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 可愛いの魔法 (〆)/2076


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自分のトピックを作る
281: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-13 20:13:26



( 牧さんから貰ったお菓子を食べたことで少しはSAN値が回復したような気がするけれど、再び始まった収録はいよいよ地獄の企画へと移り。自分よりかは多少ホラーが平気な彼女達でもやはり一人きりは怖いのだろう、怯えた悲鳴が時折響いて聴こえてくる度に恐怖が倍増させられ──ついにトリである自分の番が巡ってきた。メンバーから〝頑張って〟と肩をぽんと叩いて激励を送られるけれど、心臓がドキーンと跳ねて痛い。色白の肌は最早青白いまでに至りながらとうとう一人で廃ホテルへとビデオカメラを片手に足を踏み入れて )
──…うえぇ、だだ誰かの足音っ聞こえ…痛っ!もうやだぁ帰りたいぃ…。リタイアしちゃだめですか…。
( 〝※自分の足音です〟と注釈テロップが入ることになるレポをしながら、他のメンバーに比べかなり遅い進度なものの恐怖に支配されるなか健気に廃ホテルの中を探索して。相変わらずちょっとした音にも敏感に反応してしまうせいで壁に頭を軽くぶつけてしまったし、もうここが何階かも分からない。めそめそと弱気な声でインカム越しにスタッフへと話しかけた時、ジジッ…とノイズが走る。突然のことに背筋が凍り、ツゥと冷や汗が頬を流れ。「っ…、やだ、どっきりなんて、やめ…──」絞るように出した声は、ジ…ジジ、と不規則なノイズ音に混じり聞こえる歪んだ声によって、悲鳴へ塗り変わり )
っ…───きゃあぁっ!

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( / ひな季が廃ホテルに潜入中は逆巻さん行動しづらいと思いますので、インカムの不調まで一気に進めてしまいました…長くなってしまいましたがご容赦くださいませ…! ※蹴り可 )




282: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-14 00:28:47



( / もしも返しづらければ書き直しますので、遠慮なく仰ってくださいね…! )




283: 逆巻 傑 [×]
2023-05-14 00:49:58



( 水瀬ひなと連絡がつかなくなったと担当者から声が上がったのは、すっかり辺りが夜に包まれて、空に星が燦然と輝く頃。暇潰し程度にタブレットで眺めていた電子雑誌から顔を上げて話に耳を澄ませば、どうやら彼女の側で何かが起こったわけではなく、単なるインカムの不調のようで。しかし事の切迫度合は他のメンバーの動揺した表情から推して知るべしだろう。収録開始前や小休憩時に目にした彼女の怯えようは相当のもので、無事に企画を達成するどころか、一人で戻れるかどうかも定かではない。プロデューサーも同様の考えなのかタレントを探しに出るよう指示を出すと、彼らは当然のようにいそいそと機材の準備を始め。どうやらこんな状況でも〝良い画〟を撮る腹積もりらしい。業界人のエンターテイメント精神には頭が下がるばかりだが、その光景にすうと心が冷えてゆくような感覚を覚えれば、何か物言いたげに立ち上がったマネージャーと同じタイミングで席を立つ。そのまま座席の間を通って乗降口へと向かう道すがら、彼女に「俺も行きます」とだけ伝えると、間取りさえ把握していない廃ホテルへと真っ先に踏み込んで。早足に潜った出入口の先は不気味な程に静まり返って、そして暗い。けれども眉一つ動かすことなくスマホのライト機能を使って辺りを照らしては、早く見つけなければという思いが先行するせいか、大声で名前を呼ぶこともしないままに唯々足と首を動かし。そうして順番に部屋を調べるうち、とある部屋の奥に蹲った人影のようなものを認めれば、そちらへとライトを向けて )

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(/ ご配慮ありがとうございます…!こちらこそ無駄に長大な文章になってしまいましたが、何卒ご容赦ください…。逆巻が見つけた人影はストレートにひな季ちゃんでも、ちょっと焦らして違う何かを見間違えたことにしても構いませんので、この先の展開はどうぞご随意に…! )




