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Petunia 〆/760


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自分のトピックを作る
405: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-03-22 21:01:02




──だって、だってぇ…………あんなところ……大好きな人に、見られたく、ないじゃないですか、
ギデオンさんに、嫌われたら……ッ。私、生きていけないもの。

 ( ギデオンの逞しい腕の中、うぅう──と、か細く震える頼りない泣き声が上がる。未だその腕に捉えられる直前、その憮然とした険しい表情を初めて見た際は、内心深く傷ついた癖をして、それを押し殺せているつもりになった、無感動な表情を浮かべていられたというのに。温かな檻に捉えられ、必死にもがいても逃げ出すことも許してもらえぬまま。至近距離でぶつけられた不機嫌な声に、これでもかと溶け込んだ心配を捉えてしまった途端、再び涙が溢れるのを止めることが出来なかった。──ああ、また迷惑をかけちゃう……でも、この人がそうしろって、本当にそう言っただろうか、もう分からない。いまだアルコールも抜けきらぬ、混乱しきった脳は頼りになる物を求めて、相手の分厚い半身に全力で縋り付き、硬い肩に顔を埋めると、冷えきっていた身体がじわじわと温まり出す。そうして肩肘を張っていた力が緩めば、未だ血色悪い唇から漏れ出るのは、我ながら幼稚で耳を塞ぎたくなるような言い訳で。そうして何度もしゃくりあげながら、ひんひんと栗色の頭から全身を震わせ、最後の一言を今にも消え入りそうな囁き声で漏らせば。暫く啜り泣く音をギデオンの肩に吸い込ませてから、彼が介抱に慣れる次第となった存在など知らぬまま、大分遅れて先程相手が落とした言葉に反応して。 )

それに……誰でもって、殿方はそうかも知れませんけど……




406: ギデオン・ノース [×]
2023-03-22 23:32:29




(己の腕の中、ぐしゃぐしゃに崩れはじめたぬくい生きものの咽びを聞いて。仕方なさそうな──だがどこか安心めいた──ため息をついたかと思うと。腕の力を緩めた代わりに、彼女の後頭部にそっと手をやり、彼女の柔らかい栗毛をあやすように撫ではじめ様々な酔っ払いを眺めてきた自分からすれば、ヴィヴィアンの失敗など、こんなに絶望するほどではない、まったく可愛いレベルのそれだ。しかし、酔うと誰しも感情的に取り乱すもの。それがその当時の本人には真剣な問題であるのも、どことなく知っている。ゆえに、ひっくひっくとしゃくりあげるヴィヴィアンが、未だにギデオンに嫌われることを想像してしまって震えようと、それ以上咎めることはなく。代わりにただただ、相手が縋りついている己の胸に深い呼吸を取り込みながら、相手の頭を撫で続け。ほら、こうして胸を貸しててやるから、ここで好きなだけ泣けばいい──と、この態度によって言い聞かせられているだろうか。
そうして、ほんの少し落ち着いたころ。未だ落ち込むヴィヴィアンが、乙女らしい思考回路で尚も言い募るのを聞けば、「ほう?」と愉快気に異論を唱える。「言っておくが、俺はお前よりよっぽど酒癖の悪かった女を知ってるぞ」と。それで相手が顔を上げようものなら、目尻の涙を拭ってやりながら、「おまえの母さんだ」と穏やかに微笑むだろう。──思い返せば、夏の建国祭以来、シェリーについての話は、結局ほとんどしたことがない。最初にギデオンが拒絶した時とは違い、今はもう禁句にしていないつもりだが……それでも思えばどことなく、不自然にならない程度に腫物扱いをしていたのだろう。それはかつて己が秘めていたシェリーへの想いが原因だが、今は不思議と──もう、この話をしても大丈夫だ、という深く静かな確信がある。だから懐かしむように天井を仰ぐと。再び相手を見下し、可笑しそうに目を細めながら。初めて共有する思い出話を、撫で続けながら語りはじめて。)

……俺は14の頃、あの人の弟子になって、身の回りの世話をしたわけだがな。シェリーの酒癖と言ったら、そりゃあもう、とてもお前の比なんかじゃなかったぞ。
酒場で酔っ払った日には、そこらの梁の上によじ登って寝て、夢を見ながら下にゲロを降らせるなんてのが当たり前。せっかく稼いだ難易度Ⅶの報酬を、一晩で全部酒樽に替えたことある。「つまみが欲しい」と言って聞かずに、酒瓶片手に山まで行って、ドラゴン狩りをおっぱじめることも、数えきれないほどあった。それで本当にしとめてくるから、誰も何も言えなくてな。
ああ、それから。そういう風に、なまじ剣の腕だけは絶対落ちないもんだから……本人は酒場で楽しく振り回しただけのつもりが、あわや大惨事になんてことも、珍しくなかったぞ。ロビーの奥の大きな柱、二本くらい木材の色が違うところがあるだろ。あれはシェリーがやらかした痕だ。本人は覚えてなかったが……人には絶対怪我をさせないくせして、ものは器用に壊すんだ。
こういう話はまだあるが、多分、何百枚という始末書を書いたおまえの父さんのほうが詳しい。そのくらいすごい女だったぞ、シェリーは。だからおまえのこれなんて、随分行儀が良い方だ。





407: びびはいご [×]
2023-03-24 01:03:20




──母が?

