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182:
レアリゼ [×]
2023-11-27 01:04:47
>>181様
「ありがとうございます……。やっぱりエレナさんは優しいですね」
オレンジジュースを手に取る。空気が結露した水滴が手を濡らした。ここまでそれなりの時間が経過している。きっと味も氷が溶けて薄いものになっているのだろう。また一口、しかし今度は今までよりも多めにオレンジジュースを飲んだ。想像通り、水っぽさが主張してくるようになった味が広がった。
ああ何と言う事だろう。良い人に巡り会えたのに、その人は敵になるかもしれない相手なんて。ずっと仲良くしたかったのに、いつか傷つけ合う仲になってしまうなんて。何のせいだ。誰のせいだ。私のせいか。私が救えない人間だからか。
ふと手元を見ると、小さな羽虫が耳障りな羽音を立てて周囲を飛び回り、掌に止まったのが見えた。そうだ、こいつらだ。こいつらのせいだ。こいつらがいつまでもいつまでも私を苦しめているから、私はちゃんと生きていけないんだ。折角仲良くなった人とも傷つけ合う事になるんだ。全部全部全部全部、こいつらが。
掌を思い切り机に叩きつける。バン、という大きな音が周囲に響いた。掌をひっくり返すと、羽虫はただの黒い染みに変わっていた。しかし羽音は止まない。それどころか羽音は徐々に増すばかりで、喫茶店のいい匂いもいつの間にかドブの底のような臭い匂いに変わっていた。ああ嫌だ。この嫌なものを全部消し去ってしまいたい。誰を傷付けよう。誰の悲鳴を上げさせよう。まずは自分の腕でも引っ掻こうかともう片方の手を腕に添えようとして、手が無意識にオレンジジュースのコップに触れた。結露した水滴の冷たさが、意識を正気に引き戻した。勿論喫茶店の匂いは普通だし、煩い羽音も無い。それどころか掌を見ると、黒い染みなんてどこにもなかった。全ては幻覚だった。
しかし大事な事が抜け落ちていた。目の前には今まで会話を重ねてきた女性がいるのだ。いきなり机を叩き出したとなれば、普通はおかしい人に見られるだろう。どうにか誤魔化そうと笑みを浮かべて言い訳した。
「あっ……えと、その、虫が止まってて……」
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