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1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
167:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-08-30 22:47:01
―うおあっ!?……あ、浅木くん……探していたよ!
( 親切な観光客の青年と話し終えた刹那、突然腕を掴まれ、飛び上がる勢いで本日二度目の大声を上げた。とてつもなく力強く握り込まれている!と怯えた顔で振り返り、そこへ本物の灯台兼天使が視界に飛び込んでくれば、面食らったように固まったのち、ゆるゆると気の抜けた笑顔になって、まるで弟子の方がいなくなったかのような言い振りで返した。――まったく、不意打ちはチョンボだろう!と内心抗議したものの、その資格などこの男には一ミリもない。やがて浅木くんの掴む力が弱まり、手元のサプライズについて答えようとしたところで、去りかけていた先ほどの青年が僕の大声に振り返って肩を叩き、『Ah! Angel?』と浅木くんを指さした。「そうそう!My angel!」と、さっきまでの流暢さなど片鱗も見せない簡単な英語で返せば、青年は僕と浅木くんへ口笛を吹き、意味深なウインクを残して今度こそ去っていく。その意図など知る由もなく、やっぱりめちゃくちゃいい人じゃないか、と呑気に背中を見送った。それから、息を切らしている浅木くんを労わるように背中を撫で、ド派手に変貌した車のキーをじゃらりと差し出して )
……浅木くん、いつも僕の代わりに運転してくれているからね。交通安全守をプレゼントしたくて買っていたんだ。……それにほら、この間の特売日にもこいつが逃げただろう?それの対策も兼ねて、鈴なんかもつけてみたよ。
168:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-08-31 09:47:58
………………言いたいことは山ほどありますけど、……ひとまず、ありがとうございます。
( こちらの苦労など何も知らないような笑顔を見せる師匠には「探してたってどう考えてもこっちの台詞……」と文句を言いかけたが、先ほど師匠と話していた外国人が戻ってきて思わず口を閉じる。会話の内容はよく分からないが、この場合、僕がエンジェル呼ばわりされているのか、とようやく状況を把握する。……正気か?いや相手の方も、ヒュ~じゃなくて。あらぬ誤解を解きたくて、去っていく背中に「ノー!ノーエンジェル!」という片言の弁明を投げかけたが、その声は喧騒にかき消されたのか彼が振り向くことはなかった。あーもう、こういう時のためにもっと英語の勉強をしておくべきだった、と意味のない後悔をしていると、目の前に例の物体を差し出され、そのまま思考が止まる。話を聞くうちに、その正体が車の鍵だと判明して目を疑った。こんな、あられもない姿に……。言及されたのは交通安全守と鈴だけだが、そのほかにも大量のお守りが付けられていて、その中に安産守を見つけた時は冗談か何かだと思った。……いや、師匠は本気だ。本気で、僕を喜ばせたくてプレゼントしてくれたのだろう。やはり僕は、師匠の厚意を無碍にはできない。せめていなくなる前に一声掛けてくれたら、と文句を言いたいし、それにしても付けすぎでしょとツッコミも入れたいが、すべて我慢して飲み込み、代わりに感謝の言葉を述べて鍵を受け取った。……これだけ欲張って付けていたら、ご利益同士が渋滞して全て無効になったりするかもしれない。少し揺れるたびにちゃらちゃらと鳴る音を聞き、大きな溜息と共に小言を吐いて )
はぁ……いっそのこと鍵じゃなくて師匠に鈴をつけた方がいいんじゃないですか。
169:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-08-31 14:02:11
僕に鈴を?…………そんなの、すぐ君に捕まってしまうじゃないか。
