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その血は華となり【途中参加 OK】/104


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82:  [×]
2023-03-03 09:13:52

>72 カーメル様

「普段どんなことを、ねぇ…街のヒトを片っ端から喰って喰われて…愉しいことをしてきただけなんだけどねぇ」

スナックの奥に連れられていく彼女が残していった言葉に笑いが込み上げる。
ぽそりと返したそれに、さらに言葉を返されることはなく。
出入り口の横に寄りかかって待っていれば、関係を持ったヒトもそうでないヒトも軽い挨拶を残してくれる。
薄紅色に色づいた片頬をみて、いい男になったじゃないとか、お前の頬をはれる子がまだいたなんてとか。
冗談を投げかけてくれる彼らに冗談を返せば、街の雰囲気に染まっていくのを感じる。
遊びに誘ってくれるヒトもいたが、今日はお客様がいるからまた今度と軽い調子で流せば、何処どこの店に行ってくるなんてさらりと返される。
この清々しい程に欲に忠実な、さっぱりとした関係が心地よかった。
決してお互いの弱い柔らかいところに踏み込まない、欲を満たし満たされるだけの関係。
彼女はきっと好まないだろうと仔猫のようなその姿を思い浮かべて。



>77 蛍様

「っははは、本当に愉快な…いやぁ、可愛い拾い物をしてしまったみたいだね」

目の前で疑問符を飛ばしている彼女をみて、遂に堪えきれなくなった笑いが弾ける。
色々考えた上で自分についているのは理解しているつもりだが、どうしても自分のようなヒトが彼女に街を案内する、という構図が可笑しく思えて。
あまりにも純粋で可愛らしい姿に、ついつい彼女の方へ手が伸びる。
ぽん、と軽く頭を撫でれば、街の外から来たヒトは不用意に触られるのを嫌がるのではと考えが浮かんで、大人しく手を引っ込める。
自分の提案に頷いたことを確認して、街の中心へ向かって歩き出そうと構える。
彼女の笑った顔が可愛らしいのは学習済みなわけで、その笑みでもっと多くのヒトを惹きつけるだろうにと心の中で呟く。
何処を回って何を紹介していこうかなんて考えを巡らせていれば、隣から小さな声が漏れる。
何かあっただろうかとそちらへ目を向ければ、何やら考え込んでいる様子で。
どうかしたか、とありきたりな言葉を吐く前に彼女から自己紹介がなされる。
名を名乗っていなかったことを思い出し、歩むのをやめて自己紹介をしてくれた彼女へ向き直る。

「ご丁寧にありがとうね。俺は梵。そのままでもいいし、そよちゃんって呼んでくれてもいいよ」

よろしくね蛍ちゃんとぱちりと綺麗なウインクを一つ。
流れるようなその仕草に、自分のことながらすっかり街に染まってしまったなと心の中で苦笑が漏れる。

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