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□ 160万℃のレチタティーヴォ / 〆/4375


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自分のトピックを作る
41: 宝飾 周 [×]
2019-07-29 22:19:15




(彼は、その名の通り蝶々だ。綺羅びやかな翅を惜しげも無く広げ、魅了しつつも優しく誘う麗しき案内人。ステージを降りれば若干憎たらしい顔を覗かせるものの、少なくともアイドルとして己が認知している漆戸アゲハはそのような存在であった。…然し。きみにだけ、と甘い台詞で導かれたのは、稲妻のような衝撃波。己で無ければ一瞬で見失うであろうスイッチの切り替わりに、瞳の金を揺らし思わず息を呑む。人が見てみぬふりをして押し込んだ怒りや嘆き、疑念と言った日陰の感情を容赦無く晒し出すその姿からは、日向に生きる『InForest』の一員ではなくあくまで一人のアイドルとして歌う彼の意思をありありと感じ取る事ができた。一切の無駄を許さない磨き上げられたパフォーマンス。己の知らぬ曲ということは即興か、はたまたユニットを結成する以前に使用していたかの二択に絞られると思うのだが、例え毎朝毎晩研究を重ねたとしてこれほどの身のこなしを前置き無く披露できるものだろうか。鋭い眼光に射抜かれれば、手も足も、その場にいとも容易く縫い付けられてしまう。心を鷲掴み、崩れる程揺さぶる過激さは誰が為か。その対象が己だと自覚した時__焚き付けた身であるにも関わらず、ぞっとするような熱が身体を呑み込んだ。)
…お日様じゃなくてただのライトだよ。はは、バースデーソングにしては随分と激しかったけど……でも、
(呼吸すら見透かされる距離。喉笛を掻き切られる事こそなかったが、血液の循環を示唆するよう爛々と燃える両眼の宝石は、正しく捕食者のそれであった。一挙一動、その全てを刻み込もうと見開いていた双眸はとうに限界を越えて酷使しており、端正な顔が一杯に映る視界をぎゅうと狭めていく。此方を"お日様"などと宣う彼に、驚嘆を浮かべていた顔に痺れたようなぎこちない笑みを浮かべれば、何処か掠れたような声で上記。相手を自分の世界に連れて行き、感動を与えるのがアイドルだとすれば、その目的は完璧に達成されたことになる。少し息を吸って、もう一度だけ歯切れの悪い"でも"を繰り返せば、「……そうだね、満足だ。格好良かったよ」と。堂々としたパーソナルスペースへの侵入は、せめてこの会話が往復するまでは許してやってもいいだろう。言葉を放出したことで掴まれた襟が首を圧迫し過ぎないよう計算されていることを発見しつつ、膝の上に保っていた両手を軽く打ち鳴らして。)





42: 漆戸 アゲハ [×]
2019-07-31 16:08:00




……お日様でいいの。その方があったかい感じがする。それとも何、俺を街灯に群がる蛾にする予定でもあるのかい__ああ疲れた。
(敵意を持って睨めつけた訳ではないにしろ、己の顔面から感情を根こそぎ削ぎ落としたときに他人に与える影響は理解しているつもりで、胸倉を掴む動作と併せて、客観視すれば半ば脅し付けた状況である。勿論惹き込むために手を抜くつもりなどなかったから、強引にでも頷かせようと自覚的に選んだ手段だ。だというのに、この超至近距離から確認してみても怯みの感情は一切見当たらず。絶対的強者、化け物に対する畏怖でも恐縮でも追随でもなかった。あったのは、予想外の出来事に対する純粋な驚きと、表情筋の随意運動ができない程の感動、そして、歯切れの悪い言葉の通りの、賞賛の表情。__こんなに泣きたくなる程安心することが他にあっただろうか。鋭利な刃物を眼前に向けられて、その相手の剣の腕を笑って褒めたようなものだ。たとえそれをしたのが仲間や友人で、殺されないと、自分を喜ばせるための余興だと知っていたとて、同じことができる人間が果たしてどれだけいるだろう。長年共演者に監督に、カメラの向こう側に刃物を突きつけ続けてきた経験がその貴重さを裏付ける。彼が温かいひだまりでないなら、もう他のなにものもそれに該当し得ないとすら思えた。意識するよりもずっと早くに表情が和らぎふやけてしまって、襟を掴む腕から力が抜けていく。同時に気も緩んだのか、想定していたよりも大きな疲れがドッとのしかかってきて、相手側にふらり倒れ込んで背後に腕を伸ばしながら、若干生気の抜けた、それでも堪らなく幸せで嬉しそうな声でお日様呼びを譲らない旨を返し。相手の顎が己の肩にかかるよう後ろから片手で押し込み、相手の肩口に眼窩を型どる骨を上からぐりぐりと押し付けて深く呼吸。水鳥で言うところの水面下の足を隠すのが人より上手いだけで、ちゃんと心拍数は上がるし乳酸は溜まるのだ。とはいえ人前でここまで表に出るのも珍しいのだけれど。)
少しでいいから、このままでいさせて。……そうだな、対価ってことで。俺は高いんだ、知ってるだろうけど。
(運動によって生じた温度差で目元が冷えて心地いい。先程まで華々しく活躍していた声帯は今や機能不全に陥って、息の割合が多い喋り方で。絶対に今考えたであろう適当な理由を適当な調子で口にしながら顔を上げると、頭の重さを相手に一部預けるようにして、緩く相手を抱く腕にそっと力を込める。……疲れ故の気紛れの体で都合よく隠した愛情表現だと、彼が努努気付くことのないように、祈りながら。)




43: 宝飾 周 [×]
2019-08-03 22:09:13




うわ、ちょっと__
(驚きつつも、反射的に受け止める。体内の何もかもを凝縮させたような重みと平常値を大きく上回った熱に襲われた時、彼を途端に近しい者として感じた。勿論、物理的な距離が縮まったのも関係しているのだろうが、決壊した疲労を浮かべるその姿は夜な夜な練習室の隅に蹲る己と酷似していて、何処までも人間らしく、親しみの情が湧くものであった。そう、ここに生きるのは人ばかり。天才鬼才が居たとして、無尽蔵の体力や枯れることの無い声は存在しない。上下する背中を眺めつつ、世界の宝が有する貴重な命を削ってしまったと少しばかりの後悔を。しかし、言い訳がましくなるが、ここまでのパフォーマンスが見られるとは思ってもいなかったのだ。凡人の祈りで美しい蝶が獣に変わるなど、誰が想像できただろう。)
…全く、しょうがないな。少しだけだよ、変な噂が立つのは御免だからね。
(拒絶はしないが、相手を抱き返すこともしない。一つ齢を重ねた所で反抗の意思が変わらない辺り、己もまだまだ子どもなのだろう。それでも汗の伝う肌は触れた先からぴとりと密着し、混じり合うような錯覚を起こす。暦は文月、窓の外の熱気も相俟って決して快適とは言えない気温の中、押し付けられた熱は正直なところあまり心地良いものではなかったが、彼の行動自体に不快さは覚えなかった。何故かと問われれば、"対価"という表現に納得したから、とでもしておこうか。倒れ込む直前、一瞬だけ窺えた顔には幸福が浮かんでいた気がする。自身の何がその表情を引き出したのかは分からないけれど、相手もこの願いに不満を抱いていないようで安心した。やれやれという顔を作り、さらりと返す言葉は冗談。しかしその実、他人の目に晒されたくないのにはもう一つの理由が。__ここまでの困憊を示す彼の姿は、どうか森の奥の秘密に留めておきたい。弱みを握る目的はないものの、何の特権も持たない一般人が見るには少しだけ…小指の先だけではあるけれど、確かに惜しい光景だから。窓を見れば、今も続く宴の明かりがチカチカと映り込む。どうかそのまま、数多の願い人の視線を惹き付けておいてほしい。欲張りを承知で二つ目の望みを空に掲げては、細い背中に己の手を一度だけ触れさせて。)





