TOP >
1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
4721:
ベル・ミラー [×]
2025-01-09 08:12:03
アーロン・クラーク
( ___朝、最高に機嫌の悪い相手が終始無言で仕事へと向かった後、ホテルの責任者に昨晩の騒動の謝罪と汚したカーペット代を弁償し部屋を元通り綺麗な状態に戻して貰ったのが数時間前の事。綺麗な部屋で今度は至極穏やかな気持ちのままマグカップの中の紅茶を啜って居たものの、本来相手が帰って来る時間になっても一向に部屋の扉が開く事は無い。__昔、そう言えば似た様な事があったと思い出した。あの日は確か相手を部屋に置いて自身が出掛けたのだ。そして帰って来た時相手はもう居なかった。たった一言“家出ですか?”と送った記憶がある。『__仕方ないですねぇ、』誰に宛てるでも無い独り言の様な呟きは直ぐに後を追った紅に消える。中身を飲み干し一息着いてから立ち上がると身支度を整えホテルを出て。__向かった先は相手が勤めるFBIアカデミー。既に殆どの生徒は帰宅していて擦れ違う人は数える程。確りとセットした髪型では無い、降ろしっぱなしの髪ながら特別変装をする事も人目を気にする事も無く普段と変わらぬ飄々とした表情で廊下を進み、やがて相手が居るだろう教官室の前で止まると扉を二度ノックし。中からの返事を待たず扉を開ける。『__わからない箇所があるので聞きに来ました。』相手を瞳に捉えそんな戯言を紡ぎながら扉を閉め、ツカ、ツカ、と目前に歩み寄ると、少しばかり顔を近付ける様にして『まだ機嫌直らないんですか?』と、まるで此方には何の非も無く相手が勝手に不機嫌になっているとでも言うかのような問い掛けを )
4722:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-10 04:34:51
( 夜になってようやく痛みが和らいでは来たものの、昨晩の相手の暴挙によって体調が悪化した事は間違いない。もう殆ど済んではいるのだが、明日の講義に向けた準備に敢えて時間を掛けて教官室で作業を続けていた。---普段であれば相手の革靴の音には耳敏く気付くのだが、此処が大勢の学生が行き交う校内だった事もあり、相手の気配を察知する事は出来なかった。ノックの音に顔を上げ_____相手の雰囲気が普段と違った為、一瞬学生かとさえ思ったのだが。直ぐに其れが相手だと気付けば其の表情には警戒の色が浮かぶ。「作業が終わってないだけだ、_____わざわざ来る必要は無いだろう。」と告げて。 )
4723:
ベル・ミラー [×]
2025-01-10 07:50:05
アーロン・クラーク
( 警戒心の滲む瞳でぶっきらぼうに告げられた言葉に一度視線を相手の手元に落とす。広げられた資料をザッと見てから『__要領の良い貴方なら直ぐに終わるでしょう。』と、肩を竦めるも相手の腕を取り身勝手に帰宅を促さないのは気紛れか。ニコニコと何処かご機嫌な色さえ纏いながら相手から離れるも1人帰る事はしない。先程迄学生の誰かが座って居たのだろう席に腰掛け、既に授業は終わっている為何も書かれていない少しばかり白く濁る黒板を見詰めては『…懐かしい気分にでも浸ろうかと思いましてね。』と、相手を迎えに来た、とは別の理由を答え。『貴方は忘れてしまったかもしれませんが、俺も一応FBIだったんですよ。ちゃんと此処を卒業もしたし別に違法な手を使った訳じゃない。』聞かれてもいない事を饒舌に話し始めたのは機嫌が良いからか。背筋を伸ばし席に腰掛けるでも無く、少しばかり気を緩めているのか頬杖すらつきながら『__俺がもしあのままFBIだったら…貴方の部下だったら、今頃どうなってたんでしょうね。』珍しく“タラレバ”を落として )
4724:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-14 03:09:12
( 珍しく相手は、無理矢理に自分を従わせる事はしなかった。言葉を無視したまま明日以降の講義に向けた準備を黙々と続けていたものの、不意に紡がれた言葉に一度視線だけを持ち上げる。今となっては“犯罪者”である相手も、かつては確かにFBIの捜査官を志した学生だったのだ。一体どういう心境の変化があって道を踏み外したのかは分からないが、あの事件が彼を歪めてしまった事は間違いない事実であろう。直接的な被害者以外に幾人もの間接的な被害者を生んでいる事は当然分かっている。相手のように人生を狂わされた遺族や、全てを崩壊させられた当事者が大勢居る。其の事に対しては当然罪悪感があった。暫しの沈黙の後「_____其の立場を自ら手離したのはお前の判断だ。」とだけ答えて。幾らたらればを言った所で、そもそも望んでFBIを離れたのは相手なのだから未来は変わらないと。 )
4725:
ベル・ミラー [×]
2025-01-14 08:12:45
アーロン・クラーク
__相変わらず“らしい”返事ですね。
( 返って来たのは寄り添いでも何でも無い言葉。なれどこの件に関しては少しも寄り添いなど欲しくは無いし寧ろこの遣り取りが心地良いとさえ思う程で。__それから凡そ1時間程が経ち、ホテルに戻りたくないと言う理由で悪足掻きの如く時間を掛けていたのだろう準備が嫌でも終わりを迎える頃。廊下ではもう足音や話し声はすっかり聞こえなくなっており、此処を出るのは調度良い時間帯だろうと思えば『…そろそろ帰りましょう。部屋はもう綺麗だし、今日は酷い事しないって約束しますから。』と、後者に置いては全く信憑性の欠片も無い言葉と共に立ち上がり結局は相手の返事など無視でホテルへと連れ帰り。__部屋の中は昨晩の騒動を感じさせぬ程綺麗になっていた。血を吸った様に真っ赤だったカーペットは新品の物に取り替えられていて、ガラスの破片も勿論無い。別のワインも用意されている程だ。部屋をぐるりと見回しその完璧さに当事者ながら満足そうに頷いては、さっさとスーツを脱ぎ部屋着に着替え。約半日程誰も居なかった部屋はひんやりとしている。『…“湯たんぽ”必要じゃないですか?』くるりと振り返り至極楽しそうに笑いつつ、数日前に相手が言った“メリット”の必要性を問うて )
4726:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-14 21:51:53
( 明日の講義の準備をしている、と言い張ってアカデミーの教官室に泊まり込む訳にも行かない。結局相手と共にホテルの部屋に戻る事となり、渋々ながらも其れに従って。---“寒さ”は心身を不安定にする。身体の冷えは不調を引き起こすし、不安を煽られる事もあるのだ。相手の言う“湯たんぽ”は、謂わば“添い寝”のことを指しているというのは直ぐに理解でき「______要らない。」と一蹴して。其の後シャワーを浴びて身支度を整えると日付が変わる頃にベッドへと入る。昨晩の出来事が尾を引いて、1日あまり体調が良くなかったため今夜は早く休もうと考えて。 )
4727:
ベル・ミラー [×]
2025-01-14 23:10:24
アーロン・クラーク
( 返って来る返事は100%の確率でわかっていた為『素直じゃないですねぇ。』と肩を竦めるだけで終わらせる。相手がシャワーを浴びた後に立て続けに浴室へと姿を消し戻って来た時には既に相手はベッドに横になっている状態で、掛け布団が僅か盛り上がっていた。その白い山を遠目に数秒見詰めてから何を言う事も無く再び浴室へと戻ると、傷みの無い金髪に生温い風を当て根元から確りと乾かして。__時刻はまだ日付けが変わってから然程経ってはいない。特別眠気も無い今、布団に入った所で結局天井を見詰める暇な時間を過ごす事になると思えば、眠る相手に近付きまだ少し湿っている様にも感じられる焦げ茶の髪に軽く指を通した後、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しソファへと身を沈めると、暇潰しとばかりに世界情勢や経済なんかのニュースをスマートフォンで読み進めて )
4728:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-15 07:34:16
