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1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
81:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-07 09:39:40
( ああ、また迷惑かけちゃう──と、皮膚が擦れるのも厭わずに荒っぽく拭った目元に、暖かく遠慮がちな指を感じれば、一瞬驚き目を見開いて。身体の疲労に引きずられるように落ちていたメンタルが、ギデオンのその言葉だけで救われるようで、私はまだこの人の傍に居ていいんだと心の底から安心する。こちらから近付くとするりと逃げていく癖に、ビビが落ち込めば優しく触れてくる手に、いつもの温もりを感じることが出来れば、本当に帰って来れて良かったとますます涙腺は緩むばかりで。目元こそもう誤魔化しようもなく泣き濡らしながらも頭はどこか冷静に、こんな時ばかりビビの欲しい言葉を投げかけてくる狡さを持ち合わせているにも関わらず、ビビの涙なんかに動揺して揺れる瞳が可愛いなあなどと──可愛い?はたと自身の思考に気がつけば、今度は己が動揺する番で。ギデオンのことは憧れの冒険者で、強くて、格好良くて、間違っても可愛いだなんて感じる相手ではなかったはずだ。今日初めてしかと合った見慣れたはずのペールブルーの瞳に、顔に血が集まるのを感じれば、パッと後ずさるように立ち上がり「ありがとう、ございます……顔、顔洗って来ます!」と、己の五月蝿い鼓動から逃げるように部屋からも出ていこうとするだろう。 )
わっ、ギデオンさん……!
……シフトですね、聞きましたよ。ギデオンさんとご一緒できて嬉しいです。
( ──結局、グランポートといい、シルクタウンの時と言い、恥ずかしいところばかり見られているような、と診察の準備も終えて手持ち無沙汰になれば、思い出すだに恥ずかしい記憶が脳内を占めるのは誰もが経験あることだろう。そうして少し呆けていたから、ノックの音に気づかず現れた思考の主に思わず声をあげ。鼻歌、聞かれてたかな──と薄ら頬を染め、気を取り直して態とらしい咳払いをひとつ。ギデオンの目の前に、丸椅子を運んで自身も座りながら相手に向き直れば、相手の質問にいつも通りの様子でパッと顔を輝かせ。肩の診察の前に、雑談も交えながら自然な動作で相手を覗き込めば、悪くない顔色に密かに安心して。まさか今回のシフトにギルドマスターの意思が関わっているとは微塵も知らず、顔を覗き込んだ近距離のまま呑気に微笑めば、あざとく首を傾げて「これって運命だと思いません?」なんて、今日も今日とて好意を微塵も隠さぬ視線を惜しまず相手におくり。今回の2人は救護兼治警備部隊、というかビビは毎年そうである。平時であれば一般人相手であれば、怪我をさせないよう取り締まるのが定石だが、建国祭の間はあちこちでトラブルが起きるため、そうも言ってられない事態になることもままある。あけすけに言ってしまえば、いっそ怪我させてでも早く場を収めてしまえ、治療してやれば許されるだろう、という荒っぽい発想が透けている作戦だとビビは毎年思っているが、例年それでも大きな苦情が出ることはないのだから、祭りの雰囲気は偉大である。兎に角、その今年の警備のシフトを確認したところ、時間も担当区域もまるきりギデオンと被っていたというわけで。長時間かつ連日の警備とハードだが、1番休みの希望の倍率の高いであろう最終日の夜はシフトが入っておらず、それを見た時から心は既に決まっていた。ギデオンの右腕に指を滑らせて脈を取りながら、真っ直ぐに相手の目を見つめれば、あまりにも有名なおまじないに林檎のように頬を染め。ギデオンの手首を掴む細い指の震えが、初めてプライベートで誘う相手に、勇気を振り絞ったその真剣さをありありと物語っている。 )
……最終日、ご予定なければ一緒に花火見に行きませんか?
82:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-08 17:24:47
(どこか恥ずかしそうに誤魔化す相手の様子に、若干首を傾げたものの。彼女のトレードマークと言ってもいい明るい笑顔が目の前で咲くのを眺めては、内心ほっと胸を撫で下ろした自分がいる。だからそのあとに続く茶目っ気たっぷりの誘惑にも、「おおかた、俺が無茶をしないか監視するためにつけられただけだろ」と、事実半ばの捻くれた返事を、それでもギデオンにしてはやや砕けた声音で返すことにして。そうして袖をまくった右腕を出し、いつもと変わらぬ治療行為に入るはずだった。相手がこちらをまっすぐ見つめ、真剣な声で誘いを告げてくるまでは。ギデオンの視線も動きも、呼吸さえもがしばし静止し、彼女の細い指先を押し当てられた脈だけが、一瞬不自然にゆっくりになって。患者とヒーラー、男と女が互いをまっすぐ見つめあうなか、白いカーテン越しに夏の日差しが降り注ぐ診察室には静かな緊張感が走り、外で響く鳥の声がいっそ場違いなほどにのどかだ。……建国祭最終夜の花火にまつわるジンクスは、どんなに鈍い人間でも聞き知る程に有名である。その誘いを受けるというのは、つまりはそういうことを意味する。受けられない、受けるべきではない、と頭の中で反射的な拒絶が下される一方、口からは相手に告げるべき台詞が出てこずに、ただ青い瞳がかすかに揺れて。──ふと脳裏に蘇るのは、キングストンへの帰還後、旧交を温めようとカトブレパス料理を囲んだときに、レオンツィオから言われた言葉だった。『本当に面倒ってんなら、もっとはっきりフってやれよ。なぜわざわざ彼女のアプローチに甘んじてるんだ?』……なぜ。なぜ? そんなものはわかりきっている、単に……仕事に差し障りのないようにするためだ。若手の中でも飛び抜けて頭角を表すヴィヴィアンとは、何だかんだバディを組む縁が多い。その過程で相手のことを信頼し、仕事仲間として好ましく感じ、これから先も何度か手を借りたいとすら思うようになっている。そんな相手との間に波風を立ててしまえば、いずれ困るのはギデオン自身。そしてそれだけの理由でもない。先月以来、肩の魔法創を定期的に治癒してもらっている身、かかりつけ医としての彼女に大きな恩義を感じてもいるのだ。そんな相手からの好意を、無碍にするなど。だから今まで許してきた状況は、自分なりの妥協であって。──だが、今回はそんな後ろめたい言い訳が通りそうにもないとわかってしまう。相手の、いつもどおりの猛進のように見えて、その実精一杯の勇気を振り絞っている胸の内は、脈をとるため触れ合っている彼女の指先の震えから、これ以上ないほどじかに伝わってくる。だからこそ、いつものような卑怯な断り方を選べずに。己の腕を引くことはしないまま、躊躇うように目を伏せ。「……ほかに、友達でもなんでも、いくらでもいるだろう」と落とされた声に滲むのは、拒絶ではなく、強い迷いで。)
83:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-09 09:37:21
……確かにそれは必要ですね。
じゃあ期待に応えるためにも近くでしっかり見張ってなくちゃ。
( 生まれついての無鉄砲、結果こそ違えどビビもまたシルクタウンでは敵の攻撃に身体を張る無茶を犯している。人の無茶を見張るのに、自分ほどの不適任な人選もないのではないだろうかと、ギデオンの弄れた返事に一瞬眉間に皺を寄せるも、すぐに明るく声を出し笑えば、相手の右肩を見透かすように眺めながら大きく頷き、めげずに柔らかく目を細めて。そんなビビのアタックからギデオンが逃げるやり取りも、お決まりになりつつあったから、その後に続けた誘いも軽くあしらわれるだろうと思っていた。想像以上に迷い困った表情を浮かべる相手の誠実さは大好きだが、そろそろ本気だって信じて欲しいんだけどな──と、寧ろ気づかない振りをされていることも薄らと気づいていて、ギデオン腕を握ったまま苦笑すれば丸椅子に座り直して。 )
友達も、誘ってくれる人もいますけど、私はギデオンさんと見たいんです。
……それともあんなおまじない本気で信じてるんですか?
