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【 指名制 / Remake 】耽溺のグランギニョル【 提供人外 / マルチエンド式 】/1521


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1471: クォーヴ [×]
2024-09-02 22:33:52



>ニール(>>1468)


(そうだ、初めて会った夜も彼は二度と昇らぬ太陽を惜しむどころか永遠に続く月夜にむしろ喜色を湛えていた。そんな思い出を回顧すれば、きっと色んな怪物に気に入られるであろう彼が初夜から幾度もの宵を超えて今こうして自身の直ぐ側に居てくれている事が疑いようのない奇跡なのだと感じられて「 …ふふ。ここからも君の力が漲るみたいだ 」人間の指ならばとっくに骨ごと持って行かれているであろう獣の咬合力も死神にとってはややじゃれ合いのヒートアップした甘噛と同じ。不思議にくっきりと彼の歯型が残ったそこを見つめていると、肚の奥底に眠っている筈の獰猛な何かがざわついて魔法という暴力で滅茶苦茶に蹂躙しろと囁かれるようで「 ニールも魔法が使えるようになったのかな 」そんな疼く感覚を誤魔化すように小さく笑って。数度目にお目にかかれた本当の彼の言葉に「 やっぱり、そっちの方が可愛いね 」いつの夜か伝えたことのある本音を反芻して、さながら人に懐いた大きな獣のように強く寄る力を線の細い体ながら全く揺らぐ事なく受け止めてゆるゆると顎下を撫で擽って「 僕の膝で眠ってもいいんだよ 」サラサラとした銀糸の手触りを楽しみながら頭を数度ゆっくりと撫ぜて、子守唄のような穏やかで密やかな調子で誘惑を)




1472: ジョネル [×]
2024-09-02 22:36:15



>グレン(>>1469)


――――ええ何、そゆこと?
(まるで彼と鏡写しになるが如く自身もぽかんと面食らって、しかし数秒のシンキングタイムを経て今の不自然な台詞がハイネの特別な錠を開く唯一の鍵なのだと解に辿り着けば芝居がかったように両手で口を塞ぐような仕草を「 思ってたよりガチじゃん 」揶揄するでもなく心底驚いたように半ば独り言のトーンで呟いて、ハッとしたように口元を隠したまま彼の目を見て「 どーせハイネの事だからさ、今のもあいつに聞こえるようになってんでしょ? 」言いながら手を解けば親指で後方を指すことで彼の持ち主を示唆しながら、その怪物を茶化すような軽い笑い混じりの声にて落とした洞察は流石付き合いの長い者同士と言ったところか。「 うっわ、王子様スマイル眩しっ 」今度は口ではなく目を腕で庇うようにしながら僅かに上体を仰け反らせることで大袈裟に眩さを表現。ああ言われ慣れているんだろうなと反射的に感じさせる彼の対応はまさに一部の隙もなく完璧に思え、しかし鍍金の下を知らない死神は、揺らぎを愛でるハイネが甚く気に入る程なのだろうかと正しい違和感を感じながら促されるままに彼と正対する位置のソファーに腰掛けて「 …で?本題に入ろうか 」両膝にそれぞれ両肘を乗せるような体勢で前のめりに彼を見つめる、その表情はまるでこの先に自分の望むものが待ち受けているかのような、にこにこと不気味なほどの曇りのない笑顔で)




1473: 秋天 [×]
2024-09-03 09:59:23


>クォーヴ ( >>1470 )

クォーヴは……そばにいてと言ったら、いてくれるの?
( 独りじゃないよ。そう言って肩に手を置いた彼を試すような台詞が口を滑った。絞り出した声。必死で情けなくて切実な叫び。僕は間違いなく人間で、死神の機微をまだ知らない。寂しいという感情を正しく理解してもらえるのかすらわからないが、それでいいと心から思えた。人間同士だって全てをわかり合うことはできないのだから、まだ知らないあなたを僕が見つけたい。冷たい体温を受け止めながら密かに思った。現実になることを祈っている。
クォーヴは僕が思うよりずっと誠実な男だった。"天国へ連れて行って"──その傲慢な願いにYESを望んでいたことは紛れもない事実で、いざ突きつけられたNOがこんなに温かいとは思いもよらなかった。緊張の糸が解けたように笑みが溢れる。瞳の縁は乾いていた。「ありがとう。本当のこと言ってくれて……」嘘でも頷いてほしいと本気で思っていたはずなのに、彼の誠実が心から嬉しかった。あなたが逃げないでくれたから、僕も絶対に逃げたりしない。言葉にはしなかった。これは僕が決めた誓いだから。「……クォーヴ?」僕と話しているときに彼が視線をそらすのは短いやりとりの中でも珍しいことだった。"僕らは此処で暮らさなきゃ"……youではなくweを使った彼を探るように見つめ心配そうに呼びかける。もしかすると彼は、僕よりずっと長い間この屋敷に囚われているのだろうかと想像した。そうして幾度も人の生を見送ってきたとするならば。「クォーヴの生き方も、その最期も……誰かに決められていいものじゃないはずだよ」僕はまだこのお屋敷のことをなんにも知らない。だからこそ簡単に諦めてしまうことはできなかった。無知な子供のワガママだって笑ってもいいよ。「また明日、この世界のこと聞かせてよ。未来のことを考えよう。僕、勉強はできる方だよ」憂う死神へ微笑みを向ける。信じられなくていいから、できれば忘れないでほしいと思った。あなたの運命を諦めない人間が、確かに存在したことを。 )


何から何まで誘導してもらっている気がするな……。共犯者ルートへの種を巻いてくれているのをあなたの文章のあちこちで感じてすごく嬉しいんだ。気を配ってくれているのが伝わるよ、さまざま本当にありがとう。
いくつか聞きたいことがあるんだけど、ここじゃスペースを取りすぎてしまうと思って宝箱の方に書き込ませてもらったから、時間があるときにでも確認してもらえると嬉しいな。



1474: グレン [×]
2024-09-03 12:07:26





>ジョネル( >1472


( 彼の言う “ ガチ ” というそれが何を指しているのかあまり理解していない様子でゆるり首を傾げて。彼が指し示す先が誰の事を指しているのかなんて、考えずとも思い当たる先は一つしかなく。ふふ、と小さな笑い声をあげて 「 僕が鍵を使ったら分かるようにはなってるらしいよ 」 すうと双眸を細め、柔く口角を持ち上げ彼の奥誰もいないはずの空間を見詰める視線は薄らと喜びが表面に現れているようには取れども、嫌悪感は微塵も感じさせる事は無いのは酷く愛情に飢えたが為に歪んでいる内面の現れか。対面する位置に座した彼の瞳を正面から見据え 「 あそこに置いてる花とか、この指輪とか、あとは服とか……兎に角ハイネに色々と貰ってるからお返しをしたいんだけど、僕だけじゃ何がいいのかさっぱりでさ 」 次々と視線で指し示すのは窓際に置かれた鉢植え、自身の左中指、そして閉め切られて中を見る事は出来ないクローゼット。先日の約束では鉢植えのお返しだけの筈だったが、どうせならばとの判断は自ら下したもの。苦笑混じりに眉尻を下げ、表情からも困った様子が見て取れるのは舞台上で培った経験則は日常で見るにはやや大袈裟過ぎる程だろうか。「 もちろん、今日のお礼はするよ。と言っても僕が差し出せる物なんて多くは無いんだけれど 」 部屋にあるのは元から置かれていた家具とハイネから貰った物ばかり。無論それらを対価にする事なんて端から考えておらず、もし彼からの提案だったとしても首を縦に振る事は無いだろう。どうかな?なんて言葉に出す事はなく首を傾げてみせる表情は先程の困り顔とは一点、緩やかな笑みを浮かべていて )





1475: ニール・グレイ [×]
2024-09-03 19:20:48



>クォーヴ(>1471


(またも“初めて”、自分以外の誰かの痕跡を貰えた事に浮き足立つまま感情を顕す所作の後、笑う声にまた彼の方へ顔が向く。「……そしたらクォーヴとおそろいだねぇ。」魔法なんて冗談めいた言葉へ返す喜びの陰、反転した双眸を見詰める獣の瞳は、その奥を覗くように下からじいっと掬って、その不意に鋭い弧を描きながら首をゆったり傾ぐ。――それはまるで、彼に潜む“何か”さえ飲み込まんとする貪欲な蛇が、狙いを定めに鎌首を揺らし擡げるよう。「んー……ふふ、」どれ程重さを掛けても受け止めてくれる彼の身。それに尚の事ご機嫌に擦り寄っては、顎や喉の傍を擽る冷たい指に軽やかな吐息を零し目を細め、「じゃあ、お言葉に甘えちゃおっかなぁ。」己を誘う優しい声と掌へじゃれ付くような笑みを籠めた是を、続けて言葉通り身体を横たえ彼の膝へところり頭を転がして。しかし直ぐ様目を閉じる事はせず、自らの視界に契りの証を納めて今夜の奇跡を噛み締める。「……ほんとに、ゆめみたい。」腹も満ちて、己に触れる手が在って、こんな素敵な約束まで交わして。今は正しく楽園の夢心地と、呟く唇に証をまた押し当て緩やかに食む。「………ん、」そうしている内、少しずつ意識が深みに溶け始め、焦点の怪しくなった瞳はうとうとと蓋を閉じかける。「……クォーヴ、…」指に阻まれ少しばかりくぐもった夢うつつの音が彼を呼び、更に何か続けかけたようだが、それは形には成らず。やがて眠る為に整えられていく体勢はぐるりと小さく、自らの胸元に膝が付く程。その限界まで窮屈そうに体躯を丸めた様は、孵化する前の卵を彷彿とさせる。そしてその中心、膝と胸の内側に“証”を確と仕舞い込み、まるでお気に入りの縫いぐるみを抱く子供、或いは――獲物を囲い締め上げんと蜷局を巻いた大蛇のような格好に落ち着いて、そこで漸く安堵しきった幸福の寝息を静かに立て始める。)



***


この辺でおしまいが近いかな、って事でお顔出してみたよ。ふふ、今日はクォーヴにたくさんお願い聞いてもらえちゃって、とーっても楽しかったなぁ。

それで、そう、お次はこの前言った通り公爵さんの初夜の番なんだけど……ご指名とか綴りたい物語とか、色々相談する事あるでしょ?それに、オレちゃんの今後についても少しお話したいし、ちょっと長くなっちゃいそうだから、諸々全部含めて宝箱の方にお邪魔するねぇ。

それじゃあ、今夜はここまでで。…ふふ、忘れられない素敵な夜だったよ。ホントにありがとねぇ。




1476: クォーヴ [×]
2024-09-04 08:28:48



>秋天(>>1473)


もちろん。君が望むなら、僕を呼んでおくれ
(怪物は人間の感情を知識として理解するけれど、様々なものが違い過ぎて完璧に共感することは難しい。けれどいきなり異界に攫われ極限状態に閉じ込められ大変に心細いだろう心境は大いに理解し易い部分でもある。恐らく彼が望んでいるであろうニュアンスは四六時中傍を離れない存在として在ってほしいという事なのだろうと察しは付くが、あくまでも助けを必要とされた際にのみ参上する旨を伝える。きっと聡い彼ならば死神がずっと傍に居られない何らかの事情があること、更に言えばだからこそ屋敷内で頼れる存在は増やしておいた方がいいと友人の紹介を促した背景を感じ取れるだろうか。所在の知れない特定の怪物を召喚する方法は先ほど伝えたはず、硬い蕾が綻ぶように笑う少年の笑顔にこちらも嬉しそうに柔らかく微笑みを返し「 僕の方こそ、きちんと受け止めてくれてありがとう。チウは凄いね 」この子は他の子供達とはきっと何かが違うのだろう、そう感じた理由を具体化は出来ずとも輪郭を描くには十分なほど言葉を交わせた夜になった事にどこか満足そうな満ち足りた色を緩く垂らした眦に乗せて。名を呼ばれて再度ゆっくりと彼と目を合わせる、獲物に語ることを禁じられた秘密に触れたのは故意か否か「 …僕の事より自分の事を考えて。僕は自ら望んでこのお屋敷で暮らしているんだから 」死神はその場しのぎの嘘を吐くような性ではないと、彼に伝わっているとよいのだが。それでも、自分の命が危機に晒されているのに異形の未来を案じてくれた純粋すぎる眩しさに「 ありがとう、チウ 」それを心から嬉しいと思った事は事実。屍人のように冷たくも不思議と柔らかな感触の指の腹で彼の頬をそっと撫ぜた所作に万感の謝意を込めて「 ふふ、たくさん聞きたい事を考えておいで。僕も大切な事を君に伝えなくちゃ 」また明日、その言葉に表には出さずとも心中でのみ考えなければならないことは沢山あった。しかし自分が都合をつけて彼のところに少しでも顔を出せばよいのだと結論付け、そうして鍋へと視線を移し「 …その料理はもうすぐ完成するのかな? 」どこかわくわくとした色を交えて、見る事の叶わない蓋の向こうに思いを馳せよう)


***


誘導なんて大それたものではないよ、君とお話するのが楽しくてつい口が滑ってしまっただけさ。…ふふ。
こちらこそ気を遣ってくれてありがとうね、また後で宝箱を覗きに行くよ。




1477: ジョネル [×]
2024-09-04 08:32:26



>グレン(>>1474)


あはッ、やっぱり?…よっぽど気に入ってんだね、君のこと
(思わず吹き出すように高めの笑いを短く零したのは自身から見てお世辞にも健全とは言えない癖を持つ友人に対する解釈が一致していたから。態々魔力を消費してまでそんな絡繰りを設けるのは、コレクションたる彼がそれに見合う反応をハイネに返すからなのだろうと察しを付け、悪趣味な台詞と四六時中誰といるかを監視されるようなシステムにも寧ろ悦びを見出すような顔をする彼をじっと見つめて最後は独り言のように呟いて。座り心地のよいソファーのうえ、彼が示していく通り順繰りに首を巡らせてゆく。部屋に入った時からハイネの気配が充満しているとは感じていたが、物理的にも彼に囲まれているような内装に「 こんだけされてちっとも息苦しくなんないんだ?、んじゃあ君の方にも可愛がられる適正があるってことだね 」それは貶すようなトーンではなく、価値観の差異に嫌悪するでもなく、ただただ歪な関係にあるふたりの個性の親和性を心底認めるように。「 おっけ、事情は分かった 」白い指でぐっと力強くサムズアップをしてみせて、彼の方から対価の話が挙がれば先程の不気味なほどご機嫌な笑顔をそのままに「 話が早くて助かるよ。ねえグレン、君の人生で一番エキサイティングな思い出は何? 」白黒反転した鮮やかな虹彩をきらきらと、いやぎらぎらと輝かせながら前のめりに要求するのは集めても集めても全然足りない記憶への執着。死神が何を食べるかなんて、いや彼にとって自分の種族が何なのかすら分かっていない状況ながらも逸る本能を抑えようとはせず。先程までの剽軽さはどこへやら、人好きのする笑みのままなのに纏う雰囲気は疑いようもなく獲物を前にした捕食者のそれで)




1478: クォーヴ [×]
2024-09-04 08:32:55



>ニール(>>1475)


素敵な回収をありがとう、今夜も君の素敵なところをたくさん見せてもらえて僕もとても楽しかったよ。お互いの約束が果たされる夜が楽しみだね、特に――…いや、多くは語らないでおこうか。ふふ。
一度宝箱の方に来てくれるんだね、ありがとう。それじゃあまたね、ニール。




