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冒険者ギルドの日常/877


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719: クレア/ジェラルド [×]
2025-05-16 21:49:22

過去編「この世で最も嫌いな男」

…ん…ここは……

(石畳の冷たい感触に目を覚ますと、そこは薄暗い地下牢のような空間であった。先程まで野暮用で立ち入った離宮で食事を取っていたはず…一先ず状況を確認する為に起き上がろうと身動ぎするも四肢は動かない。目を見やると分厚い縄で堅く拘束されており、自力で解くことは不可能であることを察した。クレアはここでようやく自分が囚われの身であることを理解する。)

やあクレア、よく眠れたかな?

ジェラルド殿下…なぜこのようなことを…

なぜ…か、それは君がよく知っているだろうッ!ドスッ

ぅ…!……

(声のする方向に視線を向けると、そこにはこの国の第一王子ジェラルド・フォン・フィリアの姿があった。万人を魅了する爽やかな見てくれとは裏腹に、この男が底の知れない闇を抱えていることをクレアは知っている。なにせこの男こそが愛おしき主君の命を奪った黒幕であるからだ。開口一番に知らばくれるものの、本当のところは心当たりしかない。横流しされた莫大な数の騎士団の装備品、その行方を追っていたところ行き先は第一王女の嫁いだ国の革命勢力であり、それらの影には第一王子の暗躍があったことをクレアは突き止めていたからだ。糾弾すべく証拠集めに奔走していた最中に食事に薬を盛られ、こうして捕らえられたという訳である。クレアの言葉に腹を立てたジェラルドは声を荒らげて、抵抗する術を持たないクレアの横っ腹に容赦のない蹴りを入れた。クレアは思わず苦痛に顔を歪ませてその場に蹲る。)

隠さずとも君がコソコソと動いていたことは分かっている。ここで消すことも容易いが、私も鬼ではないのでね。お互いの幸せのために取引と行こうじゃないか。

チッ…何を馬鹿なことを。

おいおい、そんなに怖い顔をしないでおくれよ。これでも王子なんだぞ?最低限の敬意を払ってもらいたいものだなぁ。私をこれ以上怒らせては、消されるのは君だけとは限らないよ。例えば可愛い可愛い君の従姉妹とか…ねぇ?

…っ……

(ジェラルドは、未だ苦痛で蹲るクレアの髪を引いて強引に上体を起き上がらせると、爽やかな顔に似合わない下卑た笑みを浮かべて取引を持ち掛けた。それに対して、もはや誤魔化しは通じないと判断したクレアは立場など弁えず、感情を顕にしてジェラルドを睨みつけて悪態をついて見せる。クレアのせめてもの抵抗を面白がるようにジェラルドは口角を釣り上げると、クレアを慕っているアリシアの存在を引き合いに出して脅しをかける。これ以上親しい人間を失いたくなどないクレアは押し黙るほかになかった。)

ようやく立場を理解したようだね。よしよし良い子だ。それで取引の内容だが…簡単なことだよ。この書類にサインをしてくれればいい。

これは…服従の契約書…!?どこでそのような物を…

まあまあ、細かいことは置いておいて。その内容に従ってさえいてくれれば今後一切私は君の親しい人間に危害を加えないと約束しよう。さあ、返事を聞かせておくれ?

くっ…分かり…ました…

(クレアが押し黙ったのを見て上機嫌になったジェラルドは掴んでいた髪を離し、まるで犬を愛でるかのように、再び地べたに這い蹲ることとなったクレアの頭を撫でる。この上ない屈辱に身を震わせながらも、心身共に抵抗の術を奪われたクレアはそれを受け入れた。そうして、されるがまま頭を撫でられていると、目の前に強力な魔力の宿った一枚の紙切れが差し出される。「服従の契約書」、それにサインした者を生涯に渡り縛りつける禁断の魔道具だ。その危険性から王国では所持が禁じられている筈の代物である。目の前の男がなぜそれを所持しているのか疑問を投げ掛けたが飄々とした態度ではぐらかされた。内容に目を向けると「・契約者によるジェラルドに対して危害を加える行為の一切を禁じる。・契約者によるジェラルドに対して不利益となる行為の一切を禁じる。・契約者はジェラルドの危機に際してほかの何よりも優先して馳せ参じ、己が力を振るわなければならない。」などと記載がある。憎きこの男に今後一切の抵抗が出来ない上に窮地には手を差し伸べなければならないことは癪だが、それでも再び大切な人を失うくらいならと、クレアは苦虫を噛み潰したような顔で了承した。)

その…縄を解いていただけますでしょうか…サインが出来ないのですが…

何を言っているんだい?手を使わずとも書けるだろう。なんの為にそこに筆を置いたと思っているんだ?

…っ…まさか…

(万年筆を顔の前に置かれたものの、契約書にサインをしようにも四肢が拘束されているためクレアは筆を持つことが出来ずにいた。キョトンとした表情で拘束を解くよう頼んでみるが、意地の悪い笑みを浮かべたジェラルドからは予想外の返答がくる。要するに口を使って筆を持てと、そう言っているのだ。今さら抵抗の意志などないことは分かっているくせに…と内心で強い不満を抱きながらも、クレアは口で筆を咥えた。芸を躾られている犬のような屈辱的な扱いに目尻に涙を浮かべながら、懸命に自らを縛る契約書へ名前をサインするクレアの滑稽な姿を見て、ジェラルドは小馬鹿にするように口元を抑えて笑いを堪えるような仕草を見せつけた。)

アッハハ、毎日書類仕事に追われているというのに随分と汚い字だ。亡き姉上に見せたいくらいだよ。

っ……、ぅ……

(口で書くことを強制された字を汚いと貶された挙句、目の前の男が手にかけたも同然の亡き主君まで引き合いに出されて馬鹿にされたにも関わらず、クレアは契約書の持つ呪いのような拘束力によってもはやこの男に悪態すらつけない。それはこの男にとっての「不利益」だからである。もう亡き主君の仇討ちすら叶わない…覚悟していたつもりであってもそれを肌で認識したことで抑えていた感情が決壊し、クレアの瞳からは留めどなく涙が溢れた。結局、趣味の悪い様々な仕打ちはジェラルドが飽きるまで続けられ、解放されたのは翌日の明け方であった。この日を境にクレアの心的不調は悪化の一途を辿ることとなる。)

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