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1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
1016:
ギデオン・ノース [×]
2026-08-10 16:50:35
(先ほどまで働いていた淫らな蛮行の余韻か何かを、すぐかき消さぬように──だろうか。唇を薄く開きはしたまま、しばらくの間ものも言わずに、真っ赤に染まったかんばせをただぼんやりと見つめ返して。ようやく口を利くかと思えば、「……悪い。念には念を、と……」だなんて、心にもない屁理屈を、よくもまあ白々しい。そりゃあ当然、怒れるヒーラー娘から栗毛の鉄槌を下されるのも、当然の報いというもの──なの、だが。
「っ、悪かった。悪かったから……」と吐息混じりに笑う辺りが、この男、なんだか妙だ。それはもちろん、あの時よりもいくらか厚い皮鎧を着ているのだから、相手の頑丈な頭突きを受けても多少は平気なのだろうが。それにしたって、性懲りもなく栗毛を撫でて相手を宥めようとする、その不届きな手つきやら。目尻に皴を寄せながら相手を見下ろすまなざしの、どこか遠い気配やら。──極めつけに、後ろに片手を突く形でヒーラー娘を受け止めたまま、不意にもう片方の手を、相手の前髪の辺りにやって。乱れたそれを掻き分けながら。ぐ……、と固い腹を屈め、その耳元に口を寄せ、何を囁くものかと思えば。)
……。
“家に帰ってから”……なら、 ……いいのか。
(──低く、低く、しっとりと。相手の耳朶を音だけで湿らせようとするかのような、欲の滲んだその声は、しかしこれまでの閨で鳴らした、悪戯に揶揄うそれとは違った。その音、呼吸。少しだけ顔を戻して、間近に相手を見つめる薄青。或いはきっと、鎧越しでももしかしたら伝わるだろう体温で。自ら飛び込んできた威勢のよい娘のことを、容易く己の懐に閉じ込め。今更逃がさないとばかりに、いっそ静謐にすら見えるひた向きな視線を以て、真正面から問いかける。
──これまでだってされてるだとか、止めたってするのにだとか、そんな逃げは認めない。ただ、おまえの、許しが欲しい。そしてそれは、何も今しがた働いた“口づけ”のことだけではない。もっと先……もっと奥に、欲しいものがあるのだと。腹の底でぐつぐつと甦りだした飢餓の熱を、ただ相手の目を見つめるだけでも伝えられるだろうなんて信じてしまえるくらいには、相手と仲を深めたつもりだ。)
1018:
ギデオン・ノース [×]
2026-08-12 10:41:14
(先ほどまで働いていた淫らな蛮行の余韻か何かを、すぐかき消さぬように──だろうか。唇を薄く開きはしたまま、しばらくの間ものも言わずに、真っ赤に染まったかんばせをただぼんやりと見つめ返して。ようやく口を利くかと思えば、「……悪い。念には念を、と……」だなんて、心にもない屁理屈を、よくもまあ白々しい。怒れるヒーラー娘から栗毛の鉄槌を下されるのも、そりゃあ当然というもの──なのだが。
「っ、悪かった。悪かったから……」と吐息混じりに笑う辺りが、この男、なんだか妙だ。それはもちろん、あの時よりもいくらか厚い皮鎧を着ているのだから、相手の頑丈な頭突きを受けても多少は平気なのだろうが。それにしたって、性懲りもなく栗毛を撫でて相手を宥めようとする、その不届きな手つきやら。目尻に皴を寄せながら相手を見下ろすまなざしの、どこか遠い気配やら。──極めつけに、後ろに片手を突く形でヒーラー娘を受け止めたまま、不意にもう片方の手を、相手の前髪の辺りにやって。乱れたそれを掻き分けながら。ぐ……、と固い腹を屈め、その耳元に口を寄せ、何を囁くものかと思えば。)
……。
“家に帰ってから”……なら、 ……いいのか。
(──低く、低く、しっとりと。相手の耳朶を音だけで湿らせようとするかのような、欲の滲んだその声は、しかしこれまでの閨で鳴らした、悪戯に揶揄うそれとは違った。その音、呼吸。少しだけ顔を戻して、間近に相手を見つめる薄青。或いはきっと、鎧越しでももしかしたら伝わるだろう体温で。自ら飛び込んできた威勢のよい娘のことを、容易く己の懐に閉じ込め。今更逃がさないとばかりに、いっそ静謐にすら見えるひた向きな視線を以て、真正面から問いかける。
──これまでだってされてるだとか、止めたってするのにだとか、そんな逃げは認めない。ただ、おまえの、許しが欲しい。そしてそれは、何も今しがた働いた“口づけ”のことだけではない。もっと先……もっと奥に、欲しいものがあるのだと。腹の底でぐつぐつと甦りだした飢餓の熱を、ただ相手の目を見つめるだけでも伝えられるだろうなんて信じてしまえるくらいには、相手と仲を深めたつもりだ。)
1019:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-08-15 11:18:56
………? ……、…………。
( 一体、何がこうもギデオンのスイッチに触れたのだろう。扉が開いたなら、こんな部屋すぐにでも出ていってしまいたいにも関わらず、反省どころか、強情な様子の婚約者に、珍しく眉間に皺を寄せて、まじまじとその美しい顔を見上げれば。しかし、情熱的な視線に悪い気もしないあたりが、割れ鍋に綴じ蓋。とはいえ、こんなにも腹立たしいのは──、 )
じゃあ帰ったら結婚して、今すぐ。
( 自分ばかりが、相手のことを好きなのだと勘違いしているようなその顔だ。一体、誰が先に好きになって、誰のおかげで今この関係になれたと思っているのだろう。自分のことを追う側だと、捕食者側だと勘違いして、自らが狩られた側だと云うことは、すっかり忘れた呑気な顔の年上男にわからせてやりたくなって。後ろ手に体重を預けている恋人の腰の両横に手をつくと。その割れた腹にのしりと馬乗りになるまま、その顔の高さが同じになるくらいまで、更には上から覗き込める程、相手の上半身を倒させれば。これが普段であれば、甘いキスを降らせる間合いでしかし、ぴたりと寸前で止まると、その薄青が此方を見ていることを確認してから、にっこりと満面の笑みを綻ばせて。 )
──知ってますよ、無理なんでしょう?
