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白む空に燻る紫煙 ---〆/4998


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自分のトピックを作る
4946: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-23 03:02:58

 





( 不意に相手の声が聞こえて其方に視線を向けたものの、相手と視線が絡む事は無かった。かと言って相手が敢えて目を合わせないようにしているような不自然さも感じず「……鎮痛剤を貰えるか、」と素直に答えるとソファに座り直し。もう少し薬を増やしてでも楽になりたいと思う程に調子は良くない。朝方アダムス医師に連絡を入れる事を考えつつ、相手が錠剤と水を持って来てくれた事に対して礼を言い其れを飲み込んで。浅い眠りを繰り返すだけで頻繁に目を覚ます事を思えば、ベッドに戻る気にはならなかった。「…悪いが、今日は此処で休む。お前はベッドで休め、」と告げて。 )






 


4947: ベル・ミラー [×]
2025-04-23 08:42:30





( 鎮痛剤を飲み込む相手の横顔を控え目に見詰めつつ、謝罪と共に紡がれた眠る場所の指定には素直に首を縦に動かす事が出来なかった。少しだけ下げた視線と共に沈黙を挟む事数秒。「__私も此処で寝るって言ったら?、」視線はソファでは無くその下の床。その控え目な聞き方は初めて相手と共に“お泊まり”をした時に少しだけ似ていただろうか。最もその時同じ場所で眠りはしなかったのだが。そうして思い出すのはもうひと場面。何時だったか、たった一度だけ相手と共に床に横になり眠った事があった。行儀は悪かったがあの時はあれで良かったとさえ思った気持ちはまだ覚えている。___だが、今回はどうだろうか。相手の返事次第では1人で眠る事になりそうだと、何方の返事が来た所でこれ以上は何も言わず頷く事を決めれば、ぼんやりとした間接照明の中で立ったまま相手の言葉を待って )






4948: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-24 02:01:08

 





( “此処”というのはソファの下、床の事を指しているのだろう。控えめな問いに少し困ったような表情を浮かべた後「_____身体を冷やす。今日はベッドで休め、明日も忙しくなる。」と告げて。床で眠ったのでは身体が冷えるだろう、此の所の捜査も思わしく進まない事で相手にも少なからず疲労が溜まっている筈だ。ゆっくり休むようにと伝えて、ベッドへと促して。痛みが少しでも落ち着く事を願いながらソファの上に身体を横たえ、目を閉じて。---どれ程の時間眠れたかは自分でも分からなかったが、うとうとと浅い眠りに落ちては目を覚まして暗闇の中でただ横になっている、という事を繰り返している内に朝になっていた。痛みは少し抑えられているものの、昨晩の発作が響いているのだろう。身体は重たく感じられ、執務室での事務作業ならまだしも、捜査の為に現場に赴く事は困難に思えた。ゆっくりと息を吐き出し、ソファに身体を起こすと朝の薬を取り出して。 )






 

4949: ベル・ミラー [×]
2025-04-24 11:05:48





( 返って来た返事はNOなればそれ以上は何も言わず促されるまま寝室に行き。ベッドの真ん中に寝る事をせず端に身を横たえたのは何時もの感覚があるからか。それとももしかしたら夜中目を覚ました相手が戻って来る可能性があると思ったからか。伸ばした手で相手の居ない横のシーツを軽く撫でながら、掌に感じる冷たさと共に何時しか眠りに落ちていて。___朝方、目を覚まし顔を洗ってからやる一番最初の事はコーヒーを淹れる事。何だか無性に苦いのが飲みたくて、泥の様に濃いコーヒーに砂糖もミルクも入れる事無くキッチンで立ったまま飲み進め。ソファに横になっていた相手が身動ぎをした事で視線は其方に流れる。薬を取り出す動作を一瞥してからグラスに水道水を注ぐと静かに歩み寄り。「…おはようございます。」朝の挨拶と共にグラスを手渡した後、再びキッチンに戻ると胃に負担が掛からぬ様次は少し薄めに淹れたコーヒーをソファ前のテーブルに置き。「__仕事行く前に病院寄ろう。1人で良いって言うなら、私は先に聞き込みしてるから。」此処数日、相手の様子は目に見えて悪い方に急下降していた。だからこそ出す病院の話で、捜査に穴を開ける事を良しとしないそこから拒否するのならば、己は付き添わないと道を作って )






4950: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-26 04:16:57

 




( 朝、相手に手渡された熱いコーヒーを口にして脳を目覚めさせる。病院に行くと言う提案を拒否しなかったのは、自分でもそうすべきだと感じていたから。軽く頷く事で病院に寄る意思がある事を伝えると「…病院の駐車場まで送ってくれ。終わったら直ぐに向かう、悪いが先に捜査を進めていて欲しい。」と告げて。点滴なりなんなり、軽く処置をして貰って直ぐに捜査に合流すれば少しのタイムロスで済むだろう。「監視カメラの映像も取り寄せていた分が午後に届く。アンナの行動を洗い出そう、」午後には監視カメラの映像が届くはずだった。アンナが事件に巻き込まれるまでの足取りを掴み、接触した人物を特定するため_____地道ではあるが、映像を片っ端から確認する作業が発生する。のんびりしている暇は無いと自分自身に言い聞かせつつ、朝の準備を整えて。 )







 

4951: ベル・ミラー [×]
2025-04-26 10:54:00





( 病院に行く事を拒否されなかった事に安堵を抱きつつ頭を縦に動かして。__相手からの連絡を受け取ったアダムス医師は午前診察としては早い時間だが快く了承してくれた。病院に到着次第診察室1に入って来て欲しいと相手のスマートフォンにメッセージを残し。__朝の準備が終わり、総合病院の駐車場に相手を下ろす。「何かあれば直ぐに連絡してね。」と、相変わらずの心配を滲ませつつも言われた通り捜査を進める為現場へと車を走らせ。___指定した診察室に入って来た相手を見るや否や、アダムス医師は僅かに眉間に皺を寄せた。それは相手の顔色も目下に住み着く隈もとんでもなく悪い色だったから。挨拶もそこそこに『点滴の前に診察をしますね。』相手の腕を取りそこから血圧測定を、それから心音や脈の乱れの確認を険しい表情で進めていき )






4952: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-27 15:16:21

 





( 相手に病院まで送ってもらい、駐車場で別れて指定された診察室へと向かう。顔を合わせたアダムスは普段よりも険しい表情で診察を促すものだから、顔を見ただけで体調が悪化している事が分かるのだろうと気不味い表情を浮かべつつも椅子に腰を下ろして。淡々と行われる血圧測定や脈拍の確認の様子を静かに見ていたものの「______正直、此れまで担当したどの事件よりもきつい。被害者が……妹に似過ぎているんだ。違うと頭では分かっていても、些細な事でフラッシュバックが起こる。」と、徐に言葉を紡いで。“少しあの事件に似ている”と伝えていた今回の事件、被害者が妹に瓜二つなのだと打ち明けて。「眠れない上に、1日に何度も発作を起こす。捜査が進展せず長引く程に、目を背けて逃げ出したい気持ちばかりが膨らむ、」これまで“捜査を続ける為に”と治療を求めて来た自分としては、医師に対して弱音を吐く事など無かったかもしれない。けれど今は、あまりに辛くて、捜査を降りたいとさえ考えている。しかし仮に捜査を降りたとしたら、身勝手な都合で全てを放り出した自分を許す事が出来ず、また根深い後悔と自己嫌悪が刻み込まれるのであろう事も理解していて、安易に選ぶ事は出来なかった。「…少しでも良いから、楽にしてくれないか、」紡いだ言葉は、かなり追い詰められている事が伝わるものだっただろうか。 )







 