1479: グレン [×]
2024-09-04 13:23:46





>ジョネル( >1477


そうだと嬉しいけど……どうだろうね
( 部屋の錠も、お守り代わりの指輪も、全部が他のコレクションにもしてきた事なのだろうなんて考えは未だ健在な自身を下に見る思考から。ただ一点、他にあの自尊心の高い彼が目を掛ける人間と違う “ 特別 ” を思い出せば満面の笑みを浮かべ 「 でも、ハイネの部屋に入れたくらいには目を掛けられていると思うよ 」 他の人間にはされていない事を自慢気に語るのは年相応のそれと言えようか。彼が何を言っているのか理解が出来ない、なんて内心がありありと読み取れる程のきょとんとした視線を向けて「 だってそれだけ愛されてるって事でしょ 」 言い淀むでもなく言ってのけるのは、この愛されたがりが本心からそう思っているが故のこと。この歪な関係が成立するのは双方の歪みが見事に相まったが為の事だと彼が感じるのには十分だろうか。フレンドリーさはそのままに、捕食者たる眼差しを向ける彼にすうと瞳を細め「 どう言った感情での物をお求めかな? 」 背凭れに背を預け、腹の辺りで指を組みゆったりと構える姿は何処か落ち着き払っているようにも見えるだろうか。きっと彼の糧は人間の記憶なのだ、とそう理解を示したのはダークエルフに喰われかけた経験から。ただ、哀しみに怒り、喜びはたまたその全てが入り混じったもの。そのどれを彼は欲しているのだろうかなんて分かるはずも無く 「 これでも舞台役者をしていたから、色々とあるよ。…色々と、ね 」 負の感情に寄り気味な事は自身の性格柄否めない部分があるものの、多種多様な経験を積んできた自負はある。言葉の結びにやや覇気が無くなったのは自身の暗い過去も側から見ればエンターテイメントとしか捉えられるだろう事を理解している為。ただ、暗い表情を浮かべたのはほんの一瞬の事、瞬きをする間に常の笑みを顔に貼り付けるのは未だ目前にいる彼に弱い部分を見せられる程ではないから。キミが選んでよ、とでも言いたげに薄らとした笑みを浮かべながら真っ直ぐに視線を向け続け )





1480: ジョネル [×]
2024-09-04 20:57:42



>グレン(>>1479)


マジか、それ凄いね。そんな話聞いたことないや
(零れ落ちそうなほどぱっちりと開眼することで心底の驚愕を表現するのは、いくら品物を愛でても自身のテリトリーとは一線を引くような印象のあった友人がその最たるものである自室に彼を入れたという事。ハイネ曰く貴方がその第一号、それを裏付けるように親しい友人たる死神も同調して。何を愛情表現と受け取るかなんて千差万別、彼らの関係性が歪んでいるように見えたとしても自分の主観に過ぎないのだと、軽薄なようでいてその辺りを弁える頭のある死神は変わらず肯定的な態度で笑って「 あは、マジでお似合いだね。ふたりの関係が末永く続くことを陰ながらチラチラ見守っとくよ 」ハイネがとある品物に熱を上げ、そうして飽きてしまった場合どうなるかなんて散々見てきた。あまり気持ちの良いものではないその結末をこの麗しい彼も辿るのだろうか、自分に関係のない獲物の末路を気にかけてしまうのは特別な思い出や記憶であればあるほど欲しくなってしまう欠陥持ちの性ゆえか「 そりゃ、君がこれは忘れたくないなーって思う大事なやつだよ。そういう記憶の方が腹持ちが良い気がするんだ 」手放したくないほど思い入れの強い記憶、彼に選べと微笑みかけられて提示するのは些か値の張るものだろうか。しかし当の本人に足元を見ているつもりは皆無であり、ただただ無遠慮に削り取られてゆく記憶の欠如に怯えて次々にストックを増やしたいという純粋な想いから来るもの。彼の意味深な様子を見るともしかして選びきれないのだろうか、そんな風に感じれば彼のためと忠告をするために一本食指を立てて見せて「 ああそれと、記憶は結構具体的に指定してね。じゃないとおれ、割と他んとこもつまみ食いしちゃうよ 」対価として選定されたテーマが抽象的であればあるほどあれもこれもと喰らってしまうのは制御できるのかできないのかも分からない死神の特性によるものだろうか)




1481: グレン [×]
2024-09-04 22:00:00





>ジョネル( >1480


( 彼の驚く様を見て感じたのは矢張りそれ程珍しい事なのだという納得、それから再び優越感が首を持ち上げる心地。コレクションと一言で言っても自分は今までのそれよりも一等目を掛けて貰えてるのだ、と。それだけで淡く口角が持ち上がるのだから不思議なもので。彼の言葉には嫌味や裏の意味が感じ取れないからこそ、素直に受け取る事が出来 「 ありがとう。それと、ジョネルも偶に僕の話し相手になってくれると嬉しいな 」 この部屋に鍵をかけた主以外が訪れる事は少ない現状、再度幽霊にも手紙を出そうかとした事は少なくは無いもののハイネに怯える様子も見ていた為に踏ん切りが付かず現在に至るのが事実。その点友人であるという彼ならば気兼ねなく呼べるのでは無いかと 「 僕の知らないハイネの話も聞きたいし、何よりジョネルと話すのは気負わなくて良いから凄く気持ちが楽なんだ 」 無意識のうちに言葉の裏を考えてしまうのは最早癖になっていたものだが、彼は言葉とリアクションが一致する為にそれを考えずとも構わない事で息のしやすさを感じており。指をピンと立てる姿に暫しの間考える素振りを見せて。難しい表情を浮かべる事時間にして二分程といったところだったろうか 「 なら、僕が初めて舞台に立った時の記憶はどうだろう 」 煌びやかなスポットライトに舞台上にキラキラとした視線を向ける観客。板の上から見る景色はどれも大切で忘れたく無いものだが、自分にとっての初めての経験である分それもひとしお 「 ただ……あんまり綺麗なものでは無いんだけれど、それでも良いかな? 」 眉尻を下げ小さく首を傾げて見せるのは当時やや取り乱した記憶があるから。無論見られて困る程のものでも無く、差し出す事への抵抗は皆無だが果たして。「 ふふ。つまみ食いされて困る事は無いけれど、後味良く空腹を満たしたいなら僕の記憶は変に深くまで見ない事だよ 」 忠告にも似た提言は自身の幼少の頃を指しての事。負の感情が渦巻くそれらは一部のマニアックな趣味を持つ層を除けば面白味の欠片も無いだろう事は確か。テーブルに両肘をつくようにして前のめりになれば 「 さて、僕は何をしたら良いのかな?ハイネ以外に喰べられるのは初めてだから教えてよ 」 一番長く共に過ごしているダークエルフは体液の経口接種だったがそれ以外の方法は何も知らない。どうすれば記憶を食べる事が出来るのかと興味津々な様子で )





1482: グルース・リヨン [×]
2024-09-05 12:46:25



指名:
希望ルート:隷属ルート以外
名前:グルース・リヨン(Grus Lyon)
性別:男性
年齢:15歳
職業:公爵家子息
性格:物腰穏やかで愛情深い、溢れんばかりの包容力の持ち主。面倒見も大変良く、大人も子供も問わず、果ては動植物に至るまで甲斐甲斐しく世話を焼く博愛ぶり。しかしもう一歩踏み込めば、求められるまま寄り添い、相手の全てを肯定して、際限無く甘やかし包み込んで、どっぷりと深みに溶かし入れる蟻地獄のような愛を抱えた人間でもある。家柄と立場上、強かな処世術と達観を持ち合わせ、作法の整った落ち着きある立ち居振舞いをするが、年相応に悪戯心は旺盛で冒険探検も好む所。好きなものや楽しい事に燥いだり、褒められて照れたりする少年らしい一面もある。
容姿:身長は162cm。同世代と比べれば成長の遅さが目立つ、発展途上の薄い身体に円い輪郭。背の真ん中程まで伸ばされた、雛鳥のようなビスケット色のふわふわ癖っ毛。やや太めの眉の上で前髪が切り揃えられ、襟足は一ツ星と鶴の刺繍が入ったアイスブルーのシルクリボンで結われている。如何にも優しげに垂れた、黒目がちの大きなペリドットの瞳、その右端に泣き黒子が一つ。小さく整った鼻とふっくらとした厚めの唇に、しゃんと伸びた背筋と、未だあどけなさを多く残しつつも仄かに色気を帯び始めた、気品ある大人びた佇まい。控え目なフリル付きのドレスシャツにクラバット。その首元にカメオブローチの家紋章、左手の中指に大きめのシグネットリングを填めている。それに金刺繍入り薄緑色のウエストコートと黒のトラウザーズ、踵の低い革製ショートブーツが普段着。外出の際は青藍の膝丈ロングコートを着用。
備考:由緒正しい公爵家の長男で、正式な名前は「グルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン(Grus Rossignol Henri de Lyon)」。“貴族の嗜み”と聞いて想像されるような教養は一通り習得してはいるものの、本人は手芸全般を好み、とりわけ刺繍はこっそり密かに趣味としている程。亡き母からの『分け隔ての無い愛を与える人でありなさい』という遺言を守り育った、慈愛と品格を備えた少年。しかし彼にとっての愛とは相手を世話する事――厳密には優しく包み甘やかす事であり、それを踏まえるのであれば、大変な“世話焼き”である彼はとびきりの“愛したがり”でもある。この世全ての尽くが彼の愛する対象であると同時に、「骨をも蕩かすこの情愛を全て受け止めてくれる、たった一人の運命の相手」を夢見てもいる。つい最近変声期を終えたばかり。人を安堵に導く夜鳴鶯のように甘く柔らかい、澄んだ高めのテノール声。一人称は僕、二人称は君、または渾名。名を呼ぶ時にはレディ・〇〇(名前)、またはサー・〇〇。
ロルテスト:
――うん、またね。
(またね、ばいばい、と己を見送る幼く愛らしい声達に片手を振る。此処は我が公爵家が出資している孤児院、その開け放たれた扉の前。領地の視察という名目の息抜きの終わった夕暮れ時、別れを惜しんでコートにしがみつく子供達を漸う説得し、コーチ形の馬車にて屋敷へ帰る。――自室内の窓辺。「……あの子達、また大きくなっていたな。…きっとすぐに追い越されるんだろうね。」冷たい夜風に目を細めながら、誰に言うでもない、そんな独り言が零れる。……思い返すは無邪気な孤児達。今は愛を一心に求めるあの子達も、いつかは彼処から巣立つのだろう。当然の話、しかしこの身に持て余す“愛”を子供らに注いでいる己にとって、それは喜ばしいばかりではなくて。そんな物憂いを払うように顔を上げた先、ベッドサイドのテーブルに置かれた封筒が視界に入る。「……珍しい。」思わずそう零したのは、手紙を見慣れている己でも一等目を引く黒色をしていた事、それと整頓の行き届いた机上へあまりに無造作に置かれていた事の二つが理由。一体誰から、とそれを手に取り見詰めたが、差出人の名前は無し、封蝋の紋章にも見覚えが無い。少し考え込んだその後に、テーブルの引き出しから取り出したペーパーナイフを使って封を開き、中に並んだ一文に目を通す。「迎え……?」その意味が解らず、ますますと首を傾げる。……拐かしを態々予告をする者は居ない筈。なれば、十にも満たない腹違いの弟妹達の、微笑ましい悪戯といった辺りか。「……ふふ。主犯はサー・エグレットか、レディ・シーニュかな。」しかしそれを尋ねるにも今はもう遅い夜更け、明日の朝にでも訊いてみれば良い、とその封筒と中身を揃えて元に置いておく。「さあ、そろそろ眠らなければ。」明日にも予定は詰まっている、支障を来す訳にはいかない。そう考えて瞑った目元を指で解した所までは覚えていて――次に目を開いた時には、ベッドに横たわって天井を見上げていた。いつの間に寝入ったのかと身体を起こせば、視界に入ったのは自室とよく似て、しかし全く違う景色。「……うん?」一瞬事態が飲み込めずに間抜けた声を落としつつ周りを見回し、今着ている服がコート付きの普段着である事にも気付いた瞬間、響いたノック音。――その刹那に、頭の内に考えつく限りの状況予想と対処が過り。それを指先でブローチを撫でる数秒に纏めて深い呼吸を一巡させた後、「ああ、わざわざ丁寧なノックを有り難う。しかしすまない、“名乗りの無い者の扉は開けるべからず”と、母によくよく言われていてね。これを破ってしまうと酷く怒られるんだ。」立ち上がって床を踏み締め、背筋を伸ばし凛と通る声でそれに応える。「だからまず――君が僕に名前を教えてくれるか、もしくは君の方からその扉を開けるか、どちらかを選んでおくれ。」少なくとも此方からノック音に近付く真似はせず、穏やかな微笑みを湛えたままに扉を見据えて、じっと油断無くその反応を待った。)


***

――うん。改めてご機嫌よう、麗しい黒薔薇の怪物様方。今夜からは正式にお屋敷へ迎えてもらおうと、もう一度身形を整えてきたよ。…ふふ、変な所があったら教えておくれ。

さて、まずは指名やルートについてだけれど……宝箱の方で話した通り、色んな怪物様と交流させてもらって相性や状況も彼是鑑みてから、お相手やルートを決めるつもりでいるよ。そして、初回の指名もあちらで伝えた通り、サー・ナザリを選ばせて頂くね。
まだまだ僕自身解らない事が多いけれど……このお屋敷の皆に美味しく思ってもらえるよう精一杯舞台を努めてみせるから、どうか僕と沢山仲良くしておくれ。

それじゃあ、これから宜しくね。




1483: 秋天 [×]
2024-09-05 20:25:08


>クォーヴ ( >>1476 )

( 優しいひと。僕は彼の親切に釣り合う何かを返すことができるだろうか。「ありがとう。寂しくなったら手紙を書くね」先程紹介してくれたつややかな鳥を思い浮かべながら返事をする。いつか腹を満たすことが目的の優しさだったとしても、それをかけらも表へ出さずに差し伸べられた手のひらのことを僕は素直に好きだと思った。僕が一方的に彼を搾取するのではなく彼もまた僕から搾取しようとしているのだと思えば、お互い様だと心を守れる。そんなふうに思い込んででも生きなければならなかった。地に足をつけて、自分の力で。
小さな子供へ向けるような褒め言葉にはむず痒そうに首を振って、再び視線を戻した死神と真っ直ぐに向かい合う。"僕は自ら望んでこのお屋敷で暮らしてる"──嘘には聞こえなかったから、僕の杞憂が杞憂のままであればいいなと心から思った。「そっか。ならいいんだ」素直に引き下がると小さくはにかみ感謝の言葉にこくりと頷く。冷えた指先になぞられた場所が熱を持ったような気がした。「……大切な事?心して聞かないとだね」彼の微笑みに冗談っぽく返事をすると、シンクへ向き直り使った調理器具を丁寧に洗い始める。鍋へと視線をやった彼を見ると「うん。けど今日は疲れたし食べるのは明日にするよ。起きたらクォーヴのカラスくんに持ってきてもらおうかな」と思いついたように零して。本当にいろんなことがあった一日だった。あなたに差し出すまではきっと一生忘れない。大切な人を失ったこと、その全てから逃げ出したこと、優しい死神に出会ったこと。 )


宝箱では細やかなご回答をどうもありがとう。向こうのスペースを無為に消費するのはよくない気がしたから、背後に代わってここで返事をさせてもらうね。とても参考になったよ。
僕からはやりとりの締めと一日の終わりを書いたつもりだから、何もないようであれば返事は大丈夫。
早速翌日に飛ばして新しいお話を始めたいと思ってるんだけど、どうかな。
向こうでも書いたとおり、起きたらシャワーを浴びて作ったシチューを食べてまた君と話がしたいと思ってる。不都合がなければ僕が絡み文を投下するから、それで大丈夫かどうか教えてほしいな。もちろん、君の方から始めてくれるのでも大丈夫。僕としては本当になんでも問題ないから気軽に答えてくれると助かるよ。



1484: ジョネル [×]
2024-09-05 22:56:51



>グレン(>>1481)