( これが非常に理不尽な我儘だと云うことは、ビビもまたよく分かっている。他でもないギデオンが、建国祭の帰り道説明してくれた通り。教会や父との関係を考えれば、まだまだ準備しないといけないことは盛り沢山で、寧ろその事情の出元を考えれば、待たせているのは此方側と言っても差し支えないにも関わらず。──なんだか、とっても、ビビの気分を害するのは、様々な課題を前にしたここ最近のギデオンが、どこか楽しげにさえ見えることだ。
それが、ただの肩書きひとつがもどかしくて、些細な障害が煩わしくて堪らないほど、父との関係などどうでもいいほど、相手のことが好きなのは自分だけなのだと言われているようで気に食わず。じっとギデオンを観察しながら、態とらしく大きなため息を漏らすと。おもむろに相手の大きな左手をとり、分厚い篭手の上から、その薬指の先をがぶりと一噛み。そのまま、ツンと顔を逸らしながら立ち上がろうとして。 )
──……でも、いいですよ。
ギデオンさんが全部くださらなくても、私は全部、ギデオンさんのものですもの。
1020:
ギデオン・ノース [×]
2026-08-16 17:49:26
(狙った女をものにするのは、かつては容易いことだった。相手と目を合わせて話し、示せる限りの誠意を覗かせ、距離を縮めたら深く見つめて……あとはただ熱を込めながら、「部屋に来ないか」と囁けばいい。ほとんどの女なら、それだけで後の一夜を快く過ごしてくれたし、少し守りの固い女も、単純接触を重ねるうちに緩んでいく様子を見極め、相手に合わせた方法で慎重に口説きにかかれば、最後に必ず応えてくれた。自分のような男にとって、異性の説得とはそういうことだ──結局、その程度の浅い狩りしかしてこなかったというわけだ。
故に愚かなギデオンは今、あっさり押し倒されている。己より遥かに軽く、筋力で圧倒的に勝るはずの娘相手に。笑顔、ため息、そして甘噛み……繰り出される手練手管に大混乱のギデオンは、きっと傍目には面白いほど愕然としていただろう。先ほどまで帯びていた余計極まりない熱も、すっかりダンジョンのどこかへ散らされ、その顔色が少しばかり青白くなっているほどで。
──ついには、離れて行こうとするその仕草に、思わずほとんど反射的に手を伸ばし、ぐいとその懐に引き戻してしまうのだから。まだ頭が真っ白なままのくせして、相手を抱き込む腕を緩めず、寧ろきつくきつく縛って行かせようとはしないのだから。まんまと“ものに”されているのは、果たしてどちらのほうだろうか。)
…………、……違う。
ヴィヴィアン、俺は……
(……何を、どう言えばいいのだろうと。恋人を抱き締めたまま天井を見る男の眉間に、悩ましげな皴が寄る。相手と結婚したいのは本気だ──本気というか、確定事項だ。じゃあなぜ今すぐそうしないのか。口先だけの威勢なのか。ごっこを楽しみたいだけか。それこそ相手の不満であり、失望のもとということを、さしもの己も今ならば理解している。それをただちに解決できずに、こんなにはっきりと示される望みひとつに応えられずに、果たして彼女の一生の伴侶になり得るだろうかとも。
──だが、今のこの状況は、ギデオンもギデオンなりによくよく考えてのことだ。世間体だの何だのも、もちろん考慮のうちにはあるが、それだけならば投げ捨てられる。決してそれだけの理由ではない、何を思っての選択だったか。彼女と恋仲に進む前から、その関係では飽き足らないと、あまりにも早く婚約指輪を買い求めたあの勢いを、今とどめるのは何故なのか。──その答えを思い出し、初めてふ、と少しだけ脱力するように腕を緩めて。相手のことを宥めるように、その背中をローブ越しにごくかすかに撫でながら。しかし始めに選んだのは、結論を出す前の、大事な現状確認で。)
…………。
……俺のことを信じてない、ってわけじゃないんだろう。
ちゃんと、話し合うために……今の何が嫌か、ってのを、教えてくれないか。
1021:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-08-18 12:20:46
…………、
( 往年の武勇伝の一方で、拗ねた女に理屈を求める──やさしい、しかたのない人。そんな恋人の野暮な可愛さと、抱きしめてくれる腕の強さに溜飲を下げ。今度こそ、相手の唇へと祝福を落とせば、何が嫌かって? まずは──「もう二度と、お外で変な触り方されるのは嫌」と、太い太い釘を一発。ついでに、「ええ、信じてますからね」と容赦のない追撃を加えながらも、分厚い胸板上、ぐりぐりと栗色の頭を擦りつければ、そこまで怒っている訳では無いという意思表示は伝わったろうか。)
あとは……その、我儘だって、子供っぽいって、笑わない?
( ところで、今この状況の何が不満で、どうしたら解決できるのか。この答えについてだが、実はヴィヴィアン自身持ち合わせていないのだ。勿論、どうでもいい障害を前にして、なんだか楽しげな相手に腹は立っているのだが。だからといって、一緒になって怒ったり、増してやビビのように後先考えず、突き進むギデオンをイメージできるかと言われると全く出来ず。どんなことにも、いや、大切なことだからこそ慎重に、丁寧に不安を潰していくことに楽しみを見出す横顔は、何より可愛く愛おしくすらあって。故に言語化できる不満があるとするならば、「……寂しいの」それだけで。 )
私のせいで結婚できないし、その……夜の、……だって、出来ないのに、ギデオンさんは怒ったり、悲しんだりしないでしょう?
そしたら、"本当はしたいんです"とか、"ギデオンさんのためなら、他のことなんて全部どうでもいい"とか……
私は、もっと言えないし……大好きなのに、言いたいのに、言えなくて、もっと好きになってもらいたいのに、ギデオンさんにしてあげられることが何も無くて……寂しい……
1022:
ギデオン・ノース [×]
2026-08-25 04:16:40
(ぐうの音も出ぬ正論に、ぎくりと強張る間抜けな男。隙のない二段構えにもわかりやすくたじろぐほどだが、きちんと真面目に頷く辺り、切実な話なのだと理解できてはいるらしい。とはいえ、その年甲斐のない顔も、相手がぽつりと呟いた問いかけを耳にするなり、ふと静謐に変化して。──知っている。いつも明るく強気な彼女がここまで弱気に不安がるのは、気を許す自分相手でも……ごく限られた時だけだ。
故に。乱れた栗毛をそっと撫でてやりながら、「笑わないよ」と、こちらもごく穏やかに落とした声で、はっきり即答を。その手をそのまま背中へ滑らせ、ゆっくりと撫で下ろすのを何往復か続ければ、相手の呼吸はほんの少しでも安らいでくれるだろうか。……幸い、ここまでの道中は破竹の勢いだったから、こうした小休憩の時間は堂々と取って問題ない。精神感応するギミックが待ち受けるなら尚のこと──よってじっくり、たっぷりと、相手が打ち明けるのを待ったが。はたして、全てを聞き終えたなら、それまでぽん、ぽん、とあやすように続いていた優しい手つきが、次第にゆっくり止まってしまって。
もしも不安に思った相手が、男の面を確認したなら。──そこにはきっと、「……?」と、それはそれはわかりやすく困惑気味に揺れ惑う青い視線があることだろう。今の話をもう一度、脳内再生するかの如く、わざわざ目を閉じてまで数秒沈黙したかと思えば。「……うん??」と、やはり拭えぬ疑問を、今度は唸り声に滲ませ。思わず、と言った様子で、しなだれかかる相手ごと己の上体を起こしてしまうと、背後の寝台にもたれる形でその場に腰を落ち着け直し、相手をすっぽり腕に収める。そうして、その疑問符でいっぱいのまなざしを、間近な距離から相手に注ぎ。)
