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オリジナルキャラなりきりチャット
自分のトピックを作る
221:
エレナ [×]
2023-12-06 20:28:43
>>219 レアリゼ様
銃声の数を数えながらレアリゼの言葉を聞いてエレナは確信する。気が狂ったのではない。これが彼女の本性だ。人を傷つけることを喜ぶ化け物、それが正体。そう解釈したエレナの頭の中を、あの時は感じなかった妬み、理不尽感がじわりじわりと支配する。彼女は、いや、奴は人の家族を簡単に奪う存在でありながら、自分は家族が大好きなのだ。自分の家族は大事なのに、他の人間の家族はどうでも良いのだ。そんな理不尽があって良いわけがない。6発目の弾丸が柱の表面を削る音を聞きながら、エレナは右手に持ったナイフを握りしめる。奴がそう言うのであれば、次は頭を撃ち抜いてやる。なんとしてでも正義を行使しなければならない。
そのタイミングで射撃が止まる。様子を伺うために顔を出すと、レアリゼが持っていた鋸目掛けて駆け出す姿が目に止まった。
「させないっ…!」
しかし弾を装填し直す必要があるため、すぐに射撃はできない。エレナは柱の裏から飛び出して咄嗟に銃の側面のレバーを引き、飛び出てきた空薬莢を右足でレアリゼ目掛けて蹴り飛ばした。狙撃銃で使われる薬莢であるためそこそこな大きさを誇ってはいるが、距離もあるため当たったところで小石を一粒投げつけられる程度の威力にしかならないだろう。しかしこの距離から何か手を加えるにはこれしか無かった。
222:
アナスターシャ・カルヴィシェフ [×]
2023-12-06 22:24:53
>220 ティオさん
「……バカ正直な奴ね……アンタがグリフォンなのは知ってるわよ、派手に戦闘もしてるところが目撃されてるらしいし」
疑いを向けたにしては、かなりあっさり他人を信用してソレ以上の追究をしないティオを正直すぎると言いつつ、目の前のグラスに注がれていたカンポットを飲み切ると店員にハーブティーを頼む。
そして、ティオをグリフォンだと知っている理由を簡単に説明する。しかし、実際には彼女が経営する企業はロイヤルクローバー内でも屈指の情報網を持っていることと、表向きにはグリフォンとの契約なども行うビジネス相手であることから相手の所属先を知っているだけである。
「確かに『北』は、隠れ家にピッタリだけれど流石にこんな普通の喫茶に出てくるほどキメラの連中も馬鹿じゃないと思うわよ?」
キメラを探しているというならたしかに『北エリア』は、人通りが他エリアより極端に少なく隠れ家に最適だ。しかし、逆に人数が少ないエリアということは少ないなりに人がそれなりに集まる喫茶店などに気軽に立ち入れば、足取りを掴まれる可能性が人の多い場所に住むより遥かに高くなる。
そのため、立ち寄るならこういうただの喫茶など店舗ではなくもっと人通りの少ない郊外の方が捕まりやすいだろうと話す。
223:
レアリゼ [×]
2023-12-07 18:23:40
>>221様
あと少しで手が届く。左手を前に伸ばし右腕ごと鋸を掴もうとした瞬間、金属音が響いた。何事かと音のした方向へ振り向くと、蹴り飛ばされた空薬莢がこちらに迫ってくるのが見えた。その空薬莢は徐々に視界の大部分を占めるようになり、そして丁度左目に当たった。小さく悲鳴を上げながらも、右腕を掴んでその断面を既に少し二の腕が生えかけるまでに回復していた右肩に押し当てた。肉同士がぶつかる生々しい音を立て、僅かに血が飛び散った。そうして数秒後、完全にくっついたのか左手を離しても落ちることはなく、それどころか数回回転鋸を素振りしても問題ない程度には回復していた。
「ふふ、ここからが本番、とでも言いましょうか」
最初は躊躇ったスイッチを、今度は躊躇なく押す。チェーンソーを連想させるエンジン音の後、ギュインと刃が回転し続ける特徴的な音が周囲に響き渡った。肉を裂く事に特化した、今まで何人もの人間を屠ってきた文字通り血塗られた刃が、今度は女性に──友人に向けられていた。
「行きますよ」
