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白む空に燻る紫煙 ---〆/4203


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自分のトピックを作る
4127: ベル・ミラー [×]
2024-02-21 22:18:29





アーロン・クラーク



セシリアさんは__ルーカスは貴方なんかよりもずっと痛かった筈でしょ。
( 此方の紡ぐ悪意ある言葉の数々に、まるで引き摺り込まれる様にして呼吸を乱した相手を冷め切った瞳で見据える。相手にとって大切な妹の名前を出し、自らにとって大切な弟の名前を出し、“相手の感じる痛みなど微々たるものだ”と言わんばかりに責め立てる言葉を吐く唇は閉じる事を知らないかのよう。__薄暗く静かで冷たい部屋、相手の乱れた呼吸音がやけに大きく響く中、ややしてゆっくりとした動作で以てソファから立ち上がったクラークは、そのまま相手に近付き僅かに腰を折ると、散々な言葉を吐き捨て心を切り刻んだにも関わらず、それは幻か何かであったかの様な優しい手付きで何も言わずに頭を撫でて )





4128: アルバート・エバンズ [×]
2024-02-22 02:01:53

 






( あの事件の被害者たちに比べれば、今感じている痛みなど微々たるものだと言わんばかりの冷静な言葉。その言葉は心が傷付けられ続けた今の状況では残酷ながら腑に落ちてしまうもので、自分がこうして苦しむのも仕方がない事なのだという思考が湧き上がる。_____相手の言葉はいつも“楽になる事は許されない”という強迫的な思考を植え付け、その度に絶望に突き落とされるのだがその瞬間は、その可笑しさに気付けないのだ。上擦った呼吸は徐々にそのペースを狂わせ、肺の奥まで届くものが少なくなって行く。「…っは、ぁ…ッは、」額に汗が浮かび、記憶の波に飲まれてはいけないと必死で落ち着かせようとするのだがコントロールのしようもない。偽善的に頭を撫でる相手の手を振り払う事もできないまま身体は痛みから逃れるように前のめりになり。 )







 

4129: ベル・ミラー [×]
2024-02-22 08:42:52





アーロン・クラーク



( 嫌悪する相手に頭を撫でられると言う本来屈辱的なその行為にすらも抵抗しない──出来ない相手は、苦しさから身体を僅かに折る体勢で懸命に襲い来る痛みから逃れようとする。柔らかな焦げ茶の髪はワックスで整えられている訳では無い為にサラサラとクラークの指の隙間を擽り、それが無性に楽しいと、この場には全く似つかわしくない事を思いながら何度も何度も髪を梳く様に撫で続け。やがてその一方的な行為に満足すれば、次は強引に顔を持ち上げ汗で額に張り付く相手の前髪を掬う様に払ってやり__その指を下げ懸命に息を吐き出す唇に宛てがう。小さく震えている赤みを失ったそこはひんやりと冷たく、此処から許しを乞う言葉が漏れ、己の名前を呼ぶのだと思えば、何とも言えない愛おしさがふつふつと湧き上がると言うもので。『苦しいですね、警部補。』唇に押し当てた指を軽く左右に滑らせながら、瞳を覗き込む様に顔を近付け、今一度『ね?』と微笑んで )






4130: アルバート・エバンズ [×]
2024-02-27 02:58:31

 






( 幾ら懸命に息を吸っても一向に楽になる事はなく、身体は小刻みに震える。不意に抗う事の出来ない強い力で顔を持ち上げられ相手と視線が絡む。涙の膜の張った瞳に浮かぶのは怯えたような、虚ろな色。あまりに苦しい事が続き過ぎた。記者に付き纏われアメリカ中を敵に回すような記事を書かれた挙句、署内にも味方は居ない______唯一寄り添ってくれていた、いつからか心の拠り所になってしまっていたミラーも今は居ない。まもなく事件から12年、妹の命日を迎えるというのに静かに想いを馳せる事さえままならないのだ。「……っ、…もう、嫌だ_____」震える唇から漏れたのは、滅多に紡ぐ事のない“弱音”。ミラーにならまだしも、其れを相手を目の前にして紡ぐ事など普段であれば何よりも嫌がる事の筈だったが、心は傷付き立ち上がる事は出来ないと、全てを投げ出したいと悲鳴をあげているのだ。全てを投げ出し、“セシリアの所”へ行きたいという思考に辿り着くのも時間の問題か。上手く出来ない呼吸が喉に引っ掛かり、苦しさから表情が歪む。目を伏せると足元へと涙が溢れ。 )







 

4131: ベル・ミラー [×]
2024-02-27 11:08:40





アーロン・クラーク



( 然程の抵抗も無く持ち上がった相手の顔。褪せた碧眼には薄く涙の膜が張り“気力”が感じられない。至極弱々しい音が溢されたのはクラークの指先が冷たい唇から離れた調度その時だった。ぱち、と紫暗の瞳を一度瞬かせ、まるで珍しいものでも見る様な眼差しを向けた後、重力に逆らい落ちた涙を一瞥してから『まだ始まったばかりでしょ?』と、血も涙も無い一言を。『今そんな弱気でどうするんですか。そんなんじゃ、当日本当に1人で乗り切れませんよ。』聞く人が聞けば励ましの言葉かもしれないがその裏に潜むのはれっきとした悪意。まだ“あの日”は訪れていない、その日相手は孤独だ、と。それでもミラーが此方に戻って来れない以上相手を好きに出来ると言う気持ちも持ち合わせていれば、態とらしく何かを思案する間を空けた後『…まぁ、ミラーも間に合わないですし__貴方が“本当に1人”なら慰めに来てあげてもいいですよ。仕事も無く、誰にも縋れるず、本当に1人ならね。』何処か含みを持たせた言葉で相手の反応を伺って )






4132: アルバート・エバンズ [×]
2024-02-28 00:52:38

 






( 今自分が署に来る理由は果たしてあるのだろうか。記者は自分を待ち構えながらも話を聞きもしない、あの記事や記者たちの出待ちによって業務にも影響が出ている事は確かだ。仕事に来さえしなければ記者と顔を合わせる事も、周囲の喧騒に心を擦り減らす必要もない。今自分が必死に立っている意味が分からなかった。相手の“慰めに来る”とは果たしてどういう意味か______しかしその言葉には小さく首を振り。誰にも干渉されず、一人で命日を迎えたいと言うのが今の願い。僅かに呼吸が落ち着きを取り戻し始めると、弱々しい色は薄れ少しばかり普段の鋭さを宿す。警視正には自分から数日の有休消化を申し出ようと考える余裕は未だあり、ネクタイを緩めつつ「……もう帰ってくれ、」と言葉を落として。 )








 

4133: ベル・ミラー [×]
2024-02-28 11:00:15





アーロン・クラーク



( 此方の申し出に首を横に振る事で拒絶を示した相手は、続いて数秒前に見せた弱々しいものでは無い普段の通りの鋭さを僅かながら取り戻した瞳を向け、そうして確かな言葉で以て更なる拒絶を続けた。“まだ堕ちて無い”そう思える状況がそれはそれで面白いと僅かに視線を下方に、クツクツと喉の奥で低く笑ってから相手と視線を交わらせると『わかりました、あまり無理はしないで下さいね。』あっさりと相手の要望を聞き入れ、あまつさえ口先だけの心配をして見せつつ何事も無かったかのように部屋を出て行き。__事件から12年目を翌日に控えた今日。ミラーが携わる事件はと言うと、捜査が難航しクラークの言う通り少なくとも後1日で犯人逮捕まで持ち込み、全てを終わらせてレイクウッドまで戻って来られる状態では無かった。最後まで諦めないとは決めたものの結果的に昼には可能性が確実に0へとなり、至らなさや不甲斐無さ、様々な気持ちから泣き出してしまいそうな気持ちを無理矢理押し込めて相手に謝罪の電話をしたのだった )






4134: アルバート・エバンズ [×]
2024-02-29 22:32:11

 