4953: ベル・ミラー [×]
2025-04-28 00:21:32





アダムス医師



( 不整脈の兆候も見られず、心音もやや速めではあるが今の段階で特別急ぎの処置をしなければ命の危険がある訳では無い。数日前のカルテと見比べつつ、相変わらずの険しい表情で慎重に状態を確認していた正にその時。思いもよらぬ“告白”が鼓膜を揺らせば驚いた様に相手を見詰め。数秒、珍しく心配から来る僅かな怒りを滲ませた口調で『…それは“少し”とは言わないんですよ。』と。以前相手が事件の説明をした時の曖昧な言葉は確りと覚えていた。『今回の事件の被害者が妹さんに似ていると言う事は、どうしたって“あの事件”を思い出す事に繋がる。それは貴方自身が良くわかっている通り意志とは関係無くです。そんな状態で捜査を続ければ、普段は何ともない筈の些細な物音や匂いが事件や妹さんに結び付いてどんどん悪い方に堕ちて行くのは当たり前です。』相手を真っ直ぐに見詰めながら厳しい口調でそう告げるのだが。続いた相手にしては珍しい弱音には険しい表情を僅かに緩め『__エバンズさん、私は刑事ではありませんので無責任に聞こえるかもしれませんが、全ての事件を貴方が解決しなければならないんですか?“逃げたい”と言うのが今の貴方の正直な気持ちなら、その心の声に従ってあげて下さい。貴方が今無理をして倒れれば、この先どの捜査も出来なくなる。それでは本末転倒でしょう。』まるで言い聞かす様なゆっくりとした言葉を紡ぎつつ、それでも簡単に選べる道でも無い事は理解していた。簡単に選べていたのなら、今相手は此処には居ないだろう。『__ひとまず点滴の処置をしますね。前回とは違う薬で、時間は1時間程です。…睡眠薬に似た成分も入っているので少し意識が朦朧とするかもしれませんが、直ぐに治まるので安心して下さい。』まるで懇願の様にも聞こえる追い詰められた言葉に一度目を閉じてから見せた表情は、不安を煽らない様にと浮かべた穏やかな笑み。相手を処置室に促しベッドでその細く感じられる腕に針を刺すと『暫くの間は落ち着いていられる筈です。』管を通った液が相手の体内に確りと入っている事を確認し、『目を閉じて下さい。』例え眠る事が出来なくても今のこの時間だけは少しで良い、身体も心も休めて欲しいと )






4954: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-28 03:39:46

 





( フラッシュバックが起こり易くなるのも当然の環境だと、相手は自分の言葉に対して怒りを滲ませた。「些細な事が、自分の意思とは関係なく過去の記憶に繋がる……その状況は、薬で抑える事は出来ないのか、」と尋ねたものの、精神安定剤や発作止め以上の何かは期待出来ないだろう。相手の言う通り、全ての事件を自分が解決しなければならない訳ではない。それなのに勝手な使命感と義務感に駆られて、自分で自分を追い込んでいると思われても可笑しくないだろう。けれど其れは、あの事件以降続く”焦燥“のようなもの。目の前で起きている事件をなんとか解決しなければと、のめり込んでしまうのだ。______自分の気持ちに正直に、と言われて思うのは、”逃げ出したい”という気持ちと同じくらい、それ以上に“アンナの無念を晴らしてやりたい”という気持ちがある事だった。明確な言葉で応える事はしないままに、ベッドに横になり相手の説明に頷く。普段より長い時間が掛かる処置だったが、少しでも身体が楽になるならという思いで言われた通りに目を閉じる。---静かな室内で、やがて相手が説明した通りにぼんやりとした感覚が身体を包んだ。閉じた瞼の奥、暗闇の中で身体が宙に浮いているような感覚。眠りの狭間を漂いながら少しだけ息がしやすくなっていくような気がした。 )







 

4955: ベル・ミラー [×]
2025-04-28 11:10:22





アダムス医師



( 相手の問い掛けには首を横に振る事で無理だと伝える。___正確に言えばそんな薬が無い訳ではない。様々な種類の薬を組み合わせ多くを服用すれば痛みを完全に取り除く事も、過去の記憶を閉じ込め発作もフラッシュバックも起こさなくする事も出来るだろう。けれどそれは諸刃の剣だ。後に残る副作用は自我を喪失させ生きる屍と言っても過言では無い程に生命力を奪う。真っ白のベッドの上でただ寝たきりのまま、僅かな光だけを瞳に宿した状態で何かを考える事も誰かと会話をする事も無い。それは果たして生きているだろうか。相手の望む“楽”の地点はそこでは無い筈だ。___ポタ、ポタ、と落ちる薬液のスピードを調整しつつ、目を閉じたまま静かな呼吸を繰り返す相手を見下ろす。“贖罪”の為に立ち続ける相手から仕事を奪えばそれこそ生きる意味を無くしてしまうかもしれない。けれど心身に伸し掛る不可は重く茨の様に絡み付きその鋭利な棘で心を傷付け続けるだろう。何が、どれが、相手にとっての正解なのかわからないのは己も、ミラーも、そうして相手自身も思う所なのかもしれない。それでも医者として、長く相手と向き合って来た者として、楽になって欲しいと思うのは当然だ。何時か色濃く浮かぶ隈が少しでも薄れて欲しいと一度だけ小さな息を吐き出し後、診察室へと戻って行き )






4956: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-01 00:33:06

 




( 強い薬と言うのは際限なく、自分を生きた屍にしてしまうものもある。これ以上強い効力を持った薬は無いと相手が言うのは、今の生活を維持出来る上限が此処だと言うことなのだろう。それ以上食い下がる事はなく、静かに目を閉じたままでいて。---意識が宙を揺蕩うような感覚に包まれたまま、少しは眠っていたのかもしれない。目を覚ますと身体はだいぶ楽になっていて、此れなら聞き込みに出る事も問題なさそうだと思うと身体を起こして。意識が朦朧とするような感覚も既に消えていた。相手に点滴を外して貰い小さなパッチを貼られると捲っていた袖を下ろしてボタンを止める。「……今投げ出したら、きっと深い後悔に苛まれる事になる。妹を、______2度救えなかったと思いたくない。」徐に告げたのは、先ほど吐いた弱音への自分なりの現時点での考え。今は身体が楽になったからそう言えるのだ、と相手は思うかもしれない。けれど、一生後悔を引き摺るのは嫌だった。「…また連絡する事になると思う。タイミングが合えば、また頼む。」と、今日のような処置をまた頼みたいと言いながらジャケットに袖を通して。 )






 

4957: ベル・ミラー [×]
2025-05-01 11:09:32





アダムス医師



( ___1時間と少しが経ち点滴の処置が終われば腕に血が滲んでいない事、副作用らしき症状が出ていなく処置前よりも僅かではあるが顔色も良くなっている事、動きに可笑しな点が無い事をザッと確認しつつ最後にもう一度だけ手首から脈拍を測り。その折徐に告げられたのは処置前の話の続き__相手の今の着地地点。一度視線だけで相手を一瞥し再びその視線を手首へと落とすと、その言葉の端々に滲むある種の覚悟と想いを感じ取る事となり。そうなれば医師に出来る事は一つしか無いのだ。脈拍に異常が無い事を確認し今度は真っ直ぐに相手を見詰めると『__時間は作ります。貴方が処置が必要だと思った時は連絡を下さい。』と、後の点滴の件は了承した上で『…今回の事件、貴方にとって特別な捜査になるのでしょう。私はもう止めません。けれど、被害者の無念を晴らし事件を解決した後は精密検査を受けに来て下さい。恐らく3日程は入院になるでしょうが__それが私が今貴方を此処から帰す条件です。』至極真剣な眼差しと共にそう告げる。3日の入院と言う事は、その間は仕事を休まねばならないと言う事。相手が検査も入院も嫌う事は重々承知ながら譲らないとばかりに。相手がそれを了承したのならば、後は何も言う事無く見送る形を取り )






4958: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-09 03:48:03

 





( 特別な処置を複数回施して貰う以上、入院を伴う精密検査の申し出について拒否する事は出来ず曖昧な反応ながらも小さく頷く事で同意を示して。その後も体調の不安定な状態が続いたもののその度に点滴などの処置をしてもらい、捜査に大きな支障が出る程に体調を崩す事は無かった。一方で被疑者として浮上している複数の人物のアリバイの裏付けなどに奔走され、未だ捜査の道筋が見えたとは言えない状況。難航する捜査に焦燥を募らせつつ、事件と向き合い続ける日が長く続いて。---その日はアンナが働いていたカフェを訪れ店長と話をした後、手掛かりを探しつつ遅い昼食を取る事とし案内された窓際のテーブルに腰を下ろして。偶然にもその席は、初めて立ち寄った際に案内されたのと同じ席。相手の肩越しに見えるカウンター席の向こうで、忙しなくも楽しそうに働いていたアンナの姿が思い出され、その瞳にはぐっと悲哀の色が浮かぶ。妹と瓜二つのその姿に心揺さぶられ、時に現実逃避のように此処に通い詰めた事もあった。一刻も早く事件を解決しなければという思いと切なさに、カウンターの向こうに視線を向けたまま暫しメニューを捲る手が止まり。 )







