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白む空に燻る紫煙 ---〆/4331


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自分のトピックを作る
4281: ベル・ミラー [×]
2024-06-02 13:20:41





( 案の定相手はこの要望に言葉を詰まらせ曖昧な表情を浮かべた。特別何も無い状況であるならまだしも、体調面で不安がある以上夜中に目を覚まし此方の眠りも妨げてしまう可能性があるとでも考え首肯しかねて居るのだろう。不安定な遠回しの言葉に少し考えてから「…じゃあ駄目?」と、珍しく相手からの明白な言葉を待つ問い掛けを続けた後、それでも許可が降りる様少しだけ悪戯に笑うと「夜中に目が覚めた時、あったかいホットミルク飲めるよ?」己が居る事による物理的なメリットを挙げて、その答えを待ち )






4282: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-02 15:09:53

 






( 駄目だと断言しきる程の事でもないため言葉を詰まらせたものの、相手は引く事をせずメリットもあるのだとばかりに言葉を続ける。「…分かった、好きにして良い。」と、此方が折れる形で家へ来る事を許可すると、この所相手に翻弄される事が増えたと1人溜め息を吐いて。---紅茶を飲んでからちょうど2時間程が経った頃、当然その因果関係には気付いて居ないのだが、突然パソコンのモニターが歪んだように感じてまたかと眉を顰める。頭痛と目眩の症状は未だ午前中ほど酷くはないものの、視界に映るものが二重に歪んで見えて思わず眼鏡を外して眉間を解す。そのまま仕事を続けていたものの、パソコンに打ち込んでいた資料の文字は途中からスペルミスや打ち間違いが増え、誤植を示す赤い波線が表示されているのを見て手を止めて。手が震えてキーボードを上手く打てていないのか、それとも視界が歪んでいるせいでキーボードの正しい位置を認識できていないのか、どちらにせよ正常ではない。既に退勤している者も多くフロアには人が少ない。部屋を出るとそのままトイレへと向かうのだが、入ってすぐの手洗い場の所で酷い目眩に襲われその場へと座り込んでしまい。 )







 

4283: ベル・ミラー [×]
2024-06-02 17:06:08





( 此方に判断を委ねる言葉なれど泊まりの許可が降りれば何処か満足そうな表情で仕事の続きをするべく自席へと戻り。__今日纏めておきたい事件の資料が出来上がり、ガチガチに固まった身体を解すべく両腕を上げぐぐ、と伸びをしてから深く息を吐き出したその時。視界にフロアを出る相手の姿が映れば何となしに頭を向け、僅かに怪しむように目を細めた。それは一瞬であったが苦しげに眉が顰められた表情に見えたからに加えて、何かに耐えるような至極ゆっくりとした足取りに思えたから。一拍程の間を置いて静かに席を立つとフロアを出て廊下へ。辺りを見回しても既に相手の姿は無く、エレベーターの表示も止まっている為乗った訳では無さそうだと思えば、この短い擦れ違いで姿が見えなくなるとなれば直ぐそこにあるトイレに行ったのかと、踵を返す前。何の勘が働いたのか躊躇いがちに一度だけ「…エバンズさん、」と名前を呼び )






4284: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-02 23:28:36

 






( 視界がぐにゃりと歪むような酷い目眩の原因に心当たりはなかった。体調を崩すことこそ多いものの、この症状は過去に起因する精神的なものではない筈なのだ。外から聞こえた相手の声、様子が可笑しい事に気付き後を追ってきたのだろう。せめてこの症状を引き起こしたのが家であればと思うものの、此処は職場で自分が居るのは男性用トイレ。相手を呼ぶ事も出来る筈がなく、暫しの沈黙の後に少しばかり目眩の波が引いているタイミングで立ち上がると外へと出て。気を抜けば再びしゃがみ込んでしまいかねない状態で、「______帰りたい、」と、外に居た相手に唐突にもひと言だけ訴える。しかし執務室に戻り、纏めかけの資料を保存してパソコンを閉じた上で荷物を手にし車に向かう、それだけの作業も今は出来そうになく「…車まで荷物を持って来てくれないか、」と言葉を紡いで。 )








 

4285: ベル・ミラー [×]
2024-06-02 23:52:19





( 呼び掛けに返事は無かったものの、程なくして顔面蒼白の相手が廊下に出て来ると、その余りの顔色の悪さに思わず言葉が詰まる。双眸を見開き反射的に伸ばした片手が相手の腕を取るよりも先にたった一言帰宅を訴えられれば「っ、帰ろう、今直ぐ。」と何度も頷き。それから相手に頼まれた通り一度執務室に戻り纏めかけの資料を保存しパソコンの電源を切り、相手の鞄と上着、それから自身の荷物を持って共に車へと乗り込めば、ほんの少しでも気分の悪さが落ち着く布石になれば良いと窓を開け車内に風を入れて。__10分程で相手の家に着くと、先に鍵を借りて荷物を中へ。続いて車に戻り相手を支えた状態で部屋へと入ると、なるべく大きな振動にならぬよう注意を払いつつソファへと座らせ、首元を緩める為にネクタイとワイシャツのボタンを二つ外す。その際首元に手を当て脈を確認したが、脈拍は早く、あの時の車内でおきた状態と酷似してると言えよう。「少し横になる?その方が楽じゃない?」相手の背中を優しく上下に擦りながら、此処は家なのだ、身体を横たえる事だって出来ると促して )






4286: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-03 04:38:01

 





( 相手が泊まりに来るという約束は、結果的に功を奏したと言えよう。支えて貰いながら部屋へと入りソファに座ると、午前中に飲んだものと同じ目眩止めの薬を流し込んで。首元が緩み汗の浮かんだ肌が空気に触れると少しばかり楽になるようで、相手の促す言葉に頷いて身体を横たえる。呼吸が乱れている訳ではないものの脈拍は早く、首筋はじっとりと湿っている。視界に映るもの全てが二重に見えるような感覚と強い目眩に目を閉じると、やがて浅い眠りに落ちたようだった_____実際には朦朧とし意識を手放したに近い状態だったのかもしれないが。時間にして30分ほど、ふと目を開けると視界の歪みは幾らか軽減されていた。少量の同じ毒を摂取し続けている事で身体に僅かながらの耐性が出来ていて、中毒症状の起きる時間が短くなっているのだろうが当然その感覚は無い。未だ脈は早く体調は優れないものの、目を開けているだけで辛い状態は落ち着きつつあるようで。 )








 

4287: ベル・ミラー [×]
2024-06-03 07:40:26





( 横になり、程なくして気を失う様に意識を手放した相手を見詰め張り詰めていた緊張が解けたのか息を吐き出す。意識のある中具合の悪さに耐えるのは辛いだろう、僅かでも眠れる事に安堵するが根本的な事が解決した訳では無く、此処暫く続く相手の不調について考え。安定剤を飲まないと言う事は、相手の中で過去に起因する精神的なものが引き金となっている訳では無いのだろう、けれどただの風邪で片付けるには余りにも問題点が多すぎる様に思えるのだ。やはり一度病院に__と、そこまで考えて、相手が目を覚ましているのに気が付いた。上から覗き込む様に合わせた視線、焦点は合っていて平衡感覚がわからなくなる程の酷い目眩は落ち着いていると判断すると「起き上がるのが辛かったら、このままで良いからね。…何か欲しい物ある?」床に肘立ちの状態でそう問い掛けつつ、汗で貼り付く焦げ茶の前髪を軽く払って )






