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【 指名制 / Remake 】耽溺のグランギニョル【 提供人外 / マルチエンド式 】/1573


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自分のトピックを作る
1487: 執事長 [×]
2024-09-05 23:04:16



>新規住人(ラミア♀)を追加しました!
 【https://grand-guignol.hatenablog.com/entry/monsters


>ご新規様・常連様・お試しの方等々、演者様を募集中です[ 今夜の案内役:ラザロ ]


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1488: グレン [×]
2024-09-06 08:57:22





>ジョネル( >1484


ふふ、分かったよ
( 同意を示すように朗らかな笑みを浮かべながら首を縦に一度。きっと今迄であれば誰が何度この部屋を訪れようともどこ吹く風な様子を想像していたであろうが、前夜の邂逅の様子を思い返せば己とて問い詰められるだろう未来はなるべく避けたいもので。対価として差し出すには十分だったらしい事は彼の瞳を見れば何となくの察しはつく。短く、そして外からはバレないように安堵の息を吐き出していたのも束の間、己では理解する迄に至らない講釈へと僅かに怪訝な表情を浮かべ考え込む素振りを見せ 「 …嗚呼、なるほど。何となくだけど合点がいったよ 」 以前あの激しい嫉妬心を向けられた夜にハイネから言われた言葉。目前に座する彼にはきっと何の事か分からないだろうが一人納得すれば促されるままに右手を差し出し、手の甲へと彼の唇が触れようとした瞬間バチッと爆ぜるような音と自身には見覚えのありすぎる色の閃光は警告の意味合いが強かったのか、はたまた己には害が無かったのか。少なくとも己にとっては痛みを感じるよりも驚きの方が強く数回ぱちぱちと瞳を瞬かせた後に 「 ……ふ、あははは! 」 込み上げてくる笑い声を堪える事が出来ずに。暫くした後、目尻に浮かぶ涙を彼の掌に乗せたのとは反対側の人差し指で拭い取りながら巫山戯半分の口調で 「 ごめんごめん、どうやら僕自身を対価に出す事はご主人様が許してないみたいだ 」 きっと理由を言えば限定的であったとしても許されるだろう事ではあるが、少なからず今現在は守りの効力が発揮されているらしい 「 ごめんね、対価は次に会う時でいいかな?それまでにハイネと話しておくからさ 」 真正面に彼を捉える真剣なそれはこの屋敷の中で心の拠り所となっているダークエルフが絡んでいなければ向ける事は無かっただろう。眦を細めながらゆるり首を傾げて見せて )





1489: 秋天 [×]
2024-09-06 12:55:37


>クォーヴ ( >>1486 )

( 意識がぼんやりと浮上する。布団の中で寝返りを打って、しばらく微睡んだ後ゆっくりと身体を起こした。殺風景な部屋をぐるりと見渡し窓を見つけるとベッドから降りてカーテンを開ける。外が真っ暗なことに驚き早く起きすぎたのかはたまた寝すぎたのかと数秒思考するも、そういやこの世界はずっと"こう"なのだと思い出すと強張った肩から力が抜けた。太陽は登らない。季節も巡らない。では窓枠に絡みつくこの黒薔薇たちは一体何を糧に呼吸しているのだろうと考えて、わかるはずもないなとすぐに手放した。「朝焼けが見たいな……」心の声が口を出る。普段僕の一日は朝の陽射しを浴びることから始まっていたから、あの真っ白い光は二度と拝めないのかと切なくなった。沈みかけた思考を振り払うとシャワーを浴びるべくバスルームに向かって歩き出す。上着を脱ぐと鎖骨の辺りで首飾りが跳ねる感覚がして動きを止めた。小ぶりなターコイズがぶら下がった華奢なネックレス。去年のクリスマスに母から貰った大切な贈り物だが、意匠が中性的な気がして普段は服の下に忍ばせる形で身に着けていた。室内灯を反射した濃い水色の宝石にそっと触れて目を閉じる。耳鳴りがしそうなほどの静寂にのしかかられて、半端に服を脱いだまま一歩も動けなくなってしまった。僕はこの静かな部屋で一生を過ごすのだ。夢じゃない。夢になってはくれやしない。そうしてしばらく立っていたが、首飾りの冷たさに促されてゆっくりと動き出した。熱い湯で髪を洗い、全身を流してバスルームを出る。備え付けのタオルで水気を拭き取って、いつの間にか洗って畳まれていた制服のシャツに袖を通した。スラックスを履いて、手に取ったネクタイは数秒考えた結果元の場所に置き直す。学校にいるときよりラフな着こなしで適当に髪を乾かすと、これまたいつの間にか昨晩のシチューとスープが配膳されていたテーブルに腰を下ろした。「カラスくんだよね?ありがとう」姿は見えなかったので虚空に向かって呟いて食卓の香りを吸い込んだ。美味しそうにできてよかった、一人じゃなければ完璧なのに。そう考えたところで思い浮かんだのは彼の姿。また明日、を強請ったのできっと向こうから部屋を訪れてくれるはず。でもそれっていつ頃だろう。まだ眠っているかな、起きているなら何をしてるだろう……そんなことを考えながらパンを千切り、蔦で覆われた窓を見ながら口に含んで。 )


僕が……いいのかな。とても光栄だよ。演者の名に恥じないよう、一生懸命いのちを描こうと思う。
初回文はこんな感じで大丈夫かな。何かご指摘があれば遠慮なく言ってもらえると助かるよ。
何もないようであればこちらに返事は大丈夫。僕はすっごく楽しいから、あなたも楽しめるようなやりとりができたらいいな。改めて、これからもよろしくお願いします。



1490: ジョネル [×]
2024-09-06 18:06:01



>グレン(>>1488)


