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白む空に燻る紫煙 ---〆/4419


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自分のトピックを作る
4369: ベル・ミラー [×]
2024-08-18 14:38:04





( 静かに紡がれていく可能性の話を最後迄聞き、一度頷きを落とす。仮にジェイがハンナの関与を認めたとしても彼女が否定し証拠が無ければそれはただの虚言となる訳で、相手の言う通り彼女を有罪にするのは余程の事が無い限り極めて難しい状況だろう。「……出来る事は全てやりますが、それで証拠が上がらないのなら…__一先ずジェイを逮捕します。」悔しさを滲ませたまま言葉を切り先ずは目前の男を、と相手と共に取調べ室へと戻り。ジェイに逮捕を告げ再び話を聞く為ハンナに会うが彼女の証言は変わらなかった。リリーの妊娠の事は知らなかったを繰り返し、ジェイが犯行を認めた事を話しても一切関与はしてないと。加えて疑いが晴れるならと、渋々ながらにも携帯とスニーカーの提出にも応じてくれて、その靴裏から遺体発見現場の土砂の成分は発見されず、携帯の全てのデータからも今回の事件に関与している様な証拠は見付ける事が出来なかった。__結果的にリリー殺害事件はジェイの単独犯と言う事で無事解決した訳なのだが。__「お疲れ様です。ありがとうございました。」お礼と共にダンフォードに差し出したのは自販機で買った缶コーヒー。“もう一つの事件”が解決していない以上、マグカップでコーヒーを淹れるなんてとてもじゃないが出来ない。自分の分のカフェラテの缶を両手で包みプルタブを見詰めながら「…動機は何なんでしょう、」と呟く。突拍子も無いその言葉だが、解決した以上リリー事件の話をしている訳では無いと言う事は伝わるだろう )






4370: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-25 22:45:11

 




ルイス・ダンフォード


( 結果的にジェイの単独犯と言うことで事件にはかたが付いた。労いの言葉と共に渡された缶コーヒーに礼を言って受け取るのだが、それが“自販機で購入した飲み物”である事が今の相手にとっては意味がある事なのだろう。プルタブを開けて中身を呷りつつ相手の呟きに視線を向ける。今回の事件に関してではなく、エバンズの事を言っているのは間違いない。『…あいつは不器用で誤解されやすい。その所為で昔から、周りからの恨みを買いやすかった。あの性格だ、言葉はキツいし一切友好的じゃない。なのに同年代の中では出世頭で、顔も稼ぎも良いだろ?』冗談を交えつつ、一方的に妬みや恨みを買いやすい奴なのだと。しかしその後少しばかり真剣な表情になると手元へと視線を落とす。『ただなぁ、…時々あいつが、自分から周囲に恨まれるように仕向けてるんじゃないかと思うことがあるんだよ。仕事内でのいざこざなんてのはあいつは一切気にしてないから良いんだが、“あの事件”が絡んだ時だ。あれは、あいつが1人で背負うような規模の話じゃない。なのに、あることないこと言われても言い返す事もせず、周囲から恨まれる事が過去への償いかのような顔をして受け入れる。それが俺は気に食わねぇ。』あの一件での誹謗中傷を全て受け入れ、周囲から許される事を自ら避けているかのような彼の態度はどうしても納得がいかないのだと告げて。『動機が何かはまだ分からんが、例の事件絡みじゃなければ良いとは思っちまうな。…ただ、明確な殺意があったのは間違いない。あいつがこれまでに担当した事件関係の恨みか、計画が頓挫した犯罪組織かなんかのターゲットにされたか…考えられる動機自体はそう多くは無さそうだが、絞るのは骨が折れそうだ。』現時点では何故エバンズが標的となり命の危険に晒されたのかは憶測にしかならないと肩を竦めて。 )








 

4371: ベル・ミラー [×]
2024-08-25 23:49:48





( 相手が紡いだ冗談には顔を上げ小さくはにかんで見せる。そうしてエバンズが此処に赴任して来た時を思い出す。__署員達からは“本部から来たエリート様”と呼ばれ、当時彼の纏う威圧感や冷たさから好んで近付く者は疎か、必要な仕事の話ですら行きたがらない人が多かった。皆が萎縮し暫くの間は刑事課フロアに何とも言えない重たい空気が漂っていたように思う。“エバンズの顔が良い”と初めて思ったのは確か【ソフィア】が彼にアプローチをした時だ。あの時“カッコイイ”と言ったソフィアの言葉で確かにエバンズは整った顔立ちをしている、と気が付いたのだ。__何だか最近の様な気もするし、もっともっとずっと昔の様な気もする過去に何故かわからないが目頭が熱くなり、一度相手から視線を落とし再び缶を見詰めるも、ふ、と相手の言葉に真剣な色が滲んだのに気が付き顔を上げる。相手が言う“あの事件”とは間違い無く“アナンデール事件”の事だ。そうして相手が感じる“気に食わなさ”を己もまた同じ様に感じる事が多々あるのだ。「…エバンズさんは何時だって自分を守らない…。本当は痛い癖に、苦しい癖に、…そう言う…“負の感情”全部に蓋をして……悪夢に魘される度に薬を飲んで、それで、っ…エバンズさんだって“遺族”なのに、悪いのはあの時の犯人だけなのに…!」相手が紡ぐ言葉に心が引っ張られたか、思わず言葉の端々が震える気持ちが溢れ出した。もう苦しんで欲しくないのに、痛みから遠い所に心を置いて欲しいのに。“助けて”と口にする事すら躊躇うエバンズは一体何時になれば救われるのか。一体何時になれば彼を“悪”だと言う人達は居なくなるのか。缶を強く握る事で昂った感情を落ち着かせようと努め、深く息を吐き出してから「……もし犯人の動機が“あの事件”に関係しているなら、エバンズさんには伏せたいです。…知ったら、また苦しむ事になる。エバンズさんを狙った訳じゃなくて“誰でも良かった”って…そう、嘘を、」瞳に宿るそれは懇願。その嘘がバレずに時が経つ事なんてほぼ不可能なのに、わかってはいるが、そう願わずにはいられないのだ )






4372: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-28 02:31:36

 





ルイス・ダンフォード


( 自分の些細な冗談に、相手が過去へと想いを馳せた事は知る由もなく相手へと視線を向ける。どうやら自分が抱いていたのと同じような“気に食わなさ”を相手もとうに感じていたらしい。『…あいつは生真面目が過ぎるんだ。その上不器用で人に頼るのが苦手で_____全てを背負う必要なんて元から無かった。弱音を吐いても、傷付いている事を叫んでも良かった。なのに誰にも弱い自分を見せようとしない見栄っ張りだ。手の掛かる困った奴だよ、』彼が傷つく度に、それを外に出すまいと必死に自分の中に押し留めようとする様子を見る度に、どうしようもないやるせなさを感じるのだ。もっと楽に生きて良いと、抱え込もうとしているものを吐き出して良いと言ってやらないと潰れてしまいそうで。冷たい表情を浮かべ凛と立っている彼の中に、今にも押し潰されそうな不安な顔をした少年のような姿を見るのだ。だからこそ、平気で彼を傷付けようとする存在が、今回の事件のように見当違いな恨みを一方的に抱いているのであろう人物のやり口が許せない。『……嘘で真実を隠し通すのは難しい。今は犯人の動機がなんだったのか、毒を盛ることができた人物の特定に集中しねぇとな。』相手の懇願に対してそう言葉を掛けて。---スマートフォンが着信を知らせたのはその時だった。成分の解析を依頼していた鑑識官からの電話で、すぐにボタンを押して電話に出ると相手に紙とペンを要求する。詳しい成分はメールに添付したが、毒物が検出されたと。反応が出たのは主にマグカップの飲み口、底にも成分が残っていたが数時間で死に至るような所謂“猛毒”ではない。検出された毒によって殺害を企てたのだとすれば、少なくとも10日以上掛け体内に蓄積する毒物が致死量に達するのを待つという地道な方法になると。“仮にこの毒を毎日同じ量、結果的に致死量近くまで飲んだとすれば最終段階では痙攣やせん妄、呼吸困難などの明らかに異常な症状が出る筈だ。病院にかかる事もなく突然倒れたなら、かなり周到に摂取させる量を調整していた可能性はあるな”と電話の向こうで鑑識官は見立てを伝えて。 )








 

