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不死の少女(戦闘アリ/異能/途中参加・初心者歓迎)/456


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425: tenma [×]
ID:6aed18bc1 2020-09-15 20:21:29

>>425

「ただい……あっ、いえ、あ……」

それは完全に不意打ちだった。"おかえり"。そう言われた。エリート軍人と傭兵の関係で、まさかそんな温かい言葉をかけられるとは予想だにしなかった。
思えばこの10数年間、"ただいま"も"おかえり"も口にせず、誰かに言ってもらえることもなかった。貧民窟で両親の足枷として生まれ、売り飛ばされ、生きるか死ぬかの日々にそんな余裕はなかった。
力を見出され帝国に雇われてからも、人間関係そのものを遠ざけてきたせいでそういったやり取りとは縁遠かった。咄嗟にただいまと返しそうになった、天魔とは程遠い自分の真の姿に、ゼクシアの心が大きく揺らぐ。

「そっ、そのような事はございません。与えられた使命を全うするのは兵として当然の……あれ、あれ……」

再びぐちゃぐちゃになりかけた頭の中を必死で整理し、いつも通りの淡白なまでに冷静な言葉を並べて繕おうとする。だが、続くステラの言葉で完全にトドメを刺されてしまった。
許容量の限界。なみなみと液体が張られた容器へ注ぎ続ければどうなるかは明白だ。
数多の修羅場を潜り抜けた天魔といえど、その正体はたった齢16の少女。心の奥底では孤独に喘ぎ、拠り所を求めんとする自分の弱さを必死で隠し、完全無欠の戦士を演じるか弱い娘に他ならない。そんな少女が築き上げたハリボテの虚城など、優しい心と温かな言葉で包み込まれればひとたまりもない。

「ふっ、う……ううううううう……!」

噴き出さんばかりにこみ上げるものの正体はわかっている。両親に捨てられても、顔を傷つけられても、大切な仲間が殺されても必死に堪えてきたのに。今回ばかりは無理だった。
上官の前で敬語を崩しかけた上に泣くなど以ての外。わかっているのに、抑えきれない。必死に両手で顔を覆い隠し声を我慢しようとするも、指の隙間からは大粒の水滴が覗いた。

早くとめないといけない。これではまるでステラを、自分を信じ使命を与えてくれた人を責めているようではないか。そんな混乱と自己嫌悪の只中で、ゼクシアはたった一つだけ冷静に、疑う余地なく悟ることが出来た。

――あの少女も、青年も、こんな気持ちで不死の少女に仕えているのだろう。

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