( 相手が浴室へと向かい扉が閉まる音を聞いてから目を閉じる。やがて戻って来た相手が自分の髪に触れた所迄は辛うじて意識があったものの、程なくして眠りに落ちていて。---しかし、穏やかな眠りは長くは続かない。元々体調が良くなかった事も影響してか、酷く鮮明な夢を見た。静寂に沈んだ幼稚園の一室、辺りは血の海で大勢が折り重なるようにして倒れている。その場に立っているのは自分だけで、他には誰も居ない。靴の先に何かが当たり視線を落とした先には妹が倒れていて______思わず伸ばした手で、指先で彼女の髪を撫でた感覚があまりに鮮明だった。彼女はひと目で命が無いと分かる青白い顔をし、美しい若葉色の瞳は闇を湛え暗く色褪せていて。それはいつか見た、あの写真と同じ姿だ。---血の匂いがした気がして、彼女の暗い瞳や髪に触れた感覚があまりに鮮明で、あの日の感情が呼び起こされた。妹をこんな形で失うなんて、側に居たのに助けられなかったなんて、彼女が今後二度と自分に向かって微笑み掛ける事がないなんて______あの日に感じた絶望と恐怖が襲い、飛び起きた時には呼吸は狂い涙が溢れていた。同時に飛び起きた反動で強い痛みが走り、思わず鳩尾を抑えて蹲る。痛みと恐怖と、どうしようもない不安。「_____っ、う゛…ッはぁ……あ、セシリア、っ……」思わず妹の名前を口にしたものの、浅くしか呼吸が出来ない事で息が苦しい。心臓を鷲掴みにされるような強い痛みのせいで身体を起こす事が出来ず、感情を掻き乱され涙が止まらなかった。 )
4729:
ベル・ミラー [×]
2025-01-15 13:44:06
アーロン・クラーク
( __暇潰し予定だったスマホ弄りに何時しか熱中し目の奥の重たい怠さを覚えた頃。眠りに落ちる事は無くともそろそろ身体を休めた方が良いだろうと立ち上がった調度その時。呼吸にあわせて微動するだけだった白い布団が跳ね除けられる様に勢い良く捲り上がり、続けて飛び起きた相手の悲痛な嗚咽が静かだった部屋にやけに大きく響いた。真っ白なベッドの上で身体を丸め蹲る相手は明らかに悪夢に魘され目を覚まし、襲い来る過去の記憶や痛みに耐えようにも為す術が無くなっている状態だとひと目でわかる程。狂いそうな呼吸を懸命に抑え付け落ち着こうとする段階はすっとばした様だ。『__警部補、』やれやれと態とらしく肩を竦め近付き、名前を呼ぶと同時に特別な労り無く相手の身体を抱き起こすも、そこで漸く碧眼から止め処無い涙が溢れている事に気が付く。泣きじゃくる、と言う表現が間違いでは無い状態に何処か困った様に笑うと『そんなに泣いたら明日大変な事になりますよ。』勿論の事狼狽える訳でも無くまるで世間話をする時の様な語調で語り掛けつつ、それでも抱き起こした相手の身体を自身に凭れ掛からせる様にして軽く後頭部に手を添えて )
4730:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-16 09:32:34
( 上手く力の入らない身体を相手に抱き起こされ、それに抵抗することもなく凭れ掛かるように相手に体重を預ける。胸が張り裂けそうな、と表現すべきか。言いようのない感情が胸の内に渦巻き、一時的なものであろうが少しでも気を緩めればこれまで何とか耐えて来たものが崩れ去ってしまいそうな恐怖感があった。妹の優しい笑顔を覚えていたいのに、血に塗れて思い出したくない姿ばかりが脳裏に焼き付いて離れない。つい先ほど触れたような気さえする柔らかな茶髪も、緑色の瞳も、見ることは叶わない。嗚咽を漏らしながが、どうしようもない喪失感を埋めたくて思わず縋り付くようにして相手の肩口へと自ら顔を埋める。今こうして身体が密着し体温を感じることの出来る距離が唯一、空虚な心を落ち着かせてくれるかもしれないと思った。喘ぐような呼吸は治らず、涙は相手の肩を濡らすばかり。強い痛みをなんとか逃がそうとするのだが一向に楽にならず、小刻みに身体を震わせながら相手に身体を寄せ。 )
4731:
ベル・ミラー [×]
2025-01-16 13:15:37
アーロン・クラーク
( 鎮痛剤を服用していない状態で痛みがそんな簡単に治る筈も無く、脳裏に焼き付く過去の残像が消える筈も無い。正しく絶望の中に居る相手が今縋れる唯一の相手は目の前に居る自分だけだと言う優越感は気分を昂らせるには申し分無し。相手の碧眼から溢れ落ちる涙が肩を濡らし感じるその冷たさすらもまた気分の昂りを助長させるものだから、幾分も優しくなれるだろう。『可哀想な警部補。__俺にどうして欲しいですか?貴方がちゃんと自分の口で言えたら、叶えてあげますよ。』縋る様に身を寄せてくる相手の背中をまるで子供をあやす時の様にポン、ポン、と一定の感覚で軽く叩きながら耳元に唇を寄せて紡ぐは甘美な言葉。甘い毒を纏ったその言葉は今相手を甘やかす為だけに向けられ、痛みと苦しみの中、涙声で落とされるであろう要望をゆるりと口角持ち上げたまま静かに待つ事として )
4732:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-19 15:21:09
( 酷く寒さを感じるのだが、それが部屋の温度によるものなのか、或いは埋める事の出来ない喪失感から来るものなのか、判然としない。ただ相手の体温を感じていたくて、相手の赦しが欲しくて、苦しみの中相手に縋った。「_____許してくれ……っ、側に、ッ…居て欲しい、」相手に余り見せた事のない、涙ながらの素直な懇願は、1人きりで絶望に突き落とされる事を怖がるかのよう。震えながら相手のワイシャツを掴み、必死にフラッシュバックの波に抗おうとして。今此の瞬間は、目の前の相手だけが拠り所なのだ。強い痛みに鳩尾当たりを握り締めるように抑え、浅い呼吸を繰り返しながら相手に許されたいと懇願して。 )
4733:
ベル・ミラー [×]
2025-01-19 16:45:12
アーロン・クラーク
( 鳩尾の痛みに耐えながらも懸命に此方に縋り涙と共に落とされた懇願。それを聞き届け『えぇ、えぇ。勿論、俺だけが貴方を許してあげますよ。__此処には俺しか居ないですもんね。貴方が縋れるのは俺だけ。』それで良いのだとばかりに何度も頷けば“俺だけ”なんて、誰より一番許さないくせに息を吐く様にそんな嘘を、相変わらずの演技掛かった口調で紡ぎ。あやす様に背中を叩いていた手を離し、相手の鳩尾を押さえる手の内に滑らせる。今度は力を込め痛め付ける事はせずに親指を動かすだけの僅かな擦りながら『…痛いのは嫌ですよねぇ。…辛いね、警部補。』まるで確りと共感し相手の痛みに寄り添っているのだと思わせる言葉を。けれど直ぐに安定剤なり鎮痛剤なりを持って来ない辺り“そう言う事”だろう )
4734:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-23 14:16:40
( 昨晩の記憶からか相手の手が鳩尾に触れると無意識に身体が強張ったものの、やがて直ぐに緩む。今はただ、相手が自分を“許す”と言い、寄り添う言葉を掛けてくれる事が救いのように思えた。1人ではないと思えるような。震えながらも相手に身体を預け、宥めるよう身体を摩る相手の掌の感覚に意識を向け、やがて少しずつ時間を掛けて身体の震えは収まっていったものの呼吸は浅く繰り返されて。 )
4735:
ベル・ミラー [×]
2025-01-23 19:20:37
( ___クレアに背中を押され“頭より心に従う”のまま飛行機に乗りエバンズと再会し、刑事ではなくなった相手の調子の悪さを目の当たりにしながら何も出来ずワシントンからレイクウッドへと戻ったのがもう数週間前の事。その後エバンズが泊まるホテルの部屋にクラークが居候している事を知らぬまま更に数週間が過ぎた今日。鳩尾を押さえ引かぬ痛みに懸命に耐えるエバンズの姿が頭から離れず、“死”すらも身近にある気がしていた。何か__と思うのに距離的にも知識的にも、何もが無力に思え、出来る事は何も無いのだと嫌でも気付いてしまう。けれど放っておく事は出来ず考えた末が相手の主治医に連絡をし、症状の緩和方法や何時の日かレイクウッドに戻って来た時に出来る何かの話をしておく事だった。「……、」時刻は17時過ぎ。ソファに腰掛けた状態でスマートフォンを取り出し以前登録したアダムス医師の名前を押す。数コール後に声が聞こえれば「__お久し振りです、ミラーです。」と名乗った後「急に申し訳ありません。…エバンズさんの事で話がしたくて、」と、切り出して )
4736:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-23 21:53:12
アダムス医師
( スマートフォンの画面に映し出されたのは、思い掛けない人物の名前だった。此処暫くは“彼”がレイクウッドに居ない事でやり取りをすることも無かった人物。『お久しぶりです、ミラーさん。」と穏やかに言葉を返すと、改めて自分たちが“アルバート・エバンズ”という1人の人間を介して繋がっている事を想う。彼の主治医と、彼の部下_______それぞれが接点を持つことなど普通であれば考えられないのだが、実際に相手とは幾度となく顔を合わせ、やり取りをして来たのだ。『…エバンズさんがレイクウッドを離れた事は、彼に電話を貰って少し前に知りました。ワシントンでは、ミラーさんも心配でしょう、』エバンズの事、と告げた相手の言葉にそう答えると、やはりそれだけの距離があり直ぐに駆け付けられない場所となれば相手も気が気ではないだろうと。 )
