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灰塵之城【退廃/日常】/31


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自分のトピックを作る
12: トピ主 [×]
2025-03-09 09:56:56



>11 刻灯様

(/ ご参加希望のお声掛けありがとうございます!妖しげな魅力に溢れた息子様で、表向きの柔和な振る舞いの奥に隠された冷静かつ冷徹な一面に痺れてしまいました…!素敵なプロフィールで全く問題などございませんので、ぜひこのままご参加いただけますと幸いです。初回ロルの投稿など、良きタイミングでお願いいたしますー!)

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◆滞在者名鑑

熙杰|電気技師| >4
夢莉|骨董品屋| >6
刻灯|娼館護衛|>11

◆掲示榜

概要|規則・身元記録書| >1
舞台|燼都構造図| >2

街景|https://x.gd/oMbNW
※AI生成




13: 刻灯 [×]
2025-03-10 21:39:13



>>5 / 熙杰

( 生憎の悪天候と売れっ子の我儘を天秤に掛けたならば、当然後者が優先される。末端に過ぎない自身は肯定以外の返事は無く、また当然文句も無い。黒い雨傘を穿つ音も風も一切の容赦が無く、足早に進む踵が泥土の水溜りを弾く。目的の場所はテリトリーから少し外れた商業区の裏通り。妓女がかつて籍を置いた場所の近くであり、偶に使い走りを頼まれる坩堝の街。「 老板!疑似栄養食の新フレーバーはもう入荷……っと先客が居たんだな、失敬 」辿り着いた先で傘を畳み、扉を潜れば開口一番に店主へと呼び掛けて。次いで視線の留まる先は会計の席に立つ青年の姿へ。更に次いで、連なる栄養剤の重量感へ。瞬いた瞼は小さな驚愕に依る。汚泥に滑りを増す床へ靴底を擦り付けては二人の人間が会話を交わす場所へ進んで。やはり見間違い等ではなく、彼等の間に鎮座するのは人間一人が飲み干せるとも思えない量の缶。木炭を思わせる灰色の後ろから覗き込むようにして身を折り、少々馴れ馴れしいとも捉えられる調子で感心の声を上げ )
凄いなァ、この量全部胃の中に入るのか?三日三晩目が冴えるんじゃないか?


(/参加許諾に加えお褒めの言葉ありがとうございます!素敵な世界観及び各々魅力溢れる方々に関わらせていただけること、とても嬉しいです。また主様の映画の中にいるような情緒溢れる描写、天才的な言葉遣いに大変心を射抜かれている次第です。勉強になります…!
上記熙杰様に絡ませて頂きましたが、ロルに関して相性が合わない、返し辛い等問題があれば気兼ね無く仰って下さい!)



>>all

( 暮夜を覆う蛍光色の光輝は、裏に常の腐敗臭を妊む。外見だけ豪奢に着飾った青楼の裏手は光の寄越されない路地が続き、必然溢者の隘路と成り果て。──要するに、惚れた腫れたの愛憎劇が頻繁に起こる。疑似恋愛を売る商売に悋気は付き物とは言え週に三度、四度ともなれば少々食傷気味である。女の甲高い悲鳴も脅しに唸る男の声も何度数えたものだったか。嘆息一つで心構えを済ませた後浮かべる表情は微笑、手に持つのは店名の印字された赤い提灯。底の厚いシューズで散らかった醜い塵芥を避け、ごく静かに痴話喧嘩の発生源へ。進んだ先でやがて朧気な影は確かな形を取る。無理に手を引く破落戸と肌蹴た服の女、焦った彼女の瞳は間違いなく我が店の妓女のもの。自ら褥の手解きを施した記憶も新しい少女は、闖入者へ助力を請う視線を向けていて。「 ……貴兄。折角の男前が台無しだなァ。その子に惚れ上げたなら、先ずは口説き文句を磨いてみないか? 」微笑を貫いたまま掛けた声には一切の棘が含まれない。ただ友好的なだけの声掛けも男の耳には癪として届くらしく、振り被った彼の手には小さな刃物の銀が光り。応戦の構えはせずただ口角を上げたまま、刃が肌の何処かを掠めるのを待って )


(/娼館護衛として参加させて頂いております、刻灯背後です。上記All宛てロル文を置いておりますので、無理のない範囲でお声掛け頂けると飛び跳ねて喜びます…!)




14: 熙杰 [×]
2025-03-11 11:37:13



>13 刻灯

……あいにく三日三晩じゃ足りないくらいでね。美肌効果がどうのとか女が騒いでるゼリーならそこの棚だ。
( 一度応じた後も続く店主の小言を適当に聞き流しつつ会計を済ませる最中、不意に割って入る声にわずか眉を寄せ視線を向ける。見上げた男の顔には微かな既視感があったが、深追いする気もなく、皮肉の一つも零しながら半身を返し親指で商品棚の一列を示して。入店時に聞こえた言葉から彼の求める品に察しがついたのは、彼自身から漂う女物の香水を幾重にも重ねたような過剰に甘い雑多な香りのせいであり、加えてその濃さから大方キャバレーか売春宿の従業員だろうと見当がついたからだ。店主は説教に夢中で客の注文が聞こえていなかったらしく、遅れて「おう、アレか? 最近の栄養食は進んでるからよォ、“ポリエチレン”がたっぷり入ってるんだと!」と得意げに言い添える。当然“ポリフェノール”の誤りで、仮に正しくても含有量など雀の涙。実際は合成香料と甘味料をふんだんに使い、若い女どもが好みそうな濃密な甘さに仕上げられているのが関の山だろう。歯抜けの笑顔を晒し自信満々に語る店主をわざわざ正す気にもなれず、ため息混じりにエナジードリンクの缶を二本ずつ手に取り雑に鞄へ押し込んでいき )


(/ 絡んでいただきありがとうございます~!さらにお褒めの言葉まで頂き、大変恐縮です…。こちらこそ背後様の流麗な情景描写に早速惹き込まれており、世界観の奥行きが深まるような感覚を堪能させていただいております。初対面よりもささやかながら面識があれば尚嬉しいな~と思いまして、上記のように描写してしまいましたが、差し支えなければ過去に仕事上のやり取りがあったり、賭場で卓を囲んだり(?)といった、些細な接点を持たせていただければとても嬉しいです…!)