284: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-14 02:23:06



───…っ、も、やだぁ…。
( 歪んだ声は頭をぶつけた時にインカムが不調を起こしたせいだけれど、恐怖の渦中にいれば当然怪奇現象に結びつけてしまうわけで。これ以上付けていられずに防衛本能でつい耳から外して放ってしまえば、ガラクタや空き缶などが転がる荒れ気味の室内にガシャっと音が響き、それにすらびくっと肩を震わせて視界が涙で滲んで。もう出ようと思って周りを見回すけれど、あちこちにうすらと浮かぶ壁のシミは人影に見えたり、ちょっとした動きで軋む音を立てる床は他に誰かいるのかと錯覚したり。視覚や聴覚からの情報は全て恐怖へと変換されてしまえばその場から動けなくなり、へなへなとその場に膝を抱えるようにしゃがみこみ。弱々しく呟く声とは裏腹にドッドッと不安と焦燥で速まった鼓動はうるさくて、どうにか鎮めようと胸の辺りを押さえては少し硬い感触にネックレスの存在を思い出すと、服の上からぎゅっと助けを乞うように強く握りしめる。──ふいに、どこからか足音のようなものが聞こえたかと思うとそれは徐々に近付いてきているようで。まさか、幽霊。そう認識した瞬間、怖くて震えが止まらず喉が引き攣って声も出せなくて。ついにすぐそこまで音が来た、──と思って双眸を強く瞑るけれど、どうやら真下の階だったらしくほんの少し安堵する。しかしそれも束の間、いずれこの部屋にやってくるかもしれないと思うと怖くて堪らない。恐怖で固まる体をなんとか入口近くの壁側へ背を付ける形で寄せれば、最早カメラなんて気にしていられず顔を伏せてカメラをお腹に置くように蹲り、片耳を塞ぎながらもう片手はしっかりとお守りを握って小さく震え )

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( / いえいえ全然読みやすく、スタッフさん背景の描写も分かりやすくてありがたいです…!こちらは性懲りもなく長くしてしまった上に、お言葉に甘えて焦らしてみました。次レスからは通常くらいにはなるかなと思います、多分…。多分ですので多少長くてもご容赦を…()背後様も次レス以降ガツンと描写数が減ってしまっても、また書きたいだけ書き綴っていただいても構いませんので、お付き合いよろしくお願い致します…!蹴り可です! )




285: 逆巻 傑 [×]
2023-05-14 10:38:06



( 昼白色のライトが照らす先にあったのは奇妙な造形の置き物。落胆の溜め息を漏らすと共に何故こんな物がホテルに、と考えるけれど、大きく見開いた両眼で此方を真っ直ぐに捉えるそれは明らかに恐怖感を煽るよう仕向けられていて、大方誰かが廃墟となった後に面白半分に持ち込んだ物か不法投棄品か、はたまた番組スタッフの仕込みかと当たりを付け。生憎刺激の強い海外ホラーに慣れてしまった身では設置者の思惑通りの反応を示すこともなく、どこか冷ややかな目で一瞥するのみで踵を返すと廊下に出て捜索を再開し。以降も虱潰しに部屋を回るも彼女の姿は見当たらず、一階を調べ終えては二階へと続く階段を上がる。間取りも下の階と大差なければ静けさも相変わらずのそこを、自分の立てる音だけがやけに響くのを無感動に聞きながらまた順に客室の扉を開いてゆき。そのうちの一つ、『216号室』と掲げられた扉の先に今度こそ本物の人影を発見すると、顔の見えないその存在へとそっと問い掛けて )
…水瀬さん?