びっ…くりしたあ、
(外傷を伴うわけでもなかったそれは目眩ましの類だろうか、派手な音と閃光に目をぱちくりさせながらも捉えた右手を離す事はなく。それは友人のお気に入りが喰われんとした時に自動で発動するものだったのだろうと分かるのは先程の炸裂の際に室内の魔力総量が変わらなかったから。もともと指輪に仕込まれていたものなのだ、そして一度目は音と光による警告に過ぎずそれでもなお品物を害そうとするなら次はもう少し刺激の強い仕掛けが発動するのだろうと、そこまで察して「 もー、そういうのがあるなら先に言っといてくれればいいのに 」口先を尖らせむすっと吐いた文句は勿論眼前の彼ではなく仕掛け人たる友人へ宛てたもの。何ならもっと分かりやすい警告を事前に出せばよいものを、どこまでいっても性悪なんだからとぶつくさ口の中で呟きながら「 んー…それは飲めないなあ。こっちにもね、事情があるんだ 」提示された内容には困ったように笑いながら拒否を返すのは、特異体質による無限の空白を欠片でも埋めてくれるものを目の前にして大人しく待てが出来るような余裕はないから。それをあれこれ説明しないのは彼にとって自身の体質など知った事ではないことだと弁えている為――ハイネがお気に入りを囲おうと小細工している事など自身にとって知った事ではないのと同じ「 魔法を使えるのはハイネだけじゃない。見せてあげるよ 」ざわり、人間の肌を打つのは背筋を駆け上がる戦慄に似た何かと形容するのが近いかもしれない。実のところそれは死神が内に溜めた魔力を解放した不可視の力の奔流、目に見える形では黒煙のようにちらちらと棚引いていたコートが急激に質量を増し膨れ上がって。彼の手を乗せる左手には全くと言っていいほど握力を込めていないが、もし身を引こうとしても重なった手のひら同士は人知を超えた力によって微動だにしない筈。そうして右手を紫に輝く指輪の上に翳し「 少しのあいだ静かにしてて。大丈夫、ただ報酬を貰うだけさ。もちろん“お気に入り”の合意付きでね 」指輪そのものに、或いはその創造主である友人に語りかける口調は大変穏やかで軽やかな普段通りのもの。表情もにこやかだがこの状況を楽しんでいるのかどこか不敵な色を浮かべて、黒と灰色が混ざりあったような魔力のベールで指輪を包んで「 どう、なかなか見応えのあるショーじゃない? 」指輪に込められただけの力を同等の反する力で封じ込めるような芸当は正しく剽軽な死神が怪物である事の証明。そうしてまた先程のリプレイのように手の甲に唇を寄せ「 涙がぽろぽろ出てきちゃうだろうけど、そういうものだから気にしないでね 」痛みを与えない代わりに流涙を強制する捕食、何でもない事のようにいつも通りの声色で告げてから冷たい唇でそっと温かな手の甲に触れて)




1491: クォーヴ [×]
2024-09-06 18:08:04



>秋天(>>1489)


(花に水遣りが、家畜に餌遣りが必要なように、美食を好む一部の怪物たちには自ら目を掛けた獲物たちに自分の時間を費やす者が居る。パタン、外から閉じた扉の部屋の主は自分ではなかった。穏やかな面持ちのままにどの獲物がどれだけ“熟成”されてきたかを脳内のリストへ書き記すことで現状を更新し、被捕食者である人間からすればそれがどれだけ倫理から外れた事か理解したうえで表情が曇らないのは言うまでもなく捕食者にとっては当然の日常に過ぎないから。廊下を歩み始めて数歩、何かを思い出したように立ち止まり瞼を伏せて「 ――――、あっちかな 」何かを感じ取ったのかふと呟いて、くるり踵を返し向かうのは昨夜出会ったばかりの青年の部屋。静寂を控えめに揺らすような柔らかいノックを三度、一拍置いて「 こんばんわ、チウ。ゆうべはよく眠れたかな 」応答を待つ間にも感覚を研ぎ澄ませるようにして室内の様子を探るのは、彼が何をして過ごしているかを知るためではなくあの後に他の怪物が訪問した形跡が無いかを調査するため。結果として彼ひとりのにおいや気配しか室内には存在しておらず、ということは彼がこの屋敷で声を知る怪物が未だ自分だけだという事実は変わらない故に改めて名乗ることはせず「 約束通り、今夜も君に会いに来たよ。お屋敷のベッドの寝心地はいかが? 」こちらから扉を開ける事をしないのは彼の意志を無視して害することなど無いと示し続けるため。ふわふわと柔らかな綿を散らすような穏やかな声にて異界で最初の一夜を過ごした彼の様子を窺おう)




1492: グルース・リヨン [×]
2024-09-06 18:54:49



>ナザリ(>1485


(聞こえてきたのは男性の笑う声。続け様の“愛”に連なる言葉へ浮かんだ、幼少の記憶に微かに目尻が跳ねた心のざわめきを、扉の向こうの彼に悟られぬ内に瞬きで隠す。それから此方の牽制じみた要求に答えるその低音は、此方とは真反対に伸びやかで優しく、己の声とはまた違う形を持って安堵を誘う。――一通り聞き終えたそれから解るのは、最初に想定した以上に異様な状況下であるらしい事。そして、頭へ洪水のように湧き巻く疑問を解き現状を断じるには、言葉に従い彼をこの部屋へ招く方法しか今は無い事。「……解った。少し待っていておくれ。」その要望に是を返す。それから服の寄れや髪の乱れを手短ながらきちりと指で直し“対談”の格好を整えた後、扉へと歩み寄りドアノブへ手を掛ける。……隔たりが無くなった向こう、真っ先に視界に入ったのは見慣れぬ衣装。それからぐっと目線を上げてやっと窺えた顔には――明らかに人に有らざる色彩を合わせた瞳と、額から伸びる非対称の角。初めて見る異形のそれに思わず僅かに目を瞠るが、「…今晩は。そして初めまして、異国の方。数ある中から君に見えた幸運に、まずは感謝を。」それも一瞬に満たない内の事。直ぐにその動揺を掻き消した穏やかな微笑みの下、既に受け取った情報を確り織り交ぜた挨拶を朗々紡ぎながら、彼を見据えたまま胸に手を当て目礼を。「此方へどうぞ。」次いで半身に退き部屋への道を拓きつつ、胸元の手で上座に当たるソファーを示して彼を室内へと導く。彼が中へ踏み入れたのを見届けてから扉を自ら閉めて、己は其処から程近い下座の椅子へと歩んで腰掛ける。――そうやってこの場が初めから自室であったように悠然と振る舞うのは、どくどくと緊張に逸る鼓動の最中、空気や相手に呑まれず己のペースを保つ為の術。そしてそれは、彼と対等であろうという芯ある物言いにも顕れて。「さて。“新入り”の僕と話して頂ける、という事だったね。……うん、尋ねたい事は山程あるけれど……そうだね、」胸を張り、じっと逸らさず向き合う互い。――不本意ながら誘拐の事態に覚えがある己が、経験上一番最初に聞くべき事。それは、“何処”でも、“いつ”“どうやって”でも、“誰が”でもない。何よりも重要なのは、「僕は“どうして”此処に居るのか、それをまず初めに聞かせてもらっても?」お屋敷とやらに拐われた理由、拐った者が求めるもの。それを彼が何と答えるのか、震え一つ無い視線で目の前の表情を見詰めて反応を待つ。)