4288: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-06 22:59:10

 






( 汗ばんだ身体が気持ち悪い。前髪が払われた事でじっとりとした暑さが少しばかり軽減し、相手の問いには「…水が欲しい、」と答えて。これ程汗をかいたのだからある意味当然ではあるのだが、酷く喉が渇いていた。身体をゆっくりと起こし受け取ったグラスに口をつけて少し水を飲むと、小さく息を吐き出す。サイドテーブルに、まだ水の残ったグラスを置いて再びソファへと横になると、少しの沈黙の後に「______過去が作用してる訳じゃない、」とひと言呟く。「フラッシュバックも起きていない、…記憶に飲み込まれそうな苦しさとも、過呼吸とも違う感覚なんだ、」と言葉を続けて。自分でもこの突発的な体調不良の原因が分からないことに不安感を抱いていた。 )








 

4289: ベル・ミラー [×]
2024-06-06 23:43:30





( 僅かでも水分を補給出来た事は大きい。体調が少しずつ戻って来ている事にも繋がるし、もし万が一吐き気を催しても胃の中にあるそれを吐く事が出来ればただ嘔吐き続けるより楽な筈だ。再びソファに横になった相手に視線を向け唐突に落とされた言葉に耳を傾ける。確かに相手の言う通りこれまでの過去が作用している発作的な調子の悪さとは何処か違うと傍目から見ても思うのだから、相手自身が一番そう感じているのだろう。けれどだとしても原因が不明なのだ。「エバンズさんがそう言うならきっと他の原因がある筈。__頭痛と目眩…熱中症な訳でも無いだろうし。…他に何か症状はある?」先ずは相手の言葉に頷き、続いて考え込む様に視線を床に落とした後、顔を上げ問い掛ける。理由のわからぬ不調はただ不安だけを産み、素人が幾ら考えてもわからぬ時、専門の人に判断を委ねるのが適切だとも思っていれば、「…嫌かもしれないけど、一度病院に行くべきじゃないかな。」と付け足して )






4290: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-07 18:46:27

 






( 主な症状は頭痛と目眩、それに加えて心拍数の上昇や発汗がある事を思えば暑さに影響を受けている可能性も排除はしきれないだろうか。「_____脈が早くなって、異常な程に汗をかく。…明日はもう少し水分を摂るようにしてみる、」と答えて。病院に行くべきだという相手の主張はもっともだ。原因不明の、それも日常生活に支障をきたす程の不調が起きているのだから早々に病院に行くべきだろう。しかし今は、それ以上に優先したい事があるのだ。「……捜査の進みが遅い。時間が経つほどに証拠が消えて行く上に、そろそろ何かしらの糸口を掴まなければ人員を削られてもっと追い込まれる事になる。今が踏ん張り時だ、」暗に病院に行くのは捜査に進展が見られて時間が取れた時で、今はそんな事をしている余裕はないと言葉にして。“本当に不味いと思ったら時間を取る”と付け足した言葉は、自分を後回しにする時に誤魔化すようにいつも言っている事。実際これまで自身の判断で病院に行った事は無いに等しいのだが。 )







 

4291: ベル・ミラー [×]
2024-06-07 19:58:13





( 異常な脈拍と発汗は矢張り暑さのせいなのだろうか。けれども真夏でも無いし全く水分を補給してない訳では無いと思うのだ__ならば何故。意識的に水を飲む様にする、との言葉には取り敢えず頷くも、続けられた“らしい”返事には一瞬眉を寄せジットリとした瞳を向け「……」言葉の無い時間が数秒。ふ、と息を吐き出すと「…それ、エバンズさんが言う言葉の中で私が信じられないと思う三つの内の一つだからね。」と、態とらしく肩を竦め。残り二つは、明らかに体調が悪いだろう時の“大丈夫”と、病院に行けと行った時の“後で行く”なのだがそれを態々告げる事は避け。__捜査の進みが悪い事も被疑者の絞込みが上手くいってない事も身をもって理解している事。加えて被害者の女性はまだ見付かってすら居ないのだ。彼女がまだ生きている可能性が残されてる以上捜索に全力を尽くすのが最優先事項な訳で、それ以上今直ぐに、と言葉を続ける事をしなければ「__…リリーを見付けたらその後ちゃんと時間を取って。エバンズさんが病院に行ってる間に証拠を見付けて、犯人逮捕に全力を尽くすから。」これが此方の折れる条件だとばかりに真っ直ぐな瞳を向けて )






4292: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-11 22:25:55

 






( 相手にとって自分は随分信用ならないようだと思い僅かに眉を顰めたものの、その“3つ”を問いただす事はしなかった。続いた相手の提案に数度頷くと「分かってる、」とひと言。先ずは失踪した女性の行方を早急に掴むこと、そして捜査線上に上がっている被疑者たちのアリバイを調べ疑わしい人物を絞ることが最優先だ。「_____泊まるなら寝室のベッドを使え。俺は此処で良い、」今夜は泊まるのだと言っていた相手にベッドを使うよう告げると、今は起き出してベッドまで移動する方が億劫だと。 )






 

4293: ベル・ミラー [×]
2024-06-11 22:54:22





( 署から此処まで相手自身もわからぬ原因不明の不調に耐えたのだから、少しの時間眠る事が出来たとは言え体調が完璧に元に戻った筈は無く、今はただ遅れてやって来た倦怠感の様な怠さに襲われているのだろうと思えば、無理にベッドに連れて行く事はせず素直に頷き。__言われた通り直ぐに寝室に移動する事はしなかった。唐突に伸ばした右手を相手の頬にあてるや否や、「…さっきの言葉、怒った?…エバンズさんの事はちゃんと信用してるんだよ。でも心配が勝っちゃうの。」確信は無いものの、何となく何処か機嫌が悪い様に感じると、体調の悪さも勿論そうだろうが、先程の己の言葉も少なからず影響しているのではと思い僅かに首を擡げ。白く、少し冷たくも感じられる頬を掌をあてたまま親指の腹で何度か撫で「心配されるの嫌いだってわかってるんだけどね。」と、言葉を続けた後、「…酷い言い方したね、ごめんなさい。」顔を覗き込む様にして謝罪を送り )






4294: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-12 04:15:22

 






( 相手の手が頬に添えられ顔を覗き込まれると、少しばかりバツの悪そうな、不機嫌そうな表情を浮かべ「_____別に怒ってない、」とひとこと。自分にとって優先順位が低い事に関してはその場凌ぎの適当な言葉で流している自覚があるし、相手が“口煩く”言うのも自分を案じての事だと理解はしていた。しかし相手が謝罪を紡いだ事で逆に意固地になっていると言うべきか「上司として信用ならないんだろう、お前の言い分は分かってる。」とぶっきらぼうな言葉を。この所は体調を崩す事も多く、隠していても共に捜査を請け負っている相手には見抜かれる。捜査が思うように進まない要因が、本来捜査とは関係のない自身の体調面にある事が殆どでその事に苛立ちを抱えていた。謂わば自身に対するやるせなさを相手にぶつけている八つ当たりに近いのだが、今回もまたこうして足を引っ張り、相手に余計な業務を増やしている自分自身の“頼りなさ”に、無性に腹が立つのだ。 )







 