 ( 不意にギデオンから上がった、場違いに明るく、楽しげな声。思わずつられるようにして顔をあげれば──どきん、と。視界いっぱいに映った、優しい微笑みに見惚れて、かさついた指先の感触に、恥じらいの表情を浮かべるのが一瞬遅れた。その間に母シェリーとの思い出を語り出したギデオンに、零れ落ちんばかりに見張っていた瞳を、おっとりと伏せると、少し恥ずかしそうに俯いて、相手にされるがまま。優しく撫でられている頭を、相手の上半身に委ねる。ビビもまた夏の建国祭以来、相手が触れないものを態々掘り返しこそしないものの、誠実に向き合ってくれる相棒を心の底から信頼しているし、相手の口から出る母の話題も、今や心穏やかに聞くことが出来る。それを証明するかのように身体の力をすっかり抜いて、相手の肩口にあたたかく擦り寄ることで、その信頼を伝えることはできているのだろうか。そうして、大好きな唇から紡がれる偉業の数々に、先程まで泣き濡れていた女はどこへやら。居心地のよい胸の中、時に吹き出し、時にクスクスと口元を抑えながら、再び睡魔に溶かされ始めた瞳で、ギデオンをうっとりと見上げて──気づいてしまった。ずっと、この人だけを見つめて来たのだ。その双眸に浮かぶ、少年のような輝きに、温かな含みのある声の響き甘さに、気づかないはずもなかった。……不思議とショックも、不安も何も湧き上がない。ただ未だ楽しそうに昔話を続けている、在りし日の少年の頬へと手を添えると、慈しむような微笑みをギデオンへ向け )

ギデオンさんは──母が、好きだったんですね。


( / 大変お世話になっております。歓迎会シーン誠にありがとうございました。ギデオン様の糖度についてですが、全く問題ないどころか、毎度予想を飛び越えてくる愛の深さに悶えっぱなしでございます!
以前お話していた、ギデオン様にシェリーへの気持ちを知ってしまうという展開ですが、あまりに楽しげに愛しげにギデオン様が話すものですから、彼女が気づかないわけが無いなと思いまして、以上の形にさせて頂きました。
もし背後様の中で、ビビがギデオン様の初恋を知ることで怒る事件を、何か考えているということであれば、このまま酔っ払いには記憶を飛ばして貰いますので、お申し付けください/蹴り可 )




408: ギデオン・ノース [×]
2023-03-24 13:07:14




………………。


……手の、届かないひとだったよ。

(相手が頬に手を添えてくる仕草には、最早動じる様子さえ見せない。なんだかんだこの一年で、そういった触れ合いにすっかり馴染んでいたからだ。──だが、その後優しく続けられた言葉には。……嫌だとか、警戒だとかではなく、優しく虚を突かれた……というべき静止をあらわにして。相手の慈愛のまなざしに見守られるまま、彼女を撫でていた手をそこに留めたまま。無自覚に甦っていた少年の瞳は、かすかに、ほんのかすかに揺れている。決して気まずくはない長い長い沈黙を下ろしたのち、ようやくぽつりと落とした答えは、ごく迂遠ながら、決して偽らぬ正直なもの。だがその台詞は、ヴィヴィアンの手が己の頬に、己の手はヴィヴィアンの頭に触れながら発しているのを、まだ自覚していないだろう。)

……いつも、めちゃくちゃなことをやるくせして……太陽みたいに明るく笑うもんだから。あのひとを好きにならない人間はいなかった。
……俺も、おまえの父さんも。あのひとの世話を焼くうちに、絆されたようなクチだ。

(そうして再び、習慣めいた手つきで相手の慰撫を再開しつつ。視線は虚空を静穏にさ迷いながら、口にする言葉をゆっくりと手探りしていく。隠し立てをするつもりはないことのあらわれか、ついには自然と、彼女の緑色の目と視線を溶け合わせて。──相手に請われたわけでもないが、何故か自然と、シェリーについてを素直に語るときだと感じている。ヴィヴィアンの記憶にない、たったひとりの母親。己の記憶に今も残る、たったひとりの……初恋の恩師。思えば、彼女が大切な存在であることが、ヴィヴィアンと自分は共通している。いっとき、たったいっときだけれども、シェリーのそばで生きた記憶を持つ者として。相手の母がどれだけ大切に愛された人だったか、分かち合いたかったのだろう。)



(/いつもお世話になっております! そう伺えてほっとしました……
シェリーへの想いに気づくことに関して、今回いただいた形で全く問題ございません。その件をどう処理するか全く考えていなかったのですが、今回のこれがいちばん幸せかつ心の通じ合う形に違いなく、寧ろ感謝し倒しております。それ以外にも、シリアスな「黒い館編」に入る前に、例えば事件だとかシェリーだとか魔力切れだとか、何かしらの大事な話をして絆を深めておきたいな……と思っていた次第ですので、これ以上ない最高のタイミングでの挿入です。ありがとうございます。

こちらからも一転確認を。舞台が「黒い館」に物理的に移る経緯について、主様の中で何かお考えはありますでしょうか? こちらは全く考えておらず、ライブ感でアドリブして楽しむもよし……整合性をしっかり考えてやるのもよし、というくらいでして。後者の場合案出しの必要があればしっかり捻りだしますので、主様のご意向もお聞かせくだされば幸いです。)






409: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-03-26 01:10:40




──はい、

 ( 後頭部に沿わされた硬い温もり。それがピタリと固まって──余計なことを口走っただろうか、その心配は、相手の顔を見上げることですぐに霧散した。ビビの言葉をゆっくりと消化しているらしき男の腕の中、そっと相手に向き直ると、もう片方の手も相手の頬を包むように沿わせて。自分の体温を分け与えるかのように、その少し油分の抜けた滑らかな肌の上、ゆっくりと親指を滑らせる。ぽつり、と。空気を震わせた第一声のそら寒さに、かけられる言葉を持ち合わせていないことがもどかしくて。既に触れていた両手を無意識に、少しでも相手との距離を埋めるかのように、更にその頬へと吸い付かせ。膝立ちだった腰を相手の膝に下ろすと、否応なく高さの揃った視線が絡み合う。常に誰より冷静で、ずっと自分の感情を押し込ている静かなアイスブルー。それをこんな熱烈に染め上げているのが、自分の母親なのだと思うと、少しの嫉妬が湧かないでもないが、それ以上にどうしようもない誇らしさが満面に滲み出てしまう。それは、幼かった娘への気遣いでもあったのか、滅多に母のことを話したがらない父がたまに零した彼女の話。勿論、娘の教育に適さない不健全な箇所は、綺麗さっぱり割愛されていた代物だが、その中でシェリー以外に唯一登場した──彼女が可愛がって止まなかった愛弟子を。思い出話をする時でさえ、どこか自虐的な言い回しの抜けない男を目の前にして。思わず──アンタはアタシにゃ勿体ほど出来がいい、自慢の弟子だわねぇ、と。いつか酔っ払った彼女がそうしたように、(尤も当のシェリーは直後、その状態でリバースした前科があるわけだが)膝立ちになって正面からゆっくりと腕を回し、その背中を擦りながらも痛いほど強く抱きすくめ、はっきり彼女の"自慢"だと口にしたのは単なる偶然に過ぎないはずだ。 )

