TOP >
1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
102:
海の魔女 / レヴィ [×]
2025-09-21 21:49:57
──……君の命運は、もうじき尽きる。( 絢爛なシャンデリアの光の下、楽団の奏でる調べに合わせて波打つ絹の裾は、忽ち大広間を揺らめくドレスの海にした。軽やかなステップを踏む彼女の清涼な眼差しは、かつての少女と何も変わらず──それでも確かに様変わりしていて。あぁ、彼女という蕾はこの地で花開いたのだ。自らの知らぬ所で多くの愛を得たに違いないその花は、それでも望むものを得られずに朽ちようとしている。延命の為に繋ぐ指先から魔力を流し込もうと、精々この一曲が終わるまでの悪足掻きに過ぎまい。……ワルツに合わせて揺れる碧波のようなドレスも、人の足を得たばかりとは思えぬステップも、一人の女性としての気高き輪郭も。全て他人の為のものだったとして、元よりそれで引き返せるような想いではなく。優美なメロディに紛れ、密やかな囁きで知らせたのは克明に近付く彼女の最期の時。限界の近付く身体をそれとなく支えながら、己の導きに合わせ美しく旋回する蒼の瞳と再び視線を交わした瞬間、不意にその海へ呑み込まれて。焦がれる、焦がれる、全身を巡る血の一滴まで沸き立つ程に、どうしようもなく焦がれている。まるで海底で溺れるような堪らない息苦しさに、これまで堰き止めていたものが奔流し「……コーデリア、」数多、胸の内を駆け巡る情動から絞り出せたものは彼女の名だけ。単なる師としての静謐な佇まいはもはや無惨に崩れ落ち、切なげに歪めた顔と僅かに強められた手は貴女へ傾ぐ想いの強さを雄弁に語るだろうか )……陸の上で、君は何を想い、何を視て──何を得た?
103:
人魚姫 / コーデリア [×]
2025-09-25 23:47:48
なん、て、……お顔を、 ( 指先から流るる魔力は、あの日味わった秘薬と比べ物にならないほど温かく優しく、僅かに苦痛が和らいで。それでも、心臓は忙しなく音を立て、言葉を探す最中に寄せられた声に顔を上げ──見てしまった。黒衣の檻に囚われた時は窺い知れなかった彼のありのままの表情。ずっと忘れられずアレックスや城の人々の温もりに触れリリアンヌ様の愛を目にするたびに思い返していた、あの日の藍色の双眸。それからずっと目を逸らし続けて来た己が願いの果て。独り、泡に還る事が貴方への償いだと考えていた結末が本当は違う形に変化している事を。「 沢山の、愛も、哀しみ、も。数えきれない程のものが、此処に。……それでも、悔やんでは、おりません 」下を向き、震える吐息の後に紡いだ気持ちはあの日の誓いと呆れる程変わらない。けれど、大切なものを見落とさないよう、ゆっくり顔を上げて、重ね合わせた手を〝貴方よりも強く〟握ったなら。人々の流れから離れ、月が見守る方向へ貴方を連れ出そう。──抗えきれない運命によって海に沈んだ青年に手を伸ばし、海底から救い出すように。そうして、貴方が溺れる海に一筋でも月光が差すよう、両手の平で彼の頬を包み。自分の強欲っぷりを自嘲する様は、きっと教えを乞うていた頃の私とは変わってしまったけれど。ぱっと緩んだ頬は薄らと涙の滲む瞳の印象を払拭し、穏やかなアクアブルーと共に寄り添うようにはにかんで )それでも、最後に一つ、悔いる、なら。私はまだ、知らないのです。……海の魔女、様。レヴィ様。貴方の心が、まだ。私を生かしてくださる、なら。──教えて、ください。貴方様の、魂が、望む場所を。
104:
海の魔女 / レヴィ [×]
2025-09-28 22:53:15
──……そんなものは、ずっと前から決まっている。決まっているんだよ、コーデリア。( 煌々とした光の下で舞う彼女も息を呑む程の麗しさだったが、人々の踊りの輪から外れ、淡い月明かりを一身に受ける相手は月の精のようだった。今にも消え入るような儚げな存在感はその印象をより喚起して、けれど、己の頬を包む白魚の手と慈愛の微笑みは変わらぬ生ある暖かさで。……いつだって、無力な己へ呼吸を許すのは、凍える肺へ暖かな空気を吹き込むのは、古びた心臓の蝋燭に火を灯すのは、他ならぬ彼女だった。その手に触れられた箇所から甘く痺れるような熱が全身に広がるようで、堪らず己の隻手をそれに重ね、眉を寄せて熱く吐息し。「……君のことを。君のことが、君のことしか、君のことだけを……──ずっと」ずっと、初めて会った時からずっと。