……なあ、なんだ……待ってくれ。
結婚ができないだとか、夜の……アレの……ことだとか。その辺りの誤解もまあ、今すぐ解きたいところなんだが。
“何も無い”ってのはどういうことだ……? 俺は寧ろ、今までたくさん、お前にしてもらってばかりだろ。
それが、なんで……
(──と。世の中、口で言葉にしてみて、初めて気づける真理があるが、どうやら今回の疑問についても、そういう類だったようだ。不意に口を噤んだかと思うと、そのまま軽く目を瞬いて。そこから、……ああ、そういうことだったのか、と。そんな温かな納得に、垂れた目元をふっと馴染ませ。どこか仕方なさそうな、可愛いものを見る表情を浮かべながら、相手の白い頬の片側を皮手袋で優しく包み。
……己を今もいじらしく見上げてくる、この強く賢く初心な娘に、己は責任があるはずだ。そうようやく気がついたなら、こつん、と軽く額を合わせ、微かに擦り寄せることさえしながら。呟いたのは今更な、しみじみとした確認で。)
──そうか。そんなに……俺が好きか。
1023:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-08-27 00:33:30
…………、
( 穏やかな、しかし頼もしい即答と、優しい手の温もりに、言葉を交わすまでもなく、しばし小休止の意向を共有すれば。ダンジョン内で一体何をしているやらという思いこそ少なからずあれど、こうなってしまっては、ギデオンにしなだれかかる体重を、より遠慮なくしっかりと預け直し。
そうして、やはり、"わかっていなかった"飼い主の困惑には、拗ねたように眉間の皺を深めるだけで、ますますその胸板に潜り込むように深く顔を埋め直せど。その視線がこちらを覗き込もうとする気配に、渋々と言った表情で顔を上げれば。そもそも──広い屋敷に、数多の贈り物の数々をもってしても、どうしたら"してもらってばかり"になるのかが、この年上の恋人の不思議なところだが。閑話休題、乙女心には疎いところもあれど、元来鋭い頭脳を持つ薄青が、次第に心得たように和らいでいく表情に、やっと目元を和らげて、ふんと鼻を鳴らしてから、その革手袋の掌を捉えて、好きなように頬擦りすれば。どうしようもない朴念仁の、あまりにも今更な発言に、じとりと相手の顔を見あげて。 )
──……そうよ。
貴方が私を好きになるずっと前から、私の方がギデオンさんのこと大好きなんですから。
( その唇に甘く鋭く噛み付けば。次に進むにせよ、水分補給やバフ魔法のかけ直しをするにせよ、まずは相手の隣に座ろうと起き上がろうとして。 )
1024:
ギデオン・ノース [×]
2026-09-06 14:00:02
──……そうだったな。
(柔く瑞々しいお叱りを甘んじて受ける男の、しかしどこまでも穏やかで幸せそうな顔といったら。まだむくれている恋人に、「何をご機嫌になってるの」と異議を唱えられたとしても、困ったように苦笑してかぶりを振るに違いない。──彼女の言葉はもっともとはいえ、ヴィヴィアンだって知らないはずだ。今過ごしているこの人生が、こんな些細な揉め事さえもが……長年陰の中にいたギデオンのような男にとって、どれほど眩く尊いものか。だから一層、より確かなものにしようとあれこれ画策しているというのに。「私の方が好き」だなんて、そう侮らせるくらいなら──己の方ももう少し、想いを明かしていくべきではないか。
故に。ダンジョンの地下ですっかり寛ぎ、隣から寄越された魔力強壮ポーションの瓶に、軽く口を付けながら。「前から思っていたんだが」と、なんてことのないようにふとその話題を切り出してみて。)
……親父さん、いずれはこっちに帰国するつもりでいるが、それでも身辺整理だ何だでしばらくかかるって話だろう?
あの人のことだから、何だかんだと持ち込まれる面倒事に文句を言いながら手を貸しまくって、より長引いたりするんじゃないか……と、俺は睨んでいるんだが。
(──結婚や、夜の営み。そういった大事な話題をわざわざ後回しにしてまでも、唐突に持ち出されるギルバート・パチオの存在。彼が娘のヴィヴィアンにとって、心の底ではどれほど大事な人なのか、ギデオンは二ヵ月前のあの晩に知っている。だからせめて、ギルバートにきちんと認められた上で、彼を証人として結婚したい、そんな思いから入籍を先送りにしていたのだが。待ちきれない、私のせい、あなたの力になりたいのに……今はなれていないのに、そんな台詞を彼女の口から言わせてしまうくらいなら。──それならいっそ、と。ここに来て相手を見つめ、静かな、落ちついた声音と貌で、相手をまっすぐ見ながら囁き。)
それでもし、年内には帰る見通しが立ちそうもない、って話なら。
──……遅くとも春前に、今度は俺たちふたりのほうから……ガリニアへ会いに行かないか。
1025:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-09-08 22:46:59
──……パ、……父の、ところへ?
( 本当に分かっているのか、いないのか。ヴィヴィアンからの叱責に頷きながらも、どこか楽しげなギデオンにぷくりと頬を膨らませ、筋肉の盛り上がった硬い肩をぺしぺしと、まるで威力のない猫パンチを繰り出していた娘だったが。そんな年上の恋人からの提案を耳にした途端、思わずといった調子で小さく腰を浮かせると。あまりにも分かりやすく、緑色の瞳を大きく揺らして。
様々な話を差し置いて──どうして父の話を、という質問は、あまりの驚きに掻き消されついぞ浮かばなかった。というのも、ビビにとってのギルバートは、たまの帰宅を一人いい子にして待つ……というのが唯一の関わりの形であり、相手からもたらされた新しい発想に、無意識に頬を紅潮させ、大きな瞳をキラキラと期待に反射させると。 )
……でも、パパはすごく、忙しいから、迷惑だって、思われたら……、
( 浮かせた腰をゆるゆると下ろしながら、しどろもどろに漏らした弱音を。頼もしい恋人は、優しく、若しくは力強く励ましたろうか。いずれにせよ、大好きな婚約者の心からヴィヴィアンを想う言葉に、「ギデオンさんがいうなら、そうかも」と、形の良い眉をへにゃりと下げながらはにかんで以降。それからのダンジョン探索も前半と違わず、これ以上ない絶好調で、ギデオンの期待に応えて見せるだろう。 )
それに、ダンジョンマスターになったって言ったら、きっと見直してくれますよね!
1026:
ギデオン・ノース [×]
2026-09-18 08:20:29
……ああ、そうだな。
(相手の言葉は裏を返せば、“ダンジョンマスターにでもならない限り、自分は父親に認められない、会いに行けない”などというもの。もちろんそんなわけがない──危篤の報せを耳にするなり千里を翔けるような男が、娘のことを案じこそすれ、どうして疎んだりするだろう。
とはいえ、「こちらから会いに行く」というギデオンの提案にこうして顔を輝かせるなら、まだ希望を持てそうだ。何よりギデオンの側にとっても、“自分ひとりではできないことも、ギデオンさんと一緒なら”……そう感じさせられるのなら、ガリニア行きはやはり絶対に決行すべき名案で。故に穏やかに頷くも、「今だって誇りだろうさ」と頭を撫でるのを忘れずに。)
……でも、そうだな。今回の報酬を、そのまま旅費にできるだろうから──だから、なおさらやり遂げてやろう。
(──そうだ、願掛けをしようか。
──願掛け?