──……だから。……そんな母が、"自慢する貴方"だから。きっと……こんなに素敵なんですね。


( / 暖かく寛大なお言葉ありがとうございます。あとから読み返して、諸々強引かつ雑だったかなと反省しておりましたので、そう仰っていただけて安心しております……

「黒い舘」に映る経緯としては、こちらもざっくりとアドリブで楽しむイメージでおりました。導入は歓迎会が終わった翌日等に2人でクエストに出かけ、その際に雨宿りやら、怪しい影を追ってやら。何がしかの理由で館に迷い込む感じでしょうか。
かなり漠然としたイメージで申し訳ございません。設定置き場の方の更新もありがとうございます。現状としてはあちら以上の構想はございませんが、何か思いつき次第提案させていただきます。 )




410: ギデオン・ノース [×]
2023-03-26 04:30:34




…………、

(あのひとと同じ瞳が、こちらを見つめて誇らしげに微笑んだ。それだけで既に揺らぐものがあり、ギデオンは思わず言葉を失ったというのに。その隙を突くかの如く、不意にヴィヴィアンがこちらに腕を回しかけてきた、その感触、その強さ、その温もり。そしてギデオンの耳朶を打つ──シェリーにとって、己は自慢の存在なのだと愛おしむ声。もたらされたその数々は、あまりにも奇跡と祝福に満ちていて。淡い月光の差し込むなか、ヴィヴィアンに抱かれるまま一瞬呆然としたギデオンは。大きく瞠っていた青い瞳を、やがてくしゃりと歪めてしまった。
──ヴィヴィアンは、きっと知らないはずだ。13年前、あの事件を引き起こしてしまって以来。事件そのものに対する激しい呵責の念に押し潰されそうになりながら……そして、シェリーの遺したあの言葉にそぐわぬ己を思い、かえって深く苦しみながら。それでももう一度、あのときシェリーが言ったとおりの自分を少しでも取り戻そうと。ギデオンには、あの抱擁の記憶を頼りに、必死に己を奮い立たせてきた過去がある。あの暗く苦しい日々の中、何度も何度も、かつてシェリーに与えられた温もりを密かに握りしめてきたのだ。その記憶がすっかり擦り切れるまで、古びてぼやけてしまうまで。──だから、ちょうど1年前のあのとき。獰猛なワーウルフの群れから、シルクタウン市民たちを見事救ったヴィヴィアンを、帰りの馬車で労ったあのとき。この誇らしい熱が支えになればいい、シェリーが自分に与えてくれたように、自分も与えられればいい……そう祈ったギデオンは。かつてあんなにも大事に握り込んでいた熱を、しかし自ら、思いがけず自然に手放した。受け継いだものを受け継がせる、その流れに己が汲み込まれたことで、ひとつの役目を果たせたような気がしたからだ。それで己の中のシェリーの記憶が遠くなっても、それで良いのだとさえ思えた。その頃にはギデオンもようやく、事件の重みから自力で立ち上がれるようになっていたし。何よりとうに、壮年も過ぎようという枯れた大人になっていたから。──だが、ああ、どうして。もはや四半世紀もの月日が過ぎ去った今になって、どうして。もう二度と得られぬはずのシェリーの熱を、再び力強く与えられる日が来るなどと、どうして想像できるだろう。自分はまだ与えられているのだと……今も尚、シェリーに見守られているのだと、どうして思わずにいられるだろう。
様々な感情に眉根を寄せた目を閉じて、ヴィヴィアンのほうに頭を寄せ。何も答えられぬまま──与えられたものがあまりに大きすぎて、何をどう言えば良いのかわからないのだと伝えるべく──ただただ無言で、彼女の温もりに身を委ねる。……だが、そうしたからこそ、不意に新しく気づくものがあった。自分を抱きしめている相手は、呼吸をしている。脈もとくとくと打っている。──記憶、ではない。今ここにいる存在だ。同じ時間、同じ空間を生きている人間だ。……ならば、ならばそうだ。今の己を抱きしめているのは、娘の体を借りて甦ったシェリーなどでは決してない。もちろん、ヴィヴィアンの瞳も顔立ちも、声や仕草や体温だって、彼女に生き写しだけれども。それはあのひとの血を継いでいるからであって、シェリーの代わりをしているのではない。ギデオンを抱きしめているのは、……今ここにいる、ヴィヴィアンだ。今の己を救っているのは、ヴィヴィアンの愛情だ。とうに死に別れたシェリーをもう一度強く感じられたのも、娘の彼女が、自分を過去に繋ぎ直してくれたからだ。──時を超えたこの幸福は、ヴィヴィアンがくれたものだ。ようやくそう悟ったギデオンは、ふ、と静かに顔をあげると。緩く身をほどき、相手と視線を合わせ。ひどく穏やかに微笑みながら、彼女の頬に武骨な掌を添え返して。)

………………。
……つくづく感じることだが。
俺はたぶん、おまえには一生敵わないだろうな。



(/諸々かしこまりました! 漠然としているのはこちらも同じですので、細部がどう転ぶかわからない感触を一緒にわくわく冒険できればと思っております。設定置き場のあちらも、リマインド程度の者ですので、これまで通りの雑談などもお気兼ねなく。これにて背後はいったん下がりますが、何かあればまたお声がけくださいませ。)





