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白む空に燻る紫煙 ---〆/4249


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自分のトピックを作る
1402: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-20 11:41:34

 






( 態とらしい相手の口調には矢張り妙な気恥ずかしさが募るもので歯切れ悪く頷けば、帰るかと言う問いにも続いて同意を示して。相手が寄りたいと言った店に視線を向けると、構わないと頷く。店に近付くとチョコレートの甘い香りが漂い、ショーウィンドウの中に宝飾品の様に丁重に並べられた粒の大きいチョコレートを眺めて。様々な模様の施された一粒チョコレートや箱に入った豪華な物、小振りな袋に入った物など様々な商品がある様子。カカオ豆の種類やパーセンテージ、原産国の違いなどを含めればかなりの種類があるようで。「…欲しい物があれば買ってやろうか、」隣でキラキラした目で商品を眺めている相手に視線を向けると、今回の件で急に捜査を降りた上心配を掛けた事に対する謝罪の意味も込めて尋ね。 )





 

1403: ベル・ミラー [×]
2022-05-20 13:40:13




( 値段は勿論の事、色形や中身に何が入っているかの違いも細かく分類されている其れらを煌びやかに輝き放つ宝石を見る時と同じくらいの熱量で身を乗り出す様に見詰め。宝石箱に一つ一つ丁寧に削られた宝石が並べられている様な豪華さを醸し出す高価なチョコレートの味も勿論気になるのだが、其れ以上に唆られるのは光沢を放つ様々な色の銀紙に一つ一つが包まれ、透明で小振りな袋に入れられているベルギー産の物で。申し出に対して頭を持ち上げる様に相手を見上げては「__じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。」と躊躇う事無く頷きつつ「此れがいい」気になった小振りの袋を一つ摘み上げ相手に渡して。…其れからちゃんと自分で買いたい物がもう一つ。同じくベルギー産のチョコレートなのだが中にごろんとしたアーモンドが入っていて、其の周りのチョコレートは其々カカオのパーセントが違う物。其れが六つ小振りの袋に入った物を手にしてはひっそりと胸に落ちる喜びを抱えた儘別のショーウィンドウを見て周り )





1404: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-20 19:24:47

 






( 相手に強請られたのは色とりどりの銀紙に包まれたチョコレートの詰め合わせ。様々な味を味わえる事に加えて見た目にも綺麗な其れを受け取り、少し店内を眺めてから会計を済ませる。チョコレート色の小さな紙袋もおしゃれで、持ち手の部分にはリボンが結ばれた其れを手に先に店の外に出て。この辺りは女性をターゲットにした店が多いのか化粧品の店も近くにあり、店頭に並ぶ可愛らしいパッケージに入ったグロスには見覚えがあった。長年の人気商品なのだろう、同じ物を妹が持っていた___初任給で買ったと嬉しそうにしていた事を覚えて居て。ブースにこそ近付かないもののその場に立ったまま何とも言えぬ寂しさと懐かしさを胸にその店を眺めて。 )





 

1405: ベル・ミラー [×]
2022-05-20 21:06:20




( 相手の後に会計を済ませてお店を出る。お店の外まで濃厚で甘い匂いが漂う事に余韻を引き連れる事が出来嬉々とした気持ちが生まれては“ありがとう”と紡ごうと唇を開き掛け__音として届く事は無かった。相手の視線を追い掛ける様にして頭を向けた先にお洒落な化粧品売り場があったからだ。相手自身が化粧に興味があるとは思えないし、何よりも瞳の奥に見え隠れする光が陰陽を纏っているのを見て誰の事を思い出しているのか考える迄も無く分かってしまう。「__来て。」再び相手に顔を向けて柔らかく微笑めば、短い言葉一つの投げ掛けで男1人では行き難いであろう其のお店へと入り。チョコレートの甘い香りから化粧品独特の香りへと移り変わる中で「セシリアさんに贈り物をするっていうのはどうかな?この前はプリンだったから、次は可愛い化粧品。絶対気に入ると思うんだけど。」唇には穏やかで柔らかな笑みを乗せた儘、何時かの日と同じくまるで生きている人に贈る様な口振りでそう提案しつつ、緩く首を傾けて )





1406: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-20 22:27:39

 