( ミラーからの電話を受け、気にしなくて良いと、今は目の前の捜査に集中しろと告げて電話を切ったものの心の何処かでは彼女の帰りを望んで居たのだろうか。明日という日をたった1人で過ごさなければならない事に酷く絶望した。記者たちも大勢集まってくるであろう明日、署に出てくるだけの気力もなければ周囲に迷惑を掛ける訳にはいかないと判断し1日だけ有給を取っていたものの事件から12年の明日を過ぎれば一切の報道陣が居なくなるとも限らない。寝不足と身体の不調により仕事に集中する事も出来ず、それでもせめて明日自分が休んでも支障がない程度に仕事を片付けてしまおうとその日も夜遅くまで署に残る事となり。 )







 

4135: ベル・ミラー [×]
2024-03-01 13:58:29





ルイス・ダンフォード



( __あの事件から12年目を迎えようとする中で、日を増して過熱する報道や署に張り込む記者の数、そうしてその渦中に居るエバンズの体調が思わしくない事を危惧した警視正からダンフォードに急遽応援の連絡が入ったのは、今朝の事だった。自身の勤務先での仕事を全て終わらせてから車を走らせ、レイクウッドに到着したのは夜遅くの事。駐車場から見る署内は暗く流石にこの時間残ってる人は居ないかと、翌日からの仕事を少しでもスムーズに進める事が出来る様に、今署員が担当している事件の進み具合やその他諸々を確認する為に刑事課のフロアを訪れ。__フロア内に光は無かったが、ふ、と視線を向けた先。エバンズ専用の部屋の隙間から僅かに薄い光が漏れてるのに気が付いた。外からは気が付かなかったがまだ残って居たのかと一度壁に掛かってる時計の時間を確認した後、扉を一度だけノックし『…エバンズ?』と、声を掛けて )






4136: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-01 22:04:15

 






( 今日の仕事さえ片付けてしまえば、明日は静かに過ごせると思っていた。体調は思わしくなかったが耐えられる程度のもので、仕事に大きな支障は無い筈だった。棚にしまってある資料を取り出そうと席を立ち棚に手を掛けた時、突然酷い目眩に襲われて一切の平衡感覚が分からなくなる。自分が地面に足を付いて立っているのかすら分からなくなる程気持ちの悪い目眩。咄嗟に伸ばした手は何を掴む事も出来ず地面に半ば倒れ込むようにして蹲り。視界が回るような目眩で治まれば良かったものの、デスクの上にあったマグカップか何かが反動で落ちたのだろう。何かが割れる音がして、自分の意思に反して記憶の波が一気に押し寄せていた。追い込まれた状態で発作を起こしても、過去にさえ意識を奪われなければ耐える事が出来た。しかしあまりに鮮明な銃声____と誤認してしまった音_____が引き金となれば最早正常な状態ではいられない程に心は弱り切っていた。「っ、…ぐ、…かは、ッ……」あっという間に呼吸が上手く出来なくなり、瞳は暗く沈む。吐き気に襲われえずくのだが、何かを吐き出してしまう事も出来ずに苦しさに悶えるばかり。鮮やか過ぎる程の赤と血の気を失った妹の顔、恨みを湛えた遺族の暗い瞳と追いかけて来る記者の波。酸素を取り込む事が出来なくなった事で身体は痙攣を始め、棚に凭れ掛かるようにして身体は力を失う事となり。思いがけない来訪者が部屋の扉をノックした時、意識を失う一歩手前の状態で掠れた極浅い呼吸を繰り返し、身体は冷え切っていて。 )







 

4137: ベル・ミラー [×]
2024-03-01 22:28:55





ルイス・ダンフォード



( ノックに応える声は無く、時計の秒針が時を刻む音だけが静かに響くと思われたフロア内__ドアのぶに指先が掛かった所で、部屋の中から人の気配と極僅かな物音の様な音が聞こえれば一瞬だけ怪しむ様に目を細め『…入るぞ、』と、扉を開け。FBIの署に侵入する怖いもの知らずな犯罪者は居ないとは思うが__勿論クラークの事は知らないから言える事__念の為に細心の注意を払い落ちた視線の先にはデスクから落下したのか床で砕けるマグカップと、数枚の書類。それから棚に凭れる様にして掠れた危うい呼吸を懸命に繰り返す相手。『ッ、エバンズ!!』息が止まるかと思った。相手の名前を声を張り上げ呼び、床に片膝を付きその背に腕を回し引き寄せるのだが、身体には力が入っておらず、此方を認識出来ているのかも怪しい所。『おい!しっかりしろ!』片腕で相手の身体を確りと支え、もう片方の手で上着のポケットにあるスマートフォンを取り出すと、“レイクウッド総合病院”へと電話を掛け夜間の救急患者受け入れを要請し。電話口の看護師は直ぐに救急車を手配すると告げ、それまでの間、冷たくなっている相手の身体を懸命に擦り、意識を手放す事が無いようにと話し掛け続けて )






4138: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-02 00:16:18

 






( 相手が部屋に入って来た事を、自分の名前を呼んだ事を、認識する事は出来なかった。フラッシュバックに襲われ暗く冷たい記憶の中に囚われたまま、深い水の底に沈んでいるかのように呼吸が苦しくて懸命に息を吸おうと口を薄く開くのだがまともな酸素を取り込む事さえ出来ない。意識が朦朧とした状態の中で不意に暖かさを感じた事で少しばかり意識が浮上するのだが、それによって麻痺していた苦痛もぶり返す。掠れた呼吸の中に苦しげな音が混ざり、肩を上下させながら懸命に酸素を取り込もうとするのだが其れは喉に引っ掛かり咳き込む事となった。「…っ、ゲホ……ッは、ぁ゛…」相手が要請した救急車のサイレンが聞こえ始めた頃、完全に相手に凭れ掛かる形になり辛うじて保っていた意識は失われる事となり。 )








 

4139: ベル・ミラー [×]
2024-03-02 01:03:02





ルイス・ダンフォード



( 救急車の中で、呼吸の手助けの為に相手の口元には酸素マスクが、人差し指の先には血中酸素と心拍を測る為の器具が取り付けられその状態のまま病院へと運ばれる事となり。__夜間の救急専用の入口から担架に乗せられた相手は一先ず個室の病室へと寝かされた。心身共にかなり衰弱しており、命に別状こそ無いものの今はゆっくりと寝かせ、暫くは安静にしなければならない事の説明を受けたダンフォードは、眉間に皺を寄せた険しい表情で頷き。エバンズの担当医師である【アダムス】は明日の朝一番に来るとの事で、検査や容態の確認、今後の詳しい進み方などは彼と話す事となるだろう。__真っ白のベッドで酸素マスクに助けられながら静かに眠る相手の顔を見詰め、重たい息を吐き出す。こうして意識の無い相手を見るのは2度目だ。あの時とは違いきっと明日には目を覚ますだろうが、意識を取り戻した時はもう既にあの事件から12年目を迎える当日、相手の心に掛かる更なる痛みを思い思わず額に手を当て顔を俯かせる。警視正にも、相手によく懐いているように見えるミラーにも連絡をしなければならないが、それは明日の朝だ。相手専用の部屋に散らばるマグカップの欠片や書類の片付けは…どうせ誰もあの部屋には入らないだろう、朝早くから出勤し片付ければそれでいい。額から手を離し顔を持ち上げ、再び眠る相手に視線を向ける。それから静かに伸ばした手で目元に掛かる前髪を払ってやると、もう少しだけ此処に居る事を決め、何とも言えぬやるせなさに再び深い息を吐き出して )






4140: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-02 02:12:31

 