──よくあるダンジョン伝説で、『コアを砕けば願いが叶う』、なんて言い伝えがあるだろう? ここも本当にそうだとは限らないが……せっかくだから、俺たちもそれにあやかろう。
無事にガリニアへ渡れるように……親父さんが、お前の活躍を喜んでくれるように。
──パパが……喜んでくれますように。……ギデオンさんとの結婚も、お祝いしてくれますように。
──……そうだな。俺も、それを祈ろう。)
*
(──さてはて。ベテラン戦士とマドンナヒーラーの初のダンジョン探索は、こうして思いがけず、ごく個人的な願いも込められることとなったわけだが。数分間の小休憩にてしっかり絆を固めあったふたりに撃破できないものなどなく、その後立ちはだかる扉や魔獣は、各々の剣と杖の前に、もはや草を薙ぐのも同然。辿り着いた最下層、ボスモンスターもあっさり倒せば、このダンジョンの心臓たる魔導脈が通ったコアを、見事完膚なきま打ち砕いてみせたのだった。
これにてダンジョンは完全踏破。最寄りの村の村長にだけそのことを報告したら、一度はギルドに舞い戻り、コアの欠片と報告書をダンジョン調査機関に提出。そして再び村を訪れ、周辺を調査してから、安全確保を約束する──そこまでがプロの仕事だ。
故にギデオンもヴィヴィアンも、翌日調査官らと共に、少し空模様の悪い中、あの村にやって来たのだが。「ああ、冒険者様、お役人様!」と、何やら血相を変えた村長がこちらに飛んでくるではないか。調査官たちが使うらしい大掛かりな魔道具を荷台から下ろしながら、何事かと尋ねてみれば……どうやら、村の子どもふたりが行方不明になったとのこと。昨日の昼から安全のため外出禁止を言い渡され、この狭い村の中で退屈を持て余していた村きってのわんぱくたちが、昨日村長だけに伝えた踏破報告をどうやら立ち聞きしていたらしく、もしかするとダンジョンに潜り込んでしまったそうだ。
思わず咄嗟に、相棒と顔を見合わせる。ダンジョンのコアを壊すと、周辺の土地にマナがみなぎり、危険な魔獣が寄り付かなくなる──しかしそれには時差があるから、だからこうして専門家たちと事後調査に来ているわけだ。ダンジョン内部の安全調査はまだ完遂していない。──もしいたずらっ子たちが、まだ退散していないダンジョンクラスの魔獣どもとエンカウントしてしまったら。その恐ろしさは相棒相手に、はっきり口に出すまでもない。そうわかりきっていたから、強張った顔で皮鎧を纏い直すと、魔剣の柄を手にかけて。)
──ヴィヴィアン。悪いが、マナの測定はパスしてくれ。……怪我を負っている可能性もある。
1027:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-09-26 02:37:09
ギデオンさん、今日は本当に……ありがとうございました。
それで……その、あのね、さっきは言えなかった、んですけど。
本当は……もう、ちゃんと、おうちだったら"良い"って、思ってますから……。
( どんな時も、ヴィヴィアンの一番喜ぶ言葉を、行動を知っている。世界で一番優しくて、格好良い恋人。……そういえば、と。そんな彼の言葉に答えられていなかったことを思い出し、その触り心地の良い寝巻きの裾を引いたのは、26年の人生で初めて、ダンジョンを制覇した日の夜のこと。しかし、それに──2人きりのベッドの上で、という情報を追加して尚、微塵も色っぽい状況になりえなかったのは、相も変わらず無意識での問題発言のその直後。言うだけ言って満足した娘ときたら、へにゃりとはにかんだその顔のまま、非常に健やかに深い睡眠のその果てへと、哀れなギデオンを置き去りにした故である。
そうして迎えた翌日の予定はといえば、前日に踏破したダンジョンの安全確認のみであり。それ以降は、珍しく2人揃っての半休であるという意味を分かっているのか、いないのか。否、絶対に分かっていない表情で、のそのそと朝支度を始めたヴィヴィアンに、果たしてギデオンはどんな声をかけたろうか。朝から一悶着あったにせよ、なかったにせよ。1日ぶりに訪れた集落で、青い顔をした村長の訴えに、真剣な表情でギデオンと顔を見合わせれば。 )
勿論です!早く、迎えに行ってあげなくちゃ。
( そうキラキラと信頼に満ちた瞳でギデオンを見つめ、そのまま慣れた動きで、その腕や分厚い胸板に掌を添えると。物理・魔法耐性のバフと共に、連日の出動となった相棒に、滋養強壮の祝福も忘れずに。 )
*
( そうして始まった2度目のダンジョン探索は、昨日とはまた違った過酷さで。というのも、ビビの魔力探査で正解のルートさえ辿ればよかった1回目とは違い。村の好奇心旺盛な少年たちがどの道を選んだかなんて分かるはずもなく、全ての分かれ道をしらみ潰しに探していく以上の手段がなかったのだ。
幸か不幸か、どうやら既にダンジョンの祝福は効いているようで、小さな魔物の気配すらなかったものの。と、なると。──もし、自分が少年達だったなら、この広いダンジョン内で、大人たちに見つからない秘密基地作ろうとするに違いない、と先にその厄介な可能性に気がついたのはどちらだったか。迷子の探索ならまだしも、積極的にこちらをやり過ごそうとする相手を探し出すのは、相手がただの子供といえど非常に骨の折れる作業で。
それからというもの、穴という穴に潜り込み、あちこち泥だらけで見つけた、自然の光が差し込む、どうやら外と繋がっているらしい岩の隙間から周囲を探るように顔を出せば。「あンれ、まァ!」とそこに居たのは、どこかで見覚えのある老婦人。そう、約1年半前にワーウルフを討伐した夜の宴にて、ギデオンとヴィヴィアンのためにビビットピンクのケーキを焼いてくれた婦人の隣で、お手製をお菓子をニコニコで頬張る少年たちの姿を見つける頃には。周囲はもうすっかり橙色の太陽に染まる時刻となっていた。)
1028:
ギデオン・ノース [×]
2026-09-27 00:51:49
(あなたならいい、おうちならいい。そんな魅惑の誘い文句を──しかし見事に“文句だけ”を気まぐれにちらつかされて、もうどれほどになるだろう。
その晩もギデオンは、蝋燭の灯を吹き消して寝台に沈みかけたところで、娘の爆弾発言に石像の如く固まった。……とはいえこの日は一日中、魔剣を激しく振るった後だ。その余熱が体の奥から立ち昇ってくるそのままに、ぎしりとマットを軋ませながら相手の方へと身を屈め、「なあ、それについてなんだが……」と期待を込めて低く囁く。あの古代魔術の扉の部屋で喰らってしまったあずけを、今なら堪能できるだろうか。あの時すべきだった話を、枕の供にできるだろうか。そんな欲情の炎はしかし、真下から聞こえてきた健康的な寝息の調べに、再びぴしりと固まって。
「……?」「ヴィヴィアン?」「……なあ、おい、」「…………」と。哀願虚しい置き去り男の、なんと滑稽な横顔よ。さらに始末が悪いのは、事態を理解するにつれ、どういうわけか己の脚衣が、余計に沸々苛々と張り上げられていくことで。そこと恋人を二度見三度見、それから“どうしてくれる……”とばかりに、両腕を広げてみせるも。結局、月明かりに照らし出されたあどけない寝顔を見れば、仕方なさそうに眉根を下げて、重い嘆息をただひとつ。せめてもの腹いせに、太く鍛えた腕いっぱいに相手をきつく抱き締めてやり。「んん……」とむずがる声に構わず、その豊かな栗毛の波に己の鼻先を深くうずめる。そうして広い背を上下させ、相手の香りを深く深く吸い込みながら。どくん、どくんと脈打つ熱をゆっくり落ち着けていくことで、ようやく寝ついたのはいいが。
──本当にギデオンさんなら、いいんです、けど……ね。
──ギデオンさんになら教えて、貰いたい、なっ……なんて。
──教えてください、ギデオンさんのために頑張りたいんです……!