もちろん、お得意様が増えるのは大歓迎だよ
(にこにこ笑顔にて両手それぞれの親指と人差指の先端同士をくっつけ顔の両横にてOKマークを作って、しかし懸念点を思いついたように明後日の方向を見ながら接触させていた指を交互にぱかぱかと開閉させ「 ああでも、ハイネには話通しといてね。あいつ、自分の玩具で勝手に遊ばれるのめっっっちゃ嫌いじゃん? 」特定の住人が定期的に彼の部屋を訪問することを面白がるのか将又不愉快に思うのか、どちらかと言えば後者の性質を持つ友人との揉め事は避けたい。自身と彼はあくまでも情報と記憶を等価交換をするWin-Winな関係であるのだと、どうしても獲物が絡むと無償の友人関係を築くのは性質上困難な死神はあっけらかんとそう告げて。たっぷりと彼が悩む間、黒煙のコートの裾をまるめたり引き伸ばしたりして一人遊びに興じて時間を潰すこと数分。漸く決まったらしい対価にぎらと眼を輝かせて「 舞台?…いいじゃん、“はじめて”に関する記憶は美味しい事が多いよ 」彼の職業を知らないため唐突に出てきたその単語に疑問符を浮かべるも、その追求より優先されるのは食欲を擽る食事の香り。綺麗だとか汚いだとかおれにとっては関係ないさ、そんな風に何度もこくこくと首肯して、深くまで“見ないように”と言われれば思わず分かっていないなと感じた可愛らしさに軽やかに短く笑った後「 その忠告、逆効果 」口元に手の甲を添えてすっと細めた目で見つめる眼差しは獲物の何処に美味い部位があるのか吟味するような捕食者のそれで「 おれらは記憶を見るんじゃない、食べるのさ。人間には――いや、死神や鬼以外には解りようもない感覚だろうけど 」理解を期待したわけではない講釈は続きを垂れることなくさっくりと結んで、そうして冷たい手のひらを彼に差し出し「 手の甲を出して。左右どっちでも構わないよ 」もし彼が促した通りにどちらかの手を差し出してくれたのなら、わくわくとした様子でそれを自分の方へゆっくりと引き寄せ静かに手の甲へ唇を寄せるだろう――そうして触れるか否かのところで黒みがかった紫の閃光が派手な音と共に一瞬爆ぜる筈で)



1485: ナザリ [×]
2024-09-05 22:59:17



>グルース(>>1482)


(ちび、ちびりと煽る紫紺のお猪口はどす黒くもサラリとした液体で半分ほど満たされていた。おどろおどろしいほど無欠で巨大な満月を肴に晩酌を――無論この世界ではいつでも晩酌ということになるが――嗜んでいたところ、蜥蜴とも家守ともつかない使い魔がちょろちょろと着物を這い上がって肩口にてキュイと一声鳴いて「 ……ほお、まだうら若い坊主ときたか。そりゃあ突っつき甲斐があるかもしれんなあ 」首だけを巡らせて使い魔を見下ろせば月光を反射した眼鏡がギラリと鈍く輝く。勝手に寄せた期待の行く末は果たして、ともあれ“ よっこらせ ”と気怠そうに立ち上がり、その合間にぴょんと地面に飛び降りた使い魔を見下ろし目線だけでご苦労と告げて向かったのは件の新入りの部屋。ノックの返事をゆるりと待つ間、返ってきた声があまりに堂々としていたものだから予想外とばかりに楽しげな笑いが漏れて「 ふ、ンはは、こりゃあ失敬。立派な心構えだ、母君はお前さんを甚ぁく愛しておるんだねえ 」揶揄するつもりで笑ってしまったのではないと短く弁解し、こすりこすりと親指と食指で顎を挟んで動かすようにしながら「 俺ぁナザリといってね、この屋敷に長ぁく住んどる者だよ。新入りの歓迎会――なんて大それたもんを押し付ける気ぁ無い、ただお前さんの方も色々と聞きたい事があるんじゃあないかね 」のらりくらり、どこか間延びするような心地よい低音は優しげな好々爺を連想させる油断を誘うもの。しかしそれは平常運転に過ぎず、新入りというワードと此方から聞きたい事などなくむしろ彼からの疑問に答えようと構える旨を見せてこれが人間界で横行するただの拐かしなどではないことを含ませて「 此処の連中はみな業突く張りでね、タダで情報をくれるもんは少ない。しかし俺ぁ今夜は誰かと喋りたい気分でね。どれひとつ、この寂しいおいさんの話し相手になってくれんかね 」胡散臭さ満点の誘い文句ながらも捧げた提案は彼にとって現時点では不都合のないもの。あくまでも彼に助けを乞う体を取りながら、いつでもぶち破ってしまえる扉の前で着物の袖に両腕を仕舞いながらお行儀よく反応を待って)


***


いやあ、よお来た、よお来た。夢じゃあない、本当のお屋敷でお前さんに見える夜が来るのを首長ぁくして待っとったよ。宝箱で言うた通り、いろぉんな怪物からこっち来い、こっち来いて引っ張られそうなお前さんの最初の夜に言葉ぁ交わせるなんて、長生きはするもんだねえ。あんまり気張らず、のびのび楽しんでっておくれ。




1486: クォーヴ [×]
2024-09-05 23:01:01



>秋天(>>1483)


うん。待っているね
(彼はどんな字を書くのだろうと反射的に思考が浮かんだのは有象無象の少年少女と一線を画す何かを持っている黒い宝石のような彼に興味を抱いているからなのだろうか。獲物から文が届くのをこれほど楽しみに思ったのは久し振りだなと暖かい微笑のまま、伝える方も心しなくてはならないことなのだと今夜は悟られないように。「 そう?それじゃあチウのお部屋に戻ろうか 」空腹だろうに何も胃に入れず眠ってしまうのだろうか、心配そうに眉尻を垂らすも明日の朝食として食べるつもりでいるならば一先ずは様子を見ても大丈夫そうだと変に言及はせず。何より疲れているのも無理はない、だから何億、何兆通りもある廊下を引き返す道のりを彼に歩かせるのは可哀想で「 おいで 」そっと彼に背を向けて片膝を床につけておんぶを促す。子供扱いするなと言われても仕方がないけれど、もし心地よい重さと温もりが背に乗ったのならそのまま食堂を後にするだろうし、何らかの方法で拒まれたのなら立ち上がり手を差し伸べて、黒煙のコートをふんわりと広げ魔法の力を行使して彼を自室へと瞬時に送り届けただろう)


***


こちらこそ、気を回してくれてありがとうね。お屋敷も宝箱も、どちらもグランギニョルの演者たちのためにあるのだから遠慮なくたくさん使っておくれ。そう、君は今夜から正式にその一員――尊いメニューの1ページに刻まれる事になるんだから。
僕から綴った初夜の最後にはお返事は必須ではないよ。翌日の初回文お願いしてもいいかな?
チウ、黒の似合う君。これからもよろしくね。




1487: 執事長 [×]
2024-09-05 23:04:16



>新規住人(ラミア♀)を追加しました!
 【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters


>ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:ラザロ ]


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1488: グレン [×]
2024-09-06 08:57:22





>ジョネル( >1484


ふふ、分かったよ
( 同意を示すように朗らかな笑みを浮かべながら首を縦に一度。きっと今迄であれば誰が何度この部屋を訪れようともどこ吹く風な様子を想像していたであろうが、前夜の邂逅の様子を思い返せば己とて問い詰められるだろう未来はなるべく避けたいもので。対価として差し出すには十分だったらしい事は彼の瞳を見れば何となくの察しはつく。短く、そして外からはバレないように安堵の息を吐き出していたのも束の間、己では理解する迄に至らない講釈へと僅かに怪訝な表情を浮かべ考え込む素振りを見せ 「 …嗚呼、なるほど。何となくだけど合点がいったよ 」 以前あの激しい嫉妬心を向けられた夜にハイネから言われた言葉。目前に座する彼にはきっと何の事か分からないだろうが一人納得すれば促されるままに右手を差し出し、手の甲へと彼の唇が触れようとした瞬間バチッと爆ぜるような音と自身には見覚えのありすぎる色の閃光は警告の意味合いが強かったのか、はたまた己には害が無かったのか。少なくとも己にとっては痛みを感じるよりも驚きの方が強く数回ぱちぱちと瞳を瞬かせた後に 「 ……ふ、あははは! 」 込み上げてくる笑い声を堪える事が出来ずに。暫くした後、目尻に浮かぶ涙を彼の掌に乗せたのとは反対側の人差し指で拭い取りながら巫山戯半分の口調で 「 ごめんごめん、どうやら僕自身を対価に出す事はご主人様が許してないみたいだ 」 きっと理由を言えば限定的であったとしても許されるだろう事ではあるが、少なからず今現在は守りの効力が発揮されているらしい 「 ごめんね、対価は次に会う時でいいかな?それまでにハイネと話しておくからさ 」 真正面に彼を捉える真剣なそれはこの屋敷の中で心の拠り所となっているダークエルフが絡んでいなければ向ける事は無かっただろう。眦を細めながらゆるり首を傾げて見せて )





1489: 秋天 [×]
2024-09-06 12:55:37


>クォーヴ ( >>1486 )

( 意識がぼんやりと浮上する。布団の中で寝返りを打って、しばらく微睡んだ後ゆっくりと身体を起こした。殺風景な部屋をぐるりと見渡し窓を見つけるとベッドから降りてカーテンを開ける。外が真っ暗なことに驚き早く起きすぎたのかはたまた寝すぎたのかと数秒思考するも、そういやこの世界はずっと"こう"なのだと思い出すと強張った肩から力が抜けた。太陽は登らない。季節も巡らない。では窓枠に絡みつくこの黒薔薇たちは一体何を糧に呼吸しているのだろうと考えて、わかるはずもないなとすぐに手放した。「朝焼けが見たいな……」心の声が口を出る。普段僕の一日は朝の陽射しを浴びることから始まっていたから、あの真っ白い光は二度と拝めないのかと切なくなった。沈みかけた思考を振り払うとシャワーを浴びるべくバスルームに向かって歩き出す。上着を脱ぐと鎖骨の辺りで首飾りが跳ねる感覚がして動きを止めた。小ぶりなターコイズがぶら下がった華奢なネックレス。去年のクリスマスに母から貰った大切な贈り物だが、意匠が中性的な気がして普段は服の下に忍ばせる形で身に着けていた。室内灯を反射した濃い水色の宝石にそっと触れて目を閉じる。耳鳴りがしそうなほどの静寂にのしかかられて、半端に服を脱いだまま一歩も動けなくなってしまった。僕はこの静かな部屋で一生を過ごすのだ。夢じゃない。夢になってはくれやしない。そうしてしばらく立っていたが、首飾りの冷たさに促されてゆっくりと動き出した。熱い湯で髪を洗い、全身を流してバスルームを出る。備え付けのタオルで水気を拭き取って、いつの間にか洗って畳まれていた制服のシャツに袖を通した。スラックスを履いて、手に取ったネクタイは数秒考えた結果元の場所に置き直す。学校にいるときよりラフな着こなしで適当に髪を乾かすと、これまたいつの間にか昨晩のシチューとスープが配膳されていたテーブルに腰を下ろした。「カラスくんだよね?ありがとう」姿は見えなかったので虚空に向かって呟いて食卓の香りを吸い込んだ。美味しそうにできてよかった、一人じゃなければ完璧なのに。そう考えたところで思い浮かんだのは彼の姿。また明日、を強請ったのできっと向こうから部屋を訪れてくれるはず。でもそれっていつ頃だろう。まだ眠っているかな、起きているなら何をしてるだろう……そんなことを考えながらパンを千切り、蔦で覆われた窓を見ながら口に含んで。 )


僕が……いいのかな。とても光栄だよ。演者の名に恥じないよう、一生懸命いのちを描こうと思う。
初回文はこんな感じで大丈夫かな。何かご指摘があれば遠慮なく言ってもらえると助かるよ。
何もないようであればこちらに返事は大丈夫。僕はすっごく楽しいから、あなたも楽しめるようなやりとりができたらいいな。改めて、これからもよろしくお願いします。



1490: ジョネル [×]
2024-09-06 18:06:01



>グレン(>>1488)


びっ…くりしたあ、
(外傷を伴うわけでもなかったそれは目眩ましの類だろうか、派手な音と閃光に目をぱちくりさせながらも捉えた右手を離す事はなく。それは友人のお気に入りが喰われんとした時に自動で発動するものだったのだろうと分かるのは先程の炸裂の際に室内の魔力総量が変わらなかったから。もともと指輪に仕込まれていたものなのだ、そして一度目は音と光による警告に過ぎずそれでもなお品物を害そうとするなら次はもう少し刺激の強い仕掛けが発動するのだろうと、そこまで察して「 もー、そういうのがあるなら先に言っといてくれればいいのに 」口先を尖らせむすっと吐いた文句は勿論眼前の彼ではなく仕掛け人たる友人へ宛てたもの。何ならもっと分かりやすい警告を事前に出せばよいものを、どこまでいっても性悪なんだからとぶつくさ口の中で呟きながら「 んー…それは飲めないなあ。こっちにもね、事情があるんだ 」提示された内容には困ったように笑いながら拒否を返すのは、特異体質による無限の空白を欠片でも埋めてくれるものを目の前にして大人しく待てが出来るような余裕はないから。それをあれこれ説明しないのは彼にとって自身の体質など知った事ではないことだと弁えている為――ハイネがお気に入りを囲おうと小細工している事など自身にとって知った事ではないのと同じ「 魔法を使えるのはハイネだけじゃない。見せてあげるよ 」ざわり、人間の肌を打つのは背筋を駆け上がる戦慄に似た何かと形容するのが近いかもしれない。実のところそれは死神が内に溜めた魔力を解放した不可視の力の奔流、目に見える形では黒煙のようにちらちらと棚引いていたコートが急激に質量を増し膨れ上がって。彼の手を乗せる左手には全くと言っていいほど握力を込めていないが、もし身を引こうとしても重なった手のひら同士は人知を超えた力によって微動だにしない筈。そうして右手を紫に輝く指輪の上に翳し「 少しのあいだ静かにしてて。大丈夫、ただ報酬を貰うだけさ。もちろん“お気に入り”の合意付きでね 」指輪そのものに、或いはその創造主である友人に語りかける口調は大変穏やかで軽やかな普段通りのもの。表情もにこやかだがこの状況を楽しんでいるのかどこか不敵な色を浮かべて、黒と灰色が混ざりあったような魔力のベールで指輪を包んで「 どう、なかなか見応えのあるショーじゃない? 」指輪に込められただけの力を同等の反する力で封じ込めるような芸当は正しく剽軽な死神が怪物である事の証明。そうしてまた先程のリプレイのように手の甲に唇を寄せ「 涙がぽろぽろ出てきちゃうだろうけど、そういうものだから気にしないでね 」痛みを与えない代わりに流涙を強制する捕食、何でもない事のようにいつも通りの声色で告げてから冷たい唇でそっと温かな手の甲に触れて)




1491: クォーヴ [×]
2024-09-06 18:08:04



>秋天(>>1489)


(花に水遣りが、家畜に餌遣りが必要なように、美食を好む一部の怪物たちには自ら目を掛けた獲物たちに自分の時間を費やす者が居る。パタン、外から閉じた扉の部屋の主は自分ではなかった。穏やかな面持ちのままにどの獲物がどれだけ“熟成”されてきたかを脳内のリストへ書き記すことで現状を更新し、被捕食者である人間からすればそれがどれだけ倫理から外れた事か理解したうえで表情が曇らないのは言うまでもなく捕食者にとっては当然の日常に過ぎないから。廊下を歩み始めて数歩、何かを思い出したように立ち止まり瞼を伏せて「 ――――、あっちかな 」何かを感じ取ったのかふと呟いて、くるり踵を返し向かうのは昨夜出会ったばかりの青年の部屋。静寂を控えめに揺らすような柔らかいノックを三度、一拍置いて「 こんばんわ、チウ。ゆうべはよく眠れたかな 」応答を待つ間にも感覚を研ぎ澄ませるようにして室内の様子を探るのは、彼が何をして過ごしているかを知るためではなくあの後に他の怪物が訪問した形跡が無いかを調査するため。結果として彼ひとりのにおいや気配しか室内には存在しておらず、ということは彼がこの屋敷で声を知る怪物が未だ自分だけだという事実は変わらない故に改めて名乗ることはせず「 約束通り、今夜も君に会いに来たよ。お屋敷のベッドの寝心地はいかが? 」こちらから扉を開ける事をしないのは彼の意志を無視して害することなど無いと示し続けるため。ふわふわと柔らかな綿を散らすような穏やかな声にて異界で最初の一夜を過ごした彼の様子を窺おう)