( 息も吐けない程の苦痛はいつの間にか緩やかに楽になっていたのだが其れが何故かは分からない。暗闇から徐々に過去の記憶が浮かび上がり、自分自身も深い水の底から少しずつ水面に向かって浮かび上がっているような感覚に、僅かに眉を顰め身じろぐ。______セシリアの後ろ姿が見えた。緩くカールした焦茶色の髪が風になびき、暗闇はやがて昔よく散歩した緑豊かな川沿いの煉瓦道へ。彼女の後ろ姿を眺めているうちに、景色はよく見知った幼稚園の教室の中へと変わっていて、心臓に冷たい刃を当てられたような感覚になる。歩いている彼女の後ろ姿を見ていた筈が、気付けば床に倒れて動かなくなった背中があり、思わず「セシリア、」と声を上げるのと同時に意識が浮上して。呼吸は乱れていたが、酷い苦痛をもたらさなかったのは口元に宛がわれた酸素マスクのお陰。しかし夢から醒めたばかりで、自分の置かれた状況を直ぐに理解する事が出来ずに。身体には酷く汗をかいていて、夢の恐怖から身体は小刻みに震えていた。 )







 

4141: ベル・ミラー [×]
2024-03-02 09:07:08





ルイス・ダンフォード



( 眠る相手の傍らでパイプ椅子に座りながら静かに目を閉じる事数分か、数十分。ふいに僅かなスプリングの軋みと切羽詰まった様な声が鼓膜を震わせ瞼を持ち上げると、真っ白の布団上で目を覚ましている相手が。恐怖を感じる夢を見たのだろうか瞳孔は開いているのにその瞳は不安定に揺れていて、それに比例する様に身体も小刻みに震えている。寒さから来る震えでは無い事は一目瞭然で間違い無く今の状況を瞬時に理解出来る程に思考は動かないだろうと思えば、静かに椅子から立ち上がるのと同時、骨張った片手を布団の上から相手の胸元付近に置き一瞬ほんの僅かに力を込め『…大丈夫だから、起き上がるな。』相手が状況確認の為に動き出してしまう事の無い様に、低く落ち着い声色で大人しく眠る事を促した後は、胸元に宛がっていた手を上へ、相手の焦げ茶の前髪を軽く撫で払う仕草で落ち着かせようと試みて )






4142: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-02 10:53:04

 






( 浅く吐き出された息は震えながらペースを乱すのだが、再び酷い酸欠に苦しむ事にはならず補助されるように酸素を取り込む事が出来ていた。不意に胸元を抑えられ、混乱した表情のまま視線を向けた先にはダンフォードの姿。「_____どうして、…」と言葉を紡いだもののあの酷い眩暈の症状は残っていて、無理に起き上がっては居ないものの視界が揺らぐ感覚に僅かに表情を歪めて。目の前にダンフォードが居る事、その事実から派生してこの場所が署ではなく病院であることに気がつくと自分が置かれていた状況を思い出し、また胸が重たくなるような感覚を感じて。相手はあの記事を読んだだろうか、と思うのと同時に今は一体何日の何時かと時計に視線を向けて。 )







 

4143: ベル・ミラー [×]
2024-03-02 13:05:36





ルイス・ダンフォード



( 相手の頭が僅かに持ち上がり目線が時計に向いた事で、今置かれて居る状況を理解したのだろうと判断する。『__夜中の0時を回った所だ、』モニターからの薄い明かりがあるとは言え、この暗い部屋の中では正確に時間を確かめる事は出来ないかもしれない。それを良い事に誤魔化す事は出来るのかもしれないが、それはあくまでもその場凌ぎであり何にもならぬ行為だとわかるからこそ時間だけを静かに告げ。0時と言う事は日付的にあの事件から12年目の当日と言う事になる。相手が今再び眠りに就き、次に目が覚めた時は既に日が昇っていて嫌でもそれを実感する事になるだろうか。『署で倒れてるお前を見付けてな、悪いが救急車を呼ばせてもらった。…朝になれば担当医が来て、詳しい事を教えてくれる筈だ。』遅れて、先程の“どうして”に対するザックリとした返答を続けては、普段の様な軽いトーンではない真剣な声色で以て『…もう一度、眠れるか?』と尋ねて )






4144: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-02 19:09:13

 







( 自分が有給を取っていた為か、ダンフォードが応援の要請を受けていた事を初めて知る。そして自分があの眩暈を起こしたあと倒れていた事も。こんな状態で、其れも病室で12年目を迎えるなど、もしあの記者やクラークが居たら“自分だけ逃げるのか“と罵る事だろう。しかし相手を長く此処に引き留めておく訳にはいかず、投げ掛けられた問いには心配は要らないと小さく頷いて「大丈夫です、…ご迷惑をお掛けしました。」と、普段よりも弱った声ながらもあくまで普段通りの毅然とした態度を崩す事はせず。有給をとっているのは今日だけ、少し休んで落ち着き次第直ぐに復帰すると相手にさえ弱さを見せる事なく告げるのは、無理をしてでも立って居なければ駄目になってしまうと、自分でも思う程に一連の出来事によりダメージを負っているからか。「_____この事は誰にも言わないで下さい。…朝まで此処に居なくても、もう大丈夫です、」酸素マスクに呼吸を補助されなければ直ぐにでも上手く呼吸が出来なくなるというのに、あの発作は極一時的なものだったとばかりに虚勢を張り。 )







 

4145: ベル・ミラー [×]
2024-03-02 22:01:31





ルイス・ダンフォード



( 相手が繰り返す“大丈夫”を虚勢だと見抜けぬ程部下に無関心だった訳でも鈍感な訳でも無い。けれど昔から弱っている姿を見られるのを嫌う野生動物みたいな所のある相手だ、下手に己が此処に居続けるとかえって逆効果な場合もある。『こんなのは迷惑の内に入らねェよ。』先ずは受けた謝罪に軽く首を左右に振る事で全く問題無い事を伝え、続けて要望を言われれば僅かに片眉微動させ『誰にもって、警視正やミラーの嬢ちゃんにもか?』正直な所、朝担当医が来て話によっては相手の有給を延ばす事になり、そうなれば警視正には嫌でも伝えなければならないだろう。けれども相手と共に捜査をする事の多い、相棒の様な存在の部下である彼女にもなのかと確認を )






4146: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-03 00:02:17

 






( こんなのは迷惑の内に入らないと、自分が謝った時、昔から相手はいつも首を振りそう言い聞かせてくれる気がした。相手からミラーの名前が出れば頷き「_____出張中なんです。ただでさえ別の町で、一人で捜査に加わってる。今回のタイミングと重なった事を気にしているから尚更…ミラーには何も言わないでください、」と告げて。「ダンフォードさんも、もうホテルに戻って休んで下さい。」病院まで付き添ってくれた事に礼を述べつつ、明日出勤しなければならない事を考えると早くホテルに戻って休んだ方が良いと促して。 )







 

4147: ベル・ミラー [×]
2024-03-03 11:00:34





ルイス・ダンフォード



( 相手が倒れて今病院だ、なんて言えばきっと血相を変えて飛んで来るか、相手の事が心配で捜査も手につかない状態になるかもしれない。きっとあの部下にはそう言った__FBIとしては些か冷静さに欠ける所があるのかもしれないとぼんやり思っていた。だがそれはきっと相手の事を心の底から心配しているからなんだろうとも。そして相手もまた、彼女の事を少なからず心配している。『わかった、嬢ちゃんには連絡しない。』相手の気持ちを汲み取りそう約束しては、繰り返される帰る事を促す言葉にやれやれと肩を竦ませ『…嗚呼、わかったよ。明日の仕事の事は何も心配せずゆっくり休め。夕方また見舞いに来るから、その時医者とどんな話になったか教えろよ。』椅子から立ち上がり鞄を片手に頷けば、ちゃっかり仕事終わりにまた来る事を告げその日はホテルに戻る事として。__それから迎えた朝。事件から12年目の当日。アダムス医者は朝から相手の居る病室の扉をノックし起きているかを確認して )






4148: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-03 15:37:42

 