4373: ベル・ミラー [×]
2024-08-28 14:27:57





( 相手が語るそれらは全て真っ直ぐにエバンズを見て確りと心を向けている事が現れているもの。彼は今尚過去に苦しみ、癒える事の無い痛みを抱え生き続けて居るものの、相手の様な存在は彼に絡み付く闇に光を注ぎ、確かな温もりで以て守っているのだろうと感じる。だからこそ「__何時かエバンズさんの抱える痛みが消える事を願ってます。0にはならなくても、僅かでも薄れれば、…その為なら私は何だってするし、例え嫌がられても病院にだって連れて行きます。」前半は確かな意志の籠る言葉で、最後は何かと理由を付けては病院・医師から逃げ回る彼を思い出し少しだけはにかみを交えつつ「…絶対、口煩い生意気な部下だって思われてるでしょうけど。」と、笑みのまま締め。無理だとわかっていた懇願は、矢張り通す事は出来なかった。犯人に嘘の動機を述べさせる事も、供述を書き換える事も、何もかもが出来ない中当たり前と言えば当たり前なのだ。彼を守る為の嘘を並べるより、今やらなくてはいけない事がまだある。相手の言葉に大きく頷いたその時、ふいに相手のスマートフォンが着信音を鳴らし続いた会話で電話の相手が鑑識官なのだとわかれば、要求通りに紙とペンを渡しその内容を見守り。__数十分後、鑑識官と話し終えた相手はその内容を口にした。矢張り毒の付着したマグカップを定期的に使った事が原因で、それには思わず視線が落ちるのだが兎に角犯人を特定しなければ。「署員なら怪しまれず此処に来る事は簡単な筈。…10日__念の為2週間前から遡った防犯カメラの映像を確認します。この部屋の入り口が映るカメラはフロアの角にあるやつだけなので、」例えどれだけの量があろうとも1日も早く、徹夜をしたって関係のありそうな、怪しそうな人達全てを洗ってみせると。後はどうかエバンズが無事に目を覚まして欲しいと願うばかりで )






4374: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-28 22:08:10

 





ルイス・ダンフォード


( 昔から付き合いのある自分やジョーンズを除いて、あの事件以降誰に対しても固く閉ざされていた心が相手にだけは開いているような感覚は度々感じていた。そして今は、相手のような存在が彼のすぐ側に居る事に安堵と嬉しさを感じる。防犯カメラの映像を確認すると言った相手の言葉に頷き『皆が退勤した後に防犯カメラの映像を確認するぞ。エバンズの部屋を度々訪れている人間を絞り込む。犯人の目的がエバンズに毒を盛る事だけなら、目的を果たして早々に行方を眩ませる可能性もなくはない。なるべく早く尻尾を掴んで証拠を炙り出せ。』と、相手に指示して。---今はまだ知る由もないがダンフォードの見立て通り、総務課の男は退職の手続きを既に始めている段階だった。“急遽父親の体調が悪化し介護のため地元に帰ることになった”と課の上司に報告し、既に派遣会社からは新しい人材を送る事で話は着いていて。 )








 

4375: ベル・ミラー [×]
2024-08-28 23:37:05





わかりました。警視正には事情を話し、許可を貰っておきます。
( 署員達が全員帰宅した後となれば夜も遅く、加えて朝方まで監視カメラ映像と睨めっこ状態になる。特別大きな問題に繋がる事は無いがその根本的な理由を知る警視正には一声掛けておくべきかと。同時に相手からの指示は何処かエバンズを彷彿させた。声が似ている訳でも口調が似ている訳でも無い筈なのだが、微妙な点に置いて似ていると思うのは矢張り新人だった頃のエバンズを育てたのが相手だったからなのか。__窓の外がだんだんと薄暗くなりつつあるものの、署員達が退勤する時間にはまだ早い。壁に掛かる時計を一瞥し、相手へと視線を戻しては「…エバンズさんは集中治療室から出られたでしょうか。」と、口を開く。勿論己とずっと共に捜査をしていた相手が今のエバンズの状況をわかる筈は無いと思うが、矢張り気掛かりなのだ。「…意識が戻って通常の病室に移動になれば、きっと医師から連絡があるだろうし、それに何も解決してない状態じゃ行ったって余計に不安にさせるだけですよね。」続けた言葉の数々は“彼の傍に行きたい”と願いつつも、それを抑え込む為の言わば自分自身に対する言い聞かせ。気ばかりが焦る中で「皆が退勤する迄の間、何か出来る事は無いでしょうか。」と、問い掛けて )






4376: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-29 00:16:14

 




ルイス・ダンフォード



( 刑事課のフロアに居る皆の退勤を待たずとも、何かと理由を付けて監視カメラの映像を取り出す事はできるのだが普段と違う行動に些細な疑念を抱いた者から憶測や噂が広がるのはよくある事。今回はエバンズの一件を誰にも察されたくないため、敢えて夜を待ってから行動する事を選んだのだ。エバンズの執務室で別の書類に目を通しながら、心ここに在らずといった状態の相手に視線を向ける。『病院から連絡がねぇからな、まだ目を覚ましてないんだろ。ここに居たって状況が分からなくてヤキモキするだけだ。お嬢ちゃんが見舞いに行ってやれば良い、追うべき事件は解決したんだ。』相手が自分に言い聞かせるようにして蓋をしようとしていた気持ちをいとも容易く肯定すると、病院に行ってみろと助言する。『あいつの顔を見て、医者に容態を聞いてきてくれ。』と明確な目的を相手に与えるためにそう告げて。 )






 

4377: ベル・ミラー [×]
2024-08-29 08:05:31





( 夜までの間、リリーの事件の報告書を書き上げる事も出来たのだが解決した以上心を占めるのはエバンズの事で。ヤキモキしている己の心を汲み取り何の迷いも無くさもそれが今出来る唯一だ、とでも言わんばかりの淀みない指示が来れば思わず一度瞬き。「…あ、」薄く開いた唇の隙間を縫って出た小さな音は「ありがとうございます!」に続いた。「先に警視正に防犯カメラの事を伝えてから行きます。夜__18時までには戻ります。」深く頭を下げてから執務室を出てノートパソコンの入った鞄を片手に刑事課フロアを出れば先ずは警視正の部屋へ。映像の話をすれば彼はダンフォードが考えた時間帯が適切だろうと頷き、これで誰にも怪しまれず監視カメラの件は解決出来そうだと。__エバンズの入院する病院までは車で数十分。入口を抜けて入院患者の居る病棟までエレベーターで上がり、そこにあるナースステーションの前で医師と遭遇すれば「あの、」と呼び止めた後。「アルバート・エバンズさんのお見舞いに来たんですけど、もう集中治療室から出られましたか?」と問い掛けて )






4378: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-29 14:29:35

 






( 相手に呼び止められた医師は、相手の口から出た名前に『アルバート・エバンズさんですね。未だ目は覚ましていませんが、容態は少しずつ安定してきています。つい先ほど一般病棟に移る許可が降りて移動された筈ですよ。』と答えて。集中治療室での対応が必要な重篤な状態は脱したものの、まだ意識は戻っていないという。医師はつい先ほど移ったばかりだという病棟の部屋番号を伝えると、軽く頭を下げて廊下を歩いて行き。---エバンズが移されたという病室は上の階にある個室だった。ちょうど看護師が機械や点滴の調整を行っており、扉が開く音に顔を上げると優しく会釈して。『こんにちは。少しずつ容態も落ち着いてきましたよ。中毒症状はだいぶ改善されて数値も戻ってきましたし、喉の炎症も落ち着いています。』相手を安心させるように告げると、ベッドで眠るエバンズに視線を向けて。未だに酸素マスクと点滴は外れていないものの、倒れた時と比べると顔色の悪さは軽減していると言えよう。『…あの、意識が戻っていなくても、感覚は働いていると言われてるんです。声だったり、手に触れる感触だったり、きっと伝わっているので声を掛けてあげてください。』まだ若い女性看護師は相手を恋人と思ったのか、そう言って少しはにかんだように微笑むとお辞儀をして部屋を出て行き。 )








 