( 天使ではないと宣言する姿を見れば、まるで天然ちゃんが\天然じゃないもん!/と主張しているくらい説得力がない。いいねぇ、と内心愉快になり、くくく……と横で呑気に笑った。お披露目したニュータイプキーは気に入ってくれただろうかと、しばらく言葉を飲み込んでいそうな弟子の反応をうずうずしながら待つ。言いたいことは山ほどあると前置きしたうえで感謝を述べられたものだから、「ああ、そんなに嬉しかったんだね。どういたしまして、プレゼントした甲斐があったものだ。」と、車の鍵を受け取ってくれた彼ににっこりした。浅木くんの気持ちはわかるぞ。嬉しいときほど一度に言いたいことが生まれてしまって、結局シンプルな一文へ収束するものだ。黄山くんに浅木くんの学校生活を聞いた時も、まさにそうだった。それにしても、ご利益の集大成を持つ浅木くんはなんだか強そうだ。陰陽師のような、何か一つ召喚できそうな迫力を感じる……これは絵になる。実のところ、今日の課外活動では、弟子の例の連作につながるインスピレーションをいくつも発掘できたのだが、思い返そうとすると自分の心象まで入り混じって、少々不便でもあった。浅木くんとの課外活動を終えてから、後日あらためて冷静にテーマをまとめてもいいだろう。そんなことを考えていたところへ、盛大な溜息交じりに僕へ鈴を付ける案が飛んできて、なぜ?と訝しげな顔を向ける。しかし、自分の発想になぞらえて考えてみれば、逃げる鍵を見つけるために鈴を付ける=浅木くんから逃げる僕を見つけるために鈴を付ける、ということなのだろうか。ふふん、別に逃げているわけではないのだが。彼がそう思っているとすれば、すぐに捕まってしまうのも面白くない。そんな調子で返しながら、人混みを懸命に抜けてきたのであろう弟子の着物をほんの少し整えて )
170:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-08-31 17:33:41
……まったく。探す身にもなってほしいんですけど……。
( 師匠に鈴をつける案は半ば本気で考えていたのだが、実現は叶わなそうだ。ほんと、ああ言えばこう言う……と親のような苦悩を感じながらも、着物を整えてくれる師匠には「……どうも」と一応礼を言う。こういった仕草は歳上らしくスマートなのに、目を話した隙にすぐ迷子になるのは何故なのか。まだまだ言ってやりたいことだらけだが、何はともあれ、無事見つけることができたのだから、と自分自身を宥めて口を閉ざした。たぶん師匠は何を言っても懲りないだろうし、言うだけ無駄だろう。世話を焼き続けたいと願ったのは僕の方なのだから、これくらい覚悟の上だ。さすが合切袋というだけあって、ごちゃごちゃとした車の鍵もなんとか収めることができた。かなり幅を取っているが、元から荷物も少ないので問題はない。――ふう、と息を吐きながら、夕焼けが深い青に溶けていく空模様を見上げる。少し冷たくなってきた風に吹かれ、じわりと寂しさを覚えつつ、表情には出さずにそろそろ帰ろうかと切り出して )
……暗くなってきましたね。お土産でも見に行きますか。甘いもの買って帰りましょう。
171:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-08-31 20:10:24
……ふふ、でも今日のことで思い知ったよ。
君の頭が灯台であることは間違いではないけれど、思ったより惑わす目印がたくさんあるというのをね。
( 「どういたしまして」と礼にひとつ返すと、呆れていそうな様子に、一応は反省した部分もあることを伝えてみる。そう、まさか偽灯台がいるとは思っていなかったから。それこそ、僕に鈴を付けるのではなく、君がもっと光ればいいのでは?と一瞬、浅木くんが紫色を見出した例の男性の姿が過ったが、つるつるになった浅木くんの頭部を撫でる想像をして、さらつやの髪が恋しくなり「もったいない……」と独り言を残した。――暗くなってきたという声に、自分も空を見上げる。浅木くんの瞳のようだ。目を凝らせばうっすらと星が瞬いて見えて、絵と向き合っている、あの眼差しが鮮明に浮かぶ。甘味を土産として提案されて、「ちょうちんもなかは外せないね」と嬉しげに返してから、提灯の橙が道しるべのように帰路を彩る通りへ足を向ける。夜の浅草寺は、こんなにも趣深く見えるものなのか。この景色を見るのは初めてかもしれない。――ああ、楽しかったな。と浅木くんへ視線を戻すと、やっぱり濃紺の着物が似合っていて、名残惜しさが湧いてくる。まっすぐ帰るのはなんだか惜しく感じ、そういえば、さきいかの件でまだ好物をご馳走していなかったこともある、と色々と理由を付けて誘ってみて )
……あ、帰りにラーメンを食べていかないかい?今日、課外活動を見事にこなした浅木くんの功労賞を与えよう。
172:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-09-01 09:46:06
そりゃそうですよ、都会なんですから。