( 相手が帰ると病室はしんと静まり返る。無用な心配を掛けないようにと普段通りを装っていたものの一人になると倦怠感に抗う事なく寝返りを打ち息を吐き出して。自分の前では無理をする必要は無いと彼は言うだろうが、ただでさえ応援として余計な労力を掛けているのだ。あの記事が自分の身近な人に与える影響は大きい_____お前の部下だろうと、自分の知らない所で嫌な思いをさせている事だってあり得る。あの事件から12年。今日は至る所であの事件の報道が成され、冷酷で心無い捜査官として自分の話題が持ち上がり、そうしてあの夢を幾度と見るのだろう。---微睡んでも鮮明な悪夢によって眠りは阻害され、まともに眠る事が出来ないまま朝を迎えた。胸が締め付けられるような苦しさやフラッシュバックに襲われるのは、病院であっても変わらない。扉がノックされた時も、極浅い眠りの中に居て意識は直ぐに浮上した。特段返事をする事はなかったものの、扉へと視線を向けて。 )







 

4149: ベル・ミラー [×]
2024-03-03 16:50:23





アダムス医者



( ノックに対する返事は無く、この段階で相手は未だ眠って居ると思う者も多いかもしれないが、例え起きて居たとしても返事をしない事がある事を彼の専属医であるアダムスは知っていた。体調が悪かったり意識がぼんやりとしている時、1人になりたい時、はたまた病室に連れて来られたのを不服と思っている時何かも子供じみた機嫌の悪さを醸し出す時がある。少しの間を空けて静かに扉を右へと引き中を確認すれば、起き上がってこそ居ないもののぼんやりと目を開け此方を見ている相手と視線が交わり。機嫌の悪さからの無視では無い事だけは確認し後ろ手に扉を閉める。『おはようございます。…少し来るのが早すぎましたね。』ゆっくりとした足取りでベッドの脇まで歩みを進め、傍らで立ち止まると至極穏やかな声色で小さく微笑みつつモニターに映し出される心拍や酸素濃度を確認し頷き。『__多少の乱れはありますが、一応安定しています。けれど、ご自身でわかっている通り、身体にも心にも相当な負荷が掛かりもう既に限界を迎えている筈です。…数日、入院しましょう。』続けてその瞳に真剣な色を宿すと、穏やかながら、拒否は認めないとばかりの医師としての僅かな圧を滲ませ。__一方その頃。相手が倒れた事を知らないミラーは早朝に送ったメールへの返事が無い事に少しばかりの不安を感じていた。朝早かった為に眠っていてまだメッセージを見ていないとも思うのだが、一度膨らんだ嫌な予感はそう簡単に消える事が無く、それは“今日”だからこそ尚更であり )






4150: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-05 00:50:45

 






( 朝届いたミラーからのメールに返事をする事はなかった。それだけの気力もなく、目眩の所為で長く画面を見ている事も出来ずに。---休職、療養、入院______そういった言葉を幾度彼の口から聞いただろう。変わらず優しく微笑む相手でさえ、報道の事は知っている筈だ。休職も入院も、結局はその場凌ぎにしかならず、その時身体を休めても何かが変わる訳ではなく根治には至らない。「……12年経っても、何も変わらない。」とだけ独り言のように言葉を紡ぎ。体調が悪くても素直に身体を休める事を受け入れられないのは歪んだ贖罪の形______身体の事を顧みず仕事にのめり込み、いつか自分が壊れてしまう事を心の何処かで望んでいるからなのだろうか。“ルーカスとセシリアさんはもっと苦しかった“という言葉は心に突き刺さったままだった。入院を促す言葉には黙り込んだままだったものの「……外出の許可が欲しい、」とひと言。意識には僅かに靄が掛かったような状態で、正常な思考とは言えない。今の状態で1人で出歩く事は愚か、車を運転する事など不可能に近かったが妹の墓参りに行かなければならないと思ったのだ。 )






 

4151: ベル・ミラー [×]
2024-03-05 19:33:39





アダムス医者



__痛みが完全に消える事は無いでしょう、けれど12年掛けて少しずつ変化してはいる筈です。…貴方にとっては気休めでしかないかもしれませんが。
( 一人言の様に溢された言葉に返事をするべきだったかは定かでは無いが。痛みや苦しみの渦中に居る人にはその“負”の大きさの変化には気が付かないものだと、加えて相手は“自分だけ楽になる事は悪”だと言う考えを心の奥底に宿している。楽になりたい、けれど許されない、その拮抗し合う気持ちの狭間で身動きが取れず、頭も、身体も、心も、いっぱいいっぱいになってしまうのだ。そうやって負荷が掛かり過ぎた事で人は時に正常な判断を失い__最悪を招く事だって十二分に有り得る。『…本当に変わらなくてはいけないのは、貴方を取り巻く環境なんでしょうね、』ぼんやりとしたままの相手を見詰め、思うのは周囲の身勝手な騒ぎ。周りが、悪いのはあくまでも事件を起こした犯人だけで相手は悪く無いと声を揃え、記者やマスコミが相手を責め立てるような記事を書かず、誰しもが相手をそっとしておけば、もしかしたらこんなにも深く苦しみ続ける事は無かったかもしれない。痛みは消えずとも、もっともっと周囲に頼る事が出来たかもしれない。__何が、誰が、“悪”だろうか。週刊誌の内容を思い出し思わず目を伏せるも、ふいに入院に対する拒否の言葉ではない、外出の許可を所望されると再び顔を上げ。『…今はまだ無理です。妹さんの命日だと言う事はわかっていますが、とても許可出来る状態じゃない。』今日がどれ程の日か、わかってはいるが無理なものは無理だと首を左右に振り残酷にも拒否を。今の相手を1人病院から出す事は、それこそ何よりも危ない事だとわかっているからで )






4152: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-05 21:19:32

 







( 誰も事件の事など知らない場所で静かに暮らしたいと思わない訳では無かったが、それは罪から逃げる事だとも感じていた。結局根底には罪の意識がこびり付いて居て、それが楽になる事を_____過去の記憶から解放される事を赦さない。周りの誰でもなく、自分で自分を許せないからこそ苦しみ続けているのかもしれない。今回の件も、声を大にしてあの証言は嘘だと反論し、弁護士を雇って戦う事も出来たがそこまでしようとは思えなかったのだ。当然ながら外出を許可される事はなく、この場所で一人無意味な時間を過ごす事に対してやるせない気持ちを抱えるも、医師の決定に食い下がる事はしなかった。「……休みの申請をしておく、」とだけ答えたのは、入院をする意思があるという事。同時に、今刑事として働く意義を見失っているという事でもあった。---警視正の元には、午前中の内にエバンズから明日以降休みを貰いたい旨のメールが届いていた。自己都合による休みで復帰に数週間を要する可能性もあるため有休消化が難しければ休職の扱いでも構わないと。事件から12年、本人が想定した通りレイクウッド署の前には大勢の記者が集まりエバンズの姿を探していたが、出勤している様子がない事に気付き逃げたのかと不満を露わにする記者も居た。メールに詳細は書かれて居なかったが、体調を崩したのは明らかでメールを開いたままやるせなさから深い溜息を吐き。 )








 

4153: ベル・ミラー [×]
2024-03-05 23:47:22





( 仕事人間の相手が休みの申請をするとなれば、よっぽどの事があると判断され却下される事は間違い無く無いだろうとアダムス医者は頷き、入院の諸々の手続きをする為に一度病室から出て行き。__刑事課フロアでは何とも言い難い空気が朝から漂っていた。此処数日で一番数の多い記者達の姿を見た署員も多く、アナンデール事件から12年目を迎えた今日、悪い意味で話題となっているエバンズ本人は出勤していない。遺族に謝罪をしに行ってるだとか、この記者の数じゃ署に来れる筈が無いだとか、勝手な憶測が飛び交う中で、今日から応援に来ていたダンフォードは事情を知っているだけに表情も険しさが増して。__その日の夕方。朝からエバンズに送っているメールにも電話にも返事が無い事に不安を覚えたミラーは、相手の様子を確認すべくサラに電話を掛け。彼女の第一声の後「エバンズさんってまだ居るかわかる?」と、尋ねて )