──ギデオンさんがしてくれること、全部好きになっちゃうんだから、ギデオンさんのせいだもん。
これまで散々撃ち込まれてきた、挑発的な台詞の数々。それらが今さら次々に、ギデオンの夢の世界に残酷なほどこだまして。やっと目を覚ましたその時にはもう、何を夢見たか忘れたものの、妙な苛立たしさだけが腰回りに尾を引く有り様。何だ、何なんだこの感覚は……? と、眠りがどうにも浅かったためやや寝惚けているギデオンが、同じくぽやぽや寝惚ける相手を、いつもより少々強めに朝支度へと急き立てたのは、仕方がないことだろう。
何事にも限度というものがある──ギデオン・ノースは聖人ではなく、そしてヴィヴィアン・パチオもまた、幻の聖女などではない。……つまり、その晩ふたりが迎えたそれは、必然だったということだ。)
*
──……ったく、この人騒がせども……
(──さて、それから半日後。さすがに子どもの捜索とあって、今朝がたの妙な様子から切り替わったギデオンだったが。どうやら浅く細長い構造だったらしいダンジョンが、実は隣のシルクタウンまではるばる繋がっていた上に、そこから這い出た子どもらが呑気に過ごしていたとわかれば、ぐったり疲れた顔を浮かべてしまう有り様で。
いてっ! いててっ! と、口の端にクリームをつけたわんぱく小僧1と2に固い拳骨を落とした後は、村人たちに礼を言い、すぐさま退き上げようとした。だがしかし、そこは流石の(?)シルクタウン。「おンや、まァ!」「いンや、まァ!」と、農作業を終えたばかりの村人たちが次々わらわら集まってきて。突然地下から現れた冒険者の男女ふたりが、ワーウルフ狩りで村を救ったあの時のかれらとわかれば、途端にわいわいきゃあきゃあと、上を下への大賑わいだ。
──あらぁ、久しぶりでねぇの! 元気にしてたか、飯食ってっかァ!? グランポぉトの記事さ見たよォ、ファあヴニルってツチノコを一刀両断したってねえ? いやヴァヴェルじゃなかったか……いやいや淫魔って話だろうよ! ──エ゛ッッ、ダンジョンさ掘りに来た!? すぐそこ? そこけ!? あの穴け!? ってことはそりゃァ……、…………おらが村までマナいっぱいになるって話なんでねェ!?!?!?
そこからはさらにお祭り騒ぎ。もともと、真夏の第一収穫期をちょうど今日終えたばかりのようで、やけに準備のいいおかみさんらが次々ご馳走を並べだしては、「いいから! ほらほら! こっち来な!!」とやけに熱心に誘ってくるほど。そこをどうにか、「こいつらの無事を知らせないと……」と、ご馳走目掛けて駆けだそうとするわんぱくどもを捕まえながら必死に固辞し、人混みを掻き分けてようやく村の出口へ来れば。──ならせめて、うちの乗ってきな! ほら! 土産もたんと持ってけれ! と、去年も帰りに乗せられたあの馬車に再び乗せられ、菓子にぱくつく少年たちと畦道を往くこととなり。
*
結局、ふたりだけでは食べきれない大量の桑の実タルトは、無事に戻った隣村やら、果てはダンジョン調査機関の如何にも堅物な男たちにもお裾分けをして捌いたわけだが。その結果、「やべ……賄賂だ……賄賂だよコレ……」「馬鹿、上官の俺も食ってんだから、これァ霞。霞なんだよ……」と、何やら予期せぬ甘味によって、調査官たちの様子がやけにおかしくなるではないか。果ては、本来こちらが機関に出向いて書き上げるべき書類まで、「法的にゃあ問題ねぇから」と肩代わりを申し出る始末。それでいいのかと思いもするが、半休を潰しきってまで村の子どもを探していたのだ、調査官たちの申し出は素直にありがたいのが本音で。
となれば、キングストンに戻ってからは、ギルドへの報告ひとつですんなり帰れるはずだったのだが。そうもいかなかったのは、真夏らしい土砂降りが、突然王都を襲ったせいだ。ラメット通りの我が家まであと数分、という距離で、ふたりはそれを見かけてしまった。川沿いのぬかるみにはまってしまった大型馬車が、御者の必死の努力もむなしく、大いに立ち往生する光景──それを見過ごしてしまえるのなら、冒険者であるはずがなく。
大粒の雨に叩きつけられ、互いの声も届かない中。ギデオンはその鍛えた膂力で、ヴィヴィアンはその豊かな魔力で、二十分ほども必死になって格闘をしていただろうか。ついに車輪が泥から脱し、無事に石畳の大通りまで馬車を誘導した後は、何度も礼を言う御者にあっさりと別れを告げて、残りの家路を駆けていく。
そうして辿り着いた我が家──その玄関扉を開けて、雨水を滴らせながら静かな中へと転がり込めば。雨音は遠く鈍くなったが、サンソヴィーノの大窓が外の様子を採りこむために、いよいよ激しい稲光が、真っ暗なはずの室内を幾度も明るく照らしだす。数秒後には激しい雷鳴、重く低く轟くそれがびりびり床下を震わせて。これはいよいよ酷くなるなと、窓の外から視線を戻せば、自分の荷を肩から下ろし、相手のローブを脱がせると、浴室へ促そうとして。)
──……風邪をひくと事だ。
装備は拭いておくから、先にシャワーを……
1029:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-09-28 23:09:32
( まるでバケツをひっくり返したかのような土砂降りの中、やっとのことで心地よい我が家に帰りつけば。たった半日ぶりにも関わらず、見慣れた玄関が何故だか、非常に久しぶりのように感じられて。しかし、子供たちも無事にみつかり、困っていた馬車の御者さんも助けることが出来た。そして、その仕事の相棒が他ならぬギデオンさんだったならば、全身を取り巻く疲労も、とても充実した快いものに感じられ。ローブ越しに硬い手が触れる感触に「ありがとうございます」と、くすくす笑いながら、素直にローブを脱がされると。こういった時のために、玄関先に用意していた清潔なタオルを広げて、優しい婚約者の頭へと手を伸ばして。 )
……ギデオンさんこそ、私の方が浴びるのに時間がかかりますから、先に入って来てくださいな。
( 互いが互いを想うからこそ、シャワーの順番に限らず、この手の譲り合いは最早恒例。しかし、此度いつもと違ったのは、普段であればどちらかが折れる筈が、果たしてどんなやり取りをしたのやら。いつの間にか──どちらも譲らないなら、同時に入ればいい、という結論に至ったことで。
どうして、そんな提案に頷いてしまったのか、若しくは言い出してしまったのだろうと、脱衣所まで来たところで、はっと正気を取り戻せば。そこへ来るまでに、既に湿気に弱い大方の装備は外して乾燥魔法をかけて来てしまい、既に残るは濡れて張り付くシャツと脚衣のみ。思わず胸元のボタンに手をかける姿勢のまま、ぎくりと固まったのは、この後のことを予測したというよりは、ただただ今更な純粋な羞恥ゆえだったが。脱ぎ進めるどころか、ギデオンの方へと視線を向けるのすらままならず。往生際悪くモジモジとするいつまで経っても同じ釦を弄る横顔には、このままギデオンだけを浴室へと追いやって、どうにか逃げ出せないかという、子供のような魂胆がこれでもかと分かりやすく浮かんでいて。 )
──……?、?????
