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愛しきプシュケの式日に、ルサンチマンは嘯いた__指名式、BNL/560


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468: リル=フィシー [×]
2021-12-12 19:03:58



>>セス皇子(>>456)

(ぽつりぽつりと零れる第四皇子の落胆も葛藤も回転の鈍い姫のおつむに届くには些か強さが足りず、唯一伝わるのは鋭い眼光に再び子猫の怯えが現れたこと。大きな体のどこにそんな可愛らしい子猫が隠れているのか、前髪を掴んだ仕草で顔が見えなくなってしまったのを残念に思いながらテーブルに置かれたレモネードのグラスを両手で引き寄せると咥えたストローを挿して。一口吸い上げた冷たい甘酸っぱさをこくりと飲み込むと「おいしい」と一言、そしてグラスを目の前に掲げ氷を浮かばせる透明なレモンイエローと僅かに出来た結露のキラキラした輝きを楽しむようにゆらり、ゆらりとグラスを揺らし、涼しい色合いに目を奪われるのも確かだが、今はもっと魅力的で濃厚な色がすぐそこにあることを知っているのでやはり物足りない。「子猫は、意地悪な誰かさんの方が気になるのかしら」そんな言葉とともにグラスを下ろし、膝元でまたゆらりとレモンイエローを揺らしながらその動きをじっと見下ろす眼差しがどこかつまらなそうなのが、項垂れた拍子に肩から落ちた髪のせいで皇子様からは見えるだろうか。彼の発した『魔女』の意味は勿論姫には通じないし、どれほど彼がお利口に理性を働かせているのかも分からない。この姫に分かるのは第四皇子が自分以外の誰かを思い浮かべていることだけ。「ここにリルがいるのに……」する、と結露を掬いながらグラスを指で撫で、氷のお蔭でよく冷えた小さな指先を断りもせず第四皇子の褐色の頬へと伸ばし、そのまま触れてしまったらその冷たさに子猫がどんな反応をするのかが楽しみでもある。「ハインツ皇子もあなたもわたしを放っておくなら、やっぱり、おうちに帰らないと」綺麗なものはあるだけで素晴らしいが、その素晴らしいものに構ってもらう快感を得てしまった今では隣でよそ事に目を向けているなどつまらなくて仕方がない。苦手な体温だって甘い時間のためなら受け入れられることを昨晩とここまでで学んだ。水滴が手の平を伝うのも構わず触れようと伸ばした手もそのまま、どうする、とまるで問うようにぽっかり黒い瞳で見つめ)




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