1493: グレン [×]
2024-09-06 21:38:10





>ジョネル( >1490


( 己だけでなく彼の方にも特段の害があった訳ではない様子に安堵の表情を浮かべて。彼が口にする小言は自身に向けてというよりも仕掛けを施した主に向けてのものだろう事は呟く内容から察して苦笑混じりの声を漏らすだけに留め。彼が言う “ 事情 ” それが何を指すのか明言をされないのは己と彼がそこまで親しい間柄では無いからか、はたまた言ったところで理解をされないと思われているからか。どちらにせよ “ それ ” を知らなければ考える余地もあったものでは無い。緩く持ち上がった口角はそのままに、先程までよりとやや冷めた視線を向けて 「 ジョネルの事情が何なのか、僕も言っていないところがあるから言いたく無いなら深く聞きはしないけれど、何も語られないのはあまり良い気はしないな 」 声を荒げる事はせずに、それでも自己主張を出来るようになったのはハイネから目を掛けられ少なからず己に価値があるのだと思えるようになってきたから。ただ重ねた手を無理に引こうとしないのは人成らざる物たちの力が人智を超えている事を数回身を持って体験している為。きっと重ねた時点で記憶を喰らうまでは此方に引く事など出来ないのだ、なんて事は理解をしていると同時対価として自身を差し出すことへの同意をしたのも確かである。その為にそれ以上口を挟む事はせずに動向を見守るつもりで。視線で追いかけるのは彼の右手の行方。そのまま指輪を覆い隠すようにかかるヴェールに小さく首を傾げて 「 不思議な色をしてるね 」 黒とも灰色とも言えない色味は彼の魔力を可視化する際の色なのだろうか。痛みも不快感も無い捕食。けれども、つうと頬を濡らす涙の感覚に、それが流涙を伴うものだと聞いていたとて慌てたように空いている手で涙を拭い取るのは自身を守る為に幾重にも貼っている鍍金故 「 …はは、涙止まんないや 」 静かに流れ落ちる涙は生まれた喪失感を覆い隠す為に涙腺が馬鹿になったのかなかなか止まらず、見られぬようにやや顔を俯くようにして視線を逸らして )


****


こんばんは、交流中にごめんね。
対価になる僕の記憶は近日中に宝箱の方に仕舞いに行こうと思ってるよって伝言だけ残しておこうかと思ってね。そんなに時間を掛けずに仕舞いに行けると思うから、また手が空いた時にでも覗いてみてよ。





1494: ナザリ [×]
2024-09-07 11:10:12



>グルース(>>1492)


(頭一つ分以上も差異のある目線、それを埋めるようにゆっくりと身を屈めて片膝を床に付くようにして、そのままぺこりと顎を引くようにして簡略されたお辞儀を「 はい、今晩和。ンはは、異国の方とはよい表現を選んだねえ 」人間の世界には存在しなかった異形にさぞ驚いただろうに、取り乱すどころか殆ど表情さえ変えない少年に内心ほほうと感心しながら当たり障りないフレーズを的確に選んだ事は胸中に留めず声に出して褒めようか。成る程、年端もいかぬのに肝は据わっておるし頭も切れると見える――ンはは、なかなか風格のある小童よ。そんな感想をこちらも全く顔や態度には出さず人畜無害な笑みのまま「 はいはい、お邪魔しますよぉ 」挨拶の後、部屋へと通されれば“ よっこいしょ ”と小さく口の中で呟きながら直立の姿勢に戻り、殺風景で誰の気配も未だ無い大変クリアな部屋へと下駄を鳴らしながら入って。初物の部屋はいつ来てもわくわくする、下世話な高揚をおくびにも出さず牛歩の調子で部屋を見回す間に彼が陣取るのを待って。彼が下座に着いたことから空気を読んで「 悪いねえ 」と困ったように、或いは照れたようにぽりぽりと髪を掻きながら上座に位置するソファーへと着物が皺にならないようゆっくりと腰掛けて。異形を恐れて泣き喚いても仕方のない盤面だがまるで商談に臨むビジネスマンのような堂々たる態度で向けられる視線をこちらからは気の抜けるような穏やかな眼差しで受け止めて「 そりゃぁね、お前さんにはだいーじな御役目があるからだよ。…そうだなあ。何か、好きな食べ物はあるかね 」躊躇いなく与える解は敢えて抽象度を高くする。一直線にクリティカルな回答を与えるよりもじわじわと真綿で首を絞めるように恐ろしい事実を詳らかにすることで反応を窺いたい、嗜虐を肚に隠す鬼にはそんな下心があるがあくまで表向きには直接的表現でまだ年端もいかない彼に精神的ショックを与えるよりはやさしい伝え方を選んだ方がよいという人道に則っているという顔をして。一見脈絡のないこちらからの問い掛けに彼が何かを答えるならば“そうかい”と、何もなければそのまま言葉を続けて「 俺たちにとってはねえ、それがお前さんなのさ。気の毒な話だとは思うが…どうにもしてやれん 」憂いを帯びたように深く吐息することで事態がひっくり返ることはないと示し、そうして少し体勢を前のめりにしてじっと彼を見つめ「 すまんね、おいさんからもひとつ質問がある。お前さんの呼び名を教えてくれんかね 」申し訳無さそうに眼鏡の奥で眦を垂らしながらも微笑する。この問い掛けから、彼を攫った実行犯が欠け角の化物ではないこと、更に言えば彼が誘拐の対象として選ばれた背景に名前の類が必要なかったことが推察できるだろうか)




1495: ジョネル [×]
2024-09-07 11:13:46



>グレン(>>1493)


