れるところなんて、見たくない。メダルゲームの台に向き合っていると、タイミングが合っているのかじゃらじゃらと吐き出されていくメダルを見て、つい笑ってしまう。元々遊ぼうとしていた自分としては一向に構わないけれど、彼はどうだろう。「ねえ睡、これ長時間コースになりそうだけど付き合ってくれる?」笑いを堪えられないままに尋ねてみる。これも断られたら悲しいけれど、彼なら付き合ってくれる気がした。一見しているとあまり似ていない彼らだけれど、根っこの部分は優しくて、共通しているように思う。気付けばなんとなく彼の方を見てしまっていて )





43: 睡 / スイ [×]
2021-03-06 18:16:20



>月


 【 冬 / ゲームセンター / >42 】


 ( こちらを見ろとばかりに煩く響く電子音、大量のメダルがぶつかりながら落ちる音、無機質な動作音。それらに隠れるように小さく吐き出された言葉は、おれの聞き違いだろうか。断片的に拾い上げた声を繋げて、一つの文を作る。『きつくなったら、ちゃんと頼って』。意味を成さない単語が繋がって、意味を持って、そうしてやっと分かった。今までおれは、月のことを來を救けるための協力者のように思っていたけれど、月は違う。彼女は、來だけでなく、おれのことまで救けようとしていたのだと。何と答えていいのか分からなくて、黙り込む。並び立って、同じものを見て。今までも、これからも、ずっとそうだと思っていた瞳が、不意に隣を見たらこちらを向いていた。そんな感覚だ。『うん』と頷けないのは、來より先におれが救われるなんて、きっと許されないから。『おれは大丈夫だよ』と首を横に振れないのは、おれが救われようとしないことで、彼女が傷付いてしまうような気がしたから。結局、おれは聞き違いだと思うことにした。聞こえなかった振りをして、おれはまた、逃げた。壊れているのではないかと思うほど羽振り良く吐き出されるメダルを眺めながら、考えていたのは來のこと。本当なら、ここに居たのは來で、大量のメダルに驚くのも、楽しそうな月を隣で見るのも、全部あの子だったはずだ。なのに、おれが来たことで、それを奪ってしまった。あたたかい空間と、やさしい時間と、ひとつの未来。とても、おれがただ享受して良いものとは思えなかった。そこに、投げ掛けられた彼女の言葉。これは夢か、と、ぱちり瞬く。しかし、喜びと比例して募るのは罪悪感で。……いつも、そうだ。何もしないおれだけが得をして、あの子が報われない。そんなのは、間違いだ。突き動かされるように席を立つ。「月、おれ……來を探しに行ってくる」気持ちが急いて、言い終えるより先に足が動く。しかし、すぐにぴたりと足を止めれば、気遣うような視線を向けて。 )
 ……月も一緒に来る?



( / 背後より失礼します。まずは、お返事が遅れてしまって申し訳ありません。そして、毎度のことながら独白が長ったらしいのも重ねてごめんなさい。
今後の展開についてですが、〆レスまでが思いがけず長くなりそうなので、この絡みは一旦保留にして、他のキャラクターと絡んでいただくのも可にしようかなと考えています。もちろん、このまま双子との絡みを〆レスまで続けていただいても構いません。一旦保留にする場合は、その旨と次回指名キャラクター、絡み文またはこんな絡みがしたいという要望を。特に無ければ適当にこちらで決めさせていただきます。〆レスまで双子との絡みを続ける場合は、こちらには返信不要です。 )






44:  [×]
2021-03-06 19:14:56




>主様


( / 長文ゆえに遅れてしまうのは普通ですし、此方も対して筆が早いわけではないのであまりお気になさらず。
双子との仲を深めてゆくのも勿論楽しいですが、お言葉に甘えさせて頂いて保留にしようかと思います。どのキャラクターも魅力的ですので、まだ動いたことのない子の中から、相性が良いと思われる子を選んで頂けたらと思います。それからひとつ、月のままでいくのか、以前プロフィールだけを作っていた楸を呼ぶのか、というところでも悩んでおりまして……どちらにしろ指名は同上、所謂お任せとなってしまうことをお許しください。
また、絡みの要望として月のままでいく場合は同世代の子、あまり話したことのない状態から話していくうちに双子たち以外の子にも抱えているものがある、という事実を知ってより強く何とかしなきゃ、楽しませたい、と距離を詰めていくパターン。
楸の場合は来て間もないところから、素性を隠しつつ町の案内をして貰えたらなと。此方については探る目的もあるので、単に楽しむというよりは話の通じる、町のことをよく知っている人と絡ませて頂けると嬉しいな、と思います。 )





45: 管理人。 [×]
2021-03-06 23:13:49




>月ちゃん本体様

( / 保留の件、承知いたしました。普段からつけてくださっているのでわざわざ言うことでもありませんが、再開の際にはアンカーをつけていただくようお願いします。

指名キャラクターですが、月ちゃんの同世代と言うと、少し広めにとって 幸 - 20歳 / 縋 - 22歳 / 逸 - 18歳 / 命 - 23歳 / 朝 - 22歳 辺りでしょうか。ただ、幸はリメイク前で動いていますし、朝は多分何とかしなきゃ、となる感じではないです。
楸さんならば、比較的古株の 朔良 / 守 / 縋 / 修 / 鏡華 辺り。案内には不向きですが、勝手について行って質問を投げれば知っていることは答えてくれる 逸 も一応入れておきます。
お好みのキャラクターがいればお伝えください。 )





46:  [×]
2021-03-07 14:31:49




>主様


( / アンカーの件、承知致しました。しっかりとアンカーをつけた状態で、勝手ながらメモ帳の方に保存させて頂いておりますので、再開のときは途中から紡いでいけたらと思っております。

キャラクターとしてはどちらとも候補となっている縋さん、以前はいなかった女性キャラクターである命さん、鏡華さん。楸としては探るのに最適だと思われそうな修さんのいずれかにお願いしたく。殆ど絞れておらず申し訳ないですが、動かしたい子を見繕って頂ければと。一先ず、大して代わり映えのない楸のプロフィールを落としておきます。 )


「 俺のことなんて知らなくても良いだろう?知りたいなら、君のことを教えてくれるかい? 」
「 毒きのこ?……そうか、じゃあ採っておいて。はは、しなないから問題ないって 」


名前: 楸 / ひさぎ
本名。名字は珍しいからと明かさない

性別: 男
年齢: 25歳( 歳相応。27くらいだと思われることが多い )