1030:
ギデオン・ノース [×]
2026-09-30 10:15:19
……ん、どうした? 熱っぽいか……?
(初心を地で行くヒーラー娘が羞恥に固まるその一方。助平を地で行く魔剣使いは──これが案外、こういう時はやたら生真面目になるもので。装備の一部の乾燥処理と着替えの手配を任せるあいだ、こちらは浴室の魔道具を手際よく起動させ、そのあいだにふたり分の衣服の泥汚れを落とし、すっかり水気まみれの靴にも対策の諸々を。沸いた湯加減まで確かめたなら、ちょうど相手も戻ってきたので、あとは気持ちよく入浴するだけ。ワインレッドのシャツを脱ぎ捨て、鏡台に据えた蝋燭がちらちら照らす脱衣所に、艶やかで逞しい上裸を晒けだす──そこまではスムーズだったが。ここでようやく、こちらに背を向ける恋人がじっと動かぬ様子に気付けば、そっとかけたその声は、しかしやはりどこまでも相手を案じる優しいもので。
──そう、そういえばこの男。普段は煩悩塗れのくせに、相手の健康の話となると、途端に過保護に舵を切るのだ。つい先刻、どちらが先に湯を浴びるかで押し問答をした時さえも、ふたり同時にくしゃみを咲かせ、微妙に顔を見合わせた途端。「……なあ、一緒に」「そうしましょうか」と淀みなくそれを選ぶほど。“彼女の体を冷やさない”“そのためならば手段を問わない”、そんな思考に入ったが故に。「やっぱり、あの、」「ふたりで入ると狭いかな、って……」と相手が躊躇う素振りを見せれば、訝し気に眉を顰めて、何を馬鹿なとすっぱり拒む。
冷たいワインを飲みたい時は、濡らしたくず紙を瓶に貼り付け、少しの風魔法を当てれば、それで芯まできんと冷やせる。目の前のヴィヴィアンも、まさにそのワインボトルとほとんど同じ状態だ。濡れたシャツを取り払って体の奥から温めなければ、真夏とはいえ風邪をこじらせ、重く響いてしまうだろう。明日は元々彼女は全休、自分もクエストの予定がずれて夜勤になったからいいが……折角の休日を寝込んでしまうと元も子もない。何のためにあれこれ急いだと思ってる、と。少しばかり叱るように言い聞かせてしまったが、そこではた、と押し黙る。──冷えているはずが真っ赤な横顔、いかにも気まずいと言いたげにこちらと目を合わせぬ様子。それらでやっと合点がいけば、呆れたようにため息をつき。)
……まったく。そんなに気になるようなら……どうせ元々濡れ鼠だし、魔洗槽にぶち込むんだ。そいつを着たままでもいいから、ほら。
──こら、逃げるな。さっさと浴びるぞ。
(──もちろん育ちの良いヴィヴィアンは、着衣シャワーなるアレな行為に、そういうプレイというわけでなくとも抵抗感があることだろう。だからせめて(?)その違和感を共に背負ってやるために、ギデオン自身も黒い下着一枚のみ穿いたままの姿になると、華奢な相手の背に手を当て、問答無用で浴室へ押し込み。よく磨かれた取っ手を引いて、柔らかな水圧の湯を背中の側から浴びせれば。相手の悲鳴か、怒りの声か、それらに構う様子もなしに、むしろぐいと片眉を上げ。ノズルを動かしてひととおり、相手の体から冷たい雨水を洗い流して温かさを行き渡らせると、グランポート土産である巻貝のボトルから液体石鹸を手に出して。しっとりとした真っ白な湯気で音もくぐもる浴室の中、「ほら」とまた挑発的に、不遜な声をかけるだろう。)
早く上がりたいなら、早く済ませるにこしたことはないだろう。
──……それとも、俺が洗ってやるか?
1031:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-10-02 03:19:53
( 夜の嵐が轟々と、堅牢な外壁に叩きつけられる風音を切り裂いて。イヤ────ッ!!! と、女の悲鳴が木霊する。その様は初夜前にした男女と言うよりは、嫌がるペットとお風呂に入れようとする飼い主の様でしかなかったが。その容赦のない事務的な手つきが、逆に功を奏したと言うべきか。それとも、基本的にギデオンのその行動の全てを、"理性的で、優れた判断の下 行われる、素晴らしく高尚な行為に違いない" と、信じて止まない娘の狂信の果てと言うべきか。
それまで、隙さえあれば一目散に逃げ出さんと、全身を固くして縮こまり、相変わらず合わない目だけを爛々と見開いていた子猫だったが。最愛の恋人からお湯とはいえ、勢いよく全身に水をかけられるという非常事態に目を白黒させると──なんで、どうして!? ……でも、確かに、冷えだけじゃなくて、泥濘からの細菌感染や、古代のダンジョンへ潜ってきたばかりなんだもの、速やかかつ念入りな洗浄は大切、なの、かしら……? と、受け入れ難い現実を前に、脳内はすっかり混乱しきり。逃げ場のない浴室の中、こんなことで騒いでいる私が子供なんだろうかと。年上の婚約者を呆れさせてはいないだろうかと、へにゃりと困ったような笑みを浮かべて、ギデオンの表情を伺う娘の視線は何処か虚ろで。 )
じ、自分でできますから……早くギデオンさんも温まって、ね……?
( 果たして、その顔がその首元まで真っ赤に染まっているのは、勢いよくかけられた湯のせいか、それとも。──未だ小さく縮こまったまま、時折相手の硬く、熱い筋肉に触れてしまう度、ひん、だの、ひぇ、だの、情けない悲鳴を上げながら。まずは濡れて少し色の濃くなった髪の毛を洗い上げると。次は身体の方を洗おうとして、再度小さく固まったのは、その洗浄に邪魔な着衣のためで。
これは、衛生や健康のために必要な行為で、はしたなく、なくて。必要なことで、だから……恥ずかしがってる私がおかしくて……? そう必死に瞳をぐるぐるとさせながらも、基本的に脳筋……もとい、こうと決めたら猪突猛進な娘である。ギデオンの言う通り、さっさと終わらせて一刻も早くこの場を終わらせようと。観念したように力強く瞼を閉じ、シャツのボタンに手をかけると。しかし、向き合ったままの体勢はに耐えきれず。ザアザアと降り出した雨とも、ギデオンが使っているシャワーとも取れない音が響く中、ぺた、ぱしゃと……控えめな足音を響かせながら、至近距離の恋人に背中を向け。そうして最初は、シャツから骨ひとつ浮かばないまろい背中を。それから脚衣から雪より白い足を、そして今日は薄い水色のそれら──と。1枚1枚解いたそれらを軽くたたみ、その都度バスタブの縁にかけていき。 )
……あ、の、石鹸をとって、いただけませんか……?