44: 漆戸 アゲハ [×]
2019-08-07 04:40:17




(脳を融かすような熱さを無理やり二分し、脱力して呼吸を落ち着ける。背中に手が乗ると、睡眠導入の微睡みのような重い浮遊がやってきた。……“少しだけ”、この理性の手綱が弛んだ状態に任せてみよう。耳元に頬を寄せて、相手の頭を押し込んだその手で色も感触も柔らかい髪で手遊び。「ふふ、ふわふわだ」譫言のように無邪気な子どもの台詞を垂れ流すのはやはり熱に浮かされた証拠かもしれない。切り揃えられた爪の先と形の綺麗な指が頭蓋骨の輪郭をなぞって、離れ、また触れる。くしゃりと手のひらの中で一房を疎らにして、開いて解放すると中指がつっと項をかすめた。歯止めがきかなくなる前に、拒絶される前に、いや、あと少しだけ。湧き出してくる欲を、まだやることがあるのだからと説き伏せる。赤い目の獣から、1人で立てない人間から、この幸福な浅い眠りの夢から意識的に覚醒を果たして、彼が鬱陶しがる、愛くるしいただの蝶々に戻るとしよう。頬擦りするように顔を離し、身体を起こして、最後に残った片腕を名残惜しそうにするりと相手の頬に滑らせてしまったのは隠しきれなかった本心の残滓か。)
__ありがとう。さて、余興も終わって対価も貰ったことだし、そろそろプレゼントを渡そうかな。……と言っても、そんなに素敵なものでもないんだけれど。次の仕事で使う小物だよ。
(軽い動作ですたんと椅子から降りると、クーラーボックスの影に忍ばせた小さな紙袋の持ち手に指を引っ掛け軽く揺らしてみせ。微笑んでどうぞ、と差し出す姿は一連の出来事などなかったかのように平然としている。高校生には中々手が出ないブランドのロゴが控えめに刻まれた過剰な包装の中にあるのはアンクレット。新しい衣装は夏らしく露出が多い、それに合わせてこれを選んだのか、このアンクレットが映えるように衣装を依頼したのか、知るのは製作者と親交の深い己のみである。とはいえ指定された訳でないアクセサリーに予算を裂ける道理もなく、実費で手ずから選んだという点においては贈り物に違いない。けれども、気に入って貰えない不安だとか、面と向かって渡す気恥しさだとか、ちょっとした独占欲だとかが人並みくらいにはあって、そういう伝わっては困る諸々の想いを必要な品の支給という形で恣意的に上から塗り潰す。それでも反応をそれとなく気にしているのもまた確かで、ちらりと様子を伺うように視線を遣り)





45: 宝飾 周 [×]
2019-08-11 00:02:41




(相手の指が弄る対象を、己は眺めるだけに留めておく。視界にちらつく前髪と対象に暗い色を持つ後ろ髪は、さらさらという擬音が似合いそうないつもの様子に比べ些かしっとりと落ち着いており、何処か夏らしく艶めかしい。一方、心地良いものに触れ無垢な歓楽を示す今の彼はそんな艶など知らぬかのようにどこまでも純真で、混じり合う両者はアンビバレントな魅力となって溢れ出す。__白肌を汗が伝った。思考するよりも先に片手が浮き、透明な雫へ伸びていこうとしたその時、項に触れた僅かな感触が急速に正気を呼び覚ます。今、自分は、何をしようとしていた?数センチだけ浮いた指は紛れもない真実を知らしめるように宙を掻く。軽さを取り戻した身体が離れ、二人の間に空気の壁が通った時、正に今彼の胃に呑み込まれる手前で生還したのだと悟っては、己の背に何処かで見たばかりの汗が流れた。)
おや、さっきの願い事でプレゼントの受け渡しは終わったつもりだったんだけど。二本仕立てだなんて豪華だね、君のことだからさぞセンスのあるものを選んでくれたんだろうなあ。
(此方の気持ちを知ってか知らずか…否、恐らく全く知らないであろう彼は、すっかりと「漆戸アゲハ」という蝶の皮を身に纏ったらしい。爽やかな笑みと限りなくスマートなプレゼントに対しできることといえば、冷や汗をひた隠しははと笑みを返すことくらい。それでも少しむかついたので、説明の言葉などさらりと聞き流し、冗談交じりに圧を掛けてやる。己でも知っている有名なロゴが不格好に破れないよう丁寧にシールを剥がしていけば、厳重に守られた小箱から煌めきを放つ装飾品が現れた。シンプルだが決して地味にならない、アンティーク感のあるアンクレット。パーツの所々に揺れるゴールドが指すは夜空に浮かぶ名も無き星か、はたまた己の瞳が有するシトリンか。正直なところ、人が選んだものだとは思えない程気に入った。しかし、その"人"というのが彼であるからこそ、率直な感想を告げるのは面白くない。…ならばここは。そっと、壊れ物を扱うようにアンクレットを手に取ると、その場に屈み足元で作業すること数秒。再び立ち上がり、華やいだ左足を眼前に向けては、確りと相手を見据えつつこう問い掛けよう。)
どう、……似合ってる?





46: 漆戸 アゲハ [×]
2019-08-13 12:59:39




(己の頭に突き刺してくるような矢印の形をした言葉も、それを透過してさらり受け流すのもいつも通り。それについて感じることと言えば、束の間の衣替えから平常への勝手な切り替えを聡く感じ取った優秀な相方が、今回もご多分に漏れず自分のペースに合わせてくれたのだなというのが精々で、咄嗟に押し込んだ動揺はおろか、彼の背を伝う冷気の存在すら微塵も悟ることなく平静で居られる辺り、疑いようのない朴念仁と言えよう。それでも珍しく言葉尻に乗せられた圧にうぐっと息を吐き出したのは、自分に対する絶対の自信が贈る相手への万感交な心情の大きさに勝てなかったから。故に感嘆の息も感想もない状況は効果覿面で、射殺してばかりの赫々たる眼光は今や見る影もなく所在なさげに相手の周囲を彷徨いて止まない。歴史的価値などないただのアクセサリーを聖遺物か何かに見せるような取り扱いに気付くことのないまま、示される左足につつ、とぎこちなく視線を遣る)
……っ。
(息を飲む。背徳がそこにあった。似合っているかという質問には肯定を返す他ないことは確実だ。元々何でも似合ってしまう身体をしているから、余程の色物でなければ違和など感じさせないだろうが、それを差し引いても、先人が凝らした繊細な意匠の踏襲と光の象徴のような黄金を透かす小さな宝石は白い足首に良く映えていた。それにつられるようにして、薄らに浮かぶ骨や筋肉の筋に目が奪われ、柔和なイメージである宝飾周の新たな魅力に気付かされるファンも少なくないはずだ。ライブの布石としては文句なしの結果だろう。__一瞬で脳が下した客観視と抱いた印象の差にゾッとする。卑しさに吐き気がしそうだ。本来ならここまでの評価に留まるべきで、つまりは今の己は正常でない。こんな、こんな……美しい天使の双翼をもいで足枷を嵌めるような、征服者の傲慢が満たされたかのような林檎の味がするだなんて。妖しいたおやかさ、劣情を催すようなコケットリーに目が眩んで、何か、それも愛すべき青虫を無理に痛めつけるようなことをしてしまいそうだった。勢いの弱い焚き火の揺らめきが双眸に灯る。ゆらり歩いて、相手の目の前で__)
……うん、思った通り。きれいだ。
(騎士のように傅いた。美しいものを縛る隷属の気配に、気付いてはいけなかった。その拘束具に手を添えて親指で軽くなぞる。見ないふりをしよう、知らないふりをしよう。全ての生命の根源を、鎖で繋いで、悦に入っているかもしれないなどという恐ろしい事実を。深く考えてはいけない。彼の尊厳を貶めたのが他の誰かではないことだけ分かればいい。それ以上は、今は。まだ自分は、彼の良き先導者でありたかった。言葉とは裏腹に表情は素直に愛でるようなそれではなく、目元を緩めてはいるものの、その端々に複雑な心情が滲み出ていて)





47: 宝飾 周 [×]
2019-08-16 09:03:22




(左の足に輪を嵌める。その意味を知らぬまま一連のショーに興じるほど無垢な心は有していない。それでは相手に媚び売るあざとい意図があったのかと問われれば、それもまた答えはNOだと即答できる。試着の際意識したことといえば事実の表明、ただそれだけ。便宜上彼とは相棒の関係を築いているが、数ヶ月が経過した現在においても、己はそこに主従の影を見出してしまう。イメージとしては展覧会だ。メインは照明に照らされた蝶であり、決して照明そのものではない。過去にも様々な展示物を輝かせてきたが、光を当てる対象はいつだってその場の主役であり、己にとっての主であるという思いが強かった。__だからこそ行った、左足の装飾。道具は人の手で使われるもの、所有を目に見える形として表現することに、躊躇いは微塵も抱かなかった。…しかし、自身の当たり前はどういうわけだか彼の心を強く揺さぶったらしい。心臓がどきりと跳ねるような、怪しい気配。脳味噌の危険信号に急かされるまま片足を元の位置まで引き戻そうとしたその時、陶器のような指にやんわりと逃亡を阻まれた。足元に吸い寄せられるよう体勢を低くする非日常的な動作も、この蝶々はごく自然に魅せてしまうのだからたちが悪い。長い指の触れる先が、チャリと諦念の音を上げる。黒髪の隙間から覗く表情は普段とは別の意味で読み取ることが難しく、引き摺られるように此方の心を掻き乱した。)
…そっか。それならいいんだ、素敵なプレゼントをありがとう。……ところで、そんなに見られると足に穴が空きそうなんだけど?
(相手の令を受け、初めて意思を持てる従順な付き人のように。自身の感想は素敵の二文字に凝縮し、あくまで彼の考えが絶対であるかのように表情を和らげる。言葉尻に添える感謝ももう少し凝ったものだと良かったのだが、何が起爆剤となるか分からない現状ではシンプルな言葉こそが最良であろうと予想して。そうして今度は、先程の唐突な変化のお返しにと此方が平常への活路を切り開く。後半に送るのはいつも通り、何の変哲も無い軽口。「送り主の方が気に入ってどうするのさ」くすくすと静かな笑い声を上げ四方八方に張った気を上空の顔へ収束しようとすれば、捕らえられた人質…ならぬ足質を、今度はしっかりと引いて救出する。己の真下に収まったそれには未だ整った五指の感触が残存しているが、すっかりと自分の色に染まるまでは気に掛けないようにしよう。さて、魔法は解けただろうか。これから先、色褪せるまで世話になるであろうアンクレットは敢えて外さないまま、外箱と几帳面に畳まれた包装紙を紙袋の中に仕舞い込んで。)