容姿: 黒髪のエアリーマッシュに黒縁眼鏡を着用。眼鏡を取られてしまうと殆ど見えないから必須。忘れてしまった日は距離を縮めなければ判別不可能らしい。目に異物を入れたくないから、とコンタクトは使ったことがない。同じく黒い瞳はたれ目で優しさを感じさせる。身長は180cm、筋肉は少しばかりついているだけで人よりは弱い。服装は仕事時はスーツ、研究時は白衣。迷い込んだときからは正体を隠そうと平凡な白シャツに黒の上着を羽織り、ズボンを履くだけ。毎日そんな適当な格好しかしていないことから、服装に頓着していないことがよくわかるはず。ちゃっかり持ってきた黒い小さな鞄にも入っていたメモ帳とペンは必須。

性格: 表向きは穏やかで優しいお兄さん。ふんわり、ほわほわとした印象を与えることだろう。話し方はゆったりペースで誰に対しても同じように接する。温厚で滅多なことでは怒らない。しかしながら、実際は頭の螺子が数個飛んでいる危ない人。自分の命に頓着しないし、何でも試したがる節がある。試さないと気が済まない頑固者。人に強要しないぶん、信用されたら研究に付き合わされてしまう為注意。

この町に来た理由: 町のことを知りたいと考え、調査目的で香撫町へ。元の世界に戻ったら、その後は町の実態を纏めて論文として発表したいと考えている。研究が好きでやっているうち、毒物を摂取しても仮死状態になるものを開発。それゆえ毒を盛られてもしなない。研究だけでは食べていけないとわかっているから、お役所仕事で余った時間を研究に充てる形。調査がばれたら追放される、それで中高ずっと演劇を続けていたことから完璧に演じきってみせると意気込んでいる。




47: 修 / オサム [×]
2021-03-08 02:34:52



>楸


 【 3月某日 / 神社 】


 ……ふう。
 ( 最後の一段を上がる。まだそれほど腰は曲がっていないとはいえ、年寄りに50段以上の石段は堪える。少しだけその場に留まり、上がった息が整うのを待ってから、再度歩を進める。もはやここに来るのも毎朝のことで慣れきってしまったが、この石段だけは毎回どうしてこんな場所に作ったのかと恨み言を零さずにはいられない。罪人の私は、苦労なくして神にお目通りは叶わないということだろうか。……馬鹿馬鹿しい。この世に神など存在しないし、人殺し程度、大した事でもあるまいに。真新しい朱色でありながら、わざとらしく傷や汚れがつけられた鳥居をくぐる。この神社、もといこの町が造られたのはそう昔のことではない。最近、という表現をしても差し支えない程度の歴史の浅い町だ。それなのに、こうして古めかしげに造られているこの神社が、何とも滑稽で私は気に入っている。拝殿の前で足を止め、十円硬貨を4枚と、五円硬貨を1枚投げ入れる。〝45円〟と〝始終ご縁〟、くだらん語呂合わせだが、賽銭の額を毎度迷うよりよっぽど良い。二礼二拍手の後、手を合わせる。願うのは、この町の住人達の幸せ。そして、町の外にいる家族の幸せだ。祈り終われば深く一礼をし、踵を巡らす。そこでふと、視線の先に人影があることに気付く。見たところ20代後半ほどの男か。初めて見る顔だ。ゆっくりとした足取りで近付けば、柔和な笑みを浮かべて話し掛ける。 )
 やあ、こんなところに若い人がいらっしゃるとは珍しいですな。私は今しがた参拝を済ませたところでして。お見掛けしないお顔ですが、ここには最近来られた方で? ……それにしても、こんなご縁に恵まれるとは、いやはや早速ご利益があったのやもしれませんな。



( / 修で始めさせていただきました。絡みづらければ仰ってくだされば書き直し、もしくは他キャラクターに変更いたします。 )






48:  [×]
2021-03-10 16:25:56




>47 修さん


( 世捨て人の町。移住したらもう帰ってこられない場所。色々な噂があって、どれが本当のことなのかわからない。今注目を浴びているところだからこそ、しっかりとこの目で確かめてみたかった。香撫町という土地がどのような目的で作られていて、どのような発展を遂げてゆくのか。それらを見て、感じて、形にする。調査してはならない、なんて暗黙の了解は当然心得ている。現実世界に戻ったら報告して、それで終わり。桃源郷は一度しか行くことができない。純粋な気持ちを持っていなければ。実状を把握する為、なんて不純な動機で向かうのは許されないことであろう。だからこそ、ちゃんと偽って当たり障りのない人間でいようと決めた。町に馴染み、普通の住人として暮らして、必要な情報が集まったらそこでさようなら。深入りしなければあっさり消えても不審に思われることもないだろうから。そうして実際に足を踏み入れた町は、どこか素朴な感じがした。どうやらインターネットは使えないらしい。町並みは古びているわけでもなく、かといってかなり近代的なわけでもない。こぢんまりした、という表現が適当か。町人に会っても問題ない程度に視線を動かしていたところで、そこに神社があるのに気付く。「はい。まだ来たばかりなので、色々見て回ろうかと思って」息を吐くように嘘をつく。否、町へと赴いたのが最近であるという事実だけは真実なのだが。 )





49: 修 / オサム [×]
2021-03-15 19:32:51



>楸


 【 3月某日 / 神社 / >48 】


 それはそれは。色々大変でしたでしょう。ここは良い町です。なんにも心配せずに、ゆっくり行きなさるといい。
 ( 朗らかな表情を崩さないまま、うんうんと二、三度ゆっくりと頷く。この町に移住して来るのは、大抵何か事情を抱えた人物だ。こうして急に話し掛けると、警戒したり、逃げて行ってしまう者も居るが、そうでない者は抱えているものが軽いのかと言うと、決してそんなことはない。人の心は複雑怪奇だ。この歳になっても、一つも理解できた気がしない。この町に長く居ると、その思いは深まるばかりだ。しかし、だからこそ、この町は面白い。この男は一体何を隠し持っているのだろうか。興味を引かれるものの、会ったばかりの相手のことを根掘り葉掘り聞くのも如何なものかと、新顔の男に送り出すような言葉を掛ける。なに、時間は腐るほどあるのだ。焦ることはない。それよりも、これから同じ町で暮らす人間と険悪になる方が厄介だ。ここは挨拶だけに留めて、早々に立ち去ろう、と考える。……が、しかし。裏腹に、これだけのやり取りで終わらせてしまって良いのかと考えている自分も存在していた。まったく、人の心というのは本当に複雑怪奇だ。前に吐き出した言葉から一呼吸置いて、次を吐き出す。 )
 ……もし、お邪魔ではないようでしたら、私が案内でもしましょうか。実は、この町では結構な古株でして。他の住人の方たちが知らないようなこともお教え出来るやもしれません。






