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 可愛いの魔法 (〆)/2609


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981: 逆巻 傑 [×]
2023-09-27 09:28:56



…、全部?……ま、ちょっと待っててください。
( 病人とはいえ男の家に一人で訪問するところを誰かに見られたら、万が一風邪が移ってしまったら。そんな懸念故に素直に歓迎など出来ないが、彼女の心配の度合いを表すような満杯のトートバッグがカメラに映されると、厚意に対する感謝の念が不足していたかと少し態度を改めて。凡そ気軽な見舞いの量ではないそれに思わず間の抜けた声を漏らすも、これ以上玄関ドアの前で喋らせておくわけにもいかない。ドアノブに掛けておける重量でもなければ私物らしいバッグを地べたに置かせるのも気が咎め、最後まで言い終わらないうちに通話を終了させては、テーブルの上にある愛用の黒マスクを素早く装着し、数秒と経たないうちに扉を開いて相手の目前へと姿を現して )




982: 永瀬ひな季 [×]
2023-09-27 13:55:03



──…、こ、こんにちは。
( 言葉途中でぷつりとインターフォンが切れてしまうと、きょとんとしながら掲げたトートバッグを下ろす。もしや牧さんに自分を引き取りにくるよう連絡するのではと思い巡らせるけれど、間もなくドアノブが動き、扉が開かれていくと微かにほっとした表情を浮かべたり、先に視界に入る姿に〝あ、スウェットだ〟と新鮮みを感じたり。そうして視線を上げた先、相手と視線が合ったなら、おずおずと挨拶を掛けて。熱があるのだろう、元々色白な彼の顔が赤みを帯びている様子が窺えたなら、安堵の表情はすぐに眉尻を垂らした心配げなものに変わり、矢継ぎ早に自問自答したりトートバッグを預けようとしたりするけれど、病人に重いものを押し付けるのも憚れると考えては、相手に手渡す前に小首を傾げながら申し出て )
…風邪、大丈夫ですか?あ、大丈夫じゃないからお休みなんですよね…。あのこれ…、…中まで運びましょうか?




983: 逆巻 傑 [×]
2023-09-27 20:23:44



…こんにちは。──…や、大丈夫です。ありがとうございます。それじゃ、
( 玄関ドアを開けると見知った少女がそこに居る。開ける前から分かっていたことだというのに、実際にその姿を目にすると相応の衝撃があり、高熱も相俟って挨拶を返すのが一拍遅れ。気遣わしげな眼差しが注がれれば薄らと赤く染まった顔で努めて平常を演じつつ、不調により思慮深さを欠いた頭が考えるのは一刻も早く彼女を帰すことばかり。普段の素っ気なさに輪をかけて素っ気なく返答しては、差し出された重たげなトートバッグを受け取り、述べる礼もそこそこに土間へと引っ込んでにべもなく扉を閉めきってしまって。そのまま鍵を掛けることも忘れて覚束ない足取りで奥の部屋へと向かう道中、突然にふらりとよろめいては全身が勢いよく横の壁に激突し。同時にトートバッグの中身が幾らか転がり出たなら、それなりに防音性のある造りのマンションとはいえ、扉のすぐ傍に立つ相手の耳にはその音が届いただろうか。体勢を戻すだけの気力もなく、壁に身を預けたままずるずると伝うようにしてその場に腰を下ろせば、苦しそうに零れるのは熱っぽい吐息で )




984: 永瀬ひな季 [×]
2023-09-27 22:03:37



どういたしましてっ、……。
( 普段通りに、でもどこか素っ気ないような淡々としたやり取りの後に扉を閉められては〝お大事に〟の一言も言えなくて。やっぱり迷惑だったかな、なんてしゅんと肩を落としながら重たい足取りで来た道を戻ろうとした時のこと。何か、ドンと鈍い音の後にいくつかの落下音が聞こえた気がしてはっと足を止め顔を上げる。やっぱり病人には重すぎたのかと、そんな心配が過ぎりお節介とは頭で分かってはいながらも踵を引き返すと、閉じたばかりの扉を開けてみれば──「…逆巻さん?やっぱりお手伝いしま、──…っ!?」幸い、鍵は掛けられていなかった扉。覗き込んだその先の壁伝いに倒れ込む彼の姿にサァッと青ざめるとばたばたと靴を脱ぎ部屋の中に駆け込んで、彼の傍に膝付き屈んで肩を支えるように手を添えたなら、スウェット越しにも感じる体の熱さに不安なりながらも声を掛けて )
逆巻さん!大丈夫ですかっ…!?




