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相乗りで何処までも 【 〆 】/7259


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自分のトピックを作る
441: 探偵 [×]
2022-09-29 19:36:53


それ、褒め言葉でいいんだろうな……ん?ほー足湯か、いいな。さっき顔は十分赤くなってたし、今度は足を茹でて赤くしないとな。
(相棒の口からは謝罪やら褒め言葉らしきものが出ているのだが、やはり笑いは止まらずもはや目に涙まで浮かべている。どうにも言動と行動が一致しなくて、疑いの意を込め細い目で相手をみつつため息を付きながら返事をしていた。卵のセットも終えあとは待つだけ、時間を確認したあとに相棒に妙な声のかけられ方をした。その言葉にいまいちピンと来ずに不思議そうな顔をして軽く首を傾げるが、相手が指さした先をみて納得するように頷く。確かに足湯なら温泉地っぽいイベントでありつつ、かつ人通りの多い道を歩いた足を手軽に癒せるいい場所だ。2~30分という絶妙な空き時間を使うのにもちょうど良い。同意をするため頷こうとするが、そこでふと悪戯心が芽生える。理由は分からないが散々笑われた身、ささやかな反撃くらい許されるだろう。内心ほくそ笑みつつ平然とした顔のまま、団子屋でキャパオーバーで真っ赤になったことを引き合いに出して足湯に行こうと返事する。そこでとうとう耐えられなくなりニヤリと意地悪な笑みを浮かべると、相手から逃げ出すように足早に足湯へと向かって)


442: 検索 [×]
2022-09-29 20:20:49

だろう? 時間を潰すにはちょうど良い。…なっ、今それは関係無いだろう! _ きみも足湯で丁度ハードボイルドが固ゆで卵になるかもしれないね、
(漸く笑いも落ち着いてきた。疑いの目を向けられてはいるが今はそれをスルーすることにした。自分の言い回しでは伝わらなかったようだが、実際に指さした先を見るとピンと来たらしい。本来行く予定の中に入っていた物だし、この温泉地を満喫するには絶好の場所だろう。自分の意見が通ったことに機嫌をよくして早速移動を開始しようとするがその前に団子屋の事を引き合いに出した相棒の返事が聞こえてきた。一泊置いてからかわれてる事を理解すると同時にその時のことを思い出して身体が固まってしまう。それが狙いだったのかニヤリと意地悪な相手の笑みが視界に入ると一気に顔を赤くして、大声を上げてツッコミながら逃げる相棒を追いかける。追いついた時には既に足湯の側だ。軽く上がった息を整えながらも子供っぽい負けず嫌いが優れば此方からも憎まれ口を返しておく。このまま言い合いをして時間を消費するのも勿体ない。相棒の分のスペースを空けて足湯の縁のベンチに腰を下ろすと周りに見習って靴と靴下を脱ぎ、素足を温泉につける準備をして)



443: 探偵 [×]
2022-09-29 21:15:05


誰がハーフボイルドだ!本来ハードボイルドな俺の癒しは一人の静かな時間と一杯の珈琲だが、せっかくここに来たんなら足湯にも浸かっとかないとな。
(好きな子に意地悪をしたくなるというのはよく言ったものだ。少し突っつくような発言をしただけで一気に顔の赤みをぶり返した相手の姿はなんとも可愛らしい。自分が仕掛けた意地悪にさえ反応するのを見れば、もっと構いたくなるのが人の心情だろう。上機嫌に軽く小走りで足湯へたどり着くと、あとから相棒がやって来て負け惜しみが飛んできた。一応言い返しておくがそれも子猫の反撃のようなもの、相変わらず上機嫌なまま相棒に続いてベンチに座り、足湯の用意を始めた。一応ハーフボイルドと言われたのを気にしてか、思い出したかのようにハードボイルドを気取ってなんだかんだと言い訳しつつ、靴と靴下を脱いでズボンの裾を捲りあげて足湯の準備を完了させる。湯の方に居直るとゆっくりとお湯の中に足を沈めていった。途端にじんわりと暖かな湯が足を包んでいく。足湯専用に温度が調整されているのか、熱すぎないのに芯から温められているような絶妙な湯加減だ。思わず目を閉じ「あったけぇ……」とハードボイルドから外れた至福のため息が溢れ出て)