50:  [×]
2021-03-21 20:47:39




>49 修さん

そうですね。ゆっくりしようかなと思います。
( 声を掛けてきたのは見るからに老人。この町が出来てから長く経っていないとしても、他の住人より警戒されずに情報を得ることができるだろう。無駄な馴れ合いをするよりも、適切な距離感を保って手っ取り早く色々知ることが出来れば良い。町に隠された秘密を、人々が抱えるものを。彼の言葉に微笑んで頷いて、そのまま頭を下げてから立ち去ろう。そう思ったが、此処で何も聞かずに終わるのも勿体無い。地図を見て歩いたところで、よくわからないまま動き回るのはあまりにも効率が悪い。勝手知ったる人間がいるのは心強いし、何より話を聞き出せれば一石二鳥。先達はあらまほしきことなり、なんてよく言ったものだ。「有り難う御座います。では、お言葉に甘えてお願いしても宜しいでしょうか……ああ、申し遅れました。私は楸と言います」胸の前に手を置いて、紳士然とした振る舞いをしてみせる。普段からしているわけではなく、しっかりとした若者、という印象を持って貰う為に。もし外の世界と繋がりがあったら厄介だ、珍しく目立つ本名をすべて名乗ることはしないけれど、下の名前だけは口にする。最低限の礼儀くらいはきっちりとしておかなくては、非常識のレッテルを貼られてしまうかもしれない。いくら一時的に留まる場所といえど、嫌な奴がいた、と悪いように記憶されるのは御免なのだ。「此処は自然が豊かなんですね。空気も美味しい気がします」辺りを見回しながら、当たり障りのないことを話す。単純な興味と、場を繋ぐ言葉。さて、此処からが本番だ。ちゃんと演じきらなくては。心の中でそっと気合いを入れた。 )




51: 匿名さん [×]
2021-03-23 15:03:56



「酒はいい。ひとくち口にした瞬間、楽しい夢の中にまっしぐらだ」
「……恐いんだ。またいつか、失ってしまうんじゃないかって」

名前:圷 良司 / あくつ りょうじ

年齢:35歳

性別:男性

容姿:190cmと日本人らしからぬ高身長の持ち主。混じり気の無い黒髪はベリーショート、サイドと襟足を刈り上げたツーブロック、分け目を左側とし8:2の割合で左右に毛束を流してワックスで整えている。一見軍人かと見紛うような筋肉質な肉体には無駄な脂肪など一切無く、がっしりと広い肩幅とただでさえ高い身長も相俟って対面する相手に威圧感を与えがち。やや角ばった顔の輪郭の中には太めの眉、その下に一重瞼の吊り目がちな焦茶色の双眸、高めの鼻、厚みの薄い唇といったパーツが揃い、濃いめの顎髭が実年齢よりやや老けた印象を持たせている。

服装:白いワイシャツに黒いスラックス、茶色の革靴を履き、ベージュのトレンチコートを羽織ったシンプルな出で立ちであり、ファッションに強い拘りがないことを示している。

性格:真面目で正義感が強い熱血感だった──かつては。社会の荒波に揉まれ歳相応に酸いも甘いも知り尽くしてしまった今では、若かりし頃の面影など紙片一つほども残っているかどうか。すっかり草臥れ果て、世の中への希望を捨て去った諦観塗れの中年男に成り下がってしまった。しかも、過去の哀しみに囚われ夜毎アルコールに溺れる始末。とはいえ、なんだかんだと仕事には真面目に取り組んだりお人好しだったりするあたり、元来の性質が全く無くなってしまった訳ではないようだ。

移住目的:彼は警察官、俗に言う刑事だ。20代の頃に結婚し子を一人もうけたが病気により一歳にも満たぬまま死亡、妻はそれ以来塞ぎ込んで家に引き籠もりがちになってしまいそれに懸命に寄り添っていたのだが、数年前に突如として失踪。此度は、この香撫町に妻が居るかもしれないという風の噂を頼りとして訪れた。

初回指名キャラクター:守さん

初回ロル:

【 4月某日 / 喫茶店 】

(もう桜の花も散りきってすっかり葉桜の様相を呈する暖かな昼下がり。この町を訪れてみたは良いが未だ目ぼしい住民には出会えておらず、圷という名の大男は一先ず町中を歩き回って情報収集に適した場所を探すことにした。無論町役場の者達にもそれとなく尋ねてはみたが、彼らは根っからの仕事人間なのか取り付く島も無かったのだ。ならば今は、此処で暮らす一般市民に情報の種を委ねるしかあるまい。そうしてたまたま通り掛かった建造物、足を止めて外観をつぶさに眺めてみるにどうやら喫茶店らしいと当たりをつけ、ならばその場所柄自身の欲するものも手に入るのではないかと思い扉を開けては店内に足を踏み入れて)


(/主様、初めまして。この度は作り込まれたミステリアスな世界観に惹かれてしまい、是非お話をしてみたく参加希望を出させて頂きました。プロフィールやロルに不手際がございましたらご指摘ください。また、描写については絡み難い等ありましたら修正致しますのでそちらも遠慮なく仰って頂ければと。ご検討宜しくお願い致します。)



52: 修 / オサム [×]
2021-03-23 22:33:47



>楸


 【 3月某日 / 神社 / >50 】


 〝ひさぎ〟さん。ほお、珍しいお名前で。字は、どのように書くのですかな。
 ( 新顔の男は、警戒するでもなく、迷惑そうにするでもなく、自然に私の提案を受け入れて自身の名を名乗る。その動作は紳士然としていて好青年に見受けられたが、それ故にこの場所には似つかわしくない気もした。礼儀として「私は修と言います」と返しながら、値踏みするような視線を向ける。飾り気は無いものの、小綺麗な風貌。知性を感じさせる話し方。年齢にしては落ち着き払った態度。人畜無害そうな顔をしているが、何を隠し持っているかは分からない。外で何かをやらかしたか、ただ働かなくて良い生活に釣られたか、もしくは──。頭に浮かんだ一つの想像に、意図して作ったものではない笑みが口元に広がる。これは、もしかすると、久方振りに面白いことになるやもしれん。しかし、そんな心の内はおくびにも出さず、「外と比べると人が少ないですから。大きな工場なんかもありませんでしょう」と、男と他愛のない話を続ける。実際、もしかしてと思ったものの空振りだった、なんてことは今までもざらにあるのだ。勘付かれて疑心を向けられるのはまずい。日頃〝穏やかで親切な老紳士〟という評価を獲得していなければ、正義を実行しても、情状酌量も賞賛も得ることは出来ないのだから。 )
 楸さん、どこか行きたい所はありますかな。町を全て回るのは難しいでしょうから、お好きな所から案内いたしましょう。






