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 Voyage /53


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自分のトピックを作る
3: 30194 [×]
2025-01-26 02:43:12



(/お越しいただきありがとうございます!改めまして、これからよろしくお願いいたします。素敵な船旅の予感に早くも胸が高鳴っております!
登場人物に関するご意見もありがとうございます。敬語を使わない方針含め、画家のイメージについて承知しました。早速作成に取り掛かりますね。
また、当方からの要望につきまして、萌え萎えを含め募集時に記載した内容以上の追加のリクエストはございませんので、自由にご創作いただければと思います。挙げていただいたお嬢様の案も、どれもそれぞれに魅力的で迷ってしまいましたが、個人的には三番目のお嬢様が特に好みです。表向きの淑やかな振る舞いの裏に独立心を秘め、男が求める女性像を演じているその強かさに思わず惹かれてしまいました…!
また、下記に簡単な豪華客船の設定を記載いたしましたので、お手隙の際にご確認いただければ幸いです。よろしくお願いいたします!)


RMS Regalia - レガリア号

19世紀末に活躍したイギリスの豪華客船。サウサンプトン港を出発し、地中海を経由してギリシャやイタリア沿岸を巡りながら最終目的地イスタンブールを目指す。船体は3本の煙突を備えた鉄製で、古典的ながらも洗練された流線型のデザインを持ち、優れた耐久性が特徴。英国王室の郵便船(RMS)として、格式と信頼を兼ね備えた存在感を放つ。

船内は豪華さを極めた装飾が施され、一等客室には金箔や彫刻をあしらった家具、重厚なカーテン、柔らかな絨毯が揃い、乗客に贅沢で快適な空間を提供する。専用のラウンジでは、上流階級の人々が交流を楽しむ姿が見られる。二等・三等客室も快適さに配慮され、乗客たちの社交場として賑わいを見せる。
ダイニングルームでは豪華なコース料理が提供され、一等客室専用の食堂にはシャンデリアや精緻な食器が並び、優雅で洗練された雰囲気が漂う。デッキにはカフェやラウンジが設けられ、海を眺めながら過ごす時間は格別。夜になると舞踏会やパーティーが催され、船旅ならではの華やかな時間が広がる。




4: 30195 [×]
2025-01-26 10:00:30



(/ご確認ありがとうございます!
情景が浮かび上がるような豪華客船の詳細にも感謝致します。レガリアの名に相応しい豪華な旅が保証される、沢山の人の多くの感情を乗せて出港する船旅が今から楽しみでなりません…!
では、当キャラは三番目の淑やかな演技派な娘で練らせて頂きます!またプロフィールの確認後に細やかな修正などご相談に乗って頂けると幸いです。それでは作成に向かいますので暫しの間お待ちください…!)


5: 30194 [×]
2025-01-26 10:56:24



名前:アーサー・バートン
年齢:25歳
性別:男性

容姿:柔い毛質のダークブロンドの髪は無造作に整えられ、前髪は目に被らないよう根本から軽く持ち上げサイドへ流す。ブルーグレーの瞳は深みのある光を宿し、絵の制作に没頭する際には鋭さと情熱が滲む。端正な顔立ちながら、普段は無愛想で冷えた表情を浮かべていることが多い。身長175cmと中背ながら均整の取れた体格。
普段着は控えめながら洗練されたものを好み、動きやすく防寒性に優れたウールのジャケットにシンプルなシャツや暗色のベスト、黒の短靴を合わせ、質素ながら貴族社会にふさわしい上品さを保つが、裾や袖口には絵の具の跡が見られる。社交の場では黒のテールコートと絹の襟付きシャツ、刺繍入りのベストを着用し、格式ある装いで伯爵の推薦を受ける画家としての体面を保つが、内心では窮屈に感じている。

性格:不遜で気難しい気質を持つ。芸術に対して絶対的な誇りを抱いており、「画家は真実を描く存在である」と固く信じている。そのため、貴族たちの理想に沿った注文を芸術への冒涜とみなし軽蔑しているが、庇護を失うことを恐れ表面上は従順を装いながらも、言葉の端々には皮肉を滲ませることがある。金銭や名声にはまったく関心を示さず、ただひたすら「対象の本質」を追い求める。その作品には外見だけでなく被写体の内面が浮かび上がるような深みがあり、その真摯な情熱が多くの人々を魅了する。また、画家としての癖から常に周囲を観察し、無意識のうちに物事の裏に隠された真実を見抜く鋭い洞察力を持っている。

備考:若年にして既に高い技術を持つ画家であり、特に肖像画の分野で名を馳せている。クラリッジ伯爵の庇護を受け、制作にかかる費用や生活の資金を得ているが、その関係には内心で反発心を抱いている。レガリア号で発生した事件では、乗客や船内を描いたスケッチが重要な手がかりとなり、持ち前の鋭い観察力を活かして捜査に協力することになる。


(/ご確認ありがとうございます。素敵なお嬢様とお会い出来ることを楽しみにしておりますね!早速画家のプロフィールを作成してまいりましたので、お時間のよろしい時にご確認いただけますと幸いです。もしお好みにそぐわない点など御座いましたら何なりとお申しつけくださいませ!その後はメインの二人以外の登場人物についてもご相談させていただきつつ詰めたいと思います…!)




6: 30195 [×]
2025-01-26 22:15:13



名前:ベアトリス・ルーナ
年齢:17
性別:女性

容姿:波立たせたマーセルウェーブの髪は肩に掛る長さ、静かな夜を照らす月のように白にも銀にも金にも光の受け方で見え方の変わる色をしている。バンビのようにくりっとした丸く大きな翡翠色の目は庇護欲を掻き立て『自分が守らなければ生きていけない』と思わせる。白い肌に薔薇色の頬、傷ひとつない透明感のある肌、長い睫毛にぷっくりと膨れた小さい作りの口、柔らかく豊満な胸元と少し控えめな臀部、コルセットが撤廃されつつある時代にも締め上げたようにキュッと括れたウエストと、まるで沢山の男性が集まって酒の肴に理想の女性を語り作り上げたような容姿。ただ誰もが皆、表皮にだけ騙されてその中に抱える『強さ』に気づいていない。ふんわりと柔らかい印象のベロア素材で作られたモーヴピンクのハイウエストのロングドレス、ドレスの色味に合わせた首飾りとイヤリング。その中でも一際きらきらと煌めくのはゴールドの髪飾り。160に届かない背丈は高いヒールの靴で取り繕っている。


性格:淑やかで遠慮深く相手を立てた振る舞いを見せる。穏やかで、感情に振り回される事がなくいつだって花がふわりと咲くように優しい微笑みを崩さない女性らしい女性だと第三者からの評価を受ける。繊細で優美な姿からは気品が感じられるがそれらは全てが自尊心を守り、未来には自立して生きたいと願いを抱え学び培った努力の賜物。忍耐強く頑固な面を隠し、強かに自立が叶う適切なタイミングを待ち望んでいる。周囲の状況や物事の理解が早く、判断力に長けているがそれが出来る女性がこの世では望まれていないという事実まで理解している。ゆえに場の空気を読みながら控えめに己の意見を通すことで出る杭にならないように判断している事を誰も知らない。

備考:所謂下層社会の親の元に生を受ける。幸運にも美しく生まれたことでメイドとして奉仕をしていた貴族からの口利きで侯爵の目に留まり愛人と言う形で上流階級へと成り上がる。侯爵の寵愛を受けると身なりはより美しく、洗練された姿に変わったが華やかな暮らしの息苦しさは彼女が思い描いていた幸せとは程遠かった。家事使用人として自らの手足を動かし過ごした『生きていた』感覚が忘れられず、かと言ってこの身分を捨てることが簡単では無いことも理解しているため今は耐えている。そんな中、侯爵がどうして資金繰りを行い繁栄しているのか隠されていた裏の顔を知り、愛は姿を消してしまった。叶うならばすぐにでも関係を切ってしまいたいと願っていた所で事件が起きる。立場上、容疑者として強い疑いを掛けられているが事実無根なので英国女性らしい自尊心を守る為にも容疑を晴らすために、有力なスケッチを持つ画家バートン氏に協力を仰ぐ。幼少期より変身願望が強く、人と接する中で彼女なら彼ならどう返すのだろうと人の内側を推測し心の内で成り代わる遊びをしていた。その結果、頭に浮かべた人物になりきる事が上手。求められる自分を演技する事が上手く、侯爵や多くの人の前では奥ゆかしく控えめに、ひとりでは生きていけない愛されるべき女性を演じている。頭の中の引き出しには過去に接してきた人が多く記憶されており、無自覚ながら人と比較して記憶力に長けている。


(/あまりにも素敵なアーサー様を前に少しでも相応しい娘を…!と頭を悩ませているうちにお時間を長く頂いてしまい申し訳御座いません!沢山お時間を頂いたにも関わらず癖の強い娘になってしまいましたので不備やご要望がありましたら伝えていただければ喜んで修正いたします…!こちらからアーサー様に修正点など全く無く、芸術家であることに誇りを持ちながらも庇護を捨てきれない人間らしさに胸を撃たれております。ベアトリスに不備が無ければメイン以外の登場人物を固めていければと…!)



7: 30194 [×]
2025-01-27 08:17:35



(/ご確認および素晴らしすぎるお嬢様のプロフィールのご提示、誠にありがとうございます!思わずうっとりするような天性の美しい御姿もさることながら、生きてきた環境や経験から得た力強さが本当に魅力的で、読み進めながら惚れ惚れしてしまいました…!男性が優位とされた時代に女としての美しさを武器に戦う賢い女性がとにかく好きでして、ベアトリス嬢のすべてが完璧に刺さりました…。理想の更に上をいく素晴らしいお嬢様をありがとうございます。設定に関しては何一つ問題ございませんので、次に他の登場人物の構築を進めさせていただければと思います。

・登場人物について
まずマストで考えておきたいのが被害者の侯爵、そして彼を取り巻くベアトリス嬢以外の身内の人間数名でしょうか。秘書や召使など同行させているかと思いますので、共通認識程度に数名程度ネームドキャラを作成しておきたいです。また、アーサーのパトロンである伯爵夫妻および伯爵家に仕える者達も登場させたく、下記に人物像を考えてみました。

・プロットについて
お恥ずかしながらミステリー要素のある交流に挑戦するのは今回が初めてでして、どのように物語のプロットを組み立てていくべきか迷っているところでございます…。全てを最初から細かく決めすぎると面白さが損なわれそうですし、かといって行き当たりばったりでは物語が破綻してしまう恐れもあるため、適度なバランスでご相談を重ねながら進めていければと考えています。
現時点で確定しているのは「航海中に侯爵が毒殺される」という事件と、「侯爵が密輸や不正取引といった裏の顔を持っていた」という二点のみです。この土台をもとに、もし面白いアイデアや取り入れたい展開などがございましたら、ぜひご提案いただけますと幸いです!)


