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契りの刃 〆 /105


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自分のトピックを作る
81: 五條 郁海 [×]
2022-06-04 20:52:28


(頭上より声が聞こえその反応から夢でないと知り、目が覚める。上を向いて顔を向けると寝ぼけ眼でふにゃっと柔らかな笑みを向けつつ抱き締められて嬉しかったので挨拶から始まり、素直にその気持を伝えて)

……勇人おはよう。
俺は勇人に抱き締められて嬉しかったぞ。恥ずかしくないと思えるようになったら、遠慮しないで抱きついてきて欲しいくらいだ。

(そのまま抱き締めつつ頬へ優しく唇押し当てたなら唇を直ぐに離して。寝起きでまだぼんやりとしているが至近距離に相手がいるというのは理解しており、相手の体温が心地よすぎるのもあってまだまだ離す気はまだないようだ)





───
ありがとうございます!

勇人くんの家事能力について気になったり、お言葉に甘えまして昼食作りをお任せ致します!
夜のシリアス展開まではコメディ路線。ゲームの途中で勇人くんに仕事の依頼が入ってしまい、気付かれぬように尾行する→現場目撃し、背格好からその人が勇人くんだと気付いてしまう。流れはこんな感じでしょうか!


82: 山崎 勇人 [×]
2022-06-04 21:20:17


………、うん。

( 寝ぼけた柔らかい笑顔を向けられれば、なんだか拍子抜けして静かに頷きながら返事をする。
相手のペースに呑まれ、すっかり此方も口元が緩みやすくなっているようで、安心したように強ばらせていた肩の力を抜いて相手の髪に触れる。
頬に口付けを落とされれば、また一瞬体を硬直させるも、尚も抱き締めてくれる相手がなんだか愛おしくて自然と彼の背に腕を回してしまう。
そして、そのまま釣られるようにして目を閉じる。

_眠りには着かずとも、それからどのぐらいゴロゴロと過ごしていた事だろうか。いつの間にか更に日は高くなり、お昼前程度に時間は経過していたようで。)

……郁海、お腹、減ってない?
俺が台所使ってもいいなら、お昼、作ろうかと思うんだけど…。

( 瞳をゆっくりと開けながら上記を述べると、そのまま脱力していた上半身をやっと起こして、起きているか定かではないが相手に問いかけるように首を傾げた。 )



( / 了承頂きありがとうございます!

はい、そのような流れで行きましょう! )


83: 五條 郁海 [×]
2022-06-05 10:42:38


(たくさん睡眠できてやっと覚醒したのか再び声を掛けられると今度はしっかりと瞼開き、続けて上半身起こすと一度軽く伸びを。
空腹の合図がお腹より鳴り響き、手料理を食べられるという機会がこんなにも早く訪れるとは思わず笑顔で食いつくと、至近距離からそのまま手を握ってしまい)

空腹の限界で勇人の手料理食べたい!
冷蔵庫に卵、野菜、肉とか一通り材料は揃っているから好きに調理して構わないぞ





───
わかりました!
こちらでもたくさんお話ができて嬉しくてついずるずると続けてしまい。良い頃合いですので一旦話に区切りをつけますね。
何かありましたらお気軽に呼んでください!すぐに駆けつけますので!


84: 山崎 勇人 [×]
2022-06-05 11:36:53


…ありがとう。

あ、でも、本当に料理は苦手なんだ。
だから、期待はしないでね…。

( 冷蔵庫のものを使って良いと言われれば、それに対しては礼を述べつつ、そして食い付くように手を握ってくれる相手には、良からぬ期待を抱かせる前に断っておこうと上記を述べた。
何度も口に出していたかもしれないが、幾分家事は苦手で、自室を相手へ見せれば話は早いかもしれないが、その中でも料理は特に苦手だ。なのに、どうして作ろうか なんて提案したのかは自分でも不思議だが、何か昨日からのお礼になればと思ったのだ。

兎にも角にも起き上がって、手を洗い、台所へと立つ。冷蔵庫の中身を拝借すれば、とりあえず卵焼きと野菜炒めぐらいならばなんとかなるだろうかと材料を恐る恐る手に取って。
作っているところを見られると恥ずかしいので、相手には待っておくようにお願いはしたが、それでも不安には変わりない。)


