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68:
狩人 [×]
2023-12-24 16:02:18
>61 ことも、ALL
【廃屋敷/リビング】
少女(ことも)の言葉に、狩人は振り返って頷く事で答えた。ノコギリ鉈に比べれば威力こそ劣るものの、獣狩りの短銃による銃撃はかの化物(Suicider)を倒すには十分な威力を発揮したようだ。化物(Suicider)は頭部を破裂させ、血飛沫と共に倒れ込んた。反撃として腹部にあの黒い小銃による銃撃を受けてしまったが、大した問題はない。銃撃は今まで何度も浴びてきたし、獣の鋭く重い一撃に比べればこの程度は擦り傷である。装束に付着した血を払いながら、今しがた倒した二つの死体──うち一つはまだ完全に死んではいないようだが──に近寄り、それぞれ鍵らしき物と黒い小銃を回収しておく。鍵はどこの扉に使えるのかは知らないが、持っておいて損はない。黒い小銃は、獣狩りの短銃よりも随分と小型な上に外装も見たこともない素材であしらわれた未知の銃だ。少なくともヤーナムでは見た事が無い。鍵と小銃を懐に仕舞いながら考えるのは、これらの道具の使い道……ではなく赤いリボンの少女(ことも)の事だった。この少女(ことも)を見ていると、かつてヤーナム市街で出会った白いリボンの少女を思い出す。紆余曲折あってその少女に教会に行くように勧めたのだが、肝心の教会に少女は現れなかった。不審に思ってしばらく市街を探し回っていたが、結局見つかったのは下水道に住んでいた豚の体内から発見した、血で赤く染まった少女の白いリボンだけだった。引き摺り出した豚の内臓と共にこのリボンが見つかった時は、流石の狩人も気分を悪くした。目の前で助けた赤いリボンの少女(ことも)が、ヤーナムの少女と同じ末路を辿ることになるのは避けたい。そう考えた狩人は赤いリボンの少女(ことも)に一つ提案をしてみる事にした。壺の陰に隠れた少女(ことも)の目の前まで戻ると、視線を合わせるために屈んでから、次のように話した。
「この辺りは危険だ。安全な場所に着くまでは一緒に行動しないか」
ヤーナムの少女は、獣を狩るすべを持っていなかったから食い殺された。ならば獣を狩るすべを持つ狩人が同行すれば、殺されることはない筈。そういう目論見だった。
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