エイドリアン・クラリッジ(伯爵)
イングランド南部ハンプシャー地方に領地を構える名家・クラリッジ伯爵家の当主。小柄で恰幅がよく、白髪混じりのブラウンの髪に切れ長の青い瞳、豊かにたくわえた口髭を持つ中高年の紳士。一見すると温和で品のある印象を受けるが、実際は狡猾で自分の利益を最優先に考える冷徹な一面を隠している。かつて隆盛を極めた当家は近年財政難に陥り、エイドリアンは家名の復興と貴族社会での地位を維持するために必死で奮闘している。王室や上流階級とのコネを活用しつつ、アートや文化的活動に力を注いでいるが、財政状況の厳しさから高額な取引や政治的駆け引きにも手を染めるなど、危険な選択を取ることも少なくない。家計を立て直す一環として、新たな商機を求めてイスタンブールを目指す。

イザベラ・クラリッジ(伯爵夫人)
フランスの名門家系に生まれ、幼い頃から豊かな教養に包まれて育った、機知に富む聡明な女性。年齢は三十代後半。若々しさと成熟した魅力を併せ持ち、漆黒に近いダークブラウンの髪を上品に結い上げ、深い緑色の瞳には知性が垣間見える。最新の流行を取り入れたパリ仕込みの装いを纏いながらも、派手さより上品さを重んじ、刺繍やレースを施したシルクのドレスを選ぶことで社交界に華を添える。夫エイドリアンの文化活動を表立って支えつつ、その真意を見抜き時に巧妙に軌道修正する冷静さを持つ。当家の財政危機を陰で支え、夫を諌める存在であると同時に、画家アーサーの才能を純粋に評価し、その援助に意義を見出している。

フレドリック・ウィンストン(執事)
クラリッジ家に長年仕える初老の執事。長身で背筋が伸びた堂々たる体格で、常に完璧にプレスされた黒の燕尾服を身にまとい、控えめながら洗練された立ち居振る舞いで周囲に安心感を与える。冷静沈着で知的であり、長年の経験に裏打ちされた実務能力と、主人に対する強い忠誠心を持つ。表情はあまり崩さず、余計な感情を表に出さない。若い頃に軍務につき、その後貴族社会での仕官経験を経てクラリッジ伯爵家に仕えるようになった。エイドリアン伯爵とは長い付き合いであり、彼の策略や冷徹さも熟知している。

エミリー・フロスト(メイド)
クラリッジ家に仕える若きメイド。二十代前半の快活でおしゃべり好きな女性。小柄で華奢ながらもしなやかな体つきで、肩甲骨まで伸びる赤毛はきっちりとまとめられている。質素ながら清楚なメイド服を着こなし、そばかすが目立つ頬には控えめな化粧を施している。明るく前向きな性格と勤勉さを兼ね備え、忙しい日々の中でもくるくるとよく働く姿が印象的。




8: 30195 [×]
2025-01-27 20:39:57



(/ご確認をありがとうございます!少しでもこの素敵な物語に相応しくなれるようにと考えた娘だったのでそのように仰って頂けてとても嬉しいです…!
そして登場人物が揃い始めることで段々と具体的になる世界観に胸のときめきが止まりません!一旦、こちらの方で構想を練ったベアトリス側のネームドキャラクターについても纏めたのでお手隙の際にご確認と、合わせて背後様の構想と違う点などが見られましたらすぐに修正を掛けますので教えていただけると嬉しいです。
表立った理由として跡継ぎを設ける為の旅行であることからモラレス夫人は同行しておらず、他には数名の召使いが付き添っているが物語には大きな影響がない存在。(大きな目的としてイスタンブールでの麻薬取引がある為、少数で無ければならない。)

プロットにつきまして、土台にある二点から暗殺を行ったのは過去に行われた裁判にて本来では有り得ない判決を下された家族がモラレス卿に恨みを持っており犯行に及んだ。(あわよくば罪をベアトリスに擦り付けることが出来る)という着地はいかがでしょうか…!同じくミステリーをベースにしたやり取りが過去に無いため有り触れた提案しか出来ずに不甲斐ないです…!)


○ギルバート・モラレス(侯爵)
モラレス卿はイングランド貴族の18代目の公爵位。広大な土地を持ち絢爛な豪邸に住まう。有能な判事として名を馳せ、積極的な慈善活動を行い中流階級からもいい噂ばかりが流れている。身分を問わずに人の気持ちに寄り添える人だと思わせる裏側では賄賂により判決を下すなど不正取引を表に出ないように上手く行っている。裏の顔を知るのは共に贅を得るモラレス夫人と秘書、残るは数えられるほど僅かな人数のみ。モラレス夫人との間に子はおらず、本来であれば跡継ぎの為にもベアトリスとの間に子を設ける為の豪華客船旅行となっていた。
30代後半で中肉中背、自慢の黒髪をオールバックにて纏め、スーツは神経質で潔癖の気が伺える少しの乱れも無く着こなしている。身分の差など無いように語るが実際には自己中であり自己保身が強く利益があるか無いかで物を考える冷徹な人間。エゴの為にしか動かず、得にならないのであれば蔑ろにし、簡単に切り捨てる人間性。
今回の行先であるトルコでは今後取引を行う予定である大麻の品質を自らの目で行うというのも目的のひとつだったらしい。

○ジョシュア・バムフォード(秘書)
モラレス家、引いてはモラレス卿の腰巾着。ほっそりとした小さい背丈でぎょろりとした目の初老男性。ずる賢く、侯爵より受けた恩恵と共にすることで今後も得る贅沢な暮らしの為ならばどんな裏工作でも行うモラレス卿の忠実な犬。跡継ぎのいないモラレス卿が暗殺された今、夫人やモラレス卿を支持している貴族の懐に入り込む為にもその犯人を見つけなければと躍起になっている。この際犯人が誰かと言うのは大きな理由ではなく、夫人と他の貴族が納得出来る結果を出せるならばそれでいい。

○メルヴィン・ワイズナー(ベアトリスの専属騎士)
下流階級の生まれだった彼女は男性顔負けに背が高く、腕っ節が立つ。彼女は女性らしくある事に違和感を感じており、平民の間で行われる騎士の真似事である剣術大会で優勝を重ねるほどの技術を持っている。整った顔立ちも中性的でハイトーンの金髪は男性のように短く纏められている。一部平民の娘には名が高い麗しの騎士も女性らしくないと言う点において異端であり、そんな彼女を専属騎士として拾い上げたのがベアトリス。世間の目に怯えず逆らい生きる姿に感銘を受けたのかもしれないし、自らには出来ないその生き方に憧れを抱いたのかもしれない。真面目で清々しいほどの騎士道精神を持つ彼女はモラレス卿からしてもベアトリスの護衛騎士として傍に置くのに都合が良い存在。
ベアトリスにとって誰よりも心を許し、現時点で支えである彼女でさえもベアトリスの強さを見抜けていない。だからこそモラレス卿を愛すベアトリス嬢が暗殺を行うはずが無いとその無実を掴むために必死である。




9: 30194 [×]
2025-01-27 22:37:05



(/キャラクターやプロットに関してご提案をありがとうございます!ベアトリス嬢もさることながら彼女を取り巻く皆様も個性豊かな魅力が際立っており、彼らが物語の中でどのように動き出すのか非常に楽しみです…!また、事件の着地点についてもご考案いただきありがとうございます。過去の事件や復讐が犯行の動機となる展開がまさにミステリーの醍醐味そのものとった感じで、非常に胸が高鳴ります!
加えて乗客の中にはモラレス侯爵と接点のある人物が多く、始めに容疑をかけられたベアトリス嬢の後にも数人の容疑者が次々と出てくる展開にできればと考えております。その一人にクラリッジ伯爵も加えたく、過去の取引に因縁を持つ設定を追々添えさせていただきたく思います。

折を見て物語を始めていきたいと思いますので、それに向けて以下に航海の概要およびスケジュール案を共有させていただきますね。事件発生は航海4日目、ジブラルタル海峡通過のタイミングにと思っております。それ以前にモラレス侯爵およびベアトリス嬢との接点を自然に描きたく、冒頭のシーンとして、アーサーが侯爵から肖像画制作を依頼され、彼の客室にてスケッチを行う場面を考えております。このシーンでベアトリス嬢が登場し、二人の初対面を描写する形で物語を始めたいと思いますが、いかがでしょうか…?)


航海概要
出航港:イギリス・サウサンプトン港
目的地:トルコ・イスタンブール
航路総距離:約3,200海里
平均航行速度:12ノット(時速22km)
航行日数:11~12日

航海スケジュール(目安)

1日目:サウサンプトン港を出航。イギリス海峡を東進し、ブレスト岬(フランス)付近を通過。

2日目:ビスケー湾を南下。スペイン北部の海岸沿いを航行。

4日目:ジブラルタル海峡通過。大西洋から地中海へ進入。

6日目:バレアレス諸島付近を通過(スペイン東部沿岸)。島々が視界に入るが停泊はなし。

8日目:シチリア海峡通過(シチリア島とチュニジアの間)。南イタリアの海岸線やエトナ山の遠景が見える。

10日目:クレタ島北側を通過。エーゲ海に入る。ギリシャ本土や小さな島々が点在する風景が広がる。

12日目:イスタンブール到着。ボスポラス海峡を通り、オスマン帝国の都に入港。




10: 30195 [×]
2025-01-27 23:41:05



(/モラレス卿と接点のある人物がレガリア号に乗っていたと言う素晴らしい設定を是非とも組み入れたく思います…!そしてその内の一人にクラリッジ伯爵!歯車が噛み合うような素敵な内容に今からどのように進むのだろうとわくわくしてしまいます。
更にはこの旅のスケジュールまで!アーサー様との初対面は是非とも丁寧に描くことが出来れば…と思っていたのでそのご提案がとても嬉しいです。これ以上の要望なんて何も出ないほどの素敵な案にぜひとも乗らせて頂きたいです!
一日目、アートに精通するクラリッジ伯爵が目をかけている画家が乗船している事を耳にしたモラレス卿が芸術文化を得意としているクラリッジ伯爵が援助する程の画家という事に興味を持ちアーサー様に肖像画を描いて貰えるように手筈を整える。
二日目、話が通りモラレス卿の客室にてアーサー様がスケッチを行う。
一日目の時点でモラレス卿より画家アーサーについての話を聞き、興味を持ったベアトリスが相席し初対面。画家アーサーに興味を抱くにあたる一番の要因だった『人の本質を描く画家』という一点に惹かれ、自らもまた描いて欲しいということを願い二日目のスケッチが終わりアーサー様が客室を後にした際に追い掛けベアトリス個人としての依頼に繋げられればと思うのですがいかがでしょうか…!実際に動かしてみると流れが変わってしまうこともあると思うので飽くまでもひとつの道筋としてご提案を失礼します…!)



11: 30195 [×]
2025-01-28 02:22:54



(/連続でのお声がけを失礼いたします…!丁寧に作り上げられた設定だからこそ、今後物語が進んでも何度だって読み返したいと言う欲のままに設定を保管する場所を僭越ながら作らせて頂きました。此方のサイトの仕様上、交流のための設定保管場所作成は問題がないとは言え、私の欲のままに勝手に作り上げてしまっているので背後様が少しでも嫌な気持ちになる場合は速やかに削除を行うつもりです!交流の中で出たプロフィールの修正だけではなく、新たにネームドキャラクターが生まれた際にも簡単に一纏めに出来ることから保管庫として活用出来れば…!と思います。その際にクラリッジ伯爵とモラレス卿の因縁についての概要を(過去の取引についてだけでも!)簡易で大丈夫ですのでサイトのDMから頂けると背後様確認が取れるので嬉しかったりします…!
いずれにしてもこの素敵な物語をより緻密に構想し共に盛り上げられれば!との思いで暴走してしまっている自覚があるので、背後様のお気持ちを第一に保管庫についてご検討頂けると嬉しいです…!
https://plus.fm-p.jp/u/voyage



12: 30194 [×]
2025-01-28 08:56:32



(/一日目~二日目の流れがすごく自然で素晴らしく、ぜひ大枠としてこちらの道筋で進めさせていただきたく思います!更に素敵な保管場所の作成までありがとうございます…!サイトデザインまで繊細で美しく、装飾と色合いに高級感があって背後様のセンスに脱帽してしまいました…。是非とも活用させてくださいませ!クラリッジ伯爵とモラレス侯爵の因縁につきまして、後ほど設定を書き起こしてDMでお送りしますね。また、次レスくらいでこちらから物語の開幕をきらせていただければと思いますので、今暫くお待ちいただければ幸いです。)




13: Arthur [×]
2025-01-28 13:00:30



(豪華客船レガリア号がサウサンプトン港を出港してから二日目の午前、船内は未だ初日特有の高揚感を引き摺っており、デッキには乗客たちの笑い声と軽快な音楽が心地よく響いていた。しかし、それらの喧噪は侯爵ギルバート・モラレスの客室には届かない。厚手のベルベット製カーテンで遮られた窓から漏れる光はわずかで、静寂を破るのは画板に固定された紙の上を鉛筆の芯が滑る音だけ。肖像画の依頼主である侯爵もまた、それに耳を澄ませるようにただじっと豪奢な肘掛け椅子に身を沈めている。堂々とした姿勢で目の前に座る彼の存在感は、あたかもその空間すべてを掌握しているかのようだ。侯爵の姿を細部まで観察し、鉛筆を握る指先に軽い汗を感じながらも、慎重に紙の上に線を重ねていく。静けさに微かな緊張が漂う中、侯爵はゆったりと背もたれに身体を預け、低く落ち着いた声で問いかけた。「調子はどうだね?バートン君。」鉛筆を持つ手を一瞬止め、静かな声で応じる)
──ええ、順調です。もう少しで全体の輪郭が取れます。


(/上記にてモラレス卿のお部屋を舞台に物語の幕を開けさせていただきました!ただいま室内ではアーサーと侯爵の二人が向かい合っている状況です。こちらにベアトリス嬢の登場を考えておりますが、流れに繋げにくいようでしたらどうぞご遠慮なくお知らせください。また、保管庫の方にもDMをお送りしておりますので、お手すきの際にご確認いただければ幸いです。)




14: Beatrice [×]
2025-01-28 13:59:29



(進んだ先により強い枷が与えられるこの旅路、賑やかで楽しげな空間は日常より切り離されている。上流階級の者だけが乗船している訳では無いと言いながらも身分によって区分される船内をモラレス卿と共に楽しんだのが一日目、その中でとても興味深い話を聞いた。モラレス卿の知人である伯爵が目をかけていると言う画家について、その画家とは肖像画を得意としており対象の真実を描くのだと言う。魔法使いでもあるまいし、皮と肉に隠された内側を見抜くことなんて出来るはずがないとそう思いながらも興味が湧いたのだ。共に過ごす時間が長い護衛騎士ですら見抜く事が出来ない己の心の一番奥を、見つけることが出来る人が存在するのだろうかと淡い期待とそれが不可能であると決めつけた強い諦めを抱えて一晩を過ごす。客室の奥に用意された寝室で身支度を整える頃には噂の画家を呼んだ約束の時間が過ぎており、スケッチが進んだ頃合にて二人が過ごす客室に姿を現すこととなり。緊張感の走る重たい空気をものともせずにふんわりと微笑みながら挨拶を添えて、侯爵の命により少し下がった場所に用意された椅子へと身を沈め)
ふふ。ごきげんよう、貴方がギルバート様を描いてくださるのね。……ギルバート様のことをいつでも感じられるだなんてとても楽しみだわ、私もお邪魔してよろしい?