411: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-03-29 21:19:01




 ( 何より心強い言葉から始まって、母の思い出、レースのハンカチ、冒険者としての素晴らしい経験の数々。そして、こんなに人を愛しいと思う気持ちも、ビビの抱える宝物は、いつの間にかギデオンがくれたものばかりだ。その溺れんばかりの幸せの一片だけでも、どうにか相手にお返ししたくて。その瞳にあどけない少年時代を滲ませた相手を──いつも彼がそうしてくれるように──ぎゅうっと優しく抱き締めた。そうして次第にゆっくりと寄せられる頭に、少しでもこの人の心を癒せただろうか、と。穏やかに瞼を伏せ、広い背中を撫ぜながら、温かい満足感に浸っていたのも束の間。ゆっくりと離れていく温もりに、添えられた手の上に己のそれを重ね、名残惜しそうに頬を擦り寄せた瞬間だった。──おまえには"一生"敵わないだろうな。そう、穏やかに微笑んだギデオンが漏らした言葉は、先程やっとビビが返せた分を補ってあまりあるほどの爆発力だった。"一生"……?"一生"傍に居てくださるんですか……?その爆発を真正面から浴びせられ、身体中の血液が沸騰するような感覚に、堪らず目を瞠るも。思わず出かかった疑問をなんとか飲み込んだのは、意味を理解したギデオンに否定されたくなかったから。そうして、ただでさえ酒精に上気していた頬を更に染め、歓喜と困惑に揺れる目元にじわりと涙を滲ませる。そんな、文字通り相手の掌の上で、これ以上分かりやすい表情を見せたにも関わらず、その自信はどこから湧いてくるのやら。自分ではいつも相手に迫る時の強気な笑みを浮かべられているつもりで、真っ赤な顔を心底嬉しそうにくしゃりと歪め、再びギデオンの手に頬擦りをすると、力強くその手を握って。 )

──ッ、…………何が、あっても。
私は一生ギデオンさんの味方なんですから……安心して負けていてください、ね?


( / いつもお世話になっております。大変お待たせしてしまい誠に申し訳ございませんでした。その間設定置き場の方の更新等ありがとうございました。これから始まる黒い舘編本編、こちらも非常に楽しみにしております。よろしくお願い致します。/蹴り可 )




412: ギデオン・ノース [×]
2023-03-30 13:28:59




……そうか、そうだな。

(目を見開いた相手の顔が驚愕に染まり、やがて真っ赤に熱していく様。それは己が無自覚に零した本音のせいだとつゆ知らぬまま、添えた手の親指の腹で、目元の辺りを優しく擦った。その手を握り込まれ、胸いっぱいといった様子のヴィヴィアンに更に言い募られれば、その力強さに苦笑を漏らす。つくづくこの娘は、こんな自分に心から懐いているらしい──そう思ったらまた一段階、音を立てずに箍が外れたのが、表情の変化にあらわれて。繋がれた手をそっと下ろし、代わりに、残る片手をもう一度彼女の頬へ。無言で見つめるアイスブルーは、相手の潤んだ瞳から、やがて唇の辺りへ落ちる。そのまま、半年前同様……けれど、熱に駆られたあの時とは別に、もっと静かで穏やかな心地で。彼女に、顔を寄せようとしたのだ。「──おまえら、わしのシマでなーにをやっとる?」と、呆れ声の邪魔が入らなければ。
さして慌てるということもなく、そちらをただ振り返れば。いったいいつから見ていたのか、燭台に照らされた廊下から入る扉の辺りに、ギルドの魔法医が気難しい顔で立っている。右手に瓶、左手にグラス──二日酔いを防ぐための果実水の用意らしい。「……何故ここが?」と、一応ヴィヴィアンとの至近距離を解きながら尋ねれば、ドクターはやれやれと首を振り。「ビビが吐いた上にいなくなったっちゅーから、世話を焼きに来たんだよ。何かあればここに逃げ込むのをわしゃ知っとる。だがなあ、噂は散々聞いとるが、今乳繰り合うのは違うだろうが。え? 小僧、おまえさんは邪魔だから宴に戻れ。どうせいくら飲んでも変わらんならホセのバカを落としてこい。ビビ、おまえさんはこっちだ。こら、そんな顔をするんじゃない。とにかくちゃんと横になれ、おまえさんが倒れるとわしの仕事が差し障る」と。医務室にずかずか踏み込んだ老人が、病床の辺りで介抱の支度を始めるのを見れば、おかしそうに細めた目でヴィヴィアンのほうを見遣り。「……ドクターがつくなら安心だな。一晩、ここで休ませてもらえ」と、その頭を軽く撫でてから立ち上がって。)





413: びびはいご [×]
2023-04-02 18:36:55



……っ、

 ( ギデオンはヴィヴィアンに対し、一生勝てる気がしないと言うが──絶対に、そんなことない。と思ってしまう。なにせ此方はといえば、相手の甘やかな表情を捉えて、熱い視線を向けられたと自覚した途端、どうしようもなくのぼせ上がって、微かな声さえあげられなくなってしまうというのに。迫る顔にそっと瞼を伏せ、期待に小さく震えながら、訪れるだろうその瞬間を待っていた後。頭上から響いた声にハッと顔を上げ、その声の主を幼い頃から「おじさま」と呼んで慕っていた当人だと認識した瞬間。最早身内に近い関係の相手に見られてしまった、いたたまれなさに、思わず縮こまって両手で顔を覆わずにはいられなかった。そして、その間に離れていく温もりに途轍もない寂しさを感じながらも、魔法医から続け放たれた暴言に「……乳、っ!?」と目を剥いて絶句していると、その合間にあれよあれよと病床が整えられていく有様で。──暫く、同じ現行犯であるはずのギデオンの空気が和らいだ気配に、やっと。魔法の切れかけたゴーレムのような動きで其方を見遣れば、そのいつも通りの穏やかな表情に、微かな落胆を覚えると同時に、確かに安心を覚えて、どうにも複雑そうな、微妙な表情を浮かべて。しかし、大きな手が旋毛を撫でる感覚に、観念したように目を瞑り息を吐くと。立ち上がる寸前のその袖を小さく捉えた瞬間、ギデオンを見送る表情に、一応人前では控えている寂しさと愛しさが滲んだのは、未だ残った酒精のせいだろう。 )

──ギデオンさん!
ありがとう、ございました。




414: ギデオン・ノース [×]
2023-04-03 02:03:11



(去り際に相手が見上げてきたその表情、そして控えめに袖を捕まえてくる感触。それらはきっと、普段抑えている甘えの気持ち……溌溂としたアプローチとはまた違う、本当のヴィヴィアンのありようの発露なのだろう。にも拘わらず礼を欠かさぬ、彼女の相変わらずの折り目正しさに、ふっと顔を和らげると。「おやすみ」と静かに挨拶を落とし、ドクターに目礼してから、医務室をそっと後にした。それを見送ったドクターが盛大にため息をつき、「頼むからわしのいるところで先代にバレんでくれよ……」と可愛い孫娘にぼやいたのは、また別の話だ。)