444: 検索 [×]
2022-09-29 22:08:18


…そうだね。……あったかい。冷えやすい身体の末端を簡易的に温める施設というのも実に合理的な発想だ。人々に人気なのも頷けるね
(また反射的に言い返そうとするが口を噤む。調子に乗った相棒に何を言っても軽く受け流されるのは既に経験済だ。この場は流して後から仕返しする方が有効的だろうと判断すればいつもの気取った言い回しも話半分にだけ聞いて流すことにした。温泉卵は卵白と卵黄の凝固温度の違いを使って作るものだ。つまり先程カゴを入れた温泉は少なくとも70度前後だと思われる。それと同じ源泉ならこのお湯も同等の温度であり、安易に足を入れたら火傷をしそうだと持ち前の知識で判断すると入れるのが躊躇われる。だが隣の相棒が躊躇なく足を沈めていき火傷をした時のような反応が見られないのを確認すると自分も恐る恐るつま先から入水させていく。ちゃんと湯加減は調整されているようで思ったよりも熱くなく心地よい温度だ。安堵の息と共に感想を呟く。相棒も似たような感想を抱いているのか目を閉じて湯加減を堪能しているようだ。初めて足湯の存在を知った時はその存在意味を疑ったものだが実際に体験してみるとなんとなく親しまれる理由も分かる。入浴よりも手軽に末端部を温めることで血流を良くして、冷えを改善したりリラックスする効果があるのだろう。検証で分かったことをいつもの様にベラベラ話しながらも他の人の邪魔にならない程度に水中で足を前後に揺らす。足元が温まり自然に肩の力が抜けていくのを感じながらもさりげなく目を瞑った相手の手を取って二人の座っている間で重ねると両方から伝わる熱にまったりした時間に浸り)


445: 探偵 [×]
2022-09-29 22:47:11


真冬に入ったらもっと気持ちよさそうだ……足しか浸けてねぇのに体全体があったけぇな…、……
(早々に足を湯につけたこちらに対して、目を閉じていても相棒が入ってくる気配がない。目を開けチラリとそちらを見ると、恐る恐る足を湯へつけようとしている姿が目に入った。先程の源泉からこの足湯までそれほど距離もない、熱々のお湯が入っていると思っているのかその顔もどこか緊張しているようだった。だが足をつけていくうち自然とその表情は和らいで、安堵の息と感想が聞こえてくる。足湯がどういうものか分かったらしい。またひとつ相棒が初めてを経験する瞬間を目に焼き付けると、目を閉じて湯の温かさと胸に沸いた幸福とを味わっていた。そうして足湯を堪能していると不意に手を取られて二人の間が繋がり、目を開けチラリとその重なった二人の手を見る。あぁ今日は手を繋いでも良い日だったと思い起こすと、ふわりと笑みが浮かんでまた目を閉じた。足と手と、二つの場所から柔らかな熱が伝わってきて体を包み込んで心地良い。隣の相棒の足がフラフラ揺れているのを感じれば、少しだけ足を隣へと伸ばして、相手の足がこちらに近寄る度に足先で相手の足首当たりを緩くつつき戯れていて)


446: 検索 [×]
2022-09-29 23:35:58


それは確かに、今度は冬に来るのも良さそうだ。 ああ、不思議と全身がぽかぽかするね。…足癖が悪いよ、
(初めて足湯を体験したが思った以上に心地が良い物だ。今の季節でもそう思うのだから体の冷える真冬ならばこの温かさに浸るのはより至福のひとときとなるだろう。まだ旅行の半分も堪能していないが違う季節の足湯に思いを馳せるとまた未来の旅行の案として同意を示した。手を重ねた事に気付いたのか閉じていた相棒の目が開くが其方に目線が向けられたかと思えば幸せそうに微笑んでまたその双眼が閉じる。その一連の動作は些細なもので、だからこそ愛おしく思えて自然と自分の口元も緩んでしまっている。足から伝わる熱も手から伝わる幸福も、どちらも全身を満たしていきあたたかい。そのままずっといたいとさえ思う状態だが、つんつんと緩く足首にちょっかいをかけられると足を揺らすのを止める。柔らかな笑い声と共にその行為を指摘するが自分でも足先で相棒の足の側面なぞったり上に重ねて撫でたりと戯れて)