( どうやら師匠は、他にも灯台が多く存在することに今更気付いたらしい。小さな町の中ではそこそこ目立つ頭も、都会に来てみれば簡単に紛れてしまう。それを思い知ってくれたのなら、今後は何も言わずにいなくなることが減るかもと少し期待した。甘味を求めて商店街へ戻る途中、ラーメンを食べようという提案には、心なしか嬉しそうに目を見開いた。ちょうど晩御飯はどうしようかと考え始めていた頃だったので、このタイミングで外食の提案はありがたい。ラーメンというのも、以前僕が好物だと言ったことを覚えてくれていたのだろう。「いいですね、食べたいです」と少し弾んだような声で返事をした。その後、目当てのちょうちんもなかを手に入れて、他にも何かないかと目についた店に立ち寄った。僕のように甘党ではない人でも食べられるようなものはないかと探し、師匠にも意見を求めて )
ご近所の方に配る用と……あと白戸さんにも渡したいですね。
僕でも食べられるような甘さ控えめなものの方がいいでしょうか。
173:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-01 13:35:14
ふふ、うちの弟子は本当に気が利くね。
浅草は甘味ばかり主張しているからね、塩っぱいやつは陰に潜んでいそうだ。……たしか、この店にもあったはずなんだけれど。
( 都会なんだからと言われて、「浅木くん、もしかして君は、僕が思っているよりずっと洒落たアーバンなメンズだったのかい……」と、妙にショックを受けたような、はらはらしたような変な表情を向けた。もうちょっとだけ二人で寄り道したい、という本音は隠したものの、ラーメンの誘いにいくらか嬉しそうな反応が見て取れてかわいい。「替玉もしていいよ」と得意げに返しつつ、内心では、ご褒美をあげられる嬉しさに目を細めた。ちょうちんもなかの店では持ち帰り用をもちろん確保したが、アイスもなかというのもあって、こればかりは連れて帰れないので我慢できずに買い、その場で一口で頬張って平らげた。ふむ、食べ物というのはすぐに無くなってしまうな。思い出は消えないが、浅木くんと何か形に残る物があってもいいなぁと、ぼんやり食べ終わった袋を見つめた。──それにしても、浅木くんは甘味が苦手だというのに……。甘茶を飲んでキュッと寄った顔を思い出しながら、真っ先に僕の甘味を優先してくれた優しさがじんと身に沁みて、「ありがとう、浅木くん」と唐突に礼を告げた。それに、白戸さん達へのお土産にまで配慮してくれるのは本当に助かった。浅木くんとのデート楽しかったよ!と報告だけしに行くところだったからだ。甘さ控えめなお土産を、と提案されると、「任せなさい」と胸を張る。実は浅木くんに食べさせてみたいお土産は、件の動画で少しリサーチしていたのだ。狭い通路を練り歩き、時折上から下がる季節先取りの風鈴に顔面を攻撃されながら目的の物を探すと、浅草限定のポップが目に付いた。豆菓子の入った袋をごそっと10袋ほど両手に抱えて振り向いて )
……あ、いたぞ!……これはどうかな、もんじゃ味の豆菓子。
174:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-09-01 17:20:48
もんじゃ味? ……味の想像がつかないですね。
……というか、そんなに買うんですか。
( 師匠の顔に風鈴が直撃するたびに、ちりんと涼やかな音が鳴る。やはり背が高いと大変そうだと同情しつつ、こちらは悠然と頭を下げて風鈴を避けた。……わざわざそうしなくても、位置的に僕の頭にぶつかることは無さそうだったが、念の為だ。しばらく店内を捜索し、やがて探し物を見つけたのか師匠が声を上げてこちらを振り向く。その両手には大量の豆菓子が抱えられていて、買い占める気かと思わずツッコんでしまった。お土産として配ることを考えても半分くらいの量で事足りるというのに。相変わらず加減を知らない人だなと呆れたが、まあ、支払いは師匠持ちなのだからと考えて「あんたがいいならいいですけど」と受け入れた。豆菓子を爆買いする二人組にレジの店員は動揺を隠せない様子だったが、気にせず平然と支払いを済ませて。大きな紙袋を片手に店を出ると、外は一層冷え込み、冬の名残りを感じるような気温になっていた。早いことラーメンを食べて暖まりたいと思い、近くのラーメン屋を検索すると、師匠にもスマホの画面を見せながら )
……近くに何軒かありますけど、どこに行きますか。和風だしラーメンとか、美味しそうですね……。
175:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-01 19:30:08
……はぁ、涼しい。……ん~どれどれ、和風だし? いいねえ。そこにしようか。