286: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-14 14:16:48



( 先程よりも鮮明に響いて聞こえてくる足音は確実に自分がいる階に辿り着き、この部屋に向かっていた。そのことに気が付けば恐怖で強張った体をより小さく縮め、手のひらを強く耳に押し付けて。ごめんなさい、こっちに来ないで。そう頭の中で繰り返し唱えながらロザリオの如くネックレスを握り、双眸をぎゅっと強く瞑るけれど、その思いも虚しく扉は開かれて──ふいに聞き馴染みのある声で、名を呼ばれる。ぱ、と顔を上げ現実を確かめるように瞬いた双眸から、ほろり大粒の涙が頬を伝い落ちたが合図かのよう。あんなに強張っていた体がやっと動く。何かに弾かれるように立ち上がれば、カメラが転がり落ちるのも気付かず彼の懐を目掛けてぎゅうっと飛び付くように抱き締めると、生身の人間の体を感じて安堵したからか堰を切ったように大粒の涙がぽろぽろと溢れ出し )
…っさ、か、まきさ…っ、




287: 逆巻 傑 [×]
2023-05-14 18:23:00



大丈夫すか。どこか怪我とか、気分が悪いとか──
( 此方を向いた面差しに間違いなく本人であることを確認しては、安否を問いながら身を屈める。その瞬間雫が頬を滑ってゆくのが目に映れば、勢い任せに飛び込んでくる相手を受け止めきれずにへたりと絨毯に腰をつき。捜索班に連絡を入れようと一度ポケットに仕舞っていたスマホへと伸ばした手も、呆気に取られて動きを止めては数瞬の後に彼女の頭上へと収まって。そのまま泣きじゃくる幼気な少女の頭を何度か撫でると、髪の上を流れるようにして手を背中へと移動させ、彼女が落ち着くまで何も言わぬまま優しく叩き続け )




288: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-14 21:13:00



っ…く、…ぅ…。
( ガシャ、と音を立てて落ちたカメラなんて目もくれず、優しく宥めるような温かい手に触れられるとほっとしてまた涙が出てはピーピーと雛鳥のように小さく泣きじゃくる。彼が来てくれなかったら一生出られる気がしなかったと感じるほどには心底安堵して、半ば覆い被さるように抱き着いたままどれくらいの間そうしていただろうか、徐々に泣き声も落ち着いてくるとそれに伴って抱き締めた腕の力も弱まればそうっと胸板から顔を離しつつ、ずぴ、と鼻を啜りながら暗闇のなか相手を見上げて。ほんの少し心にゆとりができたからか、外から微かに聞こえるスタッフ達のざわめきを感じ取りつつ鼻の詰まったような声でぽそっと呟き )
……幽霊に、やられるかと思いました…。




289: 逆巻 傑 [×]
2023-05-14 22:09:24



( 小刻みに震える背を一定のリズムで宥め続けていれば、暫く続いた嗚咽も段々と収まってゆき。もぞと腕の中に動き出す気配を感じ取ると手のひらは背に寄り添ったまま静止し、もう必要がないと知れば自身の膝の上へと無造作に乗せる。相手を落ち着かせると同時に逸っていた此方の気持ちも落ち着いたのか、外の騒ぎなど最早気に留めることもなく、星明かりで仄かに煌めく潤んだ瞳を一途に見下ろして )
…幽霊、いたんすか?




290: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-15 00:45:48



いた…、いました!なんかものすごく、目を見開いた幽霊!手とか変な方向に向いてて…、わたしすぐに、逃げたんですけど…。
( 幽霊の有無に問われれば先刻にこの目で見たものについて、戦々恐々と身振り手振りを交えながら顔を青ざめさせつつ語るけれど、それは相手も見たであろうあの置物のこと。流石にやばすぎる、と命の危険を感じて精一杯スルーした(できてない)けれど相当恐怖を煽られたのか、また思い出したタイミングでスタッフが建物内に突入して来たであろう物音が聞こえてきてはぴゃっと肩を跳ねさせると、相手の懐にまた身を沈めては抱き締める力をきゅっと強めながら震え )
──…ひゃっ…、やや、やばいですよココ…。