447: 探偵 [×]
2022-09-30 08:58:23


だろ?体が冷えてる時の方がより沁みるんだよなぁ…お前もやってんだろ。なんつーか、まだ旅の序盤だけど、またお前と旅行に行きてぇな。
(体と温泉との温度差があるほど湯に浸かる瞬間は気持ちいいものだ。もちろん薄着で外を歩き回れる今の季節もいいのだが、相棒の言うようにまた冬に来れば違った感覚を味わえるだろう。特に深い意味もなく足でちょっかいをかけていたが、相棒から優しい笑い声が聞こえてくると目を開けてそちらを見た。何か言いたいことがある訳でもない、ただ相手が隣に居たから触れたいやら構いたいやら、そんな気持ちが形になっただけだ。お返しのように向こうからも足が触れてくる。暖かいお湯の中で少々擽ったくて、こちらからも緩く笑いながらお互い様だと指摘してやった。二人で足湯に浸かっているただそれだけの時間。それだけだが、この時間が永遠に続いてもいいのではないかと思ってしまうくらいには心地良い。その思いを自覚すると顔は更に綻んでしまう。風.都.を泣かせたくないという思いを捨てる気はもちろん無いのだが、たった二人の時間が幸せ過ぎて、気づけばその思いを口にしていて)



448: 検索 [×]
2022-09-30 10:05:02


山の中の様だから雪も降るだろうし、景色の印象も大分変わりそうだ。なんの事やら。 …なら、また亜樹ちゃんにお休み貰える様に仕事の方を頑張らないとね。お金も必要だし街が平和な程、暇な日は増えるだろう?
(気温や身体の表面との差による温泉の有り難さも違うだろうし、そもそもこの温泉街の風景すら雪が積もってまた違った物に見えるだろう。徐々に景色の変わる日本の四季はまだ自分にとっては新鮮で、旅先でもそれを感じられるのは良いことのようにも思えた。足先で相手と戯れていたが視線を感じて相棒の方に顔を向ける。お互い緩く締まりのない表情をしてしまっているがこれも足湯の効果だろうか。自分もちょっかいを掛けている点については楽しげに惚けてみせながらも最終的には足の側面同士をくっつける形で動きを止めた。事件を追っかけているのでもない穏やかな時間。そんな中相棒の言葉が聞こえてくればぱちりと瞬きした後に胸を締め付けられる想いと共に重ねた手を軽く握る。今回は不意に舞い込んできた旅行だが今度は二人で行き先を決めるのも悪くないだろう。相手と居られるなら何処だって良いが、自分だけが相棒を知っている地で独り占めできる時間はより特別なものだ。その願望の実現に向け、具体的な道を示してみる。言ってしまえば仕事を頑張って所長の機嫌を取るというこの旅行を勝ち取った事の延長戦だ。だけどそれが街を守る使命も二人の時間を得ることもどちらも投げ出さない唯一の手で、機嫌良くその事を提案してみて)



449: 探偵 [×]
2022-09-30 12:14:32


雪か!この街に雪が積もったらきっとまた別世界だな。……なるほど。アキコが納得するくらい事件を解決して、街を平和にすりゃいいわけか。帰ったら忙しくなるが、風,都,とお前との時間のために頑張らないとな。
(相棒の言葉にハッとなり顔を明るくさせながら期待を膨らませる。風.都.でも雪は降るがそこまで積もるものでもない。対してこの山の中の温泉街なら一面雪に覆われ景色も真っ白へと変貌を遂げるだろう。立ち並ぶ日本家屋に雪が積もれば幻想的な風景になりそうだと思いを馳せた。またここに来るにせよ、他の場所に行くにせよ、その時は必ず相棒と共に行きたい。並べるように触れ合う足と繋がれた手、温かな湯に包まれた状態で溢れ出た願望に、重なった手に力が入るのが分かる。それだけで相手も同じ事を望んでくれているのだと分かって、またふわりと幸福が胸に宿った。そして相棒の提案には思わず笑ってしまう。どうやら答えは至極簡単で、『今まで以上に頑張る』で良いらしい。所長様の機嫌も、2人でどこかへ行くための時間も、資金も、今まで通り街を泣かせないため動くことで解決できる。どちらかの為にどちらかを捨てる必要などなかった。相棒の言葉に納得するよう返事をしたところで、自然と出た自分の言葉に気を奪われる。今まで街を泣かせない事を心情に生きてきたが、相棒は今や風,都と同列に語ってしまうほどに、その存在が自分の中で大きくなっていたのだ。また顔が綻ぶ。相棒の提案を誓いとするようにこちらからも軽く手を握り返して)


