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【 指名制 / Remake 】耽溺のグランギニョル【 提供人外 / マルチエンド式 】/1578


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1528: 秋天 [×]
2024-09-30 18:54:52



>クォーヴ ( >>1526 )

( 次の夜、とクォーヴは言った。恐らくもっと先のことになるだろうと想像していたため、楽しみがぐっと近付いたような気がして頬が緩む。正しく次の夜でなくたってよかった。彼も楽しみにしてくれているのだということが何より嬉しかったから。「楽しみだなあ。そうだ、カメラとか……写真機の類ってあったりする?」まだ見ぬ異界の薔薇園を想像し、ふと思い付いたようにそう尋ねて。人に見せて評価してもらっていたわけではないので客観的な上手い下手はわかりかねるが、写真を撮るのは好きだった。もしカメラやそれに準じる何かを貸してもらえるならぜひ薔薇園を記録に残したいと考え、ねだるような目で彼を見て。吐息を漏らすように笑ったのを見ると一気にくすぐったい心地になって、恥ずかしそうにうつむくとそれ以上何も言わなかった。
到底一人では行かせられない……正直、予想できた答えではある。食堂ですら付き添いがいるのだ、本来客人とは無縁であろう場所に人間一人で行けるようになっているはずもない。予想はできたが残念であることには変わりなく、肩を落とすと「やっぱりそっかあ」と眉を下げ。クォーヴが何かを考え始めたことに気がつくと黙って次の言葉を待ち、期待にそわそわと指先を合わせる。本当に優しい死神だ。この屋敷ではじめに出会えた住人が彼でよかったと、もう何度思ったかわからない。「……ううん、嬉しい!」外出をきっかけに横の繋がりが広がるかもしれないという別の意図を持っていたことも真実だが、それでも本心からの言葉だった。たしかにここは広さの割に殺風景で、この部屋に物を持ち込んで何かをする、という発想がなかった自分にとってクォーヴの提案は素直に喜ばしいもので。部屋を出るたび誰かを付き合わせるのは気が引けるし、この部屋で植物を育てられるならそれで充分だと心から思えた。生き死にの手綱を握られている家畜の分際で。贅沢をさせてもらっているなと頭の隅で考える。「色々考えてくれてありがとう。余分なプランターをわけてもらえたら嬉しいな」そう呟くとまた笑った。 )




1529: グルース・リヨン [×]
2024-10-01 01:32:08



>ナザリ(>1525


おや、そうかい。
(言葉の戯れ、その最後にはふっと柔い笑みだけを括る。言語の壁へ取り零したかと思った童話がまた拾われた提案に、「それは……」一瞬躊躇で言葉を濁したのは、“寝かしつけ”なんて幼子相手のような単語の所為。その気恥ずかしさと好奇心との葛藤は、眉を垂らしたまま自らの膝元と彼を行き来する目線と、人差し指の背を当てた唇から洩れる微かな吐息がよくよく顕して。「……うん。そうだね……もう読み聞かせで眠る歳ではないけれど、微睡むまで異国の話へ耳を傾ける夜も、偶には良いかもしれないね。」悩む事たっぷり十秒程、此度の天秤は好奇が優勢に傾いた模様。消しきれない羞恥が言葉を些か遠回しに飾り付けはすれど、微笑む視線はきちりと依頼する相手である彼へと向ける。――今初めて己が名を象ったその声は、それまでの捕らえ所が見えぬ春風のような音ではない。暗澹が立ち籠めて肌を微かに痺れさせるそれに、「……“御役目”の話かい?であれば、問題は何も無いよ。」椅子に預けた身体を再度正して、すっと細めた瞳に毅然を湛えて彼を見据える。「僕は何時であれ立場を弁えぬ振る舞いはしない、己の在り方を違える事もしない。…僕は僕のまま、最期の一刻まで翔んでみせるとも。」凛と静かに、しかし堂々朗々と。どれ程常軌を逸した場所に拐われども、限り無く弱く儚い立場へ落とされようとも――果たすべき務めを放棄せず、成したい信念をも通す、その確固たる不変の意志を。「僕が授かったこの名と――あの異界の月に誓ってね。」張った胸にそっと掌を当て、誰もが初めに自己の寄す処とするそれと、いつ何処までも己を見詰めるだろう常夜の光へ誓言したその後。不意にくすりと表情を弛めてみせて、「……それとも。他に何か必要な心構えがあるのかい、サー・ナザリ?」ゆるり傾げた首と共にそんな問い掛けをする声は一転軽やかに、優雅なウィンクも一つ添えて緊迫を断つ悪戯を投げる。――“食事”。意識を僅かに和らげた所へ訪れた一言に下げた視界はまた彼へ。目が搗ち合ったその刹那、心臓から爪の先までざわめき立つ何かに囚われて息を詰まらせた一瞬の次、「……有り難いね。食事の時が待ち遠しくなる言葉だ。」それでも泰然を保ち微笑んだ面持ちと、悠然を崩さぬ物言いを返す。――今目を逸らせば丸飲みにされる小鳥のような萎縮の心地。けれどもだからこそ、怯え臆する本能は震えを握る拳に押さえ伏せて、その大蛇の瞳から逃げず真っ直ぐ視線を交わす。)




1530: グレン [×]
2024-10-01 16:02:54





>ジョネル( >1524

いやいや、君が謝ることは無いから安心して。なんて言ったら良いんだろうな……多分だけれど、お互いに言えない部分があるから…って言ったら良いのかな?きっと深くまで付き合える間柄だったらきっと凄く気が楽なんだろうな、なんてね。
兎も角、ジョネルと話す時間が僕の中でも楽しかった事に変わりが無いから、また気が向いたら話し相手になってやってよ。

