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【ALL版権/版権・完全創作有り/戦闘・探索※第四回】霧と灰の街【本編※ホラー要素有り】/248


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208: 狩人 [×]
2024-08-13 01:28:17

>204 ことも、ALL

【廃屋敷/リビング】

投擲したスローイングナイフはザクリと音を立てて老人(屍人)の脳天に突き刺さり、ノコギリ鉈は女(屍人)の体を裂いて血を撒き散らさせた。双方共に柔い。どうやら頑丈さは獣のそれには遠く及ばず、あくまで人相応らしい。一先ず無力化できたところでこの場を探索しようと一歩を踏み出した矢先、付近で物音がした。咄嗟にその方向へ獣狩りの短銃を向けようとするも、そこにいたのは──
「ことも、か」
──見覚えのある、赤いリボンが特徴的な少女(ことも)だった。その姿を見た瞬間、自分の中の既視感に全ての合点がいった。この廃屋敷に訪れたのも、女を切り裂いた事も、この少女(ことも)と出会った事も、全て自分が一度体験した事なのだ。共に行動していた筈だが、それが如何様にしてはぐれ、その時の記憶も既視感としてある程度薄れてしまったのかは定かではない。しかし今は無事に再開できた事を喜ぶべきだろう。狩人は喜びのジェスチャー──両手を突き上げる動作──を小さめに行っておいた。

記憶によると、この後は膨張した頭部と黒く小さな銃を持った化物(Suicider)が現れる筈だが、聞こえてくるのはドアノブを回す音ばかり。どうやら鍵が掛かっているらしく、侵入できないようだった。基本的には体験した記憶と同じ出来事が起こっているようだが、これといい散弾銃を持っていた老人(屍人)といい所々違う点があるらしく、記憶に頼りきりになるのはあまり良くないかも知れない。記憶はあくまで参考程度に留めておいた方が良いだろうと考え、取り敢えず斃した二人から物品を回収しておくことにした。

女(屍人)の持ち物は血の付いた包丁だが、血錆が付着している為流石に使えなさそうだ。とは言え持たせたままにして置くのは危険なので、後で適当な場所に捨てておこうと懐に仕舞い込んだ。老人(屍人)の方は水平二連の散弾銃であり、これは中々使えそうだ。散弾銃の強力さはかつて教会の地下墓で相対したとある神父と、銃槍──散弾銃に変形する槍の仕掛け武器──を狂ったように発砲してくる聖堂付近にいた男との戦闘で身に染みて理解している。戦力の足しになるだろうと老人から散弾銃を、ついでにその懐から弾薬を回収した。

獣狩りの短銃をベルトに吊るし左手武器を散弾銃に変えた所で、周囲を見回す。未だ霧は薄いが、記憶ではこの後徐々に濃くなっていくらしい。今回もそうなるとは限らないがどうせ行動するなら早めの方がいいだろう。少女(ことも)に向き直り、視線を合わせるべく屈んでから話しかけた。

「ここを調べたい。役に立ちそうな物か、危険があれば知らせて欲しい」


(/神父の手練れである事を匂わせる無駄の無いリロードは良いものですよね。些事ではございますが私は斧を引き摺りながら切り上げるモーションが力強さを感じて好きです)

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