 

4959: ベル・ミラー [×]
2025-05-09 13:15:13





( ___案内された窓側のテーブル席は或る意味“始まり”の席。もう一度だけで良いから妹に会いたいと切望し続けた相手がこの場所で妹に瓜二つの容姿を持つアンナを見た時、果たしてどれ程の衝撃を受けただろうか。此処に“妹”に会う為通い詰めたその時の心を測る事は出来ないが、“幸せか”と言う問いに相手は“辛くは無い”と答えたその言葉と表情だけは決して薄れる事無く脳裏に焼き付いている。__ふ、とメニューを捲っていたの相手の手が止まった事でその表情を伺い見れば、褪せた碧眼には確かな悲哀の色が浮かんでいて今何を思っているのかわかってしまった。【アンナ】と【セシリア】は相手の中でどうしたって切り離せない所に居て、それは善し悪しでは無く心が感じる正直な事。「__思い出すね、」静かに口を開く。それは人を指してか出来事を指してか。何であれメニューを決める事を急かす事はせず相手の視線に釣られる様にして首を捻り、一度だけカウンター席の向こう側へと視線をやって )






4960: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-15 11:56:54

 




( 初めてこの場所で彼女を目にした時の衝撃を忘れる事は出来なかった。あの時の自分にとって此処は“夢と現実の狭間”だった。ただ此処で“生きているセシリア”の姿を見られればそれ以外はどうでも良いとさえ感じていたのだ。相手の声にふと今に意識が引っ張られると、「…そうだな、」とだけ小さく頷きつつ再びメニューに視線を向けて。相手は知らないだろうが、この場所で以前彼女におすすめを聞いた事があった。あの瞳が、声が、笑顔が自分に向けられる瞬間を見たかったのだ。その時はローストビーフのサンドイッチを注文した記憶があるが、もうひとつ彼女が何かおすすめしてくれた物があった筈_______そう考えてメニューをめくり目を走らせると、ややして「…キッシュとホットコーヒーにする。」と告げて。 )





 

4961: ベル・ミラー [×]
2025-05-16 13:30:39





( 返って来た短い同意にはそれ以上言葉を続ける事はしない。相手の視線がメニュー表に落ちた事で己も並ぶ写真と文字を謎り__「…珍しいね。お腹減ってた?」相手が数多くある食べ物の中でキッシュを選んだ事で顔を上げると、記憶にある中では初めてのそのチョイスに一度瞬いた後再び手元のメニュー表へと視線を戻し「私は……ブルーベリーマフィンとカフェラテにしようかな。」粒の大きいブルーベリーがトップに散りばめられている良い焼き具合のマフィンの写真に口元を緩ませつつ、丁度通路を通った店員に2人分の注文を。___然程時間掛からずして頼んだ物が来ると先ずはカフェラテを一口。矢張り自分で淹れるよりお店の方が格段に美味しいと小さく息を吐き出す。マフィンもまたブルーベリーの甘酸っぱさと生地の風味が良い具合に混ざり合い、程良い甘さで美味だ。しかし___優雅な昼食の時間を楽しみながらも、頭の中がそれだけで占められる訳では無い。捜査中と言う事もあり考える事は山程あるのだ。「…容疑者を絞り込めない事に腹が立つ。」手元のマフィンを見詰めたまま珍しく少しだけ荒さのある言葉を紡ぐと、「誰に聞いても恨みを買う様なタイプじゃなかったって言うし…突発的な犯行だとしたら、監視カメラが付近に無いのは厳しいよ。」カフェラテをもう一口飲んだ後、やや抑えた声量と共に相手を見 )






4962: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-17 20:57:56

 





( あの頃の自分にとっては、例え現実逃避であったとしても救いだった彼女の存在。普段であれば自分からは選ばないであろうキッシュも、些細な思い出のひとつだった。「…以前、彼女に勧めてもらった。」と、言葉少なにその理由を告げる。頼んだキッシュにはベーコンやほうれん草が使われていて卵の風味と香ばしい味わいで美味しいのだが、食はあまり進まなかった。考える程に、めぼしい容疑者さえ絞り込めていない状況に焦燥ばかりが募る。「…もう一度現場で情報を整理して…遺留品や鑑識からの検査結果を見直そう。このカフェの周辺と彼女の家の近くの監視カメラの映像に複数回映っている人物も割り出す、」今後の捜査の方針を話しつつ、また点滴の処置をして貰わなければと考える。担当医は“特例”の処置が長く続く事を良しとしていないながらも、此方の気持ちを理解し未だ協力してくれていた。相手にとってもアンナは面識のある人物。心身が疲弊していない訳が無いだろうと思えば「…きつくなったら、お前も少し休め。半休を取っても構わない、」と告げて。自分も処置の為に数時間遅く合流する事がある為、相手も必要な時は言うようにと。 )






 

4963: ベル・ミラー [×]
2025-05-18 01:32:59





( “以前”が何時を指すのかは想像に容易い。適当に頷き話を終わらせるでも無く、言葉少なではあるが素直に紡がれた理由にこれまた珍しさを感じつつも僅かに微笑むと「それじゃあエバンズさんのお気に入りって訳だ。」お勧めを聞いたのならてっきり前回も同じ物を頼んだのだろうと言う勝手な想像での言葉を返し。卵の鮮やかな黄色にベーコンやほうれん草の色が混ざるそれはとても美味しそうに見えるのだが、減りはとてつもなく遅い。心も身体も本調子では無い相手には普段以上に食が進まないのだろう。紡がれる捜査方針にマフィンを咀嚼しながら時折相槌を打ち、飲み込んだタイミングで口を開き。「__現場での情報整理には私が行く。それと、彼女が亡くなる数週間前からお店に来る頻度が増えたって言ってたあの男性、彼のアリバイがどうにも引っ掛かるの。並行して調べる。」殺害現場となればどうしたって遺体を思い出しそれが“別の記憶”にも繋がる。それを危惧するからこその申し出を先に、続けて容疑者としては挙がっていないが話には出た男性の詳細の調べ直しを伝えて。___口元にまで上げたカップが止まったのは気遣いを受けたから。本当にきついのは他でも無い相手自身だろうに、こんな時だってその優しさは此方に向く。カップの端に唇をつけカフェラテを一口飲んでから静かに下ろすと同時に小さく頷きつつ「…まだ大丈夫だけど、正直変な感じはしてる。知り合いだから尚更だね。…きついって言うより、亡くなったっていう実感が確りわかないのかもしれない。」鼻から抜ける様な溜め息の後、何処と無くふわふわとしている感情を吐露して )






4964: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-18 02:35:43

 





( 彼女が勧めてくれたキッシュの味は、今初めて知った。だから“美味しかった”と伝える事は叶わない。「…前はもうひとつ勧められたサンドイッチを頼んだんだ。此れは初めて食べた、」と答えて。“食べるか?”と付け足して皿を相手の方に押しやるとコーヒーを啜る。「_____俺が記憶を無くした時、あの人に救われた事を思い出す。」此の席がそうさせるのか、ぽつりと言葉を紡いで。---相手は自分の負担を軽減する為にといつも以上に忙しく走り回っているような気がしていた。心身に影響を来たす可能性がある要素をなるべく自分から遠ざけるかのように、先回りして捜査を行う。普段の事件に比べて相手が受け持つ割合が多いと感じざるを得ない。「お前1人で担わなくて良い、必要な捜査は手分けして進めよう。」相手にばかり負担を強いる訳にはいかないと普段通りの分業で進めて行く事を伝えて。「……寝て覚めたら戻って来ているんじゃないかと思う事は、未だにある。知り合いの死は尚の事、受け入れるのには時間が掛かる、」相手の言葉を受けての返答は、自分自身が過去に体験した喪失に基づくものか。ゆっくりと、深く溜め息を吐いて。点滴などの処置が今はきちんと効果を発揮している影響もあるのだろう、この捜査を始めてからの一時期に比べるとだいぶ不安定さは軽減されていて、取り乱す事なく言葉を紡いで。 )