( 土産店を後にしながら、先ほどのレジのおねえさんの顔が蘇る。美人だったが、あんなにあんぐり口を開けて。私も買う予定だったのに!という羨望だったのだろうか。すまないね、世話になっている人へのお土産もそうだが、何より、浅木くんが”おいしー”と気に入った時のために在庫が必要なのだ。なんせ想像のつかない味だからね。気に入ってからでは遅い。昼間とは打って変わって冷え込む外気は、暑がりな自分には丁度良いものの、吐く息はほんのり白んでいる。「寒くはないかい? 浅木くん」と、端末を操作する横で気にかける。どこに行くかと差し出された画面をひょいと覗き込むと、浅草の名店と謳われた和風だしラーメンの写真が確かに美味しそうだ。賛成の意味を込めて笑いかけると、道順は弟子へ任せて付いていくことに。ラーメン屋までの道すがら、今日一日歩きっぱなしで、慣れない着物と履物では浅木くんも草臥れていないだろうかと気になった。う~ん、でもまあ男の子だしな。じいちゃんには『女性をむやみやたらに歩かせるな!』と何度も叱られていたから、こういう時の気遣いもついつい女性基準になってしまう。疲れた時にはゆっくり湯舟に浸かると回復も早い。漢浴びではなく、たまには浅木くん自身の身も世話してほしいなんて考えながら窺って )
浅木くん、今日はゆっくりお風呂に浸かってみるのはどうだい? 疲れただろう。
176:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-09-02 00:09:19
……なんですか、急に。そんなに疲れてないですけど。
( 何故か唐突に風呂の話題が飛び出してきて、怪訝そうに首を傾げる。疲れただろう、と言われると半ば反射的に否定したが、それが僕を気遣う言葉だと気付くのに時間はかからなかった。一日を振り返ってみれば、履き慣れない雪駄で足を痛めたりしないかと、師匠がずっと気にかけていたことを思い出す。つい先ほども寒くないかと心配そうにしていたし、ゆっくり風呂に浸かれと言うのも師匠なりの気遣いなのだろう。それほど疲れていないというのは強がりではなく本当のことで、過保護だと思いつつも、心優しい師匠のお言葉に甘えてみるかと「……まあ、たまにはゆっくりしてみます」と答えて。とはいえ、実行できるかは怪しいところだ。昔からじっとしていられない質で、入浴しても十まで数えたらさっさと出てしまうことが多かったから。今日のところはとりあえず、二十秒を目指してみよう。そんな目標を立てながら、歩を進めること数分。目的地のラーメン屋に無事到着した。外から店内の様子を覗いてみると、人気店というだけあって席は埋まりかけていたが、カウンター席に少し空きがあった。その時、ちょうど店員と目が合い、どうぞお入りくださいと言いたげに手招きされたので、そのまま店の中へ入る。「先にどうぞ」と師匠に声を掛けて席に座ってもらい、続けて隣の席に腰を下ろす。券売機はなく、口頭で注文する形式のようで、食欲旺盛な学生らしくメニューを見ながら熟考して )
とりあえず、ラーメンと……餃子も頼んでいいですか。
177:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-02 05:01:03
……ほう。……今日くらいの程度はへっちゃらなのか。
( 頭の中で辿った思考の工程を端折ったまま疑問を投げ掛けてしまっていることには、相変わらず気が付かない。ゆっくりしてみると言う彼には、うんと満足そうに深く頷き、「数えているからね」とこれまた面倒な一言を付け足した。なるほど、浅木くんはこれくらいでは疲れないのかと、また一つデータを積み上げては、「じゃあ、色々連れ回しても平気そうだね」と呟き、楽しみが増えそうだとしみじみ思うのだった。――名店らしきラーメン屋に到着して、クンクンと匂いを嗅いでみるが、臭くない。和風だしともあってか、香りまで厳かなのだろうか。自分よりも場慣れしていそうな弟子に続いて店内へ。「失礼~」と隣接した椅子へ先に座らせてもらい、辺りを見渡した。浅木くんとは反対側、隣に座るおっちゃんがネギ増しラーメンを啜る様子をじぃっと眺めていたが、浅木くんの声にふっと振り向く。さすが……食欲旺盛だ!と目を丸くしつつ快諾。餃子も美味しそうだが……、昼間に食べた大判から揚げの油を未だ引きずっているのか、六つの餃子を追加で食べられる気がしない。悩んだ末、浅木くんの肩を控えめにつついて、潜めた声で交渉してみて )
ふふふ、もちろんいいとも。奢り甲斐があるね。
僕は、ひとまずラーメンのみ。……師匠にも餃子ひとつちょうだい。
178:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-09-02 15:55:11
……ひとつと言わずに半分食べてもいいんですよ?