__お、お待たせ。

( 時間にしてはさほど長くは掛からなかったが、下を向いたまま配膳にやってきたその姿は完全敗北をしたように、いつにも増して猫背になっていて。
だし巻き玉子になり損なった卵の塊と、切る大きさもバラバラで混ざりきっていない不完全な野菜炒めがそこにあった。幸い、食べられないこともないのが救いだろうか。
作っている時から、こう見えて脳筋なので、卵は潰れるし包丁は落とすし切り方は雑だしと、台所は正に修羅場であった。)



( / 了解致しました!
此方も、また相談等ございましたら声を掛けさせて頂きますね! )

85: 五條 郁海 [×]
2022-06-05 12:12:05




(苦手なのに頑張って挑戦するその心意気に感動し、待っているよう言われてしまったので一緒に料理をしたいという気持ちを何とか抑え込み。キッチンの方から色々な音が聞こえてきて、何かが床へ落下したような落下音には思わずソファから立ち上がってしまい。
音がしなくなり静かになると完成したのではないかとキッチンへ行こうとした時、料理する前とは明らかに雰囲気の違う相手の姿を見て何となく想像がつき)

料理は見た目や味ではないよ。作ってくれた人のその気持ちが大切だから、と俺は考えている。

(トレーを受け取りテーブルへ置くと作ってくれたその気持ちが何よりも嬉しくて、見た目や味は関係なかった。優しく頭を撫でてからソファへ座り直すと先ずは卵から食べようと箸とお皿を持ち「いただきます」挨拶をして、塊になった卵を口へ運び一口食べてみる。しょっぱくもなくシンプルな味付けだった。好みの味に表情から嬉しさが表現され美味しそうな笑顔で箸は進み。最後の一口を飲み込んだなら箸をお皿に置き、感想を伝えようと相手へ視線向けて「卵焼きの味付け、俺好みで美味しかった。俺だって最初から美味く作れた訳じゃない。正直に話すと俺が初めて作った時は見た目はかなり酷かったし、味も美味しくなかった。」自分の失敗を苦笑いしながら話すと真剣な表情で)

同じになってしまうけど、料理苦手なのに頑張って作ってくれたその気持ちが何よりも嬉しい。願わくばこれからも勇人の手料理を俺は何回でも食べたい。



86: 山崎 勇人 [×]
2022-06-05 12:47:27


( 自分の手料理を口に運ぶ様を見て、傍で正座しながらドキドキと心配そうに見守って。殻は入っていなかっただろうか、変なものを入れてしまってないだろうかと不安は尽きない。
しかし、口にした相手が嬉しそうに笑顔になるのを見て、心の底から安堵したように此方も肩の力を抜く。
味付けが好みに合っているようで良かった、と息を吐けば、やっとのこと自分も箸を持つ。)

…そう言ってもらえて嬉しいよ。
少しずつ、練習しないとな。

( 見た目や味ではなく、気持ちだと何度も言ってくれる相手に、頷きながら少し表情を和らげて返答をする。確かにその通りだと思うが、まずはそう思える度胸からだな、なんて心中で呟けば、それでも喜んでくれる相手にまた作ってあげたいと思えるのもまた不思議で。
相手も何回も食べたいと言ってくれているし、練習しないと、と肩を竦めながら笑えば、自分も箸を進めて行った。)

…まぁ、リベンジ、という程ではないけれど、また、ゲームもしようよ。
今度は俺、勝つから。

( 優しく言葉を掛けてくれる相手に気分も上向いたようで、料理のリベンジと昨日の敗北のリベンジの意も若干込めつつ、再度ゲームもしようと提案してみる。)


87: 五條 郁海 [×]
2022-06-05 13:22:09



今度は俺と一緒に料理してみない?
勇人と一緒にキッチンに立つのが夢だからさ。

(野菜炒めも美味しく完食するとお皿を綺麗に空っぽにし。お皿を重ね合わせ箸と一緒にトレーへ置くと期待しているのか笑顔で見詰めつつ返事待ちを。
食事後の予定も決まるとリベンジに燃え上がったのか単純な性格なのもあり即答で。
食器類を洗浄機で任せている間にシャワー浴びたり服を着替え、何時もの姿で相手の前に現れてはソファへ座り。
前回は勝たせてもらったが今回も負けるつもりはないと意気込みながらコントローラーを手渡して)