15: 刻灯 [×]
2025-03-14 20:19:30



>>14 / 熙杰

あはは、最近の帥哥は勘も鋭ければ美容にも詳しいのか。天は二物を与えずなんて虚言も良いところだ。
( 返された言葉と共に向けられた瞳の色には僅かな記憶の残滓が蘇る。遅れて反芻した返事の内容は此方の素性を明らかに察している様子で、示された指の方向は紛う事無き目的の棚。生半可な探偵ならば太刀打ちすら不可能な観察眼に舌を巻きつつ、参ったとばかり頭を?いて賞嘆を。彼の言葉を裏付けるような店主の言も事実と照らし合わせて指摘するような事は無く、変わらずの笑みを保ったまま「 流石は先生だ、うちの子も喜ぶよ。また新商品が出た時は頼むな 」等世辞に麗句を並べる。ふらりと棚に歩み寄るとゼリーパックを五袋程片手に提げ、裏返した銀袋の成分表示を見た瞬間、ふと先程掠めた追憶の断片が形を持って。辿っていった過去の記憶は赤灯街場末の賭博場。経営するオーナーは娼館馴染みの縁が手伝って、悪巧みに目を瞑る仲である。……例に漏れず電網の不正に手を染めた彼が呼び寄せた電気技師は、確かこの髪色ではなかったか?凡そ一年前、悪趣味な天鵞絨の上で雀卓を囲んだ技術者の姿が浮かぶ。要するにその時の技師はイカサマ機械の試運転を頼まれた訳だが、もし当たりならばこの縁を逃す道理は無い。今にも袋詰めを終えようとする彼の肩に未だ自由な右手を置いて )
君!赤灯街で仕事をした事は無いか?そうだな、杜撰なコードの全自動麻雀卓……って言えば分かるかな?


(/此方こそお返事ありがとうございます!お褒めの言葉もありがとうございます、大変嬉しいです…!お言葉に甘えて「 イカサマ雀卓テスト運用のため、雀卓を囲んだ 」ことにさせて頂いております、分かりにくい点がありましたら遠慮なくお申し付けください。また特にご指摘、ご提案等無ければ此方は蹴って頂いて構いません。以上、宜しくお願いいたします!)




16: 刻灯 [×]
2025-03-14 20:24:29



>>14 / 熙杰

あはは、最近の帥哥は勘も鋭ければ美容にも詳しいのか。天は二物を与えずなんて虚言も良いところだ。
( 返された言葉と共に向けられた瞳の色には僅かな記憶の残滓が蘇る。遅れて反芻した返事の内容は此方の素性を明らかに察している様子で、示された指の方向は紛れも無く目的の棚。生半可な探偵ならば太刀打ちすら不可能な観察眼に舌を巻きつつ、参ったとばかり頭を掻いて賞嘆を。彼の言葉を裏付けるような店主の言も事実と照らし合わせて指摘するような事は無く、変わらずの笑みを保ったまま「 流石は先生だ、うちの子も喜ぶよ。また新商品が出た時は頼むな 」等世辞に麗句を並べる。ふらりと棚に歩み寄るとゼリーパックを五袋程片手に提げ、裏返した銀袋の成分表示を見た瞬間、ふと先程掠めた追憶の断片が形を持って。辿っていった過去の記憶は赤灯街場末の賭博場。経営するオーナーは娼館馴染みの縁が手伝って、悪巧みに目を瞑る仲である。……例に漏れず電網の不正に手を染めた彼が呼び寄せた電気技師は、確かこの髪色ではなかったか?凡そ一年前、悪趣味な天鵞絨の上で雀卓を囲んだ技術者の姿が浮かぶ。要するにその時の技師はイカサマ機械の試運転を頼まれた訳だが、もし当たりならばこの縁を逃す道理は無い。今にも袋詰めを終えようとする彼の肩に未だ自由な右手を置いて )
君!赤灯街で仕事をした事は無いか?そうだな、杜撰なコードの全自動麻雀卓……って言えば分かるかな?


(/文字化けしていた箇所があったため再送しております。レススペースの消費大変申し訳ございません!)




17: 熙杰 [×]
2025-03-15 16:35:21



>16 刻灯

言ったろ、三日三晩じゃ足りないくらいだって。客の顔なんか一々覚えるほど暇じゃ──いや……、
( 過剰なほどの賛辞を並べ立てる男にも、彼の世辞に機嫌を良くした店主が調子外れの鼻歌を口ずさむのにも特に関心を示さず、ただ黙々と缶を鞄へ押し込んでいく途中、肩に手を置かれればそれを払う様に振り返り。相手の問いに対しては素っ気なく否定の意を示そうとしたものの、正面から彼の顔を捉え、その口から発せられた言葉を耳にすれば、それをきっかけに呼び覚まされる記憶の中に浮かび上がるのは一年程前、仕事で訪れた赤灯街のとある賭場の一室──薄暗い室内に並べられた深紅の天鵞絨のソファと、中央に鎮座するのはやけに安っぽい金属枠の全自動麻雀卓。依頼主である賭博場のオーナーは「最新型の不正装置だ」と誇らしげに胸を張っていたが、実際に目にした機材はすべて型落ちのガラクタばかりで、制御基板に至っては十年前の産廃レベル。プログラムも不具合だらけで肝心のイカサマ機能もまともに作動せず、テスト中は勝たせるはずの家が意図せぬ牌をツモっては振り込むなんてこともザラだった。次々と発覚する問題に応急処置を施しながら、何度も牌を積み直し、確認を繰り返し…まともに動作したのは夜が明ける頃だったか。あの一夜の疲労感と苛立ちの記憶とともに彼の姿が当時の情景の中に鮮明に浮かび上がれば、眉間に寄せた皺を解き、重たい瞼を少し擡げて )
……ああ、言われてみりゃ居たな、確かに。あんた、あのオーナーの知り合いだったか?




