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【 指名制 / Remake 】耽溺のグランギニョル【 提供人外 / マルチエンド式 】/1577


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690: レイモンド [×]
2021-05-30 18:14:03



>アッシュ( >686



待って、そんなつもりじゃ──
( 唐突に始まった狂騒は幕引きもまた唐突。否、己が終わらせてしまったのだと、大きく跳ねた剥き出しの肩を見て悟る。腐臭と共に遠ざかる彼を追ってベッドから立ち上がり、宥めようと手をのばすが、相手が一瞬早く崩折れてしまえば広くなった視界の先に意識を奪われ。へたり込んだ巨躯の向こうには開け放たれたままのドア。あっけなく拓かれた出口へそっと逃げ出したとしたら、無防備に蹲る男がまさしく豆鉄砲を食らったような顔をするのは何十秒後になるのだろう──そこまで考えておきながら一歩も前に進めないのは、足元で聞こえる声があまりに弱々しいからで。彼がぶつぶつと何か言う度につま先から甘い感覚が這い上がり、一層切なく発せられた言葉に絡め取られるように膝をついて「 ……大丈夫、大丈夫だよ、アッシュ。体中包帯だらけだったから、ちょっと心配だっただけ。不安にさせてごめんね 」きゅうと胸を締め上げたのは愛おしさでも哀れみでもなく、大好物を見つけた高揚。飛びつくかわりに両腕を開き、すっかり縮こまってしまった体を抱き寄せる。まるで下級生をあやす口ぶりで弁解を噛んで含めては、より安心を与えるべくマーブル柄の髪に頬を寄せ「 僕はレイモンド。レイって呼んで。友達はみんなそう呼ぶんだ 」彼と"フレンズ"の間へ割り込むように、友達という特別感で飾った愛称を謝罪の印にこそりと明かして。仄かな異臭などもはや気にならず、この不安定な自称ゾンビが垣間見せた不幸のスパイスとして香るだけ。ぞっとするほど冷たい肌も、陽気に反して静かな心臓も、大の大人を慰める愉しさに満ちた体では幸か不幸か気づかないまま。だからこそ無邪気な微笑みをそのままに「 ねえアッシュ、君の友達はどんな人たち?僕みたいな子供もいるの?──僕、君のことがもっと知りたい。もっと仲良くなりたいな 」と一切の嘘偽りなく言葉を続け。肩越しに覗くドアの向こうには人影どころか気配すら無い。腕の中の相手の言い分を信じるならば、彼に代わって自分を攫ったかもしれない存在。そして、自分より彼と親しい存在。異なる種類の関心をないまぜに、再び蜂蜜色の目がこちらを映すのを待って )





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