( その真面目な性格ゆえ、プライベートで振られようと、仕事を放棄するなどという発想は微塵もなく。それが自分が治療しなければ余命幾許もない相手であれば尚更で。だからギデオンの真意どころか言い訳さえも測りかね、未だ子供扱いされているのだろうかと検討をつければ、する、と指を絡ませて真剣な目でハッキリと自分の思いを伝える。想像以上に誠実な態度を見せてくれたギデオンに、自分はあんなどこにでもある様なジンクスに縋る小さな女の子にでも見えているのだろうかと、可愛らしく首を傾げると悪戯っぽく唇を尖らせて。 )
( / お世話になっております。
今回も素敵なロルをありがとうございます。個性豊かなギルドメンバーたちの様子が見られたり、バルガスも再登場させていただいて非常に楽しかったです!
今後の展開についてなのですが、現時点では断られて祭りの警備途中で何がしかの賭けをするという展開を考えておりますが、なにか進行についてご検討されている案はございますでしょうか?
ぜひ背後様の素敵なアイデアをお聞きしたいです! )
84:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-09 16:56:15
(たとえほかの選択肢があっても、他のだれでもなく、ギデオンとがいい。その言葉に、ぐ、と目を細めて相手を軽く睨んでしまう。その台詞がいったいどれだけ凶悪か、相手ははたして理解しているのだろうか。彼女の細指が己の骨張った指と絡み合う様に目を落とすと、「……たちが悪いぞ、」と目を閉じて息を吐きながら、結局それをゆるりとほどいてしまい。)
おまえがそういうつもりじゃなくても、周りはそう捉えるだろ。変な噂が立って、他の連中にあれこれ詮索されるのは御免だ。
(今の仕草と言葉で、然しものギデオンも理解しはじめていた。相手はどうやら、単なる若気の至りでもなんでもなく、若いなりに本気で自分を好いているらしいことを。……だがしかし、ならばますます拒まねばならないと、意固地な思いで表情が翳る。心のどこかで、誰かに与えられるぬくもりや安寧を欲してしまっているという自覚が、自分にはある。日々取り繕う仮面の下がそんな有様なのだから、相手がこちらの内側に入り込むのを一度でも許してしまえば、そこからはもう後戻りのしようがない。自分が勝手に患うものを都合よく癒すために、ともに過ごしてきた相手を……あのひとの大事な娘を……利用する真似はしたくない。──今ならまだ、間に合うのだ。互いの立場を言い訳に、再び相手を跳ね除けてしまえば、「おまえのことはいいバディだと思ってる。困らせないでくれ」と。目を合わせず、しかし結局決定的な一言は含められぬまま呟くと、治療を促すようにシャツの片側のみ脱いで古傷の残る右肩を示し。)
(/こちらこそいつもお世話になっております!バルガスには勝手に気の毒な鉢合わせをさせてしまいましたが、心根のまっすぐそうな彼のこと、ポジティブな形で今後関わってきたりするんじゃないだろうか……と密かにわくわくしております。どれもそれも主様様が彼を生んでくださったおかげなので、改めてありがとうございます……!
今後について、特には考えていなかったのですが、ギデオンとビビが思ったより早く相手に対して本気になりそうなムードなので、そこを踏まえての展開が必要そうですね。警備途中の賭けの持ちかけ大賛成です!
その際の賭けの内容は、「負けた方はその日一回だけ相手の言うことを何でも聞く」というものにするのは如何でしょうか。
またギデオンについて、「自分から積極的に話に乗ることはないが、実は小さな勝負事が好きらしく、賭けを持ちかけると案外断らない」「しかも若干負けず嫌いなので、煽ると意外と乗ってくる」「男同士の賭けではバチバチに強いのに、女との賭けでは不思議と運が来ず負けがちで、しかも本人だけがそれを自覚していない」という性質を付加することにより、賭けをもちかけやすい、賭けに乗りやすい、ビビの願いを受け入れやすい流れにしようかなと。
このあたりは、ギルドの誰かから具体的なエピソードなどを交えて聞いた、というように、お好きなように扱っていただいて構いません。また、この花火の件のみのなかで美味しく堪能するのでもいいですし、或いは今後ちょくちょく利用していただくのでも!
あれこれ逃げ回るギデオンが、だんだん逃げ場を失いはじめたことに焦ってビビを緩めに突き放してしまいましたが、自分もビビに惚れていると自覚するターンがおそらくじきやってくるかな……とも考えております。
そこについての具体的な流れや、そもそももう少し長く今の膠着状態を楽しみたい、ちょっと展開が早いなどありますでしょうか?
上記以外でも、すぐに絡む話じゃないけどやりたいのがあって……などのお話も大歓迎です!)
85:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-09 21:47:54
(/ギデオンの過去編について考えていたところ、ぼんやりと形が浮かび上がってきたので共有します。まだ原案の状態であり、ここから加筆の可能性大です。何か追加や改変などの提案をしたいところがあれば、是非ご共有ください……!またそれらが特にない場合は、ご感想などのお気遣いには及びませんのでお気兼ねなく。)
●12年前の事件
ギデオンの親友・アーロンの昔の女が恨みで引き起こした事件をふたりで解決しに行ったところ、無関係の子ども複数人が犠牲になった上、アーロンを喪うことになってしまった事件。
事件の発生場所:森の中の「黒い舘」
犯人:サキュバスの女
被害者:子ども5人(うちひとりのみ無事、他は現在に至るまでサキュバスの呪いにより昏睡)
行方不明者:アーロン・ガードナー
関係者:ギデオン・ノース
・23年前:師匠かつ初恋の相手だったシェリーを喪ってから内心沈んでいたギデオンを、魔法剣士見習いのアーロンが遊びに誘う。これがきっかけで2人は親しくなり、やがて一緒に女遊びをするように。
・21年前:アーロンが年下の少女を引っかける。少女の正体は人間のふりをしたサキュバスであり、初めて交渉する相手がアーロンだった。サキュバスは「優しくしてくれた」アーロンに本気で恋をしてしまうが、アーロンにとってはただの遊び相手でしかない。最終的に、「人間とサキュバスでは子どもを作れないから」という理由で、一方的に別れを告げる。ギデオンはこれを静観。
17年前:サキュバスの少女は、アーロンを諦めきれずにずっと追いかけてアプローチをし続ける。やがて疎ましく思ったアーロンが、彼女を呪いで攻撃してしまった。弱りきったサキュバスはついに姿を消し、ギデオンも流石にアーロンを咎めて口論になるが、結局のところ友情が続く。
12年前:この頃には、ギデオンもアーロンもある程度落ちつき、それぞれの仕事のためやや疎遠になっていた。しかしある日アーロンから、「最近子どもが行方不明になっている事件を一緒に調査してほしい」と依頼が入る。何か心当たりがあってギデオンを選んだ様子。
→調べるうちに、行方不明の子どもたちは5人全員、「髪色・目の色・顔のそばかすがアーロンと同じ」と判明。
→さらに、子どもたちはある森のそばで行方不明になったこと、そこには「恨みに狂った美しい魔女が黒い館に住んでいる」噂があるらしいことがわかる。
→アーロンは若いころの過ちが万一明るみになるのを恐れ、同行者にギデオンのみを指名。2人だけで館に乗り込むことにしてしまった。
→黒いペチュニアの咲き乱れる不気味な館を訪れてみると、やはりそこにいたのは例のサキュバスで、彼女は完全に気が触れていた。彼女はアーロンに捨てられたのが12年前であることを理由に、いずれも12歳前後の「アーロンとの間にできた子ども」を魔法の力で監禁し、一方的に愛で暮らしてきた様子。ただし、サキュバスである彼女は人間の世話の仕方を知らず、誘拐された子どもたちは既に酷く衰弱していた。
→子どもの保護を第一に考えたアーロンは、ギデオンに子どもたちを連れ出させるため、彼女に嘘の愛を囁く。しかしそれがサキュバスの逆鱗に触れ、彼女は大暴れした。死闘の末、サキュバスの放った呪いが四方八方に飛び散り、ギデオンの目の前で4人の子どもが死んだように動かなくなる。
⇒子どもの命を奪わせるわけにいかないと考えたアーロンが、サキュバスに対する無抵抗と完全服従を宣言。彼女はギデオンに子どもを連れて出ていくように言うと、館に火を放った。
⇒結局、行方不明になった子どもは全員発見できたものの、無事だったのはアラン少年ひとりのみ。ほか3人は昏睡状態で、後に魔法医に診せても呪いを解くことができないとわかる。黒い舘の焼け跡からは、アーロンの死体は見つからなかった。
⇒かつてアーロンとともに興じた若い過ちのせいで、ギデオンがアーロンを止めずにいたせいで、ギデオンが咄嗟に子供を守れなかったせいで、全員が不幸に陥る悲劇が起きてしまった……という考えから、一連の出来事はギデオンにとってトラウマとなる。
●今後に向けて(一案、アイディア)
・当時の被害者であり、現在はカレトヴルッフ冒険者となったアランを、過去編に触れるきっかけとしてどこかしらで絡められれば……!