4295: ベル・ミラー [×]
2024-06-12 13:41:57






( “怒ってない”と相手は言うがその表情は誰がどう見ても不機嫌そのもので、思わず浮かんだ笑みを誤魔化す様に左手で己の口元を軽く触りつつ「そっか。」と一言だけ答えるに留め。そのまま頬を撫で続けていたが相手は何を思ったのかこの会話を尚も続ける為のぶっきらぼうな“自嘲”を口にした。その言葉に動かしていた指先はピタリと止まり、その緑眼に真剣な色が宿る。「そんな事言ってません。」と、先ずは言葉を真っ直ぐに否定。「__本当に上司として信用出来ないと思ってるなら、捜査の指揮官を違う人に変えて貰います。でも私は今回の事件、2人揃ってないと解決出来ないと思ってる。だから事件解決まで何方も欠けちゃ駄目。」相手の頬にあてているだけの手を静かに引き自身の膝の上へ移動しつつ、相手が必要だと言いながらも変な重圧を掛けぬ様に“2人”と強調して。相手が何故こんな言い方をしたのか、それが何処にぶつける事も出来ない自分自身に対する苛立ちや不甲斐無さから来てるのだと言う事は感じていた。「…エバンズさんじゃなきゃ嫌だ。」今度は伸ばした手で相手の手を取り、そのまま自身に軽く引き寄せ相手の手に頬をくっつけると、何時ぞやも口にした事のある子供の様な言い回しで相手以外は望まないと、悪戯にはにかんで見せて )






4296: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-13 04:17:15

 






( 相手が時折口にする、何処か子どもっぽいその言葉は何故か拒絶する事なく受け入れる事が出来た。自分が必要とされているという優越感に浸りたい訳ではないのだが、飾らないその言葉は相手の偽りのない思いのように思えて。少しばかり呆れたような曖昧な表情を浮かべはしたものの、それ以上苛立ちに任せて言葉を紡ぐ事はせず。---その夜は症状が悪化する事はなく、朝を迎えた。しかし少しずつ、確実に体内に溜まっている毒は、摂取した直後の強い症状だけに留まらず身体に不調をきたし始めていた。身体が重たい感覚と指先の強張り。未だ普段の何気ない行動に影響が出る程のものではなかったものの、コーヒーを飲むためにマグカップを手にした時に違和感を感じ。しかし今は捜査に集中すべき時だと、その違和感を口にしたり気にする素振りを見せる事はせず、相手と共に署に向かい。 )







 

4297: ベル・ミラー [×]
2024-06-13 13:31:39





( __相手が感じた僅かな違和感は上手に隠された為に気が付く事が出来ず、署に着くや否やデスクから必要な物だけを持ち再び相手と共に車に乗り込み。「先にクリスの友達の家に行くね。」今日は昼から大学に行き聞き込みの予定。その前にクリスのアリバイの確認を済ませるべく車を走らせて。赤信号で停まる時に不自然にならぬ動作で隣の相手に何気無い視線を向けるも、昨晩の様な明らかな表立っての不調は見られず一先ずは安堵を胸に。__数十分後、目的地へと着くと、車を降りて呼び鈴を鳴らし。中から男性の声が聞こえ、直ぐにドアが開き顔を出したのはクリスに教えられた通りの友人。「…少しお話を聞かせて下さい。」警察手帳を見せ、時間は取らせないと告げてから「…リリー・ブラントさんの失踪の件はご存知ですよね?その日の朝、クリスさんとはご一緒でしたか?」目前の彼を真っ直ぐに見詰め、クリスのアリバイの真偽を確かめて )





4298: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-14 06:59:06

 






( 相手の問いに友人は頷くと『その日は久しぶりに集まったメンバーで夜通し酒を飲んでました。みんな潰れて、面白がって撮った写真ならありますよ。』と答え、ポケットから取り出したスマートフォンを操作してカメラロールを遡ると、彼は此方に画面を向けた。たくさんのアルコールの空き缶とテーブルの上にはつまみの残り、床で4人の男が寝込んでいる写真だ。仲の良い男友達同士のその写真が撮影されたのは事件が起きた日の7:38。クリスの顔も確認出来るもので、すっかり酔い潰れて寝込んでいる様子。アリバイは立証されたと言って良いだろう。---礼を述べて戻った車内で、スマートフォンが着信を知らせる。電話先の相手は、聞き込みに奔走している捜査員の一人。リリーの恋人だったジェイが、”リリー以外の女性と付き合っている“という話が出たと言うのだ。証言したのはジェイの知り合い。”ジェイは学生の頃から知り合いだったハンナと5年近く付き合っている。時々2人を見かける事がある”という。「_____分かった。また何かあったら連絡してくれ。」と答えて電話を切ると「有力な証言が出た。ペットショップに向かってくれ。」と、予定の変更を告げると情報を共有して。 )







 

4299: ベル・ミラー [×]
2024-06-14 08:51:01





( 彼に見せられた画面には確かにクリスの姿があり、時間に間違いも無い。クリスの証言通りアリバイは成立され彼が被疑者の枠からほぼ外れる事は決定で。__さて、次は大学へ、とエンジンを掛けシートベルトを締めたその時。ふいに助手席に座る相手のスマートフォンが着信を知らせ、口振りからして恐らく捜査官の誰かと会話しているのだろう事がわかれば、発進する事無く電話の終わりを待ち。__電話を切った相手から共有された情報は思いもよらぬ物だった。ジェイはその事を一言も口にはしなかったし、現在進行形で【ハンナ】と言う女性と付き合っているのなら、邪魔になったリリーを誘拐、殺害する動機は十分有り得るのだ。「…もし本当だとしたら最低。」エンジンを掛け言われた通りペットショップに向かう道すがら、小さな溜め息と共に少しの嫌悪に塗れた言葉を吐き出して )






4300: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-17 21:35:14

 





( 恋人がありながらリリーと付き合っていたジェイは、その事実を隠していた。動機があると判断されるのを危惧しての事かもしれないが、捜査員がもたらした情報によってジェイへの疑惑は一気に深まり。---ペットショップに行き恋人の件について問いただすと、暫しの気まずい沈黙の後『……確かに、僕が二股をしていた事は事実です。でも、リリーと適当に付き合っていた訳ではなくて…本気だったんです。事件には関係ないと思って言いませんでした。』と、顔を上げて訴えて。 )







 

4301: ベル・ミラー [×]
2024-06-18 13:14:43





( 事件に関係が無いと思った、では無く保身の為の隠蔽だろうと言わざるを得ない供述に自然と眉根には皺が寄り、その訴えに耳を貸す気など僅かも起きない気持ちになるのは当然だろう。険しい表情のまま「__ではハンナさんの方が遊びだったと?」と、問うた言葉には冷たさが滲み。それを咳払い一つで消し去ると、続いて「ハンナさんは貴方が二股をしている事はご存知ですか?」と尋ねる。__ジェイには十分過ぎる程の動機があるが、逆を返せばハンナにもそれこそ十分過ぎる程の動機がある事になる。ジェイを取り合い口論になり殺害してしまった可能性も…。被疑者が1人減ればまた1人増え、の繰り返しに加えてリリーの行方も未だ不明。思うように進まない捜査の中で相手の体調もまた気掛かりな所であり )






4302: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-20 22:26:37

 






