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【 指名制 / Remake 】耽溺のグランギニョル【 提供人外 / マルチエンド式 】/1162


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1058: レオ [×]
2024-06-12 01:52:07



>ユギン(>1056


(己の焦りや頼みは通じているのかいないのか。表情を窺う限りは後者の方が濃色そうで、しかし早々にこのある種の危機からは解放され、肺の底から安堵の息が溢れ出る。彼が離れて直ぐに此方も身を起こしつつ、残る冷たさを埋めるように掌を首筋に置く。「……ああ。問題無い、有り難う。」勝手に動く、否、恐らく座る当人が動かしたのだろう椅子の分だけ多少の距離も取れ、些か的外れな気もする礼を一つ。それから緊張を解き切る事は出来ていなかったが、一先ずいつも通り真っ直ぐ他者を見据え、此方もベッドの縁に居住まいを整える。改めて向かい合った彼の言葉――聞き慣れた“美味しそう”の前後に繋がる匂いの言及に、「香り、か……君達にはそれほど解るものなのだな。」純粋な感心の一声と共に、一つ目の彼女の時と同じく――今度は手首の辺りに鼻を近付けたが、今己に解るのは湯浴みに使った石鹸の仄かな香のみ。それも種の違いによる差かと、一人内心片付いた矢先に話が投げられ、「ああ、一番長く接しているのはラザロだからな。」そこに出たドラゴンの彼の存在に、尾を引いていた強張りも解り易くあっという間に綻び溶けて、表情も懐こく柔らかな色に破顔して。「それに、彼からは貰い物もしているからな、それもあるだろう。」続けて擦った胸ポケットから取り出した鱗を掌に乗せ、ほら、と目の前の彼へそれをお披露目する。「ラザロからのお守りだ。綺麗だろう。」己の瞳よりも深い紺碧の表面を、その台座にしたものとは反対の親指でそっと慎重に撫で、嬉々を湛えた言葉を紡ぐ様は、さながら一等大事な宝物を自慢げに掲げる犬の如し。「これは此処に来て最初にラザロから貰ったもので――」更にそのまま思い出に花を咲かせかけて――はたと止まる。「……すまない。浮かれてしまったな。」一方的に話し込んだ事に詫びを落としつつ、またその“お守り”を胸元に仕舞い直し、空っぽになった両手は開いた膝の上に揃える。「…此方からも、君について少し尋ねさせてもらおう。」仕切り直し、言葉にするは彼へ歩み寄る姿勢。出会い頭こそ不可解な衝撃に襲われた心地であったが、彼自身の事を聞ければ、それに納得が据わるかという短絡思考も乗せて。「その……君の言う“仔羊を導く”とは、一体どういった意味だ?」仔羊、が彼の語りようで己の事を指しているのは重々知れた。そこにもう一歩、この怪物への理解を得ようと質す疑問の合間、少しずつ油断の生まれ始めた視線は、彼の尾に隠せない好奇を時偶ちらつかせていた。)




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