・黒い舘が再出現した噂を聞き付け、「アーロンの何かしらを発見できるのでは」と考えたギデオンが館に向かう展開
・犠牲者の子どもたちが目覚めることがギデオンの寛解(罪悪感の克服)のきっかけになる可能性
86:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-09 21:53:22
(/訂正:サキュバスがアーロンに捨てられたのは、黒い館での再会から遡って「9年前」にあたるため、行方不明の子どもたちの年齢も9歳付近です。現在のアランは21歳となります。)
87:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-11 01:09:17
……っ、はあい。
( ビビの言葉を受けて鋭くなった目に、びく、と手を小さく震わせる。心のどこかで、どうせギデオンがビビを受け入れることはないと。今まで何だかんだギデオンが許してくれていたことに甘え、今回もどうせ呆れられて終わりだろうと調子にのっていたかも知れない。一瞬見せた、大きな目を見開き、形の良い眉を歪める悲痛な表情は、拒絶されたことではなく、相手に迷惑をかけてしまったことへのショックの大きさをありありと物語っていて。呆れられるのは自分に興味が無いだけだから構わないが、迷惑をかけたいわけじゃない。ビビが今までギデオンに熱を上げれば上げるほど、相手はどれだけ居心地の悪い思いをしただろう。穏やかに、しかし確かに手を振り払われれば、今更ながらそんなことに気がついて、途端にギデオンの顔を見るのが怖くなってしまう。それでもすぐに顔をあげ、いつもはぐらかされた時のように、悪戯っぽく頬を膨らませたのは、せめて"いいバディ"だと優しく、何より残酷な言葉をくれる相手と気まずくなりたくないため。精一杯の空元気で笑顔を浮かべれば、マンドラゴラの手足を煎じた特製の通魔性軟膏を取り出して、的確に治療を進めるだろう。 )
あ、おはようございまーす!
( そうして迎えた翌週。祭りに浮かれる人々でごった返す街の一方で、方々に駆り出され閑散としたギルドロビーに足を踏み入れる。あれから幸か不幸か、ビビの方に別件の短期依頼が入ってしまい、ギデオンと顔を合わせるタイミングが取れないまま、シフト初日を迎えてしまった。……会いたくないな、なんて、初めて覚える感情に戸惑いながら、カレトヴルッフの剣の意匠を憂鬱な気持ちで見上げたのが1分程前。『詮索されるのは御免だ』『困らせないでくれ』その言葉を思い出すだに、あれだけ嬉しかった一緒のシフトも全く気が進まず、昨晩は中々寝付けなかった。それでも、大好きなギデオンにバディと言って貰えたことを思い出し、重い足を引きずってギルドに向かえば、冒険者としての矜持だけで今ここに立っていると言っても過言ではない程。ギデオンがバディとしてでも求めてくれるのなら、それで構わないじゃないかと己に言い聞かせ、ロビーに入る前に自身の頬をぴしゃりと叩くと、約束の相手を見つけて健気に明るい笑顔を向け。 )
( / 今後について、ご提案ありがとうございます。
そうですね、当初の予定よりかなり早く2人が本気になりつつあるので、先日設定した布石を早めるのは此方も大賛成です!
現時点で②の賭けと進展の最中ですが、今回の依頼で④のビビがギデオン様とシェリーの関係を知る展開を入れ、吹っ切れたビビが賭けを吹っ掛けるという流れが自然かと思いましたが、如何でしょうか…?
賭けの内容やギデオン様の性質も世界観に沿った情緒溢れるもので非常に素敵です!
今のヴィヴィアンはギデオン様に迷惑をかけたくないと、積極的なアプローチは避けると思いますので、そこで気持ちを自覚する、とまでは行かなくても④に繋がる関係性の変化があればと考えております。現時点で具体的な展開は考え中ですが、この流れで問題がなければ、またご相談に乗っていただければと幸いです。
毎度細やかなお気遣いありがとうございます。展開の進行速度などについては全く不満などはございません。本当に素敵なロルをありがとうございます。背後様に比べますと非常稚拙でお恥ずかしい限りですが、なにかご希望やご要望があればいつでもお申し付けください! )
88:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-11 01:16:18
( / わーっ!ギデオン様の過去、非常に楽しみにしておりました!更新前のページから送信してしてしまったため、入れ違いになってしまい申し訳ございません。
想像の何倍も魅力的で緻密な過去に今からドキドキしております。トピ名も素晴らしい形で活かしていただき、二重に三重に花言葉が生きているなあと感激しております!
非常に素晴らしい設定にすぐにでも内容について返信させて頂きたいのですが、只今リアルが立て込んで降りまして、少々お時間いただきます申し訳ございません。突貫で打った返信のため諸々至らない点があるとは思いますが、この興奮だけでもお伝えしたく……!背後様にはいつも心から楽しませていただいて、なんとお礼を申し上げればよろしいか分かりません。今後も引き続きよろしくお願い致します! )
89:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-11 23:57:28
(相手はそれ以上追求せず、明るい笑顔を浮かべ直すと、あとはただ真摯に治療にあたってくれた。その日の別れの挨拶も、“いつもどおり”の朗らかなもので。おそらくこれで良かったはずだ、そう自分に言い聞かせながら医務室を後にすれば、それからはひたすら、きたる建国祭警備に向けて残務を片付ける日々を過ごした。だが、いったいどういう理屈か。一日の仕事を終え、狭い自宅で明かりを消して独り床につくたびに、瞼の裏に自然とよみがえるものがある。ギデオンが目を戻したとき、相手の俯いた顔にほんの一瞬差し込んでいた、あの悲しそうな表情だ。普段は太陽のように笑うあの顔が、恐怖さえも滲ませて、くしゃりと歪んでしまっていた。今も目に焼き付くそれはやけに鮮やかで、胸を酷く?き乱され、しばらくは嫌な動悸に陥るような有様。どうにも寝付けず起き上がり、水差しか酒を取りに行って乱暴に呷る夜も、一度や二度では済まなかった。……自分が満足するような結果になったのでは、なかったのか。自分の意志で彼女を拒絶しておいて、彼女の理解を得ておいて、それで尚相手のその後の心情を気にかけるこの醜態は、いったいどういう了見だ。自分の矛盾に苛立たしさを覚えるが、胸の内に答えは見つからず、さりとて人に相談する考えははなから持ち合わせていない。しかし、顔馴染みの事務員の女には、時折目を細めて見つめられるようになり。相手は職務上ヴィヴィアンを見かけることも多いとわかっているため、態度の変化に気づきながらもわけを尋ねるのは躊躇われる。そうして逃げ回るうちに、とうとう彼女の方からギデオンの行く手を塞ぐように立ちはだかって。「ねえ、あの子と喧嘩でもした?」藪から棒に放たれる剣呑な声に、「……別に、そういうわけじゃ」と答えただけで、全てを察したように深々とした溜息をつかれるのだから、彼女を敵に回すのはつくづく嫌だと思った瞬間だ。「まともな恋愛をしてこなかったツケが回ったのね」とこめかみを抑えて呆れられたと思えば、「明日からまた一緒なんでしょ。とにかく、示しのつかない態度は絶対にしないで頂戴。……この臆病者」と、念を押すついでにはっきりと罵倒される。それが、建国際前夜の、人気の失せたロビーでのことで。)
(あくる朝もまったく同じ場所に来たものだから、事務員の女の声が今一度耳にこだますのを──はたしてどの台詞か──努めて意識しないようにしながら、今回もともに組むことになった相手を待つ。今朝のギデオンはシルクタウンやグランポートで着た戦士装束ではなく、祭りに溶け込む比較的ラフな警備服に、ギルドに与えられた執行権限を示す赤い腕章を身につけていた。普段なら愛剣を携えている腰元には、魔力を込めるとさすまたに変化するタイプの警棒を差している。利き手の方でそれとなく鞘に触れながら、ソファーの肘置きに肘を置き、頬杖をついて考えこむそぶりを見せつつ実際は無心でいること数分。エントランスから向けられた晴天のような声にぱっと顔を上げると、毎晩目に浮かんだあの表情は欠片も窺えない、にこやかな表情でヴィヴィアンが現れていた。心の片隅で深く安堵するのが表情の和らぎに出ていることなど自覚せぬままこちらも立ち上がり、「おはよう」と返事の挨拶を。今年の出店の情報などが記された祭りの地図を二部手にし、ひとつを相手に差し出して広げながら、「アリスの班が東広場に向かってる。俺たちは商店街からスタートだ」と、以前と変わりない声音で今日のルートの確認をして。)