……なあ、俺だけでも片付けられる問題だから、どうにかならないか。

(──さて、そんな一波乱のあった歓迎会の翌々日、平常運転を取り戻したいつものギルドロビーにて。二日酔いから復活した連中で賑わう吹き抜けのエントランスの先、多くの依頼書が朝一番に剥がされた掲示板の前で、美しく磨かれた焦げ茶の受付カウンターにもたれかかり、同年代の事務員の女に頼み込んでいるのは、先日の平和なひと時から一転──少々差し迫った事情に、頭を悩ませているためで。
今朝出動するはずだったクエストが、参加者の謹慎処分で突然滞ってしまった。そして更に困ったことに、その代打を手配する見通しが全くもって立たないのだ。夕方には今出かけた連中が帰ってくるだろうから、そこからメンバーを募ることもできようが、それでは自分の都合に間に合わない。……明日の昼には大切な“私用”のためキングストンを発ちたいのだ、そのためには今日のクエストを余裕を持ってクローズしたい。だから数時間後の夕刻を待たず、本当は今すぐにでも出発したいところなのだが。処分の連絡が遅かったせいで、今回のクエストに適切な若い冒険者たちが、既に軒並み出払ってしまっている。ロビーを見渡してみても、いるのはせいぜい、今春入った最低ランクの新人ばかり……彼らではまだ使い物にならないだろう。だから欠員補充を待たずに、ソロでこの仕事を引き受けるべく。「魔獣討伐のような危険な仕事じゃない。今回のこの条件なら、インシデント要件に全く抵触しないだろ」と、馴染みの相手に打診しているのだが。対するマリアは、けんもほろろ。「お生憎、12条Eがあるでしょう。“特殊ランカーは、低ランカーのクエストを独占してはならない”──制度は制度よ、許可できないわ」と、しっかり突っぱねてくる有り様で。「若い子を連れていくなら研修目的の言い訳が立つじゃない。誰かひとりでも捕まえてきたら?」と淡白に申請書類を差し戻す彼女に、渋々カウンターを離れると、眉間に皺を刻みながら書類を見つめて。)




415: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-04-04 15:26:58




こんにちは。ギデオンさん、お困りごとですか?

 ( 清々しい春の陽気に満ちたギルドロビーは今日も今日とて騒がしい。気のいい冒険者たちがそこかしこで、次の仕事、喧嘩、今晩の酒、それから贔屓の店の女の話等に興じているし。掲示板前では、仕事を取り合う2パーティの睨み合いを始めたらしいその隣で。この場の誰よりか細く小柄な看板娘に叱られ、その巨体を可哀想なほど縮みあがらせているのは、今日の成果らしき醜悪なグールの首でカウンターを汚した重戦士だ。
──ビビはといえば。昨晩終えた仕事の片付けを終えて、ギルドに帰着した途端。見知った広い背中を目敏く見留め、ぱあっと顔を綻ばせると、難しい顔でカウンターを離れた相棒に、颯爽と駆け寄って。その際、軽やかにはためいて周囲の視線を拐った白いローブは、以前職人街でギデオンに紹介して貰った青年たちが作ったもの。魔獣の糸を縫い込んだ白いローブは、非常に軽く強靭で、そこら辺の魔物の爪では切り裂けない。触れると魔力を吸引するという特性ゆえ、取扱が困難を極めるアラクネの魔糸も、その程度ビビの魔力にかかれば誤差の範囲だ。オーダーメイドではなく、既存のローブから誂えることで価格を抑えたそれの他、聖誕祭直前のクローズドクエストで得た報酬で奮発したドラゴン革の篭手もやっと馴染んで、春風のように上機嫌に駆け抜けたヴィヴィアンに、白い羽根さえ舞って見えた──と。実際に、繁殖期で更に凶暴になったコカトリスを掃討したのが昨晩で、その羽根を毟って後片付けをしたのが今朝なのだからさもありなん。とうとう幻覚まで、と憐れまれた剣士の目に狂いはなかったのである。……という余談はともかく、渋い顔で書類を見つめる相手の隙をつこうと、寸前まで息を潜め、悪戯っぽく飛びつけば、えへ、と笑ってすかさずその腕に絡みつこうとする強かさは今年度も健在で。 )

若手ですっごーく優秀なヒーラーが、今暇みたいなんですけどお役にたちそうです?




416: ギデオン・ノース [×]
2023-04-04 16:44:35




っ、おまえは本当に、相変わ──らず……

(ギデオンは平時から、周囲の面倒を見る一方で、それとなく距離を保つほうだ。ましてや今春に限っては、どこからか漏れ出た暗い噂の悪影響で、さらに近寄りがたい戦士だと思われている。そんな自分に無邪気に飛びつく物好きな娘など、相棒たる “彼女”を置いて他にいないと知っていたから。少し驚いた顔をしてそちらを見たものの、すぐにやれやれと、相手との気安い関係を窺わせる表情を浮かべ──たかと思えば、はっと目を見開いて。相手とちらっと視線を交わすなり、一旦カウンターの方を肩越しに振り返る。マリアは席を外したらしく、必死で掃除する重戦士を冷ややかに監視するエリザベスが控えているのみ。あの娘なら、かすかに……多少……まあまあな氷の視線を己に寄越すかもしれないが、小言を言わずに受理してくれるなら御の字だろう。もう一度ヴィヴィアンの方に向き直ると、己の腕に抱きつく状態を許すまま(周囲の野郎どもがそれはもう恨めし気だが、それには全く気づいていない)、手元の書類を相手の眼前に傾ける。「悪いが、“すっごく優秀なヒーラー”を連れて行くほど難易度のある仕事じゃないんだ。本当なら二年目の下っ端たちを連れて行って、現地で指導するはずだったんだが……ほら、今大事になってるだろう」と事情を説明する声音も表情も、如何にもほとほと困っているというようなもの。が、僅かに上げた片眉の下、相手を見返す薄青い目には、この一年間共闘して相手の優秀さを熟知しているからこその、悪戯っぽい皮肉や誘いの気配が浮かんでいて。)

……設定上は研修用のクエストだから、奴らの代わりになるような、“指導が必要な低ランカー”を探してる。
そいつなら、今日一日空いてそうか?