1492: グルース・リヨン [×]
2024-09-06 18:54:49



>ナザリ(>1485


(聞こえてきたのは男性の笑う声。続け様の“愛”に連なる言葉へ浮かんだ、幼少の記憶に微かに目尻が跳ねた心のざわめきを、扉の向こうの彼に悟られぬ内に瞬きで隠す。それから此方の牽制じみた要求に答えるその低音は、此方とは真反対に伸びやかで優しく、己の声とはまた違う形を持って安堵を誘う。――一通り聞き終えたそれから解るのは、最初に想定した以上に異様な状況下であるらしい事。そして、頭へ洪水のように湧き巻く疑問を解き現状を断じるには、言葉に従い彼をこの部屋へ招く方法しか今は無い事。「……解った。少し待っていておくれ。」その要望に是を返す。それから服の寄れや髪の乱れを手短ながらきちりと指で直し“対談”の格好を整えた後、扉へと歩み寄りドアノブへ手を掛ける。……隔たりが無くなった向こう、真っ先に視界に入ったのは見慣れぬ衣装。それからぐっと目線を上げてやっと窺えた顔には――明らかに人に有らざる色彩を合わせた瞳と、額から伸びる非対称の角。初めて見る異形のそれに思わず僅かに目を瞠るが、「…今晩は。そして初めまして、異国の方。数ある中から君に見えた幸運に、まずは感謝を。」それも一瞬に満たない内の事。直ぐにその動揺を掻き消した穏やかな微笑みの下、既に受け取った情報を確り織り交ぜた挨拶を朗々紡ぎながら、彼を見据えたまま胸に手を当て目礼を。「此方へどうぞ。」次いで半身に退き部屋への道を拓きつつ、胸元の手で上座に当たるソファーを示して彼を室内へと導く。彼が中へ踏み入れたのを見届けてから扉を自ら閉めて、己は其処から程近い下座の椅子へと歩んで腰掛ける。――そうやってこの場が初めから自室であったように悠然と振る舞うのは、どくどくと緊張に逸る鼓動の最中、空気や相手に呑まれず己のペースを保つ為の術。そしてそれは、彼と対等であろうという芯ある物言いにも顕れて。「さて。“新入り”の僕と話して頂ける、という事だったね。……うん、尋ねたい事は山程あるけれど……そうだね、」胸を張り、じっと逸らさず向き合う互い。――不本意ながら誘拐の事態に覚えがある己が、経験上一番最初に聞くべき事。それは、“何処”でも、“いつ”“どうやって”でも、“誰が”でもない。何よりも重要なのは、「僕は“どうして”此処に居るのか、それをまず初めに聞かせてもらっても?」お屋敷とやらに拐われた理由、拐った者が求めるもの。それを彼が何と答えるのか、震え一つ無い視線で目の前の表情を見詰めて反応を待つ。)




1493: グレン [×]
2024-09-06 21:38:10





>ジョネル( >1490


( 己だけでなく彼の方にも特段の害があった訳ではない様子に安堵の表情を浮かべて。彼が口にする小言は自身に向けてというよりも仕掛けを施した主に向けてのものだろう事は呟く内容から察して苦笑混じりの声を漏らすだけに留め。彼が言う “ 事情 ” それが何を指すのか明言をされないのは己と彼がそこまで親しい間柄では無いからか、はたまた言ったところで理解をされないと思われているからか。どちらにせよ “ それ ” を知らなければ考える余地もあったものでは無い。緩く持ち上がった口角はそのままに、先程までよりとやや冷めた視線を向けて 「 ジョネルの事情が何なのか、僕も言っていないところがあるから言いたく無いなら深く聞きはしないけれど、何も語られないのはあまり良い気はしないな 」 声を荒げる事はせずに、それでも自己主張を出来るようになったのはハイネから目を掛けられ少なからず己に価値があるのだと思えるようになってきたから。ただ重ねた手を無理に引こうとしないのは人成らざる物たちの力が人智を超えている事を数回身を持って体験している為。きっと重ねた時点で記憶を喰らうまでは此方に引く事など出来ないのだ、なんて事は理解をしていると同時対価として自身を差し出すことへの同意をしたのも確かである。その為にそれ以上口を挟む事はせずに動向を見守るつもりで。視線で追いかけるのは彼の右手の行方。そのまま指輪を覆い隠すようにかかるヴェールに小さく首を傾げて 「 不思議な色をしてるね 」 黒とも灰色とも言えない色味は彼の魔力を可視化する際の色なのだろうか。痛みも不快感も無い捕食。けれども、つうと頬を濡らす涙の感覚に、それが流涙を伴うものだと聞いていたとて慌てたように空いている手で涙を拭い取るのは自身を守る為に幾重にも貼っている鍍金故 「 …はは、涙止まんないや 」 静かに流れ落ちる涙は生まれた喪失感を覆い隠す為に涙腺が馬鹿になったのかなかなか止まらず、見られぬようにやや顔を俯くようにして視線を逸らして )


****


こんばんは、交流中にごめんね。
対価になる僕の記憶は近日中に宝箱の方に仕舞いに行こうと思ってるよって伝言だけ残しておこうかと思ってね。そんなに時間を掛けずに仕舞いに行けると思うから、また手が空いた時にでも覗いてみてよ。





1494: ナザリ [×]
2024-09-07 11:10:12



>グルース(>>1492)


(頭一つ分以上も差異のある目線、それを埋めるようにゆっくりと身を屈めて片膝を床に付くようにして、そのままぺこりと顎を引くようにして簡略されたお辞儀を「 はい、今晩和。ンはは、異国の方とはよい表現を選んだねえ 」人間の世界には存在しなかった異形にさぞ驚いただろうに、取り乱すどころか殆ど表情さえ変えない少年に内心ほほうと感心しながら当たり障りないフレーズを的確に選んだ事は胸中に留めず声に出して褒めようか。成る程、年端もいかぬのに肝は据わっておるし頭も切れると見える――ンはは、なかなか風格のある小童よ。そんな感想をこちらも全く顔や態度には出さず人畜無害な笑みのまま「 はいはい、お邪魔しますよぉ 」挨拶の後、部屋へと通されれば“ よっこいしょ ”と小さく口の中で呟きながら直立の姿勢に戻り、殺風景で誰の気配も未だ無い大変クリアな部屋へと下駄を鳴らしながら入って。初物の部屋はいつ来てもわくわくする、下世話な高揚をおくびにも出さず牛歩の調子で部屋を見回す間に彼が陣取るのを待って。彼が下座に着いたことから空気を読んで「 悪いねえ 」と困ったように、或いは照れたようにぽりぽりと髪を掻きながら上座に位置するソファーへと着物が皺にならないようゆっくりと腰掛けて。異形を恐れて泣き喚いても仕方のない盤面だがまるで商談に臨むビジネスマンのような堂々たる態度で向けられる視線をこちらからは気の抜けるような穏やかな眼差しで受け止めて「 そりゃぁね、お前さんにはだいーじな御役目があるからだよ。…そうだなあ。何か、好きな食べ物はあるかね 」躊躇いなく与える解は敢えて抽象度を高くする。一直線にクリティカルな回答を与えるよりもじわじわと真綿で首を絞めるように恐ろしい事実を詳らかにすることで反応を窺いたい、嗜虐を肚に隠す鬼にはそんな下心があるがあくまで表向きには直接的表現でまだ年端もいかない彼に精神的ショックを与えるよりはやさしい伝え方を選んだ方がよいという人道に則っているという顔をして。一見脈絡のないこちらからの問い掛けに彼が何かを答えるならば“そうかい”と、何もなければそのまま言葉を続けて「 俺たちにとってはねえ、それがお前さんなのさ。気の毒な話だとは思うが…どうにもしてやれん 」憂いを帯びたように深く吐息することで事態がひっくり返ることはないと示し、そうして少し体勢を前のめりにしてじっと彼を見つめ「 すまんね、おいさんからもひとつ質問がある。お前さんの呼び名を教えてくれんかね 」申し訳無さそうに眼鏡の奥で眦を垂らしながらも微笑する。この問い掛けから、彼を攫った実行犯が欠け角の化物ではないこと、更に言えば彼が誘拐の対象として選ばれた背景に名前の類が必要なかったことが推察できるだろうか)




1495: ジョネル [×]
2024-09-07 11:13:46



>グレン(>>1493)


べつに恥ずかしい事じゃないよ。みんなそうなるんだ
(顔を隠すような素振りをどこか申し訳無さそうに見つめ、しかし男が泣く所なんて見られたくないよなという主観から気を回してこちらも首の角度ごと視線を明後日の方向へと逃がして。フォローになるか解らないけれど気まずい沈黙を残さないように明るい口調は意図的に制御してどこか密やかな調子でそう告げて彼の手のひらを解放し、空っぽになった手をそっと自身の胸板に添え「 よし…これで、大丈夫 」ぎゅっと服の裾を握り込み何だか追い詰められたような雰囲気を纏いながら独り言を小さく呟く、味の感想よりも先行するのは次から次へと崩落してゆく死神の生きる糧たる記憶をひとつ貯蓄することが出来たという刹那的な安堵感。情緒を整理するように一度深めに吐息した後彼を見つめて「 ごめんね、気を悪くさせるつもりじゃなかったんだ 」素直に謝罪を紡ぐのは一部始終悪意ある言動行動ではなかったと黒薔薇に誓えるため。どうしたものかとぽり、と頬を掻いた後おずおずと口を開き「 おれにはね、死神としての致命的な欠陥があるんだ。…って、おれの話をするために呼ばれたんじゃないよね 」きちんと説明をするのが真摯な対応だと、彼はそれを望んでいるのだと主張されたため言葉を繋ごうとするものの語るにも忸怩たる特異体質は心を開いていない相手にべらべらと打ち明けられるようなものではなく、今夜の限られた時間を彼に捧げる本当の目的へと力なく笑いながら話題をすり替えて「 改めて…ありがとうね、グレン。次はおれが対価を支払う番。ええっと…ハイネへのお返し、だっけ。現時点ではどんなものを考えてるの? 」彼から贈るものなのだから、彼の意志がなければ始まらない。そんな至極当然の考えから全くの平原たるアイデアの土壌にいくつか植えられそうな種があるのかを問い掛けてみよう)


***


わお、いいの?おれにくれた記憶だから、どんなのかなーとは気になってたんだ、だから詳細を読めるのが嬉しいよ。さんきゅうね。




1496: 秋天 [×]
2024-09-07 13:43:33


>クォーヴ ( >>1491 )

( ──コンコンコン。突如響き渡ったノックの音に動きを止める。飲みかけのスープを置いて「はい!」と声を張ると程なくして柔和な声が耳に届いた。急いで扉へ駆け寄ってドアノブに手をかけると躊躇なく回し、薄暗い廊下から溢れ出す"秘密を溜め込んだ家の空気"を全身に浴びる。その淀みの中心で背の高い死神が微笑んでいた。それがどうにもこそばゆくて、僕もつられて笑ってしまう。「こんばんは……お陰でよく眠れたよ」そんなふうに挨拶を返して、彼を室内へと促した。「食事中だったんだ、急いで食べちゃうね」そう言ってテーブルへ駆け寄ると自分が座っていた場所の向かい側の椅子を引いて彼へと示した。席につくと「来てくれてありがとう。起きたら服や食事が完璧に用意されていて驚いたよ」と本題に入る前の雑談を振り、カリカリに焼けたパンをシチューに浸して口に運んだ。その香ばしさを味わいながら彼の顔をそっと見る。伏せられた睫毛の先端が部屋の灯りを弾いていて、洗練された顔立ちだなとこっそり思った。蠢くコートに覆われているにも関わらず肢体のしなやかさを想像できるのは、きっとゆっくり丁寧に動くから。白い肌と線の細さが相まって、烏瓜の花のような人だなと思った。「クォーヴは今日もお腹いっぱい?困ったら相談してね、美味しい記憶がどんなだかわからないけど……」そう言って気恥ずかしそうにスープを啜る。昨晩、空腹かどうか尋ねたときの反応が忘れられないでいた。彼にしては珍しく声を上げて笑って、お腹いっぱいだよと無知な僕に告げたのだ。忘れたくない記憶はあげられないが、何も持たずにやってきた僕が少しでも力になれることがあるならば、その協力は惜しみたくないと思っていた。 )



1497: グルース・リヨン [×]
2024-09-07 16:21:47



>ナザリ(>1494


(褒める言葉には細めた目でのみ礼を。互いの表情が窺える位置、まずは己の疑問に答え始めた彼の声にじっと耳を傾けるが、どうも一見すると的から外れた問い掛けに一度ぱちりと瞬いて。「……グラタン、グラッセ。その辺りかな。」それでもすぐにゆったりと返した言葉の後、伝えられた話は俄には信じ難い事。“それ”は利益の搾取や慰み者の比喩かとも一瞬過って、しかし彼の言い回しやその人に有らざる姿から推し量るに、そんなものではないと冷静に巡る思考が勝手に物事を整え纏める。つまり鷲が仔兎を啄む事、蛇が雛鳥を丸飲む事と同じに、自分は彼らに――行き着く結論に一際跳ねた心臓が痛い。血の気が引く感覚と今にも震えそうな身の誤魔化しに、深い呼吸の一巡と共に膝の上の両手で固い拳を作り、僅かな強張りに引き攣った口の端はぎゅっと結んだ後にまた微笑みを乗せる。――続いた憂慮を含ませる吐息、御役目という単語、それに“どうにもしてやれない”という句。「……そう。逃げられない、という事だね。」この運命に抗う真似は不可能である。自分は勿論、恐らく彼も。そんな色を察して渇いた喉が相槌に掠れを生んで、それを直す為の咳払いを一つ。それから彼の側から渡された疑に拳を解き、「ああ、名乗りが遅れて申し訳無い。僕はグルース――グルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン。長いから、君の呼び易いようにしてくれて構わないよ。歳や身分は…」再びすらすらと言い慣れた調子で、あっさり本名全てを彼へ伝えるのは、他の拐かしと“これ”は決定的に違うと、少なくとも拐った犯人が彼ではないと、はっきり確信を得たから。そして、「……君達にとってはあまり大事な事でもなさそうだね。」自分の名が“個を識別する記号”以上の意味を今は持たないらしいとも、判じられた故。「まあでも概ね、見ての通りさ。」それでも己の胸元へシグネットリングの填まる片手を置き、その少し上の家紋のブローチも合わせ示して冗談混じりにふっと零した柔らかな息は、気の緩みに生じたそれではなく――未だ止まない鼓動の痛みを、自分自身でどうにか和らげんと作った少々不自然な代物。「それで、僕からもう一つ聞いておきたいのだけれど、」自己紹介を括ったその次、また己側から口を開く。「此処に、僕の知る誰か――例えば、僕の家族、友達。同じ街に住んでいる皆……そういった者も来ているかどうか、君は解るかい?」己が次に“気にすべき事”を問う声にはまたぴんと芯を通して、しかしその下、自身も知らずに十指が絡み合う。まるで何かを祈るように、崩れそうな何かを支えるように、ぎゅうっと強く強く。自分自身でもどちらの答えを願っているのか解らぬまま、微かに不安を揺らす瞳で尚真っ直ぐ彼を見据える。)