18: 通りすがりさん [×]
2025-03-20 07:37:11



名前:禽 慧琳(キン フェイリン)
年齢:26
性別:女

容姿:顎あたりまでの淡い生成色の髪は柔らかく、まるでふわりと空気を内包するかのようなそれは容易く風に弄ばれる。耳の高さでボリュームを出し全体的に菱形のシルエットを形成。毛先を自然なように外側へ跳ねさせて、左横髪は耳に掛けている。露わになった耳にはシルバーのシンプルなロングタイプピアスが光る。目にかかる前髪も外側に跳ねさせ、七三分けにかき上げ。そこから覗くヘーゼルを映した瞳は桃花眼。素でも長い睫毛に、鼻は小さく、唇は薄め。陶器の冷たさを連想させる肌を持ち、最低限の化粧と控えめなネイルを乗せている。白色のノースリーブのホルターネックブラウスに黒いジャケットを羽織り、同色でスリット入りミモレ丈のチャイナ風タイトスカートを着用。手脚は健康的に細いものの、服を纏っていても分かるメリハリのある体型は、5cmの黒いヒールローファーで167cmの身長となっている。

性格:帯びているミステリアスな雰囲気とは裏腹に、物怖じせず明朗闊達で前向き。くよくよ悩んだり考え過ぎたりせず切り替えが早い傾向にあり、物事や状況を肯定的に捉える節がある。現実的楽観主義に類似している一方、悲観的な部分は表に出さないようにしている、というより、それを含めネガティブな面を素直に出せないのはプライドの高さがそうさせているから。気が強く負けず嫌いで積極的な言動が目立つが、実は結構繊細だったりする。

住処:西部上層の一端、他を圧するが如く建っている豪勢な屋敷が住い。縦ではなく横に広大な平屋。中華の伝統建築を模し高級宿さながら、黒い瓦に白い塗壁、大小形が様々な窓や数多の部屋を有しており何処も彼処も塵埃の同居を許していない。スイートルームを彷彿とさせる自室は余白が広く、居間、寝室、浴室、簡易キッチン、トイレが完備され、ここで生活が完結出来てしまう。白を基調とし、灰色の床、黒で統一された家具というモノトーン調で構成。シンプルながらそれらは一目で高級品であることを主張してくる。

備考:カジノBlack Rose Hallの運営に携わるマフィア「鷹眼会(インイェンカイ)」のボスの娘。正妻の子。"禽"や"鷹の眼"と聞けばその界隈は元より、富裕層や権力者間で知らぬ者は居ないほどの規模と実力を誇る。生まれながらに贅を極めた環境の中、周囲の多様な物事を見聞きし育った結果、醜穢な大人の世界に引き摺り込まれるのが嫌で、遅れてきた反抗期よろしく次期後継者候補のひとりとしての役割や言い付け等々に従う気はなく、いつも何処かへ社会科見学という名の逃避をしている。だが根底では諦念に至っており、何れ定められた路線を歩む覚悟を少しずつ積み上げている最中。



(/失礼いたします。とても魅惑的で巧妙な世界観に唆られ、ぜひ参加いたしたく思います。上層の人間、尚且つ勝手にカジノ運営組織を作ってしまい、なんだか恐れ多い気持ちでいっぱいになりながらも提出しました。稚拙ではございますが、ご精査をよろしくお願いいたします。)




19: トピ主 [×]
2025-03-20 16:33:47



>18 慧琳様

(/ ご参加希望のお声掛けありがとうございます!まさに孤高の華という言葉が似合う素敵なお嬢様で、創作いただいた組織も世界観のディテールがより深まって大変感激です!ぜひご参加いただければ幸いです。良きタイミングで初回をお願いいたします~!)