985: 逆巻 傑 [×]
2023-09-28 08:49:13



…頭うった…。
( 背後で扉の開く音と駆け寄る気配。肩に触れた手に伏せていた睫毛を上げると、壁にしなだれ掛かったまま、果たして物理的な衝突のせいか病のせいか痛む頭を殆ど独り言のように訴えて。それから背を凭れるように体を反転させ、床に転がったペットボトル飲料やらゼリーやらに目を留めては、表情も声色も大して変わらないものの、微かに息を切らしながら喋る様には哀切の情が滲むようで )
…すみません、せっかく持って来てくれたのに。




986: 永瀬ひな季 [×]
2023-09-28 11:17:14



えっ、嘘、大変…!
( 頭をぶつけたことの訴えに双眸を見開くと同時にあの音はそれかと合致しては、焦った声色で正面から頭に手を伸ばすと、たんこぶができていないか確認するようにどの辺りだろうと柔く撫でて。ぶつけたてだからか、たんこぶの有無は確認できなければそっと手を引っ込めると、体のことよりもお見舞いの品を気に掛ける相手に首を左右に振り気遣いは不要なことを伝えて。手を添えている肩の上下が少し早く、言葉の合間の呼吸が多い。しんどいだろうに玄関に出てきてもらったことに申し訳なく思うけれど、こんな状態では何もできないだろうと、来てよかったとも思う。ひとまず彼をベッドに寝かせた方がいいと判断しては、顔を覗き込んで状態を窺い、なんとか立てそうならベッドまで肩を貸すなり体を支えるなりして運んでいくだろう )
そんなの気にしなくていいです!…、とりあえずベッドに行きましょう、…ちょっとだけ頑張れますか?




987: 逆巻 傑 [×]
2023-09-28 12:59:30



ん……。
( 依然として早く少女を自身から遠ざけなければという意識はありつつも、今は彼女に頼るしかないのもまた事実で。されるがままに頭を弄られ、促されるまま肯定とも呻きともつかない声を漏らして立ち上がると、体を支えられながらベッドへと歩みを進める。「…やっぱりあれ、運んでおいてもらっていいすか。テーブルの上とかに適当に出しておいてもらえればいいんで」最中、取り落としたトートバッグと散乱した見舞いの品たちに再度ちらりと目を向けては、もはや自力では不可能と判断した運搬作業を申し訳なさそうに頼み。無事にベッドに腰を沈めたならそれで相手は帰るものだと当然に考え、玄関扉に郵便受けのない造りと持たせておいても悪用はしないだろうという信頼から、二つある自宅の鍵のうち一つを託すことにして )
…ありがとうございます。……あ、鍵…は、玄関横の棚に一つあるんで、それ使って…施錠だけ、お願いします。