4379: ベル・ミラー [×]
2024-08-29 19:05:37





( 意識は未だ戻っていないが、それでも一般病棟に移されたと言う事は命の危機は無く回復が見込めると言う事だろう。医師の言葉に余りに大きな安堵が胸中を渦巻き、思わず震えた息を吐き出せば深々と頭を下げ。__医師に教えられた番号の部屋には点滴と酸素マスクに繋がれながらもベッドの上で静かに眠るエバンズと、自分と同年代くらいだろうか、柔らかな雰囲気の女性看護師が居た。視線が重なり軽く会釈をすれば、彼女はその雰囲気と同じく柔らかく微笑み此方が望み続けた言葉をくれるものだから、思わず目頭が熱くなる。「良かったです、本当に。ありがとうございます。」沢山の安堵と、同じくらい沢山の感謝を乗せ今一度頭を下げベッドに歩み寄り。見下ろした相手は相変わらず白い顔をしているが、倒れる前の様な酷い顔色の悪さでは無い。酸素マスクが呼吸に合わせて白くなるのもまた確りと息をしている事の証明となる訳だから安堵を助長させ。_と、看護師に声を掛けられ顔を上げる。穏やかな、それでいて何処か可愛らしくも見える笑みで紡がれたのは所謂“希望”。再び相手を見、彼女へと視線を向け直しては、胸に灯った優しい温かさに同じくはにかむ様に笑い「…はい、」と、頷いてその背を見送り。__近くにあったパイプ椅子を引きベッドの脇に。それに腰を下ろし少しだけ距離の近くなった相手の片手を包み込む様に緩く握る。骨張った手の甲を親指の腹で優しく撫でながら「…エバンズさん、」と静かに名前を呼び、「今ね、ダンフォードさんが応援に来てくれてるの。だから何も心配しないで。」まるで起きている相手を前に話している様に、「エバンズさんを苦しめた犯人も必ず逮捕するから、…目が覚めたらまた一緒に仕事しようね。」ゆっくり、ゆっくり、語り掛けを )






4380: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-29 22:53:50

 






( 目を閉じたままのエバンズが相手の言葉に反応を示す事こそなかったものの、温度の低い手の甲に柔らかな熱は感じただろうか。一定のリズムでマスクが曇っては小さな呼吸音が漏れる。当初は摂取した毒物がどれほど体内に溜まり異常を引き起こしていたかが分からなかった為、回復にどれくらいの時間を要するかは勿論、後遺症もなく回復できるのかも見通しが立たない状態だった。しかし幸いにも回復が不能なほどに重篤な影響を受けた機能はなく、薬がしっかりと効果を発揮したこともあり、意識が戻り数値が全て正常なものに戻れば後遺症も残らず退院できる見通しが立っていて。---ダンフォードはエバンズの執務室で、相手の言葉を思い返していた。“もしもあの事件を動機にエバンズを狙ったのなら”。もし仮に犯人があの事件を理由にエバンズを狙ったのだとしたら、彼はまた受けるべきではない恨みを向けられて、必要のない苦しみを味わった事になる。あの事件を担当したばかりに。優秀だったからこそ選ばれた、それだけだった筈なのにその時の何気ない決定が一生彼に付き纏う絶望になってしまった。そんな事を考えて、まだあの事件が関わっていると決まった訳じゃないと暗い気持ちを追い遣って。 )







 

4381: ベル・ミラー [×]
2024-08-29 23:56:17





( __静かな語り掛けに対して相手は目を覚ます事も、手を握り返して来る事も、何か言葉を発する事も無かった。それでも“希望”はその光を失う事無く胸に宿り続けるものだから、それから暫くの間も事件の事、日常生活の些細な事、懐かしい過去の話などを語り。そうしている内に窓の外は薄暗くなりあっという間に時刻は17時を過ぎ。“今から戻ります。”と、ダンフォードにメッセージを送った後「…それじゃあエバンズさん、また来るからね。」椅子から立ち上がり握っていた相手の手を離す。その際、仄かな温もりが失われた事に少しだけ不安を感じたものの、次来る時は相手をこんな目に合わせた犯人逮捕の報告を持って来ると誓い病室を出て。__署に戻ったのは17時30分を過ぎた頃。刑事課のフロアにはまだ数名の署員は残っているが、此処を出た時よりは少なくなっている。フロア内をぐるりと見回しそこにダンフォードが居ない事を確認しては、“警部補執務室”の扉をノックし中へと入り。「戻りました。」何時もはエバンズが座るデスクに居る相手と視線が重なり、軽く頭を下げてから向かいのソファへ鞄と共に腰を下ろす。真っ直ぐに相手を見詰めた緑の虹彩には確かな安堵と喜びの入り交じる色が滲み「まだ意識は戻ってなかったんですけど、一般病棟に移る事は出来ました。容態も安定してきてるし、吐血を引き起こした喉の炎症も落ち着いてるって。…後は数値が完全に戻って、目を覚ませばきっと直ぐ退院出来る筈です。」医師と看護師から告げられた“希望”を余す事無く相手にも。最後の退院の話こそ言われた訳では無いが、願望として思わず言葉となり )






4382: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-30 16:52:20

 




ルイス・ダンフォード


( 戻って来た相手の顔には先程までの翳りはなく、光を浮かべた瞳を向けて彼の様子を報告する様子に口角を緩めて。『そりゃあ良かった。一般病棟に移ったならひとまず安心だ。見舞いに行って良かっただろ、考え過ぎてネガティブになるより動いた方が良いんだ。』と言いつつ、『お嬢ちゃんは本当に感情が分かりやすいな。尻尾が着いてるみてぇだ、』と笑って。---署員たちが居なくなったのは20時を過ぎてからだった。普段であればもう少し残っている署員が数人いる事も珍しくないのだが、比較的忙しくない日だった事もあり数人で飲みに行く話が持ち上がったようだった。エバンズの執務室の扉が見える監視カメラのデータを取り出しパソコンに落とすと、2週間分の映像を相手と手分けして確認する地道な作業を始める。早送りで映像を見て、執務室が開くタイミングで映像を止め人物を確認する。時折マグカップを持ったエバンズ自身が部屋を出て行く様子も映っていたが、当然それが不調の原因などとは思いもしていなかっただろう。『_____こうして見ると本当にあいつは部屋から出てこねぇな、』23時を回った頃、伸びをしつつぼやくように告げたのは、彼の“引きこもり”具合について。時折出てくる事はあるものの圧倒的にフロアに姿を見せる回数が少ないと。『俺なんて暇がありゃフロアに出てる。急ぎで承認して欲しい仕事がある時に限っていねぇと言われる事もあるが、あいつはその心配は無さそうだな。』その後は出入りがあった人物の顔をデータベースの写真と照合し、名前と回数をカウントしていく作業が続き。 )







 

4383: ベル・ミラー [×]
2024-08-30 20:00:25





( 口角を緩め笑みを浮かべた相手のその表情にも喜びを覚えた。相手からすれば今も尚可愛い後輩であるエバンズの容態の安定は絶対的に安堵に繋がるものだろう。相手の心にもまた光が宿っただろうと感じるから。“考え過ぎてネガティブになるより動く”__すんなりと胸に落ちたその言葉はまた別の角度の“希望”の様に思えた。確かにその通りだ。頭であれこれと考えるより心に従う、行動する、それが時にとても大切な何かを生む時がある。「本当に。…話が出来た訳じゃないけど、エバンズさんの顔見たら元気が出ました。」何処となく気恥ずかしさを覚えつつも、今の気持ちに素直な真っ直ぐな返事をして。と、その後に続けられた言葉には思わず瞬く。感情に乏しい訳では無いが“尻尾”だなんて、そこまで分かりやすいとは自分では思って無かったからだ。「……そんなにですか?」と、些か怪しみを込め僅かに首を傾けはしたものの、何処が、何が、と追求する事は無く。__電気が消され暗くなったフロア内、自分達の居る警部補執務室だけは明るい光に包まれていて、その中で至極真剣な表情で以て映像を確認する。ほんの僅かの違和感も見逃さぬ様に、瞬きすらも忘れるくらい本当に真剣に、それは眠気すらも何処かに追いやるくらい。_肩に力が入っていたその余計な緊張を解したのは相手のぼやきだった。確かにこれだけ長い時間映像を見ていてもエバンズが執務室から出て来たのは片手の指でおさまるくらいの数。何時だって此処に閉じこもり、まともな食事を摂ってるのかも怪しい状況で眉間に皺を寄せた険しい顔で書類やパソコンと睨めっこをし、出て来るのは捜査に行く時、飲み物を淹れる時、トイレに行く時くらいと言っても過言では無い。「その内此処で寝泊まりする様になるんじゃないかって心配で、」と肩を竦め、態とらしく溜め息を一つ。そう思えば相手とエバンズは行動面で言えば真逆かもしれない。“自由人”と、何時かの飲み会の日に聞いた単語を思い出し思わず苦笑いを浮かべ。__その後、映像にはエバンズに用事のある署員達、サラやアシュリー、警視正の姿何かもちらほらと映り、その中でこの事件の犯人である総務課の男性派遣社員の姿も何度も映る事となり )