ふふ、女王様への伝言もありがとう。アドバイスを受けて手紙を出してみたけれど、もしもう少し言葉を付け加えた方がいいとか何かあれば教えてくれると嬉しいな。


****

>キルステン


( 先日の死神へと相談をした夜から幾夜程経ったであろうか。屑籠の中にはその際に名前が挙がった “ 女王様 ” へと手伝いを乞う為の手紙の書き損じが幾つも丸められた状態で放り込まれており、文面で頭を悩ませた事が見て取れるはず。結局書き上げた手紙には 『 ハイネへの贈り物としてカフスボタンを贈りたいから手を貸して欲しいから、手の空いている時にでも僕の部屋に来てくれないか 』 なんて要件のみの簡素なもの。無論筆記体や文面で誰からものもか分からない、なんて事を避けるためにも自身の名を添えるのは忘れずに。机に向かい合う椅子から立ち上がり向かうのは窓辺に置いた鉢の元。日が経っても最低限の手入れだけで綺麗に咲き誇っているのは鉢に植えられている事だけで無く、少なからず不思議な力も作用しているのだろうか。弓形に口角を持ち上げそれらを見詰め、一際密集している部分に咲く一輪へと手を伸ばし 「 ごめんね、俺に力貸して欲しいんだ 」 半ば独り言のように溢したのは手折る花への謝罪。他の茎に傷が付かないように茎を折り、その一輪は書き上げた手紙と共に丁度窓の外へと見えた誰の使い魔かは分からぬ蝙蝠へと 「 これ、キルステンのところへお願いしてもいいかな? 」 人当たりのいい笑みを浮かべて託し。お次は、とばかりに探るのはハイネから貰った服が仕舞われているクローゼット。先日の死神はハイネの友人という肩書きがあった為に少なからず警戒心を解いていた節があるも、今宵手紙を出した相手は全く知らぬ人物。どれだけ見栄を張ったとて構わないだろうと向かい合うのはハイネから貰った服が仕舞われているクローゼット。暫しの睨めっこの後、濃いグレーのセットアップに身を包み、何も持たない自身の唯一の武器とも言える顔がよく見えるよう少し伸びた髪の左サイドをヘアピンで留めて。準備は万端とばかりに満足気な息を吐き出し、来客が来るまでの時間はゆったりと過ごすつもりで )





1531: クォーヴ [×]
2024-10-12 10:12:55



>秋天(>>1528)


(次いで強請られた品はよもや今まで考え付きもしなかったもの。永久に陽光へ晒されないこの地に日傘が不要なのと同じ、ただ繰り返される聖餐と夥しい数の死に塗れた刹那の営みを連綿と織り紡いでゆくだけの屋敷には記録を残すための特別な媒体はまさに夏炉冬扇そのもの。穏やかな微笑を答えあぐねたような力ない色に染めてから浅く左右にかぶりを振って、しかし投げられた要求を否決の網で叩き落とすだけではなく代替案を柔らかい調子で返そうと「 とびきりの一輪を選んで写生大会…というのはどう?チウがどんな絵を描くか見てみたいな 」それが苦し紛れの提案でないことは、心底楽しそうに柔らかに微笑む様相から感じ取れるだろうか。思い出を増やすことが即ち美食の仕込みとなる死神は、全く悪意なく彼に楽しい時間を過ごして欲しいと考えを巡らせ「 それで帰りにプランターを見に行こう。花は株分けしようか?それとも種から育てたいかな、 」死んでしまうまで同じ部屋で寄り添うのだから、ただの余り物ではなく気に入った鉢を選ぶ方がいいだろう。ならそれを彩る花もできるだけ彼の意向に添えるようにと、視線を斜め上に向け楽しそうに思案を肉声に乗せて)




1532: ナザリ [×]
2024-10-12 10:15:45



>グルース(>>1529)


あゝそれがいい。おいで、子どもはたっぷり寝にゃならん
(うきうきと弾んだ声音に対して、老体に鞭打つようにゆっくりと立ち上がる仕草は平素のものかそれともこの先に油断を誘うための撒餌か。そんな歳ではないと言う彼を臆面もなく子供扱いするのは当然悪意あっての事ではなく、重厚な着物の衣擦れと共にベッドの縁へと腰掛けて彼を誘うようにシーツをトントンと叩き。「 俺ぁね、グルース…。お前さんに会えた最初の怪物になれて光栄だよ 」攫われたその夜に異界へ宣誓した彼の気高さと、時折見せる幼さゆえの揺らぎに惹かれる怪物はきっと多いだろう。人食いばかりのこの屋敷で長生きすることはそれだけたくさんの怪物に愛でられたという事だが、短命に終わってもそれだけ熱烈に糧として求められたという事。願わくば彼の行く末をできる限り長くたっぷりと楽しみたいものだ、そんな風に心ときめくのはやはり彼の誇り高い眼差しと裏腹に震えを握り殺す人間の本能の絶妙なバランスが愛らしくて堪らないと感じるから。もし彼がベッドへと来てくれたのなら、シーツ越しに彼の腹へと手のひらを添えとん、とんと緩やかなリズムで柔く叩きながら「 むかあしむかし、あるところに―― 」静かで間延びした調子で話し始めるのは諳んじられるほどポピュラーな物語である桃太郎の最初の一節。吉祥の鳥を冠する彼がどこまで高く、長く翔べるのか――彼の物語もこの夜から始まるのだろう)





1533: キルステン [×]
2024-10-12 10:19:51



>グレン(>>1530)


