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【 指名制 / Remake 】耽溺のグランギニョル【 提供人外 / マルチエンド式 】/1523


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1431: 秋天 [×]
2024-08-29 01:15:46


>クォーヴ ( >>1428 )

( 養母と自分に対する賛辞への応えは曖昧な首肯に留めた。彼女のことについて、できればまだ何も考えたくなかったからである。起こってしまったことはどうしようもなくて、どんなに嫌だと思っても時間は残酷に針を進める。僕は母が亡くなってしまったことと同じくらい、母を殺/してしまえる人がいることそのものが苦しかった。続く彼のからかいには未だ信じられないというような顔をして、「……まさか。夢を見てるみたい」と素直な感情を伝える。ここが元いた場所とは別の世界であることをいよいよ実感し始めて、脳のキャパシティがいっぱいになる前に深く考えることをやめた。考えたところで意味がないだろうと思ったので。──ふわり。突如として自分の半身を覆った煙のような何かに驚き肩が跳ねる。それが気遣いの仕草であろうことに気付いたのは数コンマあとのことで、彼が口にした不思議な音への反応に少しのラグが生じた。「僕らに呼ばれる為だけのもの……」噛み砕くように呟いて、僕が決して立ち入れない領域の話なのだろうと理解する。寂しさに似た何かを覚えつつ、「そう。教えてくれてありがとう」と律儀にお礼を告げた。彼が自身を"怪物"と称したことも、今は考えないことにする。
ひとりでに開かれた扉の奥に広がる途方もない規模の食堂を通り過ぎて、彼に案内された厨房の一角にある戸棚の前へ立つ。生肉と野菜が同じ場所に並んでいてぎょっとするが、その中にあったラム肉に見えるものを手にとると不自然にひんやりとしており、これも魔法の仕業かと自分を納得させた。そういう不思議な力を操る彼は人間の食べ物を口にしないそうなので、僕の手料理はいらないし、案内を終えたらもうここに用はないことになる。部屋からここまでの道のりを一人で戻ることへの恐怖から「……クォーヴ、もう行っちゃう?ここにあるもの、僕が勝手に使って大丈夫?」と彼を引き止めるような台詞にそれらしい質問を添えて。使っていいから連れて来られたのだろうが、許可をもらう前に手を付けるのは気が引けてしまう整然さだった。補充されているということは使う人がいるのだろうと思ったことも嘘ではないので、不安そうな顔で彼の反応をうかがって。 )



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