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鞍馬之神の嫁(〆)/76


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57: 鞍馬 [×]
2022-07-02 06:45:30

……私、は…別に、構わ…ない。この、姿…だ。恐れる、のも…仕方、ない。
(何でもないように言うと自身の蠢く無数の腕や足を眺め、ひとつ自虐的に笑ったが嫁の方に目線を移し、柔らかな空気を纏う。「…陣、が。嫁、が…分かって、くれて…いれ、ば。構わ、ない。」鞍馬は顔を覆っている薄布にするりと手をかけ、ゆっくりと捲るーその下には長い睫毛で覆われた、二粒の宝石のように透き通った青い瞳を持った美貌があった。「……村人、たちは。この、目…が…恐ろし、かった、らしい…な。」ぼそり、呟くように零して)

58:  [×]
2022-07-02 19:32:33

しかし――…っ
(自嘲めいた笑みを浮かべる神に対し反論に口を開きかけるも、自らに向かって告げられる情に満ちた言葉と空気に思わず口を噤み言葉を飲み込む。次いで瞳に映された神の相貌にはっと息を呑むと、現れた青色の瞳に吸い寄せられるように一歩ふらりと歩み寄り、両の頬に自らの手を伸ばすと親指の腹で目尻を薄っすらとなぞり)
このような瞳を目にしたのは…初めてです。……美しいです。とても…。

59: 鞍馬 [×]
2022-07-02 21:24:58

…青い、目は…呪われて、いる、そうだ。
(鞍馬は自身の目に触れ、更に過去を思い出すようにぽつりぽつりと語る。鞍馬が生まれた年の翌年から村に大きな飢饉が訪れたこと、日照りが続いたこと、嵐が起きたこと…村人たちはその全てが鞍馬ーー村に生まれた青い瞳の忌み子のせいだとし、鞍馬を祟り神に捧げただけでなく鞍馬のたった一人の家族であった姉まで焼き殺したこと。「……この、目は…つくづく、呪われ、て…いる。…陣、が…初めて、だ。綺麗、だと…言ってくれた、のは。」薄く頬を赤らめ、柔らかな微笑を湛えて)

60:  [×]
2022-07-03 00:37:06

――そんな…。そんな事があったのに、貴方様は…人に報復しようとはなさらなかったのですね…
(聞くに耐え難い程の悲惨な出来事を耳にすると絶句し、胸が締め付けられる想いに眉根を寄せ苦悶の表情を浮かべる。唯その美しいと称した瞳からは一切視線を逸らすことも無く、静かにその容貌を捉えていたものの、自らに向かい柔らかな笑みを浮かべる神の姿に微かに瞳を潤ませると、震える声を何とか絞り出し)

61: 鞍馬 [×]
2022-07-03 09:12:46

私、は…ひと、が…好き、だから…な。恨みは、して…いない。
(微笑んだまま嫁の頬にするりと触れ、慈しむように優しい声色で「全く…恨んで、いない…訳では、ない、が…陣、のような…心優しい、ひと…も、いる…から、な。」壊れ物に触れるような手つきで嫁の頬を撫で続けていたが、暫くして顔を紅に染めながら嫁の方を向き、青い瞳を睫毛で覆い隠しながら小さな声で問う。「…じ、ん。…その…接吻…を。したい、の…だが。いい、だろう…か。」)

62:  [×]
2022-07-03 19:39:05

そう、ですか…。やはり貴方様はお優しい方です――…っ
(神の柔らかな表情に遣り切れないと言った様子で眉尻を下げるも、優しく自らに投げかけられた言葉に微かに口元を緩め。頬を撫でられる掌の感触に面映ゆさを感じながらも満ち足りた様子で目を細め、されるがままに身を預けていたものの、次いで耳に届いた微かな問いにはっとし息を呑む。紅に染まった神の相貌を見てつられるように微かに頬を赤く染めると、動悸で震える指先を神の頬に添え、つま先立ちで何とか背を伸ばし自らの顔を目前まで近づけると、両の目を静かに見つめ掠れたような声色で小さく呟く)
……。はい。…鞍馬様。