薬莢が命中した目を、左手で覆ってそのまま指で押し潰した。その時の音と血を合図に、友人のもとへ真正面から駆け出した。半分ほど走ったところで膝を曲げて屈み、それをバネにして一気に跳躍し、自分から見て左、丁度友人の右手を狙って叩き付けるようにして回転鋸を振り下ろした。
224:
ティオ [×]
2023-12-08 22:01:23
>>222 アナスターシャ様
「おぉ! それ本当か!?」
予想した通り、やはり自分の噂が広まっていたと信じ込み、思わずその場で力強くガッツポーズを取る。その時に肘がテーブルにぶつかって揺れ、ティオのカップから数滴ミルクティーが飛び散って机を汚したが、そんな事はお構い無しな様子だ。きっと視線の先でハーブティーを注文している彼女は悪い奴ではないのだろう、とティオは確信した。なぜならティオの噂を知っているキメラがティオと遭遇したら恐怖で逃げ出すに違いないからである。と自信に満ち溢れた考察をしながら女性の話を聞いていると、かなり参考になる意見が飛び出してきた。
「確かに、流石にここは無いよなぁ…」
流石のティオもこの喫茶店がアジトだと信じ込んでやってきたわけではなく、あくまでも吹雪を凌ぎつつ、キメラを捕まえれればラッキー、程度の感覚でこの店に入ったのだ。しかしここをあたる前にもいくつか候補はあったため、確かにここに入ってしまったのは無駄足だった。再び出ようかと考えて窓を見つめていたが、猛烈な吹雪の中を再び出歩く気にもなれず、残念そうにテーブルに備えてあったナプキンで左腕に装着している盾の表面に付着した水気を拭き取り始める。
225:
エレナ [×]
2023-12-08 22:19:29
>>223 レアリゼ様
エレナの目論見は達成されたが、僅かな足止めにしかなってくれなかった様子に軽く舌を打ちつつ、鋸の元に辿り着いたレアリゼの次の動向を観察するために距離を詰めずに様子を伺う。だが左腕だけであの大物をどう扱う気なのか、と頭に浮かんだ疑問はすぐに解消されることとなった。
「腕が…!? それが能力ね!」
くっついてしまった右腕に驚きつつも、エレナはこれまでのやり取りを思い出していた。喫茶店での自傷行為、交戦する事を「傷つけ"合う"」と表現した事、そして右腕を吹き飛ばした時の反応。傷の再生が能力であればある程度納得がいく場面達だ。
納得しているエレナに構う事なく鋸を向け、次の瞬間突っ込んで来たレアリゼを迎え撃ちたいエレナだが、まだ装填は完了していない。代わりに右手に持ったナイフを逆手に持ち替え、鋸を受けようと試みる。しかし回転する刃に安物のナイフが勝てるはずもなく、すぐに回転に巻き込まれてエレナの手から弾け飛んで床に虚しく落ちる。
「ぅああぁっ!!」
ナイフ一本程度で勢いが落ちるはずもない回転鋸は、そのままエレナの右腕を縦方向になぞるように掠め、長い裂傷をエレナの腕に刻みつける。焼けつけような痛みが右腕に走り、思わず声を上げたエレナだが、すぐに顔を上げて素早く周囲とレアリゼの様子を確認して情報を一気に頭に押し込み、一拍置いてエレナはレアリゼの足を払うように蹴りを繰り出した。回転鋸を振り下ろしてバランスが崩れている今なら、上手くいけば転倒を狙えるかもしれない。
226:
レアリゼ [×]
2023-12-09 10:59:11
>>225様
ナイフを弾いて、その勢いのまま友人の腕を裂いた裂いた感触。痛みで悶える悲鳴に飛び散る鮮血。そう、これこそが私の求めていたものだと歓喜した。しかも相手は友人のエレナさん、いつもとは違って余計に昂っていた。これまで傷付け合った相手は、善人か悪人かに限らずその殆どが他人同士という関係だった。しかし今の相手は違う。関わり合った時間こそ短いが、十二分に友人と言える人なのだ。今まで出会ってきた人をヒエラルキーで表すなら、最上位である両親の真下、友人の枠組みに位置するのが彼女だ。それくらい大切な存在を、ヒエラルキーの最底辺に位置する有象無象にいつもやっているみたいに、鋸で体を裂いたのだ。それはまるでルールを破っているような、禁忌を犯しているような気分だった。してはいけなかったという思いと、禁忌を犯す快感と、悲鳴と鮮血が飛ぶ悦びとが混じりあって、狂ったような笑い声を上げた。先程自分で潰した左目から、血の雫が頬を伝って流れ落ちた。