53: 守 / マモル [×]
2021-03-23 23:26:22



>圷


 【 4月某日 / 喫茶店 / >51 】


 ( 銀のポットから、挽いて粉状になったコーヒー豆へと熱湯を注ぐ。全体が湿ったら少し蒸らして、それからゆっくりと味と香りを抽出する。窓から柔らかい陽の差す昼下がり。自身の経営する喫茶店は、空席が八割程を占める空き具合だ。普段はそれなりに人が集まるからか、こうした客の少ない時間帯はどうしても手持ち無沙汰になる。それならば少しくらい休めば良いのにと言う人も居るが、そうもいかない。元々何かしていないと落ち着かない性分というのもあるが、何もしていないとあの子の顔がちらつくのだ。あの瞳に無言でじっと見つめられていると、責められている気さえしてくる。あの子がそんなことを考えるはずもないと分かっていながらも、悪い妄想が広がっていくのは止められない。まだ、足りない。もっと、もっと、稼がなければ。少しでも手を止めれば、あの子は僕を許してくれない。そんな感覚に囚われてしまうのだ。取り敢えずは何か行動をしなければ、と、今のところ注文される見込みもない量のコーヒーを淹れながら、カウンター席の客と軽い情報交換をする。最近やって来た住人の話、カタログに追加された商品の話、いつの間にか見掛けなくなった常連の話。どれも他愛ないものばかりだ。そこに、ふいに店のドアが開く音が響く。入り口に見慣れない大男の姿を認めると、一先ずは「いらっしゃいませ」と声を掛ける。カウンター席の客に、話は一時中断だと目配せすれば、メニュー表を持って新たな客の方へと歩み寄って。 )
 お好きな席へどうぞ。……ご注文はこちらから。お決まりになったら呼んでください。


( / 初めまして。こんな自己満足なトピックにお目を留めてくださり、ありがとうございます。PFにもロルにも特に問題はありませんので、是非奥様を探しながら住人達との交流を楽しんでくださいませ。歓迎いたします。 )






54: 圷 良司 [×]
2021-03-24 14:46:56



>守

 【 4月某日 / 喫茶店 / >53 】


……ブレンドで。
(ふわり。扉を開けると、香ばしい珈琲の香りが鼻腔を擽る。そうして目の前に広がる喫茶店らしい落ち着いた穏やかな空間に、圷は素早くその細い視線を滑らせていく。その眼差しは刑事としての職業病を隠し通せておらず鋭く冷徹なもので、店内の状況を一刻も早く把握しようと努めているようだ。この二つの目に映る限りは客数は当初思っていたよりも少なく、それほど賑わってはいないようだと認識したところで此方へと歩み寄る人影が一つ。自然と無意識に視線を向ければ其処には夜空に輝く月を連想させる頭髪に透き通った翡翠の双眸を持つ美しい長身の青年が居て、彼が発する言葉からどうやら店員のようだと判別しつつ後ろ手に扉を閉めてはメニュー表を手渡されるより前に、およそ殆どの茶店に存在するであろう名称を無愛想に口にして。その後、青年の横を通り過ぎるようにして乾いた靴音を響かせつつカウンター席に近寄り、既に他の客が腰掛けている席より椅子一つ分距離を置いてどっしりと着席し、早速とコートのポケットを探る。長いこと歩き回って少々疲れてもいる、聞き込みは少し落ち着いてからでも良いだろう。何、焦ることはない。急いては事をし損じるとも言う。それに、本当を言うと先日耳にした噂もそれほど信用してはいないのだ。だが、それでも今は、藁にも縋る想いで微かな情報を辿るしか選択肢は残されていない。一息吐き出した男は、ポケットから煙草とライターを取り出した。)


(/歓迎してくださりありがとうございます、これからどうぞ宜しくお願い致します。何か不手際等ございましたら遠慮なくご指摘ください。此方は蹴って頂いて構いません。)



55: 守 / マモル [×]
2021-03-25 20:51:08



>圷


 【 4月某日 / 喫茶店 / >54 】


 かしこまりました。
 ( 素っ気なく吐き出された一言によって、彼へと差し出したメニュー表は行き場を失い、静かに元の場所へと引き戻される。随分愛想の無い客だな。彼の第一印象はそれに尽きた。特段気を悪くしたわけでもないが、これだけ大柄な男だとさすがに威圧感がある。自身の横を通り過ぎて席へと向かう背中に、落ち着いた響きは損なわないながらも、普段より少し高く作った声で返答する。愛想の無い相手を前にすると、何故か努めて愛想良く振る舞ってしまう現象に名前はあるのだろうか。人間は、無意識にマイナスでもプラスでもないゼロの座標に戻りたがるのだと聞いたことがある。もしそれが本当ならば、今のこの苦しさも、あの幸せ過ぎた日々の代償なのだろうか。……考えても、仕方のないことだ。〝こうすれば良かった〟なんて答えは、何処にも無かった。分かっていても、あの子は今も僕を見つめているのだから、この悪夢から逃れる術も同様に、何処にも無い。カウンターの内側へと戻り、注文通りのものを提供すべくコーヒーの抽出作業を再開する。ついでに、カウンター席の客との雑談も。この町において、社会性なんてものは基本的に必要とされない。そもそも社会生活をする必要が無いのだから、役立てる場面が無いのなんて当たり前だ。外での〝優しさ〟と同じ。つくづく自分は役に立たないものばかり持ち合わせているな、と、溜息が出そうになる。それでも、雑談をしていた客との会話が途切れれば、自然に手持ち無沙汰な様子で煙草を取り出す大男へと掛ける言葉が口を衝く。ほんの少し気に掛かっていたことを、何気ない様子で尋ねて。 )
 ……何か探しものでも?






