TOP >
オリジナルキャラなりきりチャット
自分のトピックを作る
1072:
エルフリーデ [×]
2025-10-26 21:08:11
過去編「美しい世界」
凍てついた風が吹き荒れるグラキエス帝国北辺。
その雪原の外れに、ひとつの貧しい農村があった。
そこに生まれた少女――エルフリーデ・グリムハルトは幼くして飢えと寒さを知り、弱者が踏みつけられるこの国の「掟」を身をもって学んでいた。
ある晩、村が闇に包まれたとき、使いに出ていた彼女は運悪く人攫いの一団に捕まった。
「嫌だ、離してっ!お願い誰か、助けてっ…!」
助けはない。叫んでも誰も振り向かない。
こんな光景は、この国では日常の一幕に過ぎないからだ。
「グヘヘ、上玉じゃねぇか。売れば銀貨十枚はくだらねぇ。」
必死の抵抗も虚しく、数発殴られて大人しくなった彼女は、鎖で繋がれ馬車に押し込まれた。虚ろな瞳には月光が冷たく映る。
同乗した人攫いの下衆な言葉も既に届かない。混濁した意識の中で、ただ積荷と共に揺られていた。
希望なんてない。
力こそが全てのこの国の不条理を呪い、そして受け入れたとき、皮肉にもその「力」こそが彼女の運命を変えた。
道中、馬車が立ち寄った廃墟の教会。
かつて聖教の神を祀っていたその場所は、帝国軍によって焼かれ、黒く炭化した木材と崩れた石壁が残るだけだった。
しかし、そこにはまだ“何か”が潜んでいた。
人攫いたちが焚き火を囲む中、馬車を引き摺り降ろされ、男達の欲望に染まった視線を一身に受けた正にそのとき、エルフリーデは囁きを聞いた。
――「力が欲しいか?」
それは耳ではなく、魂に直接響く声だった。
次の瞬間、焼け焦げた祭壇の奥から黒い霧が溢れ出す。
それは「腐敗の悪魔」――聖教会が祀っていた未知の存在だった。
叫び声とともに人攫いたちは一人、また一人と崩れ落ち、腐り果てた。
血と肉が溶ける匂いが辺りに漂う。
焚き火が消え、静寂と暗闇が支配する中で、少女の瞳だけが青く輝く。
「……あぁ、これが、力。…ふふっ、あははっ!」
返事を待たずして、未知の存在が自分の魂と溶け合ったことを実感する。心臓が高鳴り、言い知れない不快感に自らの身を抱くが、それが治まった時、青黒く禍々しい魔力が全身を覆った。
この力があれば、もう理不尽に怯えることなんてない。これからは私が奪う側に立つんだ。
自信に満ちた彼女の瞳が捉えた世界は、生まれて初めて美しく見えた。
【お勧め】
・初心者さん向けトピック
[0]セイチャットTOP
[1]オリジナルキャラなりきりチャット
[9]最新の状態に更新
お問い合わせフォーム
(C) Mikle