417: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-04-05 12:27:13




……! あーー!! なんか今唐突にメラメラと反抗心が燃え滾ってきました!
これは依頼中に上官の支持無視して、独断で暴走行為に走っちゃうかもなぁー。これって指導案件ですよねぇ……ギデオンさんもそう思いません?

 ( これが恋愛になると大迷走する癖に、平時に互いの表情を読み取ることにおいて、互いより優れている存在などいないに等しい……まあ、その後の演技力が伴うとまでは言っていないのだが。話が付き次第、すぐさま監視が一段落ついたらしい親友に頼み込み、暫く癒えない心の傷と引き換えに受諾許可を得れば、(指導についての事情を説明した際、ぼそりと。「おめらのプレイさ人様ば巻ぎ込むな……」と響いた地を這う様な声は幻聴だったと信じたい。) 四半刻もせずに東広場初の馬車に乗り込めただろう。そうしてもう一度、お馴染みとなりつつある馬車に揺られながら、先程差し出された書類を読み込むこと暫く。どうやら、今回の依頼の内容は単純な魔物討伐らしい。討伐対象は幼体のフェンリル。以前二人が対峙したワーウルフよりも危険度も討伐難易度も低く、地域も森林地帯と一般人を巻き込む恐れが少ないと、なるほど。確かに研修にはぴったりのクエストだ。ギデオンが引率に選ばれるのも、一応成体が出てきた際の保険といったところで、依頼書通りの内容であれば二年目の冒険者達でも十分片が付くだろう。ここまで把握したところで気になるのは、向かいに座る相手がギルドで見せたあの態度。確かに山菜や狩猟は大切な生活の糧で、できるだけ早く解決した方がいい依頼であることに違いはない。しかし、数時間も待てばビビでなくとも、正当に依頼要件を満たした冒険者たちがすぐに捕まっただろうに、あの時のギデオンは何処か焦っているようにさえ見えたが……そういえば、この依頼の直後から暫く、普段何を言っても休みを取りたがらない相手が連続で休暇をとっていたような……。書類末尾の免責事項の欄までしっかりと目を通してから、おもむろに顔をあげれば、丁寧に書類を巻き直しながら気軽な調子で首を傾げて。 )

そういえばギデオンさん、休暇はなにかご予定あるんですか?




418: ギデオン・ノース [×]
2023-04-05 14:56:59



(思わせぶりなオーバーリアクションで話を合わせてくる相手、その後ろにぶんぶんと元気いっぱい振りたくる尻尾が見えたのは気のせいだろうか。内心笑いを噛み殺しながら申請に同席したギデオンはしかし、エリザベスのご尤も(かつ、いやに的確)な呪詛を聞くなり、ヴィヴィアンとふたり揃って、居た堪れぬ遠い目を虚空に投げかける羽目となった。──とにかく、そうして馬車に乗り込み、依頼の指定場所に向かう道中。相手から寄せられた何気ない問いかけに、ああ、と軽く顔を上げたまでは、別段いつもどおりのギデオンに違いなかったろう。が、「……ちょっとした旅行だ。行くところがあってな」と、続く言葉は妙に鈍く。視線も相手とは合わせずに、ぼんやりと前方をさ迷う。……例のことは、相手に話したくない、というわけではない。寧ろ、未だに打ち明けられていなかったこの現状に、心のどこかでずっと気が咎め続けていたほどだ。だから今、こうしてきっかけを得たままに、ギデオン自身から軽くわけを話しておこう、と望んではいるのだが……如何せん重い話題なだけに、言葉選びが難しい。故に、馬車を曳く馬の蹄が、カポカポと場違いなほど軽快なリズムを刻むなか、数十秒ほど思案に暮れてから、ようやく重い口を開き。できるだけ普段通りの声音を心がけながら、今度は緩く目を合わせて問いかけ。)

──最近、俺の噂が出回っているだろう。おまえは……どのくらい知ってる。




419: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-04-06 01:18:08




……ああ、それじゃあ遅れたら大変ですね。
旅行と言えば───、

 ( 石畳が剥がれてでもいたのだろう──ガクン、と大きく視界が揺れる。目の前の相手がどれだけ平穏を装おうと、拭いされない違和感が、いやに心臓をざわつかせて。これまで何度しつこく迫っても、頑なに自ら休みをとらなかったこの人がそうしている時点で、余程のことだと気が付いても良かったはずなのに。そう平素から物静かな方ではあるが、決して口下手では無い相手の歯切れ悪い様子を目にした途端、己の迂闊さに目眩さえ覚えると。重苦しい沈黙を吹き飛ばそうと浮かべた笑顔が、緩く合わされた真剣な色に消え失せていく。──嗚呼、嫌だ。優しいこの人にこんな顔をさせるこの世の全てが、嫌いで、憎くて、心底悍ましい。差し向けられた質問に、聞くだに馬鹿らしく、腹の底が煮えくり返るような謗りの数々を思い出し、膝上の拳をきつく握り締めると。落ち着かせるように大きく息を吐いて、怒りに染まった顔を上げた。そうして意見も何も含まない、相手の質問へただ静かに事実を並べるその際に、貴方が態とそんなことをするわけが無いと。私は信じているからと口にしなかったのは、そんなことはあまりに分かりきった至極当然、口にするのも馬鹿馬鹿しい戯言だからだ。 )

──…………、功を急いだ独断専行で、複数名の子供の被害者を出したその上、立場を利用し証拠を隠滅したと。




420: ギデオン・ノース [×]
2023-04-06 15:15:58



……ああ。そいつは実際、ほとんど正しい。
事実の見方を少し変えただけだからな。

(硬質な言い回しで纏められる、想定内の噂の内容。しかしこちらを見つめる相手がかんばせに浮かべた怒りは、それを犯したというギデオンではなく、寧ろ噂の出処そのもののほうへ、まっすぐ向けられているのだろう。ギデオンがそんなことをするわけない、何かしら事情があったのだろう、と心から信じているから。ヴィヴィアンはそういう娘だ──それに、救われる自分もいるのだ。だからこそ、どこか力なく苦笑して、彼女の情報をあっさり肯定してしまう。馬車の走行音が石畳から畦道のそれに変わったのに気が付けば、自然にその目を車窓に向けた。流れていく郊外の風景は、春の新緑と可愛らしい花々に満ち溢れ、どこまでものどかで平和だ。)