48: 漆戸 アゲハ [×]
2019-08-21 01:07:19




(光の反射の副産物である色彩の中で、一等光を象徴する特別な色をした目が、盲いたようなやわい雰囲気でこちらを照らしているのを仰ぎ見た。見下ろすような構図であるのに、表情も声音も器用に従属の趣を醸している。それだけでざわざわと心が落ち着かなくなった。自分でも把握しきれない程に色々と考えていたが、恐らく概ね、自分は彼のその趣に肯定的でないのだろうと思う。もしそうなら、内臓がきゅうと絞られるような、痛覚を介さぬ痛みに見舞われる筈はない。耐えるように眉を寄せ、たとえ自分の光がこの両翅しか照らせなくなっても仕方ないと諦めてしまえそうな柔順な瞳を見ていられなくなって頭を下げた。変わらず鎮座する金属と、その特有の温度と人肌の感覚を保った隻手が目に入る。アンクレットを贈ったのは失敗だったかもしれない。自然を謳う自分達に、拘束の文字は似合わない。彼を縛り付けたくも、無理に従えたくもなくて、けれどただ叶うなら、傍に。それだけのことだったのに、これでは効力が強すぎた。自分のくだらない願い事が呪いにならなければいいなあと、よもや普段使いにされるなどとは想像もせずに、立てた片膝を抱えてぐるぐると思考。後悔に似た何かの海に足を取られて立てないままでいるのを、分かりやすく明るい声が掬いあげる。擽ったくなるような笑い声。現実への引き戻し方をもう心得てしまったようだ、全く優秀な生徒で鼻が高い。立ち上がって)
……きみ、着せ替えのさせ甲斐があるよね。その内モデルのオファーでも来そうだ。
(似合っている、美しくはある、けれど気に入るとは遠い場所にある評価を飲み込んで、見蕩れていたことにしておこう。「うっかり引き抜かれちゃわないか心配だなあ? 」本気か冗談か曖昧に、ただ口許が描いた緩い弧が示すのは確かな白々しさ。使わなかったクラッカー、放り出した三角帽子、机にぶら下げた折り紙の鎖を引っ剥がして袋に突っ込めばあら不思議、ただの空き教室に、校内行事をバックれて夜中にたむろする不良二人組の出来上がり。宴も酣の頃合、面倒な輩に見つかる前にすたこらさっさとお暇してしまおう。クーラーボックスを肩に提げて、いいことを思いついた知恵の回る餓鬼の顔で言うことには)
よい、しょ。__さ、なんでもない顔して、見つかっちゃう前にフィナーレに紛れて帰ろうか。面の皮の準備はいいかい?
(彼自身は兎も角、今日の幸せは自分の胸だけで独占するつもりのようで。口八丁手八丁で今回も何を言われようが堂々としらを切る気満々なのらりくらりのプロフェッショナルは、きらきらした秘密の共有に無邪気に胸を踊らせているご様子。特別な日の特別なこと、否、そんな肩書きなどなくても、きっと宝石のような思い出にできるのだろう__きみがいるなら、なんだって。)




(/ありがとうございました!!!!!!(クソデカボイス)もうひたすらに甘やかすつもりが周くんの陽だまり属性についつい甘えてしまいました、大変陳謝でございます……でも凄い楽しかった……すき……(陳謝とは)蛇足ですが、周くんと左足アンクレットの組み合わせで当方の思考回路がショートしてしまって、現実で本当に無理しか言えない語彙力溶けたオタクと化していたのでロルが惨めに爆発してしまっております、こちらは本当に申し訳ありません……!どうか深く考えずにスルーして頂ければと……!
そろそろ一度シーンを切ろうかと思っているのですが、次のご希望などございますでしょうか?ハロウィンの時期とこれまでのペースを鑑みると挟めるのは1つかなあと考えております。順当にいくと7月頭の絡みの続きからなのですが、当方の中で大分心を傾けている今の提供の状態から、あの距離感に戻りきれるか一抹の不安が……。いっそ逆方向に振り切ってみて、この辺でちょっとシリアス寄りな、1年前の夏~秋頃のまっさらな冷えた関係や、そうでなくともちょっとしたすれ違いの場面を入れてみてもいいのかなあと思ったり思わなかったり。……うっ、自分で言っておきながらただただしんどくなる気しかしないだと……!(自爆)誕生日のやり取りのお陰で充電ばっちりで心の肌艶が素晴らしくて、少しでも何かお返ししたいので、背後様の方に何かやりたいことがございましたら是非そちらを優先させて頂きたく存じます……!)





49: 宝飾 周 [×]
2019-08-21 19:37:40




(/こちらの台詞です!!!!ありがとうございました!!!!バーイべ、いい薬です!!!!(?)ひとまずイベント終了ということで、背後会話のみで失礼致します。この二ヶ月間、でろでろに甘やかしていただいて本当にもう感無量です……楽しくて楽しくて終始頬が緩みっぱなしでした……限界オタクなのでロルを頂いた翌日にフルーツとチョコレートのケーキ買ってにやにやしながら眺めてたのは内緒です。こうして書き出してみると本格的にヤバさを感じたので今後は控えます(確実に無理ですごめんなさい)惨めなロルなどとんでもない、毎度芸術品のような素敵なロルをありがとうございます…!!私もアゲハ君のソロライブで見事に漆戸アゲハ夢女として生まれ変わりましたので、荒ぶり具合では負けていないかと…!
シリアス路線のご提案、ありがとうございます!大賛成です!!一度距離を空けることで、ユニット結成前の雰囲気を掴むリハビリにもなるかな~…なんて考えております。希望としましては1年前の時間軸(丁度今くらいの季節でしょうか)、互いの存在を殆ど認知していないような状態でたまたま学院主催のライブイベントにそれぞれが出演することが判明し__?といった感じの内容を考えているのですが如何でしょう?互いに関心がないということで接触が難しいかもしれませんが、チーム制などを駆使すればなんとか会話できるかな、と…!現在の時間軸でのすれ違いは確実に号泣してしまうので、まずは過去の時間軸で心を鍛えたい所存です。もちろん一案ですので、追加やその他変更等の希望がございましたらお聞かせ願えますと幸いです!)




50: 漆戸 アゲハ [×]
2019-08-24 02:07:03




(/あっまた同じことしてますね……!?予算的な事情で当方チョコケーキだけだったんですけどばっちり買って眺めて食べてますので全く問題ありませんね!!(?)
賛成ありがとうございますー!時間軸と状況の方も了解致しました!なんとなく考えていた提供の過去なんですが、春夏頃までは夢ノ咲のヤバめな実態もあって俳優業を続けて、あまり学院に来てなさそうだなと。新学期前に大きめの映画がクランクアップして、いよいよ言い訳できなくなったので登校しだすんですけど、環境に嫌気がさしてるので俳優科への転科とかも考えつつ、人の前に立つのに手は抜かないのでそれでも優秀に成績を残している感じを想定して回そうと考えているんですがいかがでしょう?ライブイベントのチームやクラス内(この場合同クラスになりますが)で、もう秋なのに学校の施設すら覚えてない提供の教育係的な役割を周くんが振られる~とかでもいいかなと思ったり。目に見えて練習も活動もほぼしてない癖に本番で場の視線を根こそぎ奪って評価される提供が周くんを何らかの形で煽れたら万々歳だな、と。最終的にアイドルっていいな的な方向に持っていかせようと思っております。各方面に導きを振りまきつつ、恵まれたことに周くんを捕まえられた提供ですが、いちばんの始まりのときに提供に何かを教えて、俳優からアイドルに縛り付けたのが周くんだったら最高の最高に萌えるなと思って……。(趣味全開)背後様が考えておられる周くんの過去と食い違うようでしたらすぐに撤回の後誠心誠意土下座致しますので、ご一考よろしくお願いします……!)





