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その血は華となり【途中参加 OK】/104


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40: 栗花落 [×]
2023-03-01 11:13:25

>39 唯織様

彼女の動きをじっと見つめていたが、やはりなんて事はない。
視界がなくても充分に生活できているであろうことが理解できるほどに、彼女の動きはとても自然だった。
互いに和装であることがそうさせるのか、同じ花憑きという特殊な共通点があるからか、どちらにせよ不思議な親近感に、ふわりと心が暖かくなる。
あぁ、仲間はいるのだと改めて実感した。

「牡丹か…随分と綺麗な御花にめぐり逢えたね。君に似合っていて美しいよ」

隣に腰をかけた彼女を眺めていれば、どうしても瞳を覆う御花に目が行く。
同じ花憑きではあるが、自分の御花とは異なる風情があって美しいと思ってしまった。
花札にあしらわれる程に美しく、皆に愛されるその花は、彼女にぴったりの御花だと妙に納得する。
どちらかと言うと、怖がられることが多い曼珠沙華を模った己の御花とは対照的な存在である。

「はは、随分粋な表現をしてくれる。俺は月とは程遠い……いや、ある意味では月みたいなものか。まぁ、満月のように思ってもらえているなら、きっとそうなんだろうさ」

満月の夜のようだなんて、あまりにも綺麗な評価をされたものだから、自分には似合わなすぎると思わず笑いが溢れる。
いや、しかし、大地を静かに照らし続けているその姿は、相手が破滅する様を静観して愉しむ自分に似合いかもしれない。
彼女が満ちていると評価するのであれば、意外にも自分は優しいヒトなのかもしれないとらしくない思考を酒で流す。

「…それはそうとやっぱり冷えてきたね。生憎、酒以外暖めるものがないからねぇ…」

その指じゃ痛いだろうと彼女の悴んだ指先に目を向ける。
とはいえ、暖めるものが何もないのも事実。
かと言って勝手に手に触れるのもよろしくないだろうと、冗談交じりに御手をどうぞなんて自分の手を差し出してみる。

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