( 相手が店から出て来ると其方に視線を戻し帰路に着こうとするのだが、相手は化粧品売り場に向かって行き驚きつつもその背中を追って。近くで見たグロスは様々な色が並び、妹がどれを使って居たのかまでは判別する事が出来ない。振り向いて微笑む彼女の唇はどんな色を携えて居ただろうか。妹への贈り物を提案されると、一度化粧品に視線を向けたものの直ぐに頷く事は出来ずにいた。妹の物を手元に置いておくと、いつか彼女が戻って来ると錯覚して其れをずっと待ってしまいそうで。「……手離せなくなりそうなんだ、戻って来ると錯覚してしまう。贈るならもっと早くに___生きているうちに買ってやれば良かった。」相手と共に妹の事を思い出す程に、心の麻痺が解けるように寂しさを強く感じ始める。黄色いインコも、キラキラと輝くグロスも、幸せな思い出であるのと同時に遥か遠くに遠ざかってしまった物だと思わずには居られない。泣きそうだと思いグロスから一度視線を外すと深く息を吐き出して。 )





 

1407: ベル・ミラー [×]
2022-05-20 22:56:12




( 懸命に感情を殺す様にして紡がれた言葉は懐かしさと、けれども其れ以上の深い寂寞の思いが確かに宿っていて思わず気持ちが引っ張られそうになるも、両足に力を込める時の様にグッと心を立て直す事で口許の笑み迄を消す事は無く。_幸い店員も奥のレジの中で談笑し他のお客さんも居ない。右足を一歩前に、相手との距離を詰め頭を持ち上げる事で真っ直ぐに見遣れば「だったら私が持ってる。次のお墓参りの時、私もまた一緒に行かせて。」緑の虹彩を優しく細め提案と要望を同時に口にしては「相手の事を思って選んだ気持ちは何処に居たって届くよ。」断言する様な口調で少しの迷いも無く続かせて。__もう二度と戻る事の無い苦しく悲しいものとして何時までも心に残り続ける記憶は、其れでも確かな幸せだってちゃんとあった筈なのだ。負の思いが強過ぎる余り時折見失うだけ。「セシリアさんに何色のグロスが似合うのか、知ってるのは今エバンズさんだけだよ。…私に教えて。」極めて穏やかな声色を心掛けつつ悲しみの中に少しでも幸せな彼女の笑顔を思い出せる様にと、一度だけキラキラと輝きを放つグロスへと視線を流して )





1408: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-21 13:05:14

 






( 相手の言葉を聞いて少ししてから顔を上げると、再び煌めくグロスに視線を向ける。妹は何色を付けて居たのだろう、何色が良く似合って居ただろう。物凄く濃い訳でも無く、色が薄過ぎる訳でも無い綺麗な色だった様に思いチェリーピンクのグロスを手に取り。「…こう言う、鮮やかだけど透ける様な色を良く使っていた気がする、」隣に立つ相手にそう告げつつ、若い女性が好みそうな綺麗なパッケージの其れに視線を落とし妹の笑顔を思い出す。同時に寂しさと、どうしようも無く妹に会いたい気持ちが胸に沸き起こり其れを一度棚に戻して。 )





 

1409: ベル・ミラー [×]
2022-05-21 15:18:53




( 相手が選んだのは透き通る鮮やかさはあれどキツいと感じる事の無い程よく柔らかな主張をしてくれる様な色のグロス。写真の中で微笑むセシリアの笑顔を思い出して確かにとても良く似合いそうだと頷くも、感情が胸の奥深くで渦巻き溢れ出しそうになっているのだろう、相手が一度は手にしたグロスを元の位置に置いたのを見て横から手を伸ばし其れを摘み上げると「私がセシリアさんにプレゼントしちゃお。」極めて軽い足取りで以てさっさと会計を済ませラッピングして貰ったグロスと共に再び相手の元に戻り。__感情を震わせて居る相手の背中にそっと片手の掌を添えてお店の外に出る様に促す。其の儘ショッピングモールから外へと出て車に乗り込めば其処で漸く相手に向き直り「_…写真のセシリアさん、凄く綺麗な笑顔だよね。きっと毎日が凄く幸せだったからだね。」其の腕を優しく優しく摩る様にして撫でながら寂しさに苛まれて居るであろう相手に語り掛ける様に言葉を落としていき )





1410: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-21 15:54:42

 