51: 宝飾 周 [×]
2019-08-27 22:49:59




(歌と踊りの自主練習に体力作りのトレーニング、時折誘われるがままに適当なユニットの数合わせを。青春とは程遠い夏の終わり、周囲からの評価と穏やかな気候とで幾分か過ごしやすくなるはずだった新学期の初日、ありふれた凡人の日常は突如として撹乱の危機に晒された。「今日からしばらく、漆戸アゲハの世話係になってくれ」…あっさりと告げられた担任からの言い付けは、聞き慣れない異国の言語で構成された怪文のようであった。漆戸アゲハ__その如何にも高貴で麗しそうな名前は、あまり人の姓名を覚えない己の耳にも覚えがある。というか、記憶が正しければ数時間前に聞き流したばかりではないだろうか。液晶越しのアナウンサーが語っていた新作の映画、その中に飽きるほど登場していたのが話題の彼の名であった気がする。そう、映画。きらびやかなスクリーンの向こう側の住人が荒廃したぬるま湯になんの用があるというのか。加えてあまりにも不釣り合いな抜擢の理由とは。溢れ出す疑問を整理すべく、一寸だけ沈黙を貫く。そうしている間にもまた一つと増えていくクエスチョンマークに頭を痛めながら、あくまで冷静を意識して質問を切り出した。)
__…うん、仲良くはなれなさそうだね。
(話によれば彼は同じ学び舎、ひいては同じクラスに在籍する学友であるとのこと。にも関わらず、端からこんな格差を見せ付けられては " 友 " という字を用いるのも烏滸がましいような気がするのだが。_放課後、夕暮れ時。名の無いアイドルとは比べ物にならない程ご多忙な彼は、俳優業に関するなんやかんやを終え漸く夢ノ咲の敷地へと足を踏み入れたらしい。連絡を受けて一人向かった先は、学院でも指折りの絢爛な造りをもつ応接室。本日の指令は挨拶と簡単な学校案内であったはずだが、それだけにこのような部屋を用意するとは中の逸材に対する学院側の執着が見て取れる。『どんな相手にも合わせられる器用な駒』、そのような評価が教師間にも広まっているのは決して悪い事ではないが、別世界の人間に合わせろというのは少々お門違いではないだろうか。今すぐ踵を返したい気持ちを押し殺しつつ、便利屋のようなふらふらとした活動の黙認と成績の向上という餌を思い出す。示されたのはたったの数カ月だ、胃の痛みは永遠には続かない。今のうち、と深く溜め息をついては、強くも弱くもないノックを三度。重厚感のある扉を「お邪魔します」の一言とともにゆっくりと開いて)


(/ウッ話すたびに共通点が見つかる主様推せすぎる……キャラも背後も大好きなんです本当にありがとうございます……今後も安心してキモオタかまします(やめて)
全面的に最高です!サイコ~~~~!!!!(語彙力~!!)共感と同意の嵐でざっくざっくと駆け足なロルを回してしまいました、見切り発車で本当に申し訳ございません…!設定と致しましては教育係、同クラスというあたりを反映させ、一年生や駆け出しのユニットが多く出場する小規模なステージでのライブを最終目標に、しばらくの間ペアとして行動やレッスンを共にする…といった方向性で行こうかな~と考えているのですが如何でしょう?息子の過去につきましてはロル内にもほんのりと描写しておりますが、特定のユニットに所属せず自身の協調性を活かし様々な場所で引き立て役に徹している・目立とうとせず、周囲に注目を集めるような立ち回りと控えめな物腰(猫被りです)から助っ人としてじわじわ評価を上げているといった感じを想定しています。嫌いではないもののアイドル活動に熱を持てない息子がアゲハ君の煽りを受け、初めて自分を曝け出すようなパフォーマンスができたのがこのライブだったら…なんて…。もちろん疑問要望訂正なんでも受け付けておりますので!!こちらこそご一考お願い致します!!主様のアイディアに関しましては全て採用させて下さいお願いしますといった感じです!!毎度萌えとエモーションの塊をありがとうございます!!)





52: 漆戸 アゲハ [×]
2019-08-31 18:04:39




(気温変化の折り返しも過ぎ、ヒグラシの鳴き声を運ぶ秋の風に美しく切り揃えられたボブが揺れる。何かと物思いに縁の深い季節が来てしまった。否、秋に託けて憂鬱を吐き出したいだけである。理由としてはごく一般的な男子高校生と変わらない、有り体に言えば新学期の登校が疎ましいというものなのだけれど、入学3日で拒絶反応を起こして仕事という名の不登校を決め込んだ己と世の真面目な高校生達との事情を一緒くたに考えるのは失礼だろうか。「__ご気分が優れないので? 」「嗚呼いや、すみません。まだ時差ぼけが抜けていないみたいで」前を歩く教師だか職員だかの男に気付かれては薄っぺらい返事を儚げな笑みと共に返しておく。__半分くらいはこの男のお陰だったりするのだけれど。後日にしますかと心配そうに此方を見遣る彼に大丈夫だと、苛立ち気持ちを上手に隠して先導を促す。15の子供に向けているとはとても思えない視線、口調やキャラ付けではなく敬意を示すために使われた丁寧な物言い。非常に有難いことに彼は俺の熱心なファンであるらしかった。公欠の停止を連絡しただけで案内係まで手配されるとは。幾ら通常の生徒と同じ扱いをしてくれと言っても全く聞き入れられないものだから、思わず此方の日本語が不自由になったのかと疑ってしまった。面倒になって了承すると今度は頼んでもいないのに送付されたその生徒の簡単なデータ、個人情報保護の概念はここには存在しないらしい。__宝飾周。素質はある、が探せばいる程度。一所に留まらず様々なグループ、もといユニットを放浪しつつ、各々に合ったパフォーマンスを行うのだとか。器用さには一家言あるのだろう。己の世話係などという厄介事を回されるくらい教師に御しやすいと思われる点からも、そういった面について優秀なことは容易に想像つく。逆に言えば、その分カリスマ性に欠ける。氷鷹誠矢の後輩を名乗るには不足と言わざるを得ない。偶然同学年であった彼の一人息子ですら、春の時点で己の基準に満たなかったのだから元より期待などないが。やはり今昔の違いを丸々無視して、彼のキャリアをそのままなぞるべきではなかった。「こちらです」昇降口に程近いその部屋は外装同様中も絢爛で、感嘆もそこそこに迷いなく上座を示されては流石に苦笑い。大衆に対しては抜かりなく夢を与えてきたけれど、己が学院に齎した利益はゼロに等しい。身に余りある待遇がそろそろ息苦しく、適当な理由をつけて応接室を出た。__嗚呼、鬱陶しい。)
__だーめ。俺はこっち。
(きっかり予定時刻の五分前、穏やかとは言えない表情で現れた件の生徒を廊下の影から視認。深い溜息の後にノックをするためだろう、掲げられた拳を背後からするりと包み込む。長い撮影期間の役作りもあって未来のそれより幾分も中性と幼さを感じさせる容貌を真っ向から裏切るようににまりと口の両端を上げ、強い力でその腕を引いて走り出そう。混ざり物の微温湯がゲルのように固まる前にせめて攪拌すると今決めた、どうやったって半年はここで生きていかなくてはいけないのだから。あとは、ある種のあの職員への意趣返し。気の済むまで廊下を征ったなら、秋の夕焼けの透ける窓をバックに振り返って)
初めまして、アイドルの卵君。タカザリ君で良かったかな、俺は漆戸アゲハ。アゲハでいいよ、よろしく。



(/此方の台詞です~~~~!!!本来なら当方のやべぇ妄想として消える産物をこうして拾い上げて形にしてくださる背後様がいらっしゃるこの素晴らしさを多方面に自慢したい~~~(大迷惑)見切り発車大歓迎です!むしろ当方がどっかで回収できればいいなー程度の軽々しさでフラグを立ててしまう自重すべき人間なので遠慮せずどんどんやっちゃってください!一緒に縫い合わせ頑張りましょう(え)そして周くんの過去ありがとうございます……無理みに咽び泣きそう……。展開の方向についても了解しました!イベントの名前とかあった方がそれっぽいですかね、どうしましょうか……もみじフェスとかかな……新入生中心ならわかばとかにしたいですけど時期外れすぎるし……。響きで決めるなら時雨とか月見もアリでしょうか。何かいい案ございましたらお教えください……!
最後になりましたがレスが遅くなった上に行動を蹴ってしまってごめんなさい、というのも今回難産で……言い出しっぺのくせに周くんのことを気に入っている前提で回せないのが大変しんどくてですね、リハビリできるか少し不安であります……だって好きなんだもん……(駄々っ子)徐々に慣らしていく所存ですので長い目で見ていただければと思います。うっハロウィンが反動で糖分高めになる未来しか見えない……!)