1032:
ギデオン・ノース [×]
2026-10-04 11:59:36
(哀れな乙女の錯乱ぶりに、さしもの傲慢朴念仁も、(……流石に少しやり過ぎたか)と多少反省したようで。こんな経緯で連れ込んだのだ、せめてそういう不埒な気配をちらつかせないことだけは徹底するのが義務だろう、と。大人しく己も湯を浴び、泡立てた髪をさっくり掻き込み、濡らした麻布で体の隅々まで擦り……と。彼女のほうには注意を向けず、自分自身の入浴に専念していたのだが。
そういえば、相手のために下着を穿いたままである。今は彼女があちらを向いたところだし、そこも手早く済ませようか、と。潔く脱ぎ払ったそれをバスタブの縁にかけ、さっさと取り掛かりかけたところで、思わず盛大に二度見する。……バスタブの縁のほんの少し離れた場所に同じように掛けられていく、女物の衣類の数々。それを脳が理解するなり──彼女は何を、それが何より嫌だったんじゃ──今日はその色か、いや違う──それは、その、何だ、つまり……と。浴室を温めるべく流しっぱなしのシャワーの音が、男の無言を誤魔化すあいだ。青い視線がいよいよそちらへ吸い寄せられていく様は、さながら咲き綻ぶ花に蜂が抗えないのと同じで。
──細く、小さく、華奢なくるぶし。そこからすらりと伸びている、ケリュヌイアよりもしなやかで健康的なふくらはぎ、無駄がなく締まっているのに肉感的な腿の上には──思わず、ごくりと喉が鳴る。水滴の流れ落ちる様がこんなに悩殺的なことなど、果たしてこの世にあるのだろうか。随分視線をとどめたそこからようやく目を上げたなら、芸術的な角度のくびれに、傷ひとつない白い雪面。いつもより黒く艶やかな濡れ髪が滑り落ちているその真ん中には、男の指を這わせるために刻まれたとしか思えないなだらかな溝さえあって──……そんな肢体を持つ美女が、恥じらいで振り返れぬまま、それでも少しだけ身を捩じらせて。……しおらしく、声をかけてくるのだ。
柔よく剛を制す、と云うが。元々旺盛な男の理性は、彼女のそんな有り様ひとつで宇宙の果てまで吹っ飛ばされたが。──しかしそれでも、亜光速ほどの勢いで戻ってくるのもまた早かった。実際に見惚れていたのはせいぜい四、五秒ほどだろう。それさえも気取らせぬよう、「ああ、」と気障に返した声の、しかしなんと白々しいこと。手に取った石鹸をそのまま後ろから突き出せば、それをそっと受け取る指のしなやかさにさえ目を奪われて。──どうにもたまらず、ほんの少しだけ、「……なあ、」と呼びかけたその時だ。)
!
(どこかそう遠くない場所で大きな雷が落ちた瞬間──ふっ、と。脱衣所と浴室を仕切っているガラス越しにこちらを照らしていた魔法灯が、その明るさを突然落とした。水音は依然響くまま、途端に闇に沈む浴室──いや違う、まだちらちらと弱々しい明滅を繰り返しているあたり、どうやら道具にこもった魔素はすっかり切れたわけではなく、天候の影響で不安定になっているらしい。だがしかし、シャワーや流した石鹸で足元が悪い今、これでは少々危険だろう。「少し見てくる、」と一言かけて風呂場を出かけた、その瞬間。今度は近場、おそらくどこかの避雷針にドンと雷が落ちたと思うと、天を割るような余波の響きにビシビシと窓が震えて。)
──……!?
1033:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-10-05 13:17:32
( 過保護な婚約者は忘れがちなようだが、ヴィヴィアン・パチオは立派な成人女性であるのみならず、他の市民からも頼りにされる冒険者という仕事を生業とする娘である。時に非現実的な与太話であったり、特定の獣等、あまり得意でないものはあれど、基本的に雷くらいでは、酷く動揺したりなどはしない──筈なのだが。彼女の場合、問題は安心して頼りにできる恋人相手になると、時々どうしようもない迂闊をやらかすことで。特に今回は様々な事情で、脳内のキャパを大いに削がれている状態だったのも悪かったのだろう。最初の一発で視界を邪魔され、二発目の衝撃で手に持っていた石鹸をつるりと滑らせると。 )
──!?
( 今しがた外の様子を見に行こうとしていたギデオンが、石鹸を踏んで怪我でもしたら危ないと、引き留めようとしたは良いのだが。咄嗟の瞬間、口より先に身体が動くその癖が、この時ばかりは最悪な方面に発揮されて。
ここは浴室。全身を濡らすシャワーは今も、頭上から降り注ぎ、落ちた照明や蒸気で視界は最悪。その上、ビビの落とした石鹸は今や、どこをどう滑ってギデオンの足元にあるかも分からない。そして、責任感の強い男は次の瞬間にも一歩踏み出しかねないという状況下で。不安定な照明の明滅が、取り慣れた腕を、やけに印象的に目の前へと演出してくれたものだから。「あっ、待って……!」と。振り向きざま、その太い腕を抱きしめるように取ろうとして、布1枚挟まぬ濡れた肌が触れ合う感触に、すぐさま後ろに飛び退れば。因果応報、予定調和。ひとりで何をやっているやら。飛び退った先で、自ら落とした石鹸に見事引っかかると、後ろにひっくり返らなかったのは、その運動神経と幸運の賜物だが、"無事"目の前の広い背中か前面に強かに抱きつくこととなって。 )
ひぇっ……!! ご、ごめんなさ──きゃあっ!?