(珍しい男に声を掛けられた時から尋常でない事態の予感は耳元のすぐ近くで囁いていた。ヒトは糧として喰らうべきものであり、飼い殺しにすべきものではないと考えている女王の目にはダークエルフの道楽は好ましいものに映る事はなかったけれど、シナモン色の死神から聞いた話によれば一概に彼らの関係を糾弾することも出来ず「 …で、そいつの声はどうなの 」伺った問は捕食者として最優先に興味の対象に挙がるもの。しかしその答えには件の獲物の主たる怪物による警告について言及され、呆れて物が言えないといった風情で肩を竦めるに留めたのだった。数日後、熱帯魚――具体的にはベタに似た姿をした自らの眷属ではない羽持ちの使い魔に呼び止められ、差し出された手紙に一瞬怪訝な顔をするも添えられた花から漂うダークエルフの魔力の残滓に心当たりが呼び覚まされて。手紙と花はそのまま使い魔に預け、彼の部屋の前に仁王立ちになれば高く鋭いノックを三度。もし彼が“鍵”を行使し扉が開いたのなら、悪趣味なそれに目玉を時計回りにくるりと一回転させ短く溜息を吐くだろう。そうしてピンと伸びた背筋と隙のない立居振舞からさながら女王のような示威を凪がせた強気な笑みにて彼のかんばせを見つめ「 代価も示さず一方的にオネダリなんて、ナメた真似してくれンじゃない。ねえ、ハンサムな坊や? 」成る程文句無しの美丈夫だわと素直に認め、組んでいた腕を解き自らの髪の毛先を手の甲にてさらりと弾き「 勿体ないわ。あの気の利いた花の一輪がなけりゃアンタを水責めにしてやる免罪符が手に入ったのに 」はぁっとこれ見よがしな嘆息を吐くことで冗談味を醸しながら、ビリジアンのギラギラしたネイルに彩られた食指を彼の眉間すれすれに伸ばし「 アタシはビビリは嫌いよ、特にビビリなオトコ。分かったら今すぐこのキルステンをエスコートなさい 」誰とは言わないが大変臆病な幽霊の姿が一瞬脳裏に去来したのは自分だけだろうか。しかし当然彼を話題に出すことはしない、刺々しい態度ながら悪人ではない人魚は今宵この人間に時間を使うと決めたのだから)





1534: グルース・リヨン [×]
2024-10-12 22:42:42



>ナザリ(>1532


(この短い間だけで幾度、年相応以上に童らしい扱いを受けただろうか。蔑視でも嘲弄でもないと理解していたとて、やはりそれを受け取る手はどうも余してしまう。頼み込んだ口にまた指を当て、ぱちりと泳ぐ目を瞬かせる一秒足らずの逡巡の後、招く仕草に応じて徐と立ち上がれば彼の居るベッドへと己も足を踏み出す。「ふふ、そうかい。…それなら、僕も恐悦の至りだね。」軽やかに弛めたとしても品を崩さぬ桔梗の如き笑みの下、彼の言葉に此方も心からの喜びを示してみせる。――元の世界でもいつもそうしたように、コート類を脱いで畳み、その上へ外した装飾品達を添えて。慣れた所作でそれらを枕元へと置いて簡易の寝仕度を整え、己の屋敷と遜色無いベッドへ身体を横たえる。……人を喰らう者を前にあまりに無防備なその体勢故、話の始めにはほんの僅か強張りを窺わせて。しかし物語を綴る長閑な低音、ゆったりと身に伝わる柔い振動に段々とそれは解け、主人公が冒険へと旅立つ頃には傾聴にばかり心が向く。お伽噺の頁が捲られる毎、端から少しずつ思考の糸も綻んでいき――やがて“めでたし”で話が閉じられる頃には微睡みにすっかり揺蕩い、瞼はその重さに従順と瞑られる。「……おやすみなさい、」殆ど機能していない頭から、それでも言葉を交わした彼へ告げる挨拶は、意識の揺れから年齢よりもずっと幼いもので、それを最後に夢の内へと緩やかに沈んでいく。――まだ羽根も万全と揃わぬ一鶴の飛翔。その懸命と羽撃いた先、どんな結末へと進むか今は知れぬ物語の序章は、久方ぶりの穏やかな寝息を締め括りと筆を休める。)


***


――この辺りが一つの区切りかな。うん、幾ら動揺していたとはいえ、初めはあんな不躾にお堅い態度を取ってしまってすまないね。…でも、初夜が終わる頃にはすっかり緊張が解してもらえたのだから、本当に君は会話上手だね。
それで、そう…次について話さなくてはね。前に言った通り、もう一夜続けて僕がお話を綴らせてもらうのだけれど……ご指名したい怪物様がまだ絞りきれていなくてね。良ければ少し相談に乗ってもらえると嬉しいな。
先ず気になっているのは、僕がこれから読む書の主演であるサー・ギンハ。それから会話に少し登場した悪魔の方々…このお三方の内からであれば、僕と同じ“兄”という立場にあるサー・レンブラントとお顔合わせを願いたい。あとは、そうだね……話に挙がった以外であれば、サー・レオニダスにも少々興味を惹かれている。
……手を煩わせてしまって申し訳無いね。何せ僕、気の多い性分だから、何方も魅力的に見えて仕方が無くて……ふふ。それで、どうかな。僕が挙げた怪物様方、またはそれ以外のまだ見えぬ誰かの中で、僕とお話をしてくれる者は居るかい?




1535: グレン [×]
2024-10-13 19:33:23





>キルステン( >1533


( 短く、けれどもしっかりと届くノック音が鼓膜を揺さぶったのは丁度身支度を終え、仕上げとばかりに鏡に写る姿へと緩く口角を持ち上げて確認をしていた頃合い。扉の外にいる人物はきっと先程手紙を出した相手だろう、なんて推測はこの屋敷の中で危険な目に合う事無くダークエルフに守護されているが故の危機感の無さが故の思考か 「 僕はハイネのものだよ 」 名を尋ねる事もせずに、部屋の内外を隔てる戸の鍵を口にしてから扉を押し開け 「 ──初めまして、僕はグレン。キミはキルステンでいいのかな?」 彼の姿を視界に捉えてから僅かに生まれた間は、先日のフレンドリーな死神との対話で出てきた情報から想像していたよりも上背があった為。自身と然程変わらぬ高さにあるビリジアンの瞳と真正面から視線を合わせて 「 残念ながら僕が持っている物が少ないからね。それに、対価なら選んでもらう方が良いでしょ?」 気後れするの無い返答は今迄接してきた人間や役柄が所以の引き出しの多さから。花の提案をしてくれた死神に心のうちで感謝を述べつつも、それを外に出す事はせずに彼の嘆息とは反対に笑い声を短く溢すだけに留めて 「 ふふ、勿論だよ。女王様 」 彼の言葉で一瞬脳裏を過ったのは言葉を交わした事のある人間嫌いの幽霊の姿。確かに彼は怖がりそうだ、なんて内心納得しつつ、眉間の間際へと突き付けられている方の手を取り手の甲へと軽く口付けてから室内へとエスコートを 「 嗚呼、そうだ。僕の部屋、ハイネの魔力が色濃いみたいだから居心地が悪かったらごめんね 」 ふと思い出したのは部屋を訪れた事のある人ならざる者たちに必ず言われる事。だからと言って一度取った手を離す事無く室内へと導くのは日々ダークエルフと接する中で中途半端に身に付き始めた自信と神経の図太さゆえ。そのままソファの元へと辿り着けば座る上座側へと座るように促し、座るのを見届けてから己は対面する位置へと座して。これでお茶菓子などがあればもてなしとしては上々なのだろうが、こういった時に限って日常生活を送る上で必要以上のお願い事を聞いてくれそうな蝶の使い魔は不在 「 何もなくてごめんね 」 へにゃり眉尻を下げ、相手の方へと視線を向け )