4154: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-06 01:31:07

 






( 入院に同意したものの、全てが変わってしまったあの瞬間______具体的には、突入のタイミングを窺う為に時計を見ていた当時の捜査官がけたたましい銃声を聞いた午後3時過ぎ、その時間が近付くに連れて体調は悪化していた。嫌でも当時の情景が鮮明に蘇り、妹が命を落とすその瞬間に向けて時をなぞるように記憶が繰り返される。幾ら嫌だと、見たくないと拒絶しても記憶の波は其れを許さないのだ。呼吸が可笑しくなり、苦しさからシーツを握り締める。自分が現場に入った時、不安そうな表情で園児を膝に乗せ抱き抱えながらも視線が重なったあの一瞬、確かにセシリアは自分に向けて大丈夫だと、信じていると頷いたのに。フラッシュバックに襲われ、昨晩と同じような酷い発作を起こしてしまうと思わずナースコールを押していて。---スマートフォンが着信を知らせ画面を見ると、そこには主張に行っている同僚の名前。電話に出て『どう?捜査は順調?』と尋ねたものの、相手が電話を掛けてきた理由は分かっていた。『警部補、今日は出勤してないの。署の前を張り込んでる記者もすごい数で…これは来なくて正解だと思う。』と告げて。 )






 

4155: ベル・ミラー [×]
2024-03-06 08:49:51





( ナースステーション内、相手が入院している病室の番号のランプが光ったと同時にナースコールによって2つの部屋が繋がる。『どうしました?』と言う看護師の問い掛けに返事と言う返事は無く明らかに様子の可笑しい呼吸音だけが聞こえる状況に、これは不味いと判断した看護師は点滴の準備をするや否や『直ぐ行きますからね!』と部屋を飛び出して。病室の扉を開けた時、相手は酸素マスクをしている状態ながら酷い発作に襲われていた。それは意識を失っても可笑しくは無いと思えるもので駆け寄った看護師は『エバンズさん、わかりますか?大丈夫ですからね、大きく息を吸って下さい。』と、励ますような声を掛けその腕に点滴の針を刺し。点滴パックからは軽めの安定剤が滴り、管を通り、相手の身体の中へと入る事だろう。__てっきり相手は出勤しているものとばかり思っていた。だからこそサラの言葉に思わず息が詰まった。例えどれ程の記者が署の周りを取り囲んでいたとて、相手は休む事を選ばない。けれどそれをした…せざるを得ない何かがあったと言う事ではないのか。「……今日までには全部解決して、戻るつもりだった。」ぽつり、不甲斐無さの中に自分自身にあてる恨み言のような声色で答えたのは、暗に順調では無いという返事。それを彼女に言った所で急に犯人が自首する訳ではないと百も承知なのだが。「…悪いのはエバンズさんじゃないのに…あの記事だって、絶対デタラメなのに、」1人出張に行ってる事が気持ちを不安定にさせているのか、相手の様子を知る事が出来ないのが怖いのか、一度口をついて言葉が落ちればそれは後から止まる事は無く、友人である同僚に結局気持ちをぶつける事となって )





4156: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-07 23:19:28

 






( 酸素マスクの補助によって、酸欠になったり呼吸ができなくなったりする事はない筈だった。それでもパニック的に呼吸が乱れてしまえば正常なペースを保つ事は難しい。安定剤が打たれた事で少しずつ、鮮明だった記憶が遠くなり数十分もすれば呼吸は落ち着き眠りに落ちるだろう。---相手の言葉を聞いたサラは『…捜査が思い通りに進まないのはどうしようもないよ、誰も悪くない。』と答える。どれだけ経験豊富なベテラン刑事であっても、捜査が思い通りに進まないというのは往々にしてある事なのだ。今回の件で焦っているのは分かるが、戻って来られなかったのは相手のせいではないと。『分かってる。…けど、署内でもここ数日警部補への風当たりが強かったのは確か。今日で収まれば良いけど…』相手の言葉に同意を示しつつ、署内の空気は良いものでは無かったという事だけは事実として伝えておき。節目の今日を過ぎて、明日から記者も世間の話題も、全て別の所に移れば良いと。 )








 

4157: ベル・ミラー [×]
2024-03-08 13:26:22





( 此方の思い通りに事件が起きる訳でも、此方の思い通りのタイミングで犯人が逮捕出来る訳でも無い。加えて捜査中は何があるかわからないのだから彼女の言う通り“どうしようもない”のだと理解はしているが時期が時期なだけにどうしても自戒の気持ちは消えず。「捕まえたら、出来るだけ長い時間刑務所に入れてやる。」と、権限など無いに関わらず公私混同を投げ遣りに吐き捨てて。相手の言う通り矢張りあの記事も、報道も、署員達の中では大きな塊として燻り続けて居たようだ。全員がそれらを全く信じる事無くエバンズの味方__なんて上手くはいかない事は百も承知だが、その空気に晒され続けた彼がどれ程の苦しさを抱えたかは想像出来る。思わず深く重い溜め息を吐き出し視線は下方へと落ち「…例え事実と違ったとしても、世間が警察じゃなくて遺族側の言葉を信じるのは仕方無いと思う。、思うけど……それじゃあエバンズさんは何時まで耐え続ければいいの…っ、」世間への恨み言が漏れたのは、今日で報道も何もかもがピッタリと無くなり話題が他に移るとは考え難いから。__安定剤が効きエバンズが眠りに落ちた頃、早めに仕事を終わらせたダンフォードは相手が眠る病室の前に居た。アダムス医者から数日入院をする事が決まり、相手もそれを承諾した事を聞いて正直胸を撫で下ろす。家に1人で居てまた倒れる事になったら、と思ったからだ。小さなノックの後、静かに病室の扉を開ければ真っ白のベッドの上には相変わらず酸素マスクを付けられ点滴を打たれている相手が眠っており、点滴パックの中身が安定剤だとわかれば少なからずパニックを起こした事が伺えて。__時刻は午後3時を過ぎ、正しくあの事件が起きたその時間。沢山の人の命が一瞬にして散り、セシリアもまた、命を落とした時刻。眠る相手はどんな夢を見ているのか…その正確な時間を知るものはあの時あの場所に居た相手だけで、その寝顔を見ながらダンフォードもまた、やるせない思いを抱えて )






4158: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-09 15:33:17

 






( 彼に対する相手の想いを知っているからこそ、気持ちはよく分かる。きっと相手の言う通り全てが真実ではないのだろうが、険悪な空気の中に居ても、白い目で見られていると分かっていても、彼は其れを否定したり感情を露わにする事をしなかった。矢面に立ったまま、自分を庇う事もせずに矢を受け続けているような______相手の言う通りたった一人で耐え続けているかのようだった。『警部補を見ていて…自分を庇う事をしない人なんだと思った。分かりやすく嫌な空気を出してる人なんて一蹴しちゃえば良いのにって私は思うけど、警部補は見ないふりをするだけ。ベルが代わりに怒ってた理由がちょっと分かったかも。』相手が居ない間、遠目に彼の事を見ていて思った率直な感想を言葉にする。同時にいつも彼の事で、自分ごとのように怒っている相手を思い出して少しだけ困ったように笑うと『ベルも1人で大変でしょ。あんまり焦り過ぎないで、でも早く帰って来るのを待ってるから。』と、敢えて悪戯に少し矛盾した言葉を掛けて。『そうそう、こっちは応援でダンフォードさんが来てるよ。署内の雰囲気が良くなると良いんだけど、』と付け足して。---ふと意識が浮上した時、目に入った時計はあの瞬間と同じ時を指していた。当時の捜査官が銃声を聞いたと後に証言したのは、午後3時26分。何も変わらないまま時だけが過ぎて12年が経ってしまった。耳の奥で連続する銃声が聞こえるかのような感覚を覚えたものの、意識はぼんやりしていた。安定剤の効果に加えて、度重なるストレスや不眠によって免疫が下がったのか熱があるようで身体は酷く重たく感じて。視線を動かせばベッドの隣にはダンフォードの姿があり「……ダンフォードさん、」と小さく相手の名前を紡いで。 )