(/吹っ切れたビビが改めて花火に誘うため賭けを持ちかける展開、愛するものを諦めないまっすぐな彼女らしくて大賛成です……! このところのギデオンとビビが、いずれ必然的に至ったであろうぎこちなさに陥っているため、それを正面突破で明るく吹っ飛ばすようなその展開は最高だと思います。
その際の提案で、
・初日であれ後日であれ、警備の最中に「ギデオンの師匠はビビの母シェリーだった」という話をたまたま(店の人間なり他の冒険者なりから)聞く
・ギデオンが詳しく語りたがらないため、彼がいないときに、彼の知り合いである事務員の女性にそのことについて尋ねてみる
・事務員の口から、「彼がシェリーの弟子だったのは本当よ」「ギデオンはあなたのお母さんをとても尊敬しているの」「“自分なんか”がシェリーの娘の相手になるなんて受け入れられない、と考えてる」「それに、長いこと大切な人間を作らずにきてしまったから、今更そんな真似をしたら自分がどうなるかわからなくて怖いのでしょうね」とギデオンの真意を聞く(ついでに、ギデオンが賭け事を断らない性格であることも密告される)
……というのは如何でしょうか。此方か主様のロルのなかでざっくりダイジェスト処理していただくのでも、或いは此方が一時的に事務員としてロルを回してじっくり描写するのでも。
また、上の案を経るか否かには関係なく、今後のギデオンは
・医務室でこちらの言葉をすんなり聞き入れてくれたはずの彼女が再び花火の件を持ち出すことに驚くも、「一度理解はしているはず……」と首を傾げながら、挑発もあって賭けに応じる
・賭けに負け、なんだかんだで当初のビビの思惑通り一緒に花火を眺めることになった際、彼女の想いを改めて知る
・ギデオンが(そう簡単には)応えないとわかったうえで、それでもビビがアタックすることを、なんらかの会話を経て了承する。(最初の敗北宣言)
・その時に、或いは彼女とその日別れた後になって、自分も彼女に既に惚れていることをしっかりと自覚する。→ギデオンからビビに向けての感情が密かに大きく募っていき、依然としてなかなか応えないくせにたまに豹変したようにデレるようになるターンの幕開け、「元気にアタックするビビと、クソデカ感情を押し隠しながら狡くしぶとく逃げ回るギデオン」の関係の安定、につながる変化
……というようなルートを辿ろうかと考えております。長々とした説明で申し訳ないです……!
お褒めにあずかり恐縮です、こちらこそいつも素敵なロルをありがとうございます。主様のロルが当方本当に大好きでいつも心待ちにしておりますゆえ、どうか卑下なさらないでくださいませ……! 今現在の当方の要望は、これからもギデオンとビビの物語を主様と一緒に紡いでいけたら、それ以上に嬉しいことはないなあ、という感じです。改めて言葉にすると気恥ずかしいですが、やりとりを始めて以来ずっと抱いている思いなので、今一度お伝えさせていただきたく!
また、今回はお互いの心情変化が中心になる話だと思うので、警備の仕事の描写についてはサクサク割愛でも大丈夫そうかな?と思っておりますが、如何でしょうか。
加えてもうひとつ、当方がついつい冗長なロルを打ってしまいがちですが、元々ひと休みを目的とした回ではあるので、ロルの文量や展開の進みは気兼ねなくカジュアルなものにしていただければと思います……!
過去編についてもご丁寧なお返事をありがとうございます! トピが経った当初からペチュニアの花言葉を調べておりまして、色ごとに異なるものがあるなんて絶対に美味しい……! と、いつかどこかにどれかを取り入れる気満々でおりました。
お返事については全くご心配なく! リアルのご用事や日々の休息に、しっかりお時間をおとりください。ただでさえロルも背後会話もこちらが膨大になりがちですので、ご負担にならない程度に割愛や保留もしていただければと思います。ここまでのやりとりで、自分が返信した後の時間でも物語に思いを馳せて楽しむようになっておりますので、此方を待たせている、というような心苦しさはどうか患わず、主様自身がゆとりをもって楽しく遊んでいただけますよう、ゆったり寛いでお過ごしください。)
90:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-14 01:29:57
──うわあ、激戦区じゃないですか!
( この1週間はギデオンへの気持ちを忘れるべく、必死に仕事に打ち込んでいた。ギデオンさんにとって"いいバディ"でいたい。間違ってもギデオンさんを好きになんかならない、面倒のない大人にならなくちゃ──その一心で、相手への恋心を押し殺そうと枕を濡らす夜さえあった。それなのに相手はそんな努力を嘲笑うかのように、此方を見て甘く表情を和らげるものだから、どうしようもなく泣きたい気分になって、渡された資料を受け取り視線を落とす。前髪の影から覗く口元だけは柔らかく弧を描いて、声音にはちゃんと持ち場への無邪気な不満が響いていただろうか。 )
はいはーい、お兄さん達。楽しいのはわかるけどごめんねー、ここ人がいっぱい通るから。ちょーっと立ち上がれそうかなー?
( 先程は建国祭の賑わいの中でも、特に混み合う商店街の警備に形だけの不満を漏らしたものの、余計なことを考える暇さえない人混みには少々救われた。あちらで酔っぱらいの介抱をして、其方で迷子の子の親を探す。 警備とは名ばかりの毎年恒例の何でも屋と化しつつも、軽装のバディとは違い、いつも通りの格好に腕章だけをつけてパトロールに臨めば、滲む汗に元々豊かに渦巻くポニーテールはふわふわと容量を増してきて。その間もいつも通り朗らかに笑って明るくギデオンを呼んでいるものの、これまでであれば、喧騒の中で相手の声を聞き取ろうと顔を近付けたり、いち早く誘導しようと相手に触れたりしていただろうところで、何度も聞き返し、大きな声で指示する適度な距離感は、確かに相手に伝わっているだろう。寧ろ相手を安心させるため、分かりやすいようにハッキリと距離を置いているわけだが、それに対するギデオンの表情を見る勇気はまだなかった。グランポートの孤島で倒れてから、魔力残量をこまめに伝えるようにしては、そろそろ時間的にも残量的にも一度休憩を挟もうか、となったところで、人混みの中に不自然に歪む流れを見つけて。通りのど真ん中で座り込み、楽しげにエールを煽る青年達にかけよれば、親しげな微笑みとトーンで声をかける。ビビの朗らかな問いかけに殆どが「すいませーん」やら「すくどくッス!」やら快く立ち上がる辺りがまだ可愛らしい若さを感じるが、酒が入って気が大きくなっているのだろう。青年の1人が「いやあ、脚捻っちゃって立てないんで、お姉さんに手当して欲しいなー」と、ビビの白いローブを見てバカ笑いするのに、彼の足首に目を移せば、捻ったのは嘘ではないかもしれないがせいぜい軽傷、半日安静にすれば湿布すら要らないだろうと、今までの経験から目星をつける。それでも彼らの気を損ねるのは時間の無駄だろうと、珍しい即時性の治療魔法をちょっと見てみたい程度の要求、健全な部類だと苦笑して腕まくりをすれば、これくらいなら大丈夫──ぽわわ、と腰の杖の輝きとともに、青年の前に跪き足首に手を伸ばして。 )
( / 快いお返事ありがとうございます。
具体的な流れも非常に助かります。シェリーとギデオン様の話を聞いて憤慨したビビに、おまけとして賭けに関する情報を教えてくれる事務員様……実はほぼ最初からこの方の落ち着いた雰囲気が大好きでして、いつかお名前や設定がありましたら伺えるといいなと思っております。この方以外にも、背後様のロルで登場するNPCの方々非常に個性豊かかつ魅力的で大好きです!
