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1499:
クォーヴ [×]
2024-09-08 14:04:37
>秋天(>>1496)
そう、良かった。悪夢に魘されることもなかった?
(昨夜何もかもをこの理不尽な屋敷に奪われたというのに、彼の様子からは悲壮感の類は読み取れなかった。精神的に強い子なのだろうか、それとも未だ彼が攫われてきた理由について明白には伝えていないからだろうか。今日話さなければならないことを胸に抱えながら、ふわりと漂ってくる独特な――人間の嗅覚なら食欲をそそられる良い香りと知覚されるような匂いの正体はテーブルを見ずとも判別でき「 ああ…お食事中にお邪魔しちゃって、ごめんね 」申し訳無さそうに少し眉を下げて、彼に促されるまま室内に入ってはきちんと扉を閉めて。態々椅子を引いてくれたことに“ ありがとう ”と小さく告げてから腰を下ろして、両肘をテーブルにつき手のひら同士は祈るように組み合わせてその上に自身の顎を乗せて微笑ましそうに彼の食事の様子を見守りながら「 ん? 」視線が絡まった事で彼も自身の顔を見ていたのだと気付いて淡く首に角度をつけ、そうして彼から放たれた言葉には思わず僅かながらも目を瞠って「 ……チウ。君のその優しさはとても素敵だけれど、同時にとても危ういものでもあるね 」すっと顎を引くようにして組み合わせていた両手で鼻から口元にかけてを隠すような姿勢を取り「 記憶を食べられるっていうのはね、最初からそれが君の人生で起こらなかった事になるのと同じなんだ。もし僕が君の優しさに甘えて一口、また一口って記憶を食べてしまったら、チウはどの思い出を捧げたのかも解らなくなって、自分の脳を――更に言えば自分自身の確からしさを疑う事になってしまうかもしれないんだよ 」だからその時が来たら、きっと一思いに。そこまでを肉声に乗せる事はせず、しかしあまりにも気安く記憶を、ひいては自分自身を怪物に捧げてしまいかねない彼には早く伝えねばならなかった。怪物たちが喰らうのは記憶だけではないこと、死神に喰われて命を終えられる保証もないことを「 …まずは僕から話してもいいかな? 」食事中にしたい話ではなかったけれど文脈的にもこのまま本題に入った方がよいと判断して、静かな微笑みのままに声には真摯を宿してじっと見つめよう)
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