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◆滞在者名鑑

熙杰|電気技師| >4
夢莉|骨董品屋| >6
刻灯|娼館護衛|>11
禽慧琳|門閥令嬢|>18

◆掲示榜

概要|規則・身元記録書| >1
舞台|燼都構造図| >2

街景|https://x.gd/oMbNW
※AI生成




20: 刻灯 [×]
2025-03-21 21:43:29



>>17 / 熙杰

( 苦労が皺の形として浮かび上がるに伴い、彼は記憶の中に己の姿を見出したらしい。払われた手に苦笑を浮かべたのも束の間、瞼の裏から現れた瞳に既視感の意を見出して。何れにせよ此方を既知の仲と定義してくれればしめたものだ。街においては得意先に繋がる人脈こそが飯の種となる。畢竟、上客とのパイプを持つのは信用と技術を得た基盤業。此の目で確と見届けた彼の仕事振りを見るに、まず自棄な仕事に泡銭を課す悪徳の輩では無いだろう。尤も、イカサマに加担する行為が不正か否かと問われれば口を閉ざすより他はないが、少なくとも得意先の数箇所が金脈である可能性は固い。胸中に隠した思惑は口にする事無く応えたのは最後の問い。「 大正解。知り合いと言うか……お得意様のお呼び出しには誠心誠意応えなきゃいけないのが末端の定めでね、世知辛いものだ。君もあの時はお疲れ様 」先程言い当てられた探し物から、大凡此方の身分について見定められている事は察しが付く。これ以上言葉を用いるのはは蛇足だろうと隠し衣嚢から取り出したのは簡素な白いカードに女の名前と電話番号、そして娼館の名前が記された、所謂名刺と称されるもの。然して平常の名刺と異なるのは内部に薄型の集音用解析回路が仕込まれている事。例のオーナーお気に入りの彼女は、限られた資材の中此の名刺を自作した才女である。娼妓として名を売る前に就いた職はきっと碌でもない商売だろうが、彼女は実際その狡賢さを以て売上を占める。──ICカード型の盗聴器を、その仕掛けが見抜かれるだろう事も折り込み済みで彼の口許に触れさせて。本職から見れば拙い技巧に頼った薄型のカードは彼が受け取れば其の儘。受け取らなければ重力に従い鞄の上へと落ちる筈。賭けに乗るか否か見定めるべく再び口を開き )
自己紹介がまだだったから、代わりにどうぞ。とは言っても多分、俺が何者かは見当がついているだろうから……君が興味を持ちそうな子を紹介するよ。ふふ、「良い子」なんだ。




21: 熙杰 [×]
2025-03-23 15:15:10



>20 刻灯

……なるほどな、そっちもご苦労なこった。
( 鼻先でひと息抜き、乾いた声で応じる。彼の言葉の端々に滲む腹の底を見せないしたたかさは、謂わば街に生きる者の生存本能のようなものだ。人と人、組織と組織が入り組み互いの繋がりが全てを左右するこの世界では、信頼を得ることが最も価値ある資産であり、それを築くためには絶妙な距離感と巧妙な駆け引きが必要になる。彼もそれを深く理解しているからこそ、こうして間合いを測りながら言葉を並べてくるのだろう。そして彼の手から差し出されたのは一目には何の変哲もない娼館の名刺だが、それが単なる連絡先に留まらないことにはすぐに察しがつく。本職の目からすれば粗野で拙い作りだが、それでも最低限の技術が仕込まれた薄型のカードで、そこに内蔵されているのは追跡機能か盗聴機能といったところだろう──相手がこちらの反応を測ろうとする意図は明白で、一呼吸おいて彼の探るような視線を受け止めた後、二本の指でカードを挟んで受け取れば、羨ましげな店主の視線を避けるように反対の手に持ち替え、改めて紙面に目を走らせて。こちらが興味を持ちそうな「良い子」、その言葉から読み取るに、名刺に名を刻まれた女がカードに細工を加えた張本人であると推測できる。売春婦という職業からは到底結びつかない技術力にまんまと興味を唆られるまま、後ほど持ち帰って丁寧に分解するつもりの名刺の端を指で軽く弾いて尋ね )
赤灯街の『牡丹』…ああ、あの胡散臭い外装の娼館な。「良い子」ってことはそこそこ人気の嬢なんだろ。それとも、あんたを通せば優遇して貰えたりすんの?




22: 禽慧琳 [×]
2025-03-27 12:24:58


>5 熙杰

(この世の不純を包蔵した濁水が連れてくるのは歓迎される好事か、将又忌避ける禍災か。それがケープ型の黒い外套を無情に打つ感覚や、回転数の速い己の足元を乱暴に汚す事を慮るには甚だ困難な状況にあり、兎に角何処でもいいから何処か姿を晦ませる所を一心不乱に探していた。偶さか目に入った古色蒼然たる佇まいの店のドアを派手に開け弾んだ息と共に身体を滑り込ませると、フードも取らず色濃い焦りを隠し忘れた視線を送る。流暢に思考している暇など自分には与えられておらず、刹那でさえ今は惜しい程切羽詰まっており、側から見ても明白であるだろう。自分から滴り落ちる悪水で店内を濡れ濡させながら咄嗟に視界に入った2つの姿の元へ歩を早め近付けば、外から死角になるカウンターの脇へと縮こまって隠伏するよう座り込み、より一層フードを目深く被る。そして、立てた人差し指を口元に持ってくれば2人に向かって「しー」っと内緒である意を伝えると、程なくして次第に近付く叫声の如き声が耳に届いてきたかと思えば無頼漢様の2人が荒々しく入店して来て内1人が「おい。此処に黒いフードを被った女が1人、来なかったか?」と焦慮に駆られ苛つきながら聞いてきて)



(/大変遅くなり申し訳ございません。承諾してくださりありがとうございます。また、称賛していただき恐悦至極に存じます!主様をはじめ他の参加者の皆様と共に物語を紡ぐことが出来るのだと思うと、たまらなく嬉しいです。不束者ですがよろしくお願いいたします。
熙杰様に絡ませていただきましたが、早速何やら不穏な空気にしてしまいました。懸念等ございましたら何でもご教示いただければ幸いです。)



>13 刻灯

(宵闇を焦がす電飾は誘客を意図して華やかに手招きしているが、反対に淡い寂寥を感じるのはその裏に様々な晦冥を伴っているからか。どこか己との同質を茫と抱きながら相も変わらず下層へと赴いてきたのは威令から逃れる為。自分が居なければ他の者が代行するだろうと常々の安易な考えを携え漫然と歩を進めていた。此処に来るまで、この地域がそういう場が多い事もあるだろうが、大なり小なり男女の痴情の縺れを視界の端へと追いやりながら、彼等もまた蓋しその最中かと通り去るところで反射した金属の光を目が捉えた。対して黒い漢服姿の男性は臨戦態勢を取っていない。恐竦したか故意的か、あれこれ考えるよりも先に声を張り上げていた。「ちょっと!!随分探したわよ…!こんな所で何やってんの!」俄に不意を突かれ動きを止めた凶漢へツカツカと足早に近付けば両手を腰に当て憤然たる様相を呈し、傍らの乱れた衣服の女性を指差しながら「てか、その女誰!?あ~、また浮気したの?私という女が居ながら!これで何回目よ!だいたい貴方は──……」目の前の刃物男は初めて見る顔で、会ったことも話したことも、勿論交際相手であることも無い全くの赤の他人。だが、さもそのようであるかのように振る舞い、周囲の様子などお構い無しにくどくどと捲し立て。これで立ち去ってくれれば良いが)



(/刻灯様に絡ませていただきました。売春宿の用心棒というだけでも掻き立てられるのに、更にその中身の奇怪な魅力に感銘を受け、絡みたい衝動に駆られて気付いたら絡み文を投稿しておりました。拙劣でお恥ずかしい限りですがお付き合いいただければ光栄です!)