291: 逆巻 傑 [×]
2023-05-15 10:04:53



ああ…俺も見ましたよ、そんな置き物。
( 幽霊がいたとの発言に少しばかり興味を惹かれるも、話を聞くうちにそれが先程見間違えた置き物のことであると悟り。この場所に至っているということは相手も同じ道筋を辿ったのだろうし、わざわざ近付いて実情を確認する必要もなかったのだろう。同調するような口振りで応答しつつ、しかし不可視の存在であることは確かに否定して。幽霊の正体見たり枯れ尾花とはよく言ったもので、今の彼女は何であっても怪奇現象と結び付けてしまう状態にあるらしい。こんな派手な足音の幽霊がいるものかと内心突っ込みを入れながらも、小動物のように怯える姿には早く外に出さなければという使命感も働いて )
いや…、…まぁ、そうすね。いい加減出ましょうか。




292: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-15 11:35:34



──…お、置き物…?
( 相手も見たなんてやっぱりここ本物なんだ、なんて思ったのも束の間。続く言葉にきょとんと反芻しながら涙で濡れたまつ毛を瞬かせる。近付いてよく確認するような余裕もなかったし、もしかして相手の言う通り本当に置き物だったのかも…とは思うけれどまた確認する気にはなれないほどには恐怖体験で。相手に出ることを促されると大賛成とばかりにこくこくと頷いては、はたとこの体勢に気が付いて。抱き着いていた羞恥心もさることながら押し倒してしまった申し訳なさもあり、はわわと慌てながらすぐに退いて立ち上がろうと体を離す。そういえば落とした機材達も回収しなければとカメラと、そしてインカムに手を伸ばそうとするけれどノイズや奇妙な歪んだ声を思い出してはその手を止めて )
は、はい。…っすす、すみません今どきますねっ!…、…。




293: 逆巻 傑 [×]
2023-05-15 13:49:44



( 体が完全に自由になると、ゆらりと立ち上がって軽く埃を払う。それからスマホを取り出し、唯一連絡先を知るマネージャーに少女を発見した旨と今から連れて帰る旨を電話口で伝え。彼女を見つけた部屋を口にした時にだけ通話相手が戸惑った声を漏らしたことが多少気掛かりではあれど、それ以上に涙で濡れた衣服を如何に誤魔化すかの方に気を取られていればそのまま流してしまって。短い連絡を終えても少女は未だに地に膝をつけていて、中途半端に腕を伸ばしたまま固まっている様子を見兼ねては、引っ張り上げるべく手を差し出して )
…立てますか。




294: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-15 14:38:17



あ…はい、…。あのインカムなんですけど、さっき変な音とか声がして…それでびっくりしちゃって、わたし…。
( 牧さんに連絡しているようだけれど、会話内容は右から左。他の場所で見た幽霊と思しき姿は置き物であったとして、ノイズや歪んだ声は何だったのかと考えてはどうも拾い難く躊躇われていると、見兼ねた様子の相手から手を差し伸べられる。その手を握り返して引っ張り上げてもらい漸く立ち上がるけれど、建物内にいる限り恐怖は拭えないのか手は握ったまま表情も暗く。破れたカーテンの隙間から差し込む光で微かに存在感を示すインカムのことを指せば、おずおずと先程の出来事について話し )




295: 逆巻 傑 [×]
2023-05-15 15:34:41



スタッフの人はインカムの不調で水瀬さんの声が聞こえなくなったって言ってましたけど…。
( 涙は止まれど曇りは晴れぬ表情で、立ち上がった少女が語ったのは自身が此処に向かうきっかけとなった出来事について。機器には明るくないため知り得るだけの事実を伝えることしか出来ないが、その時頭を過ったのは〝霊が話し掛けてくる〟〝返事をすると異界に連れ去られる〟という例の曰く付きの部屋の噂で。良くない想像をしようと思えば際限がないけれど、ここで不用意に彼女を怖がらせるのはどう考えても得策ではなく、一先ず相手の身だけでも連れ出そうと考えては緩やかに手を引いて )
…インカムとカメラは後で回収すればいいんで、俺らは一旦ロケバスまで戻りましょう。




