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1対1のなりきりチャット
自分のトピックを作る
888:
ギデオン・ノース [×]
2025-05-03 09:16:55
(相手の漏らした呟き声があまりにあどけなく聞こえ、思わずふっと笑みながら薄青い目を投げかける。シルクタウンの帰りの馬車でも思ったが、ヴィヴィアンのこういうところは見ていて非常に好ましい。歳を重ねれば重ねるほど無垢から程遠くなるだけに、若い人間の見せるそれにはつい癒しなど覚えるのだろう。……だがしかし、焚火に明るく照らし出された娘の顔をいざ眺めると、そんな愉快な面差しは、ふと静かに消え失せた。ヒーラ娘のまなざしは、どこまでも混じり気のない煌めきに満ちていて……それが何故か、ごく穏やかに、いたましいと感じたからだ。
──北の辺境で生まれ育った、浮浪児上がりのギデオン・ノースと、華の王都で生まれ育った、名家令嬢のヴィヴィアン・パチオ。たまたま同じギルドで働いている自分たちは、思えば年齢だけでなく、実は身分も随分違う。だがそれでも、国内の祭りをあちこち覗く楽しみは、若い時分に貧乏だった自分の方がたっぷり馴染みきっていて……反対に富める彼女には、ああして遠く眺めるような憧れの世界らしい。厳しい学院をとうに出て独り立ちもしているのだから、実際に行こうと思えば、自由気ままに行けるだろうに。或いはやはり、多忙な仕事の合間を縫って女の身で動くには、何かと不自由するのだろうか。……それとも、“そこに行ってはいけない”という大人に言いつけられた教えを、今もどこかで無意識に、従順に守るせいだろうか。
そんな風に考えたから、最初のそれはただ純粋に、己の後輩を可愛がってやりたいという、下心なしのものだったはずだ。「ヴィヴィアン、」と声をかけ、相手がこちらを見たならば、先に予備動作で予告してから、小さなものをぽいっと放る。──腰袋から取り出したそれは、碑文探しに旅立つ前にギルドの事務から御裾分けされた、包み紙入りの薬飴だ。何でも疲労回復の効能があるとかで、このところやつれていたギデオンを気遣ってのものらしい。とにかく、自分の分も口に投げ入れ、しばらく甘味を味わっていたが。やがてコロ……と転がしていた飴をとどめて、軽く噛み砕いてしまうと、皮革の水筒に手を伸ばしながら、何てことのないように誘って。)
この辺りの郷土料理は、俺も恋しかったところだ。タブレットを回収出来たら……ちょうどいい、付き合ってくれ。
祭はしばらく続くから、終わりがけの手頃な屋台にありつくくらいはできるだろう。
889:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2025-05-11 16:28:39
──!
ありがとう、ございます?
( 自分が舐めるついでの気遣いか。ヴィヴィアンにとっては、唐突に投げよこされたように感じる甘味を軽く両手で受け止めると、相手に習って口内に含む。そうして、コロコロと人前で白い頬を膨らませることすら恥ずかしかった時代があることなど、ギデオンには信じられるだろうか。カレトヴルッフに飛び込んで3年間、自分ではずっと世間慣れしたつもりで、何故これまで憧れの祭典へ赴かなかったのかと問われれば。結局、自分にもその権利があると、その発想さえなかったと答えざるを得ないのだから仕方がない。そうして、薬飴の優しい甘さと薬草の香りを楽しむこと暫く、この時はまだ子供扱いに過ぎなかったギデオンの提案に相応しく、素直に目元を見開くと。「わあっ、本当!? いいんですか?」と、片方膨らんだ頬を無邪気染め、満面の笑みを綻ばせれば。 )
それじゃあ益々早く見つけなくちゃ!
( 「ギデオンさん大好き!!」そう元気いっぱい立ち上がったこの頃は、そう遠くない未来、こんな些細な飴では決して満足出来ないほど、自分が相手から目を離せなくなっていくことなど微塵も予想だにしていなかった。
そんなやり取りから、かれこれもう丸一日近くなる。乗合馬車の路線などとうになく、対魔獣用に特別に装備を施した荷台は、普通のそれに比べて倍以上の速さが出る代わりに、乗り心地はお世辞にも良いと言えるものではなく。ビビはと言えば、最初こそピンと元気よく背筋を伸ばし、向かいのギデオンと今回の作戦について真剣な表情で話し合っていたのだが。カダウェル山脈が次第に近づいてくるにつれ、いよいよ本格的になってきた悪路に、紙より白くなった唇を緩慢な動きで抑えると。相棒の許可を得て外の空気を吸おうと、小さく幌を開けた瞬間だった。夕焼けの空にかかる壮大なアーチ、巨人の肋骨に例えられる大コスタ。その知識としてだけは持ち合わせていた、かつて始まりの冒険者たちが踏破した大自然に息を飲むと──ガタンッ、と、一際大きな振動に、為す術もなくころんと後ろにひっくり返り。 )
──……すご、い! これが…………ギデオンさんも見、ひゃっ!?