988: 永瀬ひな季 [×]
2023-09-28 14:31:41



玄関横の棚、ですね。わかりました、帰りにしっかり施錠していきます。
( 途中の頼みごとには「もちろん、やっておきますね」と笑みを添えながら快諾する。自分より頭ひとつ分ほど背丈が高い彼だけれど、痩躯であるおかげかなんとか自分一人でも支えることができ、無事ベッドに運び終えるとほっと小さく安堵の息を吐く。支えていた体から伝わった、内側からのじんわりとした熱さ。熱、どれくらいあるんだろう。施錠の旨を伝えられると、場所を確認するように反芻しながら一度玄関の方を振り向くと、また相手に向き直ればこくりと頷いて。それから散らばった物を片付けに部屋を出るけれど、彼の目には帰ったように見えるだろうか。当然病人をそのままに帰るはずもなく、転がったゼリーやドリンク類を拾い上げると、テーブルの上に持ってきた物を一旦置いておくついでに鍵の場所の再確認。それから一応防犯のために、ガチャリと施錠をする。ひとまずの水分補給にと、持ってきたものの中から冷えたスポーツドリンクを一つ手に取ると、それを彼に渡そうと部屋に戻り。ふと処方箋の袋が目に付くけれど無造作に置かれたままで、もしかしてと思いながら目線を合わせるように屈みながら尋ね )
──…はい、これ飲んでくださいね。病院には行…ったんですね。お薬…まだ飲んでないですか?




989: 逆巻 傑 [×]
2023-09-28 19:24:50



…あぁ、どうも…。
( 部屋を出て行く背を見送ると、頼み事をこなしてくれているらしい物音の後に、玄関の方から施錠音が聞こえ。せめて相手が帰るまではとずっとマットレスに上体を立てていたけれど、その音でもうそれも必要がないと知れば、熱が上がり切ったのか悪寒より火照りが勝って徐にベッドの縁へとスウェットを脱ぎ捨てて。下に着ていた白Tシャツ一枚になり、いよいよ横になろうかというところで、ふと目を上げた先にはいつから居たのか帰ったと思い込んでいた少女の姿。喫驚にぴたりと一瞬静止するも、甲斐甲斐しい看護を受けては流されるように彼女の存在を受け入れ、手渡されたスポーツドリンクも素直に受け取り。近付いた眼差しに「何も食べてないから…」とだけ答えたなら、ただ忘れていただけなのか〝食後〟と書かれた用法を厳密に守ったのか、それ以降に続くはずの詳細は明言せず。代わりに口にした約束は、少女が帰途に就くのを妨げないようにするためのもので )
…後でちゃんと飲んでおきます。




990: 永瀬ひな季 [×]
2023-09-28 21:59:02



…だめです、後回しにしてたら。ますます動けなくなっちゃいますよ。
( お昼を優に超えているこの時間でもまだ何も食べていない上に薬は後回しにとなれば、つい幼い子どもに言い聞かせるかのように自分と彼の間に人差し指を立てながら言い切る。薬を飲んでもらおうと、無造作に置かれた薬の袋を手に取って見てみれば食後に丸の付いた外装。そういうことかと顎に手を添えながら一人納得しては、とりあえず何か胃に入れなくてはと薬の袋を戻し。一人でも簡単に食べられるようにと持ってきたゼリーやレトルトのおかゆの存在を思い返しながら、視線を相手へと戻すと「…おかゆとゼリー、どっちなら食べられそうですか?」とまた視線を合わせるように屈みながら問い掛けて )




991: 逆巻 傑 [×]
2023-09-29 12:44:49



…はい。
( 少女から尤も過ぎる指摘を受けては返す言葉もなく、叱られた子供のように神妙に肯く。頼りのない食欲に委ねていては食事を摂らないまま一日を終えてしまう可能性も否めず、多少無理にでも何か胃に入れるべきかとひとまずは手に持ったスポーツドリンクの蓋を開けて少し口に含み。それが薄らと汗ばんだ体に心地良かったことと、また些細な手間すら惜しむ思いもあって、問い掛けには後者を選択すれば、真摯な瞳に〝いいから帰ってくれ〟とは言えずに帰宅を促すのは須臾の間先送りして )
──…ゼリーかな…。