今回どのゲームをプレイするかは勇人が決めてくれないか。その方が面白くなりそうじゃん



88: 山崎 勇人 [×]
2022-06-05 13:46:42


( 相手が美味しそうに完食してくれる嬉しさと気恥しさに浸りながらも、此方も黙々と食を進めていき、今度は一緒に料理をしようと提案してくれる相手に対しては、同意を示すように頷き目を細めて微笑んだ。
料理を上達させたければ相手に習うのも良いかもしれないし、何より誰かと料理をするというのもとても楽しそうだ。
そして、此方も何とか完食し手を合わせれば、相手と共に食器を片付ける。

シャワーを浴びて身支度を済ませる相手を見れば、ふと自分の姿を見下ろして。癖毛は相変わらずだし、身支度を整えようとも黒ずくめに変わりはない。まぁ、これが落ち着くから仕方はないが、いつか相手と出かける時はお洒落でもしてみようと人知れず決意しておくとしよう。)

……、やっぱり、昨日の奴で勝たないと意味無いかな、なんて。

( 再度静かに相手の隣に腰かければ、コントローラーを受け取って言われた通りゲーム選択を行う。幾つか迷ってはいたが、迷った末に昨日行ったゲームをもう一度起動して、頭をかきながら上記を述べる。
同じでは味気ないかもしれないが、リベンジの意を成すのであれば負けた物で挽回せねばと、そこは一応謎のプライドはあるようで )


89: 五條 郁海 [×]
2022-06-06 19:19:54


(頷くと昨日プレイしたゲームにて勝負が開始され、お互い一歩も譲らず接戦で攻防が続き。プレイ中は真剣すぎて会話はなく、それだけ白熱しているのだとわかり。画面に集中していたのだがふと、昨日の出来事が頭を過ぎるとその一瞬が命取りとなって勝負に決着がつき、今回は相手の勝ちで。
悔しさもあるがこうやって誰かとゲームをプレイできるのはやはり嬉しいのか、負けても笑顔で)

やっぱり勇人は強いな。
勇人が良ければだが、今日もこのまま俺の部屋で一緒に過ごしたい。


90: 山崎 勇人 [×]
2022-06-06 20:13:31


( ゲーム選択も快く受け入れてもらえば、早速勝負を開始して。今回は余計なことは考えず、単純に勝負を楽しみながらコントローラーを強く握って操作する。会話はなくても、相手の隣は居心地がよく、何も言わずともお互いに本気で勝負が出来るのも自分にとっては凄いことだ。
暫く勝負は白熱して、体感時間でいえばなかなかの時間を接戦で費やした気がする。ふと、一瞬見えた相手の隙をついて勝敗が決まれば、リベンジの意通り、今度こそ勝つことが出来て。
ふぅ、と息を吐いていつの間にか前のめりになっていた姿勢を戻せば、画面から視線を外し相手を見た。)

……郁海も強いよ。やっぱり、一緒にやると楽しいね。

俺はいい….、あ、ちょっと待って。

( 相手と笑いながら話せば、今日は自分が勝ったから望みも言った方が良いのだろうか、なんて考える。といっても、すぐには浮かばないのだが…。
そんな事を思っていれば、今日も一緒に過ごしたいという相手からの誘いを受け、一瞬遠慮しようかとも思うが、自分も相手といて楽しいのは間違いなく、頷きながら口を開いた。
__だが、その刹那、ズボンのポケットに入った携帯が震えるのを感じ、自身の言葉を遮れば、携帯を取り出して通知の内容を確認する。そして、内容を見た途端、表情こそ変わってはいないが、先程まで平穏だった空気が突如張り詰めた。)


91: 五條 郁海 [×]
2022-06-06 20:36:32


(笑い合いながらこうやって何気ないひと時が一番楽しい。隣に居てくれるのが一番の親友なら尚更気持ちは落ち着いて心が満たされ、はにかんで笑う。
返事の雰囲気から一緒に過ごせそうだと思っていたのだが、相手の携帯が震えてその様子からアルバイトか何かだと察し。己もバイト先から急なヘルプは日常的にあるのでバイト先からだったら、と気遣って)