 

4159: ベル・ミラー [×]
2024-03-10 00:50:54





( __そう、サラの言う通り相手は“見ない振り”をするのだ。それは決して自らの心を守る為の行為では無く何方かと言えば“諦め”。そしてきっと諦めと同じくらい強い“自己犠牲”と“贖罪”。あの事件で悪いのは間違い無く自殺した犯人ただ1人なのに、相手はあの時人質となった人達を助ける事が出来なかった、と言う罪を背負い続け、悪いのは自分だと降り掛かる全てをその身に受け続ける。「…もっと、自分を許して欲しい。」どれだけ願っても今の彼には届く事の無い思いを溢した後は、これ以上暗い気持ちにさせまいと此方を気遣い敢えて悪戯な言葉を選んだ相手の優しさに小さく笑い、「帰りを待たれてるって最高。居場所があるっていいね。」と、同じく悪戯に言葉を返しつつ「__そっか…うん、それ聞いて少し安心した。ダンフォードさんが居るならきっと直ぐに良くなるよ。」思いもしなかった応援相手に僅かに胸を撫で下ろしてはまるで自分にも言い聞かせる様に頷き。それから少しの時間互いに他愛の無い話をし、エバンズの事で何かあれば連絡をして欲しい旨を伝え電話を切って。__ふいに弱々しい声で名前を呼ばれ、視線を向ければ目を覚ました相手が此方を見ていた。安定剤の影響か、褪せた碧眼にはぼんやりとした色が纏っていて意識が確りしているのかも怪しい所。『…嗚呼、』呼ばれた名前に軽く頷き応えては、『まだ寝てて構わない。』と、緩い笑みを口角に携えて )






4160: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-10 22:11:46

 







( 昨晩相手と会った時には言及しなかったものの、相手がレイクウッドに来る予定だという事は聞かされていなかった。だとすると自分が今日の休みを取った事で急遽応援を要請したのだろうか。「_____迷惑を掛けてすみません、…」署での応援業務以上に負担を掛けていると謝罪の言葉を口にしたものの、意識は朧げで苦しそうに息を吐き。本来一番しっかりしていなければならない今日という日に、自分自身が治療を受けているというのはなんと情けない事か。「……妹の目が、忘れられないんです…恐怖の中に、ほんの少しの安堵と信頼が確かにあった______俺たちが来たから、きっと大丈夫だと思ってくれていたに違いない、…其れを、裏切った。」酸素マスクに阻まれて僅かにくぐもった声で、朧げな意識の中不意に言葉を紡ぐ。胸が押し潰されそうに痛い、今はフラッシュバックを起こすほどに鮮明な記憶ではないものの忘れられない瞬間だった。安定剤が効いている為か時折ふと意識が遠のくように眠りに引き込まれそうな瞬間がある。深く息を吐くと目を伏せて。 )







 

4161: ベル・ミラー [×]
2024-03-11 00:09:58





ルイス・ダンフォード


( 相手は朧げな意識の中で謝罪をし、続けてあの瞬間の少しの出来事を話始めた。それは相手の中に未だ絡み付く決して解ける事の無い鎖で、許されない__許されたいけれど、そうであってはならないと思い続けている“罪”。相手の言う通りきっとそうであっただろう。妹だけでは無くあの場で人質になっていた人達全員が警察の姿を見て確かに安堵した筈だ。これで大丈夫、これで犯人は逮捕されて自分達は助かる、と。そう言う人達の目を己も数え切れない程見て来た。『__たった1人、恐怖だけを感じて絶望の中死ぬ被害者は山の様に居る。そんな中で一瞬でも希望があったなら、…お前の姿を見る事が出来たのなら、少なくとも“孤独”では無かった筈だ。』途切れ途切れに紡がれる後悔の言葉、それに返したのはもしかしたら優しいだけの寄り添いじゃないかもしれない。けれどどんなに後悔して自分を罰した所で亡くなった人は__妹は戻らないのだ。薄らと光を集めていた碧眼が瞼で覆い隠されたのを見て、一瞬目の奥が熱くなる感覚を覚えた。どんな時でも相手は楽になる事が無いその事実が無性に苦しくて悔しく感じる。『…代わってやりたいよ、』ぽつり、溢れた言葉は良いか悪いか。勿論己の大事な人が亡くなれば良いとは僅かも思わないが、相手の抱えるその気持ちだけを肩代わり出来たら、とそう思う。可愛い部下の残りの人生、その苦しみを肩代わり出来るのなら喜んで、と )






4162: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-12 03:11:26

 






( 結果的には死の直前、妹と視線を重ねる事が出来たのは良い事だったのだろうか。言い知れぬ恐怖と孤独を感じさせるよりも_____例え一瞬でも安堵できた事は救いになったのだろうか。再び意識を手放す間際、相手の声が聞こえた気がした。いつまでも絡み付いて離れない、解放される事を自分自身許せずに居る苦しみを誰かに背負わせる事なんて出来ない。しかし一緒に背負いたいのだと言ってくれる言葉は、時に自分を絶望の淵から救ってくれるのだ。---免疫が落ちている事による熱は直ぐには下がらず、日が暮れる頃にはその症状はより重いものになっていた。浅い眠りの中で12年前の夢を何度も繰り返しながら、熱に加えて肺が炎症を起こしているのか過呼吸を起こしていない状態でも息をするのが苦しい。ミラーからのメールや電話には相変わらず反応しないまま時間ばかりが過ぎていて。恐らく世間では様々な報道がされ、妹の名前や写真が流れ、刑事Aは冷酷な極悪人として注目を集めているのだろうが自分は何もしないまま12年目を終えようとしている。必死に見ないふりをして過ごしていたものの、一度心身のバランスが崩れてしまえばまるでストッパーが外れたかのように状況は悪い方へと転じるばかりで。 )








 

4163: ベル・ミラー [×]
2024-03-12 11:16:12





( 眠る相手の様子が可笑しい事に気が付いたのはダンフォードだった。過呼吸を起こしている訳では無いのに酸素マスクの下の呼吸は酷く荒れていて木枯らしが吹く時の様な掠れた危うさまである。呼吸が苦しいからか、はたまた夢の中であの時間を彷徨っているのか、時折僅かに眉が顰められそれを見てナースコールを押せば駆け付けた看護師と医師によって肺雑音を確認され、免疫が落ちている事で恐らく肺炎を引き起こし、それによって高い熱が出ている事を告られ心だけでは無く身体までも相手を苦しめるのかとやるせない気持ちが膨らみ。安定剤の影響は勿論あるだろうが、眠れる時に寝るべきだと、そういう医師の言葉で相手が目を覚ましてから胸部のレントゲンを撮り最終的な肺炎の判断を下すと決定した後は病室には2人きりとなり。『……』細く吐き出される息で時折白く濁る酸素マスク、苦しげに寄せられた眉、窶れて見える頬、何もかもが痛々しく、何も言葉を発する事はしないものの徐に伸ばした指先は静かに相手の目元を滑って。__報道を極力見ないようにしているミラーだが、出張先の署でも街中でも少なからずアナンデールの話題は出るもので、その度に一向に返事が無い相手が心配でたまらなくなった。一方レイクウッド署では相手の知らぬ所でもう一つ悪い出来事が起こっていた。記者にしつこく付き纏われ“相手はどの様な刑事か”を幾度となく問い掛けられた若手の署員が“冷たい感じの人です。”という旨を答えたのだ。勿論その言葉に悪意は無く、署員からすれば普段見ているエバンズの性格を簡単に伝えただけの返答だったのだが、記者がそのままの意味で捉える事は勿論の事無く、これはチャンスとばかりに歪んだ捉え方をされた結果、これ見よがしに更に相手を悪く言う記事を書き始め。それは恐らく来週の週刊誌に掲載される事だろう )






