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96:
梵 [×]
2023-03-04 20:55:44
>89 カーメル様
「気にしなくていいよ。外からこの街にきたヒトはびっくりすることの方が多いから」
寧ろ、初見で慣れる方が怖いかもと笑いながら軽く流して。
スナックに入る前とは打って変わってしおらしく感じる彼女の姿に、少なくとも街を嫌いになった様子はなさそうだと安堵する。
「…あぁ、街にくるのが初めてなら、街から出るついでに、この辺りの案内でもしようか?」
そうすれば次に来た時に、安全なところを通って楽しめるだろうと悪戯っぽい笑みとウインクを1つ。
それに、可愛いお嬢さんを案内できるなら光栄なことこの上ないねなんて微笑んで見せて。
>92 唯織様
「はは、なかなか手強いお嬢さんだねぇ」
他の子なら俺がどんな顔をしていても喜んでくれるものだけれど、と彼女に合わせてからりと笑う。
花憑きともなると簡単にはいかないか、なんて妙に納得して。
彼女の様子を見ても彼女が照れている様子を伺い知ることはできなくて。
そろそろ悪戯から手を引いた方がいいらしいと、人知れず肩をすくめる。
「…ふふ、君に言われるまで頬のことなんて忘れていたよ。いつものことだし、君の綺麗なハンカチを汚すのも勿体無いのだけれど…ありがたく使わせて貰おうかな」
耳元でころころと転がる鈴のような声に妙な擽ったさを感じていれば、忘れていた感触に意識が向く。
頬を熱する鈍い痛み。
それが誰にどんな経緯であたえられたものか、ぼんやりとしか思い出せないが。
いつものこととして放っておこうとしていたところに差し出される綺麗なハンカチ。
ここまでしてもらって使わないのも申し訳ないため、ありがたく使わせてもらうことにして。
「優しい君に一つだけ教えてあげる……これをやったのは俺と同じ男だよ」
彼はなんだかんだ優しくてね、頬を張る時に加減してくれたんだなんて要らない情報まで付け足して。
内緒話でもするかのように、可憐な少女の耳元に口を寄せて囁いた。
>91 蛍様
「…ふふ。これはまた、可愛らしいお嬢さんと巡り会ってしまったなぁ。悪戯したくなるから、あんまり可愛い反応はしないでくれ」
自分の名を聞いてから時が止まったように立ち尽くす彼女。
どうしたのかと伺う前に、ぽそりと呟かれる己の名前。
もし、勘違いが許されるなら、その一連の様子は彼女に好意的に捉えてもらえた証拠なのではなかろうかと思えて。
そうでなくても、無意識に己の名前を反芻する姿は非常に悪戯心を刺激されるもので。
しかも、その後に頬を朱に染めて視線を泳がせるときた。
これを可愛いとせず、何とするのか。
遊びに慣れていないその姿に、ついつい揶揄いたくなってしまうのが性分というもの。
「良いものをみせてもらったお礼に、最高のエスコートを約束するよ」
なんて戯けて言えば、再びぱちりとウインクを1つ。
何処か可愛らしい雰囲気の残る彼女に手を差し出して、御手をどうぞなんて悪戯っぽく笑いかけて。
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