4384: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-31 17:27:58

 




ルイス・ダンフォード


( そのうち執務室に寝泊まりを始めるのではないかという相手の懸念。彼ならやりかねないと、深刻な事態だとばかりに態とらしい真面目な表情を浮かべて同意を示した。まだ全ての映像を確認した訳ではないものの、此処まででも執務室に訪れている回数の多い署員は絞り込めるかもしれないと相手に声を掛ける。当然ながら皆一様にレイクウッド署で働いている一署員。見知った人物の名前が、捜査線上に上がってくるというのは相手にとってもあまり気持ちの良いものではないだろう。『俺が確認した映像で現段階でエバンズの元を訪れている回数が多いのは、刑事課と総務課の署員だな。お嬢ちゃんと警視正は省くが_____サラ・アンバー、ジェイコブ・スミス、サム・テイラー、グレッグ・クーパー。この辺りはほぼ毎日エバンズの元を訪れている。』アンバーとスミスは仕事内容的にも普段からエバンズの元を訪れることが多く、エバンズも2人の名前は把握しているだろう。テイラーは今担当している事件の捜査を始めてからエバンズに報告を求められる事が増え、行きたくないと同僚にぼやきながらもエバンズの部屋を度々尋ねていた。クーパーはここ最近刑事課の経理処理などを担当しているらしく総務課から度々エバンズの部屋を訪れている____あの男だ。 )






 

4385: ベル・ミラー [×]
2024-08-31 20:16:03





アシュリー・ベイルも数回出入りしている様ですが__回数的には除外かと。
( 捜査の為の映像確認とは言え何だか“盗撮”にも似た気持ちも少なからず覚えてしまうのは、同僚であり友人でもある人達を疑いの目で見なければならないからだろうか。自身が確認している映像の中にも相手の方の映像と同じ面々が映っていて、その中にアシュリーの姿もあるが回数的な事を考えれば“容疑者”に加える事は無い筈。「アンバー、スミス、テイラーの3人は刑事課の者ですが、彼は総務課の派遣署員で___、」相手が口にした数名の至極簡単な説明をしようとして、言葉が止まる。画面に映る【グレッグ・クーパー】の姿を見詰め、次に顔を相手に向けては「…一度、エバンズさんの居ない時に此処で顔を合わせました。確かマーティンの名前が新しく容疑者としてあがった時だから、」何処と無く緊張の様な色滲む表情で映像を早送りし、その場面で再生を。そこには書類を持ったグレッグが執務室に入り、それから直ぐに部屋に入る己の姿が。もう少し進めば部屋から出る2人も流れるだろう。「その時は、エバンズさんに渡さなければならない経費関係の書類があるとかで。」つまり、だ。マグカップに毒を塗るとなれば当たり前ながら部屋に誰も居ない時じゃなければならない。エバンズが居て、彼に用事がある時では駄目なのだ。生憎この部屋に監視カメラは無い。名前の上がった他の人達の時はこの部屋の具合がどうだったのかも確認しなければならないと思いつつ )






4386: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-31 21:17:06

 





ルイス・ダンフォード


( エバンズの部屋を訪れている回数が多い人物を絞り込む所までは、滞りなく進んだと言えよう。既に日付を跨いでいる訳ではあるが。ただ相手の言うようにエバンズが部屋にいる時では毒をマグカップに仕込む事など出来ない。エバンズが部屋に居ない時に度々部屋を訪れている人物を割り出す必要がある。調べるべき日を更に絞り込んで効率よく確認をする為には_____『…お嬢ちゃん、事件の捜査がどういう日取りで進んでいったか覚えてるか?いつ何の捜査を行ったか、誰に話を聞いたか、何処に出向いたか。そういう大雑把な記録みたいなもんだ。それがあれば、捜査を軸にあいつが体調を崩していた日を思い出せねぇか?』捜査を行う上で、いつ何をしたかの記録があれば、捜査の動向と合わせてエバンズが大きく体調を崩した日を思い出せるはずだ_____相手ならば。どこに行った時、誰に話を聞いた時、エバンズの調子が悪そうだったと、相手ならば覚えているだろうと踏んだのだ。『検出された毒は即効性こそないが、その日の内には効果が出る。エバンズが体調を崩した日、更にその日の捜査に出向く前のエバンズが部屋に居ない時間帯。そこの映像を調べて人物が特定できれば、そいつが黒だ。』と自分の想定を説明して。 )








 

4387: ベル・ミラー [×]
2024-08-31 23:12:13





( リリー殺害事件、最初は比較的スムーズに進むと思っていたのだが途中から容疑者が増え絞込みの捜査にも時間が掛かったのだ。相手の想定通りに行けば確かにこの部屋で1人になる事が出来た人物を__エバンズに毒を盛った犯人を見付ける事が出来る。「待って下さい、聞き取りをしたメモを見れば、」鞄から手帳を取り出しデスクの上に置く。座る相手の隣に立ち開いた手帳には日付け、時間、を最初に聞き込みをした内容が書き記されていて。__リリーの母親への聞き込みから始まり、大学での聞き込み迄は良かったのだ。この後、「…此処が最初です。此処で初めてエバンズさんに鎮痛剤をわたして、クリスへの聞き込みの後、症状が悪化しました。エバンズさんを自宅に送ってから、もう一度ペットショップに戻って聞き込みをして__さっきのグレッグとの遭遇に繋がります。」ページを開き、そこに書かれている自分の字を追う毎にその時が思い出される。事件の事は勿論、同時進行する様に体調を崩すエバンズの苦しそうな表情も。この後、エバンズの家に二回泊まった事は勿論伏せるものの、その前段階としてエバンズがトイレで“家に帰りたい”と訴えた事や、捜査が進む中でどのタイミングでリリーの遺体を見付けたかなども思い出し。メモを巡るのに合わせて監視カメラ映像を早送りする中で、グレッグがまた1人執務室に入る場面があった。それは己が1人でマーティンの家に聞き込みに行ってる時間の事。この時果たしてエバンズは何処に居たのか思い出せないのだが、リリーの遺体を見付けた後の事は覚えている。「…この時、エバンズさんが調子を崩したんですが、グレッグが来て、3人で顔を合わせました。」明らかに調子の悪そうなエバンズを見て、動揺したグレッグの顔を良く覚えていた。その後はエバンズが倒れ病院に搬送されるまでの流れで。「……私達が捜査に出てる時、この部屋に入ったのはグレッグだけ、とはいきませんが回数で考えたら多いと思います。後の人達は比較的エバンズさんが居る時に来てるんじゃないかと。」固い表情で、真剣な眼差しで、一つ息を吐き出して )






4388: アルバート・エバンズ [×]
2024-08-31 23:33:13

 




ルイス・ダンフォード



( 相手の証言があった日付の映像を遡り、総務課の男がエバンズの部屋を訪れているかどうかを確認する。その結果、彼が体調を崩したという日の朝方や捜査に出て不在にしている間に数度グレッグが書類を持って執務室を訪れている事が分かった。『お嬢ちゃんの言うエバンズが体調を崩した日_____この総務課の男は概ね此処に足を踏み入れているな。…此れを見ろ。日中に別の署員に書類を渡してるが、通りすがりにこの部屋を見てる。エバンズが居たんだろう、中には入ってねぇが気になるな。』相手に見せた映像には別の署員と書類を手に話をした後、通りすがりにエバンズの執務室の中を確認するグレッグの様子が映っていた。その日は朝既に書類を手にエバンズの部屋に入っているが、書類を催促する様子はなく刑事課のフロアを出て行っている。『…こいつについては調べた方が良さそうだな。いつからレイクッドで働いているのか…派遣なら履歴書なんかも総務課にあるだろう。』現時点で1番怪しいのはこの男だと仮定すると、素性についても調べる必要があると。 )






 