べつに恥ずかしい事じゃないよ。みんなそうなるんだ
(顔を隠すような素振りをどこか申し訳無さそうに見つめ、しかし男が泣く所なんて見られたくないよなという主観から気を回してこちらも首の角度ごと視線を明後日の方向へと逃がして。フォローになるか解らないけれど気まずい沈黙を残さないように明るい口調は意図的に制御してどこか密やかな調子でそう告げて彼の手のひらを解放し、空っぽになった手をそっと自身の胸板に添え「 よし…これで、大丈夫 」ぎゅっと服の裾を握り込み何だか追い詰められたような雰囲気を纏いながら独り言を小さく呟く、味の感想よりも先行するのは次から次へと崩落してゆく死神の生きる糧たる記憶をひとつ貯蓄することが出来たという刹那的な安堵感。情緒を整理するように一度深めに吐息した後彼を見つめて「 ごめんね、気を悪くさせるつもりじゃなかったんだ 」素直に謝罪を紡ぐのは一部始終悪意ある言動行動ではなかったと黒薔薇に誓えるため。どうしたものかとぽり、と頬を掻いた後おずおずと口を開き「 おれにはね、死神としての致命的な欠陥があるんだ。…って、おれの話をするために呼ばれたんじゃないよね 」きちんと説明をするのが真摯な対応だと、彼はそれを望んでいるのだと主張されたため言葉を繋ごうとするものの語るにも忸怩たる特異体質は心を開いていない相手にべらべらと打ち明けられるようなものではなく、今夜の限られた時間を彼に捧げる本当の目的へと力なく笑いながら話題をすり替えて「 改めて…ありがとうね、グレン。次はおれが対価を支払う番。ええっと…ハイネへのお返し、だっけ。現時点ではどんなものを考えてるの? 」彼から贈るものなのだから、彼の意志がなければ始まらない。そんな至極当然の考えから全くの平原たるアイデアの土壌にいくつか植えられそうな種があるのかを問い掛けてみよう)


***


わお、いいの?おれにくれた記憶だから、どんなのかなーとは気になってたんだ、だから詳細を読めるのが嬉しいよ。さんきゅうね。




1496: 秋天 [×]
2024-09-07 13:43:33


>クォーヴ ( >>1491 )

( ──コンコンコン。突如響き渡ったノックの音に動きを止める。飲みかけのスープを置いて「はい!」と声を張ると程なくして柔和な声が耳に届いた。急いで扉へ駆け寄ってドアノブに手をかけると躊躇なく回し、薄暗い廊下から溢れ出す"秘密を溜め込んだ家の空気"を全身に浴びる。その淀みの中心で背の高い死神が微笑んでいた。それがどうにもこそばゆくて、僕もつられて笑ってしまう。「こんばんは……お陰でよく眠れたよ」そんなふうに挨拶を返して、彼を室内へと促した。「食事中だったんだ、急いで食べちゃうね」そう言ってテーブルへ駆け寄ると自分が座っていた場所の向かい側の椅子を引いて彼へと示した。席につくと「来てくれてありがとう。起きたら服や食事が完璧に用意されていて驚いたよ」と本題に入る前の雑談を振り、カリカリに焼けたパンをシチューに浸して口に運んだ。その香ばしさを味わいながら彼の顔をそっと見る。伏せられた睫毛の先端が部屋の灯りを弾いていて、洗練された顔立ちだなとこっそり思った。蠢くコートに覆われているにも関わらず肢体のしなやかさを想像できるのは、きっとゆっくり丁寧に動くから。白い肌と線の細さが相まって、烏瓜の花のような人だなと思った。「クォーヴは今日もお腹いっぱい?困ったら相談してね、美味しい記憶がどんなだかわからないけど……」そう言って気恥ずかしそうにスープを啜る。昨晩、空腹かどうか尋ねたときの反応が忘れられないでいた。彼にしては珍しく声を上げて笑って、お腹いっぱいだよと無知な僕に告げたのだ。忘れたくない記憶はあげられないが、何も持たずにやってきた僕が少しでも力になれることがあるならば、その協力は惜しみたくないと思っていた。 )



1497: グルース・リヨン [×]
2024-09-07 16:21:47



>ナザリ(>1494


(褒める言葉には細めた目でのみ礼を。互いの表情が窺える位置、まずは己の疑問に答え始めた彼の声にじっと耳を傾けるが、どうも一見すると的から外れた問い掛けに一度ぱちりと瞬いて。「……グラタン、グラッセ。その辺りかな。」それでもすぐにゆったりと返した言葉の後、伝えられた話は俄には信じ難い事。“それ”は利益の搾取や慰み者の比喩かとも一瞬過って、しかし彼の言い回しやその人に有らざる姿から推し量るに、そんなものではないと冷静に巡る思考が勝手に物事を整え纏める。つまり鷲が仔兎を啄む事、蛇が雛鳥を丸飲む事と同じに、自分は彼らに――行き着く結論に一際跳ねた心臓が痛い。血の気が引く感覚と今にも震えそうな身の誤魔化しに、深い呼吸の一巡と共に膝の上の両手で固い拳を作り、僅かな強張りに引き攣った口の端はぎゅっと結んだ後にまた微笑みを乗せる。――続いた憂慮を含ませる吐息、御役目という単語、それに“どうにもしてやれない”という句。「……そう。逃げられない、という事だね。」この運命に抗う真似は不可能である。自分は勿論、恐らく彼も。そんな色を察して渇いた喉が相槌に掠れを生んで、それを直す為の咳払いを一つ。それから彼の側から渡された疑に拳を解き、「ああ、名乗りが遅れて申し訳無い。僕はグルース――グルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン。長いから、君の呼び易いようにしてくれて構わないよ。歳や身分は…」再びすらすらと言い慣れた調子で、あっさり本名全てを彼へ伝えるのは、他の拐かしと“これ”は決定的に違うと、少なくとも拐った犯人が彼ではないと、はっきり確信を得たから。そして、「……君達にとってはあまり大事な事でもなさそうだね。」自分の名が“個を識別する記号”以上の意味を今は持たないらしいとも、判じられた故。「まあでも概ね、見ての通りさ。」それでも己の胸元へシグネットリングの填まる片手を置き、その少し上の家紋のブローチも合わせ示して冗談混じりにふっと零した柔らかな息は、気の緩みに生じたそれではなく――未だ止まない鼓動の痛みを、自分自身でどうにか和らげんと作った少々不自然な代物。「それで、僕からもう一つ聞いておきたいのだけれど、」自己紹介を括ったその次、また己側から口を開く。「此処に、僕の知る誰か――例えば、僕の家族、友達。同じ街に住んでいる皆……そういった者も来ているかどうか、君は解るかい?」己が次に“気にすべき事”を問う声にはまたぴんと芯を通して、しかしその下、自身も知らずに十指が絡み合う。まるで何かを祈るように、崩れそうな何かを支えるように、ぎゅうっと強く強く。自分自身でもどちらの答えを願っているのか解らぬまま、微かに不安を揺らす瞳で尚真っ直ぐ彼を見据える。)




