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monologue/15


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自分のトピックを作る
■:   [×]
2026-10-29 00:03:12 



独り言 / Someone I know Only...





1: E [×]
2026-10-30 00:01:38



久しぶりに実家に帰ったら、母が拾った栗で大量のマロングラッセを作っていた。
帰宅早々おかえりも無しに「手伝って!」と笑顔を向けてくる。
……やれやれ、僕だってくたくたなのに。




2: E [×]
2026-10-31 00:07:05



昔使っていたアトリエを見に行った。
絵はほどんと処分してもうなにも残っていない……はずだった。
どうして子供の頃に描いた絵がそこかしこに飾ってあるんだ。

母に尋ねたら、ただただ微笑むばかりだった。
母親とはそういう生き物なのだろう。




3: E [×]
2026-10-31 12:05:33



【 10/31 とある古びた聖堂の一角 】


そういえば、と端末を確認する。
今日で収束の見込みだと伝えられた"現象"を確認して、辺りを見渡した。
角に置かれた絵を裏返し思わず笑ってしまう。
……さて、どうしようかな。

鮮やかに色づいた内壁をぼんやりと眺める。
結局きみは誰で……何だったんだろう。
わかったような、わからないような。
もう少し踏み込んだ方が良いような気もしたけれど、どうしてだろうね。
僕の中の何かが「そちら側に行くな」と警鐘を鳴らしている。

恐怖と言う感情は無知からくるものだと教えてもらった事がある。
深く知ることで、この恐怖を取り除いてしまっても良いのだろうか。
不意に母の顔が浮かんで消えた。
……今は考えるのをやめておこう。

ここ暫くは、驚くこともあれば不思議なこともたくさんあった。
大変だったけれど、でもとても楽しかったよ。
紛れもなく、人生で味わったことのない1ヶ月だったように思う。
日陰者の僕にとっては、とても眩しい日々だった。

きっとあの絵を見るたびに思い出すだろう。
垣間見なければ、僕には知り得なかったものがそこにある。

ふと空になった小瓶を取り出した。
再び壁全体に目を移せば、蓄光塗料を忍ばせた星たちがぼんやりと光っている。
いいものを貰っていて本当に良かった。

――時間だ。空瓶を鞄にしまって足早に仕事へ向かう。
今日もどうか無事に戻れるようにと願いながら。


Special Thanks : world view
https://m.saychat.jp/bbs/thread/723381/




4: E [×]
2026-11-01 00:06:03



久々に父のアルバムを開いた。
様々な景色を切り取った風景写真が一枚一枚丁寧に収まっている。
いつ見ても、どの風景も本当に美しいものばかりだ。

僕も写真は撮るけれど、あくまで記憶の補助的なものでしかない。
父と同じ場所で同じように撮った所で、まったく同じものが撮れるとは到底思えなかった。
さすがは写真家というだけある。




5: E [×]
2026-11-01 12:06:57



母にワインでも開けようかと尋ねると、「そんなものが買えるようになったの?」と目を丸くしていた。
どうやら僕をまだ何もできない子供だと思っているらしい。
あなたに仕送りをしているのはどこの誰だかお忘れのようだと冗談半分に尋ねたら、「わかっているわ」と困ったように笑っていた。

……しまった、困らせるつもりはなかったのに。




6: E [×]
2026-11-02 00:08:53



「仕事はうまくいっているの?」と問われて、果たしてあれでうまくいっていると言えるのだろうかとしばらくの間考えこんでしまった。
仕事に貢献できるような優れた能力があるわけでもなく、むしろ体力の無さが災いして音を上げるのが人一倍早い。
一応はなんとか日々の業務をこなせていると言えるかもしれないけれど、果たしてそれを"うまく"と言っていいものなのだろうか。

悩んだ挙句、まあまあと答える。
問いを投げかけた張本人はと言うと、「はじめは誰だってそんなものよ」と笑っていた。




7: E [×]
2026-11-02 12:12:21



ワインを何杯か飲んだ後、「あなた本当に酔わないのね」と、危うげにうつらうつらとした様子でぼんやりした瞳をこちらに向けて母が言う。
……どう見ても母さんが弱すぎるんだよ。まあ、強い自覚も確かにあるけれど。
机にもたれ完全に眠る体制に入った母を見て笑う。

「ほんと、あの人にそっくり」
完全に瞼が落ち切る間際にぽつりとそう呟いて、彼女は静かに寝息をたて始めた。




8: E [×]
2026-11-03 00:02:55



再び父のアルバムを開く。
幼い頃はただひたすらにこればかりを眺めていた。
近隣の見慣れた景色も、遠く離れた地の見知らぬ風景も、何度も何度も見返したせいで今はもう全てが懐かしい。

あるページでふと手をとめた。
一面に星が広がる美しい夜空が目に飛び込んでくる。
僕は昔からこの写真が1番のお気に入りだった。




9: E [×]
2026-11-03 00:09:30



父は僕が生まれてすぐに   らしい。

物心がついた頃、そのことを母に尋ねてみた事がある。
彼女は困ったように微笑んで「あの人は星になったのよ」と言うものだから、幼い僕はその星を見つけるために母の目を盗んで外に出たのを今でも覚えている。