「あはっ、あははははっ、ハハハハハハッ!!!!ッッハハハハハハァ!!!!」
さあ次だ。次はどんな悲鳴を上げてくれるのだろう。どんな風に血が舞ってくれるのだろう。次は足か、手かどちらを狙おう。そんなことを考えながら回転鋸を引き戻そうとして、足に強烈な衝撃を感じた。鋸を引き戻そよりも一歩速く繰り出された友人の足払いが命中したのだ。文字通り足元を掬われて尻餅をつき、「ぁぐ」と小さく悶えた。反撃しようにも、左脚の拳銃は弾切れで既に捨てている。もうひとつ右脚のホルダーに仕舞っている拳銃は右手で回転鋸を保持しているのですぐには抜けない。回転鋸は持ち手を展開しているので大振りの攻撃しかできず、それは尻餅をついた今行うことは難しい。つまり完全に隙を晒すことになった。
227:
ニーナ・グラス [×]
2023-12-10 15:15:58
>>218おばあさん
「えへへ」
指切りに応える老女に嬉しそうに笑う。約束は好きだ。互いにそう思いたいからと願うために交わすそれは、叶った時のハッピーは計り知れないぐらいに幸せで嬉しい。思わずこうして笑いが浮かんでしまうほどに。
ぎこちない空気は自分の自己紹介でかき消される。悲しいことと辛いことは無い方がいい。良かれと思った行動が間違っていないと分かる度に言い知れぬ安堵感が襲う。それを気づかれぬようにいつもの様に敵意の一切ない笑みを浮かべた。老女からの自己紹介にパァ……とさらに嬉しそうに頷く。これだから人と関わることを嫌いになれない。向けられる厚意をしっかりと受け止められることが嬉しいのだ。
「アデルさん!ニナ覚えたよ!ニナの家族はママだけかなぁ。ニナが産まれる前はパパが居たらしいんだけど、ニナはママが居てくれるだけで十分にハッピーなんだ!アデルさんは?」
家族のことを聞かれて素直に答える。自分自身に血を分けた兄が存在していることを知る由もなく、ましてはその兄が目の前にいる老女が所属しているユニコーンのメンバーだというこそさえも知らないままに純粋な瞳で老女に問いかけるのだった。
(/了解しました。その認識で進めますね。質問に答えてくださってありがとうございます)
228:
エレナ [×]
2023-12-10 20:59:47
>>226 レアリゼ様
狙い通り転倒したレアリゼの姿を確認し、すぐにポーチに手を突っ込んで弾を取り出す。慌てているためか、ポーチから弾がいくつかポロポロと落ちて床に当たって軽快な金属音を奏でるが、それを全て無視して慣れた様子で銃に弾を込めてレバーを引いて装填を完了させる。迷いが大きかった先程に比べて僅かに早くなっているその動作は、エレナの中から迷いが消え始めている事を示唆しているようだ。
「そうやって笑いながら沢山の家族を八つ裂きにしてきたのね。…これは罰よ。あなたを始末したら、あなたの家族の頭にもこの弾丸を撃ち込むわ!」
倒れ込んだレアリゼに話しかけながら銃口をレアリゼに向ける。本人はシャドウではないと言い張っているが、その表情からは溢れんばかりの復讐心が滲み出ており、鋭い眼光はレアリゼの再生した接合部を睨みつけている。
ふと、エレナの頭に考えが浮かび上がる。ここで一撃で命を奪うよりも、痛みつけた上で地獄に送ってやる方が彼女に命を奪われた沢山の人たちにとっては幸せなのでは無かろうか。その考えは、レアリゼを仕留めるチャンスを逃してしまう判断をエレナに選ばせてしまった。
「まずはあなたに傷つけられた人達の痛みをそっくりそのまま刻みつけてあげるわ」
そして、投降を呼びかけた時に宣言した通り、レアリゼの左腕手首に狙いをつけて引き金を引いた。装填の時間と判断を下すまでの時間を合わせると体勢を立て直す程度の時間はかかってしまっていたが、レアリゼの動きに合わせるとエレナがどうしても後手に回ってしまうため、これ以上判断を渋る余裕は無かった。三度轟音が響き渡り、銃口が火を吹いた。
229:
エレナ [×]
2023-12-10 22:43:25
>>228
(/「三度」は「再び」の延長の感覚で「みたび」という読みで使っています。読み返してみたら3発発砲してるような表現になってしまっていたため補足、訂正です!)