(/情景の浮かぶ交流文をありがとうございます!早速ベアトリスを向わせましたが心情が多くなってしまっているので交流の中でやりにくさが出た場合は出し直しますのでお伝え下さい…!
保管庫にもお越しいただきありがとうございました!背後様の確認が取れましたので頂いたアドレスにある数字四桁を乗船チケットとしています。早速頂いた関係も掲載しておりますのでお手隙の際にご確認頂けると嬉しいです!)



15: Arthur [×]
2025-01-28 20:22:40



…………どうぞ。
(静かな部屋の中に響く規則的な鉛筆の音は、客室の奥にある扉がそっと開かれた直後に途絶えることになる。扉の開閉音に続けて優美な靴音と共に現れた少女の姿に意識を奪われ、吸い込まれるように息を呑み、手を止めたからである。白銀と金色の狭間で揺らめく髪は光を受けて輝きを帯び、繊細な曲線を伴いながら細い肩に流れ、芸術品のように整った小さい造りの顔を縁取る額飾りのよう。何より少女の瞳──翡翠を思わせる深い緑の輝きが、鮮烈に胸に刺さり呼吸を忘れさせ、彼女の形式上の問いかけに対して唾を飲み込んだ後に一言発するのがやっとだった。神話に語られる月の女神が実在したなら、きっと彼女の姿を取るのだろう。捕らわれた視線を逸らせずにいる間も侯爵はその様子を見逃さず、まるで高価な宝石でも自慢するかのように優越感をありありと湛えた笑みを浮かべている。目の前の若い男から期待通りの反応が得られてご満悦といったところか、鼻で一つ笑うと「どうした?手が止まっているようだが。」抑えられた威圧感の中にも、どこか楽しげな見下した響きが滲む。その言葉で現実に引き戻され、鉛筆を握りしめた手がかすかに震えていることに気づき、内心で舌打ちする。短く息を吸い、再び顔を上げたときには努めて冷静な表情を装い)
いえ、失礼しました侯爵様。あと少しで終わりです。


(/動いて喋っているベアトリス嬢が愛らしすぎました…!心情描写も大好物ですので全く問題ないです。乗船チケットもありがとうございます。入室確認して参りました!展開や設定の相談につきまして、あちらにご用意いただいた相談所の方を使用した方が運用しやすかったりしますでしょうか?物語の性質上ご相談の機会が多くなりそうですので、もしお借りできるのでしたらありがたい気持ちです…!
また、一点補足となりますが、アーサーがベアトリス嬢の芯の強さに気づく変化を、後の「ベアトリス嬢の個人的な肖像画作成」のシーンに持っていきたく、それまでは「見惚れるほど美しいが侯爵の愛人である以上は取るに足らない女だろう(※愛人であることには二人の空気感から自ずと気づく)」という認識で進めたいと思います。もしご不都合があればお知らせください!)




16: Beatrice [×]
2025-01-29 00:10:25



(目線の先に写る侯爵の背中をまるで存在しないかのように通り抜け、噂の才有る若き芸術家を真っ直ぐに見つめる。猫が鼠を甚振るように意地悪な楽しみ方をする侯爵の声さえ気に留める余裕が無いほど、アート文化で名を馳せるクラリッジ伯爵が贔屓にする画家に興味を抱くばかり。紙の上を鉛筆が走るカリカリと言う静かな音を心地の良い環境音にしながら、ただ少しのよそ見さえもせずにその姿を見つめるだけ。黙っている顔にも愛嬌のある穏やかな微笑みを蓄えつつ、思っていたよりもずっと若いその姿を目に焼きつける。そうだ、鉛筆を走らせる画家はどう見ても至って普通の男性で、魔法が使えるようには見えない。では彼はいま間にいるこの男の本性を、その真実を見抜いているのか?見抜いていたとしてもそれを使うことが正しい事だとは思えない。そうであれば彼がそのヒヨドリのようなブルーグレーの瞳を通して書き残したスケッチは、誰の目にも止まらずに無かった物になるのだろうと頬笑みを浮かべていた小さな唇からほんの僅かに小さく溜息に似た吐息がこぼれ落ちた。ここまでを前提としてこれから行うのはある種の試し行為である。侯爵への愛を唱えるように求めるのは彼が持つスケッチブックの中に有るだろう特別な一枚で。)
Mr.アーサー、スケッチは一枚だけ?…もし複数あるならクロッキーでもいいの、使わないものを一枚私に頂けないかしら。──”Mr.アーサー”が描く”ギルバート様”を。


(/そのように仰って頂けてとても光栄です…!間にモラレス侯爵を挟むからこそ漂う緊張感の中のアーサー様も、垣間見えるアーサー様らしさも、そのどちらもが人間的ですっかり心を掴まれています…!もっともっと見ていたくなっています。
そして相談所について、是非ともお気軽にご利用ください!こちらだと修正点があった際に送り直す他叶わないのでもっと気軽に相談や提案がしやすくなるかなと用意したので…!こまめに確認するようにしますが、もし気づいていなければこちらにでも更新した旨を一筆入れて頂ければすぐに確認いたします!(同じく更新した際には伝えさせてください…!)
補足もありがとうございます。勝手ながら同じように考えていたので解釈一致で嬉しいです…!どうぞそのままの認識でお願いいたします!)




17: Arthur [×]
2025-01-29 09:57:39



(作業に戻った後も依然として収まらない胸のざわつきを表に出さないよう心がける。先程の侯爵の態度、ふとした折に少女へ向ける目線、そして彼女が“ギルバート様”と親密に呼ぶ甘やかな声音。今朝方メイドのエミリーが興奮気味に話していた姿が脳裏をよぎる。“ねえ、モラレス夫人を見た?とってもお若くて美しい方なんですって!昨晩からその噂で持ちきりなのよ”──夫人?馬鹿な。あれはどう見ても妾だ。得体の知れない苛立ちが頭を擡げるのを理性で押し込める。何が気に食わないのか自分でも分からないが、この場に長く留まりたくはない。その思いが焦りへと変わり無意識に手の動きを速める中、少女の声が届き、鉛筆を持つ手が再び止まった。その要求には単なる好奇心や軽い興味以上に、どこか挑発的な響きを孕むようにも思えたが、彼女の微笑の奥に潜む真意は読み取れない。ちらりと侯爵に視線をやれば「すまないね。聞いてやってくれるかい。」戯れのように楽しげに笑う彼に短く頷き、スケッチブックを手に取った。構図の打ち合わせをしながら何枚か描いたうち、最初の方の“出来の悪い”もの──この部屋を訪れる前に伯爵から受けた忠告、“君に求められているのは侯爵の偉大さをそのまま表現することだ。威厳を損ねるような解釈は避けるべきだろう。君の本能に従うのは構わないが、どうか今回だけは控えめに頼むよ。”その言葉に背く、どうせ作品には使えない一枚を無造作に破り取り、少女の前へ歩み寄ってそれを差し出す。取るに足らぬ愛妾ごときに、この絵に秘められたものを見抜けるはずがないと高を括ったからだ。そこには一見すれば端整で優雅な、貴族らしい余裕を湛えた侯爵像が描かれているのだから。)
ご期待に添えるかわかりませんが…どうぞ、こちらで構いませんか?


(/お褒めのお言葉とても嬉しいです…!三人の間に漂う独特の空気感がとても楽しいです~。そして先へ繋げやすい流れにも感謝しきりです。
相談所につきましても承知しました。直近の展開の相談はこちらで、あちらは少し先の展開の相談や設定を見直す際などに使わせていただきたく思います!こちらでも更新の旨ご報告しますね。
補足についてもご確認ありがとうございます、解釈一致で安心いたしました!他、特に直近の確認事項が無ければ一旦背後は退こうと思いますが、いかがでしょうか?)




18: Beatrice [×]
2025-01-29 19:30:35



突然の我儘ですのに、優しさに感謝します。……。
(他の画家では意味が無い、真実を大事にすると名が高い画家アーサーの手に掛る作品だからこそこの目で拝見したい。その意味を持つ何処まで伝える事が出来たかはわからないがモラレス侯爵の後押しもあり、スケッチブックから一枚の切り抜きを貰うことに成功した。強請る作品が差し出されるとあどけなく朗らかに笑って見せて、指先が紙に触れれば鉛筆が濃淡を残しやすいように凸凹とした紙の質感をそぉっと撫でた。そうして満を持して手の内の紙面に翡翠の色を向ける。描かれるモラレス侯爵は、真実を描く画家の目にはどのように写るのか。きっと当たり障りのない作品がここにある筈だと、斜に構えてしまっていたのは隠しようのない事実。そうなのだ、もしここに描かれるモラレス侯爵が威厳がありボランティアに精を出す良い人だと描かれていたとしても落ち込む必要は無い。なぜならば目の前の侯爵は不利益を被った事がある貴族でなければ裏の顔を気づきようが無いほど上手に尾を隠す男なのだから。長い睫毛が顔に影を作るほど下を向き、食い入るように一枚の紙に向き合うこととなったのは声一つ上げられないほどの衝撃を受けたからだった。威風堂々としたモラレス侯爵、その顔は端整そのものだが刻まれる皺には悪事を働いてきた者に浮かぶ意地の悪さが。鋭い眼光のその奥には弱い者を喰らう狡猾さが。一枚の下描きには、下書きだからこそ浮かぶ躊躇いの真実が線となり遠くに残っていた。噂が事実だとこれ以上無く教え込まれると大きな目はより一層開かれて、魔法に触れた時のように目の前の画家に向けられた。そこには先の軽い好奇心ではなく、彼ならば本来の私のことも気づいてくれるのだろうか、と。そんな淡い期待を持ってしまうほど心を強く動かされたらしい。)
ギルバート様、Mr.アーサーは素晴らしい画家ですわ。『ギルバート様』を描くのにこれほどまでの目を持ち合わせている者が他にいるとは思えません。


(/丁寧なご確認をありがとうございます!少しの不安も無いくらい丁寧に相談に乗って頂けて有難い限りです…!それでは同様に一旦背後は下がらせて頂きますが何かありましたらいつでもお呼び立て下さいませ!それでは改めましてどうぞ宜しくお願いいたします!)