冷たい深海の怪物に、うららかな陽だまりの熱を思い出させてくれたその日から。何をするにも君が浮かんで、鼓動ひとつごとに君の名を唱えて、揺れる心の全てが君へと収束する。相手の身体を蝕む呪いは、当初に交わした契約の不履行によるもの。しかし、彼女が誰人の愛も得られなかっただなんて、一欠片の想いも遂げられなかったなんて、そんなものは嘘だ。晴れやかな面差しで兄と共に現れた王子、睦まじく彼女へ寄り添う隣国の姫君、そしてこの場に立つ己という駒が、運命という強固な道筋に如何程の影響を与え得るのか。余人には知覚すら出来まいが、曲の終わりが近付くにつれ次第に存在がほつれてゆく貴女の手の平へ、そっと切に祈りを捧げるように唇を寄せて )……この〝運命〟の解呪に、僕や彼らの愛では足りないか。
105:
人魚姫 / コーデリア [×]
2025-09-30 23:59:11
あの日、失望、されたものだと、思って、いました。愚かな、人魚だと。( 罰を望んでいた。或いは貴方の中で、取るに足らない存在として忘却されその果てに貴方が幸せになる未来を願っていた。幸せを遠ざける事で自らの罪から逃げて、貴方の言葉に耳を塞いで、貴方の手の温かさも知らずに。徐々に透ける手の平越し唇から伝わる祈りごと引き寄せるかの如く距離を縮め、ぽつりぽつりとあの日の心情を吐露し。そうして漸く、己の四肢や胴に絡みつく青白い月光色の鎖が運命に張り巡らされる〝呪い〟が可視化され、楽団の音色は終わりを告げた。最後の問いかけに静かに瞳を閉じ、あの日貴方の心に遺した呪いを解く。「 いいえ。……私、は。わたし、の、運命、は、 」貴方という海に落ちて還るように、唇を触れ合わせると、無数の鎖と共に指先から泡となって消滅した。
────刹那、一陣の風が吹き、宮殿を彩る青い薔薇の花びらが一斉に舞い散る。そうして視界を覆う程の風が止む頃、同じドレスを纏いながらも人魚の姫の証たる真珠の耳飾りを失った、運命の契約から解き放たれた姿で再び貴方の前に現れ。かつての声を取り戻し、答えの続きを一つ一つ途切れる事なく語ると細くも美しく彼の手を柔く引いて。己が両腕で包む事が出来たなら私は貴方の心臓へと頬を寄せるだろう。禁忌の運命が解呪された今、互いを縛る誓いは存在しない。自由になったこの身体で、この魂で、貴方の元へと帰ることを選ぼうか )あの大海ほどの友愛も親愛も泡となるその時まで、隣にあったのです。アレックスがいなければ世界を知らず。リリアンヌ様がいなければ心は暗闇に沈み。貴方様がいなければ泡となり、もう戻る事は無かったでしょう。再び貴方と歩むことをお許し頂けますか。……──私の、愛しいレヴィ様。
106:
海の魔女 / レヴィ [×]
2025-10-02 23:23:34
( 一瞬、触れ合った唇の感触はまるで精巧な白昼夢のように。柔く暖かなその向こう側、確かにあったはずの彼女の生の脈動は永遠に失われて。愕然と見開いた深海の瞳が、忽ち激情に染まり地へ膝をつきかけた瞬間。美しい薔薇園を望む大窓から突風が吹き込み、諸共に舞い込んだ蒼の花弁により突如として視界を奪われて。来客達の吃驚の声が幾らか上がる中、数度瞬いた瞳が映したのは面前に確りと両の足で立つ一人の女性。──それは、人魚の姫君でもなければ、世に名高き悲劇のヒロインでもない。ただ、己にとっての最愛の女性が、御伽噺にはごくありふれた奇跡のように佇んでいて。コーデリア、と状況の把握に遅れた唇が半ば呆然と、その名を音もなく紡ぐ。今となっては懐かしい、喪われた筈の天上の声音が詩を諳んじるように愛を告げ、自らへと可憐な身を捧げる様はそれこそ夢想のよう。蒼き薔薇の花弁と共に現れた麗しの乙女という絵図が人目を引くのは必然だったが、そんな些事に構っている余裕などない。今はただ、強く強く、目の前にいる貴女が現実である事を確かめるように胸の内に抱き留めて。もう二度と、その身を離す事はないだろう。……あぁ。やっと、手に入れた )──おかえり。僕の、……僕だけのコーデリア。
(/お世話になっております。最高すぎる演出、そして胸を打つクライマックスをありがとうございました……!呪いを象徴する鎖や泡と消える美しい描写の数々に心震え、また一段と成長されたコーデリア様のお姿にも深く魅了されました……本当に背後様の技量には感服するばかりです。また、こちらの都合で結構な路線変更をしてしまったにも関わらず、これほどまでに高いクオリティでお付き合いいただきまして、重ね重ねありがとうございました!