( 自分が棚に戻したグロスを相手はそのまま手にして、其れを綺麗にラッピングして貰った様だった。此れから妹と会う約束をして居る様な錯覚を覚える、その場で相手がプレゼントだと言って綺麗な包みを手渡して妹がはしゃぐ笑顔が見える様で___そんな日が来る事は無いと言うのに。促されるままに車に戻り相手と二人きりになった所で溢れ出しそうだった感情が遂に零れて涙が手元に滴った。少し持ち直しはしたものの、連日の出来事もあって心が弱っている事を改めて実感させられて。ハリーにも、ウィリアムズさんにも__セシリアにも、二度と会えないのだと思うと矢張り苦しいのだ。幸せな記憶だからこそ、思い出す事が出来る喜びと同時に余計に寂しくなる。「……セシリアに、会いたい…」無理だと分かっているからこそずっと誰にも言えなかった言葉が、口を突いて出ていて。 )





 

1411: ベル・ミラー [×]
2022-05-21 16:22:33




( 黄色のインコを見た時からきっと相手の気持ちは揺れていたのだろう。お店の中だから、折角買い物に来たのだから、と沢山の理由を自分自身に言い聞かせて懸命に懸命に揺れる感情を押さえ付ける様にこの数時間を過ごしたに違いない。とうとう我慢が限界を迎え褪せた蒼眼から涙が溢れ落ちると、頬に片手を添えて流れる滴を親指で優しく拭い取り。心の底から渇望する言葉は余りにも強い気持ちが込められている様で、胸が締め付けられる思いになる。どれだけ真剣に願い神に縋ったって亡くなった人は__セシリアは決して戻って来る事は無い。相手自身が其の事を誰よりも一番分かって居て、けれども願わずには居られないのだろう。「_…私も会いたい。会って、友達になって下さいって言いたい。」尚も流れ続ける涙を何度も何度も親指の腹で拭いながら、少なくとも今相手の気持ちを無理だと否定する人は誰も居ないのだと伝えよう。寂しい時は寂しいと泣けばいいし、何時か必ず会えると信じ続けたって構わないのだ。「エバンズさんとセシリアさんはきっとずっと繋がってるよ。…姿を見る事は難しいかもしれないけど、でも、私はそう信じてる。」結局の所何もかもが気休めの言葉になってしまう事が歯痒く悔しいが、生きてる人と亡くなった人との間に何もかもを不可能とさせる溝が出来る事は決して無いのだと其れだけは伝えたくて )





1412: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-21 21:25:56

 






( 頬を伝う涙を相手が指の腹で拭ってくれるものの自分では其れを止める術が無く少し顔を俯かせる。相手が友達になったら、きっと妹はすごく喜んだだろう。仕事の事、職場での人間関係の事をあまり話した事が無かった為、兄の部下だと知って色々な事を根掘り葉掘り聞いていたかもしれない。姿を見る事は叶わなくても繋がっている、妹は見守ってくれていると、自分に都合の良いように信じて居ても良いのだろうか。妹の姿を一目でも見る事が出来たらどれ程良いだろうと寂しさを抱えたまま考えながらも、少しして涙を拭うと顔を上げる。「…本当に良かったのか、?」相手に買わせてしまった事を思い、ラッピングされた包に視線を向けると相手に尋ねて。 )






 

1413: ベル・ミラー [×]
2022-05-21 21:41:57




( 心が痩せ枯れて居る時は自分でも考えられ無いくらいに気持ちを立て直す事が出来ない時が多々ある。其れは幾ら屈強な精神の持ち主であったって同じ事だと思うからこそ、ややして涙を拭い顔を上げた相手に柔らかく微笑んで見せて。何処か申し訳無さそうな色の含む問い掛けには当然だとばかりに頭を縦に動かした後「勿論。エバンズさんが選んでくれた物なら喜ぶ事間違いなしだろうしね。」折角贈り物をするのならば、セシリアの事を良く知る相手が選ぶ物が最も喜ばれると、其の日が来る事が待ち遠しいとばかりに破顔させ。__シートベルトを締めエンジンを掛けた所で、ふともう一つの“贈り物”の存在を思い出せば鞄からアーモンドチョコレートが入った丁寧にラッピングされた小袋を取り出して「…こっちはエバンズさんに。」其れを手渡す最中、果たして気に入って貰えるだろうかと様子を伺う様な素振りを見せて )





1414: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-21 23:11:39

 