1498: グレン [×]
2024-09-07 20:34:40





>ジョネル( >1495


( 万が一にでも鍍金が剥がれ素顔が垣間見えては大変だと、そんな理由から真正面に見る事が出来ないだけなのにきっと彼はごく一般的な思考に当て嵌めてくれたのだろう。その誤解を解く事をしないのは鍍金の下を晒すだけの覚悟が無く、誤解をしてくれたままの方が自身にとって都合が良いから。冷たい体温が離れた手はこちら側へと引き戻し、流れ落ちる涙を止めようと瞼を閉じて深呼吸を数回。意思に反し溢れ出るそれを止める術は今迄の経験から身に付いており、数分のうちに常の笑みへと戻れば 「 見苦しい物見せちゃってごめんね 」 暗くなりすぎないように茶目っ気を含んだ声音で。先程の自身の主張に対する謝罪に、はたと動きを止めて 「 言ったでしょ?言いたく無いなら聞かないよって 」 悪気があった訳ではないのは彼の様子を見ていれば分かる事。だからと言って許してしまうのは自身の主張を曲げる事にも、それに対して応えようとしてくれた彼にも不誠実な行動にもなると判断すればゆるりと口元に弧を描いて 「 僕も色々と隠してる事があるし、それでおあいこ。もしジョネルが今後僕に言っても良いかなって思える時が来たら教えてよ 」 約束、とでも言うように小指をピンと立てた右手を差し出して。彼からの問い掛けに悩む素振りは見せるものの、タイムラグ無くすらすらと言葉を紡ぎ出して 「 そうだな、身に付けられる物が良いかなとは考えてるんだけど… 」 無論そんな物を贈ったとて身なりに拘りがあるのだろうあのダークエルフが着けてくれるかなんて確証は無いのだが 「 例えば、カフスボタンとか……そんな感じの物で考えているんだけど 」 やや具体的な名前まで挙げるのは、きっとアクセサリーのような物は邪魔になってしまうだろうという考えから。アイデアを乞うようにライムのような瞳をじいと見詰め )





1499: クォーヴ [×]
2024-09-08 14:04:37



>秋天(>>1496)


そう、良かった。悪夢に魘されることもなかった?
(昨夜何もかもをこの理不尽な屋敷に奪われたというのに、彼の様子からは悲壮感の類は読み取れなかった。精神的に強い子なのだろうか、それとも未だ彼が攫われてきた理由について明白には伝えていないからだろうか。今日話さなければならないことを胸に抱えながら、ふわりと漂ってくる独特な――人間の嗅覚なら食欲をそそられる良い香りと知覚されるような匂いの正体はテーブルを見ずとも判別でき「 ああ…お食事中にお邪魔しちゃって、ごめんね 」申し訳無さそうに少し眉を下げて、彼に促されるまま室内に入ってはきちんと扉を閉めて。態々椅子を引いてくれたことに“ ありがとう ”と小さく告げてから腰を下ろして、両肘をテーブルにつき手のひら同士は祈るように組み合わせてその上に自身の顎を乗せて微笑ましそうに彼の食事の様子を見守りながら「 ん? 」視線が絡まった事で彼も自身の顔を見ていたのだと気付いて淡く首に角度をつけ、そうして彼から放たれた言葉には思わず僅かながらも目を瞠って「 ……チウ。君のその優しさはとても素敵だけれど、同時にとても危ういものでもあるね 」すっと顎を引くようにして組み合わせていた両手で鼻から口元にかけてを隠すような姿勢を取り「 記憶を食べられるっていうのはね、最初からそれが君の人生で起こらなかった事になるのと同じなんだ。もし僕が君の優しさに甘えて一口、また一口って記憶を食べてしまったら、チウはどの思い出を捧げたのかも解らなくなって、自分の脳を――更に言えば自分自身の確からしさを疑う事になってしまうかもしれないんだよ 」だからその時が来たら、きっと一思いに。そこまでを肉声に乗せる事はせず、しかしあまりにも気安く記憶を、ひいては自分自身を怪物に捧げてしまいかねない彼には早く伝えねばならなかった。怪物たちが喰らうのは記憶だけではないこと、死神に喰われて命を終えられる保証もないことを「 …まずは僕から話してもいいかな? 」食事中にしたい話ではなかったけれど文脈的にもこのまま本題に入った方がよいと判断して、静かな微笑みのままに声には真摯を宿してじっと見つめよう)




1500: ナザリ [×]
2024-09-08 14:07:17



>グルース(>>1497)


(筋肉の微細な収縮も、吐息に含まれる機微の一つですら見逃さない――見逃してくれない鬼は只々胸中に湧き上がる決して綺麗とも高尚とも言えない感情を味わっていた。毅然とした態度を貫こうとするきっと高貴であろう少年が、突如として食物連鎖の最下層に引きずり降ろされその運命を、現実を受け入れようと心の内で足掻く様がなんともいえず面白く、そして大変可愛らしい。恐らく彼の数千、否数万倍以上を生き永らえる鬼は年の功かそれとも天賦の特技か、そんな性の悪い考えを巡らせているなんて一欠片すら表には出さずに「 ……お利口さんだねえ 」その理解の早い健気さに心を痛めるように微笑を歪めて肯定代わりに彼の聡さを認めて。ふと彼の声に渇きを感じれば「 これ、そこの 」よく目を凝らさなければ見えないほど遠くの床、ちょろちょろと動いていた四足の爬虫類に声を掛ければ、直ちに透き通ったミネラルウォーターで満たされたデカンタとグラスをひとつ、摩訶不思議な事に空に浮かせた状態で給仕をして彼の目前のテーブルにことりと並べるだろう「 ああ…貴族の子かね、 」慣れていなければ舌を噛みそうになるそれらは洗礼名か或いはやんごとなき血統の継ぐ事を示すものか、いずれにしてもそういったルールに基づいて名を連ねるのだと人間界の知識を知っていたため老獪に納得を示し「 道理で礼儀正しいわけだ。えらいねえ 」近所の優しい爺がしっかりした子供を褒めるような陽だまりを思わせる柔らかい賛辞を贈る間にも、ああお前さんの鼓動が張り裂けんほどに聞こえているぞ、と肚に飼う真の鬼はくつくつと低く笑っているのだろう。次いで質問を返される気配に「 何だい 」と受け入れる旨を示し、成る程確かに確認しておきたいだろうなと合点の行く問に顎をこすりながら明後日の方向に視線をやり「 はてぇ…お前さんの身の回りで、ずいぶん前に行方知れずになった人でもいるのかねえ。そうでなけりゃあ、きっと今この屋敷じゃぁお前さんがいちばんの新入りだと思うがなあ 」歯切れの悪い回答になるのは勿体振っているわけではない事は心底困ったようにうんうん唸る様子から感じ取れるだろうか。ふとはっとしたようにレンズ越しの眼差しを真っ直ぐに彼に向け「 ああでも、探しに行こうなどたぁ考えんでおくれ。屋敷の廊下は無限に広がっておってなあ、そればっかりか瞬きする間に道順の変わる迷宮でなぁ。おまけに出会い頭にガブッといきよるバケモンもうろついとる 」荒唐無稽な内容も冗談や脅しの類ではないと伝えるようにところどころ臨場感のある抑揚を付けながらも真剣な調子で忠告を紡いで)