56: 圷 良司 [×]
2021-03-27 11:37:36



>守

 【 4月某日 / 喫茶店 / >55 】


ああ、少しな。
(箱と呼ぶにはあまりに心許ない薄っぺらいビニール製のそれから白い紙巻き煙草を一本取り出し、口に咥える。鈍色の安っぽいジッポライターを取り出し慣れた手付きで親指の腹で以てフリントホイールをカチリと回し、丸い先端に火を灯した。役目を終えたライターをポケットの中に仕舞い直しながら、すう、と軽く毒素の強い一酸化炭素を肺臓の中に取り込んだ後に大きく紫煙を吐き出していく。──嗚呼、この瞬間が堪らない。この命を無駄にしている感触こそ、皮肉にも己が生を最も実感出来るひと時なのだ。そうして害的な煙を味わいつつ、先程の店員と常連らしき客が交わす会話に耳を傾けていく。内容としては他愛もない世間話で、その言葉の数々は取り立てて異常なものはないように思えた。この町にまつわる半ば都市伝説めいた突拍子もない噂話は勿論圷の耳にも入っており、リアリストを自称しているからにはそれらを信じている訳ではないにせよどこかしら偏見を持っていなかったかと言われれば嘘になる。彼らにとっての日常は、圷の価値観ともそう大差はないように感じられた──少なくとも、現時点では。そういった思考を巡らせていた最中、耳朶を打つ声に自然とカウンターの向こう側に立つ青年へと目を向ける。自身が腹に抱えるそれを特段隠し立てるつもりは端からなかった為、紫煙混じりに頷いてみせるがしかし、唐突に本題に入るのは些か躊躇われた。それもその筈、お互い出会ったばかりで信頼どころか素性すら何も知らないのだ、そのような心許ない相手から果たして信用に足る的確な情報を得られるだろうか。そう理性的に考えた圷は先ず、無難に青年の由縁を探ることにした。)
……君は、この町はもう長いのか?



57: 守 / マモル [×]
2021-03-31 21:50:49



>圷


 【 4月某日 / 喫茶店 / >56 】


 ……3年ほどですかね。
 ( 先程の様子から見るに、問い掛けたはいいものの、返事が返ってこない可能性も充分にあると踏んでいた。しかし、実際には短いながらも返事はあり、更にこちらへと質問を返して来るのだから少し驚く。単に無愛想なだけで、人嫌いというわけではないらしい。世間話と言うよりは、事情聴取のような僅かに警戒を含んだその硬い声に、コーヒーの滴が落ちる様を眺めながらそっと答えを零す。あの子が天国に行って、3年。改めて言葉にしてみれば長い月日だけれど、彼女は常に僕の無意識の中に存在しているから、遠くへ行ってしまった感覚はあまり無い。今だって、ほら、『どうしてお前は生きているのだ』と呪うような瞳でこちらを見ている。〝この町に来て3年ほど〟、その言葉は紛れもない真実だけれど、もしかしたら嘘のように響いたかもしれない。ようやく抽出が終わり、淹れたてのコーヒーの入ったカップを、ソーサーに乗せて彼の前へと静かに置く。小さく添えた「ブレンドです」の言葉に続けて、自分に向けられた質問を相手にも返す。誰に習ったわけでもなく、そうするのが自然だと脳に染み付いているのだから不思議だ。他人の手を借りるつもりが無いのか、他人には言いづらいものなのか、不自然に終わった探しものの話が気になりつつも、ここはひとまず振られた話題を続けることを優先することに決めて。 )
 お客さんは、最近来られたばかりですか?






58:  [×]
2021-04-03 19:56:17




>52 修さん


木へんに秋、ですよ。姉が木へんに春で椿なので。
( さらりと答えて、聞かれてもいない答えまで乗せる。自然に重ねた情報は事実であるが、大して知られても問題のないもの。「そうですね。ビルや工場があると風景も変わってしまいますし。自然のままなのも、過ごしやすくて良いでしょう」こくりと頷いて賛同してみせる。実際心地よい風が吹いているのだし、快適であることは本当である。豊富な自然の他に働かなくても良いこととあって、調査目的でなかったとしたらさながらユートピアのようだ。もっとも、此処を出たらもう来られないだろうから、そういう意味でも桃源郷といって差し支えないのかもしれないけれど。微笑みながらも探りを入れるように、少しだけ観察してみる。一見しただけでは、彼は穏やかで優しそうに見える。何があるのかはわからないが、関わったとしても此方に非はなさそうだ。失礼にも思える感想を抱きながらも、それは一切顔に出さず。「何処が良いでしょうか……生憎どんな風になっているのかわからなくて。ああ、食糧は調達しておきたいかもしれません。少し、お腹がすいてしまって」ゆるりと首を傾げて、不安げに瞳を揺らす。暗に案内場所は委ねる意思を示しながらも、照れたように腹部を押さえて )





59: 圷 良司 [×]
2021-04-09 14:38:03




>守

 【 4月某日 / 喫茶店 / >57 】


ん……、まあな。何分越してきたばかりで勝手が解らん。だから少し散策していたところだ。
(三年。目の前の青年はこうして喫茶店に勤めている上他の客とも親しげに言葉を交わしていたため随分この街に馴染んでいるように思えたが故に少々短くも感じられて、しかしながらまだ香撫町を訪れて数日しか経過していない己と比べればその差は歴然としており、その上彼は接客もしているのだからそれなりに街の地理だけでなく人間関係にも詳しそうだと紫煙を燻らせながらそう推察していると珈琲の注がれたカップがソーサーに乗せられ眼前に差し出されて。それを見た圷は近場にあった灰皿を引き寄せるなりその端っこに吸い差しの煙草を一旦置き、カップを口許へ運んで香り高いブレンドを少量口に含む。淹れたての温かいそれは適度な苦味と絶妙な酸味が絶妙な味わいを演出していて、その味に満足そうに一つ頷きつつ投げ掛けられた問いを一先ず肯定した後、自らの於かれている事情を簡潔ながら正直に打ち明けていく。こういうことは下手に隠そうとせずに事実を告げた方が話はスムーズに進むものだと経験上重々承知しているのだ、そしてある程度順序立てて事を運ぶ必要があることも。まだ六分ほど珈琲の揺蕩うカップを一度ソーサーに置いては青年を見上げ、その端麗な容貌をつぶさに眺めつつ。)
──俺は圷、圷良司だ。君は?