890:
ギデオン・ノース [×]
2025-05-18 00:54:56
ッ、おい、気を付け──……
(外から差す陽に照り映える、あどけない娘の横顔。それを見てくれこそ気怠げにじっと眺めていたものの、突然の揺れに目を大きく見開いたのは、ギデオンもまた同じ。──それでも、籠手付きの手を咄嗟に伸ばして娘の頭をどうにか支え。そのまま床から抱え起こす……かと思いきや、その両頬を包み込むようにして後ろから上向かせ、睨むようにして覗き込む。こちらの座席の鋭い角に頭を打ちつけでもしていたら、いったいどうするつもりだったのか。そんな、思えばこの頃から発動していた過保護気味の心配から、剣呑な声を落としたものの。その気配をふと掻き消して馬車の前方を振り向いたのは、馬車が急停止すると同時に、声が聞こえてきたからだ。「ああっ、まずい──止まれ、止まれ!」と。)
(──結論から言うと、幌馬車での旅路はそこで一旦中止となった。先ほど馬車が大揺れしたのは、巨木の根を回り切れずに勢いよく乗り越えたからで、このとき、巨木に絡んでいた寄生植物の太い蔓が、車体の下の複雑な車輪に巻きついてしまったらしい。そのせいで、頑丈なはずの車輪の一部が大きく歪んでしまったとか。帰路での事故を避けるためにも、蔓を慎重に切り離すほか、車輪の部品を新しく替える必要があるそうだ。
それならそれで構わないと、幌馬車の御者と護衛は、この近場の集落にしばらく置いていくことにした。どのみちこの一帯がエジパンス族の住処のはずだし、馬車の入れない鬱蒼とした森林には、冒険者である自分たちだけで分け入っていく必要がある。かれらと一度別れると、ヴィヴィアンとふたりきりでもう一度森に戻った。日が落ちるまであとわずか……野営を構えるその前に、この辺りの様子のことは少しでも知っておきたい。)
(──がさり、がさりと、蜜に絡んだ下生えを踏み分けて、緑の斜面を登っていく。戦士装束に身を包んで遠い山林に繰り出すのは、実に二週間ぶりだった。たかが半月、されど半月……特にこの数日を思えば、自分自身が現地に出て自由自在に行動できる、これの何と喜ばしいこと。腰に下げた魔剣の重み、そして肺にたっぷり吸い込む森の大気は、こんなにも心地良くしっくりくるものだったろうか。
ベテラン戦士のあるべき姿として、大コスタに近い森を慎重に見渡しつつも、普段は澄ました薄青い目は、どこか生き生きと、少年時代に初めて遠征に出た時のように揺れ動き。時折相手を振り返って声をかけるその響きにも、どこか寛いでいるような、のびのびした気配が乗って。)
……、気になる薬草を見つけたら、好きに採集するといい。集落の許可はとれてるし……お前も土産が欲しいだろう。
891:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2025-05-22 22:01:01
…………!