幾つか違うのは……そうだな。
自分の名誉のために気が逸ったわけじゃない。あの時選択肢を間違えたのは確かだが、“俺たち”なりに……子どもを一刻も早く助けたい、その一心で動いてた。
それから、事件の情報が伏せられたのは、俺ではなく……当時のカレトヴルッフを守るためでな。それでも、確かに隠そうとしたことには違いないから、俺も上も、今回の噂を上手く回収できずにいるわけだ。

(その、遠くを見るまなざしのまま、暖かな春風に前髪を擽られながら。淡々としているようで、遠い過去に思いを馳せるかのように目を細めつつ、話の細部を訂正していく。──やはりこの問題は、詳しく言うのは難しい。少なくとも、客観的な事実を語るなど、事件の当事者であるギデオンの口からは無理だろう。ならば今は、自分が言える範囲での情報を共有するのが、相手への誠意に違いない。再び車内に目を戻し、ヴィヴィアンの瞳をまっすぐ静かに見つめると。春の陽射しによく似合う、酷く穏やかな微笑みを浮かべて。)

最後の訂正として、子どもたちは……死んではいない。事件当時からずっと、病院で眠ってる。その見舞いに行くのが、毎年この季節なんだ。
どうしても遅れたくなかったから……お前がこの仕事に付き合ってくれて、本当に感謝してる。




421: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-04-07 15:53:28




( / 毎度お世話になっております。黒い館編本編導入ありがとうございました。未だ尚過去の罪に苛まれている傷の深さと、それはそれとしてビビの存在に癒されてもいる複雑な感情の対比に、ギデオン様の人としての深みといいますか……完全には語られていないギデオン・ノースという人間の厚みを感じさせる文章に、何度も何度も読み直しては感動の溜息を漏らす毎日です。今回はご相談したいことがございまして、進行の途中ではございますが背後のみ失礼いたします。

以前、ギデオン様の過去とその克服についてお話しした際に、過去に苛まれるギデオン様が「貴方は何も悪くない』といった趣旨のビビの言葉に救われる。というご提案をいただきましたが、その後、13年前同様に自分の身を犠牲にしようとした相棒を、今度こそ自らの手で救い出せた経験が、ギデオン様の救いになる、というお話になったと認識しております。そこでもし、当初の案も実行したいということであれば、ぜひ館内の見せ場の一つとして採用する所存ですが、そうでなければ。
個人的にビビは、その手の言葉を常日頃から、思うと同時に即言葉でまっすぐぶつけてくる娘の様な気がしておりまして。建国際編、おまじない編を経過し、過去に冒してしまった罪のせいで、自分の幸せから目を逸らし続けているギデオン様に対して、その過去の詳細を知らない今までは黙っていたビビですが、事情を聞いた今であれば、綺麗ごとだということは認識した上で、正面からギデオン様の罪を否定してもおかしくないのかな、と。

今回のロルをお返しするにあたり、おそらくご想定の時期ではないタイミングに、勝手に以前話題に出ていた描写をしてよい物かとご相談に伺った次第です。そもそもその描写のためにご用意いただいたシーンでしたら誠に申し訳ございません。いつも本当にありがとうございます。お手数ですが、ご確認をお願い致します。 )





422: ギデオン・ノース [×]
2023-04-07 18:34:05



(/こちらこそいつもお世話になっております! ビビの愛らしさ力強さ、それを描く主様の筆力に、こちらもすっかり虜にされている日々です。(以前書きそびれたのですが、バカップルなふたりに付き合わされたリズの恨み節には声をあげて笑っておりました。そうなんだけども……そうなんだけども……!)


・ビビの「あなたは悪くない」という言葉に救われる(当初の案)
・13年前の事件と同じ状況で、今度こそ相手を救えたことに救われる(後発の案)

以上を元々の構想に含んでいる前提で、「館に向かう前の現段階で、前者のフラグを回収してしまっても良いか?」というお話ですね。
簡潔な答えとして、全く問題ありません、是非ともお願いいたします。主様のビビ解釈に背後も完全同意ですし、寧ろ今ここでビビ自身の考えを明言しないのはきっと彼女らしくないだろうなと。
ですので、主様の思うままにしていただいて大丈夫です。

今回のこと、ギデオンが思った以上にビビに救われ、心を開いていることで早まった話だと思っております。
お気遣いいただいてすみません、丁寧にご確認くださりありがとうございます……!


それに絡めてこちらからも確認を。
ギデオンも大人ですので、ビビの力強い肯定に、今この場では素直に感謝を述べるだろうなと思っております(先述のとおり、実際彼女にかなり救われていることも有りますし)。
しかし、『黒い館』で過去のトラウマシーンや幻覚を突き付けられることで、ギデオンの抱える罪の意識は自覚以上に根深かったことが判明する、というのもありかなと思っておりまして。
「ビビの赦しは届いているし、ギデオンもそれを受け取れるようにはなっていたけれども、いざ問題に直面すると、ビビに出会う以前の心を病んでいたギデオンが戻ってきてしまうのに抗えない」というような感じですね。
ここから実際の行動(ビビの救出の実現、ヘレナの浄化による子どもたちの解呪)を通して問題を本当に乗り越えられたということにすれば、それまでのギデオンとビビ各々の明暗の想いの強さの演出になりますし、その後のハッピーエンドがより力強く感慨深いものになるかなと。

しかしこの辺り、くどかったりシリアスすぎたりもするかなとも悩んでおりまして。主様的にいかがでしょう、ここをよりこうしたら楽しめそう! などありますでしょうか……?)