19: Arthur [×]
2025-01-29 20:49:07



……それは、とても……光栄です。
(少女の瞳がスケッチに吸い寄せられるように見開かれ、何かを悟ったかのようにわずかに揺らいだその反応を捉え、一瞬だけ眉をひそめる──まさか。いや、それはあり得ない。もし筆致の奥底に刻まれた“何か”を感じ取ったのだとしたら、侯爵の寵愛を受ける彼女がその内容を快く思うはずがないのだ。本当に理解しているわけがない。そう自分に言い聞かせるが、それでも彼女の眼差しに浮かぶ喜びと感嘆、そしてその奥で微かにきらめく“期待”の色を見逃すことは難しかった。どこか含みを帯びた賞賛の言葉に対し、不器用に一言だけ謝意を伝えながら逃げるように目を逸らす。少女の言葉を受け、侯爵は何の疑念も抱かぬまま朗らかに笑い「ああ、知っているとも。だからこそ、こうして私の肖像画を頼んだのだよ」と腕を広げて満足げに言い放った。そしてこちらに顔を向け「下絵はもう仕上がったかね?」と尋ねてきたので、少女の視線を振り払うように画架の前へと戻り、椅子に腰を落ち着けると浅く息を吐き、ほとんど工程の完了が見えている肖像画の下絵と向き合いながら短く答える)
最後の仕上げにかかっていますので、もう少しだけお待ちください。




20: Beatrice [×]
2025-01-30 00:03:46



(きっと侯爵は言葉の意味に気づいていない。見たいようにしか物を見ることが出来ない彼は誇らしげに腕を広げながらも画家が描くものの価値を知ることがないのだと哀れにすら感じてしまう。確固たる自信なんてものは無いけれど、画家と己の間には思う所があり、それを探っている事だって侯爵は知る由もないのだ。ちょっとだけ顎を引いて息を凝らしてじっと見つめるのは依然として彼の姿だが、今までよりもずっと注目している。それから脳内では記憶の引き出しを開き、聞き齧った噂話を掻き集める。名をアーサー・バートン。見た目から伺うと二十代中半で芸術家としては若くに名を馳せている。それがクラリッジ伯爵の庇護が有るからではなく紛うことなき実力からだと言うのは今まさに突き付けられた。考えを巡らせていれば再び黒鉛が紙の上を走る音がする、カリカリと静かな音が部屋の中に控えめに広がるのを聞きながら今度はもう一度受け取ったスケッチに目を下ろし。そこに描かれるモラレス侯爵を見るとつい無邪気に声を上げて笑ってしまいそうになった。頬の内側の肉を僅かに噛み締めてそうならないように堪えていればスケッチは終わるだろうか。侯爵にとって自慢の飾りとして静かに微笑んで座っていたが、彼が完成を知らせてくれたならば彼が客室を後にする前に立ち上がり見送りを申し出よう。少しだけでいい、彼と話がしたいと心が踊ってしまったのだから。ふわりと微笑みながら伝えるのは飽くまでもモラレス侯爵のスケッチが嬉しくて堪らないからだと作った理由を、発言通りに受け取ったスケッチを両手にてしっかりと手にして)
ギルバート様、私Mr.アーサーをお見送りいたしますわ。とても素敵なプレゼントを頂いたんですもの、──それほどまでに嬉しいの。




21: Arthur [×]
2025-01-30 08:06:53



下絵はこれで完成です。──本制作は帰国後に取りかかりますので、完成には最短でも一カ月ほどかかるかと…詳細は伯爵を通じて改めてご連絡します。
(僅かな迷いもない手つきで最後の線を整え終えると、立ち上がりざまに画架を回しモラレス侯爵の方へ向けて仕上がりの確認を求める。肘掛け椅子に深く身を預けていた侯爵は片肘を乗せたまま微かに顎を上げ、やがて優雅な動作で立ち上がるとスケッチに視線を落とした。短い静寂の後、「──悪くない。」低く抑えられた声が室内に響き、伸ばされた指先が画板の端を軽く叩く。「思った以上に特徴を捉えているな。特に目のあたりが良い。よく観察している。だが、本物はここにいるのだから、あまり過度に美化しないようにしてくれたまえよ。」彼は愉快げに笑ったが、こちらは軽く会釈を返すに留めて静かに筆箱の蓋を閉じた。こういう人物に対して余計な反応を示せば、それすらも娯楽の材料にされかねない。手際よく画材を片付け、スケッチを保護用の封筒に慎重に収めていると、少女が見送りを申し出た。わざわざ見送るほどのことでもないだろうと思う間もなく、侯爵も気軽に承諾し、絵のモデルに疲れたのか「私は少し休ませてもらおう」と言い残して奥の部屋へと姿を消した。彼の背を見送りながら、侯爵と対面していた時とはまた異なる類の、出どころ不詳の居心地の悪さが沸き上がるのを感じ、画架と画材を両腕に抱えながら少しだけ早口に)
部屋の外までは結構ですから。その、絵…喜んでいただけて何よりです。




22: Beatrice [×]
2025-01-30 11:59:19



…………、そう仰らないで。Mr.アーサー、──ギルバート様よりお見送りの許しを得たのだから、感謝の気持ちを伝えさせて欲しいの。
(重々しく圧倒的な存在感を放つ故に威圧こそしてしまうが、モラレス侯爵という男は貴族ながらに好意的な接し方をしてみせる人だ。そんな侯爵が小粋な冗句を残す姿だけを見るなら身分の隔たりを感じさせない善い人だと今でもそう思っていたのかもしれないと目尻を少しだけ細くする。そんな表情さえも猫が太陽の暖かい陽を受けて微睡む穏やかな顔に見えるのだから、得な物だと自覚がある故により細くなり。直前の短いやり取りから伺えるのは、侯爵は彼女が異性と二人きりになる事に不安を持たない程度には(自らと伯爵家専属の画家を天秤に乗せて恐れを抱く必要も無いと至ったのかもしれない)特別に可愛がり見返りの愛を受けているという事実でありそれが正に寵愛を受ける愛人だと言うことが垣間見えた。侯爵が姿を消せば穏やかな微笑みを浮かべながら当たり障りの無い言葉を選び、居心地の悪そうな彼に気づきながらも引き留めるための言葉が口をつき。本題に入りたい気持ちを押さえ込みながら部屋の外へ誘導すると、それは無意識にも少しだけ急かすようにも感じられて。荷物のひとつでも持つのを手伝う事は叶わないけれど、控えめに並べば顔覗く。視線を交わす為、二つの翡翠は余所見をせずに水光を蓄えるブルーグレーに注目して)
Mr.アーサーは伺っていたお話よりも、ずっと素晴らしい目をお持ちなのね。……失礼、お伝えしたい感想は沢山あるのよ。でもここで話していてはギルバート様が休まらないわ




23: Arthur [×]
2025-01-30 15:50:26



(どうしても感謝を伝えたいのだと、まるで貴重な宝物でも授かったかのような喜びを向けられては、たかが試し描きの一枚に過ぎぬスケッチにそこまで価値を見出すものかといささか大袈裟に思えてしまう。しかしその反応こそが、この娘がモラレス侯爵という男を心の底から敬愛している何よりの証左なのだろう。先ほどスケッチを見せた際に彼女が浮かべた一瞬の表情、そこに覚えた違和感など、きっと勘違いに過ぎないのだ。今更あの反応の真意をもう一度確かめたいとは思わないし、そもそも妾とのお喋りなど長引かせる理由もないのだから、さっさと切り上げてこの場を辞したい。そう結論づけたというのに、促されるまま部屋を出た途端、澄んだ翠玉の瞳に覗き込まれ、視線を絡め取られて逃げ場を失う。──あまりに厄介だ。もし彼女がもう少し凡庸な女であったならば、言葉を交わす間のわずかな沈黙すらも息苦しく感じることなど無かっただろう。意識しないようにと努めるほど速まる鼓動を悟らせぬよう、ほんの少し目を伏せて。感情の滲む隙を作らぬようできる限り抑揚を削ぎ落とした声で、伝わらないことが前提の皮肉を織り交ぜた薄っぺらな言葉を紡ぎながらも、心のどこかで彼女の瞳がどう揺れるかを無意識に待つ自分がいた。)
それはどうも…。御主人の“威厳”や”品格”を損なわずに描けていたのであれば、画家としての役目は果たせたということでしょう。モラレス卿ほど高潔で慈悲深い御方は他におりませんから。……ご感想は、もう身に余るほど頂きましたので。




24: Beatrice [×]
2025-01-30 17:51:48



単刀直入にお話するわ。……貫禄と威厳、横暴と傲慢。Mr.アーサーが描きたいのはどちら?
(部屋を出れば誰についてを話しているかを誤魔化すことは容易い。交わしたはずの視線は逃げるようにずれてしまうがお構い無しに穏やかに微笑んで。このように邪魔が入らず会話が出来るのは短い間だと承知のこと、誰の事とは言葉にせずに似て非なるものを並べて直接的な質問を刺すように送る。芸術に真摯であると名高い彼が生きるために自尊心を折り曲げて作品に向き合うのだと言う事は理解が及ぶ。それでも彼自身が本当に描きたいものは接待の為の作品では無いはずなのだと期待を込めたその質問への答えを待つ間にも時間は過ぎてしまうのだ。意志を固めるように小さな作りの唇に力を込めればきゅっと閉じてからもう一度呼びかけ、続ける要望は他の誰もが未だ見抜いたことの無いただのベアトリス個人のことを見つけて欲しいと願うようでもあり。タイミングを見計らい流されるまま生きてきたベアトリスにとって、衝動的に動くこの一歩はとても大きく緊張するものらしい。それでも諦めきれずに交渉にもならない不慣れな申し出を口にして)
Mr.アーサーに依頼を出します。畏まった作品じゃなくていいの、貴方が見たままの私を、私だけの肖像画を描いて頂けないかしら。……頂いた暁には他の誰にも見せないわ。




25: Arthur [×]
2025-01-30 19:41:49



──!
(穏やかな微笑みを湛えながら紡がれたはずの言葉は、まるで巧妙に隠された刃のように鋭く頭を貫き、思わず目を見開いて彼女を捉えた。あのスケッチを見せた瞬間に揺らいだ瞳、その一瞬の変化を見逃すべきではなかったのだと、今さらながらに理解する。そこに宿っていたのは単なる驚きではなく、絵の奥に秘めた意図を見抜いた者の確信だったのだ。彼女へ抱いていた印象が音を立てて覆る。欺瞞にまみれた侯爵の寵愛を享受し、贅を尽くして生きる愚かな妾など存在しなかった。二つの翡翠の瞳はただ人の目を歓ばせるだけの美しい宝石ではなかった。外面的な美貌にばかり気を取られていた己の愚かしさが、今となっては滑稽にすら思える。言葉を探し思考が彷徨ううちに彼女は再び口を開いたが、今度の声は先ほどまでの優雅な響きを纏ったものではなく、少女らしい不安がかすかに滲むものだった。彼女が求めるものは単なる肖像画には収まりきらない、もっと切実で、もっと重要な意味を持つもの。それがどれほど大胆な依頼であるかは理解に容易く、軽々しく応じるべきでないことは明白で、だからこそ、それは誰の目にも触れぬよう秘密裏に行われるべきだと思った。断る選択肢がまるで存在しないことには自分でも気が付かない。紅茶の香りを漂わせる貴婦人たちが談笑しながら横を通り過ぎるのを待ち、周囲に耳を傾ける者はいないと確かめると、了承の言葉の代わりに声を潜めて囁く)
…抜け出せる時間は?