992: 永瀬ひな季 [×]
2023-09-29 16:15:34



ゼリーですね、今持ってきます。
( 大の大人への対応とは少し違ったとは思うけれど、素直に頷いてくれる様子を見てはほっと内心の安堵が零れるように「よし!」と小さく笑みを浮かべながら頷き返し。一言添えてからテーブルの元までゼリーを取りに行くと、ころころと白桃が入ったカップゼリーに、洗わなくて済むようにとサービスで貰えるプラスチックのスプーン、発熱時の必需品である冷えピタも一緒に持って彼の元へ戻り。彼の傍で床に膝を付いて座るとまずは冷えピタを差し出して。冷えピタを貼るだろう間にゼリーはビニール蓋を剥がし、スプーンは持ち手部分を袋から出した状態にしてから差し出して。それから持ってきたものは多分、必要な時に冷えていた方がいいものたちばかり。さすがに断りなしに冷蔵庫を開けれはしなければ、差し出がましいとは思いながらもおずおずと問い掛け )
とりあえず先にこれと、──…はい。全部食べ切れなくてもいいですからね。…あと持ってきた飲み物とか、冷蔵庫にしまっておいても構いませんか?




993: 逆巻 傑 [×]
2023-09-30 13:32:11



…はぁ、何でも好きに触ってもらって構わないすけど──
( 言動の節々から予感していたが、どうやら少女は出来る限りの看病を終えるまでこの部屋に留まる心算らしい。断りの連絡を入れたのは普段のクオリティを提供する自信がない他、彼女に移さない意味もあり、これでは本末転倒だと密かに零した溜め息はやがて今朝から続く空咳へと変じて。冷却シートを額に貼り付け、咳が治まって一呼吸つくように緩く息を吐き出せば、スポーツドリンクを飲む際はずらすだけだったマスクを片側外して赤ら顔を晒す。昨日から減っていない冷蔵庫の中身を見られることにも特に抵抗はなく、礼儀正しい求めを悩む素振りもなくあっさりと許諾したなら、透明なゼリーにスプーンを差し入れて )
…移るといけないし、あんまり長居しない方がいいすよ。




994: 永瀬ひな季 [×]
2023-09-30 16:13:59



( / こんにちは、お世話になっております。今日は終業後に予定がありまして、帰宅後にお返事の時間が取れそうになく明日お返事致しますことをご承知おきくださいませ…!
ご報告ついでに展開につきまして、以前ご提案いただいた案に向けて筆を進めておりますが、こう動いてくれると助かるな~等ありましたら書き置いていただけると助かります* 特に何もなければこちら蹴っていただいて構いません◎ )




995: 逆巻 傑 [×]
2023-10-01 11:54:19



(/ ご連絡ありがとうございます。内容自体は昨日から把握していたのですが、お返事が遅れて申し訳ございません…!了解です!
展開につきましては、移るのを心配している逆巻に「じゃあマスク持ってないから買ってくる」という旨の発言をしていただければ黒マスクを渡しやすいかな、といったくらいで、他に腹案があればそちらを優先してくださって構いません。例のシーンの後はそっと帰られるでも、一緒に寝ちゃうでも、私の中で何も決まっておりませんので背後様のお好みの展開にしていただければ幸いです…! )




996: 永瀬ひな季 [×]
2023-10-02 06:52:58



( 乾いた咳が続くと心配のあまりいろいろ問い掛けすぎたかと少し反省し、背中を摩るべきかはらはらとした思いでいれば、そのうちに咳は治まったようでゼリー達が彼の手元に渡り、物を触る許可を得ると「ありがとうございます」とほっと膝の上に手を落ち着ける。熱を帯びた頬が晒され、後で熱を測ってもらおうと考えているところに指摘を受けては、お見舞いの品を渡すだけのつもりで来たためにマスクを持ってきていないことを思い出し、無防備な状態の口元に触れてはっとして。移さないようするためにも休んだだろうに、これでは元も子もない。かと言ってまだ帰宅できるほど安心できていなければ、それならと徐に立ち上がっては )
…あ。じゃあ私、マスク買ってきます!まだちょっと心配だからもう少し居たいし…すぐに呼べる人が近くにいる方がいいでしょ?