4737:
ベル・ミラー [×]
2025-01-23 22:57:02
( 電話口から聞こえる声は久し振りに聞いたものなれど酷く安心出来た。それはきっと相手の事を人としても医師としても信頼しているからに違いない。落ち着いた穏やかな声に釣られる様にそっと落ちた吐息の後、続けられた言葉は思いがけないもので、胸中には安堵と不安が複雑に入り交じる。病院嫌い、医者嫌いのエバンズが自らの意思で相手に電話を掛けた事は安堵に繋がるのに、裏を返せば電話を掛けざるを得ない程に調子が悪いと言う事ではないのか、と。実際久し振りに会ったエバンズは明らかに顔色が悪く痩せても見えた。レイクウッドでは無かった鳩尾付近の痛みに耐える姿も見た。「__そうだったんですね。先生と話が出来て居たなら少し安心出来ました。」此方を気遣って寄り添ってくれる言葉に少しだけ口角を緩めるのだが、不安の全てが払拭出来た訳では勿論無い。「…あの、」と切り出した後「医師に守秘義務がある事は勿論知っています。でも少しだけで良いんです、エバンズさんと話した内容を教えて貰えませんか?…身体の痛みの事、もし何か言っていたら、」主治医と患者の2人の間に全く関係の無い自分が入り込む事は守秘義務は勿論プライバシーの侵害にも関わって来るとわかっている。それでも心に巣食う嫌な感じをそのままには出来なかった。“精神面”では無くレイクウッドでは見られなかった“肉体面”の不安を口にした事で、相手は己がエバンズと少なくとも電話なり何なりで会話をした事は察しただろうか )
4738:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-24 00:32:25
アダムス医師
( 少し前、とは言ったものの彼から電話を貰いワシントンで会ってからもう半年は経っているだろうか。刑事としての仕事を継続しているようだったが、レイクウッドに居た時よりも少し痩せた印象を受けた事はよく覚えている。何より相手から、薬の効きが悪いのをなんとかしたいと、まるで助けを求めるように珍しく電話が掛かって来たのだから。相手の口から出たのは、彼が当時訴えていた体調面の不安と一致するもので、離れて居ても彼が相手に不安を吐露出来ている事に僅かながら安堵した。『______身体に痛みが出る事があって辛いという事は、確かに話していました。薬の効きが悪くなっているようだとも、』少し考えた後に、当時彼と話した内容について告げる。『近くの大学病院は、精神的なものから来る不調にはあまり対処が出来ないと、少し離れた病院を紹介されたそうです。殆ど足を運んでいないようでしたが…同じ薬の処方なら、近い病院で受けられると言っていました。』ワシントンでは抱える不調を、直ぐに誰かに相談する事が出来ない環境に身を置いている事に対して自分も不安を感じていた。身体の痛み、其れも鳩尾付近の痛みを訴える事が多い為に自分が抱いた懸念については、相手に伝えて仕舞えば不安を増長させるだろうと、直ぐに口にする事はせず。 )
4739:
ベル・ミラー [×]
2025-01-24 11:56:50
( 相手の話を静かに聞き、時折1人相槌を打つ。ただでさえ病院嫌いのエバンズが紹介されたとは言え態々遠い病院に行く事は無いだろう。加えて人を良く見る彼は、同じ薬を貰いには行けど大学病院の良く知らない信頼出来ぬ医師に相談をしたりはきっとしない。だからこそ、彼が唯一心を許せて居る相手の居る場所__レイクウッドに戻る事が絶対的に良い筈なのに今はそれが出来ない。刑事では無い彼、あの時の屋上での出来事、捕まっていない犯人。もどかしさが襲う中で1つ小さく息を吐き出してから「…その痛みは精神的なものから来てるんでしょうか。…レイクウッドに居た頃は身体の痛みを訴える事がもっとずっと少ない__殆ど無かったと言っても間違いでは無かったと思うんです。ワシントンで今迄以上に身体にも心にも無理が掛かって出た症状なのか、」“或いは何か別の”と言う言葉を一度飲み込んでから「…エバンズさんには私から聞いたって事を内緒にして欲しいんですけど、彼は今刑事じゃないんです。」少しだけ落ちた声色で一言そう告げる。“刑事”で在り続ける事にエバンズがどれ程拘って居たかは昔からの主治医で“あの事件”を知る相手ならば容易にわかる事だろう。そしてその刑事を辞める事になった彼の心理状態もまた同様に。その事も身体の痛みに大きく関わっているのでは無いかと、原因を疑えばキリが無い状態で )
4740:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-29 00:47:54
アダムス医師
( ______彼がもう刑事ではない、というのは想像もしていなかった事で思わず言葉を失った。あれほど刑事であり続ける事に拘り、多大な喪失と心の傷を負った事件の後でさえ1人で立ち続けてきた彼が。他の何を投げ打っても捜査だけは離れようとしなかった彼が、まさか刑事ではないなんて。ワシントンの地で何があったのかまでは分からないが、少なくとも一番に懸念するのは彼の体調だった。彼が何を言っても聞き入れて貰えないほどに“強制的な”人事異動だったのだとしたら、既に彼はとっくに限界を迎え、その事が周囲にも気付かれている状態だと考えるのは可笑しな事ではないだろう。『……てっきり、ワシントンでも刑事として働いているものだとばかり。エバンズさんが自ら刑事を辞める事は考えられない、となると…身体が心配ですね、』相手の言葉に同意しつつ同じ心配を口にする。相手の心配を増長させてしまうと一度は躊躇した彼の状態に対する自分の懸念は、真剣に向き合おうとしている相手には話すべきなのかもしれないと思い返し、息を吐く。『……実は、少し懸念している事があるんです。半年ほど前にワシントンでエバンズさんに会った時も、身体に時々出る痛みが辛いと言っていました。診察をした際、心臓の音に少しばかり雑音が混ざったのが気になって。』あの日の相手に様子を思い出しながら言葉を紡ぐ。『ただ、私が診察をした時は、発作を起こした直後でした。それが影響していた事を考えると心配し過ぎるべきではないでしょうが…精神的なストレスから不整脈が引き起こされるケースは実際にあります。今彼が刑事として捜査の第一線から離れている事を思うと、少なくとも体調は良くないのでしょう。きちんと検査をして、適切な管理下で休息を取るべきだと思います、』相手の不安を煽らないよう、穏やかな口調ながらそう相手に伝えて。 )
4741:
ベル・ミラー [×]
2025-01-29 13:44:58
( 電話の向こう側で相手が息を飲んだのがわかった。「__きっと、とっくに限界なんだと思います。」溢れた言葉は決して諦めや投げ遣りなものでは言うなれば遣り切れなさが滲むもの。そうして続けられた言葉に今度は此方が言葉を失う事となる。鳩尾付近を押さえ痛みを訴える姿を見はしたがまさか心雑音まで症状として現れていたなんて。不整脈は適切な治療を受けなければやがて心不全……酷いと心筋梗塞にも繋がり兼ねない甘く見てはならない症状だ。此方の気持ちを汲み努めて穏やかな口調を心掛けながら話す相手の医師としての見解、意見、気持ちを聞き次の言葉までの間が空く。“適切な管理下での休息”それはつまり、ワシントン本部では無くレイクウッドに戻る事。此処に戻って来て、彼が唯一信頼出来ている主治医である相手の近くで身体も心も休める事だ。「……何が正解なのかわからないんです、」けれど、たっぷりの間を空けて落とした言葉は酷く不安定なものだった。「…刑事じゃなくなった事で身体に掛かる負担は格段に減ったと思います。遺体を見る事も無い、遺族の泣き顔を見る事も無い、心に掛かる負担もまた同じく減った筈。でも__贖罪の為に刑事で在り続けたのにそれが叶わなくなった今、今度は別の…もっと“無”に近い様な何かがエバンズさんの中にあって、次はそれがエバンズさんの心を壊してしまうんじゃないかって。__何が…どの道が、エバンズさんが一番楽でいられるんだろうって考えるんです。…そんなの私が考える事でも無いし、エバンズさんの人生なんだから、エバンズさん自身が決める事だってわかってるんですけどね。」エバンズと離れ、再び再会してまた離れる。その間に様々な事を考えた。ぽつ、ぽつ、と落とした心の内はどれも全て本音で燻り続けたもの。最後だけは少しだけ声に明るさを滲ませ、お節介な自覚はあると1人小さく肩を竦めてから「それでも__幸せになって欲しいんです、誰よりも。」願うのはたった1つ。誰よりも優しく繊細な彼の明るい未来なのだ )