( 獣道すらない原生林を、数歩先に行くギデオンに促され、初めてその広い背中と横顔に、自分が見蕩れていた事に気が付く。いくら歴戦の勇士と云えど、必要性がなければ危険な前線より安全地帯を好むのが、生き物としての人間の性ではなかろうか。それが目の前の男ときたら、人の手が及ばぬ魔獣共のテリトリーに怯むどころか、ごく自然にギルドの会議室にいた時より、よほど強い生気に満ち溢れる様子を目の当たりにして──これが、この人が、冒険者ギデオン・ノースなのだ、と。思わず瞳を奪われたのは、この数ヶ月"ハマって"いる戯れとは関係の無い素直な畏敬だ。そんな深い緑を取り込んだ薄青を此方に向けられて、一瞬驚いたように目を見開き、無言で唇を震わせれば。 )
……いいえ。私も──いえ、目の前の仕事に集中させてください。
( "私も、貴方のようになりたい"と、唐非常に突な、そして口にするのも烏滸がましい目標を飲み込み、改めてぐっと引き締め直すと。もしその様子を不思議そうに見つめられれば、「お土産でしたら、帰った後ギデオンさんがしっかり休んでくだされば十分です」と、小首を傾げる仕草こそ可愛らしくも強かに、当初の要望を強くねじ込むことも忘れずに。
そうして当初の計画通り、エジンパス族の森を何処か目的地でもあるかのように歩き回ること暫く。ビビがその違和感に気がついたのは、森の精霊たちがにわかにざわめき始めた時だった。そもそも植物性の精霊は概して警戒心が強いにも関わらず、この森では侵入者であるヴィヴィアンらの足音に、興味津々で近づいては時たま木陰からぴょこりと顔を出す者まで。つまり、普段彼らを脅かす木こりが入って来れない人ならざるものの領域で、その鈴を転がすような笑い声がピタリと止んだのを感じ取れば。果たして、尊敬する相棒と目を合わせたのはどちらからだったか、 )
──……ギデオンさん。
892:
ギデオン・ノース [×]
2025-05-26 00:44:34
──……“この辺りみたいだな”。
(魔力の豊富な相手と違い、ギデオンの目に精霊は視えない。それでも森の気配が変わり、かれらとは違う何者かに囲まれだしたと気がつけば、振り返った薄青い目にいっそ愉快な色すら浮かべ、悠然と一芝居を。盗人亜人エジパンス族は、人間世界に本能的に興味を持つその性質上、人語を解することができる。当然、こちらに忍び寄っては、その会話に聞き耳を立てて注意深く窺うだろう。それを逆手に取ってしまえば、嘘を信じ込ませることだって、こちらにとって容易いわけで。
それからの小一時間、ヴィヴィアンと共に野営の支度を進めながら、無防備な調査隊として、如何にもそれらしい会話を垂れ流しておくことしばらく。ふと懐から取り出した、精巧な“処女”のエメラルド碑文。それを魔法で輝かせれば、やはり周囲に潜む気配に、明らかな動揺が波紋のように広がった。──やはり、当たりだ。心の内では拳を固く握り込みつつ、上辺は素知らぬふりを。「朝になったらこいつの続きを捜し出そう」と……まあこれは、こちら側の本懐ではあるのだが、とにかくそう言い交わしてしまえば、あとはいよいよ寝入る様子を装うだけだ。
今宵のうちに、追跡魔法をかけた碑文をわざとかれらの手に渡らせる。その後を追えば棲みかがわかり、盗み出された本物をこの手にようやく取り戻せる。ギデオンのその計画は、本来ならば間違いなくそのように行くはずだった。しかし、そこには誤算がふたつ。……梢の上の雲間から、神秘的な月明かりが煌々と降り注いだこと。そしてそれに照らされたのが、眠るふりをするヒーラー娘、カレトヴルッフの誇るマドンナ──ヴィヴィアン・パチオだったことで。)
(──こちらを囲む亜人の気配が、何やら……妙なものに変わった? ギデオンがそう察知してそっと薄目を開けた瞬間、ざっと顔から血の気が引いた。月光の差す原生林にて、いよいよ姿を現しはじめた、山羊脚の亜人族の群れ。彼らは何故か、すぐそこに置いてある碑文のレプリカに目もくれず、皆が惚けたような──どこか見覚えのある──顔で、ヴィヴィアンの横たわる方へ、ふらふら吸い寄せられていくのだ。
作戦をかなぐり捨てて魔剣を掴み身を起こしたのと、臆病なエジパンス族がびくっとこちらを向くのが同時。何やらみょうちきりんなポーズで固まったものまでいたが、かれらはすぐに我に返ると、途端に激しくいなないてそれぞれ行動に出始めた。──弓矢をつがえてギデオンに放つ者、ヴィヴィアンの杖を盗んで懐に仕舞い込む者、森の精霊に何やら命じて木の蔦を奮い起こさせる者。どういうつもりか知らないが、こちらの読みが大きく外れ、攻撃されていることはたしかだ。斜面の岩を足場にして矢の雨を除けきりながら、杖を盗んだ一頭に雷魔法を叩き込み、肉薄して奪い返したその大切な仕事道具をヴィヴィアンの方へと放る。話し合う暇はない、今は防戦に出なければ。)
──ッ、受け取れ!