1536: ナザリ [×]
2024-10-19 11:25:05



>グルース(>>1534)


いやぁ楽しかったよ、ありがとうグルース。お前さんが謝る必要なんざどこにもないさ、人食いのうろつく屋敷で警戒するのぁ当たり前だからねえ。
お前さんはギンハの好物に当てはまるか微妙な線だが、だからこそあいつぁお前さんに興味を持つだろうねえ。しかし誉め言葉に滅法弱い単純な奴さ、例えお前さんが好物に該当しようが易々と喰ってしまおうたぁしなさそうだ。お前さん、相手を褒め殺しにするのが大層お上手だからねえ…ンふふ。
レンブラントは気紛れに新入りの部屋を訪れるだろうが、お前さんが罠に嵌らない賢い子だと分かればギンハ程は関心を抱かないかもしれないねえ。しかし会話の中でお前さんが弟や妹を心から大事にしていると知れば余興とばかりにそれをネタに揺さぶろうとするやもしれん。気をつけなきゃぁならんよ。
あの獅子頭は…そうだねえ、きっとお前さんを捕食してしまうつもりで来るだろうね。拗らせた奴だから甘言にもなかなか蕩けないだろうが、品のあるお前さんの態度は好ましく思うはずだよ。つまり、奴にとっちゃぁお前さんは涎が出るほど旨そうな獲物だということだ。
まとめりゃあ誰を選んでも愉しい夜が待っていそうだということだね。これで次にお前さんに会える俺の次に幸運な怪物を選べそうかい、何かありゃぁ遠慮なく言うんだよ。




1537: キルステン [×]
2024-10-19 11:27:27



>グレン(>>1535)


(やはり予想もつかなかったのはその解錠の文言。うげろ、とそっぽを向いて舌を出したのは心底ダークエルフの趣味嗜好が理解に遠いためで、それを強いられているお気に入りの彼には不快感などではなく気の毒だわといった類の憐憫を覚える。が、死神の話から彼も満更でもなさそうだと事前に聞いていたために自らの所感を押し付ける気はなく内側から扉が開かれる前には勝気な笑みへと表情の修正は済ませていて「 そう言う割には他のコと比べてスペシャルなものを沢山持った坊やに見えるけど。イイじゃない、手札の多いヤツは好きよ 」逃げることもたじろぐこともせず交わった視線にニヤリと口角を持ち上げる所作には彼への好感が滲んでいるだろうか。ともすれば凶器と成り得る鋭い爪も意に介した様子のない彼の動きを観察しながらされるがままに、手の甲へ触れた仄かに温かく柔らかい感触に肩を竦め「 そこにキスする意味、解ってやってんだったら大したモンだわ 」引かれるがまま立ち入った部屋は彼の言葉通り濃厚な一つの魔力に支配された空間で、ゆっくりと見回せばそこかしこに隣人の痕跡が見て取れ思わず〝 アハ! 〟とカラッとした笑いを短く零し「 胸焼けする部屋だこと 」やれやれといった風情で軽く笑いながら限りなく独り言に近い感想を落として、ソファーへとやや浅めに腰掛けては長い足を組んで。それは図らずもダークエルフが足を組む所作に似ていたが、彼のように高飛車な威圧感ではなく今から会談に臨む敏腕な経営者のようなインテリジェンスを纏った雰囲気にてじっと獲物の顔を見つめ「 結構。お茶の一つもままならないなんて、アンタ達はホント不便ね 」この屋敷で最も弱い立場にある人間に対してもてなしなど期待していたわけもなく、当然責める素振りも見せず高らかにフィンガースナップを鳴らして自身の使い魔たるベタを呼び寄せ「 何か冷たくてさっぱりする飲み物を頂戴。アンタは? 」まるでパノプティコンを反対にしたようなこの部屋では味の濃い熱々の飲料を口にする気は起きないまま、彼を横目で見遣りながら注文を促して。使い魔が準備に戻ったのなら組んだ足の膝上を組み上げた両方の手のひらで包むようにして「 ――それで。ハイネに何をあげたいって? 」死神と違って代価の話を挙げないのはそれが無粋と思っているから。ゆえに端的に話題の進行を求めるようにどこか朗らかさを着た声を紡いで)




1538: 執事長 [×]
2024-10-19 11:54:08



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1539: グルース・リヨン [×]
2024-10-20 13:01:17