230:
アデル [×]
2023-12-11 22:52:50
>>227様
指切りを交わし、さらに自己紹介をすることでどんどん笑顔になっていく姿を見て、こちらも嬉しい気持ちになる。やはり子供は笑顔でいてくれた方が良い。辛い雰囲気になるよりは、明るく楽しい雰囲気の方がお互いにとっても良いだろう。
「ほう、母親だけとな……」
この様子だと本当に何も知らない、聞かされていないようだ。果たして今ここでこの子に真実を伝えるべきか迷った。実は兄がいるのだと、その兄はずっとアンタを気にかけていたのだと。この兄妹が一方的な関係のまま終わってしまうのはあまりにも悲しく、真実を告げるべきだと一人の老人としての自分は言う。しかし、その兄がユニコーンという荒事ばかりの危険な組織に所属している以上、その存在を知ってしまえば争いに巻き込まれる可能性が格段に上昇してしまうから絶対に伝えるな、とユニコーンのリーダーとしての自分は言っている。どちらの言うことも正しく、一体どうすべきかと思考を巡らせた。
結局結論は出ず、あまり黙り込んでいると心配されてしまうかもしれないので、ひとまず質問に答える事にした。
「あたしは独り身さ。きょうだいも夫もいない。だけど寂しいと感じた事は一度もない。親との思い出は、ずっとあたしの心の中で生きてるからね。アンタも、親孝行はできるだけしておきな。後で公開しても遅いからね」
231:
レアリゼ [×]
2023-12-11 22:57:28
>>228様
「お父さんと、お母さんに……?」
今、何と言った。聞き間違いでなければ、両親の頭を撃つ。そう聞こえた。これは罰だと彼女は言った。罰と言うなら、私はいくら傷付けても痛め付けても構わない。だけどお父さんとお母さんだけは。私みたいなクズにも沢山の愛をくれたお父さんとお母さんだけは、絶対に傷付けさせない。
その時、久しく抱いていなかった感情が沸き上がった。怒りだ。今の自分を客観的に見れば他の人を殺すのはいいのに自分の両親は駄目だと言うのは二重規範だと指摘されるだろう。しかしながら、ヒエラルキーの最上位である両親と、どうでもいい最底辺や一段下の友人とでは扱いが違うのは当然、なんら矛盾など存在しないと心の底から考えていたのだ。
「そんなこと許さなあっっがぁッッッ!!」
すぐさま立ち上がり、怒りに任せて鋸を振ろうとして、再び轟音。威勢のいい声は悲鳴に変わり、血を撒き散らしながら衝撃で左に一回転しまた膝を着いた。先が失くなった左腕からはどくどくと血が流れ出し、焼け付くような激しい痛みが左腕から伝わってきた。しかし、この痛みと血の匂いが、自分を感情のままに動く獣から思考のもとに動く人間へと引き戻した。ゆっくりと立ち上がり、深紅色の右眼と治りかけで白目まで真っ赤に染まった左眼で友人を見据える。彼女は強い。武器も強力で判断も早い。先程のように、物理的に傷を付けるだけではすぐに冷静になって対処される。ならば言葉で惑わすしかない。そして二度と両親を脅かすことのないよう、二度と銃を撃てないような体にしなければならない。
少しの沈黙の後、狂ったように笑いだした。その狂気的な笑い声とは対称に、右手で回転鋸の持ち手を折り畳み始めた。片手で畳むのはやはり無理があるのか、何度か回転する刃で自分の体や足を傷付けたがそんなことは気にも留めなかった。
「ふふ……ふふふふ……あはははは……あっはははははははははははははッッ!!!!……エレナさん、さっきあなたは私のお父さんとお母さんを撃つと、そう言いましたよね。どうしてですか?それが罰だからですか?罰なら私一人を痛め付ければいいですよね。どうして何の罪もない私のお父さんとお母さんを巻き込む必要があるんですか?……その答えは簡単です。エレナさん、あなたは私と同じ、理由を付けて人を傷付けたい人間だからですよッ!」
この言葉自体に意味は無いわけではないが、重要なのは友人がどういう人間だとかではなく、この言葉を聞いて動揺なり怒りなりで少しでも判断が鈍ってくれることだ。少しでも言葉に気を取られてくれれば、今度こそ腕を切り落とせるかもしれない。
床を蹴って友人のもとへ駆け出し、折り畳んだことで取り回しの良くなった回転鋸を振り下ろす。狙いは銃を持つ腕だった。
(/訂正の件、了解しました!)