あまり賭け事の類は好きでなさそうなビビが、ギデオン様に持ちかける流れとして非常に自然ですので、ぜひそちらでお願い致します。実質的な進行方法は、事務員さんによるギデオン様の昔話も非常に気になるのですが、テンポ的にダイジェストの方がよろしいかと思います。
今回も警備についてはかなりダイジェストさせていただいたのですが、つい素敵な心情描写にこちらも筆が止まらなくなりがちで、冗長になってしまったことお詫び申し上げます。
ギデオン様の心情もありがとうございます。お陰様で今後のイメージが掴めてまいりました。ビビとしては
・ギデオンがビビを個人としてではなく、"シェリーの娘"として遠ざけたことに憤慨する
・それでも一度頷いてしまった約束に悩んでいたところ、賭けの話を聞いて自分の恋心の救済を賭ける
・"シェリーの娘"ではなくて、ビビ、ヴィヴィアン個人としていつかフラれることを決意
・今まで憧れの人だったギデオンへの怒りと許しを経て、更に彼本人を見るようになっていく(アタック再開)
と、いう流れを想定しております。今のような綿密な相談ができる関係を、非常に嬉しく思っておりますので、背後様にご負担がなければ、どうかそのままでよろしくお願いいたします。
こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます。そう仰っていただけて心から嬉しいです。
こちらもギデオン様とビビの関係を、素敵な背後様と末永く見守ることが出来ればと常に思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
過去編ももう本っ当に素晴らしくて!小説でも読んでいるかの様な、重厚な展開の設定に心を奪われました!当方、ネーミングセンスがないためトピック名も安易につけてしまったのですが、同じ恋する女性でも少しの違いが全く違う未来を招くのが、まさにペチュニアだなあとテンション上がってしまいます。
ギデオン様の若気の至りでもありながら、年相応の青い友情が招いてしまった悲劇があまりに切なくて、救われて欲しいなあとビビに頑張って貰う所存です。
サキュバス様のアーロン様や子供たちへの報われない愛もまた、正に人外の愛と言った感じで、世界観をこれ以上なく活かしていただいて感謝しかございません。
アラン様におきましては、念の為黒い舘から遠い地の長期依頼を優先して受けていたものの、黒い舘の再出現の噂に戻ってくるといった展開でしょうか。ビビと同期とかだと話が進みやすいかと思いますが如何でしょう。ギデオン様の寛解については、また進行次第でご相談出来れば幸いです。
こちらの返信速度までお気遣いありがとうございます。最近は日々のルーティンの中に返信を考える時間が組み込まれつつあり、無理は全くしておりませんのでご心配には及びません。こちらもかなりの長文ですので、背後様も割愛や保留など活用してご自愛ください……リアル優先で少しでも長く、2人のやり取りが見られるのが理想です。
今回は諸事情につき、お言葉に甘えお時間を頂戴致しましたが、また明日から定期的にお返事できると思いますので、引き続きよろしくお願い致します。 )
91:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-14 16:56:12
(初日にもかかわらず、或いは初日だからこそなのか。キングストン商店街は朝から大いにごった返していた。笛や鈴、太鼓といった祭り専用の魔法楽器が絶えず奏でられるなか、行きかう人々が楽しげに笑い、店々の軒先で売り子がよく通る声を張り上げ、そんな賑やかさを突き破るようにして小競り合いや乱痴気騒ぎが早速聞こえてくる有様。道行く客は呑気なものだが、警備員であるギデオンたちは悠長にしていられない。ようやくひとつ解決しては、また別のところへ出動する、そんな状態が数時間続き。──しかしそのおかげで、相棒の明らかな変化にそう気を取られずに済んでいたのは事実である。以前なら執っていたであろう行動を相手が慎んでいることは、こちらもはっきりと肌で感じていた。表情こそいつもどおり陽気だ、だがまるで、ギデオンの知らないヴィヴィアンがそこにいるかのような気がして。身勝手な違和感を無言で押し流そうとするように、警棒を指示棒よろしくかざしながら無心で仕事に没頭し、平静を装い続ける。それが少し崩れることになったのは、昼休憩に入ろうとした矢先だった。道の真ん中で酔いどれている連中を仕事熱心なヴィヴィアンが見つけ、穏やかに退去させようとしたのだが。介抱を要求した甘ったれの傍らに、彼女がすんなり屈んだ時だ。「かぁわいいねえ、この髪型──」なんて言いながら、彼女の少しほつれたポニーテールに無遠慮な手を伸ばすのを、目の当たりにしたものだから。思わず反射的に、警棒で強く、それこそ“骨を折らない程度”の強さで打ち払っていた。「な、っにすんだよてめぇ!」と気色ばんで立ち上がる青年。どうやら足首の怪我とやらは大したものではなかったらしい、今さすっている腕の方が余程痛そうだ。周りの青年たちが顔色を変えて見守る中、顔を突き合わせられたギデオンも、「通行の邪魔だ」とぶっきらぼうな一言を放って威圧的に見下ろすのみ。「だからどくために脚治してもらってたんだろお!」と肩を怒らせる青年に、後ろから近くの店の親父が近づき、「やめとけ、この男はシェリー・グラハムの弟子だぞ……」と声をかける。誰だよそれ? と青年が怪訝そうに振り返るのを眺めながら、思わず顔をしかめてしまった──ヴィヴィアンの前で、彼女の名は極力出してほしくなかったというのに。耳に入らなかったことを祈りながら、親父も交えて話をつけ、その場はどうにか収まって。仲間になだめられつつ、去り行く肩越しに最後のガンをつけてくる青年からようやく目を離すと、呆れた溜息をつきながら相手の元に戻ってきて。)
……厄介だな。昼からこうじゃ、夜の部が思いやられる。
(/まずはご用事お疲れさまでした……!!
事務員の彼女を覚えていてくれたこと、気に入ってくれていたこと、大変嬉しく思っております。実は前々から密かに設定を温めておりましたので、おつまみ程度にご照覧くださいませ(ご感想などのお気遣いには及びません)。
●マリア
・2児の母であり未亡人。40歳。カレトヴルッフの冒険者だった夫が数年前に殉職したため、遺族救済措置として設けられている雇用制度を利用して事務員に再就職。その観察力・洞察力の鋭さを買われ、人事に役立つ様々な情報を密かにギルマスに提供している。
・表面的には冷静でたおやかな一般事務員。しかし、他人を使って手を回す形での問題処理が得意(ビビを付け狙っていた中年たちの左遷など)。このため、魔法などはほとんど使えないにもかかわらず、一部の冒険者に恐れられている存在。
・ギデオンの数少ないまともな女友達。18年ほど前は、友情の延長線上で何度か軽いデートをしたこともある仲。しかし例によって、彼の本質(亡きシェリーの面影を、当時はまだ無意識に追い求めていたこと)を見抜いた。その結果、互いに本気になることはないと早い段階で双方とも気づき、「尊重しあえる距離感でいよう」と話し合って今に至る。早い話が限りなく元カノ未満。パワーバランスはマリアの方が常々上。
・ギデオンがかつて預かったことのある「ギルド仲間の幼い子ども」とは、もうじき6歳になる彼女の下の息子のこと。やむを得ずギルドに連れてきた息子の面倒をギデオンが一時的に見る、ということが度々あった。上の息子は14歳で反抗期。
他のキャラクターについてもお褒めの言葉をありがとうございます……! アリスやバルガス、ジェフリー、受付カウンターの可愛らしい看板娘のことが当方も大好きですので、是非何かの折に裏話やこれから出したい要素などお聞かせください。
警備の仕事や裏での話はテンポ重視のダイジェスト進行とのこと、了解いたしました! 今回も詳細な心理・風景描写を心ゆくまで読み込ませていただきました、お詫びなどとんでもないです。ビビの辿る心情変化も彼女らしい力強さに溢れていてとても好きです……! こうしてイメージを共有してくださったおかげで上手く舵を合わせられると思いますので、此方こそ、今後ともこのような打ち合わせを是非よろしくお願いいたします。
そしてそうなんですよ……(ガッツポーズ)年上の男に無垢な恋をして猛アタックするという点ではよく似ているはずのビビとサキュバスとで、小さな違いの積み重ねから全く違う恋路を辿ってしまった、という対比を勝手ながら盛り込ませていただきたくて……! ギデオンとアーロンの「青い友情」といい、そこを巧みに見抜いて的確な言葉にしてくださるのがもう本当に嬉しすぎて……!!
アランの動向について詳しく考えていなかったのですが、是非主様ご提案のその方向でお願いします。ビビと同期というのも大賛成です! 名前、21歳という年齢、サキュバスによる誘拐事件の被害者だったこと、アーロンと同じ目の色・髪色・そばかす持ちであること・カレトヴルッフ冒険者であること以外は設定自由ですので、人物像や口調など、お好きなように扱っていただければと思います。ギデオンやビビが更に辿るであろう変化は、黒い館編に差し掛かった時にでもまた話し合いましょう!