26: Beatrice [×]
2025-01-30 21:24:02



(緊張感がそうさせるのか、微弱な電気を浴びるようにピリピリと指先に痺れを覚える。そんな手のひらを握ると手に汗を感じて、返事を待つ間のたった数十秒を永遠のように待って。低過ぎず高過ぎない聞き取りやすい落ち着いた声が、突拍子のない損こそあれ得のない依頼を受けた事を教えてくれた。囁く声は周囲の賑わいと切り離された世界の演出のようで、それさえもが嬉しくなってしまった。個では何も持たない無力な女が踏み出した小さな一歩を認められた気がして、不安に揺らいだ目には喜びによる輝きが浮かび煌めいて。頭の中では抜け出して問題のない時間帯を組み立て、三日目に当たる明日の同時間にはモラレス侯爵が「仕事」の話があり夕方頃まで戻る事が出来ないと話していたこと。船の中、カフェで海を見ながら紅茶を楽しむのでも、護衛騎士を連れて食事を楽しむのでも、羽目を外さないのであれば何をしてもいいと許しを得た時間を思い出す。小さな一歩は己にとって大きい一歩であり、その踏み出しを成功させたことでより勇気に繋がったらしい。飾りのような笑みではなく幾許か年相応に無邪気な雰囲気で微笑んで、無謀な依頼を受けてくれた優しき芸術家へ感謝を伝えて)
明日、今日と同じ時間から二時間ほど。───Mr.アーサーへ心からの感謝を送ります。……ありがとう。




27: Arthur [×]
2025-01-30 22:55:26



その時間に後部デッキに来てくれ。できればあまり派手ではなくて、目立たない…地味な格好で。
(今日と同じ時間、二時間ほど。恐らくそれが侯爵が用事で不在となる時間帯なのだろう。依然として声量を落とし、待ち合わせ場所に船尾側のデッキを指定したのは、甲板下階の二等客室に用意された自室に彼女を招くためだ。人目に触れず二人きりで絵を描ける場所という条件においては、他に思い当たる適当な場所がなく、迷う余地はなかった。もし誰かに知られるようなことがあれば間違いなく大きな問題になるだろうが、しかしリスクと引き換えにしてでも、描きたいと思う衝動を無視することなどできない。それから彼女が身に着ける華やかなドレスを見下ろし、これは無理な要求かもしれないと懸念しながらも服装について注文を追加する。今この瞬間、つい先程まで壁を隔てるように堅苦しくしていた言葉遣いが解けていることに自覚は無い。彼女の内から溢れるようなあどけない微笑みを向けられたとき、それが初めて見る笑顔のように感じて胸の中に心地好いざわめきが生じた。気恥ずかしさを隠すために感謝の言葉を素直に受け取ることなく、そして敬称を口にしかけた時、ようやく彼女の名前をまだ知らないことに思い至り)
その言葉は貴女の望むものが描けた時に聞かせて欲しい、Ms.……




28: Beatrice [×]
2025-01-31 11:42:12



Mr.アーサーの仰る通りに。………申し遅れました、私はベアトリス・ルーナ。
(指定された場所は十日弱の船旅でも立入る事は無かったであろう場所。そして服装の指定がどのような意味を持っていての事かを理解すれば、侯爵が渡す報酬とは天と地の差だろう何も持たない女からの突発的な依頼に対して真剣に向き合ってくれていると感じる。彼の中でどのような意識変化が合ったのかまで見抜くことは出来ないが、僅かに砕けた話し方に気がついた。スケッチブックに向けて伏せられた目元が印象強い彼が、ハイリスクで殆ど見返りのない依頼に対して誠実に向き合う真剣な目の色に心が揺れる。途端、先の事をこうも楽しみになる忘れていた感覚に心を踊らせて喜色に染まる口角を下げることが出来なくなってしまった。そこに照れ隠しが有るとは思わず、言い濁された彼の声に同様に今更ながら気がついたと瞬きを行って。凛と澄ました声で名を伝え、彼の表情や雰囲気より推測を行いながら自らの身分も明かして)
……察しているでしょうけど、モラレス婦人では無いわ。




29: Arthur [×]
2025-01-31 20:28:17



……それでは私はこれで失礼します、Ms.ルーナ。良い午後を。……また明日
(聞いたばかりの彼女の名を、声には出さず心の内で反芻する。ベアトリス・ルーナ。詩の一節のように美しく夜空を連想させる響きだが、今、目の前の少女の微笑みは夜の静謐とは対照的に、柔らかく、躊躇いもなく、無邪気な輝きを帯びていた。最後に添えられた言葉には胸中に微かな気まずさが走る。そう、彼女の言う通りその素性に予想がついていたからこそ意識的に距離をはかった態度を取っていたのだ。ばつが悪いのが顔に表れるのを咳払い一つで誤魔化して、画架と画材を抱え直し、ぎこちない仕草で軽く会釈をする。誰に聞こえても構わない社交辞令としての短い挨拶に加え、最後の一言は彼女の耳にだけ届くよう小声で言い残し、静かにその場を後にした。──自室に向かって船内を歩く間、彼女の言葉を何度も思い出す。“ありのままを描いてほしい”、そう望む人間は少ない。肖像画というのはしばしば虚飾に彩られるものであり、美を際立たせ、醜さを消し、見る者の目を楽しませる。しかし自分の筆は望まれぬものまで暴き出してしまうから、伯爵の意向や社交界のしがらみによって、その本質を適度に覆い隠す術を身につけてきたのだ。だが彼女は違った。この手が何を描き出すかすら厭わずに、ありのままを描くことを求めた。胸の奥に熱が灯るのを感じる。まるで抑圧され続けてきた本能の解放を赦されたかのように。──廊下を進む途中、偶然出くわしたエミリーが「モラレス侯爵のお部屋に行ったんでしょう?夫人にはお会いした?」と声を弾ませながら後をついてきたが、一瞥もくれず「会ってない」とだけ淡々と返して客室に戻った。事実、“モラレス夫人”には本当に一度も会ったことがないのだから嘘はついていない筈である。)


(/お世話になっております。とても素敵な出会いの一幕をありがとうございました!そろそろ場面転換の頃合いかと思いまして、背後よりお声がけさせていただいた次第です。移行先の場面としては翌日の約束のお時間でも、2日目のうちに挟んでおきたい描写がありましたらそれでも大丈夫です!ご希望がございましたらお申しつけください。)




30: Beatrice [×]
2025-02-01 12:08:04



(煌めく宝石を最小限に抑え、ダスティピンクのデイドレスを纏ったベアトリスは、昨日の姿とは一転して随分と落ち着いた印象を与えていた。その控えめな装いではあるものの、選び抜かれた生地の質感が一目で伝わり、見る者が見ればその高価さを即座に理解することだろう。事前に伝えられた場所に向かう中で、無理な依頼に応えてくれた優しき芸術家への感謝を胸に、遅れることは許されないと自らに言い聞かせながら、少しばかり早く到着し、ほっと息をついた。デッキに立つと、海風が髪を優しく揺らし、涼やかな眼差しで穏やかに波打つ海を見つめる。侯爵の前では常に麗しさを振りまき気立ての良さを示し、時に甘えるような雰囲気を漂わせていたが、今、ここにはそのような姿は微塵もない。そわつくように周囲に気を配り、控えめに足元を見つめるその姿には一人で行動することへの高揚感と共に、ふとした不安も交錯しているのが感じられる。心の天秤が不安の方に傾き始めると、ふと頭に浮かぶのは、昨日何度も何度も目を通した彼の作品だった。彼の目を通して、もし自分らしい自分を取り戻せるのであればそれがどれほど心強いものだろうと、胸が熱くなる。そして、時間はあっという間に過ぎようやく彼の姿を見つけた時、澄ました表情のまま、伏せられた双眸に穏やかな輝きが宿るのを感じて。)
───!

(/お世話になっております!実際に動きお話されるアーサー様の姿を間近で見ることが出来てとても嬉しいです…!早速では有りますが二日目まで時間を飛ばして交流文を投げさせて頂きます。もし伝わりにくい、読み取りづらいなど展開を広げにくい箇所など有りましたら遠慮なく教えてくださいませ…!)




31: Arthur [×]
2025-02-01 19:18:21



(約束の時間にデッキへ足を運ぶと、潮の香りを含んだ爽やかな風が吹き抜けた。船の巨大なスクリューが吐き出す白波が後方へ引きちぎられるように伸び、陽光を受けて砕け、きらめきながら海へと消えていく。手すりのそばでは葉巻を片手に談笑する紳士たちや、サロンの喧騒を逃れ静けさを求める貴婦人たちが控えめな社交を繰り広げ、その風景を横目に目的の人物を探した。程なくして見つかった彼女は指定通り華美なドレスは避けてくれたようだが、それでも否応なく人の目を引く。白銀と金を織り交ぜた髪は日差しの下で眩く揺らめき、薄桃色の影を帯びたドレスは空と海の青に映え、彼女の存在を際立たせるように思えた。少し離れた場所で二人組の紳士が彼女を見ながら何かを囁き、興味を滲ませて歩み寄るのが目に入る。彼らの意図を測るまでもなく反射的に足を速めると、潮風が頬をかすめて靴音が硬い甲板に鋭く響き、彼女の前に立ったときには既にその手首を掴んでいた。)
待たせました、Ms.ルーナ。こっちへ。


(/こちらこそ、日々愛らしいベアトリス嬢とのやり取りを楽しませていただいております!場面転換後の交流文もありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします!また、日毎の出来事を下記の通り航海日誌としてまとめておきたいと思います。事件発生後の状況整理などにも活用できたらと考えております…!)


航海日誌

1日目
豪華客船レガリア号は、サウサンプトン港を華々しく出航。船はイギリス海峡を東へ進み、フランスのブレスト岬沖を通過する。
ギルバート・モラレス侯爵は、同船していたクラリッジ伯爵付きの画家アーサー・バートンの存在を知る。彼の画才を聞き及んでいた侯爵は、自らの肖像画制作を依頼した。

2日目
午前、モラレス侯爵の客室にて、アーサーは肖像画のための下絵を描く。その場には、侯爵の愛人ベアトリス・ルーナも同席していた。
アーサーの絵が持つ「対象の奥深い本質を捉える力」に強く惹かれたベアトリスは、彼に密かに自身の肖像画を依頼。二人は翌日の同時刻、誰にも知られぬようスケッチを行う約束を交わした。




32: Beatrice [×]
2025-02-01 21:12:01




──今日をとても楽しみにしていたの。会えて嬉しいわ。……Mr.アーサー、えぇと。
(足早に近づく靴音が響く中で彼の姿を見た瞬間、安堵の表情を浮かべる。短い時間の接触ではあったが昨日対面した彼が、決して約束を破るような酷い男には見えなかった。それでも、多くを考えた後に冷静にリスクの大きさを客観的に見れば、手を引くことも十分にあり得たはずだった。だからこそ今ここに彼がいてくれるという事実がとても嬉しく、胸がきゅっと高鳴る。自然と口をついて出た言葉は今の気持ちそのままであり、照れ隠しせずに素直に伝えた。それから少しの間、顔を上げたまま視線だけで手首に感じる力強さを示し、困惑の色を浮かべて眉をわずかに垂らしながら言葉を濁すこととなり。昨日、鉛筆を握っていたその手は指先が長く美しい手だと思っていた。けれど今、手首を掴んでいるその手は記憶の中よりもずっと大きく男らしくて、予想外の力強さに心臓がどきんと高鳴る。驚くと共にその気持ちを誤魔化すようにもう片方の手をそっと彼の手に重ねながら、少しだけ声を低く、潜めた声量で伝えて)
………そのように掴まれたら、痛いわ。

(/航海日誌!何から何までありがとうございます…!!後ほど保管ページに追記させて頂きます!振り返りがしやすくなるので本当に有難いです。それでは引き続きよろしくお願いいたします!)




33: Arthur [×]
2025-02-02 00:05:08



…!失礼。…こちらこそ、お会いできて光栄です。
(細い手首を咄嗟に掴んだ手の上から控えめにもう片方の手を添えられ、繊細な体温を感じると同時に我に返り、力を緩めて手を放す。喉の奥にわずかに引っかかるものを感じつつ短く一言謝り、それから視線をちらりと横に流して、先ほどの紳士たちがこちらの行動を観察したのち、踵を返してその場を去るのを見届けた。少しだけ肩の力を抜いたものの、まだ安心はできない。敢えて社交の場に相応しい口振りで挨拶を返しながらも、その言葉とは裏腹に、早くこの場を離れたいという焦燥が胸の内を突いていた。周囲の視線がひとつでも増えれば、それだけこの密会が露見する危険も増す──考えるほどに落ち着かなくなり、声量を抑え手短に移動先を伝えて。彼女が迷うことなくついてくるのを確認できたなら、デッキの喧騒から離れ、二等客室の階へと続く階段へ向かうだろう。)
……下の階に。


(ご確認ありがとうございます!そう仰っていただけて良かったです…!お手数をお掛けしてしまいますが、保管庫への転記をよろしくお願いします。それでは背後はまた引っ込ませていただきますので、何かありましたらいつでもお呼びくださいませ!※こちらご返信はお構いなくです)




34: Beatrice [×]
2025-02-02 17:15:45



(伝えられた行先をそのままの意味で受け取るならば、理解することはできる。しかし向かうまでにどう進むのか見当がつかずに浮かぶ不安も、彼が先に歩みを進めてくれることで次第に薄れていき。彼の背中を追いかけて置いていかれることのないようにと、少しでもその距離を縮めるように足を速めて。落ち着いた喧騒から逃れるみたいに階段を急ぎつつ降りるその足音が、軽やかに”タンタンタン”と響き渡る。それはまるで世間から切り取られたようなこの空間で二人だけが知る秘密の時間にも思え、同じように胸が高鳴るほどの楽しさを感じさせてくれた。行き先が分からないことも今となっては大きな不安ではなく、先程までは雲に包まれていたように漠然と抱いていた不安も彼が一緒にいてくれるだけで次への期待に変わっていた。そうしてたどり着いた二等客室のフロアで周囲を見渡しながら今この場所がどこであるのかをゆっくりと悟り、どこか懐かしさすら感じる馴染みのある空気に無自覚にも微笑みが浮かんで。先を進んでくれる背中に目を向けて呼びかけるように彼の名を口にし、それから最後に続けるのは少し遅すぎるかもしれない問いかけで。)
Mr.アーサー、……向かっているのは、どこ?