423: ヴィヴィアン・パチオ [×]
2023-04-08 01:58:51




…………。

 ( いっそ予想通り──と、言うべきか。相棒から返って来たのは、心底望まぬ肯定で。当時を知らぬ自分には何も言えぬと分かっていても、その全てを諦めた様な物言いに、思わず立ち上がろうとした膝をぐっと堪える。瞳を車窓に向けた相手の顔には、温かな春の日差しが柔らかく降り注ぎ、透き通った前髪をキラキラと揺らす春風も暖かだと言うのに。無機質な幌の日陰にいる自分より、よほど満身創痍の相手に下唇を噛むと、無言で話の続きを待つ体も、あまり長続きはしなかった。 )

──……そんな、ギデオンさん。何も悪く、……っないじゃないですか!

 ( 先程の肯定を受け止めた時点で、ビビとて軽くは無い覚悟を決めていたのだ。今は大人で優しくて、誰より尊敬できる相手から、受け入れ難い過ちを、許し難い罪の告白を聞いて、己はどうするべきなのか。──きっともう、何を聞いたところでギデオンを疎むことなど出来もしないのに。許されざるこの人を、人として受け入れることが果たして善なのか……鬱々とした思いでその続きを待っていたというのに、実際に話を聞いてみればどうだ。十数年前のその当時、このトランフォード、及びカレトヴルッフが、どれだけ危うい立場にいて、この幸せな小康状態が どれだけの努力と幸運の内に守られたのか。少しでもギルドの運営について調べたのなら、誰だって分かっていることだ。確かに起きてしまった事件は悲惨極まりなく、十年以上も病院で眠り続ける子供の状態など、想像するだに痛ましい。しかし、相棒の口から語られたのは──危機に瀕している子供達を救うために最善を尽くし、国とそこに住む人々を救うために、己が一人汚名を被ることを選んだ紛れもない事実。誇りこそすれ、後ろめたいことなど何一つない過去に対して、どうしてこの人がこんなに苦しまなければならないのか。──それと同時に、結局的に子供達を苦しめていること。もっと尽くせる手段があったのではないかという苦悩など、簡単に割り切れない現実をよく分かっている。だから。これは力なく笑う相手を目の前にしたビビのエゴだ。怒りと深い悲しみの入り交じった表情を浮かべると、次の瞬間、気がつけば力強く相手を抱き締めずにはいられなかった。 )

感謝なんて……私なんかじゃなくて……ギデオンさんがされるべきでしょう!?
戦争が怒らなくて……沢山の人を救ったのも……その子たちが生きて帰って来れたのも、全部ッ……ギデオンさんなんですから……


( / 毎度温かいお褒めのお言葉ありがとうございます。リズについては結構際どいことを言っておりましたので、笑っていただけたと聞いて非常に安心致しました。速やかなお返事も非常にありがたいです。

相談内容についてのご認識は其方で完璧にあっております! 分かり辛くて申し訳ございませんでした。
お返事を受け、以上の形にまとめましたが、返信がし辛いなどございましたらご指摘お願い致します。

ギデオン様のトラウマの深度も、其方で全く問題ございません。
寧ろ、その誠実さ故に長年苦しみ続けてきた問題が、ビビの一言で解決させる方が難しいと思いますので、背後様ご提案の形で楽しめれば幸いです!
毎度素敵なご提案ありがとうございます。HPの性癖ページも心から同意できることばかりで、とても楽しませて頂きました。何より、サブトピックを作った際に、いつかこういうお話も出来ればと、密かに願っていたことが実現し興奮が止まりませんでした!
そちらへのお返事とともに、こちらでも見つけ次第性癖を共有させていただきますので、今後ともよろしくお願いします。/ 蹴り可 )




424: ギデオン・ノースc [×]
2023-04-08 13:12:12



…………、

(飛びついてきた相手の、強く強く強い抱擁。そこから伝わる愛情深い温もりは、一瞬唖然としたギデオンにも確かに届き、その青い目を仕方なさそうに和ませた。じわりと滲む感謝の念のまま、大きな掌を相手の背に添えると、憤慨する相手を宥めるように撫でさすり。「……そこまで知ってたのか。でも、そんな大層なもんじゃないぞ」と小さく笑ったのは、彼女の言った戦争の話のことだ。実際あれは、何もギデオンひとりの影響で回避できたというわけではない。そもそも開戦のシナリオは、あくまでも「その危険性が高かった」というだけで、確定した事実ではなかった。そして、十数年前のカレトヴルッフが国防のポストを勝ち取れたことだって、他の無数の、多くの冒険者の戦いの上に成り立っている。──だからこそ、ギデオンひとりの動きなど、矮小化されるはずだというのに。こちらを飽きもせず見つめ続ける娘は、こうして言葉にして、見つけだしてくれるのだ……それがどれほどありがたいことか。つくづく、本気で愛されているのだと、自覚せずにはいられなくて。)

数年前までは、確かに時々参りはしていたさ。だが今はもう、そんなこともなくなってる。
……いや、本当だ。周りの人間に恵まれたからな。レオンツィオに、スヴェトラーナに……それからもちろん、お前に。
俺は随分、幸運な方だよ。

(途中、腕を緩めて相手と顔を見合わせ、視線を絡めながら語る。──そう、この時点では間違いなく本音だった。辛い時期はもう乗り超えたというのも、相手が心のよすがになっているというのも。今まで散々、ギデオンの心をいとも容易く読みぬいてきた彼女相手に、下手な誤魔化しが効くわけもない。だからこのとき話せる限りの本心で、相棒を落ち着かせたかった。何せ、もうすぐ依頼の現場だ。道も悪くなるし、揺れる車内でこのままにしていたら少々危ない。そう考えて、向かいの席に戻るよう促し。)

……旅から帰ってきたときに、少し気分が落ち込んでいたら。そのときは、どこかで一杯付き合ってくれ。俺にはそれで充分だ。



(/諸々ご丁寧にお返事くださり、ありがとうございました。それではこの方向でよろしくお願いいたします!
例のページも楽しんでいただけて何よりです。自分もああいう話をずっとしたいなと思っていたので、まとめに踏み切って良かった……! と?み締めております。
他の様々な意見交換や推し語り、更新なども楽しみにしています。そして何より、これから始まる黒い館編、改めてよろしくお願いいたします。)




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