 

4965: ベル・ミラー [×]
2025-05-18 12:17:04





( “あの期間”でアンナとした会話はもしかしたら極短いものだったかもしれない。それでも普段なら聞く事の無いお勧めを聞き、それを頼むと言うその行為それこそが相手の心情をありありと表している様で。「…そっか。それも美味しかった?」口元の笑みを少しだけ濃いものに変え問い掛ける。当時食べたサンドイッチも、今目前にあるキッシュも何方も相手にとっては大切な思い出の味だろう。だからこそ押しやられた皿との距離が近くなった時、普段なら間髪入れず一口貰う所を一瞬躊躇ったのかもしれない。「……、」傍から見ればただのカフェメニューの中の一品でしかないキッシュは、それでも相手とアンナ__セシリアを繋ぐ特別な一品の様に感じられたのだ。視線だけを僅かに持ち上げ目前の相手の表情を伺い見るも、相手はコーヒーを啜るだけ。ややして「…少し貰おうかな。」と、控え目に端にフォークを突き立てる。口内に運んだ途端広がるのは絶妙な旨味。卵の焼き具合も丁度良く塩味のバランスも最高だ。「__凄く美味しい。…優しい味がする。」そう答え、何故だか目頭が熱くなった。静かにお皿を相手の前に戻し揺れた感情を落ち着かせる為にカフェラテを啜る。___今日の相手は普段よりずっと思い出を言葉にする事が多い様だ。唐突に落とされた過去の話に同じ様に相手が記憶を無くした時の事を思い出す。「……セシリアさんの振りをして欲しいって頼んだ時、嫌な顔ひとつせず引き受けてくれた。」そんな優しい彼女は、もう居ない。同時に思い出すのは、アンナをセシリアだと思っていた相手のあの見た事も無い穏やかで優しい笑顔。「…全部覚えてる?」と、静かに問い掛けて。___現場の情報整理に1人で行く、と言った理由に矢張り相手は気付いた様で、何時もと同じ分業で進めると言われれば暫し沈黙を落とした後、それでも従う様に小さく頷いて。目が覚めたら戻って来ている……それはこの数十年幾度となく相手が渇望してきて事だろう。全て夢であれば、と。現実の余りの残酷さに深く息を吐き出し「そうだね。……本当に、そう。」重たい同意を落としては「明日の朝、目が覚めた時に1人は嫌だな。」此処何日も相手はソファで眠っている事を指しての言葉をこの流れで。「…今日は一緒に寝てもいい?」声量を抑え、控え目に共にベッドで眠る事を願い出て )






4966: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-23 00:18:02

 





( あの時の出来事は、確りと記憶に刻まれていた。相手の問いに頷きつつ、どういう状態だったのかは説明出来ないが確かに記憶が抜け落ちていて、セシリアの事も相手の事も、あの瞬間だけは“覚えていなかった”のだと懐古する。セシリアだと名乗るアンナと顔を合わせた時、大きな幸せと安堵にも似た感情を感じた事を覚えていた。控えめに落とされた相手の問いに相手と視線を重ねると、暫し返答に迷うように間が空く。「…未だ、あまり本調子じゃない、」そう答えたのは、幾らか落ち着いているとは言え捜査に関わる前よりも体調が良くないのは分かりきっているから。同じベッドに寝ていれば、敏い相手は自分の僅かな変化や動きを察知して目を覚ますだろう。けれど其れに対して“1人で抱え込まず自分を頼って欲しい”と、常から相手が言っている事も理解していて。「……しっかり睡眠を取った方が良いんじゃないか、」と、暫しの間の後拒否ではなく相手に判断を委ねる形で返答し。 )







 

4967: ベル・ミラー [×]
2025-05-24 20:54:52






( 今となっては憶測でしか無いが。“妹の死”に繋がる記憶を消す事で相手の脳は壊れ掛けていた心を守ったのかもしれない。___返事が返って来るまでの暫しの沈黙はお皿に残った僅かのマフィンを食べ終える事で消化する。咀嚼しカフェラテを啜ってから再び相手と視線を重ね、その後判断を此方に委ねる返答には今度は己が間を空ける。無言のまま、視線を逸らす事無く真っ直ぐに相手を見詰める時間が数十秒。「…私の“しっかりした睡眠”にはエバンズさんの存在が必要だけど__エバンズさんは?隣に私が居たら休まらない?」声色はあくまでも穏やかに。だが些か狡い聞き方だと言う自覚はあった。相手の思う“しっかりした睡眠”と己の思うそれは同じでは無い。例え夜中にどれだけ目が覚める時間があったって、相手の側に居られると言うそれだけで、十分身体も心も休める事が出来るのだから。本当に拒否をしたい時は問答無用でNOを突き付けて来るとわかっているからこその問い掛けで )






4968: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-25 00:40:40

 





( 自分が隣に居ては“しっかりとした睡眠”が取れる筈が無いと思うのだが、相手の言う其れとは意味合いが違うのだろう。「……そういう訳じゃない、」とだけ相手の言葉を否定すると、未だ残っていたキッシュに再び手を伸ばして其れを口に運んで。其処で話が終わったという事は、今夜は相手のベッドで眠る事を受け入れたという事になるだろう。---此の場所で働いていた、明るい笑顔を向けてくれたアンナの為に、事件を追い続けなければならない。コーヒーを啜りつつ捜査に使っている手帳を見直して、一瞬セシリアの記憶が脳裏にちらついた。此方に伸ばされた、血塗れの白い手。現場を見た直後に“思い出してしまった”遠い記憶の欠片。発作を引き起こす程の鮮明な物ではないものの、鼓動が少し早くなるのを感じて水をひとくち飲んで。 )






 

4969: ベル・ミラー [×]
2025-05-25 14:05:17






( 受け入れの返答に軽く頷き返してから「良かった。この流れならハグして眠る事も許されるかもしれない。」口角を僅かに持ち上げた悪戯な笑みを。あくまで“ベッドで一緒に眠る事”を許可されただけで勿論の事それは理解しているのだが。理解しているからこそ次は拒否される__無視される事も想定内の、相手に向けたと言うよりは勝手な独り言に近い色を纏った音を落として。___相手が手帳を開いた事で視線は自然とそこに落ちた。座る位置的に逆さまに見える文字はその角度ですら真っ直ぐで丁寧。聞き込みをした内容、事件現場での発見、それらが詳細に記されている。…何かの違和感を感じた訳では無い。けれどこの場所は或る意味“特別な場所”だ。聞き込みで来なければいけないとしても様々な事を思い出してしまう場所。「…一度署に戻る?」相手が何を思い出したのかはわからないが、視線を上げコーヒーでは無く水を飲む姿を見ると、お店を出る事の判断を委ねる問い掛けを )






4970: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-26 03:16:32

 





( まるで独り言かのように紡がれた聞き捨てならない呟き。眉間に皺を寄せて相手に視線を向けたものの、聞こえていない事にしたようで何か言葉を発する事はせずに無視を決め込み。---手帳のページは日に日に増えているのに核心に迫れていないというのは結局焦りを生むばかりで、何か行動しなければという思いに駆られる。過去の記憶を思い出す隙がないように動いていなければと。「…そうだな、」と答えコーヒーを飲み干す。この場所は心が揺らぐ。冷静に捜査と向き合うには些か不向きな場所だと思えば、相手の言う通り署で改めて捜査の今後の進め方について議論するのが良いだろうと。 )






 