4389: ベル・ミラー [×]
2024-09-01 01:12:25





( 記憶と、メモの内容と、カメラ映像をまるでパズルのピースを合わせるかの如く当て嵌め導き出したのは矢張りグレッグは現段階決して“白”では無いと言う事。グレー__何方かと言うと極めて黒に近いグレーであろう。執務室を通り過ぎる際に部屋の中を確認しようとしたその行動は果たしてどんな意味があったのか。「…自分が盛った毒がちゃんとエバンズさんに効いているか…様子を見たかったんでしょうか。」睨む様に画面の男を見詰め、確かな怒りの籠る口調でそう言葉を落としてから、グレッグの調査には同意を示す様に頷き。「リチャードさんに頼めば見せてくれるとは思いますが、その理由をどうするかですね。“刑事課の人が履歴書を見に来た。”なんてグレッグ本人に言われでもしたら直ぐに証拠を消されます。」この事を知ってるのは極僅かの面子だけ。確実に彼を調べるならば、理由は伏せるべきだ。少しばかり考える間を空けた後、「__この時間なら総務課も誰も居ない筈です。“考えすぎるより行動”、ですかね?」先程相手が言った言葉の“ネガティブ”の部分だけを省いたそれは、暗に“忍び込み”をチラつかせるもの。この強引ともとれる考えを相手はどう思うか )






4390: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-01 03:54:09

 



ルイス・ダンフォード



( 本人に勘付かれる事なく素性を探るというのは骨の折れる作業だと考えていた矢先。相手からの提案に相手へと視線を向け少しばかり意表を突かれたような表情を浮かべると、やがて豪快に笑い。『さすがお嬢ちゃん、相変わらず大胆だな!お堅い警部補なら嫌な顔をするだろうが、生憎俺はそういうのは嫌いじゃない。ハッキングなんかはする訳にいかねぇが、書類を見るくらいならなんの問題もないだろう。』そう言うと立ち上がり、ぐぐっと伸びをしてから相手と共に部屋を出る。真っ暗な総務課のフロアの電気を点け、総務課長のデスク付近の棚へと向かう。『人事やスタッフの契約に関するファイルがどっかにあるだろ。それを探すぞ。あとは本人のデスク周りにも何かあるかもしれねぇ。』そう言いながら棚の引き戸を開けてファイリングされた書類の中身を確認し初めて。 )






 

4391: ベル・ミラー [×]
2024-09-01 10:04:41





( 此方の“匂わせた提案”を汲み取り豪快に笑い、意図も簡単に了承して見せた相手は矢張り不思議なタイプで、これまで共に捜査をして来たどの刑事とも違う様に思えた。だからか、相手と共に総務課に向かう道すがらで“このタイプ”の相手に教育された、まだ新米だった頃のエバンズを想像してひっそりと微笑み。__日付を跨いだこの時間、矢張り総務課には残ってる署員は居らず何時もの賑わいは無かった。相手の言葉に頷き「朝までに見つけられると良いんですけど。」と、危惧したのは恐らく契約の書類などかなりの枚数があると踏んでいるから。相手が書類を探す間、己は先ずグレッグのデスク周りから、と部屋の一番奥に向かい__足が止まった。その理由は“何かの違和感”を感じたからだ。彼のデスクはきちんと整理整頓がされていて、必要な物を直ぐに取り出し易い様になっているが、“綺麗過ぎる”気がする。徐に引き出しを開けるがゴチャゴチャと余計な物は入っておらず、言うならば“何かあれば簡単に纏めて出て行ける”状態。「…ダンフォードさん、ちょっと来て下さい。」棚の書類を探す相手にそう声を掛け、相手が来たのならば「少し綺麗すぎる気がしませんか?…勿論性格なのかもしれませんが、それにしては物が無さ過ぎる気が、」と、呟いて )






4392: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-01 17:19:32

 




ルイス・ダンフォード


( グレッグ・クーパーに関する契約書類を探してファイルを確認していると相手に声を掛けられ、それを棚の上に置いて相手の元へと向かう。確かに相手の言う通り彼のデスクはさっぱりとしていて物が少ない印象を受けた。『言われてみりゃそうだな…最近聞くミニマリストってやつか?ここまで物が少ないと仕事にもならなそうだが、』と怪訝そうに口にしてから、デスクの脇に置かれた紙袋へと視線が落ちる。紙袋の中には書類の束が入っていて、その外側には“廃棄”と書かれた付箋。『_____これを見ろ。書類を大量に処分しようとしてる…デスクを明け渡す為に片付けてる最中なんじゃねぇか?』思い至ったのは、このデスクを他の人物に明け渡すために整理整頓を行っている最中なのではないかという事。異動や退職を控えた人物のデスクとして見ればなんの違和感もない、異動期には度々目にしてきた光景だと。 )






 

4393: ベル・ミラー [×]
2024-09-01 18:20:28





…まだ仕事を任されていない新人なら兎も角、
( 監視カメラ映像にもあった通り、グレッグは以前から度々刑事課フロアを訪れ経費に関する書類や様々な仕事に携わった来た筈。腑に落ちない、と僅かに眉を潜めたその時。デスクの脇にある“廃棄”の紙袋に目を留めた相手がその中にある大量の書類を見付けると思わずギョッとし。「明け渡すって……本当にグレッグが犯人だとしたら、証拠もまだ掴めて無いのにこのままじゃ逃げられます。」相手の考えが正しいなら何時から彼は異動の準備をしてきたのか。そうして今話は何処まで進んでいるのか。「明確な証拠があれば…。」と、落とした呟きは思いの外小さかった。「__リスクはありますが、明日の朝一で本人に直接聞くのはどうでしょうか?勿論事件の事では無く、異動の件のみについて。」顔を上げ廃棄書類から相手へと視線を向けては、果たしてどうするべきか、ある意味指示を待つ形を見せて )






4394: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-01 23:38:13

 



ルイス・ダンフォード


( 証拠がまだ出ていない疑惑の状態で男に接触するというのは、疑っている事に気付かれ警戒され、一歩間違えれば隠蔽工作によって証拠を見失う可能性もある。『逃したくない気持ちは分かるが…この状況で本人に退職について聞きに行くのはリスクの方が高いだろうな。_____ただ、それを逆手に取るっていうのは無しじゃねぇな…』一度はリスクが高すぎると懸念を示した提案だったが、上手く使えば尻尾を捕まえられるだろうかと考え込みながら独り言を。『……本人に退職について聞けば、疾しい事がある場合俺たちが疑っている事に気付くだろう。警戒されて証拠を消される可能性もある。だがそれを逆手に取って、揺さぶりを掛ける事はできるかもしれねぇ。疑っている事に気付かせて、動くように仕向けるんだ。被疑者に接触した後、行動を監視する。慌てて証拠を廃棄しようとしたり普段と違う行動があれば任意で事情を聞けるって事だ。明日クーパーが退勤した後を尾行する大掛かりな対応にはなるが、』考えていた方法を相手に告げると、自分は警部補代理の仕事もあるため必然的に尾行するのは相手になると付け加えて。 )






 

4395: ベル・ミラー [×]
2024-09-02 11:15:06





( 普段必要最低限の仕事の事でしか会話をしない相手が急に話し掛けて来た場合、少なからず何かあると疑われるのは必然で矢張りリスクが高過ぎるかと視線を落とすが、間髪入れずに続けられたのはそのリスクを逆手に取る方法だった。態と此方が疑っている事を相手に示しその上で出方を伺うなんて__絶対にバレないと言う事だけを考えていた己にとってそれは視野の広がるもので。相手を見詰め一つ瞬き、漏れたのは“成程”という音の代わりの感嘆にも似た息。勉強になる、と素直にそう思えば数回相槌の様な頷きの後「…では明日、午前中の内にグレッグに接触して行動を監視します。」と、少しの緊張も混じる返事を。それもその筈、今や殺人事件はエバンズと共に多く捜査して来たが、尾行の経験は一度だって無い。バレたらその瞬間に何もかもが水の泡になる程重要だとわかっているからこそ、普段の何倍も緊張するのは当然か。視界の端でチラついた自身の髪を見「……目立つかな、」と誰に宛てるでも無く呟いたのは、比較的目に留まりやすい髪色をしていると自覚があるからで )






4396: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-03 22:46:00

 