周囲は灯り一つない真っ暗闇だったけれど、その分一面に広がる星空がとても綺麗に見えた。
しばらく探してみたけれど、結局のところどの星が父だったのかはさっぱりわからなかったよ。

そうこうしているうちにいつの間にか家から随分と離れてしまっていたらしく、来た道を戻ろうとしたところで気がついた。
夜は暗い。……当たり前だ。
暗闇に落ちた田舎道がまったく見知らぬものへと変化している。
街灯なんてあるわけもない。
月明かりもほとんど意味を為さなかった。

どうやら道に迷ったらしい。

心細くなって母を呼んでみたところで、返答は返ってこなかった。
がむしゃらに歩いたとて見覚えのある場所に出るわけもなく。
愕然とした僕は、その場でただ立ち尽くすことしかできなかった。




10: E [×]
2026-11-03 00:24:56



声が聞こえた気がして振り返る。
……誰もいない。
恐ろしくなって耳を塞いだけれど、それでも聞こえてきた声は明らかに僕の名を呼んでいた。

もう一度振り返る。
やっぱり誰もいない。
あまりの恐怖に体が震え今にも足元から崩れ落ちそうになる。

――いや、もしかして母が迎えに来たのかもしれない。
混乱と恐怖で藁にもすがる思いだったのだろう。
無理やり自分にそう言い聞かせて、気づけば僕は声のする方へと駆け出していた。

……今思い返せばなんて愚かなことをしたものだと、恐れを通り越して呆れてしまう行動だったよ。

そのまま僕は僕を呼ぶ声を一心不乱に追いかける。
何度か転んで、ズボンは擦り切れ膝から血が滲んでいた。
それでもただひたすらに走り続けて、しばらくするともうひとつの声が聞こえた。
同じように僕の名を呼んでいる。今度は明らかに母の声だった。

いつのまにかあの声は聞こえなくなっていた。

オイルランプの灯りに照らされた母が駆け寄って来て僕を強く抱きしめる。
顔を上げて見た母は、これまで一度も見たことのない表情をしていた。
その時の光景は今でも目に焼き付いて離れない。

もちろんその後こっぴどく叱られたよ。
それ以降、一人で夜外に出ることは無くなった。




11: E [×]
2026-11-03 00:29:27



あの後冷静になって考えた。
こんなの、ただの希望的観測でしかないけれど。
あの声の主が父だったらと今でも思うんだ。
僕の話を聞いた当時の母も、同じような事を言っていた気がする。

でもあの時は本当に恐ろしかったから、もう二度とあんな目に遭うのはごめんだよ。




12: E [×]
2026-11-03 00:36:26



――いつの間にか眠っていたらしい。
シチューのいい匂いで目が覚めた。
……やっぱり僕はまだまだ子供なのかもしれない。

向こうでも作れるように、レシピでも聞いておこうかな。




13: E [×]
2026-11-03 12:08:43



久しぶりに二人で食事を取った後、そろそろ戻らないとと言ったら母は悲しそうな顔をして笑っていた。

彼女は部屋から出て、大量に何かを抱えて戻ってきた。
作りたてのマロングラッセとジャム。
……この前送ってきたものも、まだ全然消費出来ていないのだけど。
困ったように呟いても、有無を言わさぬ笑顔でぐいぐいとそれらを押し付けてくる。
やれやれ、荷物が増えてしまったな。

帰り支度をして、玄関まで出迎えてくれた母を抱きしめる。
どうか元気で。




14: E [×]
2026-11-03 12:18:47



借りているスタジオフラットに戻った後、息つく暇もなく外出の準備をする。
不意にポケットの中に収まっている、薄汚れてシワの寄ったボロボロの紙を引っ張り出した。
  の書かれたその紙はこれまで何度も提出しかけて、その度にためらって、結局今も手元にある。
落として踏んでしまったことも、風に飛ばされ水たまりに落下したこともあって……今では書き込んだ文字すら滲んで読み取れなくなってしまった。
作り直さなければと思うものの、なかなかそれが出来ずにいる。

結局母に相談することはなかった。
かと言って決断ができたわけでもない。
つくづく自分は優柔不断で不器用で愚かな生き物だと、無意識のうちに大きなため息が零れる。
そうやってまた丁寧に折りたたんだその紙をポケットにしまい込み外に出た。

日はすっかりと落ち街灯の明かりが揺らめく街並みの中を進むと、少し肌寒くなり始めた外の空気が頬を撫でる。
今日は何を描こうかとぼんやり考えを巡らせながら、のんびりと目的地へ向かい歩き始めた。




15: E [×]
2026-11-03 12:30:09



行きがけにふと空を見上げると、美しい星空が広がっていた。
未だに父は見つけられないけれど、きっとどこかで見守っていてくれるだろう。


This story ends here. For now, at least.
Thank you for giving me a place in this wonderful world.




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