4742:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-29 14:51:50
アダムス医師
( 相手の言う通り、彼が無理を押して捜査に当たる事は医師としても見逃せない事で心配が募った。しかし同時に、“身体のことを考えて”という名目だったとしても彼が“生きる理由”にまでしていた物を奪ってしまえば、彼は進むべき道を見失ってしまうかもしれない。そうなってしまえば、彼の心が壊れてしまう可能性も十分に考えられた。『______エバンズさんは、刑事であるべき人だと私は思います。もちろん無理をしてまで捜査に没頭したり、心に負担が掛かる事が分かっている現場に赴いたりする事は許容できません。けれど……刑事であろうとする精神力が彼の軸となり、全てを支えている。それを無理やり奪ってしまっては、心が先に壊れてしまう。』刑事であるべき、だなんて苦しむ彼を前に医師が何を言っているのかと思われるかもしれないが、それが彼の軸になっている事は理解していた。『ワシントンの地は、彼にとっては酷でしょう。十数年では町は変わりません。事件があった時に目にしていたもの、歩いていた場所、ほんの些細な事がきっかけでフラッシュバックが起きる可能性は十分にあります。どれほど心身に負担が掛かるか…私としては、近くでケアが出来るレイクウッドで、非常勤から刑事の仕事に復帰するのが最善だと感じます。』_____本当なら、刑事としてあり続ける必要はないと、もう過去からは解放されて良いのだと言いたいのだが、彼はそれを決して受け入れない事は長い付き合いで分かっていた。 )
4743:
ベル・ミラー [×]
2025-01-29 22:20:57
( 刑事かそうで無いか。“0か100”で決めるのが何も全て正解では無い。相手の言う通り刑事で在る為に居られる場所、働き方が必ずある訳で、それは紛れも無く此処レイクウッドだ。きちんと検査をして今ある症状を確認し、療養期間を設け、適切なタイミングで非常勤から最終的に刑事に戻る__それはエバンズが何と言おうと間違い無く最善と言えよう。「…エバンズさんが刑事に戻るその時、近くに先生が居てくれる事が何よりも安心出来ます。」ほ、と小さく吐き出した吐息に乗せた言葉は離れて居たとしてもエバンズと相手との間の糸が少しも切れて無い、緩んでもいない事に無意識に安堵したからか。__けれど、この場で自分達の意見が一致した所で“今”エバンズはレイクウッドに戻る選択をしない。刑事で居られない状態なのに本部に残り続ける理由の中の一つに己が絡んでいる事を知っている。「__先生、」と、一度相手に呼び掛ける。「1年程前、まだエバンズさんがレイクウッドの刑事だった頃…私が薬を打たれて数日入院したのを覚えていますか?」あの日、ビルの屋上で恐怖心を倍増させ幻覚を呼び起こす恐ろしい薬を打たれた日の事をまるで昨日の事の様に思い出しながら「犯人は“あの事件”の遺族で、まだ捕まっていません。エバンズさんが此処を離れた理由の一つに、その事が絡んでるんです。本人はそれを理由にはしなかったけど、犯人が捕まってない状態ではきっと戻って来ません。…あの時、私がもっと注意していればって、今更後悔したって遅い事はわかってるんですけど、」思わず口を付いた後半は、相手に言ってもどうしようも無い事。けれど、ずっとずっと悔やんで来た事なのだ )
4744:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-30 12:47:40
アダムス医師
( 1年以上前、彼が突如ワシントン行きを決めた理由を初めて知る。相手に余計な危害が加わる事が無いように_____過去に取り憑いた亡霊から相手を覆い隠すように、離れる事を選んだのだろう。その不器用な優しさと、時が経っても尚、他に矛先がないがために恨まれ憎しみを向けられ続ける相手が不憫で、小さく息を吐いて。『…死んでいる者と生きている者、それだけの区別で怒りや憎しみと言った負の感情を向けられるのがエバンズさんだけなんて、あり得ない話です。』言葉にはやりきれない怒りが滲む。あれほど傷付き、苦しみ、それでも自分の使命を果たそうと必死に立ち上がる彼の姿を見ても同じ事が言えるのかと。『____ミラーさんが悔やむべき事ではありません。悪いのは犯人だけ。“あの事件”も、屋上での事件も同じです。』決して相手は悪くない、悔やむ必要は何も無いのだと諭した上で『……医師としては、取り返しが付かない程に病状が悪化する前に、レイクウッドに戻って欲しい。1人で苦しませたくないという、…医師らしくない行き過ぎた思いもあるかもしれません、』と少し困ったように笑って。けれど、彼が壊れてしまう前に、1人で苦しみの中を彷徨わなくて済むように、近くで彼を支える一手を担いたいと思ってしまうのだ。“あの事件”が起きてすぐの彼を初めてワシントンの病院で診た時から。 )
4745:
ベル・ミラー [×]
2025-01-30 19:06:14
( __何時だってそうだ。“残った者”に悪意ある矛先は向けられる。例えそれが本来罰せられるべき相手じゃなくとも。大抵の場合自分は無実なのだと訴えるかそんな声も届かない場所に逃げてしまうだろう、けれどエバンズはまるで全ての棘のある言葉を被り、悪だと罵られる事を受け入れ、あまつさえ自身の罪だと心を痛める。相手の言う通り悪いのは犯人ただ1人だと言うのに。__電話口から聞こえる相手の言葉の端々に確かな怒りが滲んでいるのを感じ、心が共鳴する。スマートフォンを握る指先に僅かに力が篭もり爪の先がうっすらと白くなった。「私も同じ気持ちです。本来恨まれるのはエバンズさんじゃない。…身体や心を壊してまで耐える必要なんて、背負う必要なんて何処にも無い筈なのに、__逃げたって、本当は良い筈なんです。」声が震え、一瞬息が喉に引っ掛かったのを1つの深い深呼吸で立て直す。それから2、3深呼吸を続け、最後に力の篭っていた指先が緩んだ時、諭された言葉もまたすんなりと心に届いた。そして相手の思いも。だからこそ緑の虹彩には強い覚悟が灯る。「1日も早く犯人を見付けて逮捕します。…エバンズさんが此処に戻って来れるように__彼の中にある恐怖に私が少しでも関わっているのなら、ちゃんと排除したい。」犯人を逮捕する事、そうしてもう1つ。心にひっそりと決めた覚悟がある。「私がエバンズさんに見せた覚悟は、“傷付いても構わない”って言う自己犠牲だったんです。でも、その覚悟はエバンズさんをただ不安にさせて、余計な恐怖を生むだけだって気付きました。…独り善がりな“大丈夫”では、救えない事……気が付くのが遅いですね。」少しだけ自嘲気味た、けれど決して折れたりネガティブになった訳では無いのは揺るがない口調が物語るだろう )
4746:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-31 00:54:08
アダムス医師
( 相手の紡ぐ言葉が、吐き出す息が震えた後に紡がれた言葉はとても前向きなものだった。彼の事を思い、行動しようとする姿からはいかに相手が、例え遠く離れたとしても彼の事を大切に考えているかが伝わるものだ。『…彼は、周囲の人が傷付く事を極端に恐れます。其れなら自分が傷付いた方がずっとマシだと______もう傷だらけなのに、我が身を差し出そうとする。それはきっと、大きな喪失を経験したからでしょう。どうか、彼の側に寄り添ってあげて下さい。物理的な距離が離れて居ても、心を寄せるだけでも良い。それと、ミラーさん自身も無理をしない事です。自己犠牲は互いの溝を生む結果になりかねませんから、』諭すように言葉を紡ぐと、今はレイクウッドに居ないエバンズに思いを馳せる。彼が少しでも心身共に穏やかに過ごせる事を願わずにはいられない。 )
4747:
ベル・ミラー [×]
2025-01-31 08:12:21