4971: ベル・ミラー [×]
2025-05-26 19:56:38





( ___カフェでの昼食をとったその日から数日後。周辺の聞き込みと並行して何度目かの事件現場での情報整理を行う中、容疑者がある程度絞られ犯人に繋がる証拠を掴み掛けている今日。その証拠を確実なものにするべく相手と共にアンナが殺害されたコテージの中に居た。犯人はどの位置から彼女を射殺したのか、今一度その弾道と床に横たわった彼女の姿を思い出し空間の把握を。ギシ、と踏み締めた床が音を鳴らし、彼女がその命を散らした場所にしゃがみ込む。彼女の姿はそこにはもう無いが、床に散らばった綺麗な焦げ茶の髪も、流れ出る赤黒い血も、光を失った緑眼も、全てを僅かの薄れも無く思い出す事が出来た。怖かっただろうに__。「…わざわざ近付いて2発目を撃つ必要なんて無かった、」相手に背を向けた状態で床を見詰めながら紡いだのは、怒りの纏う言葉。1発目の銃弾は玄関付近から放たれ彼女の腹部を貫いた。恐らく衝撃で床に崩れる様に倒れただろう。その姿を見ても尚逃げる事も無く犯人は彼女に近付き、今度は見下ろす形で至近距離から2発目の銃弾を胸部に放ったのだ。__傷の付いた床に指を触れさせようとして、手袋を嵌めていなかったのを思い出す。「…エバンズさん、手袋取ってくれますか。」しゃがみ込んだ体勢のまま振り返り、相手を見上げる形で側にある手袋が欲しいと片手を伸ばして )






4972: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-26 22:42:59

 






( 彼女を此処に監禁し、どうするつもりだったのか。カフェでの仕事を終え退勤したアンナの後を付け、人気が無く防犯カメラも少ない場所で彼女を誘拐し此処に連れて来たのであろう事は此処までの捜査で分かっていた。逃げようとした彼女を、或いは怯えていただけの彼女を容赦無く殺害した犯人の残虐性は、相手と同様怒りが湧くもので。「…人の心を無くした怪物だ、」と、同意する様に言葉を紡ぎ。---点滴での処置に少し身体が慣れてしまったのだろう。初めこそ強く効果が出て幾分持ち直していた体調も、再び不安定になりつつあるのを感じていた。だからこそ捜査に支障が出ないようにと安定剤も鎮痛剤も朝服用し、比較的安定した状態で捜査に当たっていたのだが。それは、余りに突然だった。床にしゃがみ込んだ相手の背後に立ったまま事件について考えを巡らせていた。不意に相手に“手袋を取って欲しい”と頼まれ、すぐ隣のテーブルに置かれていた手袋を手にし______相手に手渡す前に、視線が重なった。相手と目を合わせるなど特別な事でもなく、普段の生活の中でも多々ある事。しかし此の場所が引き金となったのか、相手の瞳の色を認識した瞬間に強い恐怖と後悔、絶望、様々な“当時の”記憶が湧き起こり一瞬にして身体を支配した。「______っ、…」光を失った緑色の瞳が、広がっていく赤が、フラッシュバックする。相手に手袋を手渡す事は叶わず、次の瞬間には心臓を鷲掴みにされたような痛みと恐怖に襲われ正常な体勢を保って居られなかった。身体をくの字に折り曲げるのと同時に床に崩れ、一瞬で可笑しくなった呼吸を繰り返しながら胸元を握り締める。「…っあ゛、ぁ……ッセシリ、ア…!、」妹の名前を口にし、恐怖と痛みに支配されながらも何とか意識を引き上げようと、抗おうと、意識を手放さぬよう腕に強く爪を立てた。 )







 

4973: ベル・ミラー [×]
2025-05-27 00:10:56





( ___油断していた。相手の心身の不調を忘れていた訳では当然無いが、此処数日は点滴が効果を発揮してくれていたのか比較的落ち着いて見えていたのだ。瞳の奥の光も何時も通り鋭く、不自然に動きを止める姿を見た事も無い。勿論安定剤や鎮痛剤を服用する姿は見たが、相手が薬を飲むのは言わば“日常的”な事。だからこそ、少しの気の緩みがあった。___手袋が己の手に渡る直前、重なった碧眼にありありとした恐怖とその他様々な“闇”が一瞬にして広がったのがわかった。思わず目を見開くも、何か言葉を発するよりも先に相手の身体は床に崩れ、あっという間に意味をなさなくなった呼吸音が響く。苦しいのだろう、耐えられない痛みの中に居るのだろう、胸元を握り締める骨張った指先は白く、辛うじて口にした“セシリア”の名も途切れ途切れに震えている。「っ、エバンズさん!しっかりして!!」矢張りこの場所は駄目だった。瞬時にそう思ったのだが、“瞳の色”にまで意識が向かなかったのは、今目前で苦しむ相手をどうにか落ち着かせたいと言う気持ちが強かったからか。抱き竦める様に背中に片手を回し、もう片方の手は意識を保つ為だろう、腕に深く爪を立てる相手の手に重ね、そのまま握り込む様に僅かに力を入れる。「大丈夫だから…っ、直ぐ楽になれるから、!」その体勢のまま相手の耳元で懸命に言葉を紡ぎ、その意識が落ちない様にと )






4974: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-27 06:57:32

 





( 上手く息が出来ず胸が押し潰されそうな苦しさの中で、懸命に呼吸を整えようとする。此の記憶に、苦痛に、呑まれてはいけない。けれど若葉のような明るく柔らかな緑色の瞳は、此の場所に倒れていたアンナの______あの日幼稚園で事切れたセシリアの、光を失った暗い瞳と結び付き恐怖と絶望を煽っていた。相手に身体を支えられながら、血が滲むほどに強く爪を立てた腕の痛みも感じない。朦朧とし始めた意識の中で、白い腕が此方に伸ばされる様子がフラッシュバックし、息が詰まる。床に溢れ出す血も、腕の白さも、瞳の色をきっかけに全てが鮮明に思い出された。「……っ、は…ぁ゛、許して、くれ…っセシリア、」手を握ってやれなかった事を、助けられなかった事を、幾度と無く繰り返した謝罪が溢れる。大きな負担が掛かった為か、鳩尾の痛みが強い。過去の記憶に支配され褪せた碧眼は暗く闇を携えて。額を滑った汗が握りしめた腕に落ち、ぐらりと身体が傾くと相手に支えられていたバランスが崩れてそのまま床に崩れる。その時点で意識を失っていたか、或いは既にしゃがみ込んだ体勢だったため衝撃こそ少なかったものの床に頭を打った事がきっかけか、抵抗の甲斐も無く意識を手放していて。 )








 

4975: ベル・ミラー [×]
2025-05-27 11:09:17





( 幾ら呼び掛けても腕の中の相手の苦しみは取れない。鳩尾の痛みに耐え様とする身体には力が入り、必然的に呼吸も短く浅くなるのだがまともに呼吸が出来ない状態でそれは逆効果だ。あきらかに十分な酸素が脳に回らず酸欠状態に陥って居るだろうが、恐らくそれ以上の苦しみと痛みで意識が朦朧としている筈。涙声で何度も何度も懸命に紡がれる妹への謝罪に「許してるっ、…誰も責めてない!」と、引っ張られた感情をそのままに己もまた涙声で声を上げるのだが。__「……エバンズさん…?」その懇願の声がピタリと止み、腕の中にあった身体から力が抜けると同時に相手の身は床に倒れ込む様に崩れた。その際床に頭を打ち付ける鈍い音が響き、一瞬にして顔面は蒼白になる。___そこからはあっという間だった。震える指先で救急車を呼び、その後アダムス医師に相手の意識が無い事と救急搬送された事の連絡を。ストレッチャーに乗せられた相手は口元に酸素マスクが装着され直ぐにMRI室に運ばれた。その後、脳に異常が無ければ次なる処置に移行すると説明されたものの、医師の言葉も看護師の励ましも何処か遠い所を浮遊している感覚だった。ただ、相手の意識が回復する様に、無事であるようにと待合室の椅子に浅く腰掛けたまま祈る事しか出来ない時間が続き )






4976: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-27 15:48:34

 