>ナザリ(>1536


丁寧な回答有り難う、サー・ナザリ。褒め殺しだなんて……ふふ、僕は思った通りの事しか言わないよ。きっと狐の方や獅子の方が来る夜にもね。それから……そう。サー・レオニダスにはそんなにも魅力的なものとして僕が映るのだね。光栄と随喜に咽んでしまいそうだけれど、それはまた次の機会に。…うん、今回はサー・レンブラントにお相手を願おうかな。やっぱり自分の知っている怪物様にもお会いしてみたいからね。
僕は“家族”を引き合いに出されてしまうとどうにも脆いから、もしそうなれば揺さぶりに狼狽する醜態を見せる事にはなるかもしれないけれど……ふふ、又と無い希少な語らいの対価さ。その時は甘んじて受け入れるよ。
……相談はこんな所かな。本当は君ともまだ話していたいのだけれど、あまり君を独り占めしていてもいけないからね。一先ず君とのやり取りの後、目覚めてからの事も少しばかり綴らせてもらったから、そちらのお好きな頃合いにどうぞ、と彼の方に伝えておいておくれ。

それでは、サー・ナザリ。いつか再び、縁が触れ合えた夜に。


***


(――夢を見た。きっとそう、何もかも理想通りの叶わぬ夢を。瞼を開いて直ぐ、ぼんやりと靄の掛かる思考にそんな確信めいた一文が浮かんだのは、目覚めたその時に胸の内が仄かに軽い心地がしたから。「……もう少し、眠っていたかったな…」呼吸を一周する間に、するり記憶の網を抜けて霧散していったそれを惜しみながらも、身体を起こしてベッドを潔く去る。元の世界の頃と同じように彼是と朝の仕度を手際良く済ませていくその仕上げ、姿見の前で絡まり易い癖髪を丁寧に梳き、それを纏めようとリボンを手にする。――“お兄様の為に選んだの”。昨年の晩秋、誕生日に弟妹達が渡してくれた贈り物。掌から溢れる大振りなそれを暫し眺めた静寂の後、徐にその滑らかな表面へとキスを添えて、「……元気でいてね。」いつもであれば己の自室に我先と雪崩れ込むきょうだいへ施す毎朝の祝福を、いつもとほんの少し変えた別れの文言で、揺れる眼差しも合わせて。それから一つ短い息を吐いたのを切り替えに鏡の己と向き合い、手慣れた所作で刺繍の柄が上向きになるよう髪を結う。最後に服装の綻びを確かめ、振り返った先のテーブルへ何時とは無しに用意された食事に瞬いて、続けて眉を下げる。――其処にあるのは過不足無い一人分の食事であり、特別これといった食材の好き嫌いや身体の過剰反応等も己には在らず。しかし、「ううん…食べきれると、良いな……」人より浅い腑の容量だけは別問題。傾げた首と共に惑う小さな唸りは、一人きりの室内に溶けていく。今ばかりは食するものへと意識を置いて。席へと着き、もう一度その量と細めた瞳で見詰めあった後に意を決したようにカトラリーを取り、ゆっくりと食事を始める。――その視界から外れている机の上、昨夜鬼の彼に頼んだ本が予想以上の山を成す状況にもたじろぐ程驚く事にはなるが、それはまた後々。)




1540: レンブラント [×]
2024-10-21 12:49:02



>グルース(>>1539)


(安定して上質な命が取り込まれるこの屋敷では、自然界の猛獣達のように明日の糧を賭けて必死に獲物を取り合う必要など皆無。しかし獲物に対する好みが一致した怪物間では往々にしてそういった事態は起こり得る事であり、特に悪魔兄弟はその争いをこの理不尽で無慈悲な屋敷の中に見出した愉しい遊戯だと捉えている。つい先日までも同様のゲームに興じていたが、連敗を喫したからだろうか弟はすっかり臍を曲げてしまい兄からの次ラウンドの誘いも突っ撥ねる始末。微笑ましいような呆れてしまうような、或いはそのどちらも胸中に提げて一人訪れたのはまさに悪魔兄弟の〝次のターゲット〟となるやもしれない彼の部屋。適度な間を空けた穏やかな調子のノックの後「 今晩わァ 」とフランクながらも軽薄さはない落ち着いた調子で挨拶を。そのまま続けて「 君、最近入ったばっかりの子やろ?なんや困っとう事あらへんかな思て来てみたんやけど… 」さて、扉の向こうの雛鳥はもう追従するべき怪物に邂逅した後だろうか。鬼に先を越されたと勘付くのはもう少し先の話だろうが、やはりこの瞬間には期待や野心の入り混じった独特の高揚感を禁じ得ない。しかしそんな手前勝手な楽しみはおくびにも出さず、あくまで今夜は彼を害するつもりはないと明朗に意思表示をして「 俺なあ、悪魔のレンブラントゆうねん。怖かったらココ開けんでもええから、名前だけでも教えてくれへんやろか 」種族と名を明かすのも疚しい事などないと示すため。悪魔などと剣呑な単語は人間相手に警戒心を煽る可能性が高いことは重々承知で、だからこそ自らの立ち居振る舞い次第でゲイン効果も期待できるというもの。両脚の踵同士をぴったりとくっつけて爪先を10度ほど開き、そこから片足を柔く引いて背筋を伸ばし紳士的な佇まいを崩さないまま、長い爪に彩られた指先を胸の前で淡く絡めるようにして反応を待とう)