( 相手の的を得た言葉に少し言葉に詰まったものの、ジェイはハンナも遊びではないとばかりに首を振った。そして『ハンナは関係ありません。リリーとは面識はありませんでした。』と、二股をしていたことを彼女が知っていたかという問いに対する返事ではなく彼女は事件に関与していないという事の方を訴えて。「関係ないかどうかではなく、ハンナさんが二股の事実を知っていたかどうかです。」間髪入れずにそう尋ねると、ジェイは『…知っていました。少し前にメッセージを見られて…』と答えた。その言葉を手帳にメモしようとしたのだが、上手く手に力が入らずペンを取り落とす。床に落ちたペンを拾い上げ再びジェイに視線を向けたものの、立ち上がった瞬間に貧血を起こした時に近い感覚があり。 )







 

4303: ベル・ミラー [×]
2024-06-21 20:30:29





( 相手からの指摘に言い難そうに答えた言葉で更に2人が疑わしくなった。リリーの存在をハンナが知っていたとなればジェイを取られたく無いと犯行に及んだ可能性もあるし、ジェイとハンナの2人が共謀してリリーに危害を加えた可能性もある。勿論ジェイ個人による犯行である可能性も消えた訳じゃない。「…わかりました。ハンナさんの__、」“住所を”そう続けようとした所で、何かが床に落ちる硬い音が響き自然と頭は下がる。一度僅かに跳ねたそれはペンで、相手が普段使用しているFBIの文字が彫り込まれている物。続いて落ちたそれを拾い上げるべく相手が屈み__特別変わった事では無い。日常的に普通にある事なのに何だかわからない違和感を感じた。それは直感的なもので、こういった、相手に関する事での勘は当たりやすいのだ。調子の悪さを振り返したのではと思えば一度だけ隣に視線をやった後に目前のジェイを真っ直ぐに見詰め「…ハンナさんの住所を教えて下さい。彼女が事件と無関係かどうかは私達が直接話を聞いて確かめます。」真剣な、けれどもやや早口な言葉で以て拒否は認めないとばかりに。少しでも早く車に戻るべきだと思っていて )






4304: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-22 12:02:41

 






( 今日はあのマグカップを使っては居なかったのだが、既に摂取して体内に溜まっている毒が恒常的に身体に影響を引き起こしつつあるのだろう。立っていられないほどの目眩ではなかったが、少し気分が悪く視界が揺らぐ。メモ帳に書いた文字は普段よりもガタついていて、同時に少しばかり視界が霞むようで手元が見辛かった。相手の言葉にジェイは曖昧な表情を浮かべ『…でもハンナは関係ないので……』と、尚も煮え切らない態度で言葉を濁したものの、相手からの圧に観念したようでハンナの住所を伝えた。「リリーさんの両親に結婚の挨拶に行って、どうするつもりだったんですか?彼女は自分が浮気相手だなんて思いもしなかったんでしょう。」そう尋ねると、ジェイは“どうするか決められなかったから体調が悪いと言って挨拶を先延ばしにしようとした”と言った。そんな状況まで行きながら、リリーともハンナとも別れる決断が出来なかったと言うなら救いようがない。_____二股をしていたジェイ、そんな彼と長年付き合い浮気の事実を知ったハンナ、ジェイと結婚すると親に挨拶に行こうとしていたリリー_____この三角関係だけでもややこしいというのに、まだ他にも事件との関与を拭いきれない人物たちがいる上、被害者の遺体も、居場所を示す情報も出ていない。調べなければならない事も、やらなければいけないことも未だ山積みだというのに体調が優れない。その場で座り込む事にこそならなかったものの、車に戻る頃には背中に酷く汗をかいていて。 )







 

4305: ベル・ミラー [×]
2024-06-22 15:27:06





( 濁された言葉の後、渋々__と言った様子ながら告げられたハンナの住所をメモに書き留め鞄に仕舞ってから再び視線を向ける。相手の鋭い問い掛けに全く以て救いようの欠片も無い返事をしたジェイを見詰める瞳に嫌悪が滲むも、今は一先ず車に戻る事が先決。__助手席に雪崩る様に座り込んだ相手は矢張りあのペンの落下の時から相当無理をしていたのだろう、気分が悪いであろう事は明白で。「ちょっとゴメンね、」手を伸ばして相手のシャツの第一ボタンを外し、ネクタイを緩める事で少しでも息苦しさを払拭しようと試みた後エンジンを掛け。「なるべくゆっくり走るから。…ハンナさんの家に着いたら少しだけ休もう。」そう声を掛けてから車を走らせたそのスピードは言葉通り揺れを最小限にした速度。窓の外から照り付ける日差しもまた気分の悪さを助長させるかと思えば少し窓を開ける事で車内に風を送り。__そうやって進む事凡そ15分後、ジェイに教えられた通りの家に辿り着くと、車がある事を確認した後に路肩に車を停めハザードを点け。「…ハンナさんに話を聞いて来るから、少し待ってて。__終わったらまた署で供述の照らし合わせを一緒に。」少し温くなってしまっているかもしれないが新品のミネラルウォーターを差し出しつつ、穏やかな笑みと共に暗に相手は此処で休んでいて欲しいと。けれども“何も出来ない”と気に病む事が無い様に、最後一緒にやりたい仕事を付け加えてから車を降りて、ハンナが住む家の呼び鈴を押し出て来るのを待って )






4306: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-22 17:50:18

 





( 首元を緩められると相手の言葉に軽く頷き、背もたれを倒す。フラッシュバックによる過呼吸ではない、けれど息苦しさから自然と呼吸が上擦ってしまい身体が酷く重たいのだ。また捜査が相手に任せきりになってしまうという罪悪感は、署に戻ってからの仕事に相手が言及してくれたことによってだいぶ薄れ、「…聞き取りを頼む、」とハンナへの聴取を相手に任せると車に残る事を選び。---インターホンが鳴った事で出て来たハンナは、長髪のブロンドで大人びた、被害者の雰囲気とはまた違った女性だった。相手が手帳を見せた事で警察だと理解はしたものの、何故自分の所に訪れたのかはすぐには思い当たらなかったようで『…何の捜査なの?』と不審そうに尋ねて。 )






 

4307: ベル・ミラー [×]
2024-06-22 19:20:44





( 扉の奥から出て来た女性__ハンナは、写真で見たリリーと比べてやや派手に感じた。それは決して悪い意味では無いものの、異なる2人の雰囲気に果たしてジェイは何方の見た目が好みだったのかと考える。警察手帳を見せた後に紡がれた問いは誤魔化している感じも知らない振りをしている感じも無く、本当に何の用事かわからない、と言った様子なものだから「リリー・ブラントさん失踪の件です。」と、質問に答えつつ話を聞かせて欲しい旨を伝え。不信感はあれど中に通されればソファに腰掛け、さて、内容の核心に迫ろうか。「…リリーさんが失踪した日、貴女は何処に居ましたか?」先ずは彼女のアリバイの確認から徐々に、と。__通されたリビングは窓が大きく開放感の感じられる明るい部屋。ソファに腰掛け少し横を見れば丁度窓の外には路肩に停めた己の車が見える位置で、一度だけ視線を向けて )






4308: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-22 22:08:16

 