( エバンズが救急搬送されたという知らせを受け、アダムスは急ぎ処置を行なっている部屋へと向かった。倒れた時に頭を打った可能性があるとの事だったがMRIの結果は問題なく一先ず安堵する。直ぐに入院での治療が必要な程に重篤な状態ではないものの、かなり負担が掛かっているのは間違いない。時折僅かに脈が乱れる症状が再び出ており、薬を点滴することでまずは心身の状態を安定させ、安静にする必要があると判断して。---待合室で待っていた相手の元に歩み寄ると「ミラーさん、」と声を掛ける。此方を見上げた相手の表情は不安げで、少しばかり憔悴したようにも見えるもの。安心させるように微笑むと「少し発作の症状が重かったようですが、一時的なものなので心配はいりませんよ。今は少し安静にして、捜査が終わればもう少し体調も安定するでしょう、」と告げて。“此の捜査が終わるまで”という彼の思いを尊重して直ぐに入院をと促す事はしないが、早く負担がなくなるようにと願わずにはいられない。「…診察室に行きましょうか。」と声を掛け相手を連れて自身の診察室へと向かうと扉を閉める。今はエバンズの事だけではなく、相手自身の話を聞きたいと思ったのだ。「……ミラーさんは休めていますか?」と、椅子に座り相手と向き合いつつ尋ねて。 )







 

4977: ベル・ミラー [×]
2025-05-27 20:25:25





( 頭上から声が落ち、見上げると目前に居たのは穏やかな笑みを携えたエバンズの主治医。その姿を見ただけでも溢れ出した安堵は続けられた“一時的なものなので心配はいらない”と言う言葉によって確かな光となり胸中に広がった。「…ありがとうございます、」と、やや憔悴した表情ながら同じく微笑み礼を述べた後は促されるままに診察室へと行き。__背後で扉の閉まる音。キャスターの着いた丸い椅子に腰掛け、膝の上で鞄を抱える。先に口を開いたのは相手の方だった。エバンズの容態や捜査の話では無く尋ねられたのは己の調子。ほんの僅か考える間が空き即答こそ出来なかったものの控え目に頷く。「…大丈夫です。事件が事件なだけに十分とは言えないかもしれませんが、夜もちゃんと眠れているし、私は大丈夫。」“大丈夫”と2回繰り返したのは己への言い聞かせか、はたまた“本当に大丈夫じゃない人”に心が向いているからか。本日何度目かの力の無い微笑みを浮かべた後。「___ただ、」と唐突に言葉を落とすと目前の相手を見、直ぐに視線を僅か下方に落とし。「エバンズさんが何度か見せた表情が頭から離れないんです。…発作の原因が、私にあるんじゃないかって、」言葉少なに語ったのは懸念。考えたくは無い、勘違いであって欲しいそれはどんな時も終始付き纏い時折顔を覗かせたのだ。今回もまた、あのコテージで。相手が意識を失う程の発作を起こしたのは“視線が重なった後”だった )






4978: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-28 17:38:35

 




( 相手の言う“大丈夫”は、彼と比べれば、という狭い中でのものだろうか。自分自身に言い聞かせているようにも聞こえるその言葉を今は変に深掘りする事はせず小さく頷くと、続いた言葉に視線を向ける。彼が苦しむ原因が自分にあると考えるのは、いつもエバンズに寄り添い支えている相手にとっては辛いものだろう。意識を失うに至るほど酷い発作を起こした理由を知らない為「…何故、そう感じたんですか?」と静かに尋ねて。同時に“あまり不安にならないようにしてやってくれ”と、少し前にエバンズに頼まれた事を思い出す。嘘を吐いてまで安心させるつもりはないが、あれは彼の中に漠然としたものであれ、一抹の懸念があっての事だったのだろうか。彼が辛い状況に身を置きつつ仕事に必死に邁進する姿を隣で見ながら共に捜査を続けるというのは、少なからず相手にも負担が大きい事だろうと思わずにはいられない。 )






 

4979: ベル・ミラー [×]
2025-05-29 00:10:20





___瞳の色が、セシリアさんと同じだから。
( 静かに紡いだ返事は自分でも驚く程に震えた。勿論エバンズから直接的に拒絶をされた訳でも“怖い”と言われた訳でも無い。それでもあの褪せた碧眼の奥が揺らいだ時、そこには“恐怖”の色が見えた気がしたのだ。「…偶然かもしれません。本当にたまたま、調子が悪い時と重なっただけかもしれない__確信は無いけれど…“緑の瞳”が過去と結び付いて、酷い発作を引き起こしてる気がするんです。」偶然、と言う単語を頭に持って来たものの、一度発芽した不安の種は消える事は無い。再び相手と重ねた瞳は不安定に揺れ。「…セシリアさんを重ねる事で落ち着けるのなら構わないんです。でも、逆に発作の原因になってしまうなら、私はどうすれば…っ、」己の持つ瞳は、悪夢に襲われ混乱した彼の意識を過去から掬い上げる事の出来る色。一瞬でも“妹”と彼が触れ合える色。悪い事の無かったその瞳が、今は逆にエバンズを苦しめているのなら。「もう、苦しんで欲しくないのに…、」吐き出した音も、息も、震えたまま。“緑の瞳”である事を、こんなにも恨んだ事は無かった )






4980: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-29 23:47:31

 




( 彼の妹と同じ色だという相手の瞳は、罪悪感と後悔の闇に沈んだ相手を今に引き上げる事が出来るものだった。けれど、その妹に瓜二つな被害者の遺体を見た事で一時的に記憶が上書きされ、事件の時に見た亡き妹の瞳と記憶が結び付いてしまった_____というのは十分に考えられる事だ。彼を掬い上げていた筈の、支えになってきた筈の瞳が彼を苦しめていると考えるのは辛い事だろう。『……今回の事件に携わった事によって、“緑色の瞳”が一時的に過去の辛い記憶と結び付いてしまった、というのは考えられない事ではありません。ただ、仮にそうだったとしてもあくまで一時的なものです。この事件から離れ心身の状態が落ち着けば、必ず此れまで通り彼の支えになる。これまで幾度となく、暗闇に突き落とされた彼を掬い上げて来たのはミラーさんです。』可能性はあると、相手の言葉を否定する事なく医師としての見解を伝えた上で、それでも悲観することは無いと伝える。『軽い鎮静剤を服用すれば、今のように過敏に反応してしまいフラッシュバックを頻繁に起こしてしまう状況は抑えられますが…感覚の鋭いエバンズさんからすると、普段と比べて思考が明瞭では無いと少しの違和感を感じるかもしれません。強い薬ではないですし、飲み合わせも悪くない。必要があれば処方は出来ます。』と、相手にひとつの提案を。この提案はどちらかと言うと目の前の相手の気持ちに寄り添ったもの。鎮静剤を使えば、瞳の色や特定の音など記憶と繋がる些細なきっかけで発作を起こしてしまうという事は減る筈だった。これ迄処方していなかったのは、鎮静効果で少しぼんやりして捜査に支障が出ると思ったからだが、相手の心を守り彼の負担を軽減する為の可能性の一つだと。 )







 

4981: ベル・ミラー [×]
2025-05-30 16:05:01





( 静かに紡がれる見解を視線を下げ僅か下方を見詰める様にして聞いていたのだが。此方を安心させる“一時的”との言葉には自然と顔が持ち上がる。__不安だったのだ。今回の事件、被害者が彼の妹と瓜二つの女性であるとわかったその時から、胸中には消し去る事の出来ない大きな不安がべったりと張り付き、片時も離れなかった。エバンズはきっと大丈夫だと幾ら自分に言い聞かせても、捜査が進むにつれ苦しむ頻度が増え、眠れなくなる頻度が増え、安定剤や鎮痛剤もなかなか思う様に効果を発揮しない中。そうして“緑の瞳”が恐怖の対象となった可能性のある彼の意識は今無い。__けれど今、不安の全てが拭われた訳では無いが1人悶々と考え悩むより遥かに心が楽になった。やや憔悴し不安定に揺れていた瞳は再び“彼の隣に立つ”意志を呼び覚まし、心に灯った確かな明かりに背中を押される様に頷く。そうしてその明かりがより強さを増したのは続けられた1つの提案を聞いたから。最後まで聞き届けてから「…それは、捜査に影響が出る程なんでしょうか、」と問い掛ける。頻繁に起きる発作や恐怖心を少しでも減らし、彼の心身に掛る負担を軽減出来るのなら。個人的な気持ちは何の躊躇いも無くYESなのだが“思考が明瞭では無い”と言う部分が引っ掛かったのだ。それは今回の事件捜査が彼にとって物凄く重要である事を、アンナの無念を晴らしたいと言う強い気持ちを知っているから。「__“捜査を続ける為”にその鎮静剤を使う事が出来るなら…エバンズさんを説得します。」今回ばかりは問答無用で勝手に決断出来ないと悩んだ末、個人差があり確実な事は相手も言えないであろう事は理解しつつも、副作用の話、捜査続行の話をもう少ししたいと )






