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冒険者ギルドの日常/652


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633: クレア/アリシア [×]
2025-02-12 02:35:05

過去編 「自由と呪縛」

(クレアが冒険者となって四年、事実上追放された実家との唯一の繋がりは年に一度の墓参りであった。父親の命日に限りクレアの帰省が許可され、この日もクレアは広い庭園の片隅に設けられた父の墓に健気に花を添えていた。)

お父様…貴方は厳しくも良き父でした。不甲斐ない娘をお許しください。

(墓の前で跪き手を合わせながら、クレアは今は亡き父に自分の不甲斐なさを詫びる。家を追放され、精神を病み騎士団を去った今の自分を見たらきっと父に厳しく叱責されることであろう。苦笑いを浮かべながらそんな想像に耽っていると、背後から足音が近付いて来た。立ち上がり振り向くと、そこにはかつて妹のように可愛がった従姉妹(アリシア)の姿があった。優秀な成績で騎士学校を卒業したと噂に聞いていた為、激励の言葉を送ろうとクレアは笑みを浮かべ口を開きかけたがアリシアの言葉に遮られた。)

裏切り者の分際でよく帰って来られましたね。その無神経さだけは尊敬に値しますよクレアお姉様。妹を生贄に捧げて得られた自由はさぞ甘美なものでしょう。

(口を開くなりアリシアはクレアを口汚く罵る。その瞳には憎悪を宿らせ、拳を強く握りこんでいた。この段階で既にアリシアは魔を統べし者の残留思念に憑かれているが、この言葉・心情は全てアリシア自身のものである。それもその筈、彼女から見ればクレアの取った行動は無責任そのもの、奪われたからと言って家を取り返そうともせず、精神の不調を理由に男と一緒に騎士団を去ってしまった。今までクレアと比較され続けてきたアリシアにとって、騎士としてクレアを超える機会を永劫に奪われ、ライデン家の重責だけ押し付けられたようなものである。)

…そ、それは……

(アリシアの剣幕に押されてクレアは俯き半歩後退った。目の前のそれはクレアの知っている大人しくて優しいアリシアではない。こんなことを言う子ではなかった…そんな違和感を感じながらも、クレアは何も言い返すことが出来ず言葉に詰まる。事の発端は叔父にあるとは言え、確かに騎士団を去ってからのクレアは憑き物が取れたかのように恋人との幸せな日々を過ごしていた。その憑き物を代わりに誰かが一身に背負わなくてはならない事も忘れて。)

チッ…昔から本当に貴方が目障りです。いつもいつも貴方と比較されてきた私の気持ちが分かりますか…!超える機会すら奪われ、その重責だけ押し付けられた私の気持ちが貴方に分かりますかァ…!?……ハァ…ハァ…

(なよなよとしたクレアの態度に尚のこと腹を立てたアリシアは瞳孔を開き、声を荒らげる。非才の身が生き残る術として今までいい子を演じてきたが、力を手に入れた以上はもう何も我慢する必要などない。この機会に余すことなく心の内をクレアに吐き出すと、興奮しすぎた為かアリシアは息を深く吸って呼吸を整えた。)

…ごめんね…全部…私が悪いんだよね……お姉ちゃんはさぁ…剣しか取り柄のないおバカさんだから…貴方が…そんなにも思い詰めてるなんて考えてもみなかった…本当に…本当にごめんね……私を見ると辛くなっちゃうんだよね…?…もう二度と貴方の前には現れないから、それだけは安心してね…

(アリシアの言葉を聞き終える頃にはクレアは大粒の涙を流して立ち竦んでいた。勿論今までひたむきに努力してきただけのクレアが全て悪いのかと言うとそうではないが、自分の行いがアリシアをここまで追い詰めていたこともまた事実である。姉として最後に出来ることとして、袖で涙を拭いながらも震える声で精一杯の謝罪をすると、二度とアリシアの前に現れないと誓い、重い足取りで墓を後にした。)

…言いたいことは言えたようだな。あとは眠って全て我に任せよ。安心しろ、悪いようにはしない。我はお前、お前は我なのだからな。

(クレアの姿が完全に見えなくなったことを確認すると、アリシアは天を仰いで意味深な独り言を呟いた。どうやらやり残したことを終えて魔を統べし者に主人格が入れ替わったようだ。アリシアは不敵な笑みを浮かべると、本来の力を取り戻すべく策謀を巡らせた。)

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