63: 鞍馬 [×]
2022-07-03 21:04:08

…そ、うか。
(ゆるやかに微笑み、嫁の顔を己の方に引き寄せると瞳を伏せたまま、優しく唇を重ねる。微かに吹く秋風が二人の隙間をすり抜けて鞍馬の髪を揺らし、しばらく唇を重ねたままであったが瞳を開くと唇を離して照れたように赤い顔のまま黙り込んでしまい)

64:  [×]
2022-07-04 09:42:41

――…っ。……鞍馬様。私は、貴方を…心より愛おしく思います
(優しく触れた神の唇に一瞬小さく体を強張らせるも、その柔らかな感触にふと身体の力を抜くと瞳を閉じ身を委ねる。暫くして徐に離された唇を名残惜しげに追うように眼を開くと、殊更に真っ赤に熟れた神の相貌が瞳に映り、思わずといった様子で破顔すると己の中に溢れる想いをぽつりと零し、腕を首元へと差し伸ばすと今度は自らの唇を神の其れへと柔らかく押し当て)

65: 鞍馬 [×]
2022-07-04 14:53:53

…あ、あ。私、も…愛して、いる。
(無抵抗で嫁の唇を受け入れ、倣うように無数の腕を首に回すと静かに、壊れ物を扱うように緩やかな力で抱きしめる。何かを言いかけた所で木陰からもみじともう一人、こちらは鬼の面を付けた小柄な少年が顔を出し、「くらま様、陣様。夕餉のじゅんびができましたよ。」と二人に呼びかけ)

66:  [×]
2022-07-05 10:57:36

――!あ、と…あ、ありがとうございます。あの…?
(数多の腕に触れられ布越しに感じる温かさに表情を和らげるとそっと唇を離し、もの言いたげな神の瞳を静かに見つめるも、ふと耳に届いた幼い者の声に我に返った様子でびくりと肩を震わせるとぱっと腕を離し神から離れ、微かに朱の差した頬のままどこか慌てた様子で視線を移すと、童女の横に佇む見知らぬ少年に気づき)

67: 鞍馬 [×]
2022-07-05 15:42:17

「ああ、こちらは飯炊きがかりのひがんでございます。恥ずかしがり屋ですが、ごあいさつをさせようとおもいまして。」
(ふと気づいたようにもみじが小柄な少年に挨拶を促すと、少年は口を噤んだままぺこりと頭を垂れる。鞍馬は嫁から離れ、二人の元に向かうと二人の頭を優しく撫で、嫁の方を振り向いて素顔のまま破顔一笑、柔らかな笑顔で「じ、ん。飯、を…食べ、ようか。」と呼び掛けて)

68:  [×]
2022-07-06 11:54:37

そうですか…。ひがん殿、よろしくお願いします
(童女より少年の名を聞くと目の前まで歩みを進め片膝をつき、視線を合わせるとにこりと笑みを浮かべ。立ち上がり膝に付いた砂を軽く払うと神の呼びかけに「はい」と頷きを返し傍らまで歩みを進めると、しばし戸惑った後数多のうちのひとつの腕に柔らかく触れ)
…参りましょう、鞍馬様。

69: 鞍馬 [×]
2022-07-06 21:29:55

…あ、あ。
(鞍馬は頷き、嫁の手をその腕で握り返すとそのまま歩き始める。秋の冷たい風が二人と、まるで二人を先導するかのように歩いてゆくもみじ達の間をすり抜け、やがて一行の姿は見えなくなり、その場には美しい紅葉と秋景色だけがいつまでも風にそよいでいた)
…う、ん。ひがん、の…飯、は、美味い、な。
(社に戻り、奥座敷で鞍馬は嫁と二人、ひがんの作った夕餉を食べつつ頷いて誉め言葉を口にして)