( 微笑む相手を見て少し安心すると、また折りを見て墓参りに行こうと考えて。部下である相手をそう何度も同行させるのもどうかと思いはするものの、実際に相手はセシリアに会う事を楽しみにしている様で今回は甘えても良いだろう。相手から袋を手渡されると礼を述べつつ「…開けても良いか、」と許可を得てから袋を開ける。中にはアーモンドチョコが入っていて、心が弱っている今だからだろうか、いつも以上にその気遣いが沁みて「…帰ったらゆっくり食べる。」と幾らか和らいだ表情でそう言って。此方は頼まれた物を購入した為驚きは無いだろうが、持っていた紙袋を同じ様に相手に手渡して。「……何処かでコーヒーでも飲まないか、」自分から何処かへ行きたいと提案をするのは滅多に無い事だったが、未だ少し荒んだ空気の残る家に戻る前に少しだけゆっくりしたい気持ちになった様だった。 )





 

1415: ベル・ミラー [×]
2022-05-22 00:06:42




( 許可を求める言葉に頷けば其れに釣られる様に相手は袋を開けて中身を確認した。気に入るだろうか、此れなら食欲の無い時でも摘んでもいいかという気持ちになれるだろうか。一抹の不安を宿すも其れが杞憂だと思えたのは相手が浮かべた表情が先程よりも柔らかなものになったからで。「エバンズさんお気に入りの味があればいいな。」ブンブンと嬉しそうに振られる尻尾の幻影が見えそうな嬉々とした感情を全面に、脳が疲労を訴える時にもピッタリだと。続いて先程強請ったチョコレートの小袋を渡されれば其れを両手で大事そうに受け取って。「とびっきり甘いミルクティと一緒に食べたり、今日は上手く行かなかったなって日とか、逆に凄く幸せな日に食べるのもきっと素敵だろうなぁ。」手の中に収まる小袋は最早ただのチョコレートには思えない。何処かうっとりとした表情で饒舌に言葉を連ねながら宝物を扱う時の様な丁寧な所作で鞄に仕舞い。__相手からの珍しい提案には思わずぱちりと瞬くも、やりたい事、行きたい場所を挙げられるのは酷く嬉しいもので。「賛成。静かな穴場的カフェがあればいいんだけど、」迷う事無く頷けば、モールに行く迄の間に見付けたカフェはどんな感じだっただろうかと思案しつつ、車を走らせて )





1416: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-22 00:57:10

 






( あまり食欲の無い時、何も口にする気にならない時のお守りにもなるかもしれないと思いつつブンブンと左右に動く尻尾が見えそうな程に嬉しそうに告げられた言葉に、様々な味のチョコレートを食べ比べられるのも楽しそうだと頷いて。嬉しそうに袋を抱えた相手に視線を向け、甘いミルクティーにチョコレートを合わせるのは甘すぎるだろう、と言う突っ込みが出掛かったもののあまりに幸せそうな表情を浮かべているものだから水を差すのは辞めておこうと口をつぐみ。コーヒーを飲みたいとは言ったものの行きたい店がある訳でも無く、ショッピングモールに向かう途中の車窓を眺めながら見た記憶があるのも署や家がある場所から程近い小さな喫茶店くらいの物で。 )






 

1417: ベル・ミラー [×]
2022-05-22 01:34:40




( 幸せな余韻を引き連れて進む車内、互いにあれこれと会話を繰り広げる訳では無いがエンジン音だけが小さく響く其の時間もまた居心地の良いものである事は間違い無く。ショッピングモールを出てから数十分、家よりは署の方が近い場所に位置する喫茶店に辿り着く。ある事は知っていたが普段同僚と行くのは主に別の喫茶店の為此処に入るのは初めてだった。可愛らしい外観というよりは何処と無く落ち着いたベージュの壁に、入口には控え目な“ウェルカムボード”が掲げられていて、大人な空間を想像出来る此処ならば騒がしい事も無さそうだ。__木で出来た扉を開けて相手と共に中へと入れば、案の定全体的にシックに纏まっている店内は耳障りだと感じないくらいの音量で静かな音楽が流れており、『お好きな席へどうぞ』と声を掛けてくれた店員さんに軽くお礼を言って一番奥の席を選ぶ。「…何か良さそうな所だね。」自然と話し掛ける声量は落ちるが広げたメニューには珈琲だけでも沢山の種類が書かれていて、其れを見ているだけでもワクワクしてくるというもの。「__折角だからちょっと高いのにしちゃおうかな。」選ぶのに珍しく時間を要した結果今日は特別だと選んだのは、“ミルクに拘りあり”と書かれたプレミアムカフェラテで )





1418: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-22 09:57:16

 