4982: アルバート・エバンズ [×]
2025-05-31 00:29:12

 




アダムス医師


( 憔悴し不安げに翳っていた相手の瞳に、少しばかり普段の光が宿った気がした。『…捜査に影響がない、とは言い切れません。鎮静剤ですから、感覚を鈍らせ落ち着かせる効果があります。少しの眠気やぼんやりするような感覚、倦怠感は起こりやすくなるでしょう。無理をしにくくなる、というのはあるかもしれません。ただ同様の効果がある薬の中では効き方が穏やかで、比較的副作用は少ない部類の薬です。』相手に分かりやすいよう薬について説明しつつ、大きな負担が掛かる中で身体に鞭打つようにして立ち続けている彼を思う。『今、彼が捜査を行えているのは、謂わば精神力です。実際どれ程の負担が掛かっていて、張り詰めていたものが切れた時にどんな影響が出てしまうか、未だ分かりません。…それでも、今のエバンズさんに捜査を降りるよう言う事は…私にも出来ない。捜査を続ける為、その中でも掛かる負担を最小限に抑え、なるべく無理をした反動を小さくする為に…鎮静剤は効果的だと思います。』医師として正しい選択ではないかもしれないが、捜査を続けながらも反動が小さい方法を模索して。 )








 

4983: ベル・ミラー [×]
2025-05-31 10:01:35






( 100%副作用の無い薬などある筈も無く、けれど丁寧に繰り返される説明は安堵に繋がる。__何時の事だったか、相手では無い医師に急遽処方して貰った鎮静剤は確かにエバンズの苦しみを取り除く役割は果たしたが副作用が余りに大き過ぎた事をまだ鮮明に覚えていた。鋭いまでの瞳は翳り、無気力状態の彼はまるで生きる屍のようだったのだ。__“捜査を続ける為”、相手のその言葉は“医師”としての他に“友人として”彼の意志を尊重したものに思えた。2つの角度から彼を心配し、心を寄せてくれる人の存在がまるで自分の事の様にこんなにも嬉しく感じるなんて。今度は良い意味で揺らいだ感情のままに頷くと「…私も同じです。最初はあんなにもこの事件に関わって欲しくなかったのに__今は他の誰でも無くエバンズさんに解決して貰いたい。」そう告げた後に「私個人の意思としては、鎮静剤の処方をお願いします。」と、頭を下げつつも、目を覚ました相手が鎮静剤の服用を直ぐに了承するとも思えずに )






4984: アルバート・エバンズ [×]
2025-06-01 13:27:15

 





( 実際はエバンズ本人の了承を得ない限り薬の処方を決める事は出来ないものの、相手の気持ちは分かった。そして相手が説得してくれると言うなら、最終的にはエバンズも渋々ながら了承する事になるであろうことも、これ迄の経験上感じていて。『分かりました。処方の準備は進めておきますね。』と告げて。---エバンズが病室で目を覚ましたのは数時間後の事だった。目を開くと白い天井が目に入り、嗅ぎ慣れた薬品の香り。直ぐには状況を理解出来ずに僅かにみじろぎすると点滴の管が揺れ、此処が病院だと気付く。同時に自分は捜査の為に現場に居た筈だと思い出し、酷い発作に襲われ息を吐く事も出来ない程の苦痛に耐え切れず意識を失ったのだと思い至り。どれ程の時間が経ったかは定かではないが、投薬のお陰だろうか、身体はかなり楽になっていて。 )






 

4985: ベル・ミラー [×]
2025-06-01 14:00:08





( アダムス医師が鎮静剤の処方準備を進めてくれている間、点滴の管に繋がれ眠る相手の脇にただ黙したまま座って居たのが数時間。___僅かに瞼が微動しゆっくりと持ち上げられ覗いた碧眼はまだ少し朧気に揺らいでいる様に見えるが、此処が病室であるとわかった瞬間に何があったのかを直ぐに察する事が出来ただろう。「…エバンズさん、」驚かせない様に相手の名前を静かに呼ぶ。視線が此方に向いたのならば「苦しくない?」と、今の体調を問い掛けつつ、相手の瞳の奥に“恐怖”が燻っていないかを確認すべくやや控え目にその瞳を覗き込んで )






4986: アルバート・エバンズ [×]
2025-06-02 01:01:49

 





( 相手に名前を呼ばれて視線を向けると、心配げな相手と視線が重なる。薬のお陰で今は落ち着いて居る事もあり、相手の瞳を見て恐怖を感じる事はなかったものの、一瞬身構えそうになったのは先ほどのような前例があるからだろう。「……大丈夫だ、」と答えて時計を見上げる。現場に居たのは昼前頃、今は夕方という事は殆ど丸一日を無駄にしているという事だ。点滴の管が繋がる右腕には赤っぽい鬱血痕が残り、どうにか意識を繋ぎ止めようと爪を立てたその痛みを思い出す。「______悪かった、もうだいぶ楽になった。」と告げて枕に背中を預ける形で少し身体を起こし。今日出来ることはもう限られているかもしれないが、この時間であれば仕事に戻れると。 )







 

4987: ベル・ミラー [×]
2025-06-02 13:21:11





( 点滴等の処置が効いているお陰だろう、瞳が重なっても相手が恐怖する事も発作を起こす事も無かった。これなら顔を見て話をする事が出来ると先ずは安堵を胸に「良かった。」と微笑み。__さて、目が覚め身体の調子が比較的良い状態の相手は眠っていた時間を取り戻すべく仕事に戻ろうと考えるだろうが、本題は此処からなのだ。ふ、と短く息を吐きやや背筋を伸ばす。「…エバンズさん、大切な話があるの。」相手を見詰める瞳も静かな声色も決して重たくは無いが真剣そのもの。何処から切り出すべきか考える僅かの間の後「…エバンズさんが眠ってる間にアダムス医師と少し話をしたんだけどね。…普段飲んでる薬と併用して、もう一種類、軽い鎮静剤も飲んでみない?」先ずは話の主となる鎮静剤の存在を伝えた後「勿論副作用は0では無いけど、頻繁に起きるフラッシュバックとか、エバンズさんの中にある恐怖心とかが軽減されるんだって。」“副作用”と言う単語は隠す事無く口にしつつ、果たしてどんな反応を見せるかと表情を伺って )






4988: アルバート・エバンズ [×]
2025-06-03 10:26:52

 





( 真剣な口調で切り出された言葉に再び相手と視線を重ねる。服用する処方薬を増やす事で体調が安定するなら直ぐにでもと思ったものの“鎮静剤”という言葉が引っ掛かった。思い出されるのは、いつか別の医師に打たれた鎮静剤のこと。酷い発作を起こす事こそなかったが、強い薬は正常な思考さえも奪いその期間の事は殆ど覚えていない。もう一つは、捜査の指揮官を途中で交代せざるを得なくなった事件の事。精神力だけでは抗えない程に身体が辛く、眠気にも抗えず遂には捜査を続ける事が出来なくなったではないか。副作用がゼロではない、という事はまたあの時のように苦しい思いをする事になる可能性が高いという事だ。「_____鎮静剤は、事件に関わっている限りは飲みたくない。」とだけ答え、相手の提案を拒絶する。前のような状況になれば、此の捜査を途中で投げ出す事にもなりかねない。「点滴を外してくれ、休んだら落ち着いた。もう大丈夫だ。」と告げて、捜査に戻ろうと。 )






 