23: 熙杰 [×]
2025-03-27 17:41:27



>22 慧琳

( 積み上げた缶山を前に店主の呆れ顔を適当にやり過ごす最中、不意に店の扉が荒々かに開かれたかと思えば、湿潤な冷気とともに黒いフードを目深に被った女が転がり込む。ただならぬ切迫感を漂わせる彼女は即座にカウンター脇へと身を滑り込ませ、指先を口元に当て沈黙を促す合図により窮迫の状況に陥っていることは明らかだが、他人の事情に関与する義理も無ければ厄介事に巻き込まれる前に立ち去るのが得策だろうと判断の下、さっさと鞄に缶を詰め込み、重量を増したそれを背負って退散しようとした矢先──店主の狼狽した視線が横合いから突き刺さり、今更見て見ぬふりを決め込むのも難しそうだと悟れば、喉の奥に重い溜息を滞らせ。その折、店外より響く怒号が空気を裂き、続くようにして扉が乱暴に叩き開かれた。雨滴を振り払いながら踏み込んできたのは粗暴な風体の二人組。鋭利な視線に苛立ちの滲んだ口調、怒気を孕む態度に気弱な店主は「ヒィッ!」と喉奥で悲鳴を絞り、禿頭を抱えて身を縮こませる。その反応を横目に舌打ちを噛み殺し、努めて無関心を装うままカウンターに手を掛け素っ気なく応じて )
……んな女、見ちゃいねぇよ。あんたら、雨宿りの客に片っ端から声かけてんのか?


(/絡んでいただきありがとうございます!緊張感溢れるドラマチックな幕開けにドキドキしております。レスペースについてはどうぞお気になさらず、ご負担のない範囲でゆるりとお話しできれば幸いです~!)




24: 刻灯 [×]
2025-03-27 22:00:08



>>21 / 熙杰

そりゃあ勿論、俺の持てる限りで手厚くもてなすよ。まァそんなことしなくても、君みたいな好男子ならうちの子の方からしなだれ掛かるね。
( 目論見は一先ず成功。指に絡め取られた紙に視線を遣れば顔を綻ばせ、幾度か首肯しては厚遇を約束して。実際の所脂下がった成金、端金を手にしたアウトロー気取りを相手にする事が多い妓女達からすれば、彼の容貌は歓迎に値する者に違いない。己が手を下さずとも彼女の招来に熱が入る事は必至である。「 ──あ、老板、会計を頼む。……此処の店の品はうちの達の間でも評判が良いんだ。店主も気さくで頼りになるって噂が流れるくらいでね、良ければ顔を見せてやってくれると嬉しい 」ゼリー飲料を抱えたままの左手を会計のカウンターに乗せ、連々流れる世辞と共に、灰髪の彼に渡したものとは異なる名刺を机面に滑らせて。些か下手な字が媚を売る此方は何の種も仕掛けもない、単なる手描きの営業名刺。恐らく店主は駆け引きを然程好まない質と見ている。偶の営業も明るい気質の子を選んで勧めているが気に入られなくとも些事。誠意を貼り付けておけば大事にはなるまい。計算を胸の内に秘め会計を済ませては、購入した袋にパックを詰めて肩に掛けて。身を翻した後に思い返したのは彼の言葉。胡散臭い外観で想起されるならば、通り掛かった事くらいはあるのだろう。加えて欠片程の興味でも存在するならば営業を打たない手はない。踵を返すと潜めた声で耳打ちし、誘いを掛けて )
……良ければこれから案内しようか?荷物なら心配しないで、俺が持ってあげるよ。



>>22 / 禽慧琳

( 振り上げた銀が掠めるのは腕か頬か、被害者面の下準備は整った筈だった。予想を裏切られたのは瞼の横に影が過った瞬間、捲し立てるその声音に一瞬理解が遅れて。此の場に四人、当事者の存在が増え──当事者、か?言葉に追いついてきた理解からすれば彼女は破落戸の情人として責め立てているのだろうが、彼と彼女を恋人として定義するには釣り合いに無理がある。暗闇でも分かる質の良い服に良く手入れされた髪、姿勢の良さに滲む育ち……推察すればする程、路地裏で恋情の悶着を起こすような輩には見えず。数秒の間、彼女以外此の場の全員の思考が停止した。破落戸さえもが振り上げた刃の所在に惑う中、ふと浮かんだ思惑に一歩足を前に出す。彼女と悪漢の間に身を割り込ませるよう滑り出れば焦ったような表情を創り上げて。「 ……は、お嬢様ではありませんか!なぜこんな場所に!それに火遊びはお止めになって下さい、幇主がどれ程気を揉んでいるか! 」叫んだ言葉は勿論出鱈目の継ぎ接ぎ。節々に散りばめたワードに関わると面倒な事になる、裏社会の上流、等の含みを持たせては横目で刃を握り締める男を見遣る。案の定脂汗を垂らした男は身を翻して塵の街へ消え、残された路地には三人。その内一人は言葉少なに立ち上がり、重い脚を引きずって娼館の内側へと駆けていく。終いに、佇む隘路は外野の闖入者二人。屈めた腰は彼女と目線を合わせる為、少し眉根を寄せ心配している風な表情を浮かべては相手の両手を取って )
……助かったよ。だけど小姐、刃物を持った男に単身乗り込む無謀は感心しないな。


(/絡んで頂き、またお褒めの言葉までありがとうございます!拙劣だなんてとんでもない、美しい描写に乗せられたお嬢様の鮮烈な華麗さと苛烈さを噛み締めております…!お話させて頂けることとても嬉しいです!
またロルについて、分かりにくい点や相性等問題があれば気兼ねなくお申し付けください!)