232:
エレナ [×]
2023-12-12 11:51:01
>>231 レアリゼ様
恐らく「許さない」、と発言しかけたレアリゼの腕を撃ち抜き、エレナはさらに苛立ちを覚えた。許したくないのはこっちだとなぜ分からないのだろうか。
「次は…、どこに撃とうかしら」
鳴り響く悲鳴に表情をさらに強張らせ、銃の側面のレバーを引く。空薬莢が排出されて床に転がる。これをあと何度繰り返せばこのおぞましい化け物が積み上げてきた罪に匹敵する罰になるのだろう。3発か?10発か? そんな事を考えながらポーチの中を探る。先ほど床に弾を落としてしまったせいで残りは4発しか残っていない。元より狙撃1発で任務を終えるエレナは普段から100発も200発も弾薬を持ち歩かない。とても、非常に残念だがこの4発で決着をつける必要があるらしい。
だが、弾を受けてのたうち回ることしかできないと考えていたレアリゼはあろうことか会話を持ちかけてきた。そしてその内容は、エレナの装填動作を止めるのに十分な役割を果たした。
「あなたの狂気に気付けなかった。あなたの凶行を止めなかった。それが罪じゃなきゃ…!」
しかしエレナが言い終わる前にレアリゼが動き始めた。振り下ろされる回転鋸を前に、本能的に装填のために銃を持っている左腕で防御体勢をとりながら必死に体を捻って刃から逃れようとするが、避けきれずに回転する刃が左腕の肉を抉った。
「…っ!! ぁあ…ぁ!」
右腕を軽くなぞっただけの先程に比べて遥かに強烈な激痛が左腕に走り、緊急回避で地面を転がりながらうめき声を上げる。追撃されないように素早くレアリゼに背を向けた状態でなんとか膝立ちになり、だらりと垂れ下がった左手でなんとか握っている銃に弾を押し込み、レバーを引く。背を向けた状態なためレアリゼが別の場所を見ていればエレナが装填を終える姿を見れなかったかもしれない。
233:
レアリゼ [×]
2023-12-12 22:30:49
>>232様
切断を狙った一撃だったが、さすがの判断力、回避行動を取られてしまった。だが当初の目的通り動きを鈍らせることは出来たようで、腕に大きな裂傷を作ることには成功した。あの傷の深さなら動かすこともやっとのはず。さらに手にしていた銃は1発ごとに装填が必要で、その装填にも時間がかかる代物。近接武器のナイフは既に弾き飛ばしている。何か撹乱などで時間をかけても、持久戦になればなるほど再生能力を持つ自分が有利。つまりこの戦いの主導権は自分が握っている、自分が圧倒的優位に立っている。友人は背を向けているので何をしているかは分からないが、大した抵抗はできないだろう。そうした驕りが、“装填を完了させた動作”を“苦し紛れの抵抗の準備”と誤認させた。つまり今、友人が既に銃を撃てる状態に入っているとは思いもしていなかった。
自分が優位に立ったと思って余裕が出来た為か、回避鋸のスイッチを切ってまた会話を始めた。今度の会話には、隙を突く意図は一切含まれていなかった。
「もしかしたら誤解されているかもしれないので、訂正しておきましょう。私のお父さんとお母さんは、本当に良い人なんですよ。薄汚い孤児のガキだった私を拾って育ててくれた、まさに聖人といっても過言ではないくらい良い人なんです。そんな二人に、実は私がどうしようもないクズだって言える訳がないですよね。だから全部隠してるんです。キメラだってことも、狂っていることも、何人もの人を傷付けたことも。
私が一人暮らししているのだって、私が救いようのない人間だって知られたくなかったからだし、何より争い事に巻き込みたくなかったからなんですよ。狂気に気付けなかった?それはそうですよ、両親の前では徹底して狂っている事を隠していましたから。凶行を止めなかった?当然です。だってそもそもお父さんとお母さんは知らないんです。私がキメラとして活動して、多くの人を傷付けていることを。知らないのなら止めようがないでしょう?」
はぁ、と一息吐き、回避鋸の持ち手ごと右腕を胸に当てた。
「だから、悪いのは全部私なんです。身勝手な理由で他人を平気で傷付けられるような、救えないクズみたいな私が悪いんです。私が悪い。悪いのは私。全部私が悪い……」