__自分自身を犠牲にするエバンズさんを心配して、大切に思う人達がたくさん居るって事、何時か届くと良いなと思います。
( 彼の自己犠牲は間違い無く“あの事件”が引き金となったのだろう。その場に居たのに目の前で為す術なく10人以上を失いその中には幼い子供も大勢居た。そして彼が大切に思う妹も。大きな喪失感は例えどれ程の時間が経った所できっと完全に癒える事は無く、ふとした時に、ほんの些細な何かの切っ掛けで頭を擡げる。その度に彼は当時を思い出し1人また心を痛めているのだ。もう楽になっても良いのに、幸せになっても良いのに、未来を生きても良いのに。___「例えこの先何があっても、私の心は永遠にエバンズさんの側にあります。」相手の言葉に柔らかく微笑み言い切る。心が離れる事は無いと、そう言い切れる自信があった。途端に心には暖かな光が灯り脳裏には苦しむエバンズの姿では無い、たまに見る事のあるほんの僅か表情を緩める姿が浮かび、それがまた光の鮮明度を高めた気がした。「先生、」と、先程と同じ様に呼び掛けてから「エバンズさんは何時か幸せになれるでしょうか。」そう問い掛けたのは、エバンズの主治医で彼の事を長く真っ直ぐに見て来た相手からの安心出来る言葉が欲しかったからかもしれない )
4748:
アルバート・エバンズ [×]
2025-01-31 11:02:10
アダムス医師
( 彼が抱えた過去でも肩書きでもなく彼自身の事を見て、優しい心を向けてくれる______そんな相手のような存在がエバンズには必要だとずっと思っていた。“あの事件”を経て心に張った厚い氷が少しでも溶け、誰かに開かれる事。心の痛みに気付き、抱え込んだ苦しさを少しでも打ち明けられる事が、前進するきっかけになると。相手からの問い掛けには『勿論、』と頷いた。『何度絶望に突き落とされても____彼は立ち上がろうとしています。…過去が消える事はなく、苦しみが消えるのには時間も必要でしょう。けれど、貴方は許されて良い存在なのだと伝え続ける事、彼が抱えた苦痛に寄り添う事、その小さな積み重ねは確実にエバンズさんを明るい所に引き上げていると私は感じます。特にレイクウッドに来てからは、暗く冷たかった瞳が優しくなった。“苦しい”と声を上げる事も出来るようになった。エバンズさんが笑えるようになって、薬も通院も必要なくなるまで、私も“主治医”として支えるつもりです。』レイクウッドに来て相手と出会ってからの彼の変化を感じていると優しい言葉で紡ぎつつ、医師としての決意も述べる。10年以上の付き合いだが、いつか彼が一切医者と接触する必要がなくなるまでを見届けるつもりだと1人微笑んで。 )
4749:
ベル・ミラー [×]
2025-01-31 13:50:23
( “勿論”と、そう何の躊躇いも無く紡がれた言葉は心を包み込む柔らかな羽毛の如く不安を覆い隠す。そこに明確な根拠は無いかもしれないが彼を真っ直ぐに見て心を寄せてくれる“エバンズの主治医”と言うそれ自体が既に己からすれば何よりの根拠だ。苦しむ彼を前にして何も出来ない歯がゆさは募り、結局は無力な存在なのだと絶望しかけても、“寄り添う事”でほんの僅かでも彼の苦しみを和らげる事が出来るならこれ程嬉しい事は無い。相手の言葉は不安に駆られ霞んでいたその事を思い出させてくれる。__何故だか目頭が熱くなり、今は此処に居ない彼に無性に会いたくなった。「…私も全力でエバンズさんを支えます。」うっすらと濡れた睫毛を指の甲で軽く擦り、相手と同じ決意を告げた後、少しばかり思案する間を空ける。そうして思うのは“繋がり”だ。エバンズと相手は所謂患者と医師の関係で、患者側が治療を必要としなくなれば当然会う事は無くなる。それでも__「…通院が必要無くなった後も本当にたまにで良いんです、先生の仕事が落ち着いてる時や都合があえば__お節介な自覚はあるけど、エバンズさんとの繋がりが切れて欲しくないって思うんです、」“会って欲しい”と第三者の自分は声を大にしては言えないが、僅かでも良い、繋がり続けて欲しいと思うのは、遠くながら少なからず2人の信頼や絆の様なものを感じていたからか )
4750:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-02 05:00:45
( 医師と患者の関係で無くなったとしても、関係は切らずに居て欲しいという相手の言葉に微笑む。一方で『…その時は、エバンズさんが私を友人と認めてくれれば良いのですが。目の敵にされている可能性もありますからね、』彼の望まない事ばかり口煩く促す事になる医師という立場を引き合いに、冗談めかして。電話口の相手の声は当初よりも明るく穏やかなものに変わっていて、少しでも不安を拭えた事に安堵する。また必要があればいつでも電話して欲しいと伝えてその日は電話を終え。---ワシントンで変わらず教官としての仕事を続けていたエバンズは、休みこそ取れるようになったものの相変わらず身体の痛みと悪夢には悩まされる日が続いていた。そんな中、思いがけず“あの日屋上でミラーに薬を打った犯人が捕まった”という一報を聞く事となり。再び相手に危害が加わる事をずっと恐れていただけに、それは心から安堵できる、待ちわびた報告だった。同時に、結果として逮捕までにこれ程時間を要した事を思うと、早々にレイクウッドを離れた自分の判断は間違って居なかったと思えた。現に犯人が逮捕されたのはワシントン内だったのだから。 )
4751:
ベル・ミラー [×]
2025-02-02 10:49:38
警視正
( ___1年以上逃げ回っていた犯人2人組がワシントン市内で逮捕されたと言う報告は直ぐにレイクウッドの刑事課にも伝わりミラーを含めた大勢の警察官が安堵と歓喜に沸いた。それから数週間と経たずしてエバンズの代わりに警部補として赴任して来ていた男性が再び異動になった事で、レイクウッド署の警部補の役職に空きが出た。次の警部補候補を……と考えた時、ウォルター警視正の脳裏を過ぎったのは紛れもなく【アルバート・エバンズ】その人。本部の警視正からエバンズの今置かれている状況は告げられている。一度は此処を離れたもののその理由も知っている。そうしてその理由の内、大きく占める1つの“事件解決”は数週間前の犯人逮捕の一報で叶ったのだ。何も迷う事は無いと、ウォルター警視正が電話を掛けたのは本部で。___レイクウッド側の警視正から連絡を受け、その内容を書き留めてから向かう先はエバンズが働くFBIアカデミー。腕時計に視線を落とし、この時間ならば座学も全て終わり後は翌日の準備だけだろうと生徒の少ない廊下を進み一室の前で立ち止まる。数回ノックをし中から相手の声が聞こえると扉を開け『…ご苦労。暫く顔を出せなくて悪かったな。』と労いの言葉を掛けた後、『大切な話しがあるんだが、今時間は空けられるか?』早々にレイクウッド側からの報告を伝え、相手の気持ちを確認する為にこの後の予定を問うて )
4752:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-02 22:15:38
( レイクウッドに戻る事は出来ないと以前相手に伝えた時、其の大きな理由は犯人が野放しにされていた事だった。しかし犯人が逮捕されたからと言ってレイクウッドに戻るという単純な話でも当然なく、教官として講義を淡々と進めるばかりで生活が大きく変わる事はなく。---その日の座学を終え教官室で教材に目を通していた時、不意に扉がノックされ入室を許可する。学生だろうと思ったものの、立っていたのは本部の警視正で、驚いたように立ち上がり。大切な話、と言われて思い出すのは此処への異動を命じられた時の事。教官の職さえも辞するようにと告げられたら自分には何も残らないと、自然と其の表情は僅かばかり固いものになるのだが、頷く事で相手の言葉を促して。 )
4753:
ベル・ミラー [×]
2025-02-02 22:58:23
警視正
楽にしてくれ。今回はそう悪く無い話だ。
( 驚きに立ち上がった相手に座って構わないと促し自分も相手の目前の椅子に腰掛ける。それから相手自身は気が付いて居るのか、恐らく無意識だろう表情が僅かに固くなると対照的に口角を僅かに持ち上げた緩い笑みを浮かべ、ある種の警戒心の様な感情をおさめて欲しいと。そうやって相手と向き合う形で1つ息を吐き、瞳に真剣な色を携えてから『__1年程前にレイクウッドで君とミラーが関わった事件の犯人が逮捕された事は既に知ってるな?』先ずは数週間前に漸く逮捕された2人組の犯人の話を前置きに、『数日前、ウォルター警視正から直々に君をレイクウッドの警部補に、との打診が来た。前任の警部補は既に異動になったらしく、今空きのある状態だそうだ。…勿論今の君の状況も知っている。__以前同様すぐに警部補として現場に立つのでは無く、向こうできっちりと検査をし身体を休めながら…所謂“非常勤扱いの警部補”と言う形での戻りになるが__君はどうしたい?』電話でウォルター警視正から告げられた内容を静かに話していく。最後に相手が自分の考えを、気持ちを、答えやすい様にと再び表情を緩めて )
4754:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-02 23:58:28