60: 修 / オサム [×]
2021-04-14 22:12:46



>楸


 【 3月某日 / 神社 / >58 】


 ほほお、ご姉弟揃って素敵なお名前だ。さぞご両親も立派な方なのでしょうな。
 ( 感心したように僅かに目を見開いて見せる。一つではそのまま受け止めるだけだったものが、二つ並んだ途端に意味を持ったように感じられる。勉強法に取り入れられるほど、関連性というものは人間にとって重要らしいと聞くが、なるほど確かに。彼の名前はしばらく忘れることは無さそうだ。しかし、季節の漢字を用いるところから見て、彼の両親は4人子どもをもうけるつもりだったのだろうか。人様の家庭のこととは思いながらも、ついつい勘繰ってしまう。うちは一人娘だったが、随分と手を焼いた。4人など育てようものなら、きっと手がいくつあっても足りぬだろう。二本の腕では、せいぜい人一人を殺めるのが関の山だ。「若い人は沢山食べませんとな」腹の辺りを押さえて、はにかんだような表情を浮かべる彼に、高らかな笑い声をこぼす。私も若い頃は常に腹を空かせていたと言っても過言ではないほどよく食べたが、歳を取って〝腹が減った〟という感覚も薄くなってしまった。今では決まった時間に機械的に食事を摂るのみ。やはり歳は取りたくないものだ。携帯端末をちらりと確認する。時刻は11時過ぎ。昼食にしてはまだ少し早いが、移動するうち丁度良い時間になるだろう。思いついた食事処をいくつか挙げた後、回答を待つように彼の方へと視線を合わせる。選択肢は然程多くない。大して決めるのに時間は掛からないだろう。 )
 食事処なら、東部にある無人のファミリーレストランか、若い奥さんが切り盛りされている定食屋か……ああ、丁度あなたくらいの歳の青年が経営している喫茶店も、南部と西部の間辺りに。自炊なさるなら、スーパーマーケットは大体どこの辺りにもありますよ。一番よく利用されているのは、やはり北部のスーパーマーケットでしょうか。






61: 守 / マモル [×]
2021-04-14 23:23:27



>圷


 【 4月某日 / 喫茶店 / >59 】


 ああ、僕も、この町に来たばかりの頃は戸惑ったなあ。
 ( 彼の人間味の滲む言葉に、少しだけ気が緩めば懐かしむように笑みを溢す。平日の昼間でもショッピングモールが賑わっているし、まだ大人に守られるべき小さな子どもが一人で寮生活をしている。〝しなければいけないこと〟が一つも無い、今までの常識が常識でない町。この町に来てまず思ったのは、自分がいかに〝何もしない〟ことに対する適性がないかということだった。この町に来たばかりの、抜け殻のような状態でもどうにも手持ち無沙汰だったし、あの子の居なくなった町を見ていたくなくて逃げてきたのに毎日あの子の声を聞いた。ついでに言うと、この町は自治が基本なのに、前任の管理人はあまり仕事をしてくれなくて治安も今より悪かった。一週間と経たずに、僕はこの町に来たことを後悔した。「僕で良ければ手助けするので、何でも言ってください」今はもう過去になった苦い思い出を振り返りつつ、少しだけ胸を張って見せる。見るからに年上だし、身体つきも強そうだが、ここに居る時間だけは僕の方が長い。先輩風を吹かせるくらいは許されるはずだ。カップを下ろす、淀みのない所作につられてソーサーへと視線を落とす。次に視線を元の位置へと戻すと、ふいにこちらを見据える目とぶつかった。仕事柄、相手が名前を名乗る時は、仲を深めたいと思ってくれている時か、依頼、またはそれに類似する何かがある時だ。緩んだ表情が僅かに緊張を帯びるも、珍しいフルネームでの名乗りに、気になったことをそのまま無遠慮に訊いてしまって。 )
 僕は、守。『守る』って漢字そのままで、守です。……って言うか、もしかして圷さん本名ですか?






62:  [×]
2021-04-21 22:53:29




>60 修さん

親がどうかはわかりませんが……センスは良い方だと思いますよ。
( 思い出すのは幼少期。忙しく働きながらも遊んだり勉強を見てくれたり、それなりにちゃんとしていた人だと思う。数多のものから何かを選択するときも、意味を持って取捨していたのが記憶に新しい。どんな人かと問われたら、ただ良い人としか言えないけれど。答えは素っ気なく聞こえるかもしれないが、愛情がないわけではない。さて、前に里帰りしたのはいつだったか。研究に没頭すると時間感覚さえ曖昧になるのだから困ったものだ。「では、スーパーマーケットに。ファミリーレストランなんかも気になるところではありますが……」幾ら働かなくて良いといっても、外食ばかりで浪費してしまったら話にならない。取り敢えずは安定を求めるのが得策だろう。それに、そんなにお腹のすいていないかもしれない人を付き合わせるのも良くない。その程度の気遣いは欠けていないはずであり。此処の食事処はどんなものか、スーパーマーケットの品揃えはどの程度であるのか。気になることはたくさんあるけれど、まずはゆっくり観察していくとしようか。選択肢の中から2つを拾い上げて口に出しつつ、様子見とばかりに首を傾げて )
修さんは、どんなものがお好きですか?よく行く食事処なんて、あったらお聞きしたいです。




63: 圷 良司 [×]
2021-04-25 12:24:21



>守

 【 4月某日 / 喫茶店 / >61 】


生憎と名前を使い分けられるほど器用なタチじゃないもんでな。何、探られて困ることなんざなにもねえよ。
(守──そう名乗った相手が続けて放った問いに、圷はこの町の片鱗を垣間見た。成程、香撫町では偽名を用いることが常識らしい。とはいえ、だからといって二つ目の名前を用意しようという協調的な考えは頭に浮かんでこなかった。どうせ自分は隠すほど大層な身分でも大した人間でもなし、下手な嘘で塗り固めて後で出てきたボロをあくせくと埋め合わせをする方が面倒だと、圷はそう考える人種だった。しかしながら他人にも同じことを求めるつもりは更々ない。単に自分自身がそうしたいだけに過ぎない。いつの間にかすっかり灰が落ちきってしまった煙草を灰皿にぐりぐりと押し付け、新たに取り出した紙巻き煙草へと火を灯し、一度深くニコチンを体内に取り込んでから豪快に紫煙を吐き出した後、短い背凭れにぐっと腰を預けて値踏みするような眼差しを守に向ける。矛盾してはいるが、一刻も早く妻を見出したい気持ちと愛しい彼女の姿を他人に、しかも自分より遥かに見目麗しい男に見せるということに躊躇いを覚える気持ちはいつも表裏一体で付き纏うもの。けれど、そんな瑣末な嫉妬心などやはり妻に会いたい欲求に比べれば塵に等しいと判断するや否や上着のポケットから白いワンピースを身に纏った痩身の女性が映されている草臥れた写真を一枚取り出し、それを相手に向けて差し出した。)
……この女が俺の探し物だ。見たことはあるか?