1498: グレン [×]
2024-09-07 20:34:40





>ジョネル( >1495


( 万が一にでも鍍金が剥がれ素顔が垣間見えては大変だと、そんな理由から真正面に見る事が出来ないだけなのにきっと彼はごく一般的な思考に当て嵌めてくれたのだろう。その誤解を解く事をしないのは鍍金の下を晒すだけの覚悟が無く、誤解をしてくれたままの方が自身にとって都合が良いから。冷たい体温が離れた手はこちら側へと引き戻し、流れ落ちる涙を止めようと瞼を閉じて深呼吸を数回。意思に反し溢れ出るそれを止める術は今迄の経験から身に付いており、数分のうちに常の笑みへと戻れば 「 見苦しい物見せちゃってごめんね 」 暗くなりすぎないように茶目っ気を含んだ声音で。先程の自身の主張に対する謝罪に、はたと動きを止めて 「 言ったでしょ?言いたく無いなら聞かないよって 」 悪気があった訳ではないのは彼の様子を見ていれば分かる事。だからと言って許してしまうのは自身の主張を曲げる事にも、それに対して応えようとしてくれた彼にも不誠実な行動にもなると判断すればゆるりと口元に弧を描いて 「 僕も色々と隠してる事があるし、それでおあいこ。もしジョネルが今後僕に言っても良いかなって思える時が来たら教えてよ 」 約束、とでも言うように小指をピンと立てた右手を差し出して。彼からの問い掛けに悩む素振りは見せるものの、タイムラグ無くすらすらと言葉を紡ぎ出して 「 そうだな、身に付けられる物が良いかなとは考えてるんだけど… 」 無論そんな物を贈ったとて身なりに拘りがあるのだろうあのダークエルフが着けてくれるかなんて確証は無いのだが 「 例えば、カフスボタンとか……そんな感じの物で考えているんだけど 」 やや具体的な名前まで挙げるのは、きっとアクセサリーのような物は邪魔になってしまうだろうという考えから。アイデアを乞うようにライムのような瞳をじいと見詰め )





1499: クォーヴ [×]
2024-09-08 14:04:37



>秋天(>>1496)


そう、良かった。悪夢に魘されることもなかった?
(昨夜何もかもをこの理不尽な屋敷に奪われたというのに、彼の様子からは悲壮感の類は読み取れなかった。精神的に強い子なのだろうか、それとも未だ彼が攫われてきた理由について明白には伝えていないからだろうか。今日話さなければならないことを胸に抱えながら、ふわりと漂ってくる独特な――人間の嗅覚なら食欲をそそられる良い香りと知覚されるような匂いの正体はテーブルを見ずとも判別でき「 ああ…お食事中にお邪魔しちゃって、ごめんね 」申し訳無さそうに少し眉を下げて、彼に促されるまま室内に入ってはきちんと扉を閉めて。態々椅子を引いてくれたことに“ ありがとう ”と小さく告げてから腰を下ろして、両肘をテーブルにつき手のひら同士は祈るように組み合わせてその上に自身の顎を乗せて微笑ましそうに彼の食事の様子を見守りながら「 ん? 」視線が絡まった事で彼も自身の顔を見ていたのだと気付いて淡く首に角度をつけ、そうして彼から放たれた言葉には思わず僅かながらも目を瞠って「 ……チウ。君のその優しさはとても素敵だけれど、同時にとても危ういものでもあるね 」すっと顎を引くようにして組み合わせていた両手で鼻から口元にかけてを隠すような姿勢を取り「 記憶を食べられるっていうのはね、最初からそれが君の人生で起こらなかった事になるのと同じなんだ。もし僕が君の優しさに甘えて一口、また一口って記憶を食べてしまったら、チウはどの思い出を捧げたのかも解らなくなって、自分の脳を――更に言えば自分自身の確からしさを疑う事になってしまうかもしれないんだよ 」だからその時が来たら、きっと一思いに。そこまでを肉声に乗せる事はせず、しかしあまりにも気安く記憶を、ひいては自分自身を怪物に捧げてしまいかねない彼には早く伝えねばならなかった。怪物たちが喰らうのは記憶だけではないこと、死神に喰われて命を終えられる保証もないことを「 …まずは僕から話してもいいかな? 」食事中にしたい話ではなかったけれど文脈的にもこのまま本題に入った方がよいと判断して、静かな微笑みのままに声には真摯を宿してじっと見つめよう)




1500: ナザリ [×]
2024-09-08 14:07:17



>グルース(>>1497)


(筋肉の微細な収縮も、吐息に含まれる機微の一つですら見逃さない――見逃してくれない鬼は只々胸中に湧き上がる決して綺麗とも高尚とも言えない感情を味わっていた。毅然とした態度を貫こうとするきっと高貴であろう少年が、突如として食物連鎖の最下層に引きずり降ろされその運命を、現実を受け入れようと心の内で足掻く様がなんともいえず面白く、そして大変可愛らしい。恐らく彼の数千、否数万倍以上を生き永らえる鬼は年の功かそれとも天賦の特技か、そんな性の悪い考えを巡らせているなんて一欠片すら表には出さずに「 ……お利口さんだねえ 」その理解の早い健気さに心を痛めるように微笑を歪めて肯定代わりに彼の聡さを認めて。ふと彼の声に渇きを感じれば「 これ、そこの 」よく目を凝らさなければ見えないほど遠くの床、ちょろちょろと動いていた四足の爬虫類に声を掛ければ、直ちに透き通ったミネラルウォーターで満たされたデカンタとグラスをひとつ、摩訶不思議な事に空に浮かせた状態で給仕をして彼の目前のテーブルにことりと並べるだろう「 ああ…貴族の子かね、 」慣れていなければ舌を噛みそうになるそれらは洗礼名か或いはやんごとなき血統の継ぐ事を示すものか、いずれにしてもそういったルールに基づいて名を連ねるのだと人間界の知識を知っていたため老獪に納得を示し「 道理で礼儀正しいわけだ。えらいねえ 」近所の優しい爺がしっかりした子供を褒めるような陽だまりを思わせる柔らかい賛辞を贈る間にも、ああお前さんの鼓動が張り裂けんほどに聞こえているぞ、と肚に飼う真の鬼はくつくつと低く笑っているのだろう。次いで質問を返される気配に「 何だい 」と受け入れる旨を示し、成る程確かに確認しておきたいだろうなと合点の行く問に顎をこすりながら明後日の方向に視線をやり「 はてぇ…お前さんの身の回りで、ずいぶん前に行方知れずになった人でもいるのかねえ。そうでなけりゃあ、きっと今この屋敷じゃぁお前さんがいちばんの新入りだと思うがなあ 」歯切れの悪い回答になるのは勿体振っているわけではない事は心底困ったようにうんうん唸る様子から感じ取れるだろうか。ふとはっとしたようにレンズ越しの眼差しを真っ直ぐに彼に向け「 ああでも、探しに行こうなどたぁ考えんでおくれ。屋敷の廊下は無限に広がっておってなあ、そればっかりか瞬きする間に道順の変わる迷宮でなぁ。おまけに出会い頭にガブッといきよるバケモンもうろついとる 」荒唐無稽な内容も冗談や脅しの類ではないと伝えるようにところどころ臨場感のある抑揚を付けながらも真剣な調子で忠告を紡いで)




1501: ジョネル [×]
2024-09-08 14:09:05



>グレン(>>1498)


……なに、どんな特技?!こんな早く涙止まるって珍しいよ
(獲物の涙腺を狂わせるそれは生理的なメカニズムで説明や対策を付けられるものでは到底なく、だからこそ止まらない涙に戸惑う内に混乱して更に泣いてしまう人間も少なくはない。だからこそ、自身で情緒を律し流涙を制御するような一連の動作に興味深そうにまじまじと視線を送りながら心底感心した様子で「 おあいこか、それ助かる。そこまで仲良くしてたらハイネに怒られるかもしんないけど……うん、そんな夜が来ればいいな 」上手に落とし所を見つけてくれた彼に二重の意味で感謝しながらそれを示すように顔の前で両掌を合わせながら顔を伏せて。そのままパッと面を上げて両手はソファーにつき、リラックスするように重心を後ろに倒して夢想するような少年じみた表情で虚空を見つめて。ふと彼に何か動きがあった事を視界の端で捉え目線を戻せば差し出される右手の小指、怪物の世界にはない慣習ながらも人間の世界でポピュラーなそれへの正しい応え方を探すように両手でくしゃっと髪を淡く掴んで「 あー何だっけそれ。待って言わないで、確かに知ってる筈だから 」回顧に集中するためにぎゅっと瞼をきつく閉じる事で余計な情報を遮断して、暗闇をぐちゃぐちゃと手探りするように深く深く記憶を追いかけて「 知ってる…絶対知ってるんだ。まだ取られてない、取られて……、…ああ! 」まるで貧乏揺すりのように小刻みに身体が揺れるのは過剰なストレスゆえの無意識な反応か。ただならぬ雰囲気と共にぶつぶつと呟き、急に明るく声を張り上げてはぱっちりと双眸を開いて勢いよく自らも同様に小指を差し出して「 これね、これこれ!はい約束っ 」ただ思い出せた事が、というよりもその記憶が抜け落ちていなかった事を心から喜ぶようにやけに高いテンションで温かなそれに小指を絡めて一度上下に振ってから手を引こうか。お返しの案についてふむふむと前のめりに聞きながら「 ええ!いいじゃん!喜ぶと思うよ 」ぱちぱちと細かく拍手をしてから両手をぐっとサムズアップの形を作って全力賛成を示し「 思い切って手作りするってのはどう?しかもこっそり君の分も作っちゃって実はお揃いでしたーってするんだ。ハイネ、絶対“かわいい~!”ってなるって! 」それは大変ちゃっかりとしたアイデアだが、友人代表のような顔をしてきゃいきゃいと確信を持って燥いで)




1502: グルース・リヨン [×]
2024-09-08 20:26:40



>ナザリ(>1500


(己が行き着いた結論が真実である事を物語る、悲痛そうに染まる彼の表情。その奥に何かが潜んでいるなど今は考える余裕は無く、沈黙を落としたその目の前に浮かんだ水差しとグラス、そしてそれを運んだらしい小さな生き物にも、先程よりも解り易く見開いた目を瞬かせる。それから己の身分を正しく察した彼の言葉に頷きで肯定を返した次、褒める暖かな声へ、「公爵家の長子だからね、当然さ。」初めよりは幾分か固さの溶けた物言いで告げるそれは、何処と無く自らに言い聞かせて縛り付けるような厳格さを含めていて。――問い掛けにはっきりとした答えは届かなかった。しかしそれが咎めようのない事であるのは悩み果てる彼の態度から理解出来て、余計に不安で曇る思考を読んだようなタイミングで忠告が刺される。「……化け物が、」まるでお伽噺、いいや、質の悪い怪奇小説でも聞かされている気分。信じられないと訴える感情とは裏腹に、すんなり頭にそれが真実だと染み込んでいくのは、彼の真摯な語り口の所為だろうか。「本当に――違う世界のお屋敷に来てしまったのだね、僕は。」ふと、すっと視線を移した先は窓の向こう。煌々と輝く大きな満月を見詰めて誰に問うでもない事実を零す声は自らでも驚くほど冷たく震えて、現状へ追い付ききれない心の揺らぎがそこに顕れる。また彼へと向き合う形に戻す筈の瞳は、組んだ手元に緩やかに伏せられて、「でも、…そう。僕の覚えている限り、誰も居なくなってはいないから…」もう一度彼からの答えを反芻し、掘り起こすは屋敷に招かれる直前の記憶。少し前のパーティーで見掛けた友人にも、馬車から眺めた街の人々にも、夕食時に揃った家族や使用人達にも、欠けは何処にだって無かった。「……じゃあ、僕一人だけ。他は、誰も…」思考に沈んでいく程、今は身を守る毅然も悠然も剥がれて、言葉遣いも年相応と柔くなる。やがては俯いた額に絡み合う十指を押し当て、小さく背を丸めた後。「…………良かった、」“なら、問題は何も無いね”。……そう吐き出した弱い弱い安堵の吐息の、その内側に――背負い続けた大事な荷を不可抗力に下ろしたような、離れてはならない場所からうっかり逃れたような、そんな後ろめたさや罪悪感の混ざる喜色が凝っていた。「……取り乱したね、すまない。それから、教えてくれて有り難う。」それに何かを言われる前に上げた顔は、今までよりもずっと穏やかに晴れ、何処か重たい憑き物が取れた風情を醸す。「…さあ、これからの事を考えなくてはね。お屋敷で御役目を果たすと言っても、今すぐではないのだろう?」汗が仄かに滲んだ両手を解いて、テーブルに置かれたデカンタに指を掛けながら、ここまでに得た情報から測った状況を確かめる言葉を。続けて、「なら、どんな自由が認められて、どんな禁制があるのか――此処での振る舞い方を初めに学ばなくては。」持ち上げたグラスに注いだ水越し、映った異形を臆さず見詰めるのは、今の今まで話に応じてくれた信用故に。……いずれ己を喰らうかも知れぬ者とその環境さえ受け入れた自らの気質は、きっと立派に見えて異様だろう。「そのご教授を君に願えるかい、サー・ナザリ。」だがそんなものを気にする必要は無いと何かを見ない振りした少年は、緊張のすっかり失せた悪戯な微笑みと物言いで屋敷のルールの教えを彼へ請うては、ゆったり優雅に首を傾げてみせる。)




1503: グレン [×]
2024-09-08 21:08:20





>ジョネル( >1501


( それ程までに興味深く感じられる事柄だと思っていなかった為に僅かにきょとんとしたように目を丸めるのは、演じる上で身に付いたそれが特別な事象だと理解をしていなかったため「 元いたところでは俳優をやってたんだ。舞台専門のね 」 僅かな暗転の合間に涙を引っ込めたり流したり、本来であれば演技で済むところをよりリアリティを求めるが為に身に付いた自身の感情の預かり知らぬ涙を制御するそれは、半ば職業病のようなもの 「 ふふ、もし怒られるとしたら僕の方だろうからジョネルは気にしないでよ……嗚呼、もちろん小言は飛んでいくかも知れないけれど 」 来るかも分からないたらればの話。けれどそんな未来があるのだとすれば、きっとあの狂しいほどの束縛心が飛んでくるのは此方であろう事は容易に想像が付く。小指を差し出したまま彼が記憶の抽斗を開けて探り出す様を希望の通り何も口を挟む事なく見ているものの、過度にストレスが掛かっているのであろう様子に口を開きかけたところで一際大きく鼓膜を揺さぶる声に肩をびくりと跳ね上げさせて。どうやら自身が差し出した先、待っている事に合点がいったらしく絡められた指先に、そうそうとでも言うように首肯を一度。指が離れればゆったりとした動作で体の方に引き寄せ、膝の上で両手の指を組むようにして。「 本当?良かった 」 手放しに賛同してくれている様子にやや強張っていた表情を安堵に緩ませた後、次ぐアイデアに耳を傾けて 「 いいね、それ。楽しそうだし、何よりお揃いに出来るの僕が嬉しいし 」 考える素振りも無くぱあと表情を輝かせ、きっと今日一番の笑みを浮かべて。プレゼントが手作りなのだと、そしてお揃いなのだと言えば主人は喜ぶだろうか、それとも呆れ半分の反応が返ってくるのか。どんな反応が返されるか考えるだけで表情が緩み出すも、次なる問題が頭に浮かべば考え込むように片手を口元へと当てて 「 問題は材料と作業スペースかな… 」 何かを作るにしてもこの部屋の中にそれが叶うだけの物品は無く、頼めば多少の融通を利かせてくれるであろう程に懇意にしてくれている使い魔は言わずもがなダークエルフのところの蝶たちばかり 「 ねえ、ジョネル。頼んだら手伝ってくれそうな人に心当たりなんてあったりする? 」 眉尻を下げたやや情けのない表情の浮かぶ顔を持ち上げて )





1504: 秋天 [×]
2024-09-09 14:20:30


>クォーヴ ( >>1499 )