( 警視正が口にしたのは思い掛け無い言葉だった。ウォルター警視正が自分を再びレイクウッドに警部補として呼び戻したいと打診して来たと言うのだから。再び刑事に戻れると言うのは願っても居ない事だったが、迷いなく返事をする事は出来ずに一瞬開きかけた口を噤む。確かに犯人は逮捕されたが、自分がレイクウッドという小さな町に居る事で再びあのような事が起き周囲に迷惑を掛ける可能性はゼロではない。同時に此処数ヶ月はまともに捜査にも出ず、座学の講義をするばかり。時間に余裕ができ、無理をする事さえ無くなった訳だが身体の調子は良くない。その状態で、まともに警部補として勤務する事が出来るのかという不安も拭いきれず、自分を呼び戻すばかりに警部補が非常勤では迷惑も掛かるだろう。見栄っ張りな性格ゆえ、本部でまともな功績も上げず再び出戻る事への気まずさのようなものも僅かばかりあっただろうか。「_____とても有難いお話です。…再び刑事として働けるのは願ってもない事ですが、本当に良いのでしょうか。…何処で、どういう形であれば迷惑を掛けずに居られるか_____正直、今警部補として期待されるだけの働きが出来るかどうか、」と珍しく弱気な言葉を紡いで。けれど、此れを逃せば二度と刑事には戻れないかもしれない。それだけは避けたいという思いもあり、言い淀む。一度全てを失いかけた自分には勿体ないほどの話だからこそ、受けたい気持ちこそあれど即答する事ができなかった。 )
4755:
ベル・ミラー [×]
2025-02-03 00:34:04
警視正
( 真っ直ぐに見据えた相手の碧眼は僅か不安定に揺らいだ気がした。刑事で在る事に拘る相手からすれば唐突に訪れたこの機会は当然逃せられないものの筈だが__何故だろうか、途中長い間が空きはしたが昔から見て来た相手の事、素直に頷く事が出来ないでいるのが手に取る様にわかってしまった。即答出来ず様々な事を考え身動きがとれなくなっている相手に軽く首を振る。『迷惑が掛かると思っているならこの話すらあがって来ないだろ。…それに、ウォルター警視正は最初から何もかも完璧に警部補としての勤めを果たして欲しいとは思っていない。だからこそ“非常勤”と言った筈だ。__焦らなくて良いんだ、エバンズ。君の帰りを待って居る人達がレイクウッドに居て、後は君が“今”どうしたいかが重要だ。』一言一言、静かに語る様に紡ぎながら、相手の口からたった一言“戻りたい”との言葉を待つ最後、『__堂々と警部補席に座ってろ。』と、余りに簡単に聞こえるかもしれないが、そう重く捉えすぎるなと言う意を込めた言葉と共に、口角を器用に持ち上げた笑みを浮かべて見せて )
4756:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-03 01:14:07
( 完璧な警部補で在る事を求められている訳ではない、と相手は言った。別の誰かを据えれば非常勤からのスタートになる事もなくよりスムーズに事は運ぶだろうが、其れでなくとも良いから戻って来ないかと打診されている______それは身に余るほど有難い事だ。“自分がどうしたいか”。意識が途切れそうな苦痛に耐える間、懸命に呼び起こすのは全てレイクウッドの記憶だ。車窓を流れる緑はワシントンの中心部にはない。湯気の立つ紅茶が入ったマグカップも、此方ではあまり使わなくなっていた。本部よりもずっと小さな建物も、執務室に掛かっていた風景画も、出張先で見たステンドグラスも、緑色の瞳も。その全てが、夜の暗闇の中であっても自分を正しい場所に引き戻す。「______レイクウッドに、戻らせて下さい。」再び相手を見詰めた瞳に不安定な揺らぎはなく、いつも通りの光が宿っている事だろう。レイクウッドは自分にとって“戻りたい”場所だ。「本部に来たいと我儘を聞いて頂いたのに、申し訳ありません。」正に我儘を聞いてもらった相手には何も恩を返せずに再びの異動となる事を謝罪する。けれどもう一度刑事として、レイクウッドで働ける事は間違いなく喜ばしい事だった。 )
4757:
ベル・ミラー [×]
2025-02-03 08:10:21
警視正
( 暫しの間の後、此方を真っ直ぐに見た相手の瞳には先程までの不安定な揺らぎは無く見慣れた光がチラついた。__言うなればそれは“刑事”である事の光か。久々に見た気がする意志のある相手の瞳を見詰め返し、言葉を聞き、至極満足そうに頷けば『あぁ、勿論だ。君の返事は今日中にウォルター警視正に伝える。…此方の引き継ぎの事は何も気にせず、準備が出来次第戻って構わないからな。』相手が気にするであろう此処での業務や代わりの教官の事は何とでもなると先に伝える。実際此処の教官は相手が思う以上に沢山居るのだ。立ち上がり扉に歩みを進めた時に続けられた謝罪にも、返す返事は決まっている。振り返ったその瞳に浮かぶ色は優しく、『謝る必要は無い。__あぁ、そうだ。署員達は最後に飲み会を開くと言うだろう、ちゃんと出席してやってくれよ。』不甲斐無さも、罪悪感も、何も感じる必要は無いと。相手の活躍を遠く応援していると言葉にはせずとも伝わるだろうか。最後に少しだけ肩を竦め軽い口調でそう伝えた後は、今度こそ部屋を後にしその足で直ぐに自室へと戻りレイクウッドで返事を待つウォルター警視正へと電話を掛けるだろう )
4758:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-03 14:18:05
( 二度目のワシントンでの生活は大変な事の方が多かったのだが、間違いなく人には恵まれた1年半だったと言えよう。---その後は教官として使っていた教材や入校証やらを返却し、引越しの準備が始まった。引越しとは言え、本部の執務室は既に明け渡している上、ホテル暮らしをしていた為大きな家財道具も無いのだが。其れと時を同じくして、レイクウッド署ではウォルター警視正が“周知すべき決定事項”を伝える為に刑事課に訪れていた。『皆、聞いてくれ。ドリー警部補の異動に伴う後任人事が決まった。後任は本部から、来週には着任する予定だ。厳しい事で有名だが、腕は確かだ。』一時的に空席となっていた警部補の座に着任する人物について淡々とその人物像を紹介しつつ、不意に笑みを浮かべて。『_____エバンズ警部補、と言えば分かるな。』フルネームで紹介せずとも皆分かるだろうとフロアを見回す。一瞬沈黙が広がったのち、直ぐにエバンズが戻って来ると理解した署員たちによって騒めきが大きくなる。サプライズが成功した事に1人満足げな様子だった警視正は、相手と視線を合わせると笑みを浮かべ、片目を閉じて見せた。 )
4759:
ベル・ミラー [×]
2025-02-03 17:42:20
( ___ドリー警部補が異動し刑事課が纏まらなくなった、忙しくなった、と答える署員は正直な所居ないに等しいだろう。それ程迄に言ってしまえば“難ある人物”だったのだ。彼が異動し空席となっていた警部補専用の執務室に明かりが灯る事は無く再び主人を失った部屋は冷たい空気の中に包まれていたのだが。__その日は突然訪れた。刑事課フロアに来た警視正が皆を集めて告げたのは当然誰も予想すらしていなかった事。周りの騒めきが何処か遠く聞こえ、棒立ちのまま警視正をただ見詰める事しか出来ない。隣に居たアンバーが震える声で『良かったね…っ、ベル。本当に良かった、』と、珍しく抑えられない感情のままに此方の心に寄り添ってくれたのだがその声すらもすんなり入って来ない程の衝撃だった。__報告を終えた警視正が刑事課フロアを出てから数分、後を追うようにして小走りに向かった先は警視正が戻った専用執務室。ノックの後入室を許可する声に部屋へと入れば開口一番「…さっきのあれ、確定ですか!?エバンズさんが戻って来るって、」渦巻く様々な感情を懸命に抑え付けようと努めるのだが、端々に何処と無く興奮の滲む声色で今一度、確りと聞きたいのだと )
4760:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-03 19:34:52
ウォルター警視正
( バタバタと足音がして部屋にやって来たミラーの第一声に頷くと『あぁ、正式に決まった事だ。本部での手続きは全て滞りなく終わったと聞いている。』と伝えて。良かったな、と付け足すと、抑えきれない感情が覗く相手の肩をポンポンと叩いて。『レイクウッドに戻る事を打診したのは私だが、意向を確認した所エバンズからも“戻りたい”と好意的な返事が返ってきた。…住居を整える為に、そろそろレイクウッドに戻っていてもおかしくないな。』彼も此処に戻りたがっていたと告げつつ、早ければそろそろレイクウッドに着いている頃かもしれないと。彼が相手も含めレイクウッド時代の知り合いには何も言わずに異動の準備を進めている事は知っていた。この場所に愛着を持っていた事がバレるのが気恥ずかしいのか、これほど喜んで歓迎する者が居るというのに頑なな態度だと肩を竦める。『_____皆にはまだ伝えていないが、初めは非常勤で勤務して貰おうと思っている。私も向こうでの事は聞いている、きちんと身体を休める時間が必要だろう、』と告げて。 )