35: Arthur [×]
2025-02-03 01:00:22



足元に気をつけて。
(デッキを離れると潮風が途切れ、代わりに船内独特の静かな圧迫感が広がった。船の奥から響く機関の低いうなりが壁を伝い、床を這うように微細な振動を送り込んでくる。背後に声をかけつつ一定のリズムで階段を下り、階下に降り立つとそのまま長い通路を進んでいく。両側に規則正しく並ぶ客室の扉はどれも同じ深い木目の装飾が施されており、一等客室のような華美な意匠こそないものの、整然とした実用本位の落ち着きを備えている。黙々と歩を進め、やがて自室の前に到着する頃、背後から尋ねられてようやく肝心の行先をまだ伝えていなかったことを思い出した。「自分の客室だ」と言いかけた口を一度噤む。我ながら呆れるほど今更ではあるが、女性であるベアトリスを唐突に自室へ招き入れる行為は、或いはとても軽率で無神経な行いではなかろうか。第三者に見られる心配が及ばない場所を選択したつもりで、当然他意は無いが、彼女の気持ちを慮るべきだったかもしれない。以前、社交の場での失敗後に伯爵夫人から釘を刺された記憶が蘇る。“貴方は絵以外のことには木のように鈍感なのよね。女性の気持ちにはもう少し注意を払うべきではなくて?”──あの言葉を適当に受け流すべきではなかったと、この場で反省しても遅い。実際に見て貰った方が判断も容易いだろうと、ポケットから鍵を取り出して鍵穴に差し込み、手首を捻る。カチリと鈍い音が響いた後に扉を押し開けば、薄暗い簡素な室内には折り畳まれた画架に画材の詰め込まれた木箱、開きっぱなしのスケッチブックなど、自身の気配を色濃く宿した空間が広がっている。それらを確認したであろう彼女の表情を窺うように視線を向け、言い訳でもするように口籠り)
……ここなら誰にも見られずに済むかと……、……気が進まないなら他の場所でも。




36: Beatrice [×]
2025-02-03 20:52:45



(一室の前でふと足を止められた。先ほど投げかけた問いに対して、わずかに逡巡を滲ませながら言葉を選ぶ彼。その姿に睫毛がそっと揺れるような静かな瞬きを返すして。懸命に言葉を紡ごうとする様子とどこか気まずそうな眼差しに気がつくと、この場に相応しくないと分かっていながらもどうしようもなく愛らしく思えてしまい。そうなれば自然と微笑みがこぼれ、ふふ、と柔らかく綻ぶように笑い声をこぼし、バツの悪そうな彼とは対照的に、にこにこと微笑みを浮かべ。行き先が明確になったその瞬間、驚きがなかったと言えば嘘になる。それでも作品に対して真摯でひたむきな彼が不純な動機を抱いているとは到底思えなかった。一般論としてそう映るのかもしれないと、今この瞬間になって気づいてしまったと言葉なく伝わる彼の様子に自らの考えが間違っていないと確信できた。そして開かれた扉の先を覗いた瞬間?? 目に飛び込んできたのはまるで別世界に迷い込んだかのような光景だった。そこかしこに広がる画材の数々と、開かれたままのスケッチブック、それらが醸し出す空気に胸がくすぐられるような感覚を覚えずにはいられなかった。湧き上がる好奇心を前にこの場を断る理由などあるはずもなく、感謝の言葉とともに答えを返して。)
場所を提供してくれてありがとう。……この香り、──画材の匂い? 素敵ね。この空間には、まるで芸術家アーサーの魂が満ちているみたい




37: Arthur [×]
2025-02-03 22:50:37



(反応を待つ間は無意識のうちに下唇を浅く噛み、些細な仕草で気持ちを誤魔化した。やがて口を開いた彼女の声音と微笑みは静かに室内に溶け込み、その言葉にはこちらの躊躇いを見抜いたような気配がありながら、それをからかうでもなく、ただ穏やかに受け入れてくれるようだった。その柔らかな余韻が妙にくすぐったく、気恥ずかしさを覚えるが、少なくとも不快な思いをさせていないのだと確信できて安堵し、開かれた扉の奥へと視線を戻す。彼女の言葉に倣うように室内を見渡し、薄く息を吐いた。出港からわずか二日しか経過していないにも関わらず、部屋の中は既に雑然としており、良いように言えば制作のための環境が作り上げられている。自身にとっては画材も画帳も全てが生活の一部であり、乱雑にも見えるその空間さえ当たり前の風景だが、こうして改めて他者の視点を通せば、それらは確かに“芸術家の空間”と呼べるのかもしれない。警戒されるどころか興味深げに受け止めてくれたことにもう一段肩の力が抜け、しかしそれを表に出さぬよう口元を引き締める。扉を開けたままそっと身を引き、彼女がこの部屋へと足を踏み入れるのを迎え入れるように促して)
……大したものではないけど、好きに見てくれて構わない。




38: Beatrice [×]
2025-02-04 10:35:24



本当に? それなら、Mr.アーサーが描きたくて描いた作品が見たいわ。あなたほどの画家が”描きたい”と心を動かされる題材も、それをあなたの目を通してどのように映し出すのかも??。
(彼が開いたまま支えてくれている扉。その心遣いに感謝を抱きながら、一歩、また一歩と部屋の中へと足を踏み入れた。途端に植物のような瑞々しい香りと、シンナーのようにぴりりと鼻を刺す匂いが混ざり合って鼻腔をくすぐる。それらはきっと絵の具や溶き油、紙や木材?? さまざまな画材が持つ匂いなのだろうと推測をして、未知の世界へと足を踏み入れた探検家のように心が自然と弾んだ。そんな折、“好きに見ていい”という寛大な許しを得て、心が躍るのを隠せずに微笑む。これから彼が描く自分の肖像画が、彼にとってどれほどの意味を持つかなど考えもしない。ただ、純粋に、彼が”本当に望み、心惹かれるもの”を知りたい。その想いに、まだ自分では気づいていなかった。ゆっくりとした動作で部屋の奥へと進み、ふと目に入ったのは開かれたままのスケッチブック。その中には、威風堂々と佇む貴族の姿が描かれていた。彼の筆致が生み出した端正な顔立ちとその堂々たる立ち姿??必要以上に美化されているだろう仕上がりに思わず目を細め、ぽつんと心に浮かぶのは彼の才能に茶々を入れることの愚かさと、それを疎かにすることの勿体なさだった。ふと、スケッチブックへと向けていた視線を彼へと戻す。控えめに綻ばせた微笑み。その奥には静かに奮い立たせるような意志の強さが秘められていて。)
───お願い。私を描くときは、『よく描こう』としないで。それ以外は、どんな仕上がりになっても、絶対に口を出さないわ。



39: Arthur [×]
2025-02-04 15:08:37



(彼女に続けて室内に入り、後ろ手に扉を閉めれば、人の行き交う廊下の賑やかさから遮断される。“描きたくて描いたものを”と、そう求められて自然と視線を向けたのは、壁際に立てかけられた一冊のスケッチブックだった。片手で拾い上げて指先で表紙を撫で、ぱらりとめくれば、最初に現れるのはサウサンプトンの港の光景。朝焼けに霞む波止場、湿った石畳を叩く馬蹄の音、行き交う荷車。乗船を待つ人々の表情、見送りに訪れた家族の姿、黙々と荷を運ぶ労働者たち。船を見上げる群衆の中には、期待に目を輝かせる少年もいれば、不安げに指を組む女性もいる。さらにページを繰れば、この船旅の記憶が幾枚にも渡って映し出されている。一等客用の広間、チェス盤を挟み静かに対峙する老紳士たち。夕暮れのデッキ、海へ向かって紙飛行機を飛ばす子供。機関室近くの廊下、煤けた作業服のままうたた寝する整備工。三等客用の食堂、酒を酌み交わし陽気に笑う男たち。写実的な筆致が細密に描き込まれた場面もあれば、荒々しく未完成のまま留められたものもある。感情が強く揺さぶられた瞬間ほど、未完のまま残されているのかもしれない。──背後で机に広げたスケッチブックを眺めていたベアトリスが静かに言葉を紡ぎだし、その声に反応して振り返る。「よく描こうとしないで」、そこには冗談めかした軽さも、誇張した謙遜もない。ただ真直ぐに向けられたそれが彼女の本心なのだと、迷いなく受け止めた。確かな響きを以て返事をすれば、余計な言葉は挟まず手にしていた一冊を差し出す。彼女がそれを受け取るのを見届けたなら、スケッチの準備に取り掛かるだろう。)
当然そのつもりだ。……これを。


(/航海三日目も大変楽しい交流をありがとうございます!直近の展開についてご相談をしたく、背後よりお声がけさせていただきました。
この後スケッチに着手していくかと思いますが、その過程でアーサーがベアトリス嬢の本質に触れながらも、結果的に「今の自分では彼女を描けない」と痛感して挫折を経験する流れを一案に考えております。妥協してただの美しい肖像画に閉じ込めることは出来ないと判断した上で、この日スケッチの完成は断念し、ベアトリス嬢や事件の捜査に関わる中で内面的に成長できたら、その後改めて再挑戦させられればと思っております…。もし背後様に他のお考えがあり、その点でご不都合などございましたら別の展開でも問題ありませんので、ご意見頂戴できますと幸いです!)




40: Beatrice [×]
2025-02-06 16:47:56



ありがとう。───ふふ、素敵。
(受け取ったスケッチブックをそっとページを開けば、まるでこの瞬間へと誘われるような感覚に包まれる。描かれた光景は単なる絵ではなかった。まるで風が、光が、声が、そこに息づいているかのように目の前に広がり夢中にさせる。)
Mr.アーサー、貴方が描いた作品はページを開くだけでこの瞬間に連れていってくれるのね。
(手渡されたスケッチブックを愛おしげに抱きしめるように持ち、慎重に指先でなぞる。容易に捲ることができず、一枚の絵をじっくりと見入るとレガリア号に乗る人々の期待や喜び、そして不安までもが細やかに描かれて、次のページでは穏やかに広がる海の景色がただの背景ではなく物語の一部として息づいていた。目を細めながらそこに切り取られた一瞬一瞬に触れることで、まるで見逃していた場面が蘇るように絵の中にいる人々の笑顔や囁き声までも感じられる気がした。そんな風にスケッチブックの中の世界に浸っていると準備を進める彼の立てる微かな物音が耳に届いてそっと視線を上げて。それから彼を見つめる瞳には信頼と尊敬が宿っていた。この人は、ただ風景を写し取るのではなく、そこに流れる時間や感情までをひと筆に乗せて描いている。そんな彼の手で、自分はどのように描かれるのだろう。飾らない自分を、この人はどんな眼差しで捉えるのか── 期待と、そしてどこか試すような気持ちが、ふっと唇に微笑みを咲かせて)
……Mr.アーサー。スケッチの間、少しだけ私についてを聞いて欲しいのだけれど、構わない?


(/お返事遅くなり申し訳ございません…!ご相談もありがとうございます!とても素敵な流れに今から楽しみで仕方がないです…!是非ともいまお伺いした流れで進めて行ければと思います。スケッチをして頂く際にベアトリス視点では場を持たせるために(そこには無自覚ながらアーサー様に己のことを知って欲しいの意味を持ち)聞き流して貰っても構わないという認識で自分語りと振り返りをさせようかなと考えておりました…!)