70:  [×]
2022-07-07 11:04:25

はい。とても。……本当に何から何まで用意して頂いて…、自分も何か手伝いが出来ればと思うのですが、恥かしながら飯炊きすらまともに手を付けたことが無いのです
(目の前に運ばれてきた夕餉を口に運び、その美味さにふと表情を和らげながらもどこか申し訳なさげに箸を止めると、眉尻を下げ手に持った碗の中身をじっと見つめ「何かできる事があれば良いのですが」とぽつりと呟き)


71: 鞍馬 [×]
2022-07-08 06:34:48

…陣、は…私、の…側に、いてくれれば、いい。
(鞍馬がなんともないように言うと、横に控えていたもみじとひがんが顔を見合わせてくすくすと笑い合う。一頻り笑った後、もみじが陣の方を向いて「ええ、陣様はそのままでよろしいのですよ。…でも、どうしてもとおっしゃるなら時々そうじを手伝ってくださいませ。このおさなき身ではたいへんなこともあるのです。」面の下でにこりと微笑み)

72:  [×]
2022-07-08 20:44:44

それ、は…、勿論です…鞍馬様
(さらりと告げられた言葉にどこか照れたように俯き微かに口元に笑みを浮かべ、素直に一つ頷きを返す。耳に届く小さな笑い声を面映ゆく感じながらも照れ隠しの様に椀の中身を一気に食べ尽くすと、かけられた童女の言葉にぱっと顔を上げ表情を明るめ「はい」と笑みを返すと、ふと隣に控える少年にも視線を移し)
ひがん殿も…いづれ厨にお邪魔しても構いませんか

73: 鞍馬 [×]
2022-07-09 06:19:52

…あま、り…こき、使って…やる、なよ…もみじ。
(漬物に手を付けながら童女に釘を刺すかのようにボソリと零す。が、その声色は至って優しく穏やかで、もみじも「わかっておりますとも、くらま様。」と答えながら陣の椀と鞍馬の皿を下げて厨の方へと歩いてゆき、急に己に声を掛けられて驚いたらしいひがんはびくりと身を震わせるがややあって小さく首を縦に振り、「…はい。」声変わりはしているもののまだ幼さの残る声で答え)

74:  [×]
2022-07-09 12:16:53

有難うございます。お役に立てるようで安心しました…。おふたりの邪魔にならぬよう気をつけます
(自らの分の膳を食べ終え箸を置き手を合わせると、ほっと胸を撫で下ろしたように礼を述べ、穏やかに言葉を投げ掛ける神に視線を移すとふふと自嘲交じりの笑い声を溢し。次いで肯定の意を示した少年に改めて向かうと「宜しければ、いづれは料理も教えてください」と頼るように告げると僅かに頭を下げ)

75: 鞍馬 [×]
2022-07-09 19:24:07

「…そんな…邪魔、など。滅相もない…」
(ひがんは慌てたように面が取れるのではないかと思えるほど首を横に振り、陣の方を向いて深々と頭を下げる。厨から戻ってきたもみじはそんなひがんの様子を笑いながら眺めていたが、「では、さっそくですみませんが陣様、庭のおそうじをてつだってくださいませ。ひろいゆえ、ひとりではなにかと…」急にすっくと立ち上がり、立てかけてあった箒を手に取ると陣には雑巾を手渡して)

76:  [×]
2022-07-10 16:35:07

(/ 突然ですみません。力不足故に此方自身に対して色々と思う所ありまして、今後のお相手を辞退させて頂ければと思います。
此方からお声がけしておきながら、長期お相手が叶わず本当に申し訳ありません…。色々と学びもありまして、短い間でしたがとても楽しかったです…!お付き合いしてくださってありがとうございました。
それでは、背後様の良縁を心よりお祈りしております。)

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