4761:
ベル・ミラー [×]
2025-02-03 21:18:39
( 肩を軽く叩かれ漸く深く息を吐き出す。__戻って来るのだ、やっと、約1年半待ちに待った上司が。彼自身が“戻りたい”と言ったのならそれはもう疑う事の無い決定事項だろう。「…ありがとうございます…っ、」相手からの打診が無ければ彼はずっと本部に居続ける選択をした筈だと思えば感極まった様子で頭を下げて。着任は来週からかもしれないが、既に彼は此方での住居の整えや諸々の準備の為に戻って来ているだろうとの事。飛行機に乗らずとも会いに行ける距離に彼は居る、今直ぐ電話を掛けて会いに行きたい気持ちを飲み込み、少しばかり真剣な口調で続けられた言葉を聞き届け頷けば「此処には警部補が信頼する主治医も居ます。…どんな形であれ、私を含めた署員全員が、警部補が戻って来る事を歓迎しています。」“エバンズさん”では無く、普段上司や他の署の人の前で彼を呼ぶ時の呼び名で言葉を返す。それは確りと落ち着きを取り戻した事の証明で。この打診の話を相手が持ち出した時、フロア内は大きく響めいたものの、その何処からも溜め息や不満があがる事は無かった。それはきっと、萎縮したり厳しく怖い上司だと思う事はあれど皆がエバンズの事を認め少なからず信頼を置いているからだろう。___部屋の壁に掛かる時計の針は16時20分を指していた。警視正に今一度深々とお辞儀をして部屋を出る。途端に一度は抑え込んだ気持ちが溢れ、それが視界を滲ませるのだがこんな所で泣いていては擦れ違う人達に心配を掛けるだけだと深く深呼吸をし仮眠室へ。内側から鍵を掛けて取り出したスマートフォンで電話を掛けるのは勿論エバンズその人にだ )
4762:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-04 06:27:56
( 警視正の読み通り、ワシントンで世話になった人たちに礼を言いスーツケースと共に飛行機に乗り込んだのは朝の事だった。ジョーンズも自身の復帰を喜び、また応援でレイクウッドに行った時には食事に付き合うようにと笑って送り出され。---一度不動産屋と連絡を取り、以前住んでいた部屋には既に別の人が住んでいる事だけ分かったものの、内見もしていないため家を決める事はしていない。仕事に使う物は直接署に送り、その他の私物は全てスーツケースの中に入っていた。ホテルに泊まり、週末にでも家を探せば良いだろうという考えでチェックインしたのがつい先ほどの事。長距離移動というのはやはり疲れるもので、1階のコーヒーショップで珍しく温かいカフェラテを購入しソファに身体を預けて。窓の外に広がっているのは、懐かしいレイクウッドの景色だ。ちょうどスマートフォンが着信を知らせ画面を見ると、表示されていたのはミラーの名前。警視正から聞いたのだろうと思えば、電話に出る。「______そういう事になった、」事前の報告もなく第一声が其れかと怒られそうなものだが、そうひと言。「また世話になる。」と伝えて。 )
4763:
ベル・ミラー [×]
2025-02-04 07:54:41
( ___何が“そういう事になった”だ。電話口から聞こえた相手の第一声は何の説明も主語も無い、此方が警視正から何も聞いていなければちんぷんかんぷんなもの。出て行く時も帰って来る時も事前報告一つ無いそれが相手らしいと言えばらしい気もするが。「…それ、通じるの私だけですから。」感極まった感情も引っ込み誰も居ない仮眠室で1人肩を竦める。やれやれと吐き出した溜め息も、2人だけの会話なのに使った態とらしい敬語も、結局向ける相手が彼ならば絆されてしまうのが道理か。僅かの沈黙を置いて次に吐き出した吐息は呆れの溜め息では無く安心から出たもの。それに釣られる様にして表情は微笑みに変わり、そうなればもう行動は早い。相手が今居るホテルを聞き、会いたいからと指定した時間に外に出ていて欲しいと一方的に要求して電話を切る。__その日の仕事を全て終わらせ署を出たのは17時を少し過ぎた頃。車を走らせホテル入口に車を停めたのは約束の時間の少し前。既にそこには相手が立っていて、姿を見ると助手席側の窓を開け僅かに身を乗り出し「__乗って。一緒に夕飯食べよう。」と告げて )
4764:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-04 13:32:40
( 勝手に予定を決めるなと言いたい所だが、わざわざ飛行機に乗ってワシントンまで来させた借りもあるというもの。それに飛行機に乗らずとも約束をすれば直ぐに顔を合わせる事の出来る距離になったのだから。約束の時間にホテルの前に立っていれば見慣れた相手の車。夕食を食べるとは思って居なかったものの、助手席に乗り込めばシートベルトを締める。久しぶりな筈だったが、相手の車も、運転席に座る相手も、助手席から眺める景色も何も変わっていない。それが妙に安心出来るのだ。「_____そんなに腹は減ってない。」と、再会を喜ぶでもなくあくまで“普段通り”の言葉を。しかし車が動き出す前に、小さな紙袋を相手に渡す。「最後のワシントン土産だ。」中に入っているのは、以前相手が訪れた時にも買ったドライフルーツやナッツの入ったチョコレート。それだけ相手に押し付けると、おとなしく窓の外に視線を向けて。 )
4765:
ベル・ミラー [×]
2025-02-04 16:01:16
( 助手席に座る頭一つ分以上違う相手。背凭れを倒していない時は真っ直ぐに背筋が伸びていて高潔たる姿なのも、シートベルトを締める時の間横から見る顔付きの端正さも、見慣れていた筈の全てが無性に懐かしく思えて再び湧き上がる感情の波を誤魔化す様に小さな咳払いを一つ落とし。相変わらず食事に興味の無い相手は例えお腹が空いていたとしても後回しにするか、適当な物で腹を満たすだけだろう。久し振りの再会にも関わらず何処か素っ気なくすら聞こえるその“らしさ”に微笑み「お腹が減ってなくても食べたくなるものだよ。」と、何故か自慢げな言葉を返し出発しようとするのだが。__ふいに差し出された小振りの紙袋はその絵柄に見覚えがあった。中を覗き込めばこれまた見慣れた箱が入っていて、相手の言葉で記憶が一致する。こうして好みのチョコレートをお土産として買って来てくれると言う事は、少なからず相手の中に己の存在が居ると言う事ではと自負するのは都合が良すぎるだろうか。隣に視線を向けるも既に相手は窓の外に顔を向けていて、その表情を伺い見る事は叶わない。けれど心に灯った確かな喜びと幸せな気持ちを抱え「__ありがとう、エバンズさん。大切に食べるね。」と、素直なまでの感謝の言葉を送り緩む口元をそのままに車を走らせて。__相手は何処かのお店で夕飯を食べると思っただろうか、だとしたらそれは間違いだ。車を停めた先は自身の部屋のあるマンションで。「…着いたよ。」エンジンを切り共に降りるのだとばかりににこやかな笑みを送れば、相手の前を歩き先に部屋の鍵を解錠して )
4766:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-05 07:53:20
( 窓の外を流れる景色には緑が多く、ワシントンのように人通りこそ多くないものの安心出来る懐かしい風景だった。車が見覚えのある場所を走っていると気付いたのは、車が停まる少し前の事。案の定停車したのは相手のマンションの駐車場。「______お前の家で食べるのか?」と、想定外の場所での夕食について相手に尋ねたものの、促されると車を降り相手の後を歩いて部屋へと向かい。相手の部屋を訪れるのは久しぶりの事だったが、変わらぬ空気感に安堵したのも事実。レイクウッドを離れる前は、この部屋で相手と共にテーブルを囲み隣で眠った事が何度もあった。恐ろしい夢を見ても、苦しさに喘いでも、この場所なら安全だと思えたのだ。ソファに腰を下ろし見回した室内は、所々インテリアが変わっているくらいで大きな変化はない。その見慣れた、温かみのある部屋は心を落ち着けた。 )
4767:
ベル・ミラー [×]
2025-02-05 13:28:47
そうだよ。ポトフだったらお腹減ってなくても少しは食べられそうでしょ?