日々の中に物語が溶け込みつつあると聞き、もう嬉しさが極まるばかりです。ご無理がないとのこと安心いたしました! 今後についてのご報告もありがとうございます。この先も、話したい部分についてはたっぷり、省ける箇所についてはさっくりで対応しつつ、主様と一緒に楽しく遊んでいければと思います。是非是非、これからもよろしくお願いいたします……!)
92:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-15 13:06:36
( 屈めば一層強くなるアルコール臭に、ビビを品定めするような疚しい目付き。予想通りとまでは言わないが、その手が不躾にぬっと伸ばされても、全く驚かずに薄く笑みを浮かべたまま「こら。だーめ、」なんて、甘く半身を逸らそうとしたところ。──本当になにしてんのギデオンさん!? ビビの揺れる尻尾の先、青年の手に勢いよく振り下ろされた警棒。思わぬバディの奇行によっぽど驚き、声も出ないといった様子で口をパクパクと動かし。咄嗟に、彼らが何らかの悪人で、ギデオンが気づき助けてくれた可能性が頭をもたげるも、続いた相手のぶっきらぼうな言葉に混乱は増すばかり。青年との間に割り入ったバディの大きな背中に、困り果てた様子で説明を求めようと手を伸ばしたところで。ギデオンの祈りも虚しく、よく知った名前をハッキリと耳にし「、ママ……?」と、青年とはまた違った意味で怪訝に眉をひそめる。父であるギルバートはあまり話したがらないが、母が優秀な剣士だったことはヴィヴィアンも知っている。今も実家の父の部屋には、定期的に手入れされている持ち主のいない剣があるし、シェリーとギデオンの所属時期を考えれば、師事していたとしてもなんら不思議ではない。しかしシルクタウン、グランポートと決して短くない時間を過ごしたにも関わらず、ギデオンからそんな事情は一度も聞いたことがなく。青年への仕打ちも、ビビ達が恋人同士なら兎も角、ただのバディであるギデオンが怒る理由が分からずに、厄介なのはどちらだと、艶のある赤い唇を引き結べばギデオンに対する諸々の不信を表情に浮かべて。不安そうに首を傾げ、何か事情があるに違いないとギデオンを信じたい思いで伸ばした手さえ、『困らせないでくれ』いつかの言葉が再び頭に木霊すれば、びくっと途中で止められ、相手との断絶はますます深くなるばかりで。 )
っどうして、急にあんなこと……それに、ギデオンさんが母の弟子って、どういうことですか?
( / お気遣いとマリア様のPFありがとうございます。知性を武器に立ち回る格好良い姿と、お子様から伺い知れる生活感のギャップが非常に良くてキュンキュンしてしまいました!当方のキャラへのお褒めの言葉もありがとうございます。看板娘やバルガスについては、此方も温めている設定が幾つかあるので折を見て登場させられればと考えております。
最初にギデオン様の過去を読ませていただき、この対比に気がついた時あまりの尊さに声が出ました……!ビビがもう少し身勝手で、ギデオン様が若かったら、たらればではございますが1歩間違えれば……という雰囲気が切なくて王道で大好きです。
アラン様の動向についてもご賛同ありがとうございます。大きく成長して、当時のアーロン様を思わせる雰囲気もあるでしょうアラン様に、サキュバス様がどう反応するのか、ギデオン様の心がどう変化するのか、今から黒い館編が非常に楽しみです!
毎度お気遣いありがとうございます。背後様のお陰様で、非常に楽しませていただいております。なにかご質問やご提案がなければ、返信には及びません。今後ともよろしくお願い致します。 )
93:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-15 14:58:22
(向けられたのは、不可解と疑念の入り混じった声。ぴたりと立ち止まったそこから、こちらに手を伸ばしかける相手をじっと見つめ返す。今朝からついさっきまで、彼女はおそらく努めて明るく振る舞いつづけていたはずだ──しかし今や、整った眉は訝しげに顰められ、若葉色の透き通った瞳は戸惑いに揺れている。誤魔化せなかったか、と目を閉じて小さく嘆息。逸らした視線を地面に落としてしばし思案すると、やがて小さくかぶりを振り、とりあえずは休憩に入ろう、と手の仕草で軽く示して。相手を連れて人混みの中を歩きながら、躊躇いがちにゆっくりと言葉を探し。)
……ずっと昔に、剣の稽古をつけてもらったことがある。そうは言っても、たった一年くらいの話だ。
(一分もかからず辿り着いたのは、建国祭の運営スタッフに水や食事を無償で配給する店として指定された屋台のひとつ。腕章を見せて名乗れば、腕に入れ墨を淹れた店主の男は威勢よく注文を受けて調理しはじめ。程なくして、薪焼きソーセージと数種類の野菜を挟んでこんがり焼いたバゲットサンドが、茶色い紙包みにくるまれて差し出される。ついでに手持ちの皮革製の水筒に氷水を注ぎ足してもらうと、相手の注文した品が出来上がるのを待ってから、多少腰を落ち着けられそうな場所を探してまたゆっくりと歩き始め。──無言でいるこの間にも、ギデオンの頭の中には、迷いや葛藤が激しくせめぎ合っていた。自分は上手く自覚できずにいるが、かつてのマリア曰く、自分は思っている以上に、あのひとに……シェリーに囚われている人間だ。そうと知っているから、彼女の遺したひとり娘と密に接するとき、彼女のことは忘れ去るよう徹底してきた。万が一にでもおかしな態度をとってしまえば、自分の綻びが明らかになる、ヴィヴィアン本人との関係にも暗い影が差してしまう。それを避けたい一心でここまで来たというのに。……彼女の娘に、それを抜きにしてもこうして一緒に過ごしてきたヴィヴィアンに、シェリーとのことを深く尋ねられるのは避けたい、そんな思いから、また目を合わせぬまま距離をとるような物言いをして。)
……隠してたわけじゃない。が、もうずっと前に亡くなった人の話だ。わざわざ掘り起こすことでもないだろ。
94:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-15 16:24:00
( じっとこちらを見つめていた冷たい鉄のような瞳が、金の睫毛に縁取られた瞼に覆い隠され、もう一度開いた時には曖昧に落とされている。ただ其れだけで、ギデオンのシェリーへの唯ならぬ感情を思い知れば、何も言えなくなってしまい。ギデオンの仕草に小さく頷き、静かに俯いてその背中を追って。「絶対温くならない魔法の水筒だよ」なんて、一日で切れるような氷魔法をかけたそれを、割高で売っている屋台の主人の声がやけに耳につく。建国祭の人出でギデオンの表情は窺い知れないが、ただ稽古を受けただけの相手であれば、こんなに丁寧に言葉を選んだりしないだろう。オニオンやアボカド、たっぷりの酢漬け野菜と一緒に、燻製されたサーモンとチーズを挟んだベーグルを受け取り「別嬪さんにゃおまけしといたよ」と、毒気なく笑う主人にお礼とともに曖昧な笑みを返せば、再びギデオンの斜め後ろを歩き出し。ギデオンの思いの種類は測りかねるが、少なくとも相手の大切な師を自身の出生とともに奪ってしまったのだと、昔からヴィヴィアンに隠れて酒を煽る父に幾度となく抱いてきたどうしようもない罪悪感が顔を出す。ギデオンは優しいからこう言ってくれるが、それはそんなヴィヴィアンに付きまとわれれば迷惑にも感じるだろう。ギデオンのはっきりしない突き放すような物言いに、最悪な形で今までの態度の意味を結論づければ、"いいバディ"として小さく笑い、努めて軽い調子で腰に手を当てる。今ばかりは流石に綺麗に笑えている自信はなかった。 )
── ……あはっ。
そうかも知れないですけど、一言でも言ってくれれば良いじゃないですか、水臭いなあ。
95:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-15 21:55:09
(ギデオンの最大の誤算──それは、相手が自分を恋い慕う気持ちの強さを、真剣さを、ここに来て尚見誤っていることだった。ギデオンの示すほんの些細な所作や声色、そこから多くを読み取ることが、ヴィヴィアンならできてしまう。しかしそれでいて、ギデオンがきちんとした言葉にせずにいる部分、本当に肝心な部分だけは、当然見つけられるわけもないのだ。そのことを、ギデオン本人だけがまるで理解していない。故に、自分の命はシェリーの犠牲の上にあるのだとヴィヴィアン本人に感じさせてしまうこと、ギデオンだってそう捉えているだろうと思わせてしまうこと……何よりも避けたかったはずの事態を、他でもない自分の愚かな不器用さが招いているとは露程も思わず。「……時機が来たら話そうかとは思っていたんだ」なんて、真実かどうか定かですらない付け加えをして、致命的なすれ違いにかけるべき言葉を今も再び間違えて。開いていない店の入口の石段に腰を下ろすと、包みをめくって軽い昼食にかぶりつく。ギデオンの舌が浅いからか、雑多な屋台モノだからなのか、味の善し悪しはよくわからない。そうして無言でまた言葉選びに迷いながら、胃に栄養を収めてしまうと。余った紙ゴミを丸めながら、依然相手の様子を確かめないままぽつぽつと語り。)
関わってた時間はそう多くなかったから、おまえに話せることが少ないのは本当だ。だからこの話、とりあえず今はここまででもいいか。……午後の仕事も、まだ長くかかる。
96:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-16 00:37:13
そうですよね、仕事中にごめんなさい。
……午後も頑張りましょう!