1501: ジョネル [×]
2024-09-08 14:09:05



>グレン(>>1498)


……なに、どんな特技?!こんな早く涙止まるって珍しいよ
(獲物の涙腺を狂わせるそれは生理的なメカニズムで説明や対策を付けられるものでは到底なく、だからこそ止まらない涙に戸惑う内に混乱して更に泣いてしまう人間も少なくはない。だからこそ、自身で情緒を律し流涙を制御するような一連の動作に興味深そうにまじまじと視線を送りながら心底感心した様子で「 おあいこか、それ助かる。そこまで仲良くしてたらハイネに怒られるかもしんないけど……うん、そんな夜が来ればいいな 」上手に落とし所を見つけてくれた彼に二重の意味で感謝しながらそれを示すように顔の前で両掌を合わせながら顔を伏せて。そのままパッと面を上げて両手はソファーにつき、リラックスするように重心を後ろに倒して夢想するような少年じみた表情で虚空を見つめて。ふと彼に何か動きがあった事を視界の端で捉え目線を戻せば差し出される右手の小指、怪物の世界にはない慣習ながらも人間の世界でポピュラーなそれへの正しい応え方を探すように両手でくしゃっと髪を淡く掴んで「 あー何だっけそれ。待って言わないで、確かに知ってる筈だから 」回顧に集中するためにぎゅっと瞼をきつく閉じる事で余計な情報を遮断して、暗闇をぐちゃぐちゃと手探りするように深く深く記憶を追いかけて「 知ってる…絶対知ってるんだ。まだ取られてない、取られて……、…ああ! 」まるで貧乏揺すりのように小刻みに身体が揺れるのは過剰なストレスゆえの無意識な反応か。ただならぬ雰囲気と共にぶつぶつと呟き、急に明るく声を張り上げてはぱっちりと双眸を開いて勢いよく自らも同様に小指を差し出して「 これね、これこれ!はい約束っ 」ただ思い出せた事が、というよりもその記憶が抜け落ちていなかった事を心から喜ぶようにやけに高いテンションで温かなそれに小指を絡めて一度上下に振ってから手を引こうか。お返しの案についてふむふむと前のめりに聞きながら「 ええ!いいじゃん!喜ぶと思うよ 」ぱちぱちと細かく拍手をしてから両手をぐっとサムズアップの形を作って全力賛成を示し「 思い切って手作りするってのはどう?しかもこっそり君の分も作っちゃって実はお揃いでしたーってするんだ。ハイネ、絶対“かわいい~!”ってなるって! 」それは大変ちゃっかりとしたアイデアだが、友人代表のような顔をしてきゃいきゃいと確信を持って燥いで)




1502: グルース・リヨン [×]
2024-09-08 20:26:40



>ナザリ(>1500


(己が行き着いた結論が真実である事を物語る、悲痛そうに染まる彼の表情。その奥に何かが潜んでいるなど今は考える余裕は無く、沈黙を落としたその目の前に浮かんだ水差しとグラス、そしてそれを運んだらしい小さな生き物にも、先程よりも解り易く見開いた目を瞬かせる。それから己の身分を正しく察した彼の言葉に頷きで肯定を返した次、褒める暖かな声へ、「公爵家の長子だからね、当然さ。」初めよりは幾分か固さの溶けた物言いで告げるそれは、何処と無く自らに言い聞かせて縛り付けるような厳格さを含めていて。――問い掛けにはっきりとした答えは届かなかった。しかしそれが咎めようのない事であるのは悩み果てる彼の態度から理解出来て、余計に不安で曇る思考を読んだようなタイミングで忠告が刺される。「……化け物が、」まるでお伽噺、いいや、質の悪い怪奇小説でも聞かされている気分。信じられないと訴える感情とは裏腹に、すんなり頭にそれが真実だと染み込んでいくのは、彼の真摯な語り口の所為だろうか。「本当に――違う世界のお屋敷に来てしまったのだね、僕は。」ふと、すっと視線を移した先は窓の向こう。煌々と輝く大きな満月を見詰めて誰に問うでもない事実を零す声は自らでも驚くほど冷たく震えて、現状へ追い付ききれない心の揺らぎがそこに顕れる。また彼へと向き合う形に戻す筈の瞳は、組んだ手元に緩やかに伏せられて、「でも、…そう。僕の覚えている限り、誰も居なくなってはいないから…」もう一度彼からの答えを反芻し、掘り起こすは屋敷に招かれる直前の記憶。少し前のパーティーで見掛けた友人にも、馬車から眺めた街の人々にも、夕食時に揃った家族や使用人達にも、欠けは何処にだって無かった。「……じゃあ、僕一人だけ。他は、誰も…」思考に沈んでいく程、今は身を守る毅然も悠然も剥がれて、言葉遣いも年相応と柔くなる。やがては俯いた額に絡み合う十指を押し当て、小さく背を丸めた後。「…………良かった、」“なら、問題は何も無いね”。……そう吐き出した弱い弱い安堵の吐息の、その内側に――背負い続けた大事な荷を不可抗力に下ろしたような、離れてはならない場所からうっかり逃れたような、そんな後ろめたさや罪悪感の混ざる喜色が凝っていた。「……取り乱したね、すまない。それから、教えてくれて有り難う。」それに何かを言われる前に上げた顔は、今までよりもずっと穏やかに晴れ、何処か重たい憑き物が取れた風情を醸す。「…さあ、これからの事を考えなくてはね。お屋敷で御役目を果たすと言っても、今すぐではないのだろう?」汗が仄かに滲んだ両手を解いて、テーブルに置かれたデカンタに指を掛けながら、ここまでに得た情報から測った状況を確かめる言葉を。続けて、「なら、どんな自由が認められて、どんな禁制があるのか――此処での振る舞い方を初めに学ばなくては。」持ち上げたグラスに注いだ水越し、映った異形を臆さず見詰めるのは、今の今まで話に応じてくれた信用故に。……いずれ己を喰らうかも知れぬ者とその環境さえ受け入れた自らの気質は、きっと立派に見えて異様だろう。「そのご教授を君に願えるかい、サー・ナザリ。」だがそんなものを気にする必要は無いと何かを見ない振りした少年は、緊張のすっかり失せた悪戯な微笑みと物言いで屋敷のルールの教えを彼へ請うては、ゆったり優雅に首を傾げてみせる。)




