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18:
ハリ [×]
2024-02-28 00:55:41
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「くぁぁ…こっちに来たはいいものの、何をするかねぇ。ヒトの子がいない場所がこんなに暇だとは」
昼間の暖かさはどこへやら。撫でられる度にそわそわと粟立つ肌寒さに、まだ春は来ていないのだと再認識する。寒いとは思いながらもフラフラと歩みを進めて行くうちに、海の近くまで来てしまったらしい。静寂に響くざざーという低音が、心の疲れまで流してくれそうで。月明かりを受けて白く光る砂浜は、強く踏みしめても音を飲みこんでくれる。趾間を擦り抜ける砂粒にくすぐったさを覚えながら、くるくる回ったり、蹴り上げたりして遊ぶこと須臾。ふと、足に触れた冷たさに身体をピクつかせて。
「…はは!いやいや、暇なことはなかったな!案外、楽しいことってのは傍に落ちてるものじゃあないか」
パシャパシャと音を立てて海へ駆けては、追いかけてきた波にサリーを濡らすことを繰り返す。ヒトの子に縛られていたときにはできなかった遊びに、つい子どものようにはしゃいでしまって。水を吸った重い砂に足を取られて転んでも、その上から被さるように海水を浴びても、全てが新鮮でワクワクが止まらない。何度か攻防を繰り返したところで、視界の端で光る星々に意識が向く。波の届かないところまで退避し、柔らかな砂浜の上にどさっと身を投げ出して。
「ここでも星は同じように巡っているのか」
いつか見た記憶と目前に広がる雄大な星空を比べて、つい独り言が漏れる。特に浸るほどの感傷があるわけではないが、何処となくしんみりとした響きになったのは、夜特有の空気感のためか。目を隠すように左腕で覆い、柄にもないと大きく息を吐き出して。
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