( 時機、時機っていつだろう。相手の適当な相槌に、つまり言う気などなかったのだと解釈すれば、ますます気持ちは落ち込むばかり。基本的に明るい彼女が母親の話題になると、どうしてもネガティブになってしまうのは、滅多に母の話をしたがらず、したとしてもヴィヴィアンに申し訳なさそうな視線を向ける父の所為で。それもまた男親の不器用な愛だったのだと、教えてくれる存在はヴィヴィアンにはいなかった。パリ、と小さな口でかぶりついたサンドイッチの味は、大味でソースの塩気が少しくどい。母の話になるといつもそうしていたように、ギデオンの言葉に聞き分けよく微笑めば、サンドイッチの包みを4つ折りにしながら元気よく立ち上がった。 )
( 依然2人の距離は微妙に離れたまま、1週間に渡る建国祭は大きな問題なく進んでいった。流石の冒険者たちにも疲れが見え始めた最終日前夜。ギルドにポーションの入ったバッグを置いてきてしまったことを思い出し、1人取りに向かえば、閑散としたロビーで最近顔見知りから友人になった(向こうは不本意そうだったが)看板娘のエリザベスと目が合う。「お疲れ様です。少し休んでいかれたら如何でしょう」と向こうから呼び止められた珍しさに目を丸くすると「そのうっすい笑顔が目障りなだけです」仕事に影響が出ても迷惑ですから、と続けられた照れ隠しと心配に思わず、自分はどれだけ酷い顔をしていたのだろうと苦笑して。そのどこまでも平等で率直な物言いはどこか心地よく、カウンターの中で華奢な背中に鳴き声を吸収して貰っている間に、すっかり日が落ちてしまった。こんなか弱い女の子を夜まで呼び止めるなんて、と慌てて立ち上がれば、おくっていくよ、と言いかけて、どこか決まり悪そうな彼女の表情にロビーの方向を振り向く。そこで微笑んでいたのは、ギデオンとよく話している事務員の女性。どうやらマリアとエリザベスは情報通の非戦闘員同士交流があるらしく、リズの「こんなところで私に泣きつくよりも、事情を知ってる方から話を聞いた方が効率的でしょう」との物言いから、今日ビビが1人ギルドに来ることさえ勘づいていたような底知れなさに、強い女性2人を目の前にして思わず涙も引っ混んだ。 )
ギデオンさん、私と何か賭けません?
なんでもいいんですけど……ダンスコンクールの順位とか。
( ──午後から広場でやってるやつ。と、ビビが妙に落ち着き払った様子で振り返ったのは、初日の商店街からほど近い、祭りのメインストリートで出たひったくりの尻に火をつけた直後。昨晩あれからまた1時間ほど3人で話込めば、女性陣のギデオンへの評価は散々なもので。何故か泣かされたはずのビビがギデオンを庇う側に回りつつ、マリアの口から聞いたバディと母の関係には新鮮な気持ちにもなって。ただし、その直後に聞いた『“自分なんか”がシェリーの娘の相手になるなんて受け入れられない、と考えてる』という言葉は聞き逃がせず憤慨する。ギデオンがヴィヴィアン個人を迷惑だとするなら受け入れもするが、ヴィヴィアンを見てすらいない。誰かの娘として振るなんてあんまりじゃない、と初めてギデオンに対して怒りを抱いて。それでも一度ギデオンの要求を受け入れてしまったにも関わらず、反故にするのは如何なものかと思い悩むビビに、マリアがすました顔で耳打ちして来たのは、ギデオンの悪運についてだった。尻を燃やされて飛び上がる泥棒に──わあ、踊ってるみたーい、なんて酷いことを考えたわけでは断じてない。兎に角、朝からこの1週間とはまた違った、ビビが怒りから来る冷たい素っ気なさをギデオンに向けていた中、今日初めて業務連絡以外にビビから振った話題は、哀れな引ったくりを回収しながらとなって。 )
97:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-16 04:33:07
(幼いころはひと夏まるごと続いているように感じられた建国祭。しかしそれも、開催地キングストンを地元として三十有余は眺めてきた身ともなれば、もはや大した感慨もないままあっという間に過ぎていく。……そんなものよりも今のギデオンの気にかかるのは、件の彼女との間にこの一週間曇天よろしく垂れこめる、平常を取り繕うようなごくごく微妙な雰囲気だった。あの日の会話が招いたらしいことは否が応でも気付きつつあり、されど問題の複雑さやギデオン側の事情を思えば、これをどうにかしようという考えに至るのも難しく。そんなこんなでついに迎えた最終日、いつもの集合場所に出勤してみれば、どういうわけだ、相手の放つオーラが昨日までとどこなく違う。なんというか……ここ最近はしおれた花のようだったのが、力強さを取り戻した代わりに、近寄り難い冷ややかさを含んでいるような気がするのだ。いったい何事だ、と当惑しながらもとりあえず朝の挨拶をしてみれば、返ってきた声はやはり、ヴィヴィアンらしからぬ素っ気ないもの。あまりの衝撃に軽く目を瞬かせ、たまたまそばにいた精霊使いや祓魔師までもが互いの顔を見合わせて。有無を言わせぬ異様な雰囲気に押し流され、とりあえずはそのまま最後の警備現場に向かったものの、そこでも依然違和感は続く。昨日までに比べればいくらか元気を取り戻したようだが、それにしてはヴィヴィアンの顔が怖いというか、妙に吹っ切れた様子というか。いつも以上にパワフルな取り締まりを行うバディの様子に、流石に何か尋ねようかという気になったところで、タイミングを図ったように厄介な仕事が次から次へと降りかかったため、そういうわけにもいかなくなり。酔っ払いの群れの処理、客と店の口論の仲裁、暑さに倒れた急患の移送、偽の身分証を使って未成年飲酒をしていた少年少女に対する補導。私語を挟む暇もなく、やっとの思いでそれらを片づけた矢先、今度はひったくり騒ぎを聞きつけ、メインストリートへ急行したのだが。居合わせた別の冒険者の班が、「なんだ!」「喧嘩か!」「よし合法でボコれるな!」とうきうき腕まくりした、その真横。無言のヴィヴィアンが杖を引き抜き、顔色一つ変えもせず泥棒の尻を明々と燃え上がらせたのを目の当たりにした瞬間、とうとうギデオンの頬を冷や汗が伝いはじめた。そろそろ本格的に恐ろしい──何が何だかわからんが、彼女は相当キレている、それだけは絶対に確かだ。しかし、いったい何に? 誰に? ……順当に考えれば自分なのだろうが、それにしてはタイミングがどうもわからない。少なくとも昨夜解散するときまで、彼女はあの、どことなく力のない笑顔を確かに浮かべていたのだから。自分自身も肝を冷やしつつ、がたがた震えて身を寄せ合う格闘士たちに「……ここは任せろ」と小声で告げて退散させた、そのときだ。)
……は?