( ハンナは相手の口からリリーの名前が出ると眉を顰め『あぁ、あの子の事。』と告げると『色んな男をたぶらかしてたんでしょ?何か事件に巻き込まれても可笑しくないわ、恨みを買ったんじゃない?』と、刺々しく言い。『二股されてた私も容疑者って事ね。本当、災難続きだわ。その日なら…家にいた。ジェイは友達と飲みに行ってそのまま泊まるって言ってたから週末は1人だったの。アリバイなら無いわ、野球の中継を見てたけど証言できる人はいないもの。』ハンナはその日、家で1人だったと答えた。しかしジェイはその日リリーと会っていたのだから、彼女に二股がバレて尚、懲りずに関係を続けていた事になる。---ベルが事件の聞き込みを続け、エバンズが車で身体を休めている頃、署では再び書類を持った男がエバンズの部屋に訪れていた。そろそろ身体に不調が出る程には毒を摂取させる事に成功している筈だ。怪しむ事もなく変わらずデスクに置かれているマグカップに内心ほくそ笑みつつ、彼が異変に気づき病院に罹るよりも前に多量の毒を盛ろうと画策する。はやる気持ちを抑えて、今はまだ縁に塗りつけ密かに苦しませるのみだと。 )







 

4309: ベル・ミラー [×]
2024-06-22 22:48:17





( 目前の彼女は未だ発見には至らないリリーを心配するでも無く刺々しい言葉を吐き捨てた。二股されていたのだから勿論怒りはあると思うが、隠す事の無いその態度は寧ろ清々しいとも言うべきか。何にせよアリバイの立証が出来ない以上被疑者の枠から外す事は出来ず、現時点でアリバイのあるジェイに比べ最も事件に関与してる可能性が高い事になる。手帳に証言を書き留めた最後、静かに顔を上げ彼女を見据えると「二股の件でジェイさんと話し合いは?」と、問う。続けて「__貴女は自分の方が本命だと思いますか?」と。全くタイプの違う様に感じられる2人の女性の何方とも選ぶ事が出来ず、中途半端に互いと付き合って居たとなればその行動も、心情も、全く理解が出来ない。__署内で今も尚、エバンズを苦しめるべく毒を使用し続けている男の存在など知る由も無いままに目前のハンナに質問を重ねる時間が続き )






4310: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-23 00:00:05

 






( ハンナは相手の問い掛けに『話し合うも何も、10も年下の女にうつつを抜かすなら別れるって言ったわ。向こうは学生でしょ?信じられない。』と吐き捨てて。『____失礼ね、私の方が遊びだったとでも言いたいの?ジェイとは学生の頃からの知り合いで、付き合って5年になるのよ。向こうが遊びに決まってるでしょ、』ハンナは苛立った様子を見せ『貴方も彼氏が居るなら気をつけた方が良いわよ、残業だとか友達との飲みだとか言って女遊びしてる奴なんて山ほどいるんだから。』と続けて。---車内にいるエバンズの元に連絡が入ったのは、その少し後の事だった。隣町の警察署から、女性の遺体が見つかったという通報。身体的特徴からリリー・ブラントである可能性が高かった。体調は未だ回復していなかったものの、直ぐに現場に急行する必要があった。ハンナの家にいる相手に電話をかけると「____ミラー、切り上げて戻って来い。隣町で被害者と思われる遺体が見つかった、」と告げ、ハンナの家の窓越しに相手に合図をする。相変わらず視界は嫌な歪み方をしていて、じっとりと汗をかいている。しっかりしろと自分に言い聞かせつつカーナビに通報があった現場の住所を設定し。 )







 

4311: ベル・ミラー [×]
2024-06-23 01:04:32





( リリーは勿論の事、ハンナの事も遊びでは無いと答えたジェイの言葉を思いだす。何方も遊びでは無く本気だったものの、ハンナに二股がバレた事で“別れる”と真っ向から突き付けられた時彼は果たしてどんな気持ちになり、どう行動するべきだと思ったのか。__リリーの両親に結婚の挨拶をする事を、体調不良を理由に先延ばしにしようとしたそれこそがある意味“答え”ではないのか。そう言えばハンナに飲みに行くと言ったジェイは、その日リリーと会っていたのだから結果的に嘘をついたのだと気が付き、彼女の苛立った言葉を聞きながら3人の関係性について考えを巡らせる。その時、ふいにスーツのポケットに入れたスマートフォンが震え相手からの着信を知らせた。失礼します、そう断りを入れてから通話ボタンを押し視線を窓の外に向ければ、果たして此方に合図を送る相手の姿と__電話口から聞こえる最も最悪な知らせ。嗚呼、生きている姿のリリーと対面する事は出来ないのだと、胸に落ちた重たい苦しさに思わずきつく双眸を閉じた後、軽く頷き電話を切り、再びハンナを見。「__話の途中ですが、事件に進展がありましたので失礼します。…ご忠告どうも。」話を切り上げ立ち上がり、尚も不機嫌そうな彼女に軽く頭を下げてから車に戻るや否や、「間違いであればいいのに。」と、一言だけ言葉にし、相手が設定したナビの案内通りに遺体が発見された現場へと急行して )






4312: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-23 01:45:45

 





( 失踪した彼女が生きている一縷の可能性は崩れ去り、事件は紛れもない殺人事件となった。相手の言葉に小さく頷き同意を示しつつも、被害者である可能性は限りなく高いことは理解していた。---現場は山を少し入った所にある川で、車を停められる場所から少し歩く必要があった。それと言って傾斜が急な訳ではないものの、草木の中を歩いて行くのは身体に堪え表情は少しばかり険しいものに。やがて道が開けて現れたのは岩も多くある程度の幅と深さがある川で、既に規制線が張られていた。『お疲れ様です。』声を掛けてきた警官は此方に敬礼すると、ブルーシートで囲われた場所まで移動する。『第一発見者は川釣りに来ていた男性です。被害者は岩陰で故意に川底に沈められていました。身体にナイロンテープが巻き付けられ、ボートを停める時に使用するアンカーで底に固定されていました。遺体の発見を遅らせようとしたものと見られます。』位置関係や発見時の状況を説明されて分かる事は、19歳の少女に対する明らかな殺意と用意周到な隠蔽工作。やるせない気持ちを抱えたまま「…分かった。直ぐに検死に回してくれ、出来る限り早く情報が欲しい。」と告げて。照りつける太陽が川の水面に反射し酷く眩しい。眩しさに引っ張られるように平衡感覚が分からなくなる感覚から既の所でバランスを取り戻し。 )








 

4313: ベル・ミラー [×]
2024-06-23 10:49:04





( 遺体発見現場まで歩くのに苦労する程酷い道のりでは無いものの“今の”相手の体力を奪う事は間違い無いと思われた。けれど相手は足を止める事もせず、表情こそ険しいが気丈に立ち続けるのならば今は口煩く言葉を並べる事はしない。__規制線の向こうでは既に鑑識数名が慌ただしく動き現場は重苦しい雰囲気。それを更に加速させたのは発見された遺体の状態で、“殺す気は無かった”なんて犯人が使うお決まりの言葉すら陳腐な嘘に思える程に明らかな殺意と用意周到さ。相手からの命令に頷いた警官は直ぐにその場を離れていき。__柔らかな風が吹き抜け、川のせせらぎや鳥の声が静かに響くこの場所はきっと“こういう事の為”に使われる場所じゃない筈なのに。既に遺体の状態で運ばれて来たのでは無く、もしこの場所で殺害されたのだとしたら、リリーは生きている間どんな気持ちだっただろうか。照り付ける太陽の陽射しの強さと比例する様に、心が被害者の気持ちに傾く。__と、相手の表情が一瞬険しさを強め、僅かに身体が傾いた気がして空を見上げる。空に浮かぶ太陽を覆い隠す雲は一つも無く場所的には悪い。「__エバンズさん此方、」頭を戻し隣に立つ相手に声を掛けつつ、一度だけ軽く腕を引き呼んだのは、木々が生い茂り陽射しを遮断してくれる森との境目。そこで徐にしゃがみ込むと「…足跡とか、他に何か見落としてる証拠があるかもしれない。…情報が来るまで一緒に。」その状態で相手を見上げ小さく微笑み。“これ”が今の最前の判断だと思っての事で )