296: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-15 16:10:49



不調、…うん…。
( 言葉を反芻して原因を理解して飲み込もうとするけれど、いつまでもここにいるのではそれも難しく。戻ることに改めて同意して頷いては、緩やかに引かれる手が離れてしまわないようにきゅっと少しだけ握る力を強めると、インカムやカメラをそのままにして相手の誘導のもと部屋を出れば暗い廊下に出る。手を繋いでいない反対側に何か感じても嫌だし見えない何かに手を引かれても嫌だからと、できるだけ相手側に身を寄せるようにしてくっつきながら、お守りのネックレスを衣装の上から空いている片手で握り締めつつ二人で出口を目指し )




297: 逆巻 傑 [×]
2023-05-15 19:20:28



( 命綱にでも縋るように手元に力が込もるのを感じると、此方も同じだけ握る手に力を込める。彼女を抱きかかえて颯爽と脱出することが出来るならそれが一番良いのだけれど、勿論そんな筋力も体力も度胸も無ければ、さてどう一歩目を踏み出そうかと長い道のりに思いを馳せ。この子だってこの場所まで一人で進めたのだから過剰な配慮かもしれないとは思いつつも、想像するしかない相手の感覚にはどうしても慎重になってしまうもので、ちらりと横目で隣を窺っては提案を )
怖いなら目瞑っててもいいすよ、俺がちゃんと連れてくんで。




298: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-15 21:24:00



いいんですかっ…!じゃあ、お言葉に甘えて…お願いします。
( 相手の提案のなんと頼もしいことか、表情と声をぱあっと明るくしながら暗闇で見えづらいなか相手の声がする方を見上げて。助かる、とばかりに小さな安堵の溜息を吐いて前を向き直すと早速双眸を伏せるけれど、完全に目を閉じれば幾分か平衡感覚を失うようで足元の床が抜けていきそうに思える。少し危ないかも、と判断してはネックレスから手を離すと相手の腕にそっと添えてみせ )




299: 逆巻 傑 [×]
2023-05-15 22:01:54



( 暗闇の中では相手が目を閉じたか否か分かりづらくはあるものの、不躾にライトを向ける訳にもいかず。そこへもう片方の手が寄り添うように触れては、出発の合図と取ってゆっくりと歩み出す。足場の悪い廃墟を視界の閉じた相手と進むとなれば牛歩となるのは致し方なく、バージンロードさながらの足取りで出口へと向かい。道中「そこ、空き缶が落ちてるから気を付けてください」だとか「ここから階段です。一段ずつ行きましょう、一、二…」だとか、出来るだけ途切れさせることなく声を掛け続け、やっと脱出が叶えば密かな達成感と共にぴったりと横に付く少女にそれを伝えて )
──水瀬さん、もう目開けて大丈夫すよ。




300: 永瀬ひな季 [×]
2023-05-15 22:55:37



( しっかりと握られた手や絶え間ない細やかな指示のおかげで、視界を遮断していても物に躓くことなく順調に障害を乗り越えていく。指先から伝わる誘導や相手の声に至るまで全部の神経を集中していたからか恐怖もいつの間にか和らいで、相手が隣にいてくれることの安心感はより信頼を強め。──ふわりと夜風が頬を掠めて、木々の匂いがする。相手の声に合わせ緩やかに双眸を開け瞳が漸く外の景色を捉えると、連絡を受け出口に戻っていた牧さんがそこに待っていてくれていた。「──…牧さんっ!」安堵でまた瞳を潤ませては、相手の元を飛び出して牧さんにぎゅっと抱き着いて。ロケバス内には帰還に気付いたメンバー達が車内から大きく手を振ってくれていて、へにゃりと力なく緩む表情で手を振り返し応える。ぐすぐすと涙腺緩ませる自分の背中を牧さんが摩って宥めながら、彼へ「見つけてくれてありがとう…。」と心底安堵した表情でお礼を告げ )




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