ルイス・ダンフォード


( 突然対象者の尾行という提案をされても動じない辺り、相手もエバンズにしごかれながら数々の事件捜査を潜り抜け経験を積んで来た刑事だけある。タイプは違うがジョーンズを前にしていた時の頼もしさに似たものがあると思いながら少し笑って。『わかってると思うが、間違ってもカツラなんて被って来るんじゃねぇぞ。帽子も怪しいからな、髪は結んどきゃあ大丈夫だ。』尾行と聞いて、そのイメージばかりでカツラや帽子、サングラスを使うと思っている若手が多いのだ。以前自分よりも2回り以上離れている新人に、何の変装を準備すれば良いかと真剣な眼差しで聞かれた事を思い出し相手にも釘を刺しておき。 )








 

4397: ベル・ミラー [×]
2024-09-04 08:47:06





( カツラ…とはまではいかずとも、帽子の存在の事は少なからず考えていた。後頭部で髪の毛を全て括り帽子の中にしまってしまえば目立た無いのでは、と。だからこそ此方の考えを読んだ様な忠告に一瞬ドキッとし思わず薄い苦笑いが表情に滲み。“感情がわかりやすい”と言った相手には恐らく気付かれただろう。「…危なかったです。自然体が一番バレないって事ですね。」下手に隠す事はせず先ずは素直に過ちの告白を。気付かれない様に、気付かれない様に、と変装をした結果、それが一番不自然となり目を引く。もしこの先潜入捜査や尾行の任務が降りて来た時にも思い出す事が出来る様心に刻んで置こうと決め。__グレッグへの接触が明日ならば、今出来る事は契約書類を確認し彼の素性を知る事。先程呼び止めてしまった相手と共に再び棚の引き戸からファイルを物色し、ややして人事や契約関係のファイルを数冊見付けると「ダンフォードさん、これ。」と、声を掛けて )






4398: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-08 22:11:43

 



ルイス・ダンフォード


( 相手の表情を見逃す事はなく『お嬢ちゃんの場合は髪を括ってメガネをかけるくらいで良いだろうな。派手な色の服は避けて…後は音の鳴るヒールも履かない方が良い。気を付けるのはそれくらいだ。』と助言しておき。相手が持って来たファイルを開くと、グレッグの履歴書を見つける。以前働いていた会社を一身上の都合で退職して以降は派遣の仕事をしている様子。記載されていた住所を控えておき『俺はこいつの事をもう少し調べてみる。仮にこいつが毒を盛った犯人なら、何かしらエバンズとの接点があったと考えるのが妥当だよなぁ。』と、履歴書を眺めて。 )






 

4399: ベル・ミラー [×]
2024-09-08 23:27:06





( 髪を括る紐も、伊達眼鏡も、底がぺったんこな軽い運動靴もある。黒いTシャツにジーンズを履けば人混みに紛れる一般人そのものだろうと相手の助言に頷き。__グレッグの履歴書は特別不審な点も無く極一般的な派遣社員の様に思えた。勿論履歴書の写真と文字だけで何もかもを判断など出来る筈が無いが、相手の呟く様に落とされた言葉に同じ様に履歴書に視線を落とし。“接点”その単語で一番初めに浮かんでしまうのはどうしたって“あの事件”だ。「…もし彼が“遺族”なら、立派な接点になります。本来恨むべき犯人はもうこの世に居なく、関係者として残されてるのはエバンズさんだけなんだから、」動機としては十二分に有り得ると、まだ決まった訳では無いものの声に少しの怒りや悔しさを滲ませつつ。しかしそれだけを見て後を除外する事は出来ない。「……それ以外の理由なら、例えば過去に逮捕された…注意程度だったかもしれませんが、その事での逆恨みの線はどうでしょうか。」顔を上げ隣の相手に視線を向けた時には、その声色は何時も通りの捜査に向き合う真剣なものに変わっていて、「後者で、それも逮捕まではされていなかった場合、エバンズさんとの接点を調べるのは相当難しいですよね。」と、困った様な息を吐き出して )






4400: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-09 16:01:43

 




ルイス・ダンフォード


( 相手の言葉に頷き『あの事件の犠牲者の苗字はさらってみるつもりだが…関係者として残っているのがあいつだけだからこそ、直接接点のない奴から恨みを向けられた線も排除仕切れねぇ気はするな。…嫌な話だが、』と続ける。あの事件の遺族という線は勿論、直接エバンズとの接点がなくとも一方的に恨みを抱く、という状況も考えられなくはないのだ。全ては、あの事件の関係者がもう1人しか残っていないという忌まわしい状況故に。そうなれば接点を見つけるのは至難の業だ。『それも十分に考えられるな。ただ、逮捕までされないような状況なら恨みを募らせるほどの影響はなさそうだ。毒殺しようと目論むほどにエバンズを恨んでいたなら、例えば逮捕された事で職を失ったとか、恋人を失ったとか、そういう背景があるんじゃねぇか?』と想定を口にして。 )






 

4401: ベル・ミラー [×]
2024-09-09 18:54:41





__そうだとしたら…英雄気取りも甚だしい。
( 残っているのが彼だけだから、それがもし今回の事件の動機なのだとしたら。あの事件の“悪”に制裁を加えてやった、そう狂った正義感に満たされてるのだとしたら。見る人が見ればその嫌悪に塗れた表情に驚くかもしれない。反吐が出る、とでも言いたげに眉を潜め吐き捨てた言葉は酷く冷たく刺々しい空気を纏って地面に落ち。続けられた想定の言葉には再び考える素振りを見せる。確かにそうだ、毒殺まで企てたのならば“相当の理由”があると考えるのが妥当だろう。「…“お前のせいで俺の人生が__”って事ですね。」正しく逆恨みの想定理由にやれやれと肩を竦め、「明日、何か掴めると良いんですけど。」と。そうして再びグレッグの履歴書を見詰めては、「…エバンズさんが目を覚まして、何か思い出せれば、」今尚意識の戻らぬエバンズの事を口にして )






4402: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-10 05:13:13

 



ルイス・ダンフォード


( 相手の落とした呟きは、まさしく嫌悪感の滲んだもの。エバンズの身に降りかかる様々な不条理を近くで見て来たからこそ、そして彼を大切に思っているからこそのものなのだろう。『あいつもかなりの数の事件を担当してる。クーパーの顔を覚えてるかどうか…とはいえ、仕事の事となると驚異的な記憶力を発揮するからな。覚えがあるかもしれない。普段顔を合わせてる人の顔と名前は全く覚えねぇクセに、事件の事はよく覚えてたりするんだよ。』---翌日。ダンフォードはグレッグの素性を調べながら、署員たちの報告書を見たり捜査の相談に乗ったりと午前中から忙しくしていた。退職を控えたグレッグは、後任を連れて仕事で接点のあった刑事課の事務員などにも挨拶をしに来ていて、今後の経理処理などを後任に引き継ぐ旨などを説明しており。 )







 

4403: ベル・ミラー [×]
2024-09-10 07:58:42





( 仕事の時の記憶力と、そうでは無い時の人の顔と名前による記憶力の違い__【サラ・アンバー】をなかなか覚えなかった時を思い出し内心微笑ましい気持ちを覚えたのは胸にしまっておこうか。__翌日、相手の読み通り退職を間近に控えているのだろうグレッグは、後任の男性を引き連れて挨拶回り件仕事の説明をしていた。刑事課の事務員に話しかけ終わったタイミングを見計らい、胸に巣食う荒ぶりを抑え込んだ笑みを顔に貼り付け歩み寄れば「お疲れ様です。」先ずは無難な挨拶を。彼の隣の後任を一瞥し軽く会釈の後、再びグレッグを見詰めては「…もしかして、辞めちゃうんですか?」と。何とも白々しい問い掛けだがその際貼り付けた笑みの奥、瞳にだけは僅かに怪しむ様な色を意図的に浮かばせて )






4404: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-10 13:11:10

 






( グレッグは相手に声を掛けられた時、少なからず驚いたような表情を見せた。それもそうだろう、個別に話をする程の仲でも無ければ、そもそも相手を故意に避けていたのだから。後任の紹介と引き継ぎの為に刑事課に行かなければならない事は決まっていたが、最も顔を合わせたく無かったのが彼の不調を知っていた相手だった。署員の訃報といった話が上がって来ないと言うことは、毒殺計画が未遂に終わったという事は薄々感じていた。病院に運ばれたのなら毒を盛られていた事にも気づかれただろう。捜査の手が及ばぬうちに身を引くため退職の手続きを進め、刑事たちが捜査に出ている事が多い昼前の時間帯に、警部補の執務室から一番離れた入り口からフロアに入ったというのにわざわざ向こうから声を掛けてきた。『お疲れ様です、…えぇ、まぁ。公認は彼なので、引き続きよろしくお願いします。』と当たり障りなく答えて。 )