1034:
ギデオン・ノース [×]
2026-10-08 01:20:27
(腕に追いすがる感触に、何の気なしに振り向いた途端。水も滴る何とやら、と呼べるはずの男はしかし、露骨にびたっっっと固まった。無理もない──日夜魔獣を相手取る無駄に動体視力の良い眼が、咄嗟に飛び退ったせいでダイナミックに弾んだ“それ”をばっちり捉えてしまったからだ。彼女が驚いて手を引きつけたために余計に強調された果実は、本来どこかの深夜帯なら、謎の光やら妙な泡やら、或いは辺りに立ち込める湯気がかろうじて守っただろう。だがそれはあくまでも、次元が異なる世界の話。ここではせいぜい、真っ白に実ったそれを、不確かな照明がぱっと照らしてから隠した程度……それすらいっそ、男の網膜にサブリミナル気味に焼き付く始末で。
故にギデオンは後れをとった。今度は飛び込んできた娘相手に、咄嗟に「危な……!」と言いかけながら支えに出るも、当然間に合うはずがなく。気がつけばヴィヴィアンの、すべらかで柔らかい肌を──弾力に満ちた果肉を、その胸中にどっと受け止め。闇と流水でおぼつかぬなか、再び滑り出さないようにしっかり掻き抱き直すと。「大丈……、」と呼びかけたところで、ようやく互いの有り様に気づき……あとはまあ、そういうことだ。
男女、混浴、ふたりきり。何も起きないはずがなく──何も催さぬわけがなく。)
──………………
(……だがしかし、これまで辿った不埒な喜劇と少しばかり違うのは。これまでにないゼロ距離で起きてしまった反応に、気まずい、という面を露骨に浮かべていながらも。男がそれでもどこかしら、いっそ悟りめいた目つきを遠くに投げかけだした、というか。要するにその片腕を、全く、少しも、これっぽっちも緩めやせずにいたことで。
丸ごと抱かれる純潔乙女がどう反応したにせよ、それにどう変え下にせよ。妙に頑なな両腕で濡れた彼女と密着しながら温いシャワーに打たれ続けて、どれほど時間が経ったろう。野外で暴れていた雷が、耳をそばだてるかのように少し大人しくなった頃。不意にその身を屈めれば。温く滴る闇の中、「なあ、」と囁くその声は、かすかに──否、はっきりと焦がれ掠れていて。)
……おまえが別に、そんなつもりじゃなかった、ってのはわかってる。わかってるんだ。
だが、これは、…………据え膳、だろう……?
1035:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2026-10-08 10:57:12
──……ご、ごめんなさい! ギデオンさんも大丈、…………
( 温く心地よい水音が満たす浴室に、すこーん、からからからから……と。勢いよく蹴飛ばした石鹸がまた、摩擦の少ない浴室のどこかの床を、気まぐれに滑る音が虚しく響く。しかし、それより余程大きく響くのは、暗い浴室でギデオンを危険に晒した事による心臓の鼓動で。流石の乙女も、初心な羞恥より、相手への心配や、己の迂闊さに打ちひしがれる気持ちが勝って、怪しい雰囲気など微塵も感じさせない顔色で、パッと身体を起こしかけるも。相手の太い濡れた腕が、こちらを強く掻き抱いて、しっかりと捉えて離してくれないことに、「……?」と様子を伺ってようやく、その状態に気がつくこととなって。 )
…………あ、……っと、その、……
( こんな時、果たしてどんな言葉をかければ良いのか、魔導学院では教えてもらえなかった。
その代わりに、初めて、素顔のギデオンの欲を教えてもらった、グランポートの浜辺から。──呼吸の仕方に始まり、手の置く位置、力の抜き方、そして限界の伝え方に至るまで、"その作法"の全てをヴィヴィアンに教えてくれるのは、全部、ギデオンただ一人だと云うのに。その指南役が、どこか遠い目をして黙りこくってしまった状況に、困ってじっと息を潜めれば。──この熱が、この人の熱ならば、怖くないと思えるようになったのは、いつからだっただろう。怖くないどころか、自分のためにこうなってくれることが嬉しくさえ、思えるようになったのは。
──すき、好き、大好き。ヴィヴィアンがそう思うのと同じかそれ以上に、ギデオンさんも、私のことが好き。普段は世界一格好良いのに、食いしん坊で、ちょっとデリカシーが足り無くて、ビビが出ていくとボロボロになって探し回ってくれる愛おしい人。そんな婚約者からの求めに、全身に籠っていた力をそっと抜き、目の前の鎖骨に頭の側面を小さく擦りつけると。未だ八の字に下がる眉毛に、恥じらいの色は拭えねど、目の前のご馳走を前に、焦がれるギデオンにヴィヴィアンがかける言葉は、いつだって同じで。 )
──……どうぞ。
全部、ギデオンさんのもの、ですもの……美味しく、めしあがれ……?
1036:
ギデオン・ノース [×]
2026-10-09 23:22:50
(こちらから欲したはずだ、焦がれ求めてねだったはずだ。だというのに、いざ娘がその体をゆるめ、すりと懐いたその瞬間、男は呼吸をぴたりと止めた。もしも彼女が見上げたならば、そちらを見遣るアイスブルーは、不意を突かれでもしたかのように、いっそあどけないほどに揺れ惑っていただろう。
だがそれも、たった一言。彼女がいともあっさりと、彼に許しを与えただけで。大きく瞠ったその目の奥に、みるみるうちに光があふれ……ついに、目元がくしゃりと歪んで。)
────……
(胸に湧き起こる幸福感を、だれかに直接分け与える方法があるのなら。このときギデオンが選んだのは、きっと口移しのそれなのだろう。
温水の降りやまぬなか、己の節くれだった片手を、彼女の綺麗な顎先にゆっくり添えてみせるまでが、かろうじての限界で。あとはもう、濡れた唇を無言で重ね、互いの熱く蕩ける呼吸を夢中になって混ぜ合った。彼女の頭を、肩を、背を、確かめるように何度も撫でては、何度強く掻き抱いたろう。今はわずかな距離さえ惜しい、何もかもを伝えてやりたい。己がどんなに幸福か──どれほど嬉しくて仕方がないか。
──……そんな風だったから。「……あ、」と彼女が声を上げて少しその身を引き剥がした時、ギデオンはそのまなざしを年甲斐もなく蕩けさせこそすれ、少しも曇らせはしなかった。頬を染めたヴィヴィアンが、困ったように眉根を下げて、「あの、あのね」「石鹸がね……」と。雰囲気を遮ることを不安がる一方で、その懸念がどうしても拭えないのだと打ち明けたなら。そのいじらしい優しさに、思わずすっかり素で破顔して。「上がろうか」と、そこで一旦、さっぱり明るく切り上げたのは大人の余裕。もちろん、己がもしあと二十年若ければ、湯煙の中で溺れることを少しも躊躇わなかっただろうが。
流石に選んでやるべきだ──初めて、共に遂げる場所は。)
*
(──雨音はまだ続いている。先程よりは随分優しく、柔らかくなり、まるで音のベールのようだ。
これなら外には聞こえやしない、と囁いてみせたのは、果たして本気か、悪戯心か。いずれにせよ、それはすっかり髪を乾かし、二階に上がった後のこと。毎夜共にする寝室で、何てことのない雑談と、此度踏破したダンジョンのその後を巡るあれこれと──最初はそんな、いつも通りの寝しなの時間を分かち合うかのようでいて。その実、会話を続けながらも、男は娘の砂糖衣を、一枚、また一枚と、さり気なく剥いていき。次は下ごしらえとばかりに、肌触りの良いデュベの中、娘をあちこち愛ではじめ、そして冒頭を囁くわけで。
こちらとしてはもう少し、彼女の可愛らしいさえずりに耳を傾けたいのだが。まだ恥じらいが尾を引くだろうか、それとも今なら、今夜なら、とうとう叶えてくれるだろうか。そう伺いを立てるように、どこぞへ唇を寄せていた、貪欲な、その癖無駄に端整な顔を上げると、甘えるように問いかけて。)
おまえのそういう声だって、“美味しい”部分のひとつなんだが。
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