25: 熙杰 [×]
2025-03-28 17:55:16



>24 刻灯

……それはどうも。あんたみたいなのが居りゃ店もさぞ安泰だろうな。けばい外壁も磨きがかかるってもんだ。
( 耳障りの良い言葉に柔和な笑み、場を軽妙に仕切る話術は商売人の胡散臭さを感じさせぬどころか爽やかさすら纏う。こうした手練手管は百も承知の筈が、知らずのうちにその調子に乗せられている自分に呆れつつも不思議と不快ではなく、もはや一種の芸の域とも言えるだろう。賛辞に皮肉を忍ばせながら指先に弄ぶ名刺をポケットへ滑り込ませれば、一方、カウンターに差し出された名刺を拾い上げた店主は細めた目を一層和ませ「おっ、ありがとよ。お嬢ちゃんたちにもよろしく伝えといてくれや」と上機嫌に応じる。その様子を横目で捉えながら手際よく鞄へ缶を押し込み、荷を収め終えれば質量を何倍にも増した鞄を持ち上げたところで、先に支度を整え店を出ようとしていた男が足を止め再び歩を戻す気配に顔を向けて。男が耳元に落とした囁きに「……今から?」と、つい反射的に平常の声量で問い返してしまえば、彼の計らいに倣い声を抑えるべきだったと気づく時には既に遅く、案の定それを拾った店主が透かさず横合いから「行ってこい、行ってこい。お前さんはもう少し“栄養”を摂った方がいい!」などと先程の小言を引きずるように茶化してくる。余計なお世話だとばかりに無言で一瞥をくれてやるが、向こうは意に介するどころかその反応すら面白がるように肩を揺らすばかり。男の誘いは確かに魅力的だが、あいにく今は廓遊びに興じる余裕はない。短い返答と鞄を軽く掲げる仕草で断りの意を示し、肩に背負い直せばそのまま店を後にして、降りしきる雨音に足音を溶かしていき──。 )
至れり尽くせりだな。……けど悪いが、この通り当分は缶詰だ。仕事が片付いたらそのうち寄らせてもらうわ。


(/再会の一幕をありがとうございました!お話しさせていただくほど刻灯様の溢れ出る魅力に引き込まれております…!この後、宜しければ数日~数週間後に飛ばして場面転換できればと思っておりますが、いかがでしょうか?お約束通りこちらから『牡丹』に赴くでも、再びお仕事で一緒になるでも、あるいは道端やお店で偶然再会するでも何でも大丈夫です。もしご希望等ございましたらご教示くださいませ!)




26: 刻灯 [×]
2025-04-03 19:08:13



>>25 / 熙杰

──数日後 p.m.19:00

( 宵に差し掛かる廓の中、大騒動が部屋を賑わせている。人々の口の端に上るのは頂点のひとつに君臨する妓女の失踪劇。曰く情人の手を取っただとか、曰く木陰でひっそりと首を吊っただとか、曰く楼主のお手付きになっただとか。赤壁の館は口さがない有形無形に満ち、客も妓女も浮足立っている事此の上無い。己も人手として駆り出される従業員の例に漏れず、噂話の中を駆ける最中である。「 あの姐さんがまさかねえ。いつもツンと澄まして、よく分からない暗号ばかり口にしてたのに 」「 嫌だ。お得意のうちの誰が本命だったのかしら 」「 はいはいお喋りはそこまで、折檻部屋に押し込まれたくなかったら支度する。また後で寄らせてもらうからね 」パンパンと手を鳴らし、燥ぐ夜の蝶たちを追い遣って。人一人欠けても客は急かすことを止めないし、増して当の美人目当てに足を伸ばした来者ともなれば却って催促に熱が入る。度重なる応対の暇を塗っては事情聴取を続けるも、収穫と呼べそうなものは雀の涙。恐らく今日明日は寝間着に着替えられないだろう。──一旦、外の空気でも吸おうか。娼館内に彷徨く妓女と客からは粗方の聞き取りを終えた所である。少しくらい席を外しても……最悪、徹夜の時間が伸びるくらいだろう。決断してしまえば後は早い。娼館入口から漏れ出る夜の冷気に身体を傾ぐと、扉を押して赤提灯の下に姿を現し )


(/此方こそ素敵な幕引きをありがとうございました!過分な程褒めて頂いて恐縮です、明晰な熙杰様の魅力と紡がれる文章に此方もとても楽しませて頂いております…!
ご提案も有難うございます。お言葉に甘え数日後まで飛ばしております。「電子名刺を渡した妓女の失踪」なんて展開はどうかと思いまして、上記ロルを記載させていただきました。解決に向けて奔走するでも真相は謎の儘交流を進めるでも何方でも良いのですが、もし問題ないようでしたら此方に続けて頂けると幸いです…!)