450: 検索 [×]
2022-09-30 13:27:05


風.都.はなかなか雪を積もることはないから一面雪景色っていうのもいつか見てみたい。 そうだね、色々と大変かもしれないけれど二人ならばきっと叶えられるさ。…何はともあれ、未来の事よりも今はこの旅行を満喫するのが最優先事項だ。
(冬の頃はあまり外に出た事がなかったが、窓から見える景色も相棒のジャケットの肩にも雪という存在をあまり感じることがなかった。となれば雪を見るためには他の場所に行くことになるだろう。まだ見ぬ景色を想像すれば期待が膨らんでまだ数ヶ月先の季節の事ではあるが願望を口にする。冷えきった気温の中では温泉と同様に繋いだ手の温もりは離し難いものになりそうだ。それを叶える為にやる事はシンプルで基本的なことの繰り返しだろう。依頼人に手を差し伸べること、メモリの脅威から街を守ること。その量は所長を納得させる為に多少増えるかもしれないが、この時間がもたらす幸せの事を思えば幾らでも頑張れそうな気がしていた。二人ならば何でも出来ると根拠もなく信じられる。相手からも手に力が籠るのを感じればまっすぐと目を合わせて自分なりの直感で宣言をした。そんな穏やかで幸せな時間を噛み締めていたが、ふと足湯の小屋に設置された時計を見ればそろそろ良い具合の時間だ。これからの事を色々考えるのも良いがまずはこの旅行を楽しむのが第一だろう。時計の方に軽く目配せすれば血行が良くなって軽く火照った足を湯から引き上げる。靴の方向に身体を向き直すと鞄の中から持ってきたタオルを取り出し水滴を拭って靴下、靴を履き)

451: 探偵 [×]
2022-09-30 15:57:48


俺も一面の雪景色ってのは見たことねぇな…旅行先候補に加えとくか。……ったく、昔のお前に今の言葉聞かせてやりてぇぜ。と、そろそろか…
(二人でまた旅に出るのなら、今回の温泉地のように二人とも知らない場所の方がいい。相棒の初めてを見るのも楽しいが、一緒に初めてを共有した方がより思い出にも残る。雪国だけではなく二人で行きたいところはきっといくつも増えていくだろう。その為にもよりハードボイルドな探偵として風の街を守っていかなければならない。相棒の願いとも取れる宣言に頷く。出会った当初は感情よりも理論や確率を優先する男だったのに、今や相棒は不確実な未来を望んでくれている。しかもそれが自分との旅行だなんて、これもまた昔であれば非効率的だなんて一蹴されそうなことだ。こんな感情は自惚れかもしれないが、相棒が自分と居ることで大きく変わっていっていることが堪らなく嬉しかった。それは相手がこちらの色に染まったという事でもあって、一瞬このままもっと、と黒い感情が顔を覗かせるが、直ぐに足湯にその感情を溶かしておく。代わりに相棒にはすました顔でからかいの言葉を投げておいた。相棒につられ時計を確認すればそろそろ出来上がりの頃合い。名残惜しいが足を湯から上げて同じくタオルで水気を拭うと靴下、靴と履いていった。そして傍らに置いてあった耐熱手袋を差し出す。あの穴に顔を近づけた時の熱波を相手にも体験してもらわねば、「火傷しねぇようにな」と一言忠告しておいて)