1541: グルース・リヨン [×]
2024-10-22 21:48:47



>レンブラント(>1540


(すっと伸ばした姿勢で椅子に座して向かい合うは、与えられた本の一冊目。新たな冒険へと旅立つ心地で頁を捲り文字を追う、その表情は誰知れず少年らしく好奇の輝きを以て仄かに弛んでいる。――暫しして。ふいと集中を切らして顔を上げ、近場に置かれたメモ用紙を一枚ダイヤの形へ折って栞とし、それを挟んで表紙を閉じた丁度に響いたノック音。「……おや、どちら様かな。」直後の挨拶は随分落ち着いた、しかし知らぬ声と訛り。椅子を発って落とした独り言に答えるようなタイミングで上げられた名乗りに、思わず足を止めてまだ遠い扉を見つめる。……驚きに声を零さずに済んだのは、鬼からその存在を仄めかされて構えを備えられていた事が一つ。それから、「……レンブラント?」何処かで聞いた画家と同じ名に気を取られた事が二つ目の理由。それは美術館だったか、それとも王宮の収集品か――一瞬ばかり思考を馳せて、だが直ぐに目の前の声の主へとそれを戻す。「ああ、お気遣い有り難う。」反応の遅れた声は些か緊張の固さを持ちながらも、配慮に対する丁寧な礼を。「でも、大丈夫さ。…今其処を開けるから、少々待っていておくれ。」そこに続けて和らぎが意識された音を彼へ届け、その害意の見えぬ文言を一先ず信じて半端になっていた歩を再度進める。十秒足らずと着いた扉をゆっくりと開いた先、最初に視界に入ったのは初夜の彼より幾分か馴染み深い装い、それに長い爪を持つ青白い手。視界を上げれば鋭い琥珀の瞳、さらり滑らかな紫の髪、そして――その髪から生える黒い角。更に翼に尾と、誰もが想像する“それ”の特徴を持ち得る彼へ、微かに顎を引く警戒の態度を取ってしまったのは無意識の事。「今晩は。そしてようこそ、明け星の御遣いたる方。僕はグルース・ロシニョール・アンリ・ドゥ・リヨン。君の好きに呼んでおくれ。」“悪魔”の項を聖書と絡めた己の言葉へ変換し、此方も胸元へ手を添え求められていた名の全容と共に会釈を。「…さて、うん。困り事という程ではないけれど、君のご厚意に少しばかり甘えてもいいかい?」起こした視線で琥珀の瞳を凛と油断無く見据えて、しかし声音も微笑みも悠然と柔らかなものを保ち、先の扉越しの言葉を引用した確認を一度問うた後、「今の僕は丁度、一人の静謐よりも、誰かの響きと寄り添いたい気分でね。……だから、君が来てくれた事がとても喜ばしいよ。」ふっと笑う小さな吐息と共に告げた用向きは態々訪ねた彼の面を立てる建前――それと、この胸へ澱み始めている寂寥の本音が一匙。「中へどうぞ、サー・レンブラント。大したお持て成しは叶わないけれど、どうか寛いでいっておくれ。」瞳を揺らしかけたそれを瞬きの内に伏して足を退き、扉を押さえたまま室内を掌で差して彼を招く。)




1542: レンブラント [×]
2024-10-23 16:59:54



>グルース(>>1541)


――もうちょい大きい子ぉかな思たけど。しっかりしてるなあ
(扉の向こうからの応答ひとつひとつに違和感を覚えるほど落ち着いた態度にはどこか上品な余裕さえ感じられる。新入りと数えられる類の存在であるには違いない筈なのに、少なくとも未だ謁見の叶わぬ声だけの印象ではもう何ヵ月もこの屋敷で暮らしているのかと錯覚し兼ねない。開いた扉、彼が顎を引くのとはまた別の意味合いでこちらも思ったより低い位置にあったペリドットの双眸を見つめるために顎を引いて心底感心したような調子で素直な感想を。「 生憎、仕える主人はおらへんのよ。君みたいな可愛らし子ぉのワガママ叶えるンは大歓迎やけどなあ 」口角はずっと上げたまま、洒落た彼の言葉へ返すように夢とも現ともつかない悪魔らしい誘い文句を。そして縷々紡がれた流麗な響きの名には白く柔らかな翼のはためきを感じるような心地で「 綺麗な音ばっかしでどないして呼ばしてもらおか悩んでまうなあ。君の一族はみんな翼持っとるん? 」華美な服装、洗練された佇まい、年齢の割に丁寧な話言葉、決め手はやんごとなき身分を証明するカメオ。正統な血脈を受け継ぐ者たちはその名に一貫性を持つ事も多い、そんな慣習を知っていた悪魔は世間話のような調子でひたひたと彼のプロファイルに忍び寄ろうと試みて「 悪魔招き入れた上に寛いでぇ、て。君、ホンマ大したモンやわ 」いくら害意はないと表明されたとはいえ相手は見るからに得体の知れない怪物。襲われてしまえば一貫の終わりだろうにそれを気にする素振りも見せないのは、彼が穢れを知らぬ高貴な性善説の中で大切に育まれたからなのだろうかと推察を巡らせながら扉を押さえてくれている彼の肩をトンと労うように叩いて「 おおきに 」と告げ、最初に目に入ったのはデフォルトで備え付けられていないであろう大量の書籍と、そこから仄かに立ち上る鬼の残り香に目を細め「 読書の邪魔してもうたかな、堪忍 」気にする素振りはなくそう告げて、窓枠へと歩み寄ってはガラス越しに月を見上げ「 ずっと夜なんはもう慣れた? 」肩越しに彼へと振り返り変わらず口角は緩やかに上げたまま問い掛けて)




1543: 執事長 [×]
2024-10-23 19:24:50



>現在メニューにお名前のある演者様にお知らせとお願いがございます。お手隙の際に宝箱をご確認ください


>ご新規様の募集を再開します。また、募集要項から国籍や時代の縛りがなくなりました。ご質問・ご相談だけでもお気軽にどうぞ[ 今夜の案内役:ラザロ ]


>お屋敷の詳細設定にイメージ画像を追加しました
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1544: グルース・リヨン [×]
2024-10-24 18:52:53