64: 修 / オサム [×]
2021-04-28 19:59:14



>楸


 【 3月某日 / 路面電車 車内 / >62 】


 恥ずかしながら、私は料理が出来ないので、白米と野菜だけ用意して、おかずはスーパーのお惣菜や冷凍食品で済ませてしまってばかりです。
 ( 出来合いの食事ではなく、材料を買って自炊するらしい彼に、娘が『最近は男も料理をする時代だ』と言っていたことを思い出す。男は外に出て働き、女は家庭を守る。そんな時代はとうに終わったのだと。目まぐるしく変化する時代に、私は置いてけぼりだ。ひとまずは北部のスーパーマーケットへ案内しようと、北部との境へ向かう路面電車に乗り込む。もう年単位で香撫町に居るが、この無人のシステムには未だに慣れない。「いやはや、こんな事なら私も少しくらい料理の勉強をしておくんだった」空いている車内の座席にゆっくりと腰を落ち着けると、眉を下げて面目無げに微笑む。「外では女房が毎日手作りしてくれていましたから、時々無性に人の作ってくれたものが食べたくなってしまって。先ほど候補に挙げた定食屋なんか、値段もそこまで高くないのに美味しくてですね、奥さんも気立ての良い方で、よく立ち寄らせていただいています」聞かれたことに対して、出来るだけ誤解のないよう正確に、素っ気なくなってしまわないよう愛想の良い返事を、と心掛けていると、どうにも一方的に喋ってしまうのが私の悪い癖だ。歳を取ってくると、良い意味でも悪い意味でも周りが気にならなくなって、目の前に相手がいるという意識が抜け落ちてしまいがちになるのだろうか。しかし、今日のやり取りで、後に残るのが『年寄りの話は長い』という印象だけになってしまっては困る。上辺を撫でるような言葉の交わし合いはやや退屈ではあるが、まずは親交を深め、彼の人となりを知るところから始めなければ、私の目的は叶わない。足掛かりとして、こちらからも何でもない質問を投げることに決める。 )
 楸さんは、よく料理なんかをされるので?






65: 守 / マモル [×]
2021-04-28 20:00:04



>圷


 【 4月某日 / 喫茶店 / >63 】


 ( ……ああ、そうか。目の前に差し出された写真を見た瞬間、心に引っ掛かっていたものがすっと下りていくような感覚に襲われる。微かに感じていた違和感の正体。この人は、この町に〝第二の人生〟を求めて来たわけではない。外の世界を引き連れたまま、何かを取り戻しに来たのだ。彼が〝探しもの〟だと言った写真の中の女性を眺める。白いワンピースに身を包んだ、痩身の女性。綺麗な人だな、と思うより先に、その人がカメラの方を向いて映っていることに安心する。何でも屋なんて仕事をしていると、隠し撮りのような写真で、きな臭い依頼を持ち込んでくる人も少なくないのだ。「……この人は香撫町に?」最初に口に出したのはその一言だった。写真の女性の顔に見覚えは無い。しかし、このタイミングで事情を話したということは、手助けを必要としているということ。話を前に進めるように、この町に居ることは確実なのか、という事実確認から始める。頼まれてもいないのに首を突っ込んでしまうのは、多分もう習性のようなものだ。一度入れば二度と出ることは叶わない、と噂される香撫町まで追い掛けて来るほどなのだから、きっと信用に足る情報と相当な覚悟があるのだろう。必ず見つけてあげなければ、と一人で張り切る反面、思う。香撫町は、ここに暮らす住人たちにとって、言ってしまえば最後の砦だ。この女性を探し出してしまうことは、目の前のこの人に引き合わせてしまうのは、果たして彼女にとって喜ばしいことなのだろうか。少し考えて、すぐに首を振る。そんなことより、金だ。余計なことを考えている暇があれば、一刻も早く、一銭でも多く、金を稼がなければ。優しさなんて、何の役にも立ちはしない。第一、会ったこともない人の気持ちなど、僕がいくら考えたところで分かるものでもないのだ。ふと、差し出された写真に目を遣る。草臥れたそれは、窓から差し込む陽を反射して、その表情を見せはしなかった。 )






66: 管理人。 [×]
2021-04-29 23:54:06




( / 参加者様、参加を検討されている方へ。この度、当トピックに【ストーリーシナリオ選択】と【居住歴】を追加致しました。以下、新しい移住届となります。項目の付け足しは可。住人、調査者の区別はありません。ご質問も受け付けておりますので、気になることがあればご遠慮なくお声掛けください。ご迷惑をお掛けしますが、これからも皆様に楽しんでいただけるトピックを目指して参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 )


【移住届】

名前: 本名である必要は無し。読みまで。
年齢: 
性別: 
容姿: 
性格: 
備考: あれば
移住理由: 任意。詳しく書いても、断片的に書くのでも、書かなくても。調査目的の者は、町に入る際に騙った移住理由を。
居住歴: 来たばかりの時点から始めたい方は『来たばかり』と記載。14年以上は不可。
希望シナリオ: 日常 / 探索謎解き / 記憶喪失 のいずれか。希望エンドがあれば >67 より番号で。
初回指名キャラクター: >3 より選択
初回ロル: 多少短くても大丈夫です。最初に【 日付 / 場所 】を明記すること。日付は『○月某日』や、特に指定が無ければ季節だけでも可。場所もある程度の創作可。





67: 管理人。 [×]
2021-04-29 23:55:31





「 実のところ、この町から出る方法はあるんだ。でも、大抵の人が辿り着けないから〝出られない〟ってことになってる。……現実は、いつだって僕らには優しくない。 」


何もかもが少しずつ歪んだこの町で、あなたが見つけるのはどんな物語?


ストーリーシナリオ:

□日常
心に仄暗い歪みを抱えたまま、それでもここは外の世界よりずっと息がしやすい。香撫町での第二の人生。夢幻の安寧の日々。
※守の店の従業員、鏡華のクラスの生徒、特定キャラクターのご近所さん等、指名キャラクターとの関係性を持たせるキャラメイクは可。職業持ちも可。ただし、縋の探している〝あの子〟や、双葉の両親、前任の管理人等、重要人物は不可。開始時点から恋人や親友等も不可。

エンド ) 1/2/3/7/8
町から出る条件は『自身の歪みを受け入れ、正すこと』。望むエンドに基づいた行動を。


□探索謎解き
一体誰が、何のために、こんな町をつくったのか。何も知らないままでいることと知ってしまうこと、どちらが不幸なのか。隠された真実へと手を伸ばす物語。
※ソロル、強制指名あり。元々住人で、何かをきっかけに町の秘密を探り始めるのでも、最初からその目的で町へやって来たのでも可。難易度は高め。

エンド ) 1/4/7/8/9/10
参加者様の行動によってエンドが決まります。


□記憶喪失
ここはどこ?私は誰?目を覚ましたその場所は、香撫町というらしい。普通の町とは少し違うこの町で、失くした記憶を辿る物語。
※指名の都度、記憶を失くす前の関係性を指定していただきます。

エンド ) 1/5/6/8/9
エンドは原則ランダムです。ご自分で指定したい場合は、その旨を主まで。



エンド一覧:
※エンドを迎えた後は、別世界線でリスタート、もしくは転生の選択が出来ます。

エンド1:日常
香撫町での平穏な暮らし

エンド2:旅立ち
一人で香撫町を出る

エンド3:新たな日常
特定キャラクターと共に香撫町を出る

エンド4:第二の人生を送る場所
香撫町の真実に辿り着く

エンド5:過去に殺さる
???