452: 検索 [×]
2022-09-30 17:26:37

甘ったるい相棒の傍に居たら、すっかりぼくまで絆されてしまったようだ。分かってるよ。……取れた! 見た目はあまり変わってないようだね。
(どうやら相棒も一面の雪景色というものは見た事ないらしい。この前選ばなかった遊園地も含め相棒と行きたい場所は増えていく一方だ。その全てを回りきるには相当の年月が必要になりそうだ。そんな思案を始めてしまうほど相棒との旅行は楽しいもので、何処に行くとしても共にいたいと強く思っている。そんな次の旅行先の候補を考えていると相棒からからかいの言葉が飛んでくる。それは何度も自分でも感じていたことだ。理論と事実だけが全てで確実な最適解しか計算することのなかった悪魔は誰よりも優しく熱く甘い男にたくさんのものを注がれてすっかり飼い慣らされてしまった。先の見えない未来でも相棒とならば大丈夫だと完全に信じてしまえるようになるくらい考え方も抱いた思いも変わっている。過去の自分が今の自分を見れば色々と酷い言葉を浴びせてきそうであるが、あの時出来なかった選択をした結果がこれだ。後悔のひとつもない。そんな変化の原因である相棒に柔らかくなった笑みを向けながらそう告げると立ち上がる。耐熱手袋を手渡されると意図を察して頷き、卵を入れた岩場に向かう。該当箇所を見ればそれぞれの印の書かれた卵が2つ、籠の中で湯に浸かっている。手袋を装備し穴を覗き込むような形でカゴを引き上げようとすると湧き上がる蒸気が肌を撫でる。じわりと汗をかきながらも落とさぬようにゆっくり引き上げていく。無事に回収しカゴから皿に出してみるが温泉と同様湯気が出てる以外は最初の生卵と外見的差異はない。汗と蒸気で若干崩れた前髪を直しながらも手袋越しに卵を軽くつついて状態を観察し)


453: 探偵 [×]
2022-09-30 18:35:48


誰が甘い探偵だ!……まぁ殻割るまでは分かんねぇもんな……あっちッ!!
(出会った当初、悪魔の名に相応しい振る舞いをしていたのが遠い昔のようだ。何もしなかった罪を背負った相棒が、こうも自由に自らの意思で未来に願いをかけている。こちらに飛んでくるからかいや憎まれ口だって慣れたものだが、当然言われっぱなしにはしておけない。いつもの如く、ハードボイルド探偵のプライドにかけてツッコんでおいた。岩場に戻ってくると相棒の隣で慎重に引き上げられる卵をなんとなく緊張しながら見つめる。きちんと互いの記号が描かれたままの卵達は特に見かけは変わっていない。温泉卵なんていくらでも作られてきたもので、正しい位置に正しい時間漬けていれば出来るのは分かりきっているのだが、中身が見えない以上、きちんと出来ているのかと僅かに不安が過ぎっていた。皿に出された自分の卵と相棒がつついている卵を見比べるがやはり変わりは無い。暫く皿を持って中にある卵をコロコロ転がしていると、卵からモクモクと立っていた湯気はなくなった。そろそろ冷めたかと卵を手に取る。だが、残念ながら湯気はなくとも中身の詰まった卵はまだしっかりと熱を持っていて、思わず声を出して卵を放り投げてしまった。どこかにぶつかれば割れてしまう上、地面に落としてしまえばせっかくの待ち時間が無駄になってしまう。素早く反対の手で卵をキャッチするもやはりまだ熱く長くは持っていられない。また卵を放り投げ、キャッチしては投げ、暫く熱々の卵でお手玉を羽目になり)


454: 検索 [×]
2022-09-30 19:21:44


ちゃんと条件は達成していたから出来ているとは思う。…火傷に気をつけるのはきみの方だったようだね。
(いつの日か定着したいつものやり取りだ。甘いと言われるのを嫌がる相棒ではあるが、本当にハードボイルドの様な性格をしていたなら自分だってここまで変わることは無かったように思う。 とはいえ律儀に反応するのは面白いから甘いと揶揄うのを辞めるつもりもないが。しっかりと店員の言った方法と時間には従ったし、理論的にも間違いなく成功はしているはずだ。どちらにしろ外見から分からないのなら実際に割ってみて判別するしかない。暫く放置していると湯気は収まり今度こそ入れた時そのままの姿に見える。だが熱を持った物質は一般的には外から熱が逃げていくため中はなかなか冷めにくい。手袋を外した指先で軽く殻を触って触れる程度温度を確かめていたが、一方の相棒は待ちきれずに卵を持つ。案の定中はまだ熱かったようで声を上げて忙しなくお手玉する羽目になった相手に呆れたような視線を送る。火傷を注意していた本人がこれだ。下手に横槍を入れたら落としてしまいそうで愉快にお手玉している様を軽く笑いながら見つつも自分は服越しに卵を持ってみる。まだ熱いが持てないほどでは無い。そのまま岩場に軽く打ち付け殻にヒビを入れ、皿に割ってみるととろりと白身が半熟気味の温泉卵がお目見えして「おお…ちゃんと出来てる…」と感嘆の声あげ)