1503: グレン [×]
2024-09-08 21:08:20





>ジョネル( >1501


( それ程までに興味深く感じられる事柄だと思っていなかった為に僅かにきょとんとしたように目を丸めるのは、演じる上で身に付いたそれが特別な事象だと理解をしていなかったため「 元いたところでは俳優をやってたんだ。舞台専門のね 」 僅かな暗転の合間に涙を引っ込めたり流したり、本来であれば演技で済むところをよりリアリティを求めるが為に身に付いた自身の感情の預かり知らぬ涙を制御するそれは、半ば職業病のようなもの 「 ふふ、もし怒られるとしたら僕の方だろうからジョネルは気にしないでよ……嗚呼、もちろん小言は飛んでいくかも知れないけれど 」 来るかも分からないたらればの話。けれどそんな未来があるのだとすれば、きっとあの狂しいほどの束縛心が飛んでくるのは此方であろう事は容易に想像が付く。小指を差し出したまま彼が記憶の抽斗を開けて探り出す様を希望の通り何も口を挟む事なく見ているものの、過度にストレスが掛かっているのであろう様子に口を開きかけたところで一際大きく鼓膜を揺さぶる声に肩をびくりと跳ね上げさせて。どうやら自身が差し出した先、待っている事に合点がいったらしく絡められた指先に、そうそうとでも言うように首肯を一度。指が離れればゆったりとした動作で体の方に引き寄せ、膝の上で両手の指を組むようにして。「 本当?良かった 」 手放しに賛同してくれている様子にやや強張っていた表情を安堵に緩ませた後、次ぐアイデアに耳を傾けて 「 いいね、それ。楽しそうだし、何よりお揃いに出来るの僕が嬉しいし 」 考える素振りも無くぱあと表情を輝かせ、きっと今日一番の笑みを浮かべて。プレゼントが手作りなのだと、そしてお揃いなのだと言えば主人は喜ぶだろうか、それとも呆れ半分の反応が返ってくるのか。どんな反応が返されるか考えるだけで表情が緩み出すも、次なる問題が頭に浮かべば考え込むように片手を口元へと当てて 「 問題は材料と作業スペースかな… 」 何かを作るにしてもこの部屋の中にそれが叶うだけの物品は無く、頼めば多少の融通を利かせてくれるであろう程に懇意にしてくれている使い魔は言わずもがなダークエルフのところの蝶たちばかり 「 ねえ、ジョネル。頼んだら手伝ってくれそうな人に心当たりなんてあったりする? 」 眉尻を下げたやや情けのない表情の浮かぶ顔を持ち上げて )





1504: 秋天 [×]
2024-09-09 14:20:30


>クォーヴ ( >>1499 )

( 悪夢。彼が発したその言葉を口の中で転がして考えてみる。元々あまり夢を見る性質ではないので、目が覚めたとき"夢じゃなかったんだ"とは思わなかった。適応力は高い方なんだと思う。でも、夢を見ないからといって夢であれと願うことがないわけではなかった。「うん、夢は見なかった。全部現実だったみたい」シャワーを浴びる前に一瞬沈んだ気持ちがぶり返しかけて、呟くような声で返事をする。すぐに取り繕うよう笑ってみせて、彼の謝罪に対しても首を横に振るにとどめた。てきぱきと食事を口に運びながらこぼした善意に難色を示されると、これは真剣に耳を傾けた方が良い話だと判断して手を止める。"自身の確からしさを疑う事になる"……その言葉を聞いた僕は"テセウスの船"と呼ばれる思考実験のことを思い出していた。わかりやすく説明するならこうだ。──テセウスという男が怪物を倒しに行くため乗り込んだ一隻の船がある。テセウスは航海の末見事怪物を打ち倒し、船は偉大な記念品として後世に受け継がれていった。だが船は時間と共に朽ちていく。壊れたパーツを一つずつ交換して、やがて全てが新しいものに置き換わったそのとき。その船はテセウスの船だと呼べるだろうか──哲学の授業で問われたパラドックスの一つで、僕はこのことに自分なりの結論を出していた。クォーヴが言ったのは置き換わったときではなく消えてしまったときのことだが、僕の考えそのものは変わらない。「忠告ありがとう。肝に銘じておくよ」餌のアイデンティティに気を配るなんて変わった人だなと密かに思う。時折存在が示唆される"他の住人"が皆こうとはいかないことは想像に難くなくて、はじめにこの屋敷で出会ったのがあなたで良かったと心から思った。穏やかな声で礼を告げ返事を待たずに口を開く。「でも、例え記憶がなくなっても僕は僕だ。それを疑うことはないと思う、きっと……」そう言って小さく微笑むと、不思議な虹彩を見つめ返す。会話に一区切り設けた彼にこくりと首肯で返事をして、続く言葉をじっと待った。 )


あなたと話しているといろんな記憶が蘇ってくるよ。あなたの性質がそうさせているのかな。
筆が乗る予感がしたから、僕が過去に件の思考実験について考えたときのことを宝箱に入れさせてもらおうかと思うんだ。今のあなたに何か影響を与えるものではないと思うけど、僕のアイデンティティを形成した重要な記憶の一つとして知ってもらえたら嬉しいな。
……他でもないクォーヴに僕の軽率さを注意されたところだから、食べちゃだめだよ。ごめんね。