エンド6:消えないもの
???

エンド7:「ずっと一緒だよ」
朔良に食べられる

エンド8:檻の中
縋に囚われる

エンド9:香撫町の管理人
透が使命を果たす

エンド10:正義の犠牲
修に殺される






68: 管理人。 [×]
2021-04-29 23:57:13




指名キャラクターの居住歴:

 透  - 2年と1ヶ月
 朔良 - 5年
 睡  - 1年と9ヶ月
 來  - 1年と9ヶ月
 幸  - 1年と8ヶ月
 守  - 3年と6ヶ月
 縋  - 4年と1ヶ月
 逸  - 1年と2ヶ月
 命  - 2年と3ヶ月
 遊  - 1年と7ヶ月
 瞳  - 2年と5ヶ月
 修  - 9年と11ヶ月
 双葉 - 4ヶ月
 鏡華 - 4年と3ヶ月
 朝  - 6ヶ月





69: 管理人。 [×]
2021-04-29 23:58:18




登録住人名簿:

 月( >5
 景( >23
 楸( >46
 圷 良司( >51



>月ちゃん/楸さん本体様、景ちゃん本体様、圷さん本体様

( / 現在、月ちゃん、景ちゃん、圷さんは【日常】シナリオ、楸さんは【探索謎解き】シナリオと認識しております。認識違いや、希望エンド等がございましたら主までお申し付けください。ただ、エンドに関しては必ずご希望に添えるとは限りません。ご了承ください。また、絡みの途中ではありますが、居住歴を『来たばかり』から変更したい場合も主まで。お手数をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。 )





70:  [×]
2021-04-30 10:24:13




>43 睡

( 騒がしいゲームセンターの中だから、小さな言葉は伝わらない。否、伝わらなくても良かったのだ。お節介だと思われて、離れられてしまったら、きっとその方がずっと辛い。だから、これは予防線。面と向かってはっきりと、伝わる声を出すことができないわけじゃない。静かに呟いたのは、聞こえても、聞こえなくても良いようにしたかったから。彼も來も、過去の呪縛に囚われているのだと思う。断片的にしか知らないくせに、心配して突っ走るのはどうなのか、とも。「そっか……うん、頑張って」二人が、ちゃんと話すのが良いと思った。追うつもりもなければ、一人でこのままメダルを消化しようと。そのつもりだったけれど、彼の瞳は此方を向いている。きっと心配と不安が顔に出てしまっていたのだろう。隠すことができるほど、器用じゃない。「一緒に……でも、良いの?一人で行くんじゃなくて」本当は、聞くよりも早く探してあげるべきだとわかっていた。來は今見付けてあげないと、心を閉じたままでいるんじゃないか。わかっていても尋ねてしまうのは、まだ自分が部外者だから。いくら仲良くなったといえど、兄弟の問題に踏み込んで良いものなんだろうか。考えていても無駄なのに、色々なことがぐるぐると頭を回る。冷静になろうと、機械的にメダルを投入して、操作する。先程まで順調に吐き出されていたものが、今はあまり出てこない。不思議とタイミングが掴めなくなっていた。不器用にも程がある。「私は、睡と來がまた話せるようになったらって思ってるよ。嫌だ、じゃなくて、悪くはないって思えるような手伝いができるなら。やっぱり重いかな?」ぽつりと呟いた本音。歳上の威厳も何もない、ただのお人好しとしての言葉だった )



( / 名前を見たらつい動かしたくなってしまいまして、突然再開の文章を投げることをお許しください。希望エンドに関しまして、月は1か3(3については二人を連れ出すことが可能であればのこと、基本は1を主軸として)、楸は4に向かって動いていて、最終的には物語を離脱しようとしておりますが、1に落ち着くのもありなのかな、と。相変わらずふわっとした答えで申し訳ないです。現在楸の方もお返事作成中です。 )




71: 圷 良司 [×]
2021-04-30 16:12:20




>守

 【 4月某日 / 喫茶店 / >65 】


……少なくとも、日本中で探していない場所は此処だけだ。
(彼から齎された問いを耳にしたその瞬間、抱いたのは落胆だった。どうやら心当たりはないらしいと、言葉だけでなく表情からも読み取ると無意識のうちに紫煙に嘆息が混じってしまう。だがそれは、言い換えてみればいつもの出来事だった。淡い期待を抱いては打ち砕かれる、その事象の繰り返しは最早日常に等しいある種のルーチンワークと化してしまっていた。──これではいけない。あくまでも気持ちは前向きに、確たる証拠がない以上諦めてはいけないのだと自分自身を鼓舞しながら相手へ投げ掛けるのは相変わらず低く無愛想な、けれど何処か哀愁の隠し果せていない言葉だった。探せる場所は探し尽くした。それこそ、私生活を投げ売って。見覚えがないのなら仕方ない、と妻が此方に向かって淡く微笑むその写真を仕舞い込もうとして寸でのところで思い留まる。見たところ彼はこの町の住人とそれなりに交流がありそうで、尚且つ三年ほど居住しているという礎もある。新参者の圷にとっては、人の集まりやすい喫茶店の従業員という存在は簡単には手放したくない貴重な"情報源"の一つに違いなかった。故に、「君さえ良ければ、協力してもらえないか。勿論、タダでとは言わない。それなりに報酬は弾む」極めて落ち着いた口調で、しかし他の客に聞こえてしまわぬようやや前のめりになり、潜めた声でそう持ち掛けてみる。実を言うと刑事という過去の仕事柄、こうしたやり取りは珍しいことではなかった。妻を見出す為なら、利用出来るものはどんなものであれ利用する。例えそれが物であっても、人であったとしても。圷は煙草を指の間に挟んで持ち、カップを手にして珈琲を味わいながら返事を待つことにした。)


(/お世話になっております。圷のストーリーシナリオについてですが、日常という認識で相違ありません。エンディングに関してですが此方から希望するものは特に無く、流れに身を任せてどのようなエンドに辿り着くのか、その過程と結果を楽しみたく思っております。居住歴は『来たばかり』から変更はありません。)




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