(不意に振り向いた彼女からかけられた、不思議と穏やかに凪いだ声。その言葉の意味するところを、噛みほぐすようにしてようやく飲み込んだ途端、腰の革袋から高速用の縄を取り出そうとした格好のまま立ち尽くすギデオンの喉から、間抜けな声が漏れ落ちる。賭け……賭け? 何故そんな突拍子もない話を、今このタイミングで? まんまと相手の土俵に引き込まれつつある思考は、ぐるぐると渦巻くばかり。地面にうずくまってひいひいすすり泣く泥棒のことをどうにか思い出すと、一先ずは彼の拘束に乗り出して。最寄りの警察署に引っ立てる準備を数秒で済ませてしまえば、涼やかな表情をした相手の側に縄の端を手にして戻り、困惑も露わな表情を投げかけて。)
なんでまた……急にそんなことを?
(/以下は単なる感想なので読み流していただいて大丈夫です!
突然の「看板娘!?看板娘ちゃん!?まさかの名前判明ありがとうございますあなたエリザベスって言うのね!?」に始まり、主様の今回の更新分で背後はもうそれこそお祭り騒ぎでした……!
リズ側は友人関係に至るのが不本意だった、というのが密かに抱いていたイメージと完全解釈一致だったり、「そのうっすい笑顔が目障りなだけです」に詰まった期待を遥かに上回るツンデレ芸術点の高さでリアルに笑い声あげたり、カウンターの中でビビがリズの背に顔をうずめてぴすぴすしている図(という想像をしました)が可愛くてたまらなかったり、さりげなく日が落ちるまで付き合ってあげているところに一見冷淡なリズの優しさが垣間見えてほっこりしたり、リズとマリアの間で交流があるというのも密かに夢見ていたことなのでにこにこするほど嬉しかったり、したたかな女性である彼女たちにギデオンがこっ酷く扱き下ろされたであろうことに爆笑しながら「いいぞもっとやれ」とサムズアップしたり……もう最高でした……! リズ嬢完全に推しです、既にスピンオフと概念グッズの発売が待ち遠しい……最高回本当にありがとうございました!!)
98:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-16 09:15:44
なんで……やっぱりギデオンさんと花火を見たくなっちゃって?
( 自分でも突拍子も無い言動をしている自覚はある。そんなビビに気を取られながらも、蹲った男を手際よく拘束するギデオンはやはり格好良くて、先程のビビの言葉を聞いて固まった少し間抜けな姿さえ、可愛くて大好きだと心から思った。臀部を抑えて啜り泣く情けない男を、冷たい軽蔑の視線で沈めてからギデオンに向きなおれば、なんと説明するべきかと本気で悩みつつも、上目遣いにあざとく小首を傾げて見せ。流石に『あの日フラれたのはなしで』と口にするのはあまりに無粋な気がして、ギデオンとのあの約束を反故にしたい、ということは上記で十分伝わっただろうか。まだ約束は継続しているから、律儀に触れはしないものの、マリアの『煽れば絶対乗ってくる』という言葉を思い出し、勇気を出してギデオンの懐に1歩踏み込めば、出来るものならしてみろとばかりに"なんでも"の言葉とともに挑発的に自分をギュッと抱きしめたのは確信犯で。ダメ押しの露骨な挑発を口にすれば、久方ぶりに陰りのない笑みをニッと浮かべて。 )
私が負けたら"なんでも"一つ言うこと聞きますから。
……負けるのが怖かったら断っていただいてもいいんですよ。
( / 恐れ入ります。女の友情が好きなのでリズとビビの関係はいつか描写したいと思っていたのですが、文字数の関係で割愛せざるを得ないことが多く、今回マリア様とお話する前段階として登場させることができ、こちらも満足していたのでそう仰っていただけて非常に嬉しいです!
ギデオン様をこき下ろしたり、ものすごい駆け足進行に如何かと心配しておりましたが、そう仰っていただけて非常に安心致しました。此方の短い文章からビビの激怒ぶりを素敵に描写していただき、此方も爆笑してしまいました。強い女性はいいぞ……!!
感想との事で、お気遣いありがとうございました。此方も以上を伝えたかっただけですので、読み流していただいて返信は結構です。 )
99:
ギデオン・ノース [×]
2022-07-16 12:01:52
(艶やかなポニーテールを揺らし、可愛らしく小首を傾げる仕草。それは確かに、ギデオンがよく知る“普段の”ヴィヴィアンがよく示すもので、突然日常が戻ってきたような感覚に何度かの瞬きを。しかし、鮮やかな紅の乗った唇から再び花火の件が持ち出されれば、眉を顰めて見つめてしまう──不快だったからではない、彼女の真意がまるでわからないからだ。深い意味があるとみなされるものを一緒に観に行ってはやれない、とはっきり告げたのが約二週間前。あの時の言葉の意味を物わかりの良い相手もきちんと理解し、だからこそ……その、ここのところ大人しくなっていたのではなかったか。そう認識していたものだから、こつり、と石畳を踏んで一歩近づいた彼女が挑発的に微笑みながら口にした台詞に、ペールブルーの眼を瞠る。そして次いで紡がれた煽りに、今度はその目を微かに細め、軽く睨むような表情となって。)
……見くびられるのは心外だ。いいだろう、乗ってやる。
(ふ、と小さき息を吐きながら、まんまと乗せられた形での返事を。何でも言うことを聞く、と若い美人に言われたところで、やましい何かを働こうと盛るような若さは、ギデオンにはもう残っていない。だが、焚きつけたって大丈夫だろうと高をくくられてしまうのは、男として御免である。……それにどういう理屈かはわからないが、この誘いに乗ること自体で彼女の機嫌が多少直ってくれるのであれば、かなり御の字といえるはずだ。「とりあえず、こいつを片付けてからにするぞ」と縄の端をびんと引っ張れば、惨めな鳴き声をあげて立ち上がらされる件のひったくり。「なんなんだよぉ、いきなりケツ燃やされてよぉ……その上かわいこちゃんとおっさんのくだらねぇ痴話喧嘩まで見せられるなんてよぉ。女の子はともかくいい歳したおっさんだぞ、いったいオレが何したって……」と口走る奴の焦げた尻を警棒で叩きあげ、悲鳴によって黙らせながら歩くこと数分。若干狼狽えた様子を見せる交番のおまわりに後を任せてしまえば、元々午後の警備担当となっていた東広場へと向かう。臨時のステージが組まれたそこは、冷たい魔法の霧が絶えず吹きあがって観客に涼をもたらすなか、喜劇役者による前座だけで既に大盛り上がりを見せており。受付で出演者情報の乗った色鮮やかなビラを貰うと、「ついでに何か腹に入れるぞ、」と近くの屋台を指し示しながら、どの店の賄いを貰うか相手に任せることにして。)
100:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2022-07-17 00:33:32
本当ですか?わあ!ありがとうギデオンさん!
( ギデオンが眉を顰めても、もう怯むことは無かった。こちらの挑発に目を見張るバディに、昨晩からの溜飲を下げれば、続く相手の返事に頬を薔薇色に染めて、満面に眩しいほどの笑みを綻ばせ。自身の胸の前で両手を打てば、はしゃいだ声を出し小さく飛び跳ねる。その一方で、不満を無視されたどころか、自分に時たま向けられる冷たい監視の視線と、ギデオンに向けられる誰が見ても分かる程熱い視線の落差に、ガックリとうなだれた男は更正を心に誓ったとかそうでも無いとか。 )
わあ、すっごく綺麗ですね……!
(そうしてやってきた東広場にて。出演者だけでなく、観客までも煌びやかなドレスや仮面に身を包むきらびやかな会場に無邪気な歓声をあげ周りを見回す。一応地元の建国祭と言えど、隠れ箱入りであるヴィヴィアンが知るのは学院周りの厳かで形式ばった催しか、英雄の劇がせいぜい。この3年も参加側でなく運営側では、祭りを楽しむ余裕もあまりなく。屋台を選んだ良いと言われれば、一通り眺めてから、目に入った大きな肉の塊に目を輝かせると「アレ!私アレがいいです!すごーい!」とはしゃぐヴィヴィアンに、ケバブ屋の主人の相好も崩れるばかりで。主人から白い包みを2つ受けとり、小走りにギデオンの元へ帰って来れば1つ差し出す。もう1つのそれを大事そうに両手で持てば、包みを開ける前から漂う香ばしい匂いにふふ、と幸せそうに微笑む。その時会場に、ダンスコンクールのテーマミュージックが流れるのを聞きとめれば、気を取り直すよう小さく咳払いし、片手をグッと胸の前で拳に握って。 )
はい、ギデオンさんの分です!
……勝っても負けても恨みっこなしですよ。
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