53: 宝飾 周 [×]
2019-09-03 19:32:00




(驚いた。戸惑った。しかしそれ等を易々と凌ぎ、脳味噌に警報を轟かせたのは『面倒臭い事になりそうだ』という強い危険信号。十六年と数ヶ月、決して長いとは言えない人生のなかでそれでも感情表出のコントロールはそれなりに得意になったつもりだが、息苦しさからの逃げ道を先導する背中に思い切り顰め面を浴びせてしまうあたりまだまだ自身の未熟さが否めない。__さて、とよく磨かれた廊下を蹴りながら考える。細い腕に見合わぬ力強さ、優等生を名乗るには突飛すぎる言動。一瞬だけ窺えた表情は、完全に悪戯を企む子どものそれであった。何一つとしてイメージにはそぐわないけれど、恐らくこいつが今を時めく銀幕のスターであり、重い扉の先で出会うはずだった此度の主様なのだろう。とすれば、本来であれば問答無用で遠ざけようとする奇怪さにも付き合う意味が生まれる。よく動く首は傾げる代わりに縦に振ろう。揺れる後ろ髪を眺めながら動揺にそっと蓋をすれば、無害で優秀な家来の面を貼り付けた。)
…あっはは!ああ、此方こそ。俺は宝飾周、今日から案内人を勤めるクラスメイトだよ、名字でも名前でも呼びやすいように呼んで。それにしても驚いたな、漆戸君は結構お茶目なんだね。
(足を止めると、準備運動も無く働かせた心臓が早鐘を打っている事に気が付いて。先程の応接室を発ち気付けば授業を受ける教室の前、その距離を意識してしまえば少しばかりの疲労が体を覆い、ごく自然に透明な息を吐く。対して目の前の傑物はといえば一拍の間すら空けずに自己紹介ときた。こっくりとした髪色と艷やかな肌に配置された完璧なパーツが橙の光に当てられて、眩しさすら感じる程の魅力を放っている。洗礼のような格差を見せつけられて溢れた笑みは、咄嗟に生まれたものとしては柔らかに仕上がっていたはずだ。口角を保ったまま名乗りを上げると、相手の片手を緩く握り、すぐに離す。優しいようで自分勝手な握手を終え、呼び名で薄い壁を貼れば自分好みの距離感が築けただろうか。棘を抜いた声色で楽しげに感想を告げると、おまけとばかりに目を細めつつ後方の部屋を差して)
でも、お陰で移動の手間が省けたかな。偶然にもここが俺達の教室さ、座学は基本的にここで受ける。…今日はこんな感じで校内を案内しようと思ってるんだけど、どうかな?何か希望はあるかい?


(/ありがた死……(ありがた死?)え~んフラグ大好き人間です、回収燃えますね…!!イベント名についての一案なのですが、まだ紅葉していない楓の葉を青もみじと呼ぶそうで。『もみじ』で秋要素を取り入れつつ、『青』で新人のフレッシュさを表現できそうだな~と思い、当方からは「青もみじ祭(フェスでもいいです!!!)」という名前を提案させていただきます。お待ちいただいている間に他の案が浮かんでおられましたら、そちらも是非教えていただきたいです…!
レス頻度につきましては当方も亀を極めている自覚があるのでお気になさらず…むしろ時間をかけて素敵なロルを生み出していただけていると思うと嬉しすぎるのでどうかご無理のないスピードでお願い致します…!行動蹴っていただくのもぜんっっっぜん構いません!!回しやすさ優先でお願いします!!塩なアゲハ君に尊みと興奮を感じている間にそんな苦悩が…()ハロウィンに全て爆発させましょうね……楽しみすぎるヒィ……トリックとトリートの欲張りセットでお願いします……)





54: 漆戸 アゲハ [×]
2019-09-08 04:26:07




いきなり走らせちゃってごめんね、疲れたろう。ちょっと色々あって、でもきみの悪いようにはならないから安心していいよ。
(抵抗はなし、不平もなし、戸惑いも怒りもなし。浮かべられた人好きのする優しい笑顔は不自然な程に自然な美しいシンメトリー、泣き黒子と長い前髪がそれを突き崩して辛うじて造りものでないことを示している。まるで貴方の全てを受け入れますと言わんばかりの聖母の微笑みであって、それが本心なのかはたまた偽りなのかは知らないし興味もないが、分かるのはそれが己に合わせて変化した故ということ。相対性と誰そ彼時の陽に照らされ輪郭がぼやける彼は未分化で、きっと何にでもなれる、まだ何者でもない者だ。__可哀想に。これからの3年、この腐った土壌を摂取して為る何者かなんて、どうあっても碌でもないに決まっている。かと言って、同情こそすれど、何とかしてやりたいと思える程彼にも学院にも愛着はなく、気の進まない奉仕活動に精を出せる程暇でもない。故にその自分勝手な憐れみから、それと悟られないように気遣いを振り撒こう。彼が役目を滞りなく果たしたように思わせ、気に入った素振りでも見せておけば少なくとも地位は上向くことだろう、それで義理の釣り合いをとるとしておく。あまりに馬鹿みたいにいい子にしているのは窒息してしまうから、全て彼の理想通りとはいかないだろうけれど。相手が息を調える僅かな間にああこうなるのが普通だったっけと漸く思い当たっては取ってつけたように謝罪、ついでにある程度頭が回ると踏んで目的に大きく叛く意はないと遠回しに。)
そう、ならアマネでいいかな。宝飾って少し言い辛くて。……へえ、それは重畳。正直右も左も分からない状態だから、施設の他にも色々教えてくれると助かる。あと……途中、保健室に寄ってくれるかい?
(とはいえ根本的に自身の在り方に他者の事情を介入させる性質ではなく、言質を取った事実を盾に名の知れた俳優という肩書きの前に詭弁でしかない理由付けをしながら何の迷いもなくファーストネーム呼びを決行する。右手同士の必要最低限の接触の仕方に気付いているにも関わらず。迎え入れられていようがそうでなかろうが、理由がどうあれ両翅の入る隙間が空いたなら勝手に入って出ていくだけだ。教師に対するパフォーマンスを狙う側面もあれど、相手にとっては特に迷惑だろうスタンスを貫き、続けた言葉は文字通りの意図が8割、あわよくば学院の現状を一介の生徒がどう感じているのかを知る目的で。最後の要望は何のことはない、後にする言い訳のアリバイ工作。事実さえあれば、「アマネに保健室に連れていって貰っていたんです、助かりました」と顔から血の気を引かせて薄く微笑むだけで虚構を交えずして事を全て丸く片付けられる。そんな思惑を秘めながらも軽い口調で「佐賀美陣に会いたいんだよね」と敢えてミーハーを装ってはにへらと気の緩むような笑みを。)



(/えっ何だこの雅やかさと圧倒的これだ感の共存は……?もしや前世は松尾芭蕉とかその辺りで……??(混乱)拝みたいレベルのイベント名をありがとうございます!是非「青もみじ祭」でお願いします、素敵過ぎる……!
うええ背後様すらも甘やかしのプロだと……あかんこんなん無理や……(突然のみか氏)暖かいお言葉ありがとうございます、思わずとても安心してしまいました。ただ当方恥ずかしながら自分を律するのが苦手な部類の人間なので、背後様の優しさに甘えきってずるずると駄目になりそうで……これから先もし遅いなと思うことがございましたらどうか遠慮なく催促してください……!!ハロウィン楽しみすぎてまだ9月な上まず青もみじ祭成功させないといけないのに衣装とか台詞とかの妄想ばっかりしてます()欲張りセット最高じゃないですか……大天才……)





55: 宝飾 周 [×]
2019-09-12 14:16:17




ふふ、了解。あの先生は気紛れだし、居なくなる前にさくっと回っちゃおうか。それじゃあまずは__…
(呼び名には性格が現れる、というのはあくまで持論に過ぎないのだが、前情報がない状態での最初の見極めとしては悪くない方法だと思う。思案する様子もない呼び捨ては自信の反映、堂々たる風格は役者としての優れた実績と、往来の性分に裏付けられたものだろうか。こういうタイプは往々にして洞察力が鋭い者と考え無しの阿呆者とに二分化できるが、彼はというと間違いなく前者であると断言できる。関わりたくない、とはっきり苦手意識を抱くほどではないものの、油断すればあっさりと腹の内が見透かされそうなので、接触の際は万全の注意を払わねば。本日何度目かの溜め息は胸にしまい、表情筋がそれに釣られないよう確りと意識する。面倒臭いがどうせ暫くはこうなのだ、接待の練習には好都合だと解釈しよう。返答の一部に紛れた"色々"の凡例を浮かべつつ彼の希望を精査すれば、とりあえず予定通りの案内をすればいいと判断した。あまりつまらないと腕すら引かれず駆け出されてしまうかもしれないから、折々にトークも織り交ぜて。柔らかな笑みに絆されたのも知らぬまま、保健室の主への興味を言葉そのままに受け取っては、片手を口許に寄せ思わず零れ落ちたかのようなくすりとした笑みを一つ二つ。そのまま上記続けては、本日の任務を開始して。)
__それで、最近は学院の雰囲気も変わってきてるんだ。さっき話したドリフェスの制度に馴染めないユニットも多くてさ、今ではあのValkyrieよりもfineの方が優勢なんだとか……おっと。…まあ、お陰でああいう真面目な連中も少しずつ増えてきたんだけどね。
(広い校舎の案内も、ポイントを絞り効率良く移動すればそれ程の苦行ではない。加えてよく回る口が二つ揃えば説明と説明の繋ぎにも困らず、居心地の悪い沈黙だとか微妙な間といった類いのものも生まれない。正直な所、あれだけ警戒していたにも関わらず、彼と行動を共にするのは随分と楽であった。ボロが出ないよう何時も以上に気を張る必要はあるけれど、突発的な問題行動を起こさない限り理不尽さの目立つちゃらんぽらんの相手をするより余程良い。しかしこれは己という個人への詮索がなく、学院にまつわる事実をありのまま話しているから、ということも関係しているのだろう。私情を交えない分、脳味噌の回転を気配りを始めとした別の分野に割くことができる。がしかし、それを抜きにしても相手の話術に関しては相当のものだと認めざるを得ないのだが。主要な教室を巡り、次の目的地である保健室に向かう最中、聞き覚えのある学院提供の練習音源と数人の歌声に足を止める。そのまま斜め手前で半開きになっている扉を覗き込むと、どこかぎこちない振り付けを踊る同級生の姿。お世辞にも上手いとは言えないパフォーマンス。それもそのはず、つい最近までアイドルという地位に胡座をかいて、見せ掛けの努力すら怠っていた者ばかりなのだから。クラスメイトのよしみで気持ち程度のフォローを入れてみたものの、彼の目には恐らくそんな誤魔化しすら通用せず、装飾のない現状が映し出されるのだろう。真面目という言葉を用いるには明らかに役者が揃っていない。そもそも、そんな役者に値する人物などほんのひと握りしかいないのだが。__見学に見切りをつけようと視線を逸らせば曲が変わり、秋の気配が漂い始める。ああそうだ、ひとつ大切な事を言い忘れていた。窺うように瞳を後方に向けてから、身体の向きをそちらに合わせ。)
ところで、青もみじ祭の話は聞いているかな?…どうやら、アイドルとしての君の晴れ舞台になるらしいんだけど。