( 肩をつつかれて視線を向けると、餃子を分けてほしいとねだる声が聞こえて、ちょっと可愛いな、と柄にもなくときめいた。……ああ、駄目だな。こんな些細な事で感情が揺れ動くなんて、やっぱり少し疲れてるのかもしれない。確かに、着物姿の師匠は和風な店内の雰囲気に合っていてすごく絵になっているが、可愛いはおかしい。好物にありつけると思うと気分が上がって、そう見えてしまったのだろう。きっとそうだ、と自分に言い聞かせて。まだまだ若い胃袋を持つ弟子には、師匠が遠慮する理由を察することができず、悪気なく半分を食べさせようとしながら、カウンター越しに店員へ注文を伝える。おしぼりで手を拭いたりしていれば、あっという間にラーメンと餃子が提供された。隣に座る彼に「熱いので気をつけてください」と声を掛けながら、いただきますと手を合わせる。立ちのぼる湯気から香る匂いに腹の虫を刺激されつつ、師匠が食べ始めるのをじっと見届けてから、こちらも箸を持つ。軽く息を吹きかけて、麺を啜った。咀嚼して、飲み込み、また啜るを何度か繰り返す。……これが名店の味か。美味しすぎて感動するあまり、つい無言で食べ進めてしまう。しかし、奢ってもらう手前、感想を伝えるべきかと我に返ったようにはっとして、少し砕けた口調で )
……師匠、これめちゃくちゃ美味いです。
179:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-02 19:57:34
め゛っ……ぇへへ、ありがとう。……いやぁ、でもね、浅木くんの腹の虫が満足しないだろうから、ひとつで大丈夫さ。
( まさか半分も分けてくれそうな言いぶりに内心動揺して、口から変な音が漏れた。無理やり笑い声を作ったらヤギみたいになったが、いや、ヒツジか?どちらでもいい。浅木くんの優しさは素直に嬉しくて、表情には明るい笑みを浮かべたまま、不自然に瞳だけが泳いだ。だって、“半分頂くには胃が重たい……”なんて言ったら、オジさん認定されるじゃないか。それだけはどうしても避けなければならない。カウンター越しに逸品を無言で提供する漢スタイルからは、並々ならぬ自信を感じる。熱さを気遣ってくれる弟子に笑みを返してから器を覗き込んでみれば、写真で見るよりずっと美味しそうだ。好物を前にしても僕が食べるのを待ってくれる浅木くんの様子は目の端で捉えていて、ほほえましい気持ちになる。「いただきます」と手を合わせてから、立ち上る湯気と共に麺を啜った。上品なスープが麺に絡んで、これはとても美味い。マルコ・ポーロがこのスープを目の前にしたなら、『黄金のジパングはここにあり!』と叫ぶだろう。しぬほど熱いが、この食べ方が好きでついついやってしまう。わざとこんな食べ方をしていると浅木くんが知ったら怒られそうだ。それでももちろん、餃子も熱々のうちにひとつ貰って一口でぱくり。「うまぁ」と口元を隠しながら灼熱と戦う。水で口の中を休戦させつつ、ちらりと隣を窺う。ものすごく夢中で食べている……!好物と向き合う彼はこうなるのかと、思わず箸を止めて見入った。そういえば、自分で作るごはんより、人に作ってもらうごはんの方が美味しいのだと誰かに聞いた覚えがある。浅木くんはいつも自分で作っているからな……と感心すると同時に、少し切ない気分にもなった。再びラーメンへ意識を戻そうとしたところに、浅木くんからラフな"美味い"が飛び出したものだから、ついつい眦が下がる。弟がいたらこんな感じだったのだろうか……藍原理玖。いや、でも、姉弟の名前に寄せるなら藍原凛玖か……?そんな妄想が浮かぶくらいには、好物を食べる弟子の姿が可愛らしくて。好きなだけ食べていいと告げてから、自分も食べ進めていき )
……美味いね。ここにして正解だった。……いくらでも食べていいからね。あ、餃子も美味しかったよ。
180:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-09-03 09:27:54
( 動物的な鳴き声を発して明らかに動揺している師匠の様子に、ようやく何か理由があるのかと気付き始めて。遠慮せずに食べたらいいのに、という気持ちは変わらないが、無理強いしてはいけないと口を噤む。その理由が分かるようになるのはもう少し先の話だった。熱いから気をつけて、と注意を促したはずが、師匠は息も吹きかけずに食べ出したものだから、えぇ.……と内心引いてしまった。師匠にかかれば熱さなんて関係ないのか? と思ったが、普通に熱そうにしている。刺激を求めるのはいいが方向性が間違っているのではないか、なんて考えながら、ふと師匠から向けられる視線が気になりだした。どこか身に覚えがあるような視線は、祖母が時折見せていた慈愛に満ちた顔と似た雰囲気がある。"いっぱいお食べ"的な、そういう視線を師匠からも向けられている気がした。そうして、弟を飛び越え息子どころか、孫扱いをされているのではという勘違いが生まれ、もやもやしながら餃子を頬張る。うまい。けど、孫扱いは複雑だ。僕が孫だったら師匠は祖父になってしまう。……冬嗣おじいちゃん……。古風な名前だから様になってるな、なんて失礼なことを考えて。――ラーメンと五つの餃子が腹の中に収まり、満足げに手を合わせて。「ごちそうさまでした」と師匠に向けて軽く頭を下げ、席を立ったところで、はたと気付く。師匠の奢りという話になっているが、今日の会計は財布を持っている自分がすべて支払っていた。となると、師匠は財布を持ってきているのだろうか、と疑問が浮かぶ。電子決済なんてハイテクなこと師匠に出来るわけないし、あの大量のお守りを買ってきたということはお金を持っているはずだが……と、若干不安そうに問いかけ )
……あの、今日って財布持ってきてるんですか?
181:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-03 14:33:49
( 餃子を控えめにしたおかげで、黄金のジパング汁まで綺麗に飲み干し、底面に現れた”かたじけない。”という渋い筆跡の印字へ「こちらこそ」と返して妙な達成感を得ていたが、空になった器の前で満足そうにしている弟子を見れば、「いっぱい食べたねぇ」と冬嗣爺は楽しげに呟いて。「ごちそうさまでした」と手を合わせる傍ら、こちらへ軽く頭を下げる弟子には、「君の頑張り次第で、また報酬を与えよう」と、ただ奢りたい年頃のくせに師匠然として振る舞った。席を立とうとした頃には隣の客が若いカップルに変わっていて、「見て」と完まくした器を彼氏の方へ自慢したところで、財布はあるのかという浅木くんの声にはっとし、困惑したカップルを置いてきぼりにして絡むのをやめて隣へ。あれ、お守りを購入した後どこに入れたっけな……と、びよんと伸びた合切袋の中を確認するも、無い。あ、こっちか、と青鼠の懐から、財布ではなく”御祈祷”と記された立派な封筒を探り出す。授物所の時と同様、そこからピン札を一枚取り出すと、「ごちそうさま!」とレジへ飛んできたおにいさんに声を掛け、支払いを済ませて )
あったあった。君にこれを持たせるのは物騒な気がしたから、僕が持っていたのさ。
182:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-09-03 18:37:27
( / こんばんは。お世話になっております!
浅草デート編、それはそれはもう大変楽しませていただきました……! いろんな人を巻き込んでわちゃわちゃしてる師弟やっぱり最高ですね。
浅木も少し素直になってきて、二人の距離感が縮まったような気がします。嬉しいです!
本当に、冬嗣さんのかわいいポイントが多すぎてひとつひとつピックアップしていきたいくらいなのですが、長くなりすぎてしまうのでなくなく諦めました……(笑)
ひとつだけ挙げさせていただくとするなら、やっぱり「……泣いてない。」の冬嗣さん!めちゃくちゃ可愛かったです!最高でした!
そろそろ〆に入ろうかと思うのですが、何かやり残したことがあれば、教えていただけると幸いです!
……物騒って……そんなに大金を入れてきたんですか。
( 師匠の懐から現れた謎の封筒。ちらりと見ただけでも結構な厚さがあるような……。まさか十万円近くの大金が入っているとは知らないまま。それはそれとして、師匠の物言いには不安を煽られた。彼は庶民派に見えて、実は裕福な育ちだから、平然と大金を持ち歩いている可能性も捨てきれない。ひとまず、額はどうであれお金が入っているのだからと「落とさないでくださいよ……」と心配しながら店を出た。体の芯が温まったおかげか、涼しい風が吹いても寒さは感じない。さて、そろそろ駅に向かおうと歩き始めた時、一枚の花弁が目の前をひらりと舞い落ちてきた。ふと見上げると、桜の木が風に揺れている。しばらく立ち止まって見つめながら、師匠に今日一日の感謝を伝えて )
……今日はたくさん学びがありました。ハプニングも多々ありましたけど……楽しかったです。改めて、連れてきてくれてありがとうございました。
183:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-03 21:10:02
( / こんばんは、お世話になっております~!