4314: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-23 11:29:50

 






( 検死の結果が出るのは早くとも明日、死後時間が経っている可能性が高いため明後日、明々後日になる可能性も十分あった。その間に出来る事は現場に残された物を調べる事。不意に相手に手を引かれ向かった先は日陰になっているエリア。しゃがみ込んでいても不自然に思われないようにという配慮だろう、体調がぎりぎりの状態の今はそれだけでもありがたく小さく頷いて。足元は数日前の雨によって少しぬかるんでいる場所もあり、足跡が残っているとは考えにくかった。此処まで車で入ってくる事はできないためタイヤ痕は残っていない。少しすると警官が戻って来て、『検死の手配が出来ました。遺体の状態が良くないので、少し時間が掛かるだろうとの事です。現場に残っていた物は、此方の作業が終わり次第直ぐにレイクウッド署に届けます。』と告げて。検死に時間が掛かるのは遺体発見が遅れた自分たちのせいでもあるため責める事は当然できない。それでも捜査は進展を見せるだろうと、「ご苦労。また何か気になる事があれば携帯に電話をくれ。」と答えて立ち上がり。供述を照らし合わせ、現場に残された証拠品を調べ、検死結果を待つ。今出来る事はそれくらいだと思えば、相手に署に戻る事を促して。 )








 

4315: ベル・ミラー [×]
2024-06-23 12:16:29





( 地面と近くなった事で湿った土と葉の混じる匂いが鼻腔を刺激するがそこに証拠と呼べる物はありそうに無く、ややして小走りで戻って来た警官より検死の手配が出来たとの旨を告げられれば相手と同じく立ち上がり軽く頭を下げる。リリーの両親に彼女の遺体が発見された事を告げなければならないのは酷く気が重かった。__相手に促されるまま来た道を戻り、車に乗り込んで背凭れに後頭部を当て深く息を吐き出す。シートベルトを締めてエンジンを掛け、運転席側と助手席側の窓を少し開けた所で漸く口を開くと「…戻ります。」とだけ一言。__窓の外から入って来る風の香りに“緑”が混じらなくなった頃、景色はレイクウッドの見慣れた街並みに戻っていて、署の近くにあるスーパーマーケットと公園を通り過ぎ、到着した時には夕方近くになっていた。共に刑事課のフロアの扉を潜ればそこに残っていた署員達から労いの言葉を掛けられ、軽く微笑む事で返事とし。相手専用の執務室に入ってソファに鞄を置いた所で肩から力が抜ける。特別な緊張していた訳では無いが矢張り気は張るもので、「紅茶淹れるけどそれでいい?」と、確認を投げ掛けて )






4316: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-23 13:28:45

 






( 執務室に戻りデスクに腰を下ろすと深く息を吐く。体調が良くない中で外に出るのはやはり疲れが溜まるもので。紅茶を淹れるという相手に「…あぁ、同じものを頼む。」と頷いてマグカップを手渡して。デスクの上には総務からの書類が置かれていて、それに目を通しつつ必要なサインを済ませて。容疑者は未だ4人から絞り込めていない状況で悠長に構えてはいられない。取り寄せていたマーティンの前科に関する資料に目を通し。 )








 

4317: ベル・ミラー [×]
2024-06-23 14:31:38





( 差し出されたマグカップを受け取り給湯室でお湯を沸かす。アールグレイの茶葉のティーバッグで紅茶を淹れ、出来上がった紅に少しの砂糖とミルクを入れたのは少しでもまろやかに喉を通る様にと言うそれ。二つのマグカップから優しく香る紅茶の匂いは鼻腔を通り胸に落ちる。一度大きく息を吸い込み、今日は長丁場になりそうな予感に気を引き締め直し執務室へと戻れば「お待たせしました。…どんな感じ?」相手のマグカップを手渡しつつ、マーティンの前科の有無が書かれている資料を覗き込み。__今はまだ気が付く事が出来ないで居た。飲み物を淹れると言う何時も通りのその行為が、相手を少しでも休ませられる様にと願うその気持ちが、逆に相手の調子の悪さをより一層酷いものにさせていると言う事に )






4318: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-23 19:22:18

 






( 礼を言って受け取ったマグカップに口を付け、まろやかなミルクティーをひと口飲む。相手の気遣い通り飲みやすいそれは仕事の合間の息抜きにぴったりなのだが、実際は身体を蝕む毒を更に取り込んでいる事に他ならない。しかし無味無臭のそれに気付く事など、ここ最近の不調から毒を盛られている可能性に行き着く事など、不可能に等しい。手元の資料を覗き込んだ相手に「マーティンが逮捕された過去はないが、幾つか警察から厳重注意を受けている事案がある。どれも女性への付き纏いやストーカーまがいの行動によるもので、全員何かしらの店で働いている従業員だな。リリーの前は薬局の店員、その前はカフェのスタッフ。警察が介入してからは徐々に大人しくなって、別の店の女性に入れ込む、といった具合か。」と告げて。自分が足を運ぶことのできる店で気に入った女性店員に付き纏うといった迷惑行為を繰り返していたようだと。 )







 

4319: ベル・ミラー [×]
2024-06-23 20:09:37





( 厳重注意は幾度となくされたが逮捕までは至らない、どうせ“これくらい”じゃ警察は逮捕に踏み切れないだろうと調子に乗り迷惑行為を繰り返していた可能性が高いか。茶葉香るまろやかな濁りを一口胃に落とし、相手の僅か後ろで立ったまま資料の下まで目を通して。「__もし犯人がマーティンだった場合、迷惑行為を通報しなかった事をジェイはずっと引き摺るかな、」仮に警察に通報していたとして、危害を加えられて無い以上踏み込んだ対処は出来なかったかもしれないが。気持ちが僅かに別の誰かの心へと向いたそれを、今は捜査に集中しなければと言う思いで引き戻し紅茶をもう一口啜る。それからマグカップを相手のデスクに置きソファに腰掛けたタイミングで手帳を開き。「…検死結果が出ないと何とも言えないけど、ハンナ個人による犯行は難しいんじゃないかな。…別の場所で殺害したとしたも、女性の力であそこまで遺体を運ぶ事は出来ないだろうし、仮に生きてるリリーを車に乗せて2人きりで山までなんて、……面識の無い人に着いて行く?」ページをゆっくり捲りメモした供述を見直しながら、考えを巡らせ、最後、緩く首を傾け相手を見 )






4320: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-24 02:46:06

 






( 事件が起きると誰もが過去の一瞬、自分の選択を後悔する。「…そういうものだ。後悔しても過去は変わらない、」とだけ答えて。続いた相手の考察には同意を示すように頷くと「…そうだな、ハンナの単独犯という事は考えづらい。彼女が事件に関わっているなら、誰かしら共犯者がいたと考えるのが普通だろう。被疑者は揃いも揃って4人ともアリバイがない、ただリリーを巡る三角関係と考えると、ジョンだけ毛色が違うな。」と資料を眺めながら口にして。---マグカップに仕込まれた毒薬が効果を示すのは早くなっていた。既に体内にある毒と反応する所為だろうか。汗が浮かび、胸の苦しさを自覚するようになる頃には、資料の文字を追えない程に視界の歪みが酷くなっていて。 )