ずっとネガティブな思考に浸っていたからか、また虫が煩い羽音を立てながら周囲を飛び交うようになり、廃棄物や汚泥が混じったドブの底のような、不衛生で反吐が出る臭いが漂い始めた。ああ、そうだ。私が悪いのは正しい、だけど本当に悪いのはこいつらなんだ。この虫けら共が、このゴミ未満の臭いが、いつまでもいつまでも付きまとっているから。こいつらを潰す。こいつらを潰せば全部元通りだ。こいつらさえいなければ。
正常な思考能力は、もう残っていなかった。
「うあああぁぁっぁぁぁああああっっ!!!」
狂ったように何度も回転鋸を自分に叩き付ける。一撃、また一撃と自傷する度に、鮮血が舞った。その姿は、一ヶ月前喫茶店で見せた奇行を彷彿とさせるものだった。
234:
エレナ [×]
2023-12-13 20:06:12
>>233 レアリゼ様
レアリゼの言葉に、エレナは背を向けたまま唇を噛み締めた。レアリゼの言っていることは正しい。あの時たまたま周囲に居たキメラの存在に気付けなかったのはむしろ自分自身だ。こいつらの凶行を止めれなかったのは自分自身だ。そのせいでエレナは家族を失ったのだ。故に「知らなかった」では罪は正当化されない。今でも心を抉り続ける後悔こそがその証拠だ。
「そう…、でもごめんなさい。私だって何も悪くない両親をあなた達キメラに殺された。もう取り返せないなら、同じ痛みを知ってもらうしかないの。恨むなら自分を恨みなさい、化け物…!」
そう言い放ち、エレナはなんとか立ち上がって振り返り、右手でレアリゼにとっては「弾が入っていないはず」の銃を向けた。が、またもやレアリゼは自傷行為を始めた。エレナはひとつ疑問を感じた。発現者の能力は、その個人の願いに関連したものが発現する。となるとレアリゼの能力はよく分からない。怪我を治したいと願ってあんな再生能力が発現したのであれば納得がいくが、レアリゼはむしろ自分を傷つけている。
「あなた、何を願ったの…?」
引き金に指を置き、エレナは問いかけた。この引き金を引くと、レアリゼの頭部目掛けて弾丸が発射され、恐らく彼女は死ぬ。いくら再生能力があろうとも、脳をこの威力で貫かれたら再生の余地もなく即死だ。そして、それと同時にエレナの右肩もとてつもない負担を受け、痛みに耐えながら動かす事はできたとしても次の発射はない。本来ならば両手で反動を制御するこの銃だが、だらりと垂れ下がって血が滴り落ちる左腕ではそうはいかない。
235:
レアリゼ [×]
2023-12-14 19:37:50
>>234様
「ぅらぁいッッ!!」
何度も鋸を叩き付けた事で既に千切れかかっていた左腕に、さらに強く力を込めて鋸を振り下ろす。当然耐えられる訳もなく、手首まで再生していた筈の左腕は肘から下が切り落とされてしまった。だがこれでひとまずは落ち着いた。音は遠のき、臭いも薄くなった。大きな溜め息のあと、肩を上下させて深呼吸する。傷は時間をかければ治るが、疲労までは治せない。先程のを沈めるのに体力を使いすぎてしまった。次の行動に支障が出そうだが、友人は既に手負いで銃も撃てないはず。今は何をしているのかと、のっそりとした動作で顔を上げて友人を見やった。
銃口が、自分の頭に向けられていた。何を馬鹿な。あれには弾が入っていないはず……いや、まさか、本当に入っているのか、あの腕で装填を済ませたというのか。本当に装填されているなら、確実に頭を撃ち抜かれる。そうなれば即死は必至だ。先程までは自分が優位だと思っていたのに、いつの間にか逆転されていた。ふふ、と自嘲の笑みがこぼれた。
じっと銃口を見つめていたが、予期していなかった問いかけに真顔になる。何を願ったか、か。ただ音と臭いを消し去りたいと言えばそれだけで済む話ではあるが、何故だろう、今は身の上から話したい気分だった。
「……私、元々はスラムの生まれなんです。暴力や略奪は日常茶飯事で、残飯がご馳走になるくらい食べるものもないような酷い場所でしたよ。その日その日を生きるのもやっとで、食べるものもないから文字通り泥水を啜って生きてきました。そんな環境だから当然体なんて洗えなくて、汚れたらそのまま。だから私の体は次第に常に虫が集るような、汚れまみれで悪臭を放つ不衛生な体になっていました。……その時の、私の周囲をずっと飛び交う不愉快な虫の音