1505: ナザリ [×]
2024-09-14 21:41:08



>グルース(>>1502)


そうだねえ。お月見はいつでも出来るが、日向ぼっこは二度と叶わん。夜に生きる怪物の――黒薔薇のための屋敷だからなあ
(彼と見るものを同じにすべく矮小な怪物と人間をせせら笑うような巨大な満月を視界の中心に捉える。太陽を恋しく思う者など居ないか極端に少ない魔物たちにお誂え向きの世界であると表現しかけて、しかし最も相応しい存在を蔑ろにするわけにはいかず支配者の存在をきちりと出して。良かった、と口に出した彼の言葉には複数の意味が込められているように思えた。この理不尽な屋敷で怪物の贄となる運命を押し付けられずに済んだ、或いは公爵家の長子が姿を消したとて次位の後継者が健在であるのならば家を守ってゆくための代わりを務められる、と「 ……やりきれんなあ。生まれだけで背負わされてよいほど気軽な宿命でもなかろうに 」自身の顎に手を添えて難しい顔をしながら首を左右にゆっくりと傾げる。生まれた時から自由意思で選び受け入れた訳もない様々なルールや制約で雁字搦めに縛られる世界と、望まれ見初められて異界に選ばれ尊き糧として散る事を強制される世界、どちらが彼にとって酷なのか瞬時には答えを出せなかった。しかし驚くほど前向きに屋敷へと適応しようとする彼の申し出に「 ンはは、当に外柔内剛とはお前さんの為にある言葉だねぇ 」只の少年と侮るなかれ、そう思わざるを得ない威風堂々とした立居振舞は都合よく言い包めてやろうなどと甘い考えを自重させる力を放っており、なればこの命の行く先を見守らんと真摯に情報を提供しようという気持ちにさせられる。長くなりそうな気配に無意識に袂から鈍い銀の煙管を取り出し口に咥えかけて「 おぉっと、いやぁ失敬 」年端もいかぬ子どもの手前、遠慮するように照れ笑いをしながら煙管を再度しまう仕草を見せて「 今すぐにでは…の話からいこうか。今宵お前さんの到着に最も早く気付いたのが俺ではなく、腹を空かせた隣人だったのならば既に御役目を全うしておっただろうねぇ 」そしてその綱渡りは明日からも毎夜同じ状況が連続するのだと。脅しではなく覚悟を促すように重みのある声色で低く告げ「 禁制、と呼ばれるものぁ獲物には課されていないよ。単独で部屋から出るな、てぇのはあくまで長生きしたければの話。…まぁ、あれだね、禁ずるまでもなく制されるという表現の方が近いかねぇ。例えば――有り得ん話だと分かっておるよ、あくまでも例え話さ。お前さんは屋敷に攫われた運命に絶望し、目の前のデカンタを割ってその破片で喉を掻っ切り自ら命を絶とうとしたとする。ところが刃は喉に届く前に不思議な力で止められてうんともすんとも動かない……そういうことだね 」つまり獲物の自由は認められている、ただし何もかも屋敷の支配力にとって都合の良い形で。聞いていて全く快くない内容を凡例に挙げたのはそれがこの屋敷で日常的に起こる出来事だからだろうか)




1506: ジョネル [×]
2024-09-14 21:44:05



>グレン(>>1503)


はー…なるほどなるほど。君なら銀幕でも大人気だったろうね
(観客たちが注目する麗しい顔面を用いて分かりやすく感情表現する手法が涙であろう事は何となく解って、心底納得したように数度頷くようにしながらソファーの背凭れへと体重を預けて。彼が人間の世界に居た頃の評判を知る由もなかろうともその甘いマスクは多くの黄色い眼差しを集めたであろう事は想像に易く、であれば逸材は一つの舞台上ではなく各地に点在するスクリーンに活躍の場を移したかもしれない。それを彼が望んでいない事も、その理由も未知のままだがこれまでハイネからの扱いを幸せそうに語る彼の様子から立てた一つの仮定を持ちかけようと再度体勢を前のめりに戻し「 不特定多数からの喝采を浴びるよりも、たったひとりから熱狂的な寵愛を受ける方が幸せだったりする? 」それは純粋な彼への関心。舞台とは綺羅びやかに見えてきっと苛烈な側面も持ち合わせているだろう、故に万人が立てる戦場ではない。そこに選ばれスポットライトを浴びてきたであろう彼ならば凡庸で陳腐なそれとは対極の記憶を持ち合わせているのではないかと「 んー…そうだなあ。おれはそういうセンス無いし… 」ここで胸板を叩き自分に任せろと言えれば格好も付いたのだろうが、生憎カフスなど洒落たものに造詣もなければ興味もなく全く力になれる気がせず悩むように腕を組んでやや俯き加減に目を閉じて。しかし助けてくれる住人、そのリクエストから浮かんでくる顔は確かにいくつかあり「 ……今回のケースなら適役はキルステン…かな? 」一つの固有名詞に提案を絞ってから目を開け、自らの両手の付け根を両耳に添えてはぱあっと指先を開き「 人魚だからね、こんな感じのヒレが付いてる派手な女王様だよ。トゲトゲ言葉が多いけど、断じて意地悪なやつじゃない。し、この手の話が好きだと思うんだ 」件の人魚の性別を誤認させてしまいかねない紹介になってしまった事は全くの無自覚、それほどまでに自身にとって彼はクイーンという像を彷彿させる住人に見えているということ。何だかんだ世話焼きな彼は健気にも怪物にお返しをしたいと願う獲物という一見歪な美談はきっと好物の筈、しかし人魚に助けを求めるという判断をするかどうかは眼前の彼が決める事。少なくとも情報は提示した、一旦彼の反応を待とうと懐こい笑みを浮かべながらじっと見つめて)


***


こっちからごめんね。宝箱見てきたよ、舞台照明の所為だけじゃない確かな君自身の熱を感じられる素晴らしい記憶をおれにくれたんだね。まじさんきゅう。…まじでね。
それと…表現を借りるなら言葉足らずな主張?についてだけど、ほんっとまじで気にしないで。それだけ伸び伸びやれてるってことだしさ、おれもお互いさまってことで。あーでも、こっちの話の持ってき方とかそういうのにヤだなって思った時は遠慮なく言ってね。いっつもおれらのこと考えてくれてさんきゅうね。今んとこ問題なければこっちにはお返事大丈夫。




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