455: 探偵 [×]
2022-09-30 23:03:08


火傷はしてねぇからセーフだ、セーフ。__よし、俺のも出来てる……うん、うめぇな!
(卵のお手玉に苦戦していると相棒の呆れた声が飛んできた。ちょっとの熱さくらいなら耐えられると思ったが、卵は予想を遥かに超えて熱い。改めて岩場の間に湧く源泉の熱さを思い知る事となるとは、耐熱手袋を貸し出す理由も分かる。お手玉してる間に相手は服を挟んで卵を掴むことによって熱さを回避していた。さすが相棒、効率的かつ合理的手段を選ぶのが早い。どこか恨めしげに思いながらも、卵をお手玉しながら相棒の卵が割れるのを見守った。中から出てきたのは白身がトロトロの温泉卵、思わず相棒と一緒に「おぉ」と感嘆の声を上げた。相棒の卵が上手くできているのなら、隣に置いていたこちらの分も問題ないだろう。お手玉のおかげで大分と卵は冷えたようで、ようやく素手で持てる熱さとなった。手頃な岩場に軽く打ち付け、皿に中身を落し入れる。こちらの卵も無事温泉卵となっていたようで、トロリと中身が皿へと落とされた。お手玉して中身が無茶苦茶になっていなくて良かったと一安心である。紙皿と一緒に渡されていたプラスチックスプーンを相手に渡すと、早速一口分を掬いあげ口へと運ぶ。見た目通り温泉卵はトロトロで、温泉成分のせいか何も付けていないのにほんのりと塩気を感じる。数度頷きながら相棒にその美味しさを伝えていて)


456: 検索 [×]
2022-09-30 23:35:47


温泉卵作りは成功のようだね。…白身の方がとろとろしているし、黄身がいつもより橙色が強いのは温泉の成分のせいだろうか。…ん、確かに卵だけなのに美味しいね。
(何とも調子の良い言い訳だ。だが少しでも早く出来上がったものを食べてみたいと先走る気持ち自体は理解できるためこれ以上ツッコミを入れるのも野暮だろう。お手玉をしてる間に冷めたのか相棒が皿に割落とした物も無事温泉卵に仕上がっているようだ。目的が達成されたことに喜びを共有するように声を掛けた。プラスチックスプーンを受け取ると中央部に差し込んで中の様子を観察する。1度見た事のある半熟卵は白身が固く黄身が柔らかかったが温泉卵はその逆だ。それに中身の比較的固まった黄身はいつも見掛ける物よりも橙の色が濃い。そういう品種の物なのか温泉によるものなのか分からないが何とも珍しい。隣の相棒の味を絶賛する声が聞こえてくれば漸く観察の段階を終えて一口分掬って口にしてみる。見た目通りとろとろした白身の食感がして少し変わった味がする。熱々ということもあって卵だけなのにより一層美味しく感じれば相棒と目を合わせ頷きつつも早速二口目も口にして)


457: 探偵 [×]
2022-10-01 14:23:44


だな。材料でいや普通の目玉焼きとかゆで卵とかと一緒なのに、全然味わいが違うの不思議だよな。
(相棒の呟きを聞いて自分の分もよく見てみると、確かに黄身の部分が記憶にあるものより橙色に染まっている。観察眼には自信があるが、こんな何ともないことさえ拾い上げる相棒のそれもなかなかに鋭い。スプーンの端でプツリと黄身を潰してやれば、中からもトロトロと黄色の液が溢れでて、白身と混ぜつつ食べれば濃厚な卵の味が口に広がった。温泉卵なら事務所でも作れるかもしれないが、この温泉街の源泉を使ってつくる温泉卵は間違いなくここでしか食べられないもの。量としては卵一個分で、サラサラと口に流し込むとあっという間に食べ終えてしまった。腹の足しでいえばそこまでではないが、今はこれくらいにしておいて夜を楽しみにしておこう。食べ終えた皿を下げた時、ふと視界の端に色鮮やかなものがうつる。目を向けてみればいわゆる顔出し看板がいくつか並んでいて、温泉に入っている人や猿、温泉卵になったりとバリエーション豊かだ。普段ならば目にもとめないものだが、ここが観光地なら思い出を形に残しておきたい。少々恥ずかしくとも旅の恥はかき捨て、ということにしておけばいい。だがまったく抵抗がないとも言えず、結局は看板の方を指さしつつ「あれやってみるか?」と冗談混じりに相棒へ聞いてみて)