(/ひえ~~~ありがとうございます恐縮です…!せっかちなので早速使っていくスタンスですうれしい(小並感)ウッ畏まりました、万が一の時は心を鬼にする覚悟でいきますね…!当方もだらだらルーズ人間ですので怪しいと思ったら遠慮なく活を入れてやってください…!いやほんとそれなんです困った困った(困ってない)画像フォルダと検索履歴がハロウィン関連で埋まる今日この頃です、楽しい~~ウォ~~(狂)
さて、この辺りで背後は引っ込もうと思うのですが、他に決めておくことなどはありませんかね…?特に浮かばないようでしたらこちらは蹴っていただいて大丈夫です!よろしくお願いします!!)





56: 漆戸 アゲハ [×]
2019-09-18 07:34:54




__……真面目ね。
(此方から話を振らずとも途切れることのない会話。普段は話し手にばかり立つものだから、打てば響くどころか相槌と合いの手のみで上手く間がもっている状況はどこか新鮮で。一朝一夕で身に付く技術でないことは身を以て知っている、場数を踏んだことが容易に窺える論理的に組み立てられた説明は、単なる話好きにできる芸当ではなかった。太鼓持ちに関して卓越した才能があるのか、あるいは生存のために努力して研磨した技術か。意図的にだろうか、私的な話題の一切が排除された会話からでさえ、相手が警戒して止まない正体を量ろうと試みる思考を並列して展開するのは最早癖のようなもので。興味故ではない、索敵に近かった。しかし此方からの詮索を控えたのは彼自身の為というよりも、己の行く道を脅かしそうな他者の情報が挙がったからであり。__五奇人、生徒会、fine、……天祥院英智。フィクションばりに上手く組まれたシナリオの途中らしいこと、そして下手を打てば自分とて例外なくその標的になることを、昆虫さながらの危機察知能力にて直感的に悟る。良いように使われる前に何か手を打つか、振る舞いを考えなければ。面倒がまた一つ増えた憂鬱さを吐き出す溜息に上塗りするように放つはずだった言葉は漏れ出す音楽に飲み込まれ。迂闊にも中途半端に開かれた戸からは後方からの遠目でも中の人影が伺い知れた。動きに疲れの色が見える辺り、フォローの通り真面目に練習を続けている最中のようだ。血気迫るような雰囲気のない、惰性に任せた反復行動をそう形容するなら。揃わないステップ、傾く上体、荒い息継ぎ。目標を上手く定められず取り敢えずやってますといった場当たり感からは教師の怠慢の匂いもした。お遊戯会の練習ってこんな感じなんだろうかと未経験なのを良いことに見当違いの想像を繰り広げながら、しかし僅か数秒で目を伏せてそっと壁に凭れ掛かり。己にとって稽古とはコックの下拵えや医者の解剖と同じようなもので、誰かにわざわざ見せるものではなく、また不可抗力とはいえ無関係の人間が無遠慮に見るものでもなく。学校という環境ならではの今の状況に、父親と二人きりの密閉空間で鍛えられた己では善悪をつけるのは難しい、けれど見続けるのは気が引けて、視線の先を何となく手前の男子生徒にシフトさせる。程なくして此方を向いた金色とばっちり相対しては、にっこり微笑んでおくとしよう)
嗚呼うん、出演するようにって聞いているよ。学院に馴染んできた一年生たちが人脈を増やす目的で、臨時的な、ええと、ユニット? を組んで参加するとか何とか、言われた気がする。ふふ、なんだか発表会みたいだ。__それで、俺はそのお仲間探しをしなくちゃいけないのかな。それとも、これもきみがお守をしてくれるのかい?
(学校って感じがする、と鈴を転がすように笑ったのは、ただでさえ実績もなく不慣れな初心者を混ぜ合わせて舞台に立たせるという普通ならまず通らない企画が平然と進行している可笑しさと、一方でそのどれだけ失敗しても許されそうな雰囲気は今まで散々逃してきた学校行事特有のそれで、そこに青春らしい何かを感じ取ったが故の純粋な喜びから。それから暫し間を空けては、質問の意図を図るように上記後半を述べてそうなら嬉しい、と人たらしらしい愛嬌を持って続け。イベントすらお遊びじみていると感じているのだから、その実それが誰であろうと特に何とも思わないのだけれど。お愛想と問題なく意思疎通できるという大抵の人間なら満たせる条件を評価した打算からにこにことご機嫌な天才様を演出し)





57: 宝飾 周 [×]
2019-09-23 00:37:14




ああ、俺で良ければ是非。この時期になるとみんなメンバーを固めていてね、残り物も少ないから。
(『嫌だね、他をあたりなよ』などと盛大に吐き捨てられれば良いのだが、己に染み付いた哀しきイエスマンの性は対象を問わず差し出された言葉をいとも容易く肯定してしまう。とはいえこんな所で拒絶されては世話係の名折れであるし、かのステージに立ちきっちりと評価を蓄積する為には己も次の止まり木を見つけなければならない時期である。質問を的確に解釈してくれた相手に抱く不満などないはずだ、仕事人ならばいい加減覚悟を決めるべきだろう。ころころとした涼し気な笑声に返したのは徹底的に鍛え上げたぶれない笑み、そろそろ筋肉を休めたい、などと似合わぬ本音は塗り潰すのがエスコートのマナーというもの。可笑しさだとか馬鹿らしさだとかが踊っているのであろう鶯舌の裏の真意はさっぱり見えてこないのだけど、見せるつもりがないのであればそれでもいい。要は万事何事も無く終わればそれで十分なのである。進入禁止の標識を掲げているのはこちらとて同じなのだから、不干渉の契りを結ぼうではないか。怪しい程に美しいピジョンブラッドから逃れるよう前を向いては、探索の再開を促すように右足を前へ。慣れない環境でレッスンに集中できるよう彼とそのパートナーには固定のレッスン室が用意されるだとか、過去の映像などは申告が無くとも何時でも見られるようになっているだとか、必要な物資があれば翌日には手渡せるよう手配するだとか、配慮という言葉で纏めるには些か強引過ぎる優遇措置を他愛も無い世間話かのようにあっさりとした調子で説明しては、一番最後に「まあ、君ならきっと上手くやれるだろうから。一緒に組めて光栄だよ、改めてよろしくね」との文句を柔らかく。少なくとも相手と共にいる間はまともな練習ができるのだから、その点に関しては感謝しなければならない。それに、天才様からは学ぶ事だって星の数ほどあるだろう。どうにもデメリットばかりが目立つこの役割にも、特典がつかないわけではないのだ。)
__さて、ここが保健室だ。他に見たいところが無ければ案内は此処で終わりだけど、どうする?覗いていくかい?
(ふっと顔を上げると、その双眸に短い旅の終焉を告げるプレートが映る。上記を問い掛けては引き戸に手を掛け、何時でも室内へ導けるように)





