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514:
セレーナ [×]
2022-01-14 22:03:51
>506__ジーク様
(普段はあまり縁のないフルコース料理を王宮で、それも第一皇子である彼と共に味わうなど滅多な事ではない。昨夜から夢のような心地が抜けず、豪華な一室で目覚めた瞬間はまだ微睡の中を彷徨っているのかとも思ったけれど。見慣れた自宅ではなく煌びやかな王宮で朝を迎えた事実が夢ではないと物語る。様子を見に足を運んでくれた使用人らに着替えや食事、諸々気遣われながら広く綺麗な客間で優雅な時を過ごし" まるでお姫様のよう "などと幻想を抱いたのは本物の皇子様が自分をそう呼ぶからか。なんて曖昧さに首を振り、彼との約束まで残された時間をどう潰そうかと瞼を落とした。それから一度は外に出てみようかとも思案したけれど、王宮内を客人が勝手に彷徨くのは宜しくないだろう。何より不慣れな場所で迷ってはどうしようもなく、結局は粛然と窓から見える景色を眺めて楽しむに留め───軈て約束の時間。そろそろかと逸る気持ちを抑え鏡の前で身嗜みを確認していたところ、静かな室内に凛と穏やかな声が響いた。今朝から待ち侘びた彼の来訪にとくりと胸を鳴らし「 ジーク様、お待ちしておりました。…ふふ、覚えていますよ。お誘いありがとうございます 」これから過ごす時間を思って淡く滲む微笑をそのままに扉を開き、そこに待つ彼を見上げて柔く会釈を。一体どんな場所へ連れ出してくれるのだろう。期待を膨らませて再度藤色の瞳に彼を捉え「 まあ、……お疲れではありませんか? 」緩慢と目を瞬き、静かに口を突いたのは少しの違和感から。声色や表情、完璧な佇まいに変わりはないはずだけれど、昨夜に比べ顔色悪く見えるのは何故か。やんわりと双眸を細め、窺うように僅か首を傾けては彼の頬へそっと指先を伸ばして)
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