458: 検索 [×]
2022-10-01 15:28:23


この味の再現は難しいだろうし、温泉街ならではの名物と言えるね。やってみるって、ただの看板にしか見えないが…。…なるほど、この土地に来たということを写真に収める為のスポットという訳だ。せっかくの旅行だ、ぼく達も写真を撮ろう
(味の違いは何処か生まれるのかという疑問は検索したり成分を分析すれば分かるだろうが今大切なのはそこではない。他では食べることの出来ないようなこの絶妙な味を共有して食べている点だ。材料こそ卵一つではあるがこれも立派な観光地の名物だ。残りの卵も残さずスプーンで掬って口にすると貴重なその味と感触をしっかり記憶に残すように味わった。団子と合わせてもまだ胃には余裕があるが、相棒がやたら強調する夕食を楽しむための繋ぎとしてはこれくらいが妥当だろう。温泉街の名物を満喫した所で相棒の提案と共に指さした方向に目線を向ける。温泉街をモチーフとした背景や名物を描かれ妙な所に穴が空いている看板が並んでいるがそれがどう『やってみる 』に結びつくか分からず困惑した面を見せる。こうして鑑賞する以外の使用用途があるのだろうか。そこで同じく観光客と思える家族連れが看板の方に向かい、子供が看板の裏面から穴に向かって顔を出し親がカメラを構える様子を見て撮影スポットだと察しがついた。せっかくの旅行だ、記憶だけでなく記録にも残しておきたい。良いアイデアだと提案に頷くと唯一持ってきていたバ.ッ.ト.ショ.ッ.トを鞄から出し起動し、意気揚々と看板の裏側に回り温泉卵の穴から顔を出してみて)



459: 探偵 [×]
2022-10-02 18:31:00


まぁちょっと間抜けだが旅行っていやこれだからやっておいて損はな……ブフッ、ハハハッ!お前似合いすぎだろ!
(相棒の視線が看板へと向いて最初は不可解な顔をしていたが、運良く家族が見本となってくれて顔出し看板の使い方を理解したようだ。ああいうのは誰がどうやっても可笑しくなり、それが旅の思い出となるわけである。所長に与えられた条件である『全力で楽しんでくること』の証明としては十分すぎる証拠写真になるだろう。どういう反応をするかと相手を伺っていたが、やはり未知のものには乗り気なようで、躊躇することなく看板の裏にかけていく。選んだのは今しがた食べた温泉卵の看板だ。お湯に沈められた卵が2個並んだ看板で、当然穴は二つある。あれなら二人で並んで顔を出すことが出来るだろう。だがこちらが裏へ回る前に相棒は覗き穴から顔を出していて、その姿をばっちりと見てしまった。数秒は耐えられたのだが、手描きで独特の味がある緩い温泉卵の絵に相棒の嬉々としたがポツンとあるのがなんとも面白くて、吹き出した後に盛大に腹を抱えて笑いだし)


460: 検索 [×]
2022-10-02 19:24:34


…何がそんなに面白いんだい? 一緒に撮るんだろう、きみも早くこっちに来たまえ
(この温泉街の風景や名物の写真はインターネットや雑誌などで見ることが出来るが、そこで観光を満喫する姿は実際に来ないと撮れない物だ。旅の記録として残す意味でも所長に思い出話をする時の材料としても2人の姿を写すというのは欠かせないだろう。その背景としてこの看板で写真を摂るというのもなかなか観光地らしい。そういう考えの元一足先に看板の中から顔を出して相棒が来るのも待っていたが、数秒目が合ったかと思えば腹を抱えて笑い出してしまった。イラストの看板と人の顔を組み合わせるというのは確かに奇妙な状況ではあるが知っている実例は先程の家族しかなくピンと来ない。似合うという言葉を褒め言葉と解釈してはそれに反する相手の反応に若干眉を寄せて緩い温泉卵のイラストの穴から真顔に近い表情で問い掛ける。どちらにしろこの状況で撮った写真を見てみればその理由が分かるかもしれない。笑い続ける相手に隣に空いた穴を指でさしながら同じく裏に回って写真を撮る準備をするよう急かして)



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