>レンブラント(>1542


おや、それは失礼。…ふふ、君の賛辞と照らせる我が儘を探すのは大変そうだ。
(彼の感想を和ませた瞳で受け取った後、誘う言葉はジョークにて柔らかに躱す。思惑を知ってか知らずか、話題と掛けられた声には一つ首肯を返して、「そう。このリヨンの血統を継ぐ者は皆代々、空を翔けるものの名を戴く慣わしなんだ。歴代の公爵とそのきょうだい達も、末孫である僕も。そして、僕の弟妹達も。一人として例外無く、ね。」自らの胸元に右手を添え、名に纏わる家の子細を淀み無く朗々と告げた次。その指を首元のブローチへと滑らせて、「これは家を分ける折、王家の紋章であるグリフォンの翼を名と賜った初代に由来する――つまり、王族と血脈が繋がる一族である事の、栄誉ある命名なのさ。」王冠、鷲、二輪のアイリス――己が一族を象徴するそれらが彫られたカメオの表面を親指で撫で、そのまま続けるのは家の歴史、その始まり。驕りや優越は見当たらない、宛ら書の音読でもする教師の如く、ゆったりはっきりとしつつも何処か淡白な語り口でそう名付けの由を教えた最後、「……もっとも。僕の弟妹達はまだ、名に見合わぬ愛らしい雛鳥だけれどね。」瞼の裏へ浮かべたその幼い雛達の顔に、ふっと軽やかな笑いを吹いて締め括る。「……僕に君を拒む理由は無いからね。」室内へと踏み入った背を見届ける際、肩を叩く掌への応答に選んだのは、“何が起きても受け入れる”という意思表明。凛と覚悟を通した芯の内に、何もかも綿に包むような甘さをこっそりと含ませたそれを瞬きに切り、「いいや、本には丁度飽いてしまった所だったさ。」謝意に対して茶目っ気を滲ませた仕草で肩を竦める。それから「……そうだね。この静かな藍が続く世はとても好ましいけれど――」扉を閉ざし窓辺の彼と穏やかな視線を交わらせ、問いへと答えを静かに紡ぎながら、その傍に悠々と優雅な足取りで歩み寄り、悪魔の隣へ踵を揃える。その目の前の窓から煌々光を注ぐ眩い月を見上げれば、「起きた時に誰の声も音も聞こえない事に慣れるには、もう少し時間が必要かな。…家に居る間は、愛しい雛鳥達に囲まれて過ごす事が多かったから。」その月よりもずっとずっと遠くを見詰める瞳を細めて、話す声には微かな寂寥の吐息が混ざる。更に重ねた答えの中に並べた“囲まれる”という言葉には、雛鳥――弟妹が一人や二人などではなく、もっと多数である事が示されている。「…サー・レンブラント。」しかしそれ以上の感傷からは目を逸らして、向けた半身のまま彼と顔を合わせ、「君にも兄弟や家族と呼べる者は居るのかい?」話にその存在を零したついで、悪魔の彼にもそれに並ぶものは在るのかと、興味に色付いた眼差しと音で問い掛けの微笑みを返す。)




1545: グレン [×]
2024-10-25 01:15:01





>キルステン( >1537


“ それ ” を気に入るかは人によるし……それに、手札を見せちゃったら交渉に不利になる事もあるでしょ?
( 持ち上がった口角を見るにどうやら特段悪い印象を与えてしまった様子も無く、寧ろ好感を抱いてくれたのではなんて考えさえ浮上する。ゆるりと口角を持ち上げ首を傾けて見せるのは同意を求めるため、というよりかは少しでも余裕があるかのように振る舞うための虚勢にも似たそれだが果たして彼にはどのように捉えられるだろうか。「 ふふ、お褒めに預かり光栄ですレディ 」 演技をする上で糧になるからと詰め込まれた所作やその意味の数々は未だに確りとインプットされているが、今はそれを深く語る必要性も無いだろうと戯れに似た少々おちゃらけたような声色で言葉を紡ぎ出すと同時、軽いウインクをお披露目するだけに留めて。部屋に充満しているであろうハイネの魔力に対する感想が思いの外さっぱりとしていたのは彼の気質によるものだろうか。そうで無いにしろ腰を据えて話を聞いてくれるらしい姿勢に小さく安堵の息をこぼした後ソファへと座す姿にぱちりと瞬きをしたのは、その所作があまりにもダークエルフのそれと似通っていたから。けれども纏う雰囲気は異なるもので、直ぐに普段通りの笑顔の仮面を被り対面する位置へと腰を下ろし。「 そう言ってくれると助かるよ 」 眉尻を下げた情けのない表情はそのままに、笑みを浮かべる事で安心した様子が伝わるであろうか。注文を促されるがままにさして悩む素振りも無く 「 じゃあ、僕は冷たいコーヒーを貰えるかな? 」 きっと主人からの伺いがあったからであろうが承諾してくれたのだろう反応を残し準備に戻る姿に “ ありがとう ” と小さく感謝の言葉を落として。率直に今夜の本題へと切り込んでくる彼の言葉に視線を戻し 「 手紙にも書いたけど、カフスボタンを贈りたくって。手作りで、僕の瞳と同じ色の石を使ったやつ 」 視界に入れば己の事が僅かにでも頭に過れば良い、そんな欲に塗れた贈り物は他の怪物の力を借りなければ一気に難易度が高くなる事なんて長くは無い屋敷での生活で痛感している。一呼吸置いて対価に関する事を付け加えるのは話しておかなければフェアで無いという意識からくるもので 「 ただ、僕自身を切り売りするのは許してくれないご主人様がいるし、キルステンに対する見返りが少ない事も理解してる 」 視線は一度も逸らす事無く、一直線に相手の瞳を見据え 「 貰ってばっかりは嫌だから。俺のとこに居なくても俺を思い出してくれる物を、ハイネの側に置ける物を贈りたいんだ 」 今迄の流暢な喋りからは一転。辿々しさを残したそれは本心からのもので )





1546: レンブラント [×]
2024-10-25 12:10:26



>グルース(>>1544)