さて、ひとまずメイン二人のクライマックスは一区切りとなりましたので、ここからは予定通り王子&隣国の姫君パートへ移らせていただければと思います。移行の流れについて二案ございますので、いずれかお好きな方をお選びくださいませ。もちろん、他にお好みの案やアレンジがございましたら、そちらをご優先していただいて大丈夫です◎補足的に軽く触れる形でも、人魚姫&魔女パートのようにしっかり描く形でも、どちらでもご都合の良いようにお綴り下さいませ。
① レヴィが魔法でコーデリア様をさくっと上手く連れ去ったことにして、予定通りアレックス様&リリアンヌのターンへ。二人の劇的な退場を見届けたリリアンヌが、アレックス様のいらっしゃるテラスを訪れる流れ。
② アレックス様に再度ご登場いただき、「これはこちらが用意したパフォーマンスである」などとフォローを加え、コーデリア様の麗しきご降臨に少々ざわめく観衆を静めるパターン。その場合、推しと推しの夢の共演を目にしっかりと焼き付けつつも、二人を完全に信頼し途中で離席したリリアンヌが逆にテラスでアレックス様を密かにお待ちするという形になるかと)
107:
陸の王子 / アレックス [×]
2025-10-05 23:27:08
( ──最後の最後までどう転ぶか分からない、それこそが運命であることを重々承知した上でそれでも此方へ微笑む前に飛び去った幸運の女神相手に、はあ、と、嘆息を吐き広間の窓際で天を見上げる。「 先約がいたんじゃなぁ… 」使命感に満ちた瞳で立ち去る姿すら彼女らしいのだと惚れ直す己を思い返しては熱を帯びる顔を覆い。あの後押し寄せる姫君達を躱し、失恋を目撃した友人達に取り囲まれ見事な玉砕だっただのと好き放題言われたがまぁ全て良しとしよう。……それでも多少ダメージを喰らってはいる、のだが。時期にやって来た兄に後は任せてくれていいのだぞ、と渡された慰めの一杯にも口をつける気は起きず。物憂げにシャンパンに視線を落とした瞬間、突風に何事かと観衆の中へと戻り顔を覗かせた視線の先に、憂いが晴れた海の魔女とやっと帰る場所を見つけた表情の少女がふたり。穏やかさの中に不安を幾つも隠していた彼女の表情は涙に濡れつつも明るく、しかと抱き留める魔女の姿に、彼女と出逢って以降友情を築きながらも心につかえていた違和感がはらはらと溶け。『 驚いたな。彼女はてっきり… 』背後で呟いた兄の声が耳を掠めながらも今まで起きた無数の出来事同士が己の脳内でゆっくりと繋がる。──嗚呼、今目の前にいる二人は、きっと。「 結末はいつも誰もが幸せに終わる、だったな 」静かな嘆息と共に漸く見つけた彼女の言葉を借りて小さく呟くと、神の祝福という言葉を宿して舞い散る蒼い奇跡へ向けてグラスを掲げ。騒めきが止む一瞬の隙をついてひとたび観衆の目線を奪ってしまえば、後は己の独壇場。これはかつての偽りの享楽主義者でも救済者でもない、一時でも共に過ごした第二王子のお節介。これまでも、そしてきっとこれからも二人に起きた事を知る事は無い。例え知る事が出来たとて其処に生まれた想いは〝彼等だけのもの〟。漸く想いを遂げ実を結んだ愛が決して侵されないよう、このホールを舞台に一芝居といこうか )どうかご安心下さい! この風と蒼き薔薇は、皆様を日々見守る天からの祝福。……私がただ一人の兄と再び手を取り合えたように。この先何があろうとも、皆様をこの国を遍く全てを末永く見守り、愛し続ける事でしょう。───さあ、この素晴らしき日に万雷の喝采を!
