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ライカ [×]
2022-03-15 00:46:28
【 農村ガルム / → ギリオンの仮屋 】
>59 ギリオン
ふと、物音がした気がして。目を覚ましたが意識はぼやけたままだ。いつも隣に寝ているはずの兄の気配がどこか遠い。寝ぼけ眼を擦りながら上体を起こす。戸口に人影が。外はまだ薄暗い。眠気に半ば溶けつつ何とか掛けた声に、人影が振り返る。まだ寝てていいんだよ、なんて、優しい声に甘えてはいけない。起きろ。引き留めろ。焦る気持ちとは裏腹に、私は安心したように布団に潜る。誕生日だからとたくさん作ってくれた好物を、食べ過ぎたのがいけない。背中が遠ざかっていく。瞼が落ちる。やめろ。起きろ。お願い。起きて。
ライカ。
耳馴染んだ低い声が鼓膜に響き、意識が急浮上してぱちりと目を開いた。
「……なんだ夢かよ。って、ぅわあ!」
微睡みの合間の薄暗い夢とは対照的な明るい木漏れ日に目を細め、独りごちる途中で視界が回った。不意の浮遊感に慌てて両の手を伸ばし、先程まで寝ころんでいた太い枝に何とか掴まったところで、自身が何処に居たのかを思い出す。ご飯を食べてから腹ごなしの名目で裏の林をひと頻り走った後、目に留まった立派な樹木に登ったはず。そこで、記憶が途切れている。
居眠りをして木から落ちる雪豹なんて笑えない、と内心で苦笑しつつ、そのまま手を放して数メートル下の地面へと着地する。寝ぼけた頭を何とかするべくふるふると頭を振ると、髪の間に挟まっていた乾いた枯葉が地に落ちた。手のひらで脚衣を軽く払い、少し離れた仮屋の方へと軽やかに駆ける。
呼ばれていた。名を呼ばれるのはいつ振りか。良い予感はしなかった。
小ぢんまりとした、と形容していいだろう質素な小屋の前までやってきたところで、入り口の少し手前に見慣れないものが落ちていることに気付いた。近寄って拾い上げたそれは、立派な鳥の風切羽だ。この村の付近で、こんなサイズの野鳥は見たことがない。来客か、――伝令か。
ここでぐだぐだ考えても仕方がない、と手にした羽を適当に放り投げ仮屋へ。敷居を跨ぐなり、奥の椅子に座る自身を呼んだ黒馬に着座を促されれば、従順にそのままの足で席へと向かい椅子を引き、
「なぁに。怖い顔しちゃってさ」
まぁいつもだけど、などと軽口を叩きながらも大人しく着座して。気安い口調とは裏腹に、すっと背を伸ばして神妙に正対するライカの内心は、落ち着かない様子で先が揺れる尻尾を見れば推し量るのは容易かも知れない。ライカ本人はそんな自覚も無いままに、心なしかいつもよりも眉間の皺が深いようにも思えるギリオンの、その白く凪いだ双眸を真っ直ぐに見つめて。
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