 

4405: ベル・ミラー [×]
2024-09-10 13:33:40





( 声を掛けた際の微妙な表情の変化、当たり障りの無い受け答え、その数々を貼り付けた笑みの裏側から観察する様に見詰めつつ「寂しくなりますね。…此方こそよろしくお願いします。」と、思ってもいない言葉と共に頷くのだが。勿論そこで話を終わらせる気は無い。右足を一歩前に、グレッグとの距離をもう少しだけ縮めると、表情は変えぬまま周りには聞こえない様に僅かに声を潜め「…そう言えば数日前の警部補の事、私が言うのも変だけど驚かせちゃってゴメンなさい。今はもう元気になったので…一応報告として。」毒物が体内を巡り体調不良を訴えたエバンズと、丁度そこに出会したグレッグ。あの日の出来事を態とらしく切り出し“元気になった”なんて言ってのけた後は、「お仕事中にすみません、お世話になりました。」と__紛れも無い皮肉と共に頭を下げて )






4406: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-10 15:19:09

 




( 他愛のない挨拶を済ませて総務課に戻ろうとした時、不意に相手が此方に近づき声を顰めて語った言葉に思わず僅かながら表情が硬くなる。エバンズに盛った毒が効果を発揮している事を確認したあの時の事を敢えて今蒸し返して来ると言うことは、紛れもなく自分を疑っているという事。『…それなら良かったです。お大事にと伝えてください。それじゃあ、私たちはこれで。』作った笑顔を相手に向けるとそう言って総務課へと戻って行き。---刑事課のフロアを離れても、当然心中は穏やかではなかった。自分が彼を毒殺しようとしたことが水面下で暴かれようとしていると思えば行動を起こすのが遅かったと後悔する。家にある毒物を早急に何処かへ捨てて証拠を隠滅しなければと焦る気持ちを表に出さないように押し留めて仕事を続け。 )







 

4407: ベル・ミラー [×]
2024-09-10 18:27:46





( 互いに心の内はどうあれ表面上は取り繕った笑顔で別れた。彼の後ろ姿が刑事課フロアから消えるのを見届け途端に冷たさを帯びた真顔に戻ると、足早にダンフォードが仕事をしている執務室へと向かいノックの後中へ。「__やはり退職の方向で進んでいるみたいです。理由は言いませんでしたが、既に後任の男性も決まっているので、居なくなるのも時間の問題かと。」溜め息混じりにそう告げては「何が何でも今日中に証拠を掴みます。」今一度強い意志の籠った言葉を送り、後はグレッグが退勤するであろう時間までリリー殺害事件の報告書を仕上げたり、別の仕事を片付けたりと仕事を進ませて )






4408: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-11 05:54:41

 





( 総務課の署員たちが退勤する時刻まであと1時間ほどに迫った頃、相手の電話が着信を知らせた。それは病院からのもので、エバンズの意識が戻ったという知らせだった。『良かったな。会いに行ってやりたい所だが…どうする、グレッグの尾行は俺が変わるなりするか?』ダンフォードがそう尋ねたのは、ようやく目を覚ました彼に会いに行くことを優先させた方が良いかと悩んだから。実際グレッグに声を掛けて行動を起こした以上、明日以降に後ろ倒すのはリスクが高い。今日証拠を隠滅されてしまえば計画の意味がなくなるため、相手が病院に行くなら自分が尾行をする必要があるかと。 )






 

4409: ベル・ミラー [×]
2024-09-11 07:48:04





( “エバンズの意識が戻った”電話口から聞こえたその看護師の言葉は、己が何よりも聞きたかった言葉だった。思わず涙ぐみそうになるのを堪え大きな安堵を抱えたまま、此方を気遣う相手と向かい合う。今直ぐ病院に向かい陽の光を受けて確りと輝くだろうあの褪せた碧眼を見詰め、もう大丈夫、と声を掛けたい。それは紛れも無く優先したい望みなのだが。__「私がやります。」唇の隙間を縫って出た言葉は当初の予定通りの進みだった。__セシリアの命日を控え、精神的に不安定だったエバンズを残し1人で出張に行った何時かの日、FBIとしては失格であろうが捜査中も彼の事ばかりを考えまったく集中する事が出来なかった。解決してもいない捜査を途中で切り上げ、1秒でも早く彼の元に戻りたいと心底切望したのだ。けれど彼の傍にはあの時クレアとダンフォードが居てくれた。クレアは此方の気持ちを肯定した上で踏み留まる事の出来るあたたかい言葉をくれた。2人の存在はとてつもなく大きく、エバンズとはまた違う角度から勇気や安心を与えてくれるから、きっと今回この決断が出来たのかもしれない。「…犯人を逮捕して、全てを終わらせた状態でエバンズさんに会いに行きます。」相手を真っ直ぐに見詰める緑眼に揺れは無く、力強くそう言葉を続けて )






4410: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-12 00:56:06

 






( 当初の予定通り自分が捜査を請け負うと答えた相手は普段以上に頼もしく、エバンズの為にも刑事としての責務を全うしようとしているようだった。写真や物的証拠を持ち帰る事ができればと願いつつ相手を送り出し。---グレッグは退勤すると、車に乗って自宅へと戻って行った。家に入ってから暫く動きはなかったものの、家の扉が開いたのは2時間ほど経ってから。鞄を持ち再び車に乗ると署とは反対方向に車を走らせ、町を出た郊外まで。30分ほどして到着したのは、所謂ゴミの最終処分場。誰でも粗大ゴミやその他のゴミを持ち込み捨てる事が出来る場所だった。グレッグは暗い中車を降りるとカバンを手に奥へと入って行き______捨てたのは、口を固く縛ったビニール1袋。中にはプラスチックの容器と大量の濡れたキッチンペーパーのような紙が入っている。毒薬を染み込ませて紙ゴミとして処分しようとした為だった。 )







 

4411: ベル・ミラー [×]
2024-09-12 08:11:10





( __グレッグが家から出て来るまでの2時間はとてつもなく長く感じた。もし証拠の一つ持ち帰る事が出来なければ幾ら彼が怪しくとも逮捕は出来ないとわかっているから。目を覚ましたエバンズは今頃何をしているだろうか、喉の炎症が完治していればご飯は確り食べられるだろうか、ダンフォードは仕事を一段落させて彼の傍に居るだろうか、そんな様々な…けれど全てエバンズに関係する事ばかりをグルグルと考えていた矢先、玄関の扉が開き鞄を持ったグレッグが出て来れば表情には緊張が滲み、それはこの尾行がバレては不味いと言う気持ちの現れか、眼鏡越しに緑の虹彩を無意識に下げ。それから彼が運転席の扉に手を掛け乗り込もうとした所の写真を一枚、間に別の車を挟みある程度の距離を空け追跡した先で、ゴミの最終処分場に入る所を一枚撮り。物陰に隠れる様にして様子を伺えば、彼は鞄の中から一つのビニール袋を取り出しそれを他の人のゴミ袋の奥に押し込める様に捨てた。袋は決して大きくは無く、態々それだけを此処まで捨てに来たのは明らかに怪しい。その行動を確りと写真におさめては、彼がゴミ処理場から出たのを確認した後、指紋が付着せぬ様手袋をはめビニール袋を引っ張り出し固く結ばれた口を開いて。__無臭ではあるが、濡れたキッチンペーパーとプラスチックの容器。これが何かを今判断する事は出来ないものの、鑑識に回して毒物だと判断されれば逮捕に踏み出せる。逸る気持ちを抑えそれを持ち車に乗り込むと、“証拠品が入っていると思われる袋を見つけました。これから署に戻るので合流をお願いします。”と、ダンフォード宛にメールを送信して )






4412: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-12 12:51:21

 





( 結果的に、相手の持ち帰った証拠はグレッグを犯人と確定させるに十分事足りるものだった。鑑識による鑑定の結果、袋の中に入っていた液体は紛れもなく毒物で、即効性こそないものの摂取する事で体内に蓄積して身体を蝕む植物性の毒薬と断定された。一方ダンフォードによる捜査の結果、グレッグ・クーパーという名前は全くの偽名である事が明らかになった。派遣に登録した段階から名前を偽っており本名は【ジョシュ・ベラミー】____彼には犯罪歴があり、そのいずれもが飲酒した状態での暴行やDVといったもの。担当という程の役割を果たした訳でもないものの、その事件の担当刑事がレイクウッドに赴任したばかりのエバンズだった事が明らかになり。---相手の厚労により逮捕されたジョシュは取り調べ室で俯いたまま口を閉ざしていた。 )