( 彼等に向かう視線は瞬く間にホールの中央へと移り、楽団によって再び演奏は再開される。やれやれと額を抑えながらも優しく見守る兄に耳元で「 それじゃあ後は頼みました。……任されてくれるのでしょう? 俺の愛しい兄上 」と囁きウィンクと共に足早にテラスへ退散する。少女もまた上手くホールから逃れ二人の時間を楽しむ事だろう。何せこれからはあの海の魔女が傍に寄り添うのだから。──そよ風が砂色の髪を撫で喝采に熱った身体が冷める頃、ひとり佇む貴女に思わず足を止める。彼女に寄り添う筈の先約が居ない状況に心内に何とも言い表せぬ戸惑いが宿り。偶然、偶々、席を外しているのやもと思考を巡らせ、他者の恋路を邪魔するなど王子の面汚しと暫く葛藤し悩みに悩んだ末に、昔からの顔馴染みとしてそっと声を掛けて ) 今日の満月は見事だが、そう眺めていては身体を冷やすよ、リリアンヌ。
(/ お世話になっております。長期に渡ったコーデリアとレヴィ様の物語の結末までお付き合い下さりありがとうございました……!此方こそお返事のペースが安定しない事が多く、描写も推敲不足による粗や、多くの路線変更が目立ったことかと思いますが根気強くお付き合い下さり本当に幸甚の極みです……。呪いによる表現等も背後様の多彩な表現力や巧みな構成のおかげで思い付いたものであり、沢山刺激を受け胸が躍る日々でした!改めてお礼を申し上げます、お疲れ様です…!ありがとうございました* *
残る王子&姫君パートのロルですが、まずは素敵な案のご用意ありがとうございます!悩んだ末に『二人を完全に信頼し途中で離席した』リリアンヌ様が余りに最高でしたので②をベースに作成いたしました…!(一部背後の技量が追いつかず、歓喜と喝采で上書きし注目を逸らす内容にアレンジさせて頂きました) 加えて二点事前連絡ですが、一点目に >96 のお断り直後の様子を描きたかったため長文となり、今回分割ロルにてお届けしておりますが前半は丸ごと読み飛ばして頂いて大丈夫です◎ 二点目に、後半のロルにてリリアンヌ様が既にテラスにいるものとしてほぼ確定気味に声をかけておりますが、返しづらさ等感じられるようでしたら修正いたしますのですぐにお申し付けください。それでは、いよいよラストとなる王子&姫君パートも宜しくお願いいたします……!(特にご相談等無ければお蹴りください◎)
108:
隣国の姫君 / リリアンヌ [×]
2025-10-08 22:38:09
( 軽く手中で傾けたグラスの中に、夜空を切り取った白銀の球体がゆらゆらと揺蕩う。人気のないテラスへ降り注ぐ淡い月光が頬を撫で、それと同色の揺らめきを湛えた瞳を緩やかに細めて。海の魔女が姿を現した事で最大の懸念は既に払われたものの、はたして自身の待ち人は訪れるだろうか。通常、王族が舞踏会でファーストダンスの誘いをかけるというのは大きな意味を持つ。それをあのような形で退ければ、気を悪くして当然、そうでなくとも一種の気まずさのようなものは残るだろう。そもそも、今宵の華々しき主役たる彼がテラスの一角になど気を払わないかもしれない。それでも、相手ならばもしやと思ってしまうのは懐かしい夢のせいか、アルコールによる高揚か。そんならしくもなく夢見がちな心の声へ応えるように、潮の香りを含んだ風が自身の波打つ髪を揺らし、薄布のドレスがふわりと広がって。──そっと、背後の待ち人へ振り返る一瞬の間際、口許へ描かれたのは密かな円弧。「 まぁ、アレックス様。ご心配をお掛けしてしまったかしら…… 」薄桃の髪を軽く手で抑えながら、あたかも純に驚いたかのような素振りの声音と共にゆるりと振り返って。しかし、すぐにくすくすと品の良い微笑を零す唇に指先を添えると、あの頃と変わらぬ純朴な貴方は再び罠にかかってしまったのだと明かし。親愛を孕んだ無礼と児戯の狭間にあるような言葉選びでもって、その心内へ踏み込んでみようと )けれど……ふふ、ごめんあそばせ。本当はこんな所にまで声をお掛けに来てくださるような、愛らしいお猫様を密かにお待ちしておりましたの。……〝先約〟の彼女は、無事に本来の相手方へ引き継ぎましたから。
【お勧め】
・初心者さん向けトピック
[0]セイチャットTOP
[1]1対1のなりきりチャット
[9]最新の状態に更新
お問い合わせフォーム
(C) Mikle