私も終始にっこりしてました。実在する場所ということもあり、制限がある中で、背後様から頂けるレスが本当に毎度素晴らしくて(笑)
師弟の聖地が一つできたみたいで嬉しい……。またいつか師弟で実在する場所に赴いてもいいなぁ……なんて思うくらいには楽しかったです!
いや、ホントに理玖君……!(最高)素直な理玖君に情緒掻き乱されつぐでしたよ。冬嗣も、何を考えるにも自然と理玖君が主語に置かれるくらいには、手放せない存在になりつつあるのではないかと思います。
私もエラいことになるので書き切れません。プロポーズじみた願いには、え?え!?と何度も読み返しました。灯台兼天使最高です。
〆のご提案ありがとうございます……!存分に拾って下さったので大丈夫です!本当にありがとうございます。
私からの〆レスにも、やりたいことを詰め込みましたので、是非ともフィナーレを飾ってください……。
( / それと、次の物語のご提案を少しだけ……!浅草デートが大イベントだったので、箸休めに師弟がそれぞれ過ごす日常を見てみたいなぁ~なんて思っていたりします。黄原君が師弟デートを目撃したので、春休み明けとか……いいなぁと。ソロルがメインとなるかもですが、よろしければ、どうでしょうか……? )
……どういたしまして。……藍原学園の課外活動は随時開催予定だから、肝に銘じておくように。……僕も楽しかったよ。
( 「大金というほどでもないが……」とまで言ってから、物騒だなと思ったテレビのニュースを思い出す。今時、数千円でもひったくりに遭うらしい。そう思うと「念のためね。師匠として弟子の身の安全を確保することも責任のうちだ。」と胸を張った。お金を落としてしまう分には、必要な人のところへ懐くだろうと呑気に考えて「大丈夫」と生返事をし、店を後にした頃には、本格的に夜へ落ちた浅草の人通りも疎らになっていた。ラーメンで火照った体を心地良い夜風が冷ましてくれて、ほっと息をつきながら浅木くんへ視線を向ける。ん、何に興味を惹かれているのだろうと自分も顔を上げれば、街灯に照らされた白い夜桜があった。ふと、話を始める浅木くんへ視線を戻す。今日一日の感謝と“楽しかった”という言葉を珍しく素直に伝えてくれるものだから、心底よかったと目元が緩む。今度はどこへ連れて行こうかと考えながら師匠という立場を建前として総括を述べたものの、課外活動のほとんどを、ただの冬嗣として楽しんでいた自覚があったからこそ、ぼそりと付け足した。雷門の前で浅木くんの頭に懐いた桜のことがふと名残惜しさと共に蘇り、僕たちに手を振るように揺れる花々を彼と同じように眺めて、「浅木くん、この美しい夜桜をバックに記念撮影しないかい?」と端末を取り出す。無駄な笑顔でロックを解除し奇跡的にインカメラを起動させて弟子の肩を引き寄せ、「浅木くん、笑って」と笑顔を向ける。もしも笑わなかったら、きっと脇腹をくすぐるだろう。 )
184:
浅木 理玖 [×]
ID:04240c48b 2026-09-04 14:51:19
( / 実在する場所が舞台だと参考資料が見つけやすくて、個人的にとても助かりました(笑)
浅草について調べたり画像を検索してみたりしていると、ちょっとした観光気分も味わえて楽しかったです。まだまだ聖地増やしていきたいですね!
いやもう乙女つぐさんほんっとに可愛くて……もっともっと師匠の可愛らしい一面を引き出していけたらと思います!
一日の思い出を振り返ってみたらつい長くなってしまったのですが、こちらで〆とさせていただきます!お付き合いいただきありがとうございました!
次の展開についてのご提案もありがとうございます!ソロルメインでも大丈夫ですよ!
では、浅木が大学から師匠の家に向かうまでの時間をゆっくり描写していくのはいかがでしょうか?
浅木が来るまでの時間、師匠がどんなふうに過ごしているのかも気になりますし……。
浅木は黄原にデートのことを聞かれてうんざり……(と思いきや、満更でもなく思い出を語ってしまう)(惚気?)みたいなイメージです!