 

4413: ベル・ミラー [×]
2024-09-12 13:49:21





( グレッグ__【ジョシュ・ベラミー】が起こした今回の殺人未遂事件。捜査の中で過去にエバンズに逮捕された事があると言う事が明るみになり動機としてはその線が色濃いものの、それはあくまでも推測でしかなく本人の口から直接聞き出さなくてはならない。彼の目前に腰を下ろして尚俯いたまま視線を合わせようとしない相手を一拍程黙したまま見詰めた後、「…もう一度聞きます。警部補を殺害しようとした動機は何ですか。」と、問う。それでも口を開こうとしない相手に一度小さな溜め息を吐き出すと、続けて「過去の暴力事件で貴方を逮捕したのが警部補だった。…貴方はその事をずっと根に持ち続け、今回の事件を起こした。…違うのなら否定して下さい。」視線を逸らさず真っ直ぐに見据えたまま、答えを聞く迄は絶対に解放しないとばかりの態度で )






4414: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-12 16:49:08

 



ジョシュ・ベラミー


( 相手の問い掛けにようやく顔を上げると『……そうですよ、その通りです。あの時逮捕された所為で俺は全てを失った。職も、恋人も何もかも…なのに人の人生をめちゃくちゃにしておいて悪びれる様子もなく冷たい言葉を吐き捨てられて、憎しみに駆られました。』と答えた。謂わば逮捕された事に対するただの逆恨みだ。『でも、』とジョシュは言葉を続けた。『出所してしばらくして、週刊誌の記事を見たんです。ショックでした。俺はあんな人間に断罪されたのかと…彼は俺に罪を突き付けて全てを奪った。でも本当はあの人こそ、裁きを受けるべき存在だったんです。なのに当の本人はのうのうと、俺のように檻の中に入ることもなく過ごしてる。それで復讐を思いついたんです。俺が味わった苦しみを与えてやろうって。それで此処に来ました。気付かれない程度の毒を少しずつ与えて、一番近くであの人が蝕まれていく様子を見て、気持ちが晴れました。』淡々と、業務について説明している時のような口ぶりでそう言葉を紡いで。 )






 

4415: ベル・ミラー [×]
2024-09-12 18:48:55





( 案の定“過去の逮捕”が今回の犯行動機で、ダンフォードが想定した通りその事で職も恋人も失った所謂逆恨みだった訳だが__。“その動機”に絶対に抱いてはならなく、間違いではあるが一瞬でも安堵した心は次の瞬間、鋭利な刃物で滅多刺しにされたかの如く血を流した。勿論比喩ではあるがそれ程までの衝撃だったのだ、彼が続けた言葉は。一瞬にして頭に血が上るのを感じ、喉の奥で引き攣った息が出口を探して彷徨う。…またか。また、エバンズは悪意ある言葉に、態度に、傷付けられるのか。こんな奴に。何がショックだ、何が裁きを受けるべき存在するだ、何を持ってしてそんな巫山戯た言葉を吐けると言うのだ。言いたい事は山ほどあるのに無意識の内に噛み締めた奥歯が怒りで小さく鳴るだけ。ややして震える息の合間、漸く開いた唇からは「……本気で言ってますか、」と、たった一言。それだけが漏れて )






4416: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-12 22:27:17

 




ジョシュ・ベラミー


( 『本気じゃなかったら此処までしませんよ。俺の人生をめちゃくちゃにした報いをようやく受けたんです。“此方側”の筈なのに俺を断罪したことを悔いれば良い。あと少しでも多く毒を塗っておけば良かった、』---ジョシュは歪んだ身勝手な思想のままそう言葉を紡いだ。収監される事は確実だと自暴自棄になっているのだろう、聞かれていないことまでやや感情的に言葉にして、毒殺が失敗した事に対する悔しさを滲ませて。『あなたに声を掛けられた時、焦って行動したことを後悔しています。尾けられてる事も考えておけば良かった。もっと早くレイクウッドを出ていれば…』紡いだのも自身の行動に対する後悔ではなく、捕まった事への後悔で。 )








 

4417: ベル・ミラー [×]
2024-09-12 23:34:14






( 音声録音装置には相手が自暴自棄に告げた自供も、反省の色が僅かも見えない身勝手極まりない後悔も余す事無く確りと録音されただろう。机の下で血が滲んでも可笑しくは無い程に握り込んだボールペンは、後どれくらいの時間その身を保っていられるだろうか。「もし貴方があと数日早く此処を出ていたとしても、私が逮捕を諦める事は無い。」相手が自身の行動の遅さに嘆き後悔した所で、最終的に行き着く結末は何も変わる事が無いと冷たい声色で吐き捨てると同時、持っていたペンを机に叩き付ける様に置いて。これで相手の有罪は確実。警察官相手に殺害を企てたのだから、幾ら未遂で終わったとは言え当分の間牢屋から出る事は出来ないだろう。最後の最後まで冷たい無表情を貫き、椅子から立ち上がり部屋を出る前。一度だけ振り返ると「…“最初”じゃなくて良かったですね。」そう吐き捨て。その言葉の意味を相手はどれだけ考えてもわからないだろう。“最初”はクラークが身を持って体験した。“次”はどれだけ怒りに震え、例え我を忘れたとしても最後まで“刑事らしく”と、他でもないエバンズと約束したのだから。__取り調べ室を出て真っ直ぐに向かうのはダンフォードが居る執務室。ノックの後部屋に入れば「…犯行動機も身勝手な後悔も、全て録音されています。エバンズさんには明日報告を兼ねて会いに行く予定です。」と。その声色は抑揚の無い冷静沈着なもの。しかし普段より少しばかり早口である事、ダンフォードと視線を合わせずやや俯き加減である事が、纏う空気が普段と違う事を表していて )






4418: アルバート・エバンズ [×]
2024-09-18 23:13:17

 




ルイス・ダンフォード


( 聴取を終えて戻ってきた相手の様子が可笑しい事には直ぐに気が付いた。それは此れまで幾度となく目にして来た、感情を必死に押し留めようとしている表情だ。未だ若かったエバンズやジョーンズも同じような表情を見せる事があった。自分自身もやりきれない感情を外に出すまいと上辺でだけ平静を装うあの気持ちを知っているからこそ、相手の置かれている状況も直ぐに理解した。『……正しい対応をしたな。ふざけた主張に耳なんて貸さなくて良い。どれだけ自分が正しいと喚いていたとしても、相手は歪んだ思想を持つだけのれっきとした犯罪者だ。そいつらごときの言葉に心を揺さぶられる必要なんてねぇ。』---まるで相手の心の内を見透かしたように告げる。『エバンズもお前を誇りに思ってるだろうな。』彼の為にと事件を解決した相手にそう言って笑いかけ。 )







 

4419: ベル・ミラー [×]
2024-09-19 00:14:54





( 報告を終え、一度だけ頭を下げてから部屋を出る筈だった。踏み出し掛けたその足を止めたのは相手からの労いの言葉と肯定。心を殺し感情を押し留める筈だったのに__気が付けば大粒の涙が次から次へと頬を濡らし、顎先を伝った滴がボタボタと床に落ちていた。悔しかったのだ。犯行動機こそ“あの事件”とは無関係だったが、最後の最後、ベラミーが傲慢にも語ったのは結局“あの事件”に結び付く事。エバンズを悪だと罵り、勝手にショックを受け、あまつさえ“犯罪者”だと言う。「…誰もエバンズさんを見ない…っ。」俯いたまま、震える唇から絞り出した言葉は悲痛な色を纏い落ちる。目前の相手への言葉では無く、ベラミーに、世間に、マスコミに、彼を“悪”だと言う全ての人に向けたもの。__吐き出す息が乱れる中、相手の言葉に柔らかさが宿ったのを感じ顔を上げる。涙で歪む視界には笑顔の相手が居て、その相手が言う通り、誇らしい部下だと、そうエバンズが思ってくれていたらどれ程嬉しいか。「早く、エバンズさんに会いたいです。」赤くなった目を僅かに細め、同じ様に笑い返しては、揺れた感情を落ち着かせる為に一度大きく深呼吸をして )






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