羽音と、体中にこびりついた汚泥と廃棄物と下水道のドブが混じったような臭いが、ずっと私の中に残ってるんですよ。聞こえる筈のない音、臭う筈のない臭いが、ふとしたときに現れるんです。勿論病院にも行きましたよ?お父さんとお母さんには内緒で。だけど治りませんでした。結局幻聴と幻嗅は骨の髄まで染み付いたまま……」
息継ぎのためまた深く深呼吸する。そして、回転鋸を腹部に当てて一気に横に引く。鋭い刃が服ごと皮膚を切り裂き、鮮血が舞った。
「でもひとつだけ、この忌々しい音と臭いから逃れる手段があったんです。それは傷付け合うこと。スラム時代は暴力を振るわれることも振るうこともよくありました……何度死にかけたことか。だけど痛みによる悲鳴が虫の羽音をかき消して、むせ返るような血の匂いがドブみたいな臭いを誤魔化してくれたんです。
病院でも治せなかった音と臭い、その苦しみから解放してくれるのは悲鳴と血だけ。だから私は願ったんです。臭い匂いと苛立つ虫の羽音を消し去りたいから、長く長く傷付け合える力が欲しいと。その結果、手に入れたのがこの力なんです」
切り裂いた腹部の血を、手で乱雑に拭き取った。まだ血の痕が残っているので分かりづらいが、傷口は既に塞がっていた。
「あなたの言う通り、私は化け物です。人と傷付け合うことでしか生きられない化け物。生まれるべきではなかった化け物、それが私なんです。……あなたも、そんな化け物を放っておくわけにはいかないでしょう?」
鋸を落とすようにしてその場に捨てた。がしゃん、と大きな金属音が周囲に響き渡った。
「ひとつ、約束してほしいことがあります。私のことは好きにしてくれて構いません。でもその代わり、私のお父さんとお母さんには危害を加えないと誓ってくれませんか。……もし約束を受けない、あるいは破るというのなら、あなたを殺します。例え私が死んでも、あなたを殺します……」
236:
エレナ [×]
2023-12-15 19:33:44
>>235 レアリゼ様
腕を落としても腹を裂いても死なない化け物が愛する家族のことを話している。気持ちが悪い、とエレナは感じた。彼女が話した経緯があろうとも、化け物のくせに、キメラのくせに家族を守ろうとする彼女がとても気持ち悪かった。エレナから問いかけていながらも、レアリゼが話している最中に引き金を引いてやろうとも思った。しかし、結果エレナはレアリゼが武器を投げ捨てるまで引き金を引けなかった。なぜならエレナは心の片隅でレアリゼの事を可哀想だと感じてしまったからだ。
「何…それ…? これじゃまるで私が……」
思わず口から声が漏れ、それを自分で認識した途端に思わず銃を取り落としそうになった。自分はどうなっても構わないが、家族を殺されるのは嫌だ。それはあの時エレナが思った事と全く同じで、エレナの両親を殺害したキメラを根絶やしにするつもりが、いつの間にかエレナがあの時のキメラと同じ立場になっている。
そんな事はあってはならない。だがエレナはキメラを根絶やしにしなければならない。となるとエレナに取れる選択肢はひとつだけだ。
「…ええ、あなたの言う通りになるのは心の底から嫌だけど、家族を守りたいあなたの頼みだけは…、受けてあげるわ」
静かにそう告げ、エレナは引き金を引いた。狙いはレアリゼの頭部。轟音が鳴り響き、片手では反動を制御しきれずにエレナは銃から手を離し、銃が宙を舞う。しかし、片手で撃ったからか、弾丸はエレナの腹部を目掛けて飛んで行く。撃った瞬間に手応えでそれを悟ったエレナは目を見開き、自分の右手を注視して声を上げる。
「…外した……!! また、私は外したっ…!?」
237:
アナスターシャ・カルヴィシェフ [×]
2023-12-16 00:37:30
>224 ティオさん(インフルでダウンしておりました・・・申し訳ない)
「……よりにもよってなんでこんなところに探しに来たのよ? 北エリアがいくらキメラが潜んでる可能性が高いからって、アンタが行動できなくなってりゃ世話ないわ」
しょぼくれた様子で吹雪で濡れた盾や装備品を拭いている相手を見ながら呆れたように北以外で探したほうが効率的には良くなるだろうと話す。
「アンタの格好も問題ね、雪を舐めすぎだわ……まだここに早いこと辿り着けたから良かったけどそのまま外歩いてたらアンタ野垂れ死んでたわよ?」