……はい、いいですよ。
( 写真撮影の提案には素直に頷いたものの、急に肩を引き寄せられると「うわっ」と小さく声が洩れた。驚いたことを誤魔化すように咳払いをすると、「笑顔作るの苦手なんですけど」とぼやきながらも、ほんの少し、柔らかく口角を上げてみた。しかし頑固な表情筋はなかなか言うことを聞かず、結局その状態を維持できたのは一秒ほどで、すぐに無表情に戻ってしまう。それでもちょうどいいタイミングでシャッターを切ってくれたおかげで、無事に微笑む瞬間が写真に収まった。「……いいですね。後で僕にも送っておいてください」と頼んでみたが、そもそも写真の送り方を知っているのだろうかと疑問が浮かぶ。まあ、知らないなら後で教えればいい。――今日は、本当にたくさんの経験を積んだ。三つの課題を乗り越え、師匠の才能を何度も思い知った。悔しさもあったが、それも成長の糧にしたいと思う。冬嗣流の作法を鵜呑みにしてはいけないという教訓も得た。師匠が描いてくれたしおりは、藍原冬嗣の貴重な作品として大切に保管したいし、人力車は思いのほか楽しくて、貴重な体験だった。山椒入りの大判唐揚げで咳き込む師匠はツボに刺さったし、甘茶は……機会があれば次は一人だけで飲み干してみたい。僕の言葉に照れていた師匠も、見物だったな。師匠に対して可愛いと思うのは抵抗があるけれど、あれは流石に、可愛かった。黄原と遭遇した後、突然師匠が消えたかと思えば大量のお守りをつけた車の鍵を持ってきた時は、いろいろな言葉を飲み込んだ。師匠には申し訳ないが、安産守など不要なものは後で省かせてもらおう。そうでないと普段使いができなくなる。それから、お土産を買って、ラーメンを食べて、最後に夜桜をバックに記念写真を撮った。こうして振り返ってみると濃密な一日だった。良い思い出を作れたと思う。そういえば、と今朝から思っていた事をようやく口に出す勇気が湧いてきて「……あ。言い忘れてましたけど、師匠の方こそ似合ってますからね、着物」と伝えた。何だか妙に気分が良い。帰ったら眠る前に、少し絵を描こうか。絵日記のように、今日の思い出を描き残してみよう。そんなことを考えながら、今度こそ駅の方へ歩き出した。〆 )
185:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-04 21:53:37
( / 確かに共通認識があるので、描写のしやすさはかなりありましたね(笑)私も観光気分を味わえてとても良きでした……!聖地量産していきましょうっ。
そう言って下さってホントにありがとうございます。
私は理玖君の毒舌も大好きなので、ツッコミどころを沢山増やしていきたいです……(笑)ぎりぎりのブラックユーモアも仕掛けてしまってすみません。「全体的なオーラの輪郭を捉える」は、もうワード選びがツボすぎてダメでした。
素晴らしい〆をありがとうございます……!
理玖君の振り返りに、私も色々と思い出してジーンとしてしまいました。こちらこそ素敵な時間をありがとうございます。
提案に乗って下さりありがとうございます!
ぜひともその流れで行きましょう……!
私も理玖君が大学でどんな様子で惚気(?)を話してくれるのか、今からワクワクです。
さっそくですが、春休み明けの日常編の開始ロルを回させていただきました!
理玖君がすでに大学や移動中でも、はたまた出発前でも、お任せできるような始まりにしてみました。不都合があればいくらでも調整いたしますのでお気軽に……!
それでは、背後はいったん失礼いたします……。
何かありましたら、いつでも呼んでくださいね!
( ──満開だった桜も見頃を過ぎて、かの男性の頭髪のように散り始めた頃。世間一般では春休みが明けたらしく、うちの弟子も一ヶ月近くの休暇を終え、美大と藍原冬嗣のアトリエを行き来する二重生活が始まった。対する僕はといえば、生活リズムは相変わらず。いつものように目覚ましもかけずにセミダブルのベッドで好きなだけ眠りこけていた。お世辞にも寝相が良いとは言えず、半ばベッドから落ち掛けている。しかし、寝相のせいだけと決め付けないで欲しい。弟子に起こされて、寝ぼけながら縁まで這いつくばり、起きようとした努力の結果かも知れないだろう。一度寝たらなかなか目を覚まさないのはいつものこと。夢か現かの狭間で中途半端に意識が浮上して、ああ、弟子を送り出す挨拶をしないと。その気持ちだけが身体から切り離されたようにぽやぽやと残されて、顔をシーツに埋めながら、誰に聞かせるでもなく聞き取れないほどの唸り声を漏らして )
………………あさきくん、……もう、大学?
186:
藍原 冬嗣 [×]
ID:035733254 2026-09-05 00:13:57
( / 度々すみません……!春休みを1ヶ月近くと記載しましたが、一般的には2ヶ月程度あるみたいですね(汗)冬嗣の体感が少々ズレているものと思っていただければ幸いです。 )
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