バイト先からだったらバイトを優先して、俺の事は気にしなくていいからな。ゲームはいつでもできるし。


92: 山崎 勇人 [×]
2022-06-06 21:02:10


……あ、うん。バイト先からだった。

( 暫く携帯の画面を見つめていたが、相手からの声掛けにハッとして、再度携帯を仕舞いつつ返事をした。「 ごめん、準備もあるから、もう少ししたら部屋、戻るね 」 と言葉を続け、自分自身も残念な気持ちで一杯になる。
友達と一緒に酒を飲んでお泊まりして、ゲームで遊んで、昨日から今日にかけてはごく“普通”の学生になれた気がしていたのに…携帯に届いた一見なんの変哲もないメールの内容に、自分はそうでは無いという現実を突きつけられるようだ。
真実を言いたくても、こればかりは目前の相手に言えるわけもなく、ただ拳を握りしめて浅く呼吸を繰り返す。彼の前ではせめて良き隣人であり友人でなければいけない。)


93: 五條 郁海 [×]
2022-06-06 22:31:27


(相手の事情を知らないのもあって気にすることなく笑顔で頷き、部屋を出る時は玄関まで見送ろうと考えており。時間までひたすらゲームをしてその間にお菓子を食べたりと楽しい時間はあっという間に過ぎ行き。
ふとした弾みで合鍵について思い出すと帰る前に渡そうとソファから立ち上がり、鞄からキーケースよりスペアキーを取り出したなら直ぐに戻って。相手の掌に乗せてしっかり手渡すと見詰める視線は慈しむような優しさがあり、温かみのある笑顔で)

──勇人。これ、俺の部屋の鍵。
俺がアルバイトでいない時でも、好きな時にいつでも部屋へ来てくれたら嬉しい。
勇人なら大歓迎だからさ。


94: 山崎 勇人 [×]
2022-06-06 23:22:28


( 日が傾き始めるまで、ゲームをしたり話をしたり、何気無い事で時間は過ぎていく。そんな中で、何処か胸の奥では罪悪感と自分に対する嫌悪感がふつふつと積もるばかり。
ふと、窓の外と時計に目をやると、そろそろ部屋に戻らねばと思考していたその時、相手からスペアキーを手渡されれば、温かな笑顔に胸が締め付けられる。 )

…ありがとう、郁海。

( 無くさないようにする、なんて付け加えつつ、鍵をぎゅっと握れば思わず相手の髪に触れて照れたように微笑んだ。
そして立ち上がると、自分の服などの荷物を手に玄関へ。「楽しかったよ。」と礼混じりに告げれば、優しく細めた目で相手を見つめた。
自分の部屋はたった壁1枚挟んだだけなのに、その見えない距離は計り知れない。この扉を開けて外へ出れば、いよいよ自分の棲む“現実”に戻ってしまう。
そんな後ろ髪を引かれる思いで、玄関から去っていった。)


95: 五條 郁海 [×]
2022-06-06 23:36:07


(髪に触れられると嬉しそうに目を細め、照れたような相手の微笑みを見て嬉しい筈なのだが、何故か胸が締め付けられた。
謎の気持ちは膨らんでいき玄関まで見送ると去っていく其の背中に一抹の不安を抱く。
勇人はただアルバイトに行くだけ。それだけなのだが、どうしてだか釈然とせず。
見送った後、ついさっきまで一緒にいたからか落ち着かなく、ひとりの部屋はこんなに広かったかと考える程。
自然と出掛ける支度をしており、この気持ちが晴れるにはどうしたらいいかとソファに座りながら悩み考え)

……勇人。帰り際、なんか違ったな。だから俺は気になるのか?