 

4321: ベル・ミラー [×]
2024-06-24 08:09:59





( “後悔しても過去は変わらない”それは誰より一番相手自身が感じている事か。それ以上何も言う事無く頷くだけに留めると、手を伸ばしデスク上のマグカップを引き寄せ中身を啜り。「…ハンナの共犯者として上げるならジェイが妥当かなって思うけど、…まだ名前の上がって無い友人とかの可能性も拭い切れないし。」今いる容疑者の中でハンナの手助けをするなら1人しか居ないとは思うがそれも憶測。続く相手の言葉に「確かに、」と頷いては「誰も彼も動機があるのも厄介。」と溜め息を吐き出してからマグカップを再びデスクに置き。__互いに供述を照らし合わせ考察を口にしていた時間は凡そ20分。顔を上げた先に居る相手の額に汗が滲み、苦しげに寄せられた眉を見て体調の悪さを感じ取ればソファから立ち上がり駆け寄る。椅子から落ちてしまわぬ様に背中に添えた掌を僅かに押して、相手を前屈みの体勢にする事でデスクとの位置を近付け「待って、今薬出すから!」外には漏れぬ様、けれどやや切羽詰まった声色でそう声を掛け相手の鞄の中から目眩薬を取り出しそれを二錠掌に。近くに水は無く、相手を置いて取りに行くのは適切では無いと判断すると、良くない事ではあるものの温くなった紅茶で流し込む事を選択し「…飲める?」顔を覗き込み、今の状態で飲む事が出来るかの確認と共に軽く背中を擦って )






4322: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-24 13:17:37

 







( 被疑者として上がっているリリーに好意があった周辺の男たちに、ハンナが殺害を依頼した____というのは、あまりにこじつけが過ぎるか。そもそも自ら嫉妬に狂いリリーを殺害する事こそあれど、見知らぬ女からの依頼で好意のあった女性を殺害するというのは無理がありそうだ。穿った見方をすればマーティンとならあり得るか。「…ジェイからマーティンの存在を聞いていて、リリーに対する嫉妬や憎しみを煽って殺害させた…というのは無理があるか、」思いつく繋がりを口にしたものの、いまいちピンと来ず首を捻り。---また原因の分からない、耐えようのない身体の不調に襲われ、デスクで顔を覆う。促されるまま何とか錠剤を飲み込んだものの「…喉が痛い、…」と苦しげな声が盛れ。何度も経口で毒を摂取している事で喉にも炎症が起き始めている様子。身体を起こしている事が辛いのだが、此処で横になる訳にも行かない。_____不意に扉がノックされ、扉が開き顔を覗かせたのは総務部の男。幸い外の刑事課の署員たちは異変に気付いた様子はない。部屋の中の様子に『す、すみません…書類をお渡ししようと…』と驚いたように告げたものの、エバンズの様子が明らかに可笑しい事は見れば分かる。この様子ではもう一押しで彼を殺害できると内心思いながら、表面上では慌てたふりをして『書類は置いておきます、』と告げて。 )







 

4323: ベル・ミラー [×]
2024-06-24 16:12:33





( やっとの思いで錠剤を飲み込んだその様子だけを切り取れば安堵出来るのだが問題はその薬が効く迄に時間が掛かると言う事だ。胃に落ちたそれが溶けて体調を回復させるに至る迄、相手はこの原因不明の不調に耐え続けなければならない。掠れた苦しげな声で訴えられた初めて聞く症状に視線は相手の喉元へ落ち。目眩や頭痛に加えて喉の痛み、薬の飲み過ぎかとも思うが、それならばほぼ毎日の様に安定剤を飲んでいる時に同じ症状が出ても可笑しくは無い筈だし、そもそも錠剤を服用して喉の痛みが出るなど聞いた事が無い。相手は続く不調を過去の事件で起きる発作的なそれでは無いと言い切ったのだから、そこに繋がりは無いだろう。だとしたら一体何だと言うのだ。パニックを起こしている訳では無いのだから落ち着かせてどうにかなる状態でも無く、どうしたら良いのかもわからないこの状況が酷く怖くて思わず吐き出した息が震え。だが兎に角何かはしなければ駄目だと。一先ず訴えられた症状を少しでも軽減出来る可能性としてコーヒーや紅茶では無く、矢張り水で喉を潤した方が良いのではと思えば「っ、待ってて、今水を__、!」と、背中から手を離し。扉をノックする音が聞こえたのは正にその時。不味い、と反射的に腕は扉に伸びるのだがそれよりも早く無情にも開いてしまったそこに居たのは以前もこの場所で顔を合わせた総務部の男性。彼だから良いとか悪いとかの話では無く、そもそもこの状態の相手を見られたのが不味い。当然彼も慌てた様子なものだから「ありがとうございます、」と、表面上何事も無くその書類を受け取るが全く誤魔化せていない事は明白で、変に言い訳をしても、誰にも言うなと釘をさしても更に可笑しな状況を産むだけだと思えば何も言える筈も無く、「…なるべく早く目を通してサインするよう伝えます。」結果的にそんな事務的な言葉で彼が居なくなるのを待つしかなくて )






4324: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-24 19:45:18

 






( ノックの音がして、この状態を見られてはならないと思いはするのだが、既に平静を装える状態ではなかった。酷い息苦しさと視界の歪み、普段であればなるべく避けたい場所である病院に行ってでも楽になりたいとさえ思う程に苦しく、原因に一切の身に覚えがないのだ。---相手とのやり取りの中で男は『いえ、急がないので…』とだけ気を遣ったように答え、相手の後ろのエバンズに視線を向けたものの言及すべきではないだろうと『失礼しました。』と頭を下げて出て行き。さすがにここまで状態が悪くなれば異変に気付くだろう、長く引き延ばす訳には行かなそうだと明日この地道に重ねてきた作戦を終わらせる事を決め。---酷い症状が少しずつ落ち着くまでには、およそ1時間弱掛かった。相手が部屋にいて、自分の姿を隠すような配置で座ってくれた事で捜査の会議をしているのだろうと室内にまで入って来る者はいなかった。浅い呼吸を繰り返し、ようやく視界が正常な状態に戻り始めるもワイシャツは濡れて気持ちが悪い。「______被疑者逮捕の見通しが立ったら、病院に行く、…」自らそう告げる程に、身体はきつい状態だった。 )







 