----

( / いえこちらこそ急用が重なってしまいまして、昨日はお返事できずに申し訳ございません!お返事お待たせ致しました;
マスクの件、どのように持っていくか悩んでおりましたのでその案で進めさせていただきました◎ 最後の展開につきましても了解しました!ありがとうございます。こちら蹴り推奨です* )




997: 逆巻 傑 [×]
2023-10-02 08:49:32



…ん゛っ。
( 彼女の一言で帰宅を促すどころかいよいよすぐには帰せない方向へと状況が転びかけると、喉越しの良いゼリーを詰まらせたかのような声を漏らし。実際にはそんなことはなくつるりと飲み下したのだけれど、ゆっくりと持ち上げた眼は〝どうしてそうなる〟とでも言いたげに半目気味で。しかし100%の善意を向けられては途端に弱く、段々とたかが風邪でそこまで頑なになることもないのではと思い始めては視線を数センチ横に逸らして。諦めて吐息と共に小さく肩を落とすと、行動の早い少女を引き止めるべく、テーブルの上にある愛用の黒マスクの箱を指差し )
…マスクならそれ使ってください。水瀬さんには少し大きいかもしれないすけど、まぁ、しっかりめに。




998: 永瀬ひな季 [×]
2023-10-02 13:55:41



( 絶対何かツッコミたそうな目だ。とある動物を彷彿とさせる眼差しに「え」と小さく声を漏らしながら、ほんのりと萎縮するように両手を胸の前に構えるように添える。小時の沈黙を破った溜息の後に、彼が普段使うマスクの使用許可を得てはほっと構えを下ろすと、買いに行く手間が省けたお礼を伝えながらマスクの箱から1枚取り出して早速装着し。部屋にお邪魔しているのなら帽子は外した方がいいか、と今更ながらに思えばついでに変装が不要になった丸眼鏡も一緒に外すと、床に畳んで置いたトートバッグの上にひとまず置いておいて。普段は女性用の小さめマスクを身に付けるからか、大人用──それも黒色マスクを着けるのは少し新鮮。少し大きいけれど彼とのお揃いマスクがちょっと嬉しくて、にこやかに目元を和らげて )
ありがとうございます…、1枚もらいますね。──…えへへ。これでばっちりですね!…そうだ。熱、あとでちょっと測ってみてくださいね。




999: 逆巻 傑 [×]
2023-10-03 08:41:43



…やっぱり少し大きいすね。…貸して、
( 少女がマスクと引き換えるように周辺のアクセサリーを外すと、顔の上に残るのは揃いの不織布。白桃を口に入れていたため検温の勧めにだけこくりと頷いて応えてから、口内を空にして改めて見た感染への備えはやはり少しばかり緩いようで。承諾の返事を待たずして相手の耳元に手を差し伸べては、奪い取るように着けたばかりの黒マスクをさらう。彼女の顔の大きさに合うように耳紐を結んで短くすれば、今度は相手の手元へとそれを返却して。それから三分の二ほど食べたゼリーをテーブルに置いて薬を飲み、朝計ってからそのままにしていた体温計を脇に差し込む。暫くして電子音の鳴ったそこには、変わらず『38.5℃』が表示されていて )




1000: 永瀬ひな季 [×]
2023-10-03 21:19:43



あ、…りがとうございます。
( 視線が目元よりも少し下に注がれているからか、マスクへ手を掛けた時の彼の睫毛は憂いを含むようなすだれ睫毛になる。リップメイクに彼が集中した時も同じで、それもまた好きなところの一つ。黒目がちな瞳は仕草に奪われつつ、再び手元に帰ってきたマスクを改めて付け直せば先程よりもフィットしたなら、改めてお礼を告げた表情はマスク越しでも柔らかく。──ピピ、と静かに検温を終えた体温計。手元を覗き込むように小さな画面に表示された数値を見るなり、双眸をぱちぱちと瞬かせて。中々の高熱に思わず素直な感想を溢せば、ベッドの枕元をぽんぽんと軽く叩いて早く寝るように少し慌ただしく催促をして )
──…わ、高っ。薬も飲んだことですし、寝ましょう!ねっ!




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