4164: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-12 23:31:03

 






( ふと意識が浮上するも、初めに視界に入った白い無機質な天井は嫌な歪み方をしていた。ゆっくりと形を変えながら揺らいでいるように思えて、思わず一度目を伏せる。息は出来ている筈なのに酸素を上手く吸えていないような、呼吸をする度に胸に鈍い痛みを伴うような感覚。其れでいて、つい先程まで見ていた夢にほんの些細なきっかけで足元を掬われ何処までも深く堕ちて行ってしまうような恐怖があった。そして目を覚ます度に、今日はあの事件が起きた日なのだと言うことを嫌でも思い出す。言いようのない不安感に襲われ、一瞬呼吸が上擦る。自分はたった一人だ、皆自分の元から去り一人取り残されてしまったのだという恐怖感で身が竦む。そして自分だけが、あの事件に関わった唯一の人間として憎悪を向けられ続けるのだと______高熱の所為だろう、側に相手がいる事に気が付かないままそんな思考に囚われて、元々浅かった呼吸はさらにペースを乱しマスクを曇らせて。 )








 

4165: ベル・ミラー [×]
2024-03-13 08:51:33





ルイス・ダンフォード



( 隈が色濃く残る目元を親指の腹で撫で続けながら、ふと相手の呼吸の上擦りを感じて瞳を合わせる。薄く開いた目は再び静かに閉じられた後だったが目を覚ました事はわかり、加えて肺炎によって引き起こされている胸の痛みや熱による苦しさに苛まれている事、何より目を覚ました後の“繰り返す今日”に絶望している事も手に取るようにわかった。明らかに狂ってしまった呼吸を繰り返す相手の頬を軽く叩く事で意識を留まらせる事は出来るだろうか。『エバンズ、わかるか?』見下ろす様な形で相手の顔を見遣りつつ、此処に居る自分の事を認識させる。頬から額へと移動した掌に伝わるのはどれだけの高熱かを思い知らせる熱さで、安定剤に加えて解熱剤も必要となる状況に些かの不安も覚える事となり )






4166: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-18 11:58:39

 







( 頬を叩かれる刺激に再び瞼を持ち上げれば、揺らぐ視界の中に居たのはかつての上司。相手は確か自分の代わりに応援に来たと言っていた筈で、少し前にも言葉を交わした記憶があった。「_____ダンフォードさん、…」小さく言葉を紡ぐと、不意に腕を持ち上げ相手の手を掴む。点滴の管が揺れたが其れを気にする事はなく、ただこの言いようのない不安感の中で彼が側に居てくれる事が救いだった。「…あんな事、俺は言っていません……あの事件と、遺族に、誠実に向き合ってきたつもりです…っ…事件を踏み台になんてしてない、」相手を見据えたまま徐に紡いだのは週刊誌の記事に対する否定。意識が朧げなまま、せめて相手にはあの記事が事実ではないと知っていて欲しいと思ったのだろう。浅い呼吸の中で懸命に言葉を紡ぎ、訴える。木枯らしのような掠れた音が細く唇から吐き出され、その痛みに眉根を寄せつつ「……妹の、墓参りに行きたいんです…今日行ってやらないと、…」と譫言のように紡いで。 )







 

4167: ベル・ミラー [×]
2024-03-18 18:23:20





ルイス・ダンフォード



( 焦点の合わない碧眼が彷徨う様に朧気に此方を見、紡がれた名前に続けて弱い力で以て手を掴まれる。何かを訴える様に、傍を離れていくなと言う様に、薄く開かれた唇からは懸命な音が漏れ、それを確りと聞き届けるや否や、ちゃんとわかっているとばかりに頷き。『ああ、わかってるよ。お前が週刊誌に書かれている様な奴じゃない事は俺がちゃんとわかってる。…ジョーンズも、警視正も、ミラーの嬢ちゃんもお前の味方だ。』何も心配する事は無い、相手が悪だと思う人は少なくとも近い距離の人達の中には決して居ないと、安心させるようにそう言葉にしつつ窶れ冷えている頬を指の腹で軽く撫で。そのまま再び意識を落とすかと思われた相手は、朦朧とした中でも今日が何の日かを確りと認識しているようで、頻りに“お墓参り”に行きたいと所望する。狂った呼吸に阻まれながら、それだけはやり遂げねばならぬ使命感の様に。けれど相手の願いを今は聞く事が出来ないのだ。断らねばならぬ事にやるせなさを覚えながら、朦朧としている意識の相手に声が届く様にと僅かに顔を近付け『__叶えてやりたいが、今は絶対安静なんだ。免疫力が低下してるせいで肺炎になってる。…身体辛いだろ?』聞こえていようがいまいが、返事があろうがなかろうが、子供に言い聞かせるような何処と無く柔らかい声色で今の状態の説明を )






4168: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 03:42:39

 






( 夢現な状態だったかもしれないが、それでも相手の言葉は確かに届き”味方だ“という言葉は少しばかり心を落ち着かせた。週刊誌に書かれた記事、其れを目にした殆どの人が自分を遺族に辛く当たり人の心が無い冷酷な男だと思っても、真実ではないと理解してくれている人が身近に居る。幾ら目を背けても、記者に付け回され周囲から白い目を向けられた時間は酷く長く感じて、心を抉られる苦しい時間だったのだ。---妹の墓参りに行く事は出来ない、と相手は自分に語り掛けたのだろう。しかし其れに反応を示すよりも前に再び意識を手放し眠りに沈む事となり。安定剤の効果により発作を起こしてしまうような状態ではないもの、肺の炎症の所為で呼吸は相変わらず浅く掠れたもの。高熱も続いており、今の状態では職務に復帰できる見通しは立たないと言わざるを得ないだろう。 )








 

4169: ベル・ミラー [×]
2024-03-20 10:20:41





( __相手が再び意識を手放してから数時間の間、意識の波の揺れはあり薄らと目が覚めた時にアダムス医師により手早いレントゲン検査と血液検査が行われ、酸素マスクは暫く外せない肺炎である事が明らかとなった。点滴の管からは解熱剤が流され、意識が混濁し発作に苦しめられる様になると出来るだけ軽い安定剤に変える__それが繰り返され面会時間が終わりになる事にはダンフォードは一度帰宅し。更に時間は過ぎて二度目の看護師の巡回が終わった夜11時30分過ぎ。何時ぞやと同じく盗んだ白衣に袖を通したクラークがニコニコと楽しそうな笑みを携えて相手の眠る病室の扉を開けた。そのまま眠る相手に近付き、枕元の間接照明を点けてモニターと点滴を確認してから上から顔を覗き込む。ぼんやりとしたオレンジの明かりに照らされた相手の顔は、数日前に署で見た時よりも遥かに窶れていて相当苦しんでいる事が伺えるものだから、思わず笑みも深くなると言うもので )






4170: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 13:44:58

 






( 精神的な苦しさに加えての身体の不調と言うのは堪え難い苦痛だった。一度発作を起こして仕舞えば弱った身体が付いて来ず、まともに呼吸が出来なくなる。意識は僅かに沈み込んだまま、身体も鉛のように重い。そんな中で、幾度と事件の、あの日の夢を見るのだ。______僅かに意識が浮かび上がり、睫毛が震えると閉じていた瞼が薄く開く。ぼんやりとした灯りの中、此方を見下ろす人物は白衣を着ていて、医師の巡回だろうと思えば再び意識を手放しそうになり。変わらず酸素を供給されているにも関わらず、胸は重たく息はし辛いままだった。ふと、今は何時だろうかと思うのだがスマートフォンに手を伸ばす事さえ億劫で、暗い部屋の中では時計を確認する事も出来ずに。 )








 