( 相手と共に入ったのは署から程近い場所にある落ち着いた雰囲気の一軒のカフェ。店内にも静かな音楽が流れ、客で混み合っている訳でも無くゆっくり過ごすにはちょうど良さそうで奥の席に腰掛けて。相手から投げ掛けられた言葉に頷きつつメニューに目を落とすとコーヒーだけでも様々な種類がある様で。相手の選んだプレミアムだと言うカフェラテやカプチーノなども美味しそうなのだが、自分は無難なホットコーヒーにしようと其れを注文して。ややしてコーヒーと共にクッキーが添えられて出てくるとコーヒーの香ばしい香りに少し気分が落ち着くのを感じて、カップを手にひと口飲み。 )





 

1419: ベル・ミラー [×]
2022-05-22 10:50:55




( 注文してから少しして運ばれて来たプレミアムカフェラテは一見すれば普通のカフェラテと変わり無い様に思える。香りも特別大きな違いがある訳では無く珈琲の香ばしい香りの中にミルクのこっくりとしたまろやかさが顔を覗かせる其れは、一口飲めば素人目にも味の違いが分かる程だった。舌先に纏わり付く様に仄かに残るミルクの味は珈琲の香りを邪魔しない控え目さがあり身体を温める。「_…サラにも教えてあげよ。」ほぅ、と和らいだ気持ちを深い吐息に乗せて落とせば再びカップの縁に唇を宛がって。__相手と向かい合って座る己には“其の女性”の姿を見る事は叶わなかった。厨房側とフロア側を繋ぐ扉が開く音と同時に『お先に失礼します。』と勤務時間の終わりを迎えたのだろう同じ従業員に挨拶をする落ち着いた女性の声が聞こえる。手足の長いスラッとした女性は相手と良く似た焦げ茶色の髪を後ろで一つに結んで居て少し短めの前髪から覗く瞳は鮮やかな緑色。…似ている、なんて言葉が陳腐に思える程に、まるで一卵性の双子かと思えるくらいにそっくりなのだ__セシリアに。顔の作りも、背丈も、雰囲気も、声も、妹の事を良く知る相手ならば其の全てが本人と酷似している事に直ぐに気付くだろう )





1420: アルバート・エバンズ [×]
2022-05-22 11:36:41

 






( 焙煎された豆の香りをしっかりと感じる其れは、柔らかな苦味を舌に残して身体を温める。美味しいコーヒーは気分を落ち着かせると思いつつ、クッキーをひとつ口に運んで。___懐かしい、と感じる声を聞いたのは其の少し後の事。自然と其方に向けた視線が、あり得る筈の無い光景を捉えて居た。11年間会いたいと願い続けた妹の姿が其処にあったのだ。一目でも良いから妹の姿を見たいと願った自分が作り出した幻影かと思う程に、妹が生きていたとしたら街中で声を掛けるであろう程に、兄妹である自分から見てもその女性は妹にそっくりだった。相手の肩越しに驚きを携えて店を出て行く女性に縫い付けられた瞳には、懐かしさと寂しさと愛おしさと…様々な感情が入り乱れて居て。セシリアは死んだ、彼女が妹では無い事は確実だったがあまりに懐かしく愛おしい姿に其れを偶然として、他人の空似として自分を納得させ片付ける事は困難だった。此の場所に来れば干渉は出来なくとも生きて居る妹に会えるのだと、堪え難い喪失感を埋める一つの術に気付いてしまい。 )





 

1421: ベル・ミラー [×]
2022-05-22 12:00:54




( 全粒粉の味と香りがミルクティーの甘さの中で際立つクッキーを咀嚼して飲み込んだ所で、ふと目前に座る相手の視線が己の肩口の向こう側に向けられて居る事に気が付いた。緩く首を傾けてから身体を捻り振り返るも、相手が妹と見間違えた女性はもう既にお店を出た後で特別何か珍しい物がある訳でも無く。再び頭を戻して「…どうしたの?」と問い掛けて。__珈琲を喉に流し込みホッとした表情を浮かべた数分前の相手と今の相手は纏う雰囲気も何もかもが違う。褪せたブルーの虹彩が酷く寂しげに揺れる中で確かに僅かな希望を見出した様な色も見え隠れするのだ。其れが何故だか胸の片隅に引っ掛かり、言い様の無い違和感を植え付けてくる。少しばかり怪しむ様な視線を向けながら甘いカフェラテをもう一口啜り )





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