( その問い掛けで矢張りお店での夕飯が頭にあったのだと確信を得る。一度振り返り頷く事で肯定を示し。__1年半程前は比較的多いペースで此処を訪れていた相手。その多くは決して相手からの申し出では無く此方が今日の様に夕飯に誘ったり何の理由が無くとも“お泊まり”をしたいと言い仕方無さそうに“好きにしろ”と言われたからだ。基本的な家具の配置は変わっていないものの、調理器具として圧力鍋が増え、棚も増えた。ソファのクッションも古くなってしまった為新調してついでにカバーもお店で一目惚れした北欧雑貨に良く使われる様なポップな、それでいてゴチャゴチャしている訳では無い花柄模様を選んだのが数ヶ月前の事。__「何か__、」“飲む?”と言葉は続かなかった。ソファに腰を下ろす相手のその姿が余りに久々で、でも何故か不思議と遠い懐かしさは無くて、有り得ないのにまるで何時も当たり前に居た様な気さえする中。嗚呼、戻って来たんだ。そう確りと心に落ちた時、何を考えるよりも早く足は動いていた。相手の傍らまで歩み寄り、隣に腰掛ける様にして回した腕は背中へ。そのまま何か言葉にする事は無く肩口に額を押し付ける。__ふ、とエバンズは幸せになれるかと聞いた時のアダムス医師の“勿論”と言う即答の返事を思い出した。非常勤からの始まりは100%相手の望む形では無かったかもしれないが、それでも再び刑事として立つ事が出来るし、主治医が近くに居る此処に戻って来れた。此処からきっと、少しずつ、実感するのが難しい程小さな歩幅かもしれないが確実に進んで行ける筈だと。そしてそれはきっと“幸せ”に続くと信じたい。良かった、本当に良かった。言葉にする代わりに回した腕に僅かに力を込め、渦巻く様々な感情が溢れ返る事を防ぐ為にきつく双眸を閉じた時、瞳を濡らしていた涙が睫毛を湿らせたのがわかった )
4768:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-05 16:31:29
( 不意に相手が此方にやって来るのが見えて顔を向けた時には、相手に抱き竦められている状態だった。背中に回された腕はいつもより力強く、肩口に顔を押し付けられると暫し行き場を失い静止していた腕をやがて相手の背中へとそっと回して。上司という立場上“寂しい思いをさせた”というのは少し違うだろうが、何も説明せず一方的に距離を取ったのは確か。「______悪かった、」落とした謝罪の言葉は何に対するものか。多くを語らぬままレイクウッドを去る決断をした事に対してか、1年半前相手を危険に晒した事に対してか。「此処で、もう一度やり直す。」続けたのは自分自身の決意とも言えよう。ワシントンで崩れてしまった様々な均衡をもう一度整えて、刑事としてしっかり立っていられるように。非常勤からの復帰には不甲斐なさも感じるものの実際に今はそうせざるを得ないというのも自分で理解している。無理が効かない程に体調は思わしくないもので、戻って来て早々に迷惑をかける訳にはいかないという思うからも受け入れざるを得ない提案だった。「……本部では、何も上手くいかなかった。」溢れたのは胸のうちにずっと抱えていた思い。自分で希望して異動したはずが、功績を上げる事は愚か足を引っ張るばかりで、早く務めを果たさなければと思うのに身体がついていかずに焦りばかりが募りずっと苦しかったのだ。やるせない思いのまま相手の肩口に顔を埋めると深く息を吐く。けれど。レイクウッドに戻った以上“今度こそは”しっかりとやらなければならないと。 )
4769:
ベル・ミラー [×]
2025-02-05 19:40:57
( 鼻腔を擽る柔軟剤の香りは“良く知った物”では無い。きっとホテルのコインランドリーの柔軟剤の香りなのだろう。___何とも言葉に出来ぬ、それでも間違い無く悪い物では無い感情を落ち着けるのは何時だって相手の体温か。背中にそっと回された腕は酷く安心出来て、続けられた主語の無い謝罪に漸く顔を上げる。至近距離で見る相手の瞳は変わらず美しいと感じる碧で。「何も謝る事なんて無いよ。…でも、帰って来る時くらい一言あっても良かった筈。」先ずは首を軽く左右に振る事で謝罪に応え、続けて少しだけ文句を口にするのだが、裏腹に瞳に揺れる柔らかな色と、穏やかな声色で本気で怒ったり悲しんだりしている訳では無いと伝わるだろうか。__“もう一度やり直す”、それはとてつもなく大きな決意に聞こえた。一度全てを失い掛けた相手だからこそ、次こそはと感じるその重みが違う筈。けれどそれは表裏一体の危うさも孕んで居ると感じていた。だからこそ己の肩口に顔を埋めた相手の後頭部を優しく、優しく、何度も撫でながら、溢す様に落とされた思いに「__此処にはエバンズさんの力になりたいって思う人達が沢山居る。勿論私もその内の1人ね。…エバンズさんが抱えるものを一緒に持ちたいし、それを迷惑だなんて少しも思わない。…1人で全部抱えて無理をしたら、また上手くいかない事が出て来ちゃうかもしれない。だから、“もう一度やり直す”為のお手伝いをさせて。」静かに、諭す様に、相手は1人では無いのだとその心に届く様に言葉を連ねて。一度浅く息を吐き出した後、「……エバンズさん、」と呼び掛けて続けたのは「私が“あの事件”の関係者に傷付けられる事、怖い?」との言葉。そんな事態々聞かなくたってわかる問いながら、そこには余りに真剣な色が纏われていて )
4770:
アルバート・エバンズ [×]
2025-02-05 23:21:29
( レイクウッドに戻る事を伝えなかったのは、一重に後ろめたさのような物が拭いきれなかったからだ。レイクウッドに戻りたいという思いは確かにあったが、本部での役割も満足に果たさず、自分が望む仕事が出来る場所へ犯人が逮捕されたというだけで戻ることを決めた事は、自分の中で胸を張れる事ではなかった。けれど報告すべき事だったとは理解していて「……そうだな、」と頷くに留めて。相手は“やり直す”為にまた躍起になってしまう自分の性格をよく理解している。完璧を求めて、現実とのギャップに焦って無理をする、その負のスパイラルに陥りかねないことをよく知っているからこその言葉だと思えた。呼びかけに相手と視線を重ねれば、真っ直ぐに投げ掛けられた質問に少し言い淀む。「_______怖い、」やがてひと言だけ、嘘偽りのない肯定をすると「近くに居るからという理由だけで、必要のない悪意がお前に向くのは堪らなく怖い。」と、素直なまでの感情を紡いで。 )
4771:
ベル・ミラー [×]
2025-02-06 00:08:55
( 沢山の時間を掛けて相手が紡いだのは気持ちに素直な嘘偽りの無い肯定だった。その真っ直ぐな恐怖を聞き届けて浮かべた笑みと共に小さく頷いた瞳には“覚悟”が宿る。髪を梳く様に撫でる手は止めぬまま「__…ずっと考えてた。エバンズさんが“怖い”と思うその中に私が居るのなら、私自身でちゃんとその恐怖を無くしたいって。__私が言う“大丈夫”は、傷付いても構わないっていう独り善がりな覚悟だったよね。その言葉でエバンズさんが安心出来る筈なんて無かったのに、気が付けなかった。…余計に怖い思いしたね。」“ごめんね”と付け足し、静かに相手の後頭部から手を離す。それから「…此方見て、」と呼び掛け、顔を上げた相手と瞳が重なったのならば、優しく、穏やかに微笑んで見せて。「___エバンズさんが抱える恐怖を少しでも消す事が出来るなら、この先の捜査で一緒に組む事が無いように警視正に頼んでも構わない。」“あの事件”に関係する人が己を狙うとしたら、それの多くは相手と共に捜査をする姿を見て“バディ”だと判断するからだろう。聞き込みで、テレビで、どうしたって2人一緒に居る姿は世間に出てしまう。先ず自分が出来る目先の事はそれだと、真っ直ぐに告げた言葉には少しの揺らぎも無く )
【お勧め】
・初心者さん向けトピック
[0]セイチャットTOP
[1]1対1のなりきりチャット
[9]最新の状態に更新
お問い合わせフォーム
(C) Mikle