58: 漆戸 アゲハ [×]
2019-09-27 05:30:46




(快諾の言葉はどこまでも予想通り。知らないなりにも優遇されていると分かる措置、予め己のために組み立てられた、滑らかで手触りの良い予定調和。__冷めていく。所詮誰もが名声に価値を置く。見られ求められるは才能や潜在能力や成長の余地ではなく経歴に裏付けられてそうあると信じて疑われない絶対的成功ただ一つなのだ。これらは決して投資などではなく、あくまでその前払いに過ぎない、ここにおいては誰も実質の自分など興味がない。歌と踊りの経験がないとは言わない、が果たして彼は己が歌う姿を見たことがあるか? そこで実力や可能性を感じての言葉か? __否。「こちらこそ」やり甲斐もクソもねぇつまらないショーだろうが給料分の仕事はしよう。求められている以上の、輝かしいまでの盛況をもたらそう。同じような境遇の人間が集まると思っていたここでも、生徒ではいられないようだから。曲がりなりにも生まれたときから芸で生計を立ててきた身として手を抜くつもりはないが、しかし気に食わないものは気に食わないので、「よろしく、アマネ」共演者くんには個人練習に励んでもらうとしよう。八つ当たりな気がしなくもないが、実際彼だって己の肩書きしか見ていないのは同じなのだ。教える気もないのに技術を盗まれるなど真っ平、加えて固定といえ今日の自分たちのように他人の目がある可能性を考えると、過去の映像をさらいつつ自宅での研鑽の形が最も集中できるだろう。連携をとったパフォーマンスなどハナから考えてはいないのだった。本番、ステージで最後に花でも持たせてやればいい。折角のレッスンルームも物資も必要なさそうだった。素行の悪い優等生が花が笑むように黒髪を揺らした。)
……いいや、気が変わった。
(あとはいいから、もうお帰り。お疲れ様。良いように利用されひたむきに仕事を熟す無辜の市民に対する労りのように。これから振り回すことに罪悪感はなかった。故にそれでいて忠告じみた口調だった。恐らくは中にいる過去の傑物との会話も、自分の担当のあの男への言いくるめも、お前がいる必要はないのだと。線引きに似ていた。案外似たもの同士なのかもしれなかった。)





(それから、隙をついてするっと相手の視界を抜け出しては文字通り駆け摺り回させた。初めの2,3回くらいで諦めるだろうと思っていたのだけれど、思いの外真面目に任務を遂行して探しにやってくるもので、途中からは半ば揶揄う側面で行方をくらませていた。講堂の裏、屋上のフェンスの外、校舎の中のよく分からない部屋、初めは鬱陶しさもあったが、良く出来ていたお綺麗な笑顔に段々と感情を滲ませながらどこにでもやってくるのが段々面白くなっていた。流石に木の上で意図せず眠ってしまったときはちょっぴり申し訳なかったけれど。そんな調子であったから、必要最低限以外には行くものかと思っていた練習にも付き合ってやろうかという心地だったのだけれど、此方は上手くいかなかった。単純に忙しかったのである。まず有名税、何かと誰かしらに絡まれた。先で必要になった『対策』に、話を聞くに俺の代わりに犠牲になるらしい男子生徒への接触。公開はまだ先だというのに映画の番宣にもちらほらと引っ張りだされたし、遅れを取り戻す為と全ての教科書の一読に3日も掛かったのは正直かなり不覚だった。そもそも青もみじ祭まであまり日がなかったこともあって、結局放課後の長い時間を使ってきちんと練習したのは一番初めの、学院で提供されている楽曲の振り付けを教わったその日きり。共に練習するのは、俺が参加できる日の、HR前の朝の短い時間だった。元々練習するという話ではなかったその時間帯に、彼はその部屋が俺たちに与えられた翌日からレッスンを重ねていた様子で、俺がそれを思い立った日に扉を開けると、当然のような顔で恐らくは何度も踊ったはずの振り付けを反復していた。常に彼は俺より先に到着していて、彼が曲の通しを練習しているのを、柔軟しながら眺めるという構図であった。努力する才能では頭一つ出ていたけれど、何かが他に抜きん出ていることはなかった。人の前に立つためにつくられた己と比較してはならぬとは分かっていつつも、それにしても人目をひく何かに欠けていた。寧ろその役目を他に譲る気配さえ見えた。「ねえ、きみ、」ならなぜ、アイドルなんかに。彼は何と答えたのだったか。)
__……緊張するかい?
(そんなこんなで気付けば当日を迎えていて。新品同然の学院指定衣装に袖を通しながら、同じように着替えている相手をちらと見上げつつ)





59: 宝飾 周 [×]
2019-10-03 23:50:34




…別に、君の前でお手本を見せるよりはよっぽどマシだよ。
(ここ数週間、撫ぜども撫ぜども眉間の皺が消えない悪夢に苛まれる。随分と地味な呪いに聞こえるが、外面の良さを武器とする己にとってはなかなかどうして効き目があるようで、不本意ながら日の高いうちから舟を漕ぐことが多くなった。ああ、苛々する。原因を作った男にも、その言動にまんまと乱されている自分にも。__不意に届いた問いに、はっと我にかえる。言葉を噛み砕く為数拍の間を空けたのち、一瞥もくれず不愛想に上記。何て事のない発言にさえ棘を刺してしまうあたり余裕の無さが透けているのだが、最早目の前の相手にそれを隠す理由も無い。紳士が聞いて呆れる体たらくだ。悩まされ、踊らされ、追い掛けさせられ続けた数週間で、己の感情は良くも悪くも豊かになったらしい。密かに飼っている負けず嫌いが姿を見せてからは、随分と口が悪くなった。それと、こちらは薄々勘付いていた事であるが、彼の能力に合わせる為の練習は一筋縄ではいかなかった。同じ動きをしていても何かが決定的に異なっている。彼の出演する作品は片っ端から見漁ったし、日常生活においても観察を怠らなかったのだが、彼自身のセンスが理由の大部分を占めていることに気付いてからは更に壁を感じるようになり、心なしか疲労も倍増した気がする。それでも彼の引き立て役として、万全の準備は整えてきたつもりだ。虫取り少年の如く駆け回る日々も今日限りで終わるのだし、最後を飾るのに恥じないサポートを行おう。いつの間にやら掛け違えていたボタンを直した所で、登壇の合図が寄越される。何かの手違いか、はたまたトラブルでもあったのだろうか、余裕を持って準備をしていたつもりが随分と早い出勤となった。焦った様子のスタッフに背中を押されつつ、頭上にクエスチョンマークを浮かべながらステージに登壇する。__刹那、歓声。溢れる熱気は、初舞台に立つルーキーが獲得するには到底不可能な観客の数を表していた。強豪ユニットのヘルプに入っていたのだったか。そんな錯覚も、眼前に溢れる顔を見れば空気が抜けるようにすうと解けていく。数えるのも難儀な大衆が視線を注ぐのは、こんな熱にも呑まれない凛とした華やかさを纏う一匹の蝶。誰もが彼の名を口走り、好奇に満ちた表情で起こるのかも分からない奇跡を期待している。この舞台は新たな天才の力量を測る特設ステージであり、隣立つただのライトは端から存在を見過ごされているようであった。『透明人間ってこういう気持ちなのか』、妙に冷静になった頭でそんな事を考えながら、興奮気味の司会による紹介をバックにふらふらと定められた配置につく。煽られた様子の観客が上げる声が、妙に遠く聞こえた。なんだか頭が上手く働かない。歌って、踊って、あとは彼の思うままに委ねよう。聞き慣れた音楽に繰り返した反復運動。己が使命は一つ、定められた仕事を熟し、彼の輝きを増幅させること。息を吸う。その瞬間、何かが弾ける音がした。)
__ごめん、
(飛び上がった。否、正確に言えば、気付いたら飛んでいた。そのまま思い切り前方に乗り出せば、馴染みの曲に乗り不自然さを与えない程度に暴れ倒す。見る者に緊張感を与える複雑なステップに華麗さを全面に押し出した大胆なターン、すらりとした腕を真っ直ぐに伸ばしたかと思えば次の瞬間指先を意味深に歪め悪戯な笑みを。スポットライトはどんな相手にでも平等に注がれるべきものだから、他者の目が届かない自主練習では大抵の場合学年不相応のトレーニングを積み重ねていた。加えて視線の誘導や印象操作などというのは己のような人間にとって必修科目のようなものである。どこで引けば主役への注目が集まるか、目立つ為の動作で目立たない為のポイントとは、僅かなよろめきや躓きによる拙さの演出、エトセトラ。つまりそれと真逆の働き、己が身に叩き込んだ脇役としての術を反転させれば…一人、また一人。突然人の形を取り出した照明器具に、少しずつ人の注目が集まるのを感じる。すかさず柔く甘やかな、それでいて激情を孕んだ歌声を振り撒いて、目移りなんてさせてやるかとウインクを一つ。脳味噌が蕩けるような感覚。考えずとも勝手に動く身体は、自分自身に輝きを宿すというエゴイスティックな欲求に支配されていた。はっきり言って大馬鹿者だ。説明の出来ない本能に従うなど、今まで散々『ああはなるまい』と目に焼き付けてきた愚者の典型だろう。野蛮な獣と並ぶ事に恥はないのか。__ああ、そんな事、どうだっていい!沸騰した血液が全身に喜びを巡らせる。片足を踏み出して新たなフレーズを歌う度、自分は今確かに生きているのだとありありと実感することができた。此度の相方を気に掛ける余裕などありはしないし、こんな姿を晒せばバックダンサーとしての依頼も激減することだろう。決められた振り付けをとことん無視しているのだから、アイドルとしての評価だって地に落ちるかもしれない。それでも、透けた体に堂々と色を塗れる絶好の機会を与えられては、散々圧縮し続けた欲求を爆発させる他なかったのだ。それと_正直に白状すると、ほんの少しだけ彼に仕返しをしてやりたかった。くるりと横を見る。流れ続ける音楽は気付けば終盤に差し掛かっていて、少し踊ってポーズを決めればすぐにでも終わる程度であった。一歩で間合いを詰めては、「ねえ」と小さく声を掛ける。此方を向いた瞳を確りと捉えては、自然と上がってしまう口角を隠しもせずこう告げて。)
楽しいね、アイドルって。
(炎を宿した双眸がほんの僅かに揺らいだような気がした。酷い顔をしていなければいいのだけれど、能天気にもそんな事を考えながら再び距離を取る。ギターの音が鳴り響き、束の間の儚い夢が終わった。瞬間、身体が大きく傾く。その先に彼が居たのなら、この時ばかりは華奢な肩に助けを乞うてみようか。地鳴りのような喧騒に包まれながら、草臥れたように何度も荒い呼吸を繰り返して)