4171: ベル・ミラー [×]
2024-03-20 14:12:00





アーロン・クラーク



( 暫しの間微笑みだけを浮かべ何も言葉を発する事無く眠る相手を見下ろし続けて居たのだが。ふいに長い睫毛が震え静かに瞼が持ち上がると、相手の持つ褪せた碧眼がオレンジの間接照明の光を僅かに浴びる。相手の意識はぼんやりとしていて白衣を着ている己を巡回中の医師と勘違いしているのだろうか。__医師は、こんな事しないですよね。そう言いたげに口角をより持ち上げると徐に片手を相手の胸に添え。__皮膚の、筋肉の、その下にある肺を押し潰す様に力を加える。酸素マスクをつけているとは言え、その加減を知らぬ行為は相手を肉体的に苦しめるには十分だろうか。相変わらず何も言葉を発する事無く、けれども相手の胸を押さえ付ける片手に込めた力だけは決して緩める事無く、己の見下ろす相手が苦しむ様を眺め続けて )






4172: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 14:33:43

 






( 幾度となく短い覚醒と眠りを繰り返しているように、再び意識が静かに閉じる直前だった。不意に胸元に手が添えられた感覚を感じたのも束の間、其れは摩るような優しいものではなく明らか押し潰そうとするかのような強い力が込められて、呼吸を阻害する。「_____っ、かは…ッ、…」ただでさえ苦しかった呼吸はより浅く、酸素を取り込めなくなり胸に強い痛みが走る。その行為に、当然相手が医者などではない事は直ぐに理解して力の入らない手で相手の手を退けようとその手首を掴むのだが、びくともしない。外から圧が加えられた事で渇いた咳が唇を震わせ、喘ぐような呼吸に変わると苦しさから表情が歪み。 )








 

4173: ベル・ミラー [×]
2024-03-20 15:02:59





アーロン・クラーク



( 胸を押さえ付けた途端に襲い来る苦しさを逃がす術が無くなったのだろう、相手の薄く開かれた唇から喘ぐ様な呼吸が漏れたのを聞き、それが更なる加虐心を煽るものだから胸を押す手の力はどんどん強くなる一方で。もっと、もっと、と膨れ上がるその気持ちは最早正常な思考では無い。苦痛から逃れる為にと伸ばされた相手の指先が手首へと掛かるが、今の状態ではそんなものは幼子の力と然程変わらぬものであり何の役にも立ちはしないのだ。『__こんばんは、警部補。夜中なので静かにして下さいね。』漸く発した言葉はこの場、この状況を作り上げている当人とは思えない程の柔らかな挨拶とある意味周りへの配慮。その言葉の柔らかさとは裏腹にもう片方の手を伸ばした先は相手の口元で、あろう事か酸素マスクさえも外してしまうと『苦しいですか?』と、答えられない事も、状態も、わかりきっている問いを投げ掛けて )






4174: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 22:44:49

 







( ただでさえ肺炎の所為で呼吸が苦しい状態の中、胸を押さえ付けられた上に酸素マスクまでもを口元から外されてしまえば酸素の薄い場所に放り出されたかの如く上手く呼吸が出来なくなる。言葉は声にならず、掠れた音ばかりが唇から吐き出され喘ぐように浅く上下する胸も徐々に早くなって行き。今日はあの事件から12年の日。自分に恨みを抱き続ける彼が大人しくしている筈などないと分かっていたのに。相手の囁くような声は、最早深い罪悪感と共に過去の記憶を蘇らせるトリガーにさえなっていた。穏やかな口調の裏で相手の考えている事が、一人逃げるのかと責め罵られる事が分かってしまうからこそ、身体は正直に恐怖を感じる。安定剤で辛うじて繋ぎ止められていたものが、今にも断たれて苦痛の波に押し流されてしまいそうな恐怖感。辞めてくれと訴えるように小さく首を振ったものの、暗紫の瞳に記憶を引き出されるような感覚に呼吸の乱れは徐々に大きくなっていき。 )








 

4175: ベル・ミラー [×]
2024-03-21 00:00:19





アーロン・クラーク



( 案の定相手は何も答えない。否、答える事が出来ないと言った方が正しい状況でゼェゼェと繰り返される呼吸音だけが静かな病室に響き。酸素マスクを外したとて息が出来なくなり死んでしまう事は無いだろうが、相手は今それ程の恐怖を感じている筈だと思うと、その感情を与えたのが自分自身である事に表情は無意識に満足気なものへと変わり。苦しげに顰められた眉、薄く開く唇、懇願するように首を振る仕草、それらを全て余す事無く見届けてから、そこで漸く外した酸素マスクを再び相手の口元に近付けるとそのタイミングで胸を圧迫していた片手も離し。『__解熱剤も、安定剤も、今日の貴方には必要無いものでしょう?』数秒前の狂気じみた行為が何も無かったかのように自然な動作で傍らの椅子に腰掛けては、先程迄の笑みの消え失せた真顔で同意を求めるような言葉を送る。そうして視線を一度相手から枕元にある時計に移すと時間を確認し、__『もうすぐ今日が終わります。事件から12年が過ぎ、セシリアさんの命日も終わる。…でもルーカスの命日はまだこれからだ。』確かにあの事件に弟は巻き込まれたが、即死では無かった為に命を落としたのは翌日の事だ。視線をゆっくりと相手に戻し、人差し指と親指で挟む様にして点滴の管を上から下へとなぞる。辿り着いた先は針の刺される相手の腕。針を固定する白いガーゼの部分を静かに撫でながら『…これ、必要ですか?』と、選択肢は相手にある問い掛けだと言うのに、何処か答えは一択しかないとばかりの圧の感じられる口調で緩く首を擡げて見せて )






4176: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-23 00:30:59

 






( 妹の命日は、事件の日は間も無く終わる。しかし“ルーカスの命日はこれから“という言葉は心に深く突き刺さった。以前彼の口から聞いた通り、彼の弟のルーカスは銃弾を胸に受けながらも直ぐに命を落とす事はなく、苦しみながら事件の翌日に亡くなったのだ。全員がせめて即死であったならという願いは幻想に過ぎず、痛みに苛まれ苦しんだ被害者が居る事を知った絶望は大きかった。そんな彼の命日を前に、自分一人楽になろうだなんて_______心身共に弱った状態ではそう洗脳されるのに時間は掛からず、相手の問いに喘ぐような呼吸の中で小さく首を振る。結局いつも突き落とされる先は“彼らを見殺しにした自分が楽になって良いはずがない”という罪悪感。一度その思考に足を取られて仕舞えば、正常な思考は働かない。自分が苦しむのは当然で、楽になる処置を受ける事など許される筈がない、と。 )








 

4177: ベル・ミラー [×]
2024-03-23 12:54:25





アーロン・クラーク



( 身体の苦しみも心の苦しみも余す事無く受け止めねばならぬ状況の中で、それでも相手は此方の問い掛けに首を横に振った。“必要無い”と__その答えを受けてそれで良いとばかりに満足そうに一度頷けば『貴方の望み通りにしてあげますね。』と。それは決して“相手自ら”望んだ事では無く言うならば誘導の果の洗脳なのだが。__再び時計を見れば時刻は夜の11時55分。素晴らしい時間だ、と今一度ガーゼの上を緩く撫でてから、皮膚が引っ張られる痛みを少しでも軽減させる様に静かにテープを外し、これまた痛みを極力感じさせぬ様にと優しい手付きで以て腕から注射針を引き抜く。その行動は相手を苦しめようとする者とはとても思えぬ程に思い遣りに溢れて居るのだが、実際そうでは無い事は相手自身が一番良くわかっている事だろう。注射針をそのままベッドの脇に放った後は『…ちゃあんと苦しんで下さいね。』と微笑み掛け、小さな止血、とばかりにガーゼを再び相手の腕に貼り直しその姿を呑気に椅子に座りながら眺め。時刻は夜11時57分。セシリアや他の犠牲者が亡くなった今日も、後3分後に訪れるルーカスの亡くなった日も、何方も相手は苦しまねばならぬのだとばかりに )






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