96: 山崎 勇人 [×]
2022-06-07 00:30:46


( 相手に一抹の不安を与えている事には気付かず、自室へ戻ると、タンスの中からいつもの様に黒一式の服装を取り出す。相手に貰ったジャージを脱ぐと、一間、それを眺めては丁寧に畳んで仕舞っておく。醜い肌を急いで隠すかのようにハイネックのトレーナーにパンツを履けば、引き出しから1つ、ポケットに忍ばせ、もう一度携帯の画面を見つめる。
傍から見ればただの営業メール。しかし、その文面の真意を読み取るのはもう慣れたものだった。標的、場所、時間、経路、全てを頭に叩き込めば、身軽なまま早々に部屋を後にした。)

……。

( 玄関の扉を開けた時、隣の部屋の戸が目に入る。一昨日までは何も気にしたことは無かったのに、今ではこの並んだ扉が妙に嬉しくもあり悲しくもある。
だが、すぐにそれ等の感情を押し殺せば、施錠して、早足に駅のある繁華街へと向かっていく。
暗くなりゆく空の下で、帰宅する人混みに溶け込みながら、時に誰かと肩をぶつけつつ、まずたどり着いたのは、繁華街の外れにあるロッカールーム。
何気無い顔でパンツのポケットから小さなロッカーキーを取り出せば、番号を確認して中からリュックサックを1つ受け取る。初めて来たロッカールームだが、どうやら“偶然”鍵がポケットに入っていたらしい。きっと、誰かと肩をぶつけた時に入ってしまったのかもしれない。
__荷物を受け取れば、再び繁華街で人混みに紛れつつ、長い髪を結び、リュックの中から手袋とマスクを。一見すぐに怪しまれそうだが、人が多ければ多いほど、そして派手な街ほどそんな姿も溶け込んで消えてしまう。
あとは、飲み屋の前で一人、だらしなく頬を赤く染め、店員に悪態を着いている迷惑な中年男を視界に入れれば、もう、殆ど仕事は終わったようなものだ。
あのような横暴で人を見下す人間は、例えばぶつかってしまったり、横槍を入れたりすると逆上する。それでいてこちらの態度が謙虚であればある程、調子に乗って自ら人目につかない路地なんかで説教を始めたりするのだ。)

__ 社長さん、だったんだ。

( 暫く、中年男の喧騒が此方に向かって耳を突いていたが、暗い路地の上にはもう既に、静かになった男の姿。右手に握られたナイフの先で、赤黒い水溜まりの上に落ちた相手の名刺を拾いあげると、静かに口を開き、特に何の感情もない顔で相手を見下ろした。
仕事をしたのも随分久しぶりだった気もするし、前に比べて腕も落ちてしまった気もするが、これで一仕事着いた、と、あとはいつものように帰るだけの、はずだった。 )


97: 五條 郁海 [×]
2022-06-07 01:16:28


(悩み考えていると隣から部屋から出て行く音や施錠する音がして、気持ちは決まる。
最初尾行するのは躊躇っていたが、どんなアルバイト先か気になり。飲食店だったら偶然を装って入る事も可能だから、何て考えながら部屋から出て素早く施錠し、気付かれぬように尾行開始する。
脚の長さもあって相手の歩調は早く、ついて行くのが限界だった。繁華街まで尾行できたのは良かったのだが時間帯が悪かったのか、人の多さもあって姿を見失ってしまう。諦めて戻ろうとしたその時、すれ違い様にスーツ姿の中年男性の肩とぶつかってしまいすぐに謝罪する。男性はそのまま行ってしまい、歩き出すと次に全身黒い服装の長身男性と直ぐにすれ違う。黒の服装で相手を思い出しながら歩くがその脚は直ぐに止まることとなる。
なぜならすれ違った時、一瞬だったが黒の服装の長身男性から同じシャンプーの香りがしたから。まさかと思いつつその男性を追いかけると既に遠くへ歩いており、慌てて尾行する)

──まさかな。でも……行かないと、ダメな気がする。

(日が沈み繁華街はネオンの灯りで眩しくなる。周りは暗くなり近付かないと顔は見にくくい程だ。狭い路地から声が聞こえ、其方へ歩くが近づくにつれて声が小さくなり最後は聞こえなくなった。
不思議に思いながら曲がり角を曲がると、先程すれ違った全身黒の服装をした長身男性がいた。
気付かれぬように忍び足で近付くと鉄のような独特な香りが鼻を刺激する。香りを嗅いだ瞬間から胸が早鐘を打つ。頭では危険だと警報を鳴らしているが、目の前にいる男性は背格好が相手とほぼ同じで、後ろ姿もそっくり。決め手となったのは同じシャンプーの香り。
背後からゆっくり優しい声音でいつものように名前を呼ぶ)

……勇人?