( 悪夢。彼が発したその言葉を口の中で転がして考えてみる。元々あまり夢を見る性質ではないので、目が覚めたとき"夢じゃなかったんだ"とは思わなかった。適応力は高い方なんだと思う。でも、夢を見ないからといって夢であれと願うことがないわけではなかった。「うん、夢は見なかった。全部現実だったみたい」シャワーを浴びる前に一瞬沈んだ気持ちがぶり返しかけて、呟くような声で返事をする。すぐに取り繕うよう笑ってみせて、彼の謝罪に対しても首を横に振るにとどめた。てきぱきと食事を口に運びながらこぼした善意に難色を示されると、これは真剣に耳を傾けた方が良い話だと判断して手を止める。"自身の確からしさを疑う事になる"……その言葉を聞いた僕は"テセウスの船"と呼ばれる思考実験のことを思い出していた。わかりやすく説明するならこうだ。──テセウスという男が怪物を倒しに行くため乗り込んだ一隻の船がある。テセウスは航海の末見事怪物を打ち倒し、船は偉大な記念品として後世に受け継がれていった。だが船は時間と共に朽ちていく。壊れたパーツを一つずつ交換して、やがて全てが新しいものに置き換わったそのとき。その船はテセウスの船だと呼べるだろうか──哲学の授業で問われたパラドックスの一つで、僕はこのことに自分なりの結論を出していた。クォーヴが言ったのは置き換わったときではなく消えてしまったときのことだが、僕の考えそのものは変わらない。「忠告ありがとう。肝に銘じておくよ」餌のアイデンティティに気を配るなんて変わった人だなと密かに思う。時折存在が示唆される"他の住人"が皆こうとはいかないことは想像に難くなくて、はじめにこの屋敷で出会ったのがあなたで良かったと心から思った。穏やかな声で礼を告げ返事を待たずに口を開く。「でも、例え記憶がなくなっても僕は僕だ。それを疑うことはないと思う、きっと……」そう言って小さく微笑むと、不思議な虹彩を見つめ返す。会話に一区切り設けた彼にこくりと首肯で返事をして、続く言葉をじっと待った。 )


あなたと話しているといろんな記憶が蘇ってくるよ。あなたの性質がそうさせているのかな。
筆が乗る予感がしたから、僕が過去に件の思考実験について考えたときのことを宝箱に入れさせてもらおうかと思うんだ。今のあなたに何か影響を与えるものではないと思うけど、僕のアイデンティティを形成した重要な記憶の一つとして知ってもらえたら嬉しいな。
……他でもないクォーヴに僕の軽率さを注意されたところだから、食べちゃだめだよ。ごめんね。



1505: ナザリ [×]
2024-09-14 21:41:08



>グルース(>>1502)


そうだねえ。お月見はいつでも出来るが、日向ぼっこは二度と叶わん。夜に生きる怪物の――黒薔薇のための屋敷だからなあ
(彼と見るものを同じにすべく矮小な怪物と人間をせせら笑うような巨大な満月を視界の中心に捉える。太陽を恋しく思う者など居ないか極端に少ない魔物たちにお誂え向きの世界であると表現しかけて、しかし最も相応しい存在を蔑ろにするわけにはいかず支配者の存在をきちりと出して。良かった、と口に出した彼の言葉には複数の意味が込められているように思えた。この理不尽な屋敷で怪物の贄となる運命を押し付けられずに済んだ、或いは公爵家の長子が姿を消したとて次位の後継者が健在であるのならば家を守ってゆくための代わりを務められる、と「 ……やりきれんなあ。生まれだけで背負わされてよいほど気軽な宿命でもなかろうに 」自身の顎に手を添えて難しい顔をしながら首を左右にゆっくりと傾げる。生まれた時から自由意思で選び受け入れた訳もない様々なルールや制約で雁字搦めに縛られる世界と、望まれ見初められて異界に選ばれ尊き糧として散る事を強制される世界、どちらが彼にとって酷なのか瞬時には答えを出せなかった。しかし驚くほど前向きに屋敷へと適応しようとする彼の申し出に「 ンはは、当に外柔内剛とはお前さんの為にある言葉だねぇ 」只の少年と侮るなかれ、そう思わざるを得ない威風堂々とした立居振舞は都合よく言い包めてやろうなどと甘い考えを自重させる力を放っており、なればこの命の行く先を見守らんと真摯に情報を提供しようという気持ちにさせられる。長くなりそうな気配に無意識に袂から鈍い銀の煙管を取り出し口に咥えかけて「 おぉっと、いやぁ失敬 」年端もいかぬ子どもの手前、遠慮するように照れ笑いをしながら煙管を再度しまう仕草を見せて「 今すぐにでは…の話からいこうか。今宵お前さんの到着に最も早く気付いたのが俺ではなく、腹を空かせた隣人だったのならば既に御役目を全うしておっただろうねぇ 」そしてその綱渡りは明日からも毎夜同じ状況が連続するのだと。脅しではなく覚悟を促すように重みのある声色で低く告げ「 禁制、と呼ばれるものぁ獲物には課されていないよ。単独で部屋から出るな、てぇのはあくまで長生きしたければの話。…まぁ、あれだね、禁ずるまでもなく制されるという表現の方が近いかねぇ。例えば――有り得ん話だと分かっておるよ、あくまでも例え話さ。お前さんは屋敷に攫われた運命に絶望し、目の前のデカンタを割ってその破片で喉を掻っ切り自ら命を絶とうとしたとする。ところが刃は喉に届く前に不思議な力で止められてうんともすんとも動かない……そういうことだね 」つまり獲物の自由は認められている、ただし何もかも屋敷の支配力にとって都合の良い形で。聞いていて全く快くない内容を凡例に挙げたのはそれがこの屋敷で日常的に起こる出来事だからだろうか)




1506: ジョネル [×]
2024-09-14 21:44:05



>グレン(>>1503)


はー…なるほどなるほど。君なら銀幕でも大人気だったろうね
(観客たちが注目する麗しい顔面を用いて分かりやすく感情表現する手法が涙であろう事は何となく解って、心底納得したように数度頷くようにしながらソファーの背凭れへと体重を預けて。彼が人間の世界に居た頃の評判を知る由もなかろうともその甘いマスクは多くの黄色い眼差しを集めたであろう事は想像に易く、であれば逸材は一つの舞台上ではなく各地に点在するスクリーンに活躍の場を移したかもしれない。それを彼が望んでいない事も、その理由も未知のままだがこれまでハイネからの扱いを幸せそうに語る彼の様子から立てた一つの仮定を持ちかけようと再度体勢を前のめりに戻し「 不特定多数からの喝采を浴びるよりも、たったひとりから熱狂的な寵愛を受ける方が幸せだったりする? 」それは純粋な彼への関心。舞台とは綺羅びやかに見えてきっと苛烈な側面も持ち合わせているだろう、故に万人が立てる戦場ではない。そこに選ばれスポットライトを浴びてきたであろう彼ならば凡庸で陳腐なそれとは対極の記憶を持ち合わせているのではないかと「 んー…そうだなあ。おれはそういうセンス無いし… 」ここで胸板を叩き自分に任せろと言えれば格好も付いたのだろうが、生憎カフスなど洒落たものに造詣もなければ興味もなく全く力になれる気がせず悩むように腕を組んでやや俯き加減に目を閉じて。しかし助けてくれる住人、そのリクエストから浮かんでくる顔は確かにいくつかあり「 ……今回のケースなら適役はキルステン…かな? 」一つの固有名詞に提案を絞ってから目を開け、自らの両手の付け根を両耳に添えてはぱあっと指先を開き「 人魚だからね、こんな感じのヒレが付いてる派手な女王様だよ。トゲトゲ言葉が多いけど、断じて意地悪なやつじゃない。し、この手の話が好きだと思うんだ 」件の人魚の性別を誤認させてしまいかねない紹介になってしまった事は全くの無自覚、それほどまでに自身にとって彼はクイーンという像を彷彿させる住人に見えているということ。何だかんだ世話焼きな彼は健気にも怪物にお返しをしたいと願う獲物という一見歪な美談はきっと好物の筈、しかし人魚に助けを求めるという判断をするかどうかは眼前の彼が決める事。少なくとも情報は提示した、一旦彼の反応を待とうと懐こい笑みを浮かべながらじっと見つめて)


***


こっちからごめんね。宝箱見てきたよ、舞台照明の所為だけじゃない確かな君自身の熱を感じられる素晴らしい記憶をおれにくれたんだね。まじさんきゅう。…まじでね。
それと…表現を借りるなら言葉足らずな主張?についてだけど、ほんっとまじで気にしないで。それだけ伸び伸びやれてるってことだしさ、おれもお互いさまってことで。あーでも、こっちの話の持ってき方とかそういうのにヤだなって思った時は遠慮なく言ってね。いっつもおれらのこと考えてくれてさんきゅうね。今んとこ問題なければこっちにはお返事大丈夫。




1507: クォーヴ [×]
2024-09-14 21:48:49



>秋天(>>1504)


(不躾な質問だったことを悔いたのは彼の纏う雰囲気がほんの刹那の間だけでも陰りを帯びたから。自分が彼をこの状況に引きずり込んだ直接原因というわけではないが、やはり心ある者が苦しむ所は見ていて気持ちの良いものではない――例えそれが家畜として攫われた獲物であっても。しかし彼は気丈にも笑ってみせたのだから、ここは気付かない振りをしようと微笑みを返して「 ……そう。チウは強い子だね 」誰かと比べるようなニュアンスを含んでしまった自覚はなく、しかし確かに脳裏に去来したのは彼と同じくらいか少し幼い少年のこと。今は亡き、否、自らの手で命を摘み取った少年の事は全く以ってこれからの話題に関係なく、目の前の彼が自身の話を聞く態勢を整えてくれた事を知覚してからゆっくりと口を開き「 昨日、大切な事を伝えたいって言った事は覚えてる? 」ゆるり、空間そのものが滑るように小さく首に角度をつけて彼を見つめる。出会って間もないがこの少年の聡明さは十分に伝わっていた、だからこそ返答を待つ間は敢えて設けずに「 それはね、君が…チウが、黒薔薇のお屋敷に住むことになった理由なんだ 」これまで幾千と繰り返してきた説明、しかしいつもに比べればそれを告げる事に躊躇しないで済んでいるように感じるのは彼の賢さに甘えているからなのだろうか「 君は僕達の――黒薔薇の怪物たちの尊い食事として選ばれたんだよ 」口元は微かな笑みを示す弧を描くも、眉はやりきれなさを示すようにしゅんと垂れ下がる。残酷と判っていてもこうして彼に事前に真実を告げるのは、明日にでも見たこともない怪物が部屋に押し入り彼を喰らってしまうかもしれないから。その時、自分がなにかの糧になったのだと知って死を迎えるのと、何事かも分からないままただ暴力に蹂躙されるのとでは命の終え方に確かに差異が生じる筈。彼自身の意志を度外視した非常に手前勝手な世界で、だからこそ彼の命は尊いのだとどうにか伝わればよいのだが)


***


やあ、宝箱を見てきたよ。…うん、確かにチウの強さを示す具体的なエピソードのひとつだなと感じたね。今の僕はそれを知る方法はないけれど、きっといつか――触れられる夜が来るといいな。ふふ、もちろん食べないよ。今はね。
ああそうだ、それと。全く強制ではないのだけれど、もし興味があればHPから【ルネコの備忘録】を読んでみておくれ。チウとは反対に、死神に記憶を一欠片渡したことがきっかけで心を病んでしまった少年の――上の文章で少し触れた、僕がその最期を見届けた子のお話さ。
追記や相談がなければ、こっちへのお返事は大丈夫だからね。ありがとう、チウ。




1508: グルース・リヨン [×]
2024-09-15 16:34:42



>ナザリ(>1505


……あんまり褒めたって、今は何にもあげられないよ、サー・ナザリ。
(張り通しだった気を緩めた為か、今の称賛を切り口にそれまで平然を通せた筈のものが胸を柔くつついて、そのこそばゆさに眉を垂らして一瞬目を逸らす。次いで直ぐ様ジョークめいた応答をさらりと口にこそすれど、ほんのりと頬に集まった熱まで誤魔化せた気はせず、ゆっくりと口腔に含んだ水を飲み込む所作で沈静までの場を繋ぐ。「いいや、お気遣いどうも。」彼の袂から覗いた見慣れない細長い道具。親族の一人が持っていたパイプに似ているそれと、彼の一連の仕草に大まかな用途を察し、にっこりと愛想良く笑う事で詫びを流す。そのまま己の願いを叶えて綴られる彼の声に、姿勢を正してじっと耳を傾け、「今夜の僕は本当に幸運だったようだね。…うん、心に留めておくよ。」一つの区切りに此方も真摯な相槌を一拍、真っ直ぐ彼を見据えたまま己が身の有り様を誓言する。その後に続く例えに唇が結ばれ、仄かな悲哀や痛みが表情に滲むのは、この場所においてはそれが酷く現実味を帯びたものだから。「……成る程。料理が皿の上で何をしていても構わない。ただし、これを床へと引っくり返す無駄だけは許さない。…お屋敷の主様は、何とも上手な捕らえ方をするね。」心臓の上へ片手を添え、料理と比喩した人間の命を表しながら、“それ”を望んだ者には残酷な事実へ声音を微かな辛苦に震わせて。それでも否定的な言葉を用いずに受け止めた後、重く垂れ込める沈黙を払うように居住まいを彼の側へと前向きに軽く崩し、ついでに切り替えも兼ねた咳払いを一度。「あとは、そう……君自身についても教えてほしいかな。」一通りのルールを学んだその次に、学ぶ意欲が眼差す先は他でもない怪物の彼そのもの。「人を食べる怪物というと、僕はヴァンパイアやグール、或いはオグルを先ず思い付く。でも、」先に自らが持つ知識を、胸元を離れた指で折り数える動作と共に挙げ連ねてから、改めて彼を視界に収め掌でそっと差し示して、「…君は何れにも当て嵌まらないように見える。そもそも予想や想像の出来ない、文化が全く違う所の何か、という印象が一等強い。」見た事も無い装い、顔立ち。馴染み無い響きの名――その未知に惹かれる境地を囀りの軽やかさに浮かばせて、「だからこそ、僕は君に興味が擽られて仕様が無い。」隠せない瞳の煌めきは宛ら新たな本を前にした読書家、または知らぬ小道を見付けた冒険家の如き色。しかし言葉に括りを付けた後で晒した好奇心の不躾さに気が付いて、「……不作法な話ですまないね。けれど、君という個を知りたいのは確かな本心さ。」苦みを含めた微笑みで謝意を告げ、そこに邪気や悪意の一切が無い事を前置く。「……それでどうだい、僕に聞かせてもらえるお話はあるかな、異国の方。」初めて対面した際には堅苦しい一線として表した彼への呼称を、今は親しみを包んだものとして呼び掛けに使い、品ある控えた態度を心得つつも期待をきらきら瞬かせる視線にて、彼を真正面から見詰める。)




1509: グレン [×]
2024-09-15 19:40:58





>ジョネル( >1506

残念ながら、僕は板の上が専門だったんだ
( 何度か話に挙がる事はあっても首を縦に振る事の無かった銀幕デビュー。それを受けて仕舞えばきっと父と比べられる機会が増えるはず、そんな思いもあっての事なのだが今彼に理由を語る必要性は無いだろうと判断すれば、にっこりと笑みを浮かべる事でこれ以上は踏み込んでくれるなとの言外の主張を見せて。興味があると言わんばかりに前のめりな体勢になる彼からの質問に 「 うーーん……、どうだろう 」 なんて返答への迷いを見せるのは、自分自身どちらが心地好いかの判別が付いていないため。口元へと手を当て、考え込む事数十秒程 「 ただ、その “ ひとり ” がハイネだったから満たされてるんだと思うよ 」 自身の事なのに推測の域を出ないのは、特別他者からの愛を求めてしまう性質を理解しているが故のこと。求める以上のものを注いでくれる彼だから、そんな考えは己が欠点を見せた事があるからこその盲目的な思考か、はたまたこの非日常且つ命の危険と隣り合わせの屋敷の中にて唯一安全を与えてくれたが為の依存心か。そのどちらだったとしても満ち足りている、そう明言をする事に大した差異は無く。それに、そんな声と共にチェアから立ち上がりこちらへと身を乗り出している彼の片頬へと手を添えれば吐息が掛かりそうな程の距離まで、ずいっと顔を寄せて 「 “ こういう事 ” の対価に愛情を向けられるより、ずっと健全だと思わないかい? 」 引き合いに出すのは対面する彼は知らない幼い頃の経験。至極真面目な表情は直ぐに解け 「 なんてね 」 なんて言葉と共に再度腰を下ろしては緩く足を組み、ハイネへのお礼の品に対して協力をしてくれる人を考えてくれているのだろう彼をじいっと見詰めて。「 キルステン? 」 小さく首を傾げて見せるのは聞き馴染みの無い名前ゆえの事。紹介をしてくれる文言に静かに耳を傾けつつ考え込む素振りを見せるのは、その人魚の為人を噛み砕くのに時間を要したためで。ここまで真摯に相談に乗ってくれた彼の事だから、きっと無理難題を押し付けてくるような住人を紹介してくるような事は無いだろうという判断はややお人好しが過ぎるか。暫しの沈黙の後うん、なんて言葉と共に小さく頷いては 「 ジョネルが紹介してくれたんだ、一度相談をしてみるよ 」 なんて笑みを浮かべて見せて )