4325: ベル・ミラー [×]
2024-06-24 20:28:35





( “何も言うな、早く出て行け”と__自分自身では気が付かないが男を見る瞳にはもしかしたらそんなある種の敵意にも似た色が宿っていたかもしれない。部屋を出る最後の最後迄エバンズを気に掛ける様な素振りこそ見せたが、結局男は小さく頭を下げるだけに留めた。男から受け取った書類をデスクの上に雑に放り、再び相手が調子を回復させる迄の間は物凄く長い時間の様に感じられた。デスクに身体を預ける様な前のめりの体勢で、正常とは程遠い呼吸を繰り返していた相手は、やがて酷く脱力した様子ながらその身体を起こし、例えどんな状況でも開口一番必ず拒否する様な病院へ自ら行くと。それ程迄に原因不明の調子の悪さが限界に達しつつあるのだろうと思えば思わず奥歯をキツく噛み締め「…うん、…絶対に。」と、頷く事しか出来ない。__刑事課の署員達はどうやらこの部屋で捜査会議をしていると思っている様で、それならば好都合。ブラインドをもう僅か閉め殆ど中の様子が見えない様にした所で別に怪しまれる事も無いだろうと。相手の浅い息遣いが酷く大きく聞こえる部屋の中、自身の鞄の中から取り出したのは、見張りの為車で一夜を過ごす事になったとしても問題無い様にと常に持ち歩いているソープの香りがする“汗拭きシート”。それを一枚取り出し「…失礼します。」と、突然触れられる事に驚きや嫌悪が無い様声を掛け、相手の首元を伝う汗を拭い。それからもう一枚を引き抜き__理由があるとは言え流石に“この場所”でこれ以上手を入れる事は出来ないと、シートを相手に握らせ。「検死結果が出ない以上出来る事は限られる。その出来る事は、“今日は”もう終わりでいいよね?」投げ掛けたのは確認の言葉ではあるものの、実際は“NO”の返事は聞くつもりが無かった。「少し休んだら帰ろう。」と真っ直ぐに見据え何がなんでも連れ帰る意志を前面に、後は相手の呼吸が整う迄の間、背中側のシャツを緩く掴み少しでも気持ちの悪さを軽減出来る様にと扇いで )






4326: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-26 03:32:49

 






( 不調を感じるようになってから、日が経つにつれて症状は徐々に酷くなっていた。症状に気付いてから悪化するまでの時間がかなり短くなっている事、そして幾らか症状が落ち着いた後にも倦怠感や気分の悪さと言った不調が拭いきれないものになっている。首元にひんやりとした感覚があり、じっとりとした汗の不快さが少しばかり軽減された。手渡されたシートで、緩んだ首元から鎖骨あたりまで、そしてワイシャツの裾あたりから背中の一部を拭って。相手の言う通り検死結果や現場に残された証拠品が上がってこない事には喫緊でやらなければならない事はない。相手の問い掛けに対して“NO”と答えることはなく、軽く頷くと深く息を吐き出して。「……犯人は必ず捕まえる、」そう呟くように言葉にしたのは、最後まで捜査に邁進するという相手に対する宣誓か、或いは自分自身を奮い立たせ言い聞かせるものか。 )







 

4327: ベル・ミラー [×]
2024-06-26 07:23:16





( 自らの意思で病院を望む程に調子が悪くとも、相手は折れない。まるで誓の様な、自分自身に対する言い聞かせの様な音で落とされた言葉に、ただ大きく一度だけ頷いて。__それから凡そ一時間、倦怠感こそあれどある程度落ち着いた様子の相手の顔を覗き込み表情を確認しては、「…帰れそう?」と問い掛けて。今回の様にいきなり体調不良を振り返し今度は倒れてしまっても可笑しくは無いし、身体の調子の悪さと悪夢を見る事によって心の不安定さが同時に訪れるかもしれない。音として伝えてはいないものの、少しでも近くに居たい気持ちのだと、今夜は相手の家に泊まらせてもらおうと考えていて )






4328: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-26 22:45:20

 





( 相手の問い掛けに帰れると頷けば、デスクを軽く整えて立ち上がる。立ち眩みこそあったものの、再び座り込んでしまうほどではなく鞄を手にすると相手と共に駐車場へと向かい。送ってくれるという相手の車の助手席に座り、ほんの数分微睡んだものの程なく家に着き。相手がエンジンを切った事で、家に来るつもりなのだろうと思うもその事に何か言うことはしなかった。「…家にあるものは好きに食べてくれ。帰る時に鍵はポストにでも入れておいてくれれば良い。」部屋に入りジャケットを脱ぎながら相手にそう告げると、そのまま寝室に向かいベッドに体を横たえて。 )







 

4329: ベル・ミラー [×]
2024-06-26 23:45:51





( __家に着き、部屋に入って早々に寝室へと消え行く背中を見送る。酷い倦怠感と尚万全に回復した訳では無い調子の悪さを引き摺っているのだろう、今は何よりも休息が必要な様に思えた。好きな様に、と言われた通りにキッチンの戸棚を開けてそこにあったパンを一枚だけ貰いミルクで胃に流し込む。何方かと言えば夜ご飯より朝ご飯的な感じではあるし、量だって少ないのだが余りお腹の空いてない今の状態ではこれくらいが丁度良かった。それから数時間、相手の不調の事やリリー殺害の事件について、何か見逃しや不審な点は無いかと考えを巡らせて。__相手は帰る時に鍵をポストに、と言ったのだが、そもそも今日帰宅する気は無い。痛重たく感じられる皺眉筋を解す様に人差し指の第二関節でグリグリと押し込む様なマッサージの後、静かに立ち上がり相手を起こさぬ様に寝室の扉を開け。暗がりでもわかるシーツの膨らみは、そこに相手がいる事の証明。忍び足で近付きベッドの脇にしゃがみ込む体勢で眠る様子を見詰め、願うのは一日でも早く原因不明の調子の悪さが治まる事。声を掛けるでも無く、けれど再びリビングに戻る訳でも無く、気が付けば瞼は重たく下がり、やがてそのまま座り込む様にして何時しか浅い眠りに落ちていて )






4330: アルバート・エバンズ [×]
2024-06-27 13:26:14

 






( 目眩への対処として応急的に飲んでいる薬は、不調の根本的な解決にはならないものの症状を緩和してくれた。身体に重怠さは残っているものの、身体を横たえると直ぐに眠りに落ちていて。---寝苦しさが助長したのか、その夜見た悪夢は鮮明なものだった。自分が見殺しにしてきた多くの罪なき人たちが、虚で暗い瞳を自分にむけている。そしてその内の1人が____夢とは気まぐれなもので、何故かそれはかつてクラークに見せられた彼の弟ルーカスの姿形をしていたが_____こちらに手を伸ばし、首を掴むのだ。ありったけの力で、自分たちを見殺しにしたお前も地獄に落ちるべきだと。---息が詰まるようなその苦しさと憎しみの籠った瞳に意識は覚醒し、苦しげに喘ぐような声が漏れる。喉が痛い、それに加えて呼吸は狂っていて呼吸の仕方を忘れてしまったかのように肩が上下するばかり。「_____っ、は…ッあ゛、」懸命に酸素を取り入れようとするものの、悪夢によって引き起こされたパニックがそれを阻み。 )







 

4331: ベル・ミラー [×]
2024-06-27 17:01:07





( 床に座り込み頭を垂れる様な体勢で眠り続けていたのは最初。やがてその身体は前のめりになりそのままベッドの縁に頭を預ける様な体勢へと変わり、けれども覚醒はする事無く静かに寝息をたてるだけ。__時計の針が0時を過ぎた頃、間近で喉の奥で息が引っ掛かった様な苦しげな声が聞こえ瞼が持ち上がる。寝起きの鼓膜を震わせたのは酸素を懸命に取り込もうとする狂った呼吸音で、体調の悪化によるものでは無く、悪夢を見た事によるパニック発作だと思えば立ち上がりベッドの縁に腰掛けた状態で相手の背中に掌を宛てがい。「…エバンズさん、」小さく、穏やかに、その名前を呼び掌を上下に動かす事で背中を擦りながらほんの僅かでも呼吸が楽になるようにと。それは何時ものやり方。けれど、今回相手の見ている悪夢にルーカスが関係しているなどとは思いもせずに )






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