98: 山崎 勇人 [×]
2022-06-07 10:55:07


( 叫び声や怒鳴り声は嫌いだ。だからいつも、成る可く静かに終わらせる。人というのは実際に凶器を目にした時、それはそれは嘘のように静かになるものだ。目を見開いて、先程までの威勢も殺し怯えたように此方を見上げる。
その光景は慣れたもので、この男もそうだった。その隙を突いて身体を押え付けることは造作もなく、滅多刺しにする必要も無い。ただ、急所を狙って刃を滑らせれば良いだけ。急所の場所も刃の扱いも全て熟知しているが故に、呆気なく、一瞬で終わってしまう、自分にとっては簡単な仕事だ。
流れる血液や冷たくなる皮膚の感触にさえ、最早何も感じないのに…優しく名を呼ばれるだけで胸が痛くなるのには、当分、慣れそうもない。)

………、い、くみ。

( 近付いてきた気配に気付き、刃を向けた先には、此方を見つめる友人の顔があった。通りゆく車のライトが反射する中、血の滴る刃を握り、横たわる男の傍に立つ自分は、相手にどのように映っているのだろうか。
咄嗟に慣れた手つきでナイフの血を薙ぎ払い仕舞えば、持ってきたリュックにそのナイフや付けていた手袋を仕舞い込み、靴を履き替える。本当は今すぐにでも逃げ出したいが、その為に仕事を疎かにする訳には行かない。バレてしまった以上、自分も、彼も、立場が危うくなってしまう。)

……帰ろう。

( きっと、彼は言いたいこと、聞きたいことは沢山あると思う。それでも、横たわる男の傍にリュックを投げ捨てれば、視線を逸らし、低く呟いたまま、相手の傍を通り過ぎて行く。
暗殺は一人でやっている訳では無い、情報を集める者、準備を整える者、実行する者、後処理をする者、全員が迅速に連携して行われる。このままこの場にいては処理班がやって来てしまうだろう。 )


99: 五條 郁海 [×]
2022-06-07 11:44:30


(名前を呼ばれるまで体感的に長い時間に感じられた。道路を走り行く車、そのライトの反射によりうっすらと相手の顔が見えた様な気がしたが表情までは判別できず。
今の己は相手の一連の流れを静かに見守ることしかできなかった。その姿は手馴れているようにも見えてこの“仕事”は相手にとって長い時をかけて行ってきたのだろうか。理由があってきっとこの様な“仕事”をしているだろうから、相手から話してくれるまで詮索しないと決めた。
真実は相手にしか分からないので推測の範囲を抜け出せず、相手を想うとそのことについてこれ以上考えるのは止めないと。
誰だかわからないが性格ゆえにそのまま立ち去る事はできず、地面に拡がる血液は横たわる“その人の姿”から流れ出ていると考え。両手合わせるとせめてもと弔い。ゆっくり瞼を開けた後、後を追ってついて行くが今の相手を想うと隣に並ばない方がいいと判断し、後ろからついて行く形でアパート目指しひたすら無言で静かに歩みを進めて)

………。



100: 山崎 勇人 [×]
2022-06-07 12:18:03


( 早足を緩めちらりと後方を見やれば、冷たくなった標的に手を合わせる相手の姿。嗚呼そうか、本来なら亡くなった人を前に手を合わせるのか、とぼんやり考える。そして、自分はそんな事すら麻痺してしまっているのかと思い知らされた。

言葉を発することのないままアパートへと戻ってくれば、こんな形で相手を部屋に上げたくはなかったと思いつつもこのまま別れるのもいけない気がして、暗い部屋の玄関の戸を開いた。)

………どうして、いたの。あの場所に。

( 部屋の電気も付けぬまま玄関の戸を閉めれば、それと同時にゆっくりと口を開いた。
決して近所ではないあの場所に偶然彼も居たのだろうか。それにしても、あんな路地で出会う偶然なんてあるのだろうか。
…まぁ、正直にいえばあの場所にいた理由なんて対した問題ではなく、1番問題なのは自身の仕事を見られた事だ。 )


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