1510: 秋天 [×]
2024-09-16 17:57:15


>クォーヴ ( >>1507 )

そうかな……そうだといいな
( 僕を"強い子"だと評する怪物に曖昧な言葉を返した。僕が本当に強い人間であるなら何よりだが、自惚れてはいけないなと強く思う。この状況に適応出来ているのだと思い込んで、それで満足するのだけは避けなければならなかった。そんなことを考えつつ、クォーヴが本題を切り出そうとしているのを察すると静かに耳を傾ける。僕を見つめる蒼い目の様子が先程までとは別物に映って、今から怖いことを言われるのだと半ば確信した。聞きたくないとは思わない。このお屋敷にまつわることは何でも聞いておかねばならなかった。知らないことは少ないほうがいい。
──怪物たちの食事。"尊い"と称されたそれに選ばれたと聞かされて思わず視線を彷徨わせた。部屋には僕と怪物しかいないのに。誰も助けちゃくれないのに。ふらついていた視線を戻すと、捕食者が眉尻を下げていて困惑する。彼が今抱いているものが哀れみなのか優しさなのか、被捕食者の僕にはまるで検討がつかなかった。「美味しそうな貴方、って書いてあったっけ……」母の傍らで手にした黒薔薇のメッセージを思い出しぼそりと呟く。僕はその後に続いた"お迎えに上がります"の文にばかり気を取られていて、一体なんのために攫われたかなど考えもしなかった。クォーヴの言葉を頭の中で反芻する。彼は"僕の食事"ではなく"僕たちの食事"と言っていた。度々示唆される他の住人たちを指しているのだろうなと予測して、思考する。目の前の男は努めて優しい死神だが、その気になれば人間などひと捻りであろうことは想像に難くない。つまるところ、魔法を操る者たちの捕食に抗える方法など僕は一つも思いつかなかった。「……教えてくれてありがとう。知ったところで何かができるとは思えないけど、知れて良かった」嘘偽りない感謝を伝えて、いつ訪れるかわからない最期の瞬間を想像する。母もそうであったように、死はそのほとんどが突然だ。後悔のない生き方をしたいと強く思った。「閉じこもっていた方がいいならそうするけど、あまり意味がないなら……したいことをたくさんしたいな」捕食者のあなたへ精一杯の微笑みを向ける。今の僕には過去を悔いている暇も未来に怯えている暇もないのだ。「終わるときはどうしようもないんだから、楽しく生きなくちゃ」彼の返答を待たずに付け加える。すぐには終わらないかもしれないし、もし終わってしまったとしても思い出になればそれでいい。今はただ"次"に繋がるものが欲しかった。 )


彼の手記はここへ参加する前に目を通していたんだけど、改めて読み直してきたよ。物語の外から眺めていたときと、自分が同じ場所に立ってみてから読むのとでは思うことが全然違うね。すごく興味深かったし、今後の展開がますます楽しみになった。勧めてくれてありがとう。
ところで、クォーヴが否定的でないのなら他の住人の手も借りつつ積極的に部屋の外へ出てみたいと思うんだ。その道中で件の備忘録を見つけられたらと思ってる。といっても存在を知らないものを偶然見つけるのは難しいと思うし、すぐに手に入れたいと思ってるわけではないからいつかいいタイミングが訪れたときで大丈夫。他にも、日常イベントの「九死一生」も体験してみたいと思ってるんだ。ちなみに、襲われる怪物はこちらで指名できたりするのかな?もしそうなら相談させてもらえると嬉しいな。
愛しきルネコへ黒薔薇を。花言葉はなんだったかな。ちょっと怖かったような気がする。



1511: ナザリ [×]
2024-09-17 20:57:28



>グルース(>>1508)


(今は、とは恐れ入った。怪物らしくおどろおどろしい牙を剥いてゲラゲラと高笑いしたい気分を堪えて、大人から降り注ぐ褒め言葉に対してほんの一瞬子供らしくたじろいだ可愛らしさも見なかった振りをして。手癖のように掴んでしまう煙管を封じるとなれば、この手持ち無沙汰を慰めるためにどうしようかと目線を巡らしソファーに備え付けられていたクッションを引っ掴めば犬猫のように膝下へと乗せ「 そういうことだね。やっぱりお前さんは賢い、賢いねえ 」食事に擬えたそれは大変言い得て妙、自分の言いたかった事の要点を鋭く掴み噛み砕いて理解するその早さに今夜何度目かの心からの感心を示しながらテーブルを挟んで向こう側に居る彼の髪の代わりに今しがた捕まえたばかりの布の表面へ撫でり、撫でりと手を這わせ「 …はて、俺のこと? 」ここから屋敷の謎について畳み掛けるような問答が始まる事を期待していたからこそ、予想の斜め上のテーマには思わずはてと間抜けな表情を浮かべて見せて「 ああ…そうだねえ。ヒトの子らにも白人や黒人、はたまた住んでいる地域で西洋人、東洋人と区分があるのだったね。如何にも、俺ぁ東洋の怪物。そちら側の文献で“モモタロウ”という童話を知っとるかね 」きらきらと輝く双眸はまさに少年の溢れる活気と知識欲を凝縮した宝石。無垢と呼んでも差し支えないだろう純粋な輝きを持つそれを涙で濁らせられたらと未だ早すぎる妄想はそこそこに、彼の抱いてくれた好奇心を失速させないよう一つの物語を唐突に挙げて「 母の腹からじゃぁなく大きな桃からパッカリと生まれた男児が、人の世を脅かす鬼と呼ばれるあやかしを退治しにゆく話なのだがねぇ。俺にとってぁ彼がご先祖様の仇というわけだ 」ふと空っぽの片手の平を天井に向けて淡く差し出し、その上にフォンという羽音のような音と共に大きく立派な桃の果実の映像を投影して見せて。“パッカリ”と効果音を口にするタイミングと同時に虚像の桃も真っ二つに、中からはデフォルメされた幼い侍が刀を背負って生まれてくる。やがてそれを取り囲むように眼前の怪物と同じ数か一本少ない角を持った赤や青の怪物が棍棒を背負ってわらわらと現れ、しかし件の男児がそれらを一刀両断に返り討ちにするところでちょうど自らの言葉も一区切りに。沢山お喋りさせてくれる相手に恵まれて舌を動かしすぎたか、口渇を覚えてまた爬虫類の使い魔に湯呑を用意させ「 この屋敷じゃあ“こっち側”の怪物は少なくてねえ。例えば…気難しい九尾の狐、とかぁね 」つまり東洋由来の存在は珍しいのだと示唆しながら、犬猿の仲たる同郷の隣人を例に挙げくつくつと笑いながら熱い魔界の茶で満たされた湯呑を掴んで美味しそうに中身を啜り)




1512: ジョネル [×]
2024-09-17 20:59:43



>グレン(>>1509)


そっかそっか…そうなんだ。ねえ、君たちってある意味超ラッキーだったりして
(何だか彼は他の獲物と比較して自分の考えをまとめるのに時間のかかるひとだ。そんな風に抱いていた違和感は今や確信に変わり、しかしそれもネガティブな意味ではなく真剣に回答を考えてくれている証拠なのだろうと捉えて。命を供物に捧げる事を強制される屋敷に攫われておいて、片や自由を許されず永い命の終わりまで黒薔薇に縛られておいて幸運とは片腹痛いが、しかしそうでなければ彼はハイネに、そしてハイネはグレンという人間に出会える事は無かったのだと。神妙な表情から何かを閃いたようにそう口にした直後、頬に温かい何かが触れては整ったかんばせが急激に寄った事にぱちくりと目を開いて「 それ…って、愛情って言わなくない? 」いまいち要領は得ないがきっと汚らしい何かに自分を切り売りした結果得られるものより高尚だと言いたいのだろうか、と。ぽかんとしながら素直な感想だけを落とし「 よくわかんないけど 」しかし彼が誤魔化すような言葉と共に遠ざかってゆくのだから深く追求すべき事柄ではないのだろうと察して肩を竦めるに留めて。「 そっか!じゃあまた君が来て欲しい時にお手紙を出すといいよ。おれから大体の話は通しとくしさ。ハイネのお気に入りだから邪険にしちゃだめだよー、ってね 」彼自身が人魚との邂逅を受け入れたのだから、友人に遠慮をすることもないだろうと片手でサムズアップを。歯に衣着せぬ物言いをする人魚に御手柔らかにと伝える旨も添えて、そろそろ御暇しようかと立ち上がった瞬間思い出したようにパチンと両掌を軽く打ち鳴らし「 てかさ、怖くないんだね。見たことない怪物と会うって、おれが人間だったらめちゃビビるなあ 」それは機会があれば彼に聞いてみたかった事の一つ。いくら信頼している怪物の友人とはいえ死神たる自分を呼び出した事も、甘く優しい怪物というわけではない人魚へのお目通りを決めた事も。それ程までに危険を冒してでも持ち主に報いたいのか、或いは先程警告音を鳴らした指輪等々の魔法に守られているという自覚があるからか。いずれにしても興味津々といった眼差しで立ち上がった姿勢のまま彼を見つめて)




1513: クォーヴ [×]
2024-09-17 21:02:45



>秋天(>>1510)


(我を忘れて周章狼狽するでもなく、往生際悪く運命を拒もうと足掻くでもなく、この数十秒の間に大いなる理不尽を受け入れるに至った彼はやはり凡庸な人間ではないのだろうと感じる。逆に言えば、この間に彼が何を考え何を諦めたのか、そこに思いを馳せるには捕食者という立場が通せんぼをして、しかしそれに気付かずにいられるほど無神経ではなかった。使い魔に選ばれ此処に攫われてしまったからには逃れられない最期ならば、否だからこそ「 僕こそ、きちんと聞いてくれてありがとう。どうかチウの最期の夜が哀しいだけじゃありませんように 」いつか必ず黒薔薇になってしまう貴方へ万感の願いを。命が終われば母の元へ行きたいと言っていた彼に、その尊い魂はもう二度と輪廻の環には還らず永久のこの屋敷を彩る黒薔薇になってしまうという事実は今はまだ伝えられず、自身がそうまごついている間にも未来へと思考の舵を切る彼の物分かりの良さに一抹の不安さえ覚えながら「 そう……だね。気が向けば僕も混ぜておくれ、一緒に思い出を作ろう 」無論彼自身が考え定めた方針を咎めるつもりは無く、いつか彼が列挙するだろうしたい事の中に自身も存在できればと伏し目がちに微笑んで。閉じこもっても意味がないなら――その言葉から、遠くない内に、ともすれば明日にでも部屋を出て無限の迷宮へ探検に出てしまうかもしれないと推量すれば目の前に在るにもかかわらず途端に彼の命を遠く感じて。呆気なく終わりが訪れた時、果たして自身はどう感じるのだろう。何か出来たかもと悔いるのだろうか、そう考えれば俄に両手を動かし、手のひら同士を淡く上下に向かい合わせるようにしてその間の空間に黒と水色の混じった魔力の光を集約させてゆき――やがて何もなかった手中には彼の髪や瞳と同じ漆黒に鈍く輝くシンプルな意匠のネクタイピンが生成されて「 チウ、どうか君の冒険のお供に。いつか何かに襲われて君がその結末を不本意だと感じた時、一度だけ盾になってくれるはずだよ 」両掌に乗せたそれをテーブル越しに差し出す。いつでも傍に居ることは出来ないけれど、この形ならば。小さな物に込められる魔力量は決して多くはないけれど、無防備な丸腰の状態で彼を行かせるよりは万倍良い。無論強制的な贈り物ではないため此方から請う形を取りながら、受領も拒絶もどちらでもにこやかに受け入れるであろう揺らぎのない微笑にて彼を見つめて)


***


もう見つけてくれていたんだね、ありがとう。僕が否定的でなければ?……ふふ、チウが隣人達との冒険を望むのなら勿論快く送り出すよ。君はとっても素敵な子だからね、僕が独り占めしてたら彼らから顰蹙を買ってしまうでしょう?ふふ。
備忘録を見つけたい時は一声かけておくれ、何せあれはどんな場所にも存在するものだからね。資格ある人間が望んだ時に自ずと目の前に現れるものだよ。
日常イベントも活用の検討をありがとう。この時に君を襲うバケモノは僕達のような住人ではなく徘徊する理性のない獣に固定しているんだ。バケモノの姿形なら事前に打ち合わせしておけば変更可能だから、またその時に遠慮なく声を掛けておくれ。…ふふ、このお屋敷に相応しい花言葉だよ。いつか君が思い出しますように。




1514: 執事長 [×]
2024-09-17 21:09:02



>お知らせ:2024/09/23~2024/09/28の間、私事都合によりお屋敷を空けます


>現在、ご新規様の募集を一時停止中です。お問い合わせは常時受け付けております[ 今夜の案内役:ラザロ ]


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1515: 秋天 [×]
2024-09-18 01:34:20



>クォーヴ ( >>1513 )

( 自称怪物の死神は僕の最期を優しく祈った。贅沢な話だなと思う。この世界に来なければ得られようのない経験の一つだった。「心強いな」そう呟いてはにかみを向けると、彼がどこか歯切れ悪そうに目を伏せたことを感じ取って小さく首を傾ける。追求するレベルではないかと判断して「もちろん。薔薇庭園を散歩するのも赤い湖でボートを漕ぐのも、クォーヴとじゃなきゃ嫌だよ」と笑顔で返事をした。僕は庭園を歩く脚もボートを漕ぐ腕も失えない。捕食者たちの根城の中で、身の振り方はきちんと考えなくてはと改めて気が引き締まる思いがした。クォーヴには年齢よりずっと子供扱いされているような気がしている。僕自身幼いつもりは全くないが、頼りない振る舞いがそうさせているのであればもっとしっかりしなくてはと心の中で思った。彼がおもむろに両手を掲げたことに気づくと、一体何をしているのかと不思議そうな顔で見つめる。いっそ病的なほど白い手のひら同士。その中間で彼の瞳の黒とターコイズが絡み合って光を放つのを呆然と眺め、いかにもな魔法の力に息をのむ。その輝きはやがて小さくしぼんでいき、何かに生まれ変わって彼の手のひらに転がった。その物体とクォーヴの顔を交互に見る。彼の言葉からたっぷりの間をおいて「……僕に?いいの?」恐る恐る零すと美しい黒のネクタイピンをそっと慎重に受け取った。しっかりとした作りだが邪魔に感じるほどの重みはない。黒いからだに光が当たって白く跳ね返るのがとびきりきれいで、天の川みたいだなと思った。「ありがとう。大切にするよ、最期まで……」後ろの方は声が掠れて、正しく彼に届いたかわからない。ほとんどひとり言だったからそれでよかった。優しさだけが込められた贈り物。彼は盾としてこれをくれたようだけど、僕はひとかけらだって欠けさせくないと心の中で思った。クォーヴには内緒の話。惚れ惚れと眺めていたネクタイピンを胸ポケットの縁に刺す。「実は今朝、ネクタイを締めようか悩んで結局やめちゃったんだ。でも……これからは毎日締めることにするよ」そう言うと恥ずかしそうに笑った。あなたの心遣いが本当に嬉しかったから。 )