41: Arthur [×]
2025-02-07 10:50:07



(スケッチブックを手渡した後、すぐさま作業の準備に取り掛った。彼女の反応に正面から向き合うことが何故か落ち着かなかく感じたからだ。まずは部屋の光の具合を確かめるべくカーテンへと歩み寄り、軽く開閉して角度を調する。決して大きくはない船室の窓から差し込む自然光を最大限に活かし、柔らかな陰影が生まれるように、彼女の輪郭や表情を最も美しく捉えられる加減を探った。その折、背後から届いた声に思わず一度手を止めて振り返る。その言葉は胸の奥に静かに落ち、ゆるやかに波紋を広げるようだった。どこか遠くを見るように響いた声は、過去に取り残されるような感覚によるものか、あるいは過去を手繰り寄せることができる安堵によるものか。そのいずれであれ、一枚一枚を慈しむようにスケッチブックを見つめる彼女の瞳が、単に絵を鑑賞する以上に、その奥に宿る何かを掬い取ろうとしているのが分かる。妙な充足感が心の奥に満ちるのを感じた。誰かに見せるために描いたものではなかったが、自らの筆が刻んだものが確かに彼女の心へ届いたのだと実感し、その手応えを噛みしめながらも「…お気に召して貰えたなら何より」あくまで返事は淡々と素っ気なく。無造作に置かれた椅子を手に取り、光が最も柔らかく入る位置へと移す。長く座っても負担にならぬよう、背もたれには小さなクッションを添えることも忘れない。大方の準備が整った頃、彼女がふいに、自分自身のことを聞いてほし願い出た。その意図を測りかねつつも承諾し、椅子を軽い手の動きで示して)
それは…どうぞ、描きながらで構わないなら。…ここに座ってくれ。光がちょうどいい。


(/いえいえ、お互いに無理なく続けていけたらと思っておりますので、レスペースについてはどうかお気になさらないでください!展開についての快いお返事もありがとうございます。急なわがままで申し訳ないです…!また、スケッチ中にベアトリス嬢のお話をお聞かせいただけるとのこと、大変嬉しい追加要素でありがたいです!スケッチの過程や心境の変化など丁寧に描きたい場面でしたので、楽しみつつ描写していければ幸いです。引き続きよろしくお願いします。※特に追加確認などが無ければこちらお返事お構いなくです。)




42: Beatrice [×]
2025-02-07 23:48:57



ベアトリス・ルーナ、17歳。母がプレストン伯爵家に仕えていたご縁で、まだ右も左もわから頃から私もまた自然とプレストン伯爵家に身を寄せていたわ。屋敷での暮らしは毎日が生きるための学びの場で、……プレストン夫人はとても優しい人、幼い私にそっと教えてくださったのよ──「この世にはね、人の数だけふさわしいドレスがあるのよ」と。
(そっと視線を落とせば、用意された座席に添えられたクッションが目に入り、ふわりと薫る淡い気遣いの香りに心がそっとほどけるようで静かに腰を下ろす。少しの緊張感に背筋を伸ばし、小さく息をついた。窓の外からは優しい陽射しが降り注ぎ、ガラスに映る翡翠の瞳が柔らかく煌めき、彼へと顔を戻す。一人語りの許しを得たことでまるで糸を紡ぐように、ぽつりぽつりと自らのことを語り始めた。思い返すのはふんわりと甘く、それでいて温もりをはらんだ布の匂い。アイロンをかけたばかりの生地に宿る、柔らかな熱。そして、果てしなく並ぶ、名前もわからないデザインをした色とりどりのドレスたち。今思うとプレストン夫人は幼い私の容姿を気に入ってくださっていたのかもしれない。でもそれだけではなく、本当に優しく接してくださった。学のない私にも、夫人が学び得た服飾に関する大切な知識を分け与えてくださっていた。最後にあの重たい鉄のアイロンを手にした日すら思い出せないけれど、あの時間は間違いなく私にとって楽しく愛おしい思い出だったと大切な宝箱をこっそり開くように初めて吐露をした。互いのことを多く知らない間柄の彼だから、誰にも話したことの無い胸の中のずっと奥に隠していた大切な思い出を語れているのかもしれない。)
私ね、アイロンがけが得意なのよ。……シワひとつ無いほどピンと張った生地。その上に繊細なレースが映える瞬間が、とても好きだったの。





43: Arthur [×]
2025-02-08 14:55:37



(彼女が静かに腰を下ろすのを見届けると、対面する位置にもう一脚椅子を引き寄せ、腰を落ち着けながらスケッチブックを開く。窓から差し込む淡い光がベアトリスの髪を撫で、頬の輪郭に繊細な陰影を落とし、瞳に柔らかな輝きを宿らせる。その長い睫毛が作る影までが美しく、筆を取る前の静かな高揚が胸の奥を満たした。彼女の穏やかな語りに耳を傾けつつ、迷いなく紙へ鉛筆を走らせる。労働階級の生まれで貴族の屋敷に仕えていたという過去は、洗練された今の姿とは結びつかない。ふと指先に目を落とせば、そこにあるのは白くしなやかで傷ひとつない指。高価な香油で手入れされたようなその手も、かつては家事に追われ、水仕事に晒されていたのだろうか。しかし彼女の語る思い出に翳りはなく、誇りさえ滲むようだった。プレストン伯爵家での暮らしを懐かしむように話すその表情は、幸福な記憶に彩られている。ならば、彼女はなぜ今ここにいるのか──侯爵の愛人という立場に。その問いを飲み込みながらも無意識に手が止まり、視線が吸い寄せられた。アイロンがけが得意なのだと、大切にしまっていた宝物をそっと見せるように微笑んだその顔を、光と影が際立たせる。揺れる髪の一本、端正な顔立ちの奥に残るあどけなさ、記憶を辿るような遠い眼差し、繊細な指先、ふと浮かぶ微笑み──すべてを捉えようとしたはずなのに、最初に引いた線がひどく不完全に思え、思わずページを繰る。新たな白紙と向き合い、光の加減を確かめながら静かに口を開いて)
……意外だな。今の貴女は上流階級の人間と遜色ないように見える。…少しだけ顎を引いて。…それから、手を組まずに膝の上に自然に置いて…指先の力は抜いて。




44: Beatrice [×]
2025-02-09 01:18:41



ふふ……ふふっ。本当にそう見えていたの? それならば、私の戯れもなかなかの腕前ということね。──失礼。顎を少し引いて、手はこちらへ。力を抜いて……これでよろしいかしら?
(上流階級の装いが違和感なく映るほどに、他ならぬ芸術家アーサー・バートンの審美眼に認められるとは。まるでストンと矢で射抜かれたかのような衝撃が心臓を貫き、一瞬、呼吸さえ忘れてしまう。大きく見開かれた瞳にほんの刹那、ひどく人間らしい戸惑いと確かな安堵の色が宿り。それを悟られまいと朗らかな笑いを紡ぎ、ほっそりとした指先でそっと口元を隠した。けれど、懐かしむ心が油断を生みほろりとこぼれ落とした発言は思いがけず零れた幼き日より続くごっこ遊びの名残。それを掘り下げられる前に、あるいは自ら掘り下げてしまう前に──そっと指先を降ろし、彼の指示に応じて姿勢を整える。ふと目元を撓めると、モラレス侯爵に迎え入れられるにあたり、最初に模倣した夫人の面影が脳裏をよぎった。幼少期より接してきたプレストン夫人の気立ての良さを学ぶことは、さほど難しくはなかったと。時には社交界で最も人気のあった令嬢の慎ましやかな立ち振る舞いを、時には嫉妬の的となった淑女の聡明さとあざとさを──そのすべてを己が身に落とし込みながら、本来の私とは遠く離れた男性にとって理想の女性へと形を変えることに密やかな愉悦があったと思い出した。忘れてしまっていたくらい当たり前だったその気持ちも、彼の傍にいると上書きされていた”本当のベアトリス”がふと顔を覗かせることに不思議な気持ちを抱き。先ほどまでカリカリと音を立てて迷いなく進められていたペン先が止まった事に気がつくと新たなページにめくられるのを静かに見届けて。どのように私を描いたのか──その好奇心を飲み込む代わりに、そっと微笑みながら質問を口にして。)
Mr.アーサーが芸術に触れたきっかけを教えて頂きたいわ。




45: Arthur [×]
2025-02-10 00:27:49



……良い。そのままで。
(数秒の静寂の中で、指示通りに整えられた姿勢を確認して頷く。微細な調整を要するかと一瞬考えたが、光の加減と彼女の自然な佇まいに違和感はなく、視線を紙へと戻して迷いなく鉛筆を走らせる。今度こそ、彼女の姿を正しく捉えられるはずだ。綻ぶように滲んだ一瞬の安堵も、それを塗り重ねるように作られた笑顔も、すべてを拾い上げなければ気が済まない。顔の輪郭をなぞるように曲線を走らせたその時、思いがけない問いが耳に届いた。手元の線が乱れる前にそっとペン先を浮かせ、即座に返答はせず、鉛筆の後端を口元に押し当て思考を巡らせる。芸術に触れたきっかけ──紋切り型の答えならいくつも思いつくが、本当の原点を誰かに語ったことは、これまで一度もなかった。目を細めれば、遠い記憶の奥底に埋もれていた情景がゆっくりと輪郭を帯びて蘇る。──鉄と油の香りが入り混じった重い空気。部屋の隅々まで響き渡る活版印刷機の規則正しい駆動音。紙の束が運ばれるたびに立ち上る、乾いた繊維の匂い。煤で曇った窓に西日が差し込み、大きな機械の鋳鉄の表面が鈍く赤く光る、妙に印象的な光景。静かに息を吐き、鉛筆の動きを再開させながら口を開く。なぜこの記憶を知り合ったばかりの彼女に語りたくなったのか、自分でも理由はわからない。)
──…子供の頃、印刷所で働いていた叔父がよく工房に連れて行ってくれた。本や新聞が山ほど積まれていて、まだ字が読めなかったから挿絵のある本ばかり眺めて…その中にレンブラントやターナーの複製画があった。…色彩もない、影と線だけの…今思えば職人が元の絵を真似て彫っただけの版画だ。…だけど、不思議と光を感じた。


(/ご連絡のみ失礼します。相談所の方にご相談の書き込みを致しましたので、お手隙の時にご確認いただけますと幸いです!※こちらご返信お気遣いなくです。)




46: Beatrice [×]
2025-02-13 11:49:26



(姿勢を正して優雅に佇むその姿はまるで繊細な細工を施された宝石のようで。しなやかに首を傾けて肩の角度を計りながら、微笑みにふわりと優美な曲線を描くことなど、ベアトリスにとっては呼吸するほどに自然な所作だった。向かい合う静寂の中でペンが紙を滑る微かな音に耳を澄ませながら問いを投げてはみたが、その答えはきっと当たり障りのない言葉で彩られてこの場を穏やかに流れてゆくものだと予想していた。だからこそ、予想を超えた真実──彼が芸術に目覚めた瞬間を知ることができたとき、ほんの僅かでも彼の本質に近づけたような気がして心がふわりと浮き立って。作り物のように整えた微笑みはいつしか好奇心に染められて、無邪気な色を帯びていた。それはまるで幼き日に初めて目にした美しい絹の輝きに魅了され、ただ心のすべてを奪われたあの頃の自分と重なって見えたからかもしれない。そう思うと目の前の彼への親しみがそっと芽吹き、もっと彼自身を知りたくなって。心を揺さぶる美しさの前に立ちそれに携わることを選ぶのは、決して容易ではない訳で。そこへ踏み込むには確かな勇気が必要だと理解しているからこそ、静かに翡翠の瞳を向けた。尊敬の色を宿したまなざしで、一瞬だけ、正面に座る彼の姿だけを映し込み。)
……その光に、手を伸ばそうとしたとき。怖くはなかった?──光を追い求めるいま、”アーサー少年”は幸せ?