893:
ヴィヴィアン・パチオ [×]
2025-05-28 13:00:09
──……はい、
( 亜人族達の気配を察知して、思わず固く表情を強ばらせたビビに対するギデオンの返答は、ごくごく自然な違和感を感じさせないそれだった。首都キングストンの冒険者ギルドで、伊達にその上層部に名前を連ねてはいないということだろう。そのまま自然に会話をしているようで、ギデオンの質問や指示にビビが短い相槌を打つといったやり取りを何往復か──これは、大変な人を目標に持ってしまった。せめて足手まといだけにはならないようにせねば、とへこたれそうになる頭を上げ、気を引き締め直したヴィヴィアンに。しかし、その名誉挽回の機会は思ったよりも早めに訪れたのだった。 )
ありがとうございますッ!!
( 汚い嘶きに飛び起きて、ギデオンがとり戻してくれた杖を受け取れば、「触らないでっ!」と、此方へと躙り寄って来る一頭へ先日ジェフリーにもお見舞した一撃を。しかし、瀕死の悪党を沈めた一撃も、山の亜人には大して効いていないようで、叩かれた頭を掻きながら立ち上がる亜人にギデオンの元へと飛び退くと、その途中で──……やった! と。視線だけで確認したのは、後ろに飛び退るその瞬間、迂闊を装って踵で蹴飛ばした革鞄、そしてその弾みに衆目の下に晒された処女タブラ・スマラグディナの贋作で。そうして、無防備にも世紀の秘宝を慌てて拾いに行こうとした娘を止めたのは、頼りになる相棒か、手癖の悪いエジパンス族だっただろうか。 必死──なのは、手強いエジパンス族を目の前にして演技では無い。尚も色呆けした表情で此方へ踊りかかってくる亜人に対し、己の杖を構え直せば。間を置かせずに詠唱するのは、前衛であるベテラン剣士に対するバフ、腕力、体力に対する増強魔法。それも相手に合わせてカスタムした特別仕様で。転がった"餌"を一頭が懐に入れたのを確認すると、背後の相棒と視線をかわし頷いて。 )
ギデオンさん、援護します!!
894:
ギデオン・ノース [×]
2025-06-02 07:54:28
──ああ、頼んだ!
(魔剣の柄を今一度強く握り直せば、なみなみと湧き上がる底知れない生命力。ここまでしっくり来るバフは、その道およそ云十年の熟練レベルであるはずで、相手と合わせた薄青い目を、面白がるようにふっと狭める。──ワーウルフ狩り、ファーヴニル狩り、アーヴァンク狩りに呪傷の治療。相手の支援を受ける機会は、これまでたしかに幾度かあった。しかし決して多くないし、己と彼女が組みはじめてから、まだ二ヵ月も経っていない。それだというのにこの娘は、既にギデオンの身体を読みきり、的確な支援魔法を最高効率で寄越してくれる。前衛の戦士にとって、それがどれほど快いことか。
──襲い来る蔦を足場に天高く躍り上がり、月を背に大きく反転、そこから一直線に落下。右手の魔剣の切っ先を稲妻のように閃かせ、力強く着地すれば、こちらを狙って蠢いていたこの森の巨大な蔓が、数秒の遅れを持ってばらりばらりと裂けていく。眺めていたエジパンス族たちに「!?」と走る動揺の波。かれらが皆一様に蹄を一歩下がらせた、その中央で立ち上がるこちらのほうは、まだ戦るかというように軽く不敵な笑みを浮かべて。ここでようやくエジパンス族も、稀代の天才ヒーラーの支援を受けた魔剣使いが、たった単騎でどれほどの脅威になるか、呑み込み始めてくれたようだ。リーダーらしき一頭が大きな震え声で嘶き、皆森の下闇に飛び込んでの一斉退却が始まった。このまま一度逃がしてやってもこちらは問題ないのだが、しかし一応、手持ちの碑文を盗まれたというふりは貫かねばならない。「ヴィヴィアン!」と相手の名を呼び、最低限の荷を回収して共に同じく闇へ繰り出す。
──駆けるふたりを照らし出す、木々の根に茂る夜光草、時折差し込む月明かり。先を行くエジパンス族は小癪なルートを選ぼうとするが、冒険者であるギデオンたちは、そもそも身体能力がそこらの常人と桁違いだ。時折待ち受ける障害ですら、己の魔剣か彼女の杖が容易く無力化してしまうから、こちらを振り向くエジパンス族がぎょっと二度見をするのが見える。それを受けてふっと笑うと、真横の娘にちらりと目を向け、息も乱れぬひと声を漏らして。)
ヴィヴィアン──……楽しいな。
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