(一冊の歴史書を紐解くように流暢に紡がれた内容は大変煌びやかなもので、人間が聞けばきっと多数の人間が憧れたり羨ましがったり、或いは嫉みを向けるのだろう。だが当の本人はそれを鼻にかけるでも笠に着るでもなく只生まれながらに背負った事実として受け入れているような恬淡さえ感じさせる。雛鳥に思いを馳せたその綻んだ表情を横目に見つめ「 授かった名誉の重さをちゃぁんと理解しとる程、重苦しさを感じるもんやろ。そっから解き放たれてもなお誇り高く涼しげに羽ばたく君は根っからの貴族やね 」未だ成鳥へと育ち切らない華奢な彼の背にもきっと既に立派な翼が生えている、そう感じれば並び立つ彼へ斜めに向き直り指先をぴしりと揃えた手のひらを胸に当て敬意を示すように微かに顎を引いて浅い礼を。そうしてその手を天井に向ければ、ポンという空気が軽く弾けるような音と共に屋敷の図書館から悪魔の手中へと転送されてきたのは人間界の野鳥図鑑で「 君は鶴と夜鳴鶯。ちびちゃんらはどんな雛鳥? 」成人男性を体現するような大きく骨張った手、その親指と残り四本で図鑑を挟むようにして器用に支え開きながらページを捲ってと促すように半歩身体の距離を寄せて「 ああ…そりゃ確かに寂しいわなあ。までも、君だけやのうてちびちゃんらまで攫われてきてしまうよりマシなんちゃう? 」まだ僅かしか言葉を交わしていない中でも彼が深い愛情を弟妹たちへ抱いている事は容易に伺い知る事ができる。そんな雛鳥たちと離れ離れになったのはさぞ寂しかろう――ああ、可哀想で可愛らしい。善意なる励ましの形を借りながら含ませるのは黒薔薇の犠牲者に選ばれる可能性は彼のためだけにあるものではないという事実。この先雛鳥までもが黒い悪意の茨に絡め捕られない保証なぞどこにもないのだと――そこで少し顔を上げて周囲を見渡し、丁度窓の向こうに飛翔していたカラスの使い魔をちょいちょいと呼び寄せては少しだけ窓を開けて「 毎日この子に〝おはよう〟言うたって 」魔の言語ではなく人にも解せるそれで命令を与えれば使い魔は僅かに狼狽したようにちらと悪魔と彼の顔を交互に見て、最後にはカァと鳴いて了承を示し飛び去って。その姿を眺めながら「 窓は開けとかんでもええよ。あの子ら神出鬼没やから 」悪魔が特命を取り下げない限り、彼がここ数夜で味わった目覚めた時の静寂と孤独はきっと二度と訪れないだろう。そんな計らいの後、問い掛けられた内容にふっと笑って「 おるよ。丁度こンお屋敷に弟が一人。カナニトっちゅう可愛らし子やけど、今は色々あって拗ねとる。ろくに口も利いてくれんわ 」兄弟想いの彼と共通点を作るように、自らもさも愛おしげに弟について朗々と語る。拗ねた理由が獲物を弄ぶゲームに端を発するだなんて勿論間違っても口に出したりはせず、最後には困ったように自嘲気味の笑みさえ浮かべて「 兄ちゃんってムズいよなあ。仲良う出来るコツあったら教えて欲しいわ 」あくまでも、弟が大切で仲良くしたいけれど弟側が臍を曲げてしまって困っているのだと。そんな論調を保ったまま、眉尻をハの字に垂れさせて控えめに笑って)




1547: キルステン [×]
2024-10-25 12:13:57



>グレン(>>1545)


小賢しいコト考えてんのね。手札が多かろうが少なかろうが、相手に刺さるカードの有無で呆気なく決まっちゃうじゃない
(ハッと笑い飛ばすような言葉たちもこれまた責めるような論調ではなく、あくまでも人魚の平常運転。圧倒的に持たざる者側の立場を強いられる獲物たちが自らの思い通りに事を進めるために謀略を巡らせるのは当然の事、そのうえ異界の屋敷でそのように賢く立ち回れる胆力のある獲物は嫌いではなくむしろその逆。すぐに用意された飲み物はどちらもよく磨かれたコリンズグラスの中に注がれており、彼の前に置かれたアイスコーヒーの淵には切れ込みを入れた六角形の不思議な白い果実のようなものが差し込まれていて「 それ、見慣れないでしょ。苦いのがダメなら好きなだけ絞りなさい。ブラックが良けりゃ只の飾りとして目で楽しんで 」人間界に存在しないその果実は奇しくもガムシロップとミルクのような役割を果たすらしく、躊躇いなく彼に勧めたことから人体に害を及ぼすものではないらしい。言い終えた人魚はブルーキュラソーのような透き通った青い液体をストローで一口吸ってからコースターの上にグラスを置いて。真っすぐな彼の視線を受け止めるようにこちらも一切目を逸らさず、飼い主への返礼と言いながらそれをしっかりと自己顕示の布石にせんとする強欲さに「 ジョネルの言ってた通りね。アンタ達お似合いだわ 」納得するように数度頷きながら素直な感想を、そうしてふと勝気な笑みを浮かべて「 アタシはアンタの飼い主の事そこまで好きじゃないの。だから応援はしないケド、このキルステンを呼び出したアンタの勇気に免じて今回は甘ったれた我儘に手を貸してあげる 」変わらず棘のある物言いだが今回の件に関して助力を惜しまないという決意は彼に伝わっているだろうか。ふと思い出したようにぴっと人差し指を立て「 お代は今度飼い主に請求するわ。素寒貧に無い袖振らせるほど冷血じゃないの 」支払いであれこれ揉めるなんてスマートじゃない。半分ほど残っているグラスの中身をストローで一息に吸い込んで空っぽにして「 じゃ、行くわよ 」すくっと立ち上がり行先も告げずスタスタと扉へ向かう、その道中に「 可愛いペットが自分の為に用意してくれたプレゼントがアタシの魔力で作ったものだと知ったらアイツはどう思う?……アタシは面倒事に巻き込まれるのは御免よ。だからアンタが自分で石を見つけなきゃ 」親しくはないが同じ黒薔薇屋敷の虜囚同士、全く理解がないわけでもない。他の怪物の魔力が香る贈り物なんて身に着けるどころか粉々に砕きかねない、もしそんな事になったらあまりにもこの子が可哀想じゃない。そんなリスクをわざわざ背負わせる必要なんてないわ、そう考えを巡らせながら躊躇いなくガチャリと扉を開いて廊下に一歩踏み出し「 いらっしゃい。アタシは愚図もキライよ 」ニッと笑って彼の顔を一瞥すれば、ピンヒールの跫音を吸収する赤い絨毯の上をスタスタと淀みなく進んで)




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