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610:
クォーヴ [×]
2021-05-05 15:42:40
>アヴァロン(>608)
いやはや、素晴らしいね。強靭な肉体と誇り高い魂……一目見ただけで君がその双方を手に入れた武人だと判るよ。さぞかし君は騎士団の要だったのだろうね。
(使い魔が用意してくれたティーカップへ手を伸ばしながら、心からの感想を贈ろう。魂を刈り取り喰らう死神にとってどれほど貴方の魂が魅力的か、垂涎する想いは全く表には出さずあくまで紳士然とした振舞いでカップに口を付け。やはり人間界の飲料では味を感じられないなと脳の片隅で再認識しつつ、過去形にて言葉を結ぶことで貴方は凱旋門を二度とくぐることが出来ないと示唆しながらカップを置き。手のひらを上に向けてそっと差し出せば、察したかのように使い魔がそこへ停まり「 崇高な騎士様からお褒めの言葉を頂いたよ。君も彼の王へ仕えたい? 」カラスを見つめてゆったりと提案をした後、血相を変えてギャァギャァと拒否を示す使い魔に思わずふっと息を吐き出すように笑いかけて「 ふふふ、冗談だよ。下がっていいよ、ありがとう 」主人からの魔力の供給が絶たれれば消滅する運命にある使い魔にとって、主人と離れることは絶対的な死を意味する。つまり何食わぬ顔で放たれた死神の冗談は使い魔にとって文字通り寿命の縮まる心地がしたことだろう。無論そんな事情を未だ知る由もない貴方にとって一連のシーンは茶番に映るか、それとも穏やかな死神の狂気の片鱗を目敏く感じ取るだろうか。直後、渇いた音が部屋に満ちればキョトンと目を瞠って赤くなった頬を見つめ「 ――吃驚した。そうだよね、夢だと願うのも無理はないよ 」驚きの表情はすぐに平素の微笑へと溶け去り、再度ティーカップを手にして「 流石だね、もう僕の話を理解するなんて 」投げかけられた問いにまずは感想を。置かれている状況を理解する能力と、現状を打開するための情報を的確に得ようとする優秀な思考回路に貴方の魂への期待は高まるばかりで微笑みを深め「 君は元の世界へは帰れない。いつしかこのお屋敷で怪物の為の尊い糧となった後も、ヴァルハラの扉は開かれないんだよ 」決定的且つ簡潔にひとつめの解を渡した後、婉曲な言い回しで貴方の運命を叙情詩のように綴り上げ、ハーブティーを一口嚥下してそっとソーサーへ戻し。カチャリと白磁同士の触れ合う音が部屋の静寂へやけに響いて、「 そうだ。 」と何かを思い出したかのような言葉を契機に自分の脇へ置いていたテーブルヤシの鉢植えを貴方へ差し出して「 観葉植物はお好みかな?その青い子が枯れないうちは、きっと誰も君を食べられないよ。だから大事にしてくれたら嬉しいな 」瑞々しい植物の花言葉になぞらえた歓迎の証は、さながら貴方にとっての一時的な警報装置の役割を果たすだろう。貴方を自分のための獲物として出来得る限りキープしておきたい下心を、貴方を他の怪物から庇護する親切心とすり替えながら受け取ってくれるのを待って)
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