27: 禽慧琳 [×]
2025-04-04 01:31:43



>23 熙杰

(脅嚇めいた問い掛けは、この空間を恐怖と憂懼に染め上げる。それは紛れも無く自分自身の事を指しており反射的に肩が小さく上がった。店主同様身を硬くしつつ、けれども客であろう彼に意識を向けて如何に返答するのか、懐抱した不安と根拠の無い期待も併せて己の心臓が早鐘を打つ。注目した彼の口から発せられた言葉は、自分を挺するものではなく反対に擁護するもの。それを聞いた無頼漢達の目には猜疑と焦燥が浮かぶも、彼の問いは更なる追い討ちとなりこれ以上の詮索は無用である楔となった。行き場を失った憤懣を舌打ちに込めて答えの代わりに返すと「テメェら、もしそれらしい女を見たら伝えろ…鷹の眼が探してるってなぁ。」と吐き捨て殺気立った睨みを余韻に荒々しさを増した足取りで張り詰めた気と共に店から出て行った。刹那の静寂の後、店内の空気は愁眉を開き自分も身体の力と安堵の息を抜いた。そしてカウンターの脇から出て立ち上がるとフードを取り相好を崩して「ありがとう!!しつこい鬼で困ってたの!」と相手に感謝を言いごっこ遊びのそれに準えたあたり心底からの怖気は無く、むしろ享楽的なスリルを感じている様子を見せ。)




>24 刻灯

(案の定、この場で動いているのは唯一自分のみ。取り敢えず、脳裏に湧き上がってくる何処かで聞いた定型文を次から次へと矢継ぎ早に言い募る。粗暴ものに言動の隙を与えないよう。途中、刃物が自分に向かってくるのではと懸念が過ぎるも杞憂に終わったのは、視界全体が黒い漢服に変わったから。だが憂慮を含んだ言葉を大袈裟に叫ばれると、相手の口から発せられたその内容は此方の身元を知っているかのような物言いで心臓が跳ね上がり、息を呑んで僅少ではあるが瞠目する。今度は自分の時間が止まる番。鷹眼会の身内の者か──否。よく似ている背格好はいるがこの顔に見覚えは無く、単なる出まかせであると思考が辿り着くまで暫し時間を要した。礑と気が付けば紛擾の2人は居らず、目の前には夜陰に映える輝きを放つ銀白の髪の彼が。憂いを見せる相手に「だって、あれは条件反射というか……そもそも貴方がただ突っ立ってるから!」と苦し紛れの言い訳を返すも、それが危険を冒す理由にはなり得ないことは十分承知の上。兎に角夢中だったのだ。取られた両手が小刻みに震えているのに漸く気付いたのはそれからで、あれ程威勢の良い啖呵を切っていたのにも関わらず、実のところ無意識に恐怖を感じていた事が露見する事に対し羞恥のようなものを感じて手を離し切り替えるように笑みを作り)

兎に角、誰も傷付かないで良かったじゃない!めでたし、めでたし!!



28: 刻灯 [×]
2025-04-07 18:16:39



>>27 / 禽慧琳

俺が棒立ちになっていた理由より、君が此処に居た理由のほうが気になるけどね。君のその服、その髪、その肌、どれを取っても春をひさぐ女の子のものじゃない。と言うか、労働の匂いすら感じない……
( 肩を竦めて糾弾を躱す。先程の混乱に紛れて転がった提灯を足で蹴り、端に寄せるとその光を避けて。……彼女の機転のお陰で窮地を脱したとは言え、震えを宿す手は隠しようもない。触れているお陰でよく分かる其れは明るい声に遮られ、また宙に浮く事となった。恐らく此処でお開きにしたいのだろうと見当をつけては片目を細め。然し解散するには相対する人物の素性、道理、目的等全ての情報が不透明過ぎる。この茶番劇が誰かの差し金で無いとどうして言えるだろう。娼館で吐き出される精以外の何かは、昨日も今日も明日も何処かで奔流となっているのである。──打算のみで構成された内心はおくびにも出さず、ただ全貌を見定めて。「 ……傷つかなかった?ふふ、結果論だとしても面白いなァ 」狭い路地裏で蹴り上げた片足は、彼女を挟んで小汚い壁に留まる。離された手は再び細い手首へ。先とは違い片腕のみだがぎり、と込められた力は柔らかな拘束の比ではない。鼻先が触れ合うほどに近付けられた顔には露悪的な表情が浮かび、薄く刷かれた笑みが印象を助長する。その意図が脅しである事は明白だ。助太刀に飛び込んだ善良な少女を脅すのは心苦しいが、此れもまた自身の定め。頬を滑った唇を耳に寄せ、不釣り合いな静かさで言葉は紡がれて )
俺が悪人で、君がこれから傷付く可能性だってあるのに。……いや少し訂正だ。君の態度次第では、この場に悪人が一人増える。