4989: ベル・ミラー [×]
2025-06-03 21:23:40





__大丈夫じゃないよ。今は安定してるかもしれないけど、時間が経てばまた頻繁に発作が起きる。…私の目、見れなかったよね?
( 案の定相手はこの提案を拒絶した。ただその返事は想定内で捜査に戻ろうとするのも想定内。相手の中にある“鎮静剤”のイメージが最悪なのは過去の事例があるのだから仕方が無い事。けれど今回はその鎮静剤が相手を救うと思っていた。だからこそ“大丈夫”を首を横に振る事で否定した後、相手自身が“恐怖の対象”に気付いて居るかはわからないが、一拍程の間を空けて問い掛けた確認は切なさとほんの僅かの苦しげな表情を纏い__それも一瞬。今度は努めて柔らかな声色で「“あの時”みたいな事にはならない。エバンズさんが信頼する先生が処置する薬なんだから。__それに私も、もう勝手に指揮官を変えて欲しいなんて言わない。“事件を解決する為”に、少しだけ苦しいの取ろう。」相手が懸念する全ては何も起こらないと諭しつつ、点滴の管に繋がれる手の甲を親指の腹で緩く撫でて )






4990: アルバート・エバンズ [×]
2025-06-04 10:09:13

 





( 相手の口から紡がれた問い掛けに、思わず言葉を失う。いつからか相手の瞳が過去の記憶と結び付き不安や恐れを感じるようになって居た事に、其の所為で無意識ながら相手と視線が重なるのを避けてしまっていた事に、相手は気付いていたのだろう。少なからず傷付いていた事を、一瞬翳ったように見えた表情から察するとそれ以上の拒絶の言葉は続かなかった。「……自分でもどうしようもないんだ、…意思とは関係なく、過去の記憶が呼び起こされる。気付いた時には、記憶の波に飲まれた後だ。」相手の言葉を否定する事なく、やがて視線を落としたまま言葉を紡ぐ。相手が悪い訳でも、自分がそれをコントロールできる訳でもない。些細なきっかけがフラッシュバックを引き起こし、何が起きたのか理解出来ないままに苦痛の中に突き落とされるのは、酷く辛い事だった。---事件を解決する為に鎮静剤を使う_______確かにこれまでのトラブルでは、自分の事をよく知らない医師による薬の処方が原因となっていた。主治医が、副作用が少なく気持ちを落ち着ける事が出来ると言うのなら、それに頼るのは悪い事ではないのかもしれない。現に頻繁に発作が起きコントロール出来ない状況には疲れ果てていた。手の甲を撫でる相手の指先を見つめながら、何と答えるべきか決めかねていて。 )








 

4991: ベル・ミラー [×]
2025-06-04 19:30:19





( 沈黙の後、視線を落とし紡がれたのは否定では無かった。つまり互いに“緑の瞳”に思う所はあると言う事だ。責める事は勿論せず言葉を肯定する様に一度軽く頷き「わかってる、誰のせいでも無い。」優しい相手が罪悪感を覚える事の無い様に柔らかく微笑む。今、何よりも優先すべき事は相手の苦しみが僅かでも良い、軽減される事だ。骨張った手の甲を撫でている指の動きはそのままに、様々な事を考えて居るのだろう、沈黙を落とし続ける相手のやや伏せられた瞳を見詰める事数秒。「__思考が上手く働かない時は、もどかしいかもしれないけど私も一緒に考える。この捜査を担当してるのは私達2人だよ。…薬を飲んで、仕切り直そう。」此方まで薬の副作用に意識引っ張られ考え過ぎては、それを飲む本人はもっと不安になるだろうと、努めて普段通りの声色を心掛けつつ、“捜査を続ける”事を中心に置いた声掛けを )






4992: アルバート・エバンズ [×]
2025-06-04 22:13:15

 






( 此れまで幾度と助けられて来たのに今になって“相手の瞳が怖い”だなんて。相手を傷付けるという事も分かっているのに、自分ではこの恐怖心をどうしてもコントロールする事が出来なかった。続いた相手の言葉は、変わらず自分を支えようとしてくれているもの。その上捜査を外れなくて済むようにという思いが籠っているもので、これ以上拒絶を続ける必要もないと思えた。やがて小さく頷くと「_______分かった、」と鎮静剤を処方して貰う事を了承して。---倒れた時に頭を打った事で少しズキズキとした痛みはあったものの身体は楽になっていて、主治医も今すぐに入院による加療が必要だという見解ではなかったようで捜査に戻れる事に安堵する。ようやく犯人に近づく事が出来たのだから、このまま解決まで導かなければならないと決意を新たにして。 )







 

4993: ベル・ミラー [×]
2025-06-04 22:58:38





( 正直な所、数時間による説得も覚悟の上だった。それ程迄に相手が鎮静剤に良いイメージを持っていない事はわかっていたから。だからこそ100%の納得では無かったとしても了承してくれた事に大きな安堵を覚え。___MRIの結果も問題が無く、処方される事となった鎮静剤は朝食後に一錠飲めば夜まで効果が緩やかに持続する軽いもの。アダムス医師から相手へ、直接注意事項や現在飲んでいる安定剤や鎮痛剤と併用しても問題が無い事が告げられ、点滴終了後に病院を後にする事となり。___空は薄い雲と、隙間から漏れる夕日の橙がコントラストを描いていた。「点滴の効果が切れる前に、もう少し証拠を掴もう。」相手と共に車に乗りエンジンを掛けると、告げたのは家に戻り休む提案では無く、暗に署に戻ると言うもの。今が相手にとって一番身体が楽な時である事は明白で、事件現場で倒れ、何時間も捜査が出来なかったもどかしさを抱えて居るだろう事もわかっていた。だからこそ、今日はこれ以上休めと口煩く言うつもりは無く。車を発進させながら考えるのは明日以降の事。明日の朝飲む鎮静剤は、幾ら軽いものとは言え果たしてどれ程の副作用を相手に齎すのだろうか )






4994: アルバート・エバンズ [×]
2025-06-05 00:48:40

 




( 倒れたのだから休むようにと言う事も無く、いつも通りに相手が署へと車を走らせた事はありがたい選択だった。時間を大幅にロスしている分、薬が効いて落ち着いている今は捜査を少しでも進めたい。自身の思いを、相手も主治医も少なからず汲んでくれている事は理解できて、礼を述べる事こそしなかったものの其れは信頼に繋がるだろう。---翌日、1錠増えた薬を朝食後に飲みいつも通り仕事へと向かう。薬が効き始めている事を感じたのはその数時間後。体調は安定していて、焦りや不安が胸の内にさざめく事もない。けれど倦怠感や頭がぼんやりするような感覚があり、少し身体が重い。報告書や資料に目を通すも、内容を理解し読み込むスピードが普段より遅いように感じた。「……ミラー、コーヒー淹れてくれ。」少しして相手に頼んだのはブラックコーヒー。少しでも頭を覚醒させたいと思っての事だった。 )






 

4995: ベル・ミラー [×]
2025-06-05 11:04:22





( ___朝飲んだ鎮静剤が効果を発揮しているのか、唐突に響く物音や遺体の写真で発作を起こす事も無く、視線が重なっても相手の褪せた碧眼に恐怖の色が滲む事は無かった。けれど副作用もまた同じ様に顔を覗かせているのだろう。資料に目を通して居た相手からふいにコーヒーを所望されれば、頷き直ぐに給湯室へと向かい。__相手専用のマグカップの中に注がれた黒はその水面を揺蕩わせ香り良い湯気を生んだ。「お待たせしました。」と声を掛け相手にマグカップを手渡すと、「どんな感じ?」と問い掛ける。それは勿論の事、報告書や書類についてでは無く鎮静剤を服用した相手の体調、その副作用についてだ )






4996: アルバート・エバンズ [×]
2025-06-06 13:47:01

 





( 身体が有無を言わさず休息を欲するようになるのも、鎮静剤の副作用なのだろう。以前も、そして今も、普段のように少しの無理をする事が出来なくなる。確かに此れまで鎮静剤を服用していた時のように身体が辛いという感覚は無いのだが、普段に比べて格段に情報の処理スピードが落ちる事はストレスだった。些細なきっかけが発作に繋がる事はなく、其処の“結び付き”も鈍くなる一方で他の感覚も鈍くなっているのだろう。相手から手渡されたマグカップを受け取り、コーヒーを口にしつつ「……内容が頭に入って来ない、」とひと言。思考が思うように働かない事に少なからず苛立ちを感じているのは明らかで、こめかみを抑えて。 )






 

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