47: Arthur [×]
2025-02-14 14:46:49



……痛みを知らない子供は恐れもしない。火に指を伸ばして、崖を覗き込み、闇の中に踏み込んでいくものだ。……そういう意味では、俺は随分長い間、子供だったんだろう。
(二つの問いかけが心に揺らぎを生じさせたことを悟られぬよう、視線を上げることはせず、無言のままスケッチの線をなぞる動作を繰り返して思考の間を稼いだ。ひとつめの問いに対してはさして迷わずに答えが出た。芸術を求める道の途上で恐れを抱いたことはない。最初に炭を握り紙の上に影を落とした瞬間から、その行為は言葉など不要なほど純粋な歓びそのものであり、疑念も逡巡もほんの一欠片たりとも入り込む余地はなかった。才能にも恵まれ、それだけが己を表現する唯一にして絶対の手段であったが故に、筆を握ることはただひたすらに幸福であるはずだった──いや、幸福でなければならなかった。彼女の問いの後半、“今、幸せか”──その言葉は容赦なく突き刺さり、鉛筆の先が震えて紙の上に刻まれる線が微かに乱れる。眉を寄せ、誤魔化すようにスケッチの角度を変えた。直向きに光を追い求める無垢な子供でいることは叶わない。仕事とはそういうものだと教えられ、芸術は自由であるべきだと高尚な信念を掲げたつもりでいながら、現実は貴族たちの望む肖像画を描き、彼らの虚飾を彩ることに費やされる。理想と妥協の狭間で足掻きながらも、他に何も持たない自分には筆を置くことは許されなかった。選ぶ余地など初めからなかったと自らを思い込ませ、それでも折り合いをつけられていないことを、彼女は見透かしている。そこに悪意など微塵もないのが分かるからこそ尚更たちが悪い。沈黙が降りる中、指に余計な力がこもり紙が軋む音が耳を打った。言葉にならない何かを噛み潰し、視線を躱すように頭の角度を深くして。苛立ちとも焦燥ともつかぬ感情が湧き上がるのを、理性が制しようとする。良くない事だとわかっている。わかっていたのに、気づけば言葉が零れていた。)
──…貴女こそ。貴女は……愛しているのか? “彼”のことを




48: Beatrice [×]
2025-02-19 00:44:55



──アーサー少年は、“子供”のまま”大人”へと堕ちてしまったのね。………この時代に愛をただの幻想ではなく本当に”愛して”生きられる女はどれほどいるのかしら。
(彼の頭は深く落とされ、視線が交わることはそれが物理的に不可能であると教えるように無かった。そんな姿のまま落とされた凪いだ声色の問いかけは、反論の余地すらないほど確信を帯びた内容だったようで喉の奥が石のように重くなり、声を発することさえできなくて。苦虫を噛み潰したように口角がわずかに落ち、瞳が曇る。しかしその色は決して悲壮感ではなく、鋭い言葉を正面から受け止めてころころと鈴を転がすような笑い声を。眉をわずかに下げて意図的に困ったような表情を作りながらも、その返答には確かな負けん気が滲み。何も持たぬ女がこの世を生きるために、どう身を振るべきか──それくらい、思春期を迎える頃の子供でも知っているはずだと。受けた問いに、明確な答えを返すことはせずに暗に伝える、それが己の出した答えだった。夢を追い光に手を伸ばしたはずのアーサー少年がいつしか”幸せ”を濁してしまったように、持たざる者がこの時代を生き抜くためには妥協や諦めが必要になる。そう理解するからこそ、ほんの数秒だけ静かに目を閉じて。誰もが思っていても敢えて投げない意地悪な質問に答えたことが寧ろ心に落ち着きをくれたらしい。ゆっくりと目蓋を開くと長い睫毛に縁取られた瞳には明日を見据える無謀な光が宿り。わずかに下唇を噛む葛藤の末、不敵に口角を上げて言い切って。)
………私もそうよ。今もまだ“子供”のまま、“大人”のふりをしているの。




49: Arthur [×]
2025-02-19 22:57:34



………すまない。今のは浅はかだった。
(言葉を噛みしめるように低く呟き、手のひらに残る紙の感触を確かめるようにスケッチブックの端を指でなぞる。自分でも驚くほど素直に謝罪の言葉が出たのは、彼女の毅然とした態度に完全に打ち負かされたと悟ったからだ。問いかけた瞬間の自分はあまりにも幼稚で、彼女が何を見て何を知りながら生きているのかを考えもせずに──ただ、現状と向き合うことを恐れ、自己防衛のためにあのような問いを投げたのだと気づいてしまった。自尊心が焼けるように痛めど取り繕うことすらできない。躊躇いながらも視線を上げた丁度その時、丸窓から一際強く差し込んだ陽光が彼女の輪郭を淡く縁取った。金糸のような髪が光を編んでふわりと輝き、影を削り取られたその姿は聖像めいて神々しく、そこに存るだけでひとつの絵画のようだと、深く胸を打たれる。世界の欺瞞も、光の裏に伸びる影も、彼女は現実の冷酷さを知りながら、まるで舞台の幕が下りる最後の瞬間まで演じきる役者のように、堂々と“物語”を生きている。自分にその覚悟はあるかと問われたなら──答えを探すように鉛筆を握り直すも、その先は紙を捉えることが出来ない。このまま問いを閉じることもできたはずだった。彼女の強さをただ眩しいと見上げるだけなら、余計な詮索を加えることなく絵を描き続けることで沈黙を保つことができただろう。しかしそれでは駄目だと、その核心に触れずにはいられないという衝動が抑えようもなく胸の奥で疼いてしまった。指先の微かな震えを握った鉛筆の冷たさで誤魔化して、歯切れ悪く問いを紡ぎながら、光に揺れる彼女を見つめ)
……もし、何にも縛られずただ“子供”でいられたなら……貴女は、何を望んだ?




50: Beatrice [×]
2025-02-20 19:18:54



私らしく生きることを望むわ。──熟した林檎を口にできなくても、華やかなドレスに袖を通せなくても、たとえこの手が荒れてしまったとしても、それでも構わないわ。ただ、がむしゃらに働いて、自分の足で歩いてみたいの。ベアトリスは、生きていることを楽しむのよ。
(真っ直ぐに届けられた謝罪の言葉が胸の奥をそっと叩いた。ふっと小さく息を漏らし、穏やかな微笑みを浮かべると僅かな表情変化だが許しの意を表して。互いの好きな物だって知らないのに、それでも多くを語らずに理解が出来るのはきっと、生きるために身を置く世界があまりにも似ているからだろうか。あるいは──そう信じたかったのかもしれない。強い陽射しがほんの少し眩しくて、天日に干されたシーツの香りが記憶の扉をそっと叩いた。思わず太陽の香りを探して深く息を吸い込んだけれど、そこに広がったのは太陽の匂いではなく、絵の具や木炭、オイルの混ざった画材の香りだった。その違和感にほんの一瞬、どこか不思議な気持ちになって眉が下がる。不意に筆を止めた彼が、言葉を慎重に選びながら、それでも正解を見つけられずにいるように問いを投げると瞬きの後に視線を向けて。その内容に驚くこと無く、すう。と息を吸い込んで返事をする。──それはあまりにも優しくて、あまりにも現実味のない夢と同じ。子供が「空を飛びたい」と願うのときっと同じくらいに儚く綺麗なだけの内容で。一拍の間を置いてからその言葉に合わせるように、すらりと伸ばした指先を視線の高さまで掲げる。瞳に映るのは冷たい水に晒されたことのない、爪の先まで整えられた美しくきめ細やかな手。苦労を知らない、貴族の愛玩物にふさわしい指先だった。その手をそっと握りしめると静かに再び元の姿勢へと戻った。今、こうして夢を語るベアトリスは誰かの模倣ではない。ベアトリス・ルーナとして、己の言葉を紡いでいると実感が湧いた。それは彼が飾り気のない率直な言葉をくれるからこそ取り繕う必要のないありのままの自分でいられる時間だった。困り眉のまま目を細め、にこりと微笑む。少し大きく開いた唇の隙間からは、白いエナメルが覗いた。幼い子供が楽しくてたまらないときに見せるような、屈託のない笑顔。淑女には相応しくない仕草かもしれない。それでも構わなかった。心のままに、ただ笑う。それはまるで、幼い少女たちが寄り添い、おとぎ話に夢中になるような、無邪気な笑顔でそんな表情のまま言葉を紡ぎ。)
そんなふうに生きた先で、心のままに“愛する”ことができたら──最高ね。



51: Arthur [×]
2025-02-21 07:05:07



(衝動に駆られるまま投げかけた問いに迷いなく応じた彼女の声は、確かに空気を震わせながらも耳に届く頃にはどこか現実の輪郭を曖昧にし、遠くで鳴る銀の鈴の音のように儚く揺れた。そして言葉を締めくくるように微笑みを向けられた瞬間、世界のすべての音が掻き消えたような錯覚を覚えさせられる。それは決して計算された媚びでもなく、誰かに愛されるための装いでもなく、ただ心の奥底から零れ落ちた何の衒いもない無垢な微笑み。洗練された容貌には不釣り合いなほど幼く無邪気でありながら、その奥底には揺るぎない意志が宿っている。繊細な花弁のように儚い一方で大地を踏みしめる足取りは確かであり、ただのか弱い美しさではなく、己の道を歩もうとする強かさ。その在り方こそが彼女の本質なのだと、理屈ではなく、もっと根源的な部分で理解させられた。震える指先で鉛筆を握り直すが、いざ紙に線を刻もうとした途端その動きは宙で凍りつき、やがて力なく下ろされる。──これまで数え切れぬほどの肖像画を描いてきた。貴夫人の誇りも、戦士の哀しみも、彼らの一瞬の輝きを筆先に掬い取り、紙の上に縫い止めることができたはずだった。だが、今目の前にいる彼女をどう描けばよいのかが、まるでわからない。幾度となく紙に触れ数多の絵画を生み出してきたこの手が、今やただの無機質な器のように虚ろで頼りないものに思える。焦燥が喉の奥に絡みつき、ゆっくりと目を伏せた。彼女の瞳を真正面から受け止めることができない。それ以上に、今の自分では到底この姿を紙に留めることは叶わないという、あまりにも残酷な現実を突きつけられることが、ただ恐ろしい。筆さえあれば何でも描けると信じていた傲慢な幻想は、彼女に触れた瞬間、音もなく崩れ去った。今、ベアトリスの気高き矜持の前に立たされ、痛いほどに思い知らされる。掠れた声で紡ぐ言葉は彼女に向けられたものでありながら、同時に自らの無力を噛み締めるような、苦い告白であり)
……描けない。──……俺の手では、貴女を描くことはできない




52: Beatrice [×]
2025-02-22 08:29:56



(これは自分でも気がついていなかった夢物語。当然、誰にも漏らしたことのない秘密の会話。心の奥深くに閉じ込めた想いを声に乗せて伝えれば、ほんの少しの恥ずかしさとそれを上回る爽快感が押し寄せた。何も持たぬ愛人の女が語る夢を彼がどう受け取るのか、鼻で笑うのかそれとも馬鹿げた話と笑うことさえないのだろうかと彼の反応を窺って。しかし、予想に反して彼は何かを恐れるような怯えた表情を浮かべていた。何に脅えているのか皆目見当もつかず、苦しみながら絞り出すように発した声には驚きと戸惑いが宿っていた。苦々しく伝えられたその言葉を頭の中で何度も繰り返し、それでもやはり理解できないまま疑問が次々と浮かぶ。何故?どうして?何が理由なの?私の解答が可笑しかったから?頭の中には疑問が渦巻き、声を出せずにいた。芸術家アーサーの実力は、自身の目で確かに把握している。こんなにも素晴らしい芸術家に今後出会える保証はなく、同時に恐らく会えないだろうと思うのに──そんな彼が筆を置いた。彼が描きたいと思わなかったのかもしれない。彼が思い描くほどの魅力がベアトリスにはなかったと言われてしまえば、それまでなのだ。それでも「はい、わかりました」と素直に返事をすることはできず、諦めの悪さで言葉を探し口を結び。必死に彼へかける言葉を探すうちに怯えながら筆を止めた彼の悔しさに触れたらしい、気丈に見せた凜とする声で静かに問いかけて。)
…………Mr.アーサー、どうしてか理由を伺ってもよろしい?




53: Arthur [×]
2025-02-22 17:33:48



(静かに投げかけられた問いに、即答できるはずもなかった。否、答えならば既に目の前にあるのに、それを手に取り晒すことに、どうしようもなく躊躇いが生じてしまう。──ベアトリス・ルーナという少女は、この手で捉えようとするには、あまりに遠かった。愛の不在ごと己の境遇を受け入れ、しかし決してそれに呑まれることなく自らの意志で立ち、歩み続ける。苦しみも憧れも、そのすべてを抱えながら前へ進もうとする彼女を、果たして描くことなどできるのか。伯爵家の庇護を捨てる覚悟も、ひとりで生きる勇気も持たぬまま、ただ曖昧に、臆病に、「画家」を気取ってきた自分に、彼女の本質を捉える資格があるのか。己の在り方すら定まらぬまま、強靭で、崇高で、そして何より確固たる意志を宿したその瞳を、真に描き出すことなどできるはずがないと、痛いほどに思い知ったのだ。彼女の姿に向き合うことで否応なく自分自身とも向き合わされ、逃げ場のない現実に晒された今、筆は動かず、胸の奥でざわめく何かを押し殺すように強く拳を握る。爪が掌に食い込む痛みだけが生々しく残り、心の奥にまで突き刺さる。見ないふりをして筆を執ることもできただろう、しかしそれでは美しいだけの虚ろな「肖像画」しか生まれない。彼女をそんなものに閉じ込めるわけにはいかない、その一心で筆を置くことが、今、自分にできる唯一の誠実な選択だった。ゆっくりと拳を開き赤く爪痕の滲んだ手のひらを見つめ、沈黙の果てにようやく、塞がった喉を押し開くように言葉を絞り出して)
………月を、掴むようだ。どれだけ手を伸ばしても届かない。──…光を追うことをやめた俺には、貴女が遠い。




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