29: 禽慧琳 [×]
2025-04-11 07:42:00


>28 刻灯

(己へと向けられる関心は疑問というより懸念に近いか。穏和な光源が遠ざけられ周囲は仄暗い闇に包まれる。剣呑な雰囲気が漂い始めた頃には警鐘を鳴らすのは遅過ぎた。自分はこの界隈ならざる者──謂わば異物。それは見る者が見れば容易く見抜かれる訳で。さっさとこの場を立ち去りたい。だが、後ずさろうとした足は彼の一笑に止められる。「何よ……っ…!」何が面白いのか言い返そうとした矢先、一瞬何が起こったか分からなかった。己の背後に置かれた長い下肢に退路を断たれ、手首は歴然たる力の差に軋み、そして視界は彼の端正な偽悪に支配されていた。思わず息を呑み目を剥く。薄暗さが手伝い五感が聴覚に集中しやすい中、耳元に近接した口から発せられた怖いほど静か過ぎる囁きは、一層自分の内に響いた。痛みと恐怖に顔が歪むのが分かる。おめでたいのは、どこかで高を括っていた自分の頭の方だったのだ。号哭出来たならこれらの感情も幾分か和らいだだろうか。だが、それすら含め余計な言動をしてはならない、そもそもしようと思う事自体、湧き上がらせてはくれなかった。取り敢えず自分が此処に居た理由を話さなければ。漸く絞り出したか細い声で「…た、偶々……っ…、」偶然通りかかっただけであり籌策で無い事を続けたかったが、吐息が震えて発声が上手く出来ず声を呑む。むしろ好都合だったのかもしれない。真ではあるが彼はそんな答えは求めていない。核心を素直に言明しない事には納得も通用もしないだろう。後継者候補ともあろう人物がこの先も起こり得る脅しに屈するなど聞いて呆れられる。現状、自分にはこうするしかない。俯いて一度瞼を落としグッと意を決したように力を込めた後、渇いた口内に残された僅かな唾で無理矢理喉を湿らすと声の震えを努めて押し殺し静々と「そんなに知りたいのなら教えてあげる……逃げてるの…お父様の命令から。……貴方がさっき叫んだあれは作り話なんかじゃない」素性を明かせば逆に利用されるかもしれない。しかし自分に手を出せば報復が返ってくる。背後にあるあまりにも強大過ぎる傘が自分に降り掛かる禍災を避けていた。素性を明かすか明かさないか迷ったが後には引けない。顔に影を作ったまま呟き)

私の名前は……禽…慧琳…。



30: 刻灯 [×]
2025-04-16 18:41:35



>>29 / 禽慧琳

禽……?
( 当然ながらその名は既知。一帯で幅を利かせる巨大資本に疎くなれる程此処の治安は良くないし、それでなくとも名を売っているのが件の禽である。その字を騙るのがどれ程の禁であるのか知らない者は馬鹿か死者だ。辿々しく告げられた父の魔手、逃避行を語る彼女の素性は此方からすれば最悪もいい所の出自である。……とすれば、次の一手も謙るばかりでは不足となる。咄嗟に判断したのは二つ。彼女の肢体を解放するように手を離すことと、さりげなく逃げ道を塞ぐこと。先程までの態度を一変させれば自身の胸に手を当てて、謝罪の礼の形を取って。「 很抱歉。淑女を相手に失礼いたしました。うちの蝶達に何も手を出さないのであれば、此方も今回の件を醜悪な外聞に変えるつもりはありません。厚かましいのを承知の上で申し上げますが、此処は寛大な措置をお願いしたい。……お姫様 」彼女を利用できる程、否彼女の後ろ盾を利用できると思い上がれる程自惚れていない。後ろ暗い所を持つ彼女の身の上ならば、手っ取り早く共犯の顔を浮かべていた方が話は早いだろう。言質を取るまでは此の場から彼女を逃すつもりはなく、解放したはずの距離を一歩詰める。無論脅迫と共犯を笠に着るだけで済ませるつもりもない。これから先の提案に少々のリスクは伴うが所詮、己の身一つだ。若しも彼女が次代を背負う首級になると言うのならこの先の提案は渡りに船の筈。首だけで見回した狭い路地裏の奥の奥、明かりの漏れる煩い街に視線を遣って。一、二、三と指を立てる。誘導した瞳を覗き込んでは迂遠な言い回しで反応を探り )
それとも本当に、火遊びを代価として差し出しましょうか?幸い此の街はそういった享楽ごとに事欠かない、何処へなりとも案内できる。言い換えてしまえば、俺の差し出せる対価は色街へのアクセスでしかない、ということにもなるけど──暗部へのパイプだって、アクセスがなきゃ持てないでしょう。




31: 禽慧琳 [×]
2025-04-23 03:18:55



>30 刻灯

(顔を上げ姫呼ばわりし詫びる相手を案の定かと沈着に見つめる。手のひらを返した彼の態度は例外でなく、掛け値無しに禽へのものであり、正しくその名は耳に届いていたらしい。上層は自明のことながら下層の俗評にもなりつつあることは相手の反応を見るよりも前から捉えていた。拘束が解かれ軽微たる痛みの残る手首を摩りながら一先ず安堵の胸を撫で下ろすように息を吐いたのも束の間、再度威圧に囚われ動けなくなる。頑なに留めようとする相手の口から次に発せられたのは、己の逃避を手助けすることだった。彼の視線を追い、賑やかな明かりの喧騒にチラリと視線のみ送った後、立てられた指を見遣り彼の黒光りを揺れる瞳で見返しながら思ってもみなかった提案の思索に耽る。うちの蝶達、即ち華やかに舞う妓女達という単語から彼は売春宿の者。此処ら辺りのアクセスは勿論、有益な情報にも通ずり得る可能性がある。上層は組織でも個人的にでももう手が行き届いているが暗部へはあまり無く、今後の事を考慮すれば正直なところそれだけでも嬉しい。尚且つ逃避も出来るとなると一石二鳥。が、それ以外にも要求する事は我儘だろうか。しかし姫というのは元来そういった性質が多い傾向にある。自分をそう呼んだ彼が悪いと転嫁すれば口元に弧を描き「……分かった。貴方の大切な蝶達に決して手出しはしない。端からする気なんて無かったし。でも、対価がそれだけじゃ、ねぇ……」見せつけるよう大袈裟に手首を摩りながら更にもうひとつ所望した。それで何か情報を得られれば良いが、ただの話し相手では面白味がない。それに、ここまでで彼には辣腕さを言動に感じており単に案内役だけで終わらせるには惜しい。それはついでだった。冒頭の刃物男を捲し立てた度胸は微塵も上げず、眉を曇らせ儚げなさを強調し)

案内役兼護衛ってことでなら手を打ってあげてもいいけど……こんな、か弱い女の子をひとりで放り出す気?



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