60: 漆戸 アゲハ [×]
2019-10-10 00:02:09




(一歩目のステップを踏み出す瞬間、殻の弾け破れる音を聞いた気がした。)
__ッははっ……!!
(熱だ。血潮の湧き上がるときの熱。生命の証。あるいは核融合。泣き叫ぶような、自らの生をよろこんだ産声だった。かみさまの作った摂理、科学論理に定義され、当然のようにありふれた奇跡が今まさにこの場所で起きたのだ。嗚呼、孵化の瞬間のなんと美しいことか!産まれ出た超新星がその身を灼きながら、なお余りあるエネルギーのやり場に困って構わず周囲へ放出を始める。地球上の誰より早くそれを観測した己はそれにあてられるでもなく、寧ろこの高い熱気の中にあって異常な程冷静に、しかし確かな感動を以て、彼の門出を祝福せんと思ったのだ。それは決して情が移ったからではなく、言うなれば一世一代の告白に丁度居合わせたレストランの客が、見ず知らずの彼らに拍手を贈るような淡白な温かさでしかないけれど、少なくとも現在のこの場の覇者たる己が、そのToDoリストに彼のエネルギーを映えるよう演出することを書き加えた、その意味は決して小さくない。なぜならば、望まれているのは悲しい程、彼ではなく自分だからだ。このまま規定通りに踊ってみろ、隣で日の目を見たばかりのスターは忽ち失墜する。慣れている自分とは違って、異質に対する忌避の目はさぞや恐ろしかろう。ならば、どうするか。__簡単なことだった。つまりは、同じくらい、否彼よりも、異質であれば良いだけだ。開始3秒でその結論を弾き出しては、習ったお手本を戸惑いなくかなぐり捨て過去の映像と経験から即座に動きを構築。連携の要らない選曲をしていて良かった、おかげで互いに好き勝手動いても見栄えがする。ぐっと低姿勢に沈み込むと仰け反って手で接地、逆さまの体勢で宙を横薙ぎに蹴るように回転し、腰を反らして派手に着地してみせれば、見様見真似の付け焼き刃でも中々様になっていたらしい、わあっと会場が沸き立った。反してきっとこの場で最も冷静な脳はこの時間稼ぎの間にちらと視界に収めた隣の考察を押し進める。人間の目が何に反応するかを良く研究した動きだった。ただ注目を浴びるにはあまりに母数が少ない。……まどろっこしいなぁ。眉根が寄りそうになるのを繕うと伸びやかにビブラートをかけつつ思案。議題は賭けについて。保身に走るならまず有り得ない選択肢だった。成功したところで己の得られる収益など微々たるもの。__だけれども。もう一度だけ共演者の様子を窺うと、直感に従って乗ることに決める。だって、最高に面白いと思ってしまったのだ。最早作らなくても、否が応でも笑っていた。さあ、そうと決まれば躊躇うだけ時間の無駄。大振りな腕の振り、空を蹴る脚、流し目を織り交ぜ、あくまで視線は此方に惹き付けておきながら、何かあれば意識が相手の方へ流れるように、視界の端には彼が映るように。仕込みは上々、あとは彼次第。一番の見せ場を譲るのだから、是非とも気張ってほしいところだ。どうやら激励は必要ないようだけれど。二番のサビが終わると、落ち着いた間奏を挟んでCメロ。今まで二声だったメロディがソロになり、ぬばたまの夜の髪が突如姿を消す。楓の木のオブジェクトの裏に身を隠していた。視線という視線が自分を見失って、少しだけ彷徨いたあと、当然すぐに眩い新星へ向く。さて、__)
……ブラァボ。
(お見事。若い葉と葉の間から射した陽光に目の眩まなかった人間が果たしていただろうか。分の悪い賭けではなかったけれど、甘やかな吐息に、緩慢な指先に、誰もが見蕩れているのが自分のことのように嬉しくなる。音も無く拍手を贈れば束の間の羽休めは終わり、最後のサビを目前に、エレキのピックスクラッチとドラムの囃し立てに合わせてとっ、と駆け出し、後方からロンダート、ハンドスプリング、宙返りにて飛び出していく。ぼうっとしてたら置いてくぞ、と真っ赤な目で鮮烈に笑いながら舞い戻った。ボルテージを一気に最高潮まで引き上げて転調を経たその曲を勢い良く駆け抜ける。エンディングも間近という所で、今まで自分の存在を忘れていたんじゃないかというくらい全力で夢中になっていた相手が近づいてきたことにすわ何事かと振り返っ た、 ら、)
……、
(それは一本の細い楔のように胸を穿ち、己をその場に縫いとめた。何も言えなかった。刹那の間、動きを止めてしまった。楽しい、そんなことがあるものか。己が人の前に立つのは、そうするべきだからだ。そういう風に生まれたいきものだからだ。けれど、いやああ、白状しようとも、自分はこのステージを楽しんでいた!喝采を、熱を、リスクを、揺れ動く状況を、それらを率いるべく下した采配すら!根底を突き動かされてぐらついた精神を悟られないように、一度少し長く目を閉じて考えを他所へ押しやって正常に戻す。最後の音が掻き消え、静寂、の後に拍手の嵐。ほっと吐いた息……は、しかし次の瞬間喉をひゅっと震わせながら再び吸い込まれることに。反射神経の良さを遺憾無く発揮しながら大きく踏み出して、間一髪で相手を腕の中へ迎え入れる。激しい運動をしたばかりだというのに顔色を明らかに白くさせながら様子を窺い、一先ず命に別状はないと判断すると早く舞台から降りてしまおうと。観客に不備を見せる訳にはいかなかった。__嗚呼もう、さっきから振り回されっぱなしだ。彼は俺の調子を狂わせる天才だろうか。仕返しというなら成功以外の何物でもない。「……自分で立ちなさい。勝手に終わった気でいるなよ、まだ客の前だ……そう、そう、いい子」くてん、と力の抜けた身体をしっかりと受け止めながら、背中をとん、とんと労るようにゆるり叩く。満足と慈愛の上手な配合で作った表情は良くやってくれたと語るようなそれで、先の演出は己の主導で示し合わせたものだったのだと誰もが疑いもしないはずだ。しかし音響設備を通さずに、相手にだけ届いたろうその囁き声は、いっそ耳だけが不調なのではないかと錯覚するほどの鋭さと冷気を持って。腕の中でぴくりと反応した彼が、カラカラに涸れた雑巾を搾るように身を起こしてくれたならば、砂糖細工を体現した声でとびきりの肯定を三言だけ。頭も身体も限界まで使い切って、複雑な思考ができる余裕のない相手の状態に容赦なく畳み掛ける飴と鞭。どこまでも観客至上主義だった。傍らの今にも崩れ落ちそうな脆弱さに一瞥もくれず、正面に向き直って声援を歓喜をありがとう、愛してくれてありがとうと満面の笑みで一礼できてしまう精神性はきっと狂人と大差ない。より一層湧いた歓声に包まれながら舞台袖に捌ける。未だ荒い呼吸を続ける彼を適当な椅子に座らせると、急かされた理由だろう件のトラブルがまだ解決していないのか、珍しく仕事をしていた例の保健医を捕まえてかの部屋の鍵を奪い取るように譲り受けた。「怖、ピリピリしてんなぁ」両手を上げて揶揄ってくる男を笑顔で黙殺しながら自分より背丈のある彼を難なく背負って。どくどくと此方にまで伝わってくる力強い鼓動がどうやっても落ち着かない心中を少しだけ慰めるようだった。大丈夫、ちゃんと、生きてる。深呼吸を一つ落とすと、背中に乗った相手をできるだけ揺らさないように、されど駆けるような早足で、あの日一番最後に訪れたあの部屋を目指して)
__聞こえてるか、分からないけれど。無茶をしでかした自覚はある? きみが今日、お客様に歓声を頂けたのはただの偶然だ。お世話係で、お遊戯会でよかったね、商売敵との舞台なら殺してた。次からは使い所を考えなさい。……でも、間違いなく、良い演技だったよ。ありがとう。
(静かな廊下に独り言。少し速度を緩めた。呼吸一つ乱さずに、叱るでも責めるでも称えるでもなくただ淡々と。)





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