明らかに吹雪の中を歩く格好とは思えないティオの格好に更にダメ出しを入れつつ、店員が運んできたハーブティーを一口飲むと仕事か何かでとても疲れているのか大きなため息混じりの吐息で大いにリラックスした様子を見せる。
238:
レアリゼ [×]
2023-12-16 16:30:17
>>236様
「ありがとう、ございます……」
胸に手を当てて安堵の表情を浮かべる。本当に自分勝手で虫の良い願いだと思っている。だけど、受け入れてくれた。やはり彼女は良い人だ。少ししかお話できなかったけど、友人になれて良かったと心の底から感じた。
目を閉じて最期の時を待つ。脳裏に浮かぶのは、やはり両親の姿。自分のようなろくでなしにも沢山の愛をくれた、愛しい両親。その恩は結局返せなかったけれど、二人の娘でいることができて幸せだった。願わくば、自分の事など忘れて幸せに生きてほしい。
「さようなら。お父さん、お母さん」
そして、一発の銃声が響いた──
…………目を開ければ、無機質な天井が見えた。どうやら仰向けに倒れているようだ。それにしてもこの天井、知らない天井……ではない。ずっと戦っていた、あの空き店舗の天井だ。まさかまだ生きているのか?いやそんな筈はない。確かに頭を撃たれた筈、と右手で顔や頭の隅々まで触れて、そこで初めてどこにも傷が無い事に気付いた。うそ、と小さく声を漏らしながら上体を起こせば、腹部に穴が空いているのが見えた。まさか、外れたというのか。それとも敢えて外したのか……。
「ぁあ……頭じゃなくていいんですか、エレナさん……?これくらいでは私、死にませんよ……?」
239:
ティオ [×]
2023-12-17 18:41:09
>>237 アナスターシャ様
(/大丈夫ですよ! インフル流行ってますし急に寒くなってきたのでお大事にしてください!)
「みんな北には来たがらないからな。そんな中で俺がキメラを見つけ出してとっ捕まえたら一気に勇者になれるだろ? そう仲間に言われて来たんだよ。…いやー、あいつらもたまにはいい事言うもんだぜ」
ティオにとっては素晴らしい作戦だった仲間からの提案だが、要は上手く言いくるめられただけでその本質はただ誰も行きたくない北エリアの巡回を押し付けられただけである。ティオがある意味グリフォンの中で名が知れているのはこの扱いやすさが大きく起因しているのだろう。
得意げに話していたティオだが、軍服の女性の指摘には苦虫を潰したような表情を浮かべる。
「それは…、あ、ほらこれ。最悪こいつで暖を取れるからな!」
思いついたように盾を見せびらかせ、スイッチを入れると盾が紅く輝き、みるみるその表面の温度が上昇していく。暖かい店内でも女性にほのかにその暖かさが伝わるほどの温度を持つその盾は、銃器を主に扱う彼女の目にはもしかしたらかなり珍しいものに見えるかもしれない。
240:
エレナ [×]
2023-12-17 21:37:05
>>238 レアリゼ様
「撃ったわよ…、私の狙撃は外れない…。なのに……!」
消え入りそうな声でレアリゼの言葉に答え、膝から崩れ落ちて座り込む。その後ろで、硬い音を立てて手元から離れた銃が床に落ちる。視界の隅にきらりと外の光を反射する何かを見つけて視線をやると、先ほど取り落としたナイフを発見する。そのナイフを手に取ってレアリゼにトドメを刺すか、背後に落ちた銃を拾って弾を装填して今度こそレアリゼの頭部を撃ち抜くか。いずれの選択をしたとしても恐らくレアリゼの回復は追いつかないだろう。
だが、エレナの体は動いてくれない。代わりに一筋の涙がエレナの頬を伝い、床を濡らす。相当の覚悟を決めて引き金を引いたのを皮切りに緊張の糸が切れてしまったのだ。
「なんであなたが…、キメラなのよ……」
大事な局面で再び銃撃を外したショックを始めとした様々な感情で頭の中がぐちゃぐちゃになりそうになる中、エレナはレアリゼに問いかけた。その問いが全く持って意味もなければ答えも無い内容である事は重々承知しているが、問わずにはいられなかった。もうそこには落ち着いた優しい女性も、復讐に燃えるユニコーンの姿もなく、ただ非常な現実に打ちひしがれるあの時のエレナの姿が何も変わらずそこに存在していた。
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