ありがとう。あなたが背中を押してくれるのはすごく心強いよ。たくさん知り合いができるといいな……
備忘録の件もバケモノの件も承知したよ。そういうことなら、いいタイミングが訪れたときに再度声をかけさせてもらうね。
さまざま答えてくれてありがとう。何もないようであれば返事は大丈夫。一生懸命生きてみせるから、これからもよろしくね。




1516: グレン [×]
2024-09-18 21:04:08





>ジョネル( >1512


( 溜め込んでしまった間を追及される事が無かったのは彼が前向きに捉えてくれたからか、それとも然程気にしていないのか。どちらにせよ追及が無い限りは此方から話題として挙げるつもりは無く。「 ふふ、少なからず僕はラッキーだったと思うよ 」 人ならざる者たちの糧として、そんな屋敷の中で過ごす上での大前提がありつつも、自分自身を見て心地良いと感じる程の愛情を注いでくれる対象に出会えた事は途轍も無い幸運に違い無く。先程までのタイムラグは何処へやら、整った顔に花を咲かせるように満面の笑みを浮かべて頷いて見せる姿は年相応の反応に見えるだろうか。任せておけとでも言うようにサムズアップをして見せる彼に安堵の表情を浮かべ「 ありがとう、助かるよ 」 彼の厚意に素直に甘えるのは、己だけであれば見ず知らずの相手に対してお願い事をするのにきっと時間をかけ過ぎてしまうであろう未来が見えているため。きっと退室するつもりだったのだろう立ち上がった彼を見送る為に半分程腰を持ち上げかけた時、唐突に投げられた質問に対してきょとんとした表情を浮かべるのはこの屋敷に来て以来 “ 怖い ” そんな感情を抱いた試しが無かったから。きっと彼が言うように並の人間であれば自信を喰らうかもしれない怪物に会うのは恐怖を抱くものなのだろうが、己としては喰われて命を落とす事より何より誰の記憶に残ることも無く消えてしまう事の方が怖い。右手の人差し指で指輪の縁を緩くなぞるようにしながら 「 ハイネが守ってくれてるからっていうのと、……あとは僕自身の心の問題かな 」 ゆるり口角を持ち上げて席から立ち上がった彼と視線を交え。他者と比べ貪欲な程の欲求を明確な言葉にする事を避け、これ以上は踏み込んでくれるなとでも言いたげな壁を築いてしまうのは自身の弱みとなる部分を見せる事を拒む性質によるもの。無意識のうちに作ってしまった壁に、僅かながら “ やってしまった ” とでもいうような顔をしてしまうのはこの屋敷での生活を送る中で幾らか気の緩みが生じていた為か。気を悪くしていないか、顔色を伺うために彼の顔をじいと見詰めて )





1517: グルース・リヨン [×]
2024-09-18 21:06:15



>ナザリ(>1511


(己の口からであれば舌に胼胝が出来るほど幾度も音にした称賛も、いざ自身に降り掛かってくるとどうにも調子が一瞬惑う。それも、社交における世辞ではないのだから尚更に。クッションにある筈の彼の手の感触を己が頭へ錯覚するような気恥ずかしい心地は、首元のブローチを指で撫でる仕草で落ち着かせる。それから始まった彼自身への子細話について、「いいや。生憎、僕の国に東洋の書物はあまり無くてね。東方見聞録に目を通したくらいかな。」始めの問い掛けにはゆったり首を横に。続けて、「桃から?…また随分と幻想的なお話だね。」童話にはままある突拍子の無い始まり方に瞬いたのも束の間、それこそ絵本のような愛らしい像が立ち上がった彼の掌に今度は大きく目を見開いて。歌劇宛ら、手上をステージに一つの物語を繰り広げるそれに思わずじっと見入った後、「おに、鬼……東洋にはそんなに怪物が居るのだね。初めに顔を合わせた時は、悪魔が現れたと思って身構えてしまったよ。」言い慣れない名称を口の中で転がす事数回、物語の所感よりも怪物そのものについて感心の言葉を返すのは、興味の主題は他でもない彼ゆえ。「君の角は、山羊でも羊でもないというのに。」ふと視線を流した先はすらり真っ直ぐ天を向くその角。想像するオーソドックスな悪魔とは掛け離れたそれから、再び彼の瞳へ合わせた微笑みやジョークには苦みが含まれていた。「九尾の狐…」その言葉の終わり、またも想像すら出来ない怪物の名称をなぞった次に、「…そうなんだね。であれば、僕の知るような怪物様が多いのかな。」示された話から察せた事柄に、ほんの僅かな間思いを馳せた後。此方も水をもう一口と飲み込んでから、不意と唇を開いて、「……少し安心した、と言うと可笑しいかもしれないけれど。うん、君を知られて良かった。」 先程よりは幾分好奇の沈静した穏やかな物言いと表情で、人を喰らう妖を前にするには不釣り合いな言葉を零す。「君はこの不可思議なお屋敷に長く住んでいると言うから、もしかしたら僕どころか世の誰も与り知らないような、孤立した何かであるのかとも思ったけれど……」ここまで彼是と話を交わすその裏、好奇と興味の陰で過った刹那の考えを静かに綴り、「……少なくとも人の文献――童話が残されているのなら、君や君と同じ怪物達はかつて僕ら人間の世界と繋がっていた。そしてきっと今も尚、語り継いで覚えている者が向こうに居るのだろう。」先程見た掌の虚像――物語から自分なりに窺い及ぶ解釈をもしずしず語り終えた、その最後。「――うん、良かった。」ふっと笑みを深めて括る安堵の吐息は、やはりその通りだけの色ではなく。今度は本人も御しきれない羨望らしき情が、眼差しへ仄かに揺らいでいた。「ところで、サー・ナザリ。」一度瞬きに落ちた視線を直した折に、芯を通す声で彼を呼び、「その“モモタロウ”や狐の方に関する書物などは、このお屋敷に有ったりするかい?僕、是非とも読んでみたいのだけれど。」悠然とした微笑と言い様に覆った尽きない見聞欲を盾に、先の吐息の感情から目が離れるよう彼へと文献について尋ねてみる。)




1518: クォーヴ [×]
2024-09-20 19:34:53



>秋天(>>1515)


ふふ…光栄だよ。見事な黒薔薇たちにチウを紹介するのも、ちょっぴりスリリングな湖上でのお茶会も楽しみだな。どっちを先に体験したい?
(獲物に恐れられ拒絶されて当然の捕食者達にとって、反対に彼らから存在を求められる事はどちらかといえば新鮮に捉えられる。引き攣った顔で来るなと逃げられる事も屡々ゆえにそう遠くない未来の約束と共に無垢な笑顔を向けられて悪い気がする筈もなく、この異界でしか見られないもの、出来ないことを限られた時間の中で許されるだけたくさん経験させてあげたいと感じて、彼に倣うように此方からも選択肢を添えて未来の話を切り出して。「 勿論。チウのために創ったものだから、受け取ってもらえたら嬉しいよ 」差し出されたとてすぐに手を出さない、矢張りこの子は様々な意味で賢いなと内心で感想を抱きながら少し微笑みを深めて。硝子細工のように繊細に扱ってくれる様子が微笑ましくて思わず“ ふふ、 ”と吐息だけの笑いを柔らかく落とし「 …うん。僕だと思って大切にしておくれ。そうして、それを見るたび僕を思い出して 」最期と、死神の地獄耳に届いた言葉。いつ訪れても可笑しくないその瞬間、眼前に立つ怪物が自分であろうとなかろうと一瞬で良いから思い出してもらえたら。そんなやや危うい願望を忍ばせ、胸ポケットにて輝くそれを見ながら「 無理はしなくていいんだよ、どこであっても身に着けてくれるだけで意味があるんだから 」正装を強いるためのアイテムではないため億劫だと思う時があるならばそれも是としてほしい、最期が近いのかもしれないのだから出来る限り彼にとって居心地良く過ごせる日々でありますようにと。少しの間を置いて“ そうだ、 ”と小さく切り出し「 チウの方は?あれから他に訊きたい事は見つかったかな 」話したいことを聞いてもらって渡したいものを受け取ってもらった、次は此方の番とばかりに穏やかな微笑のまま両肘をテーブルについて組んだ手に顎を乗せ傾聴するような姿勢を取って)




1519: ジョネル [×]
2024-09-20 19:36:18



>グレン(>>1516)


君ならそう言うと思ったよ。楽しみだなあ、君たちの行く末
(記憶を奪われる体質ゆえこれまでどれだけの獲物と言葉を交わして来たのか定かではないけれど、少なくとも現時点での自分が覚えている範囲では此処へ攫われた事を幸運と捉えている人間はいなかったように思える。けれどそんな奇特も眼前の彼にはしっくり来る、よもや親しくしてきた隣人が素敵な香りのする記憶の製造工場の一端を担うことになるとは。どこかエンターテイメントとして捉えていると誤解を招きかねない言葉の裏に抱くのは彼らの間柄に無粋にも水を差そうとする者がもし居るのならば叱ってやろうだなんてお節介。先だっての問は大変概念的なものであるため回答に正解など存在しない、だからこそ彼がなぜそんなにも不安げな表情で見つめてくるのか分からないまま「 そっか、そっか。捕食者に守られる獲物…うーん、確かにそれは心強いや 」捕食者に食事として取り合われる獲物はまま居るけれど、堅牢に庇護されるというケースはそれに比較すると稀有に思える。自分が彼の立場だったならば大変剛強なアリアドネの糸を掴んだ心地になるだろうなと想像しては納得したようにうんうんと数度頷いて「 それじゃあね、グレン。クイーンへの招待状を忘れないように!あそこにある花なんかを一輪添えたら喜ぶかもよ 」目線だけで先日ダークエルフから贈られた花々を差し、黒煙のコートをちらちらと靡かせながら来た時と同じ軽やかな足取りにて扉へと向かう。ドアノブに手を掛けかけたところで「 ああぁ、それとっ 」思い出したように笑い混じりな声と共にくるっと振り返り「 腹持ちの良さそうな記憶だったよ。ごちそうさま 」あわよくばまた分けてね、普段ならちゃっかりとそう付け加えるところだがそうしなかったのは友人に配慮してのこと。今度こそ後ろ手に扉を開けば懐こい笑みのまま扉がしっかりと閉じきるその瞬間まで外側からひらひらと手を振り続けるだろう)




1520: ナザリ [×]
2024-09-20 19:38:17



>グルース(>>1517)


ンふふ、如何にも。古来より桃ってえのぁ魔除けの果実とされていてね、霊験あらたかな仙人様が口にする神聖なものである事から仙果とも呼ばれておるのだよ
(得意げに、というよりかは優秀な生徒を前にしてついつい饒舌に講釈を垂れてしまう老師といった調子で言葉を綴って「 だから物語の鬼ぁ桃を嫌った。俺も…ンはは、俺を退治したけりゃぁ桃を持っておいで 」彼の眼前に座する底の知れない鬼にも効き目があるかどうかはお楽しみと茶目っ気を出すようにゆったりと片目だけを閉じて見せて。悪魔、その単語には好色の彼女と佞悪な兄弟の顔が浮かび、愉しそうにふっと笑いながら「 いつか本当にお前さんの部屋を悪魔が訪ねて来るかもしれんよ。そん時に俺の角とどう違うか確かめてみるといい 」この屋敷に存在するのは鬼や狐ばかりではないと、半ば冗談めかしながらも実在を匂わせて。末恐ろしいと素直に感じたのは攫われてきた初夜だというのに落ち着き払っているどころか鋭い洞察をすらすらと言語化されたから。しかしそれは獲物が知る必要のないこと、ゆえに「 だとすると浪漫があるねえ 」肯定も否定もしない、そんな曖昧な応答に留めて彼からの改まった呼び掛けに「 なんだい、 」と応えた後「 桃太郎はどうだったかな…しかしその原典とも言える文献は有った筈だよ。日本書紀といってね、小さな東の島国に纏わる神話集のようなものだ。しかし漢字で書かれているから…お前さんには向かないかもしれないねえ 」クッションを撫でくり回す手を止め記憶を辿るように一度目を閉じ首を傾げて。童話を読みたがる獲物などこれまで居たか居なかったか定かでないほど珍しく、しかしこんな書物まであるのかと驚いた事から記憶に残っている文献の存在を思い出して提示するも言語の問題から難しいかと僅かに眉間に溝を寄せて「 狐の方は…封神演義なんてのぁどうだい。これは訳されたものがあったはずだ 」九尾を題材にした伝承は威厳あるものから邪悪なものまで様々。そんな中から態々後者を選ぶのはちょっとした悪戯心か、レンズの奥でニタニタと笑いながら「 長ぁくて眠くなるだろうがね。時間はたっぷりあるだろう、所望ならば届けさせるよ 」この鶏群の一鶴たる少年が部屋から出て早死してしまうよりも、自室に閉じこもり本の虫になっておいてくれる方が気休め程度ながらも長生きできるだろうし自身にとってもその方が好都合。ゆえに代償も提示せず施しを打診するように口角を淡く上げて彼を見つめて)




1521: グレン [×]
2024-09-20 21:36:33





>ジョネル( >1519


( 娯楽や余興の類と同等と捉えられていると常人であれば不快に感じる事もあるだろうか。それを笑って流せるのは、これまでの人生を商品として切り売りしていた経験ゆえの事か。どうやら無意識のうちに作り上げてしまった溝を彼は気にしていないらしい、それが分かれば安堵の息を細く吐き出し 「 その守ってくれてる捕食者も、今の所は僕のこと完全に喰い尽くしちゃう気は無さそうだから余計ね 」 先程の伺うような視線は何処へやら、茶目っ気をふんだんに含んだ物言いは冗談混じりにも聞こえるであろうか。今度こそ部屋を立ち去ろうとする彼を見送るためにその場で立ち上がり 「 今日はありがとう。うん、勿論だよ。ジョネルからもよろしく伝えておいてくれると嬉しいな 」 彼の視線を追いかけた先にある花を添える提案には “ ふふ ” と笑い声を溢すだけに留め。ゆるりとした口調で付け加えたお願いは叶えられなかったとしても特段気にする事は無いだろうが果たして。部屋を出ていく寸前、こちらを振り返る姿に不思議そうな表情と共に首を傾げるも、彼が指しているのは今夜の対価として提供した記憶のことだろうか。それがどんな物だったのか、思考を巡らせてみても皆目見当がつかないのはきっとそういうものなのだろう。口元を弓形になるように作り上げた笑みを浮かべて 「 お粗末様、また何か相談に乗って欲しい時は楽しみにしてて 」 差し出せるものは少ない身、ぽっかりと空いた寂しさを紛らわすかのように笑顔で覆い隠して。無論、あのダークエルフが頻繁にコレクションを蝕む事は許さないだろうけれど、なんて無粋な言葉は紡ぎ出す事はせずに。扉が閉まり切るまで手を振る姿を視界に捉え続け、カチャリ錠が掛かった音がすれば肩の力が抜ける。一人の空間になれば今迄であれば反省タイムそう称する時間が訪れていたはずだが、今は頭を悩ませる事が別にある。プレゼントはどういったデザインにしようか、自然と持ち上がる口角とは裏腹真剣な瞳で紙の上にペンを滑らせるだろう )


****

こんばんは、今夜の引き際かなって事でお邪魔するよ。
ジョネルと僕はきっと深く交わる事が無ければ水と油かなって所感なんだけれど、僕としては裏表が無くてすごく過ごしやすかったな。

さて、次の舞台の話だけれど役者は引き続き僕、お相手はクイーン改めキルステンにお願いをしようかな。経過日数の目安としては、ジョネルに相談した夜から三日から四日程。カフスボタンの件での相談で呼び出すつもりにしているけれど、ジョネルから何か聞いているかそうで無いかの匙加減はお任せするよ。
問題が無ければ次の返事の時にお誘いの手紙を出させてもらうつもりにしているから、何かあれば伝えておいてくれると嬉しいな。





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