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白む空に燻る紫煙 ---〆/4249


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自分のトピックを作る
4163: ベル・ミラー [×]
2024-03-12 11:16:12





( 眠る相手の様子が可笑しい事に気が付いたのはダンフォードだった。過呼吸を起こしている訳では無いのに酸素マスクの下の呼吸は酷く荒れていて木枯らしが吹く時の様な掠れた危うさまである。呼吸が苦しいからか、はたまた夢の中であの時間を彷徨っているのか、時折僅かに眉が顰められそれを見てナースコールを押せば駆け付けた看護師と医師によって肺雑音を確認され、免疫が落ちている事で恐らく肺炎を引き起こし、それによって高い熱が出ている事を告られ心だけでは無く身体までも相手を苦しめるのかとやるせない気持ちが膨らみ。安定剤の影響は勿論あるだろうが、眠れる時に寝るべきだと、そういう医師の言葉で相手が目を覚ましてから胸部のレントゲンを撮り最終的な肺炎の判断を下すと決定した後は病室には2人きりとなり。『……』細く吐き出される息で時折白く濁る酸素マスク、苦しげに寄せられた眉、窶れて見える頬、何もかもが痛々しく、何も言葉を発する事はしないものの徐に伸ばした指先は静かに相手の目元を滑って。__報道を極力見ないようにしているミラーだが、出張先の署でも街中でも少なからずアナンデールの話題は出るもので、その度に一向に返事が無い相手が心配でたまらなくなった。一方レイクウッド署では相手の知らぬ所でもう一つ悪い出来事が起こっていた。記者にしつこく付き纏われ“相手はどの様な刑事か”を幾度となく問い掛けられた若手の署員が“冷たい感じの人です。”という旨を答えたのだ。勿論その言葉に悪意は無く、署員からすれば普段見ているエバンズの性格を簡単に伝えただけの返答だったのだが、記者がそのままの意味で捉える事は勿論の事無く、これはチャンスとばかりに歪んだ捉え方をされた結果、これ見よがしに更に相手を悪く言う記事を書き始め。それは恐らく来週の週刊誌に掲載される事だろう )






4164: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-12 23:31:03

 






( ふと意識が浮上するも、初めに視界に入った白い無機質な天井は嫌な歪み方をしていた。ゆっくりと形を変えながら揺らいでいるように思えて、思わず一度目を伏せる。息は出来ている筈なのに酸素を上手く吸えていないような、呼吸をする度に胸に鈍い痛みを伴うような感覚。其れでいて、つい先程まで見ていた夢にほんの些細なきっかけで足元を掬われ何処までも深く堕ちて行ってしまうような恐怖があった。そして目を覚ます度に、今日はあの事件が起きた日なのだと言うことを嫌でも思い出す。言いようのない不安感に襲われ、一瞬呼吸が上擦る。自分はたった一人だ、皆自分の元から去り一人取り残されてしまったのだという恐怖感で身が竦む。そして自分だけが、あの事件に関わった唯一の人間として憎悪を向けられ続けるのだと______高熱の所為だろう、側に相手がいる事に気が付かないままそんな思考に囚われて、元々浅かった呼吸はさらにペースを乱しマスクを曇らせて。 )








 

4165: ベル・ミラー [×]
2024-03-13 08:51:33





ルイス・ダンフォード



( 隈が色濃く残る目元を親指の腹で撫で続けながら、ふと相手の呼吸の上擦りを感じて瞳を合わせる。薄く開いた目は再び静かに閉じられた後だったが目を覚ました事はわかり、加えて肺炎によって引き起こされている胸の痛みや熱による苦しさに苛まれている事、何より目を覚ました後の“繰り返す今日”に絶望している事も手に取るようにわかった。明らかに狂ってしまった呼吸を繰り返す相手の頬を軽く叩く事で意識を留まらせる事は出来るだろうか。『エバンズ、わかるか?』見下ろす様な形で相手の顔を見遣りつつ、此処に居る自分の事を認識させる。頬から額へと移動した掌に伝わるのはどれだけの高熱かを思い知らせる熱さで、安定剤に加えて解熱剤も必要となる状況に些かの不安も覚える事となり )






4166: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-18 11:58:39

 







( 頬を叩かれる刺激に再び瞼を持ち上げれば、揺らぐ視界の中に居たのはかつての上司。相手は確か自分の代わりに応援に来たと言っていた筈で、少し前にも言葉を交わした記憶があった。「_____ダンフォードさん、…」小さく言葉を紡ぐと、不意に腕を持ち上げ相手の手を掴む。点滴の管が揺れたが其れを気にする事はなく、ただこの言いようのない不安感の中で彼が側に居てくれる事が救いだった。「…あんな事、俺は言っていません……あの事件と、遺族に、誠実に向き合ってきたつもりです…っ…事件を踏み台になんてしてない、」相手を見据えたまま徐に紡いだのは週刊誌の記事に対する否定。意識が朧げなまま、せめて相手にはあの記事が事実ではないと知っていて欲しいと思ったのだろう。浅い呼吸の中で懸命に言葉を紡ぎ、訴える。木枯らしのような掠れた音が細く唇から吐き出され、その痛みに眉根を寄せつつ「……妹の、墓参りに行きたいんです…今日行ってやらないと、…」と譫言のように紡いで。 )







 

4167: ベル・ミラー [×]
2024-03-18 18:23:20





ルイス・ダンフォード



( 焦点の合わない碧眼が彷徨う様に朧気に此方を見、紡がれた名前に続けて弱い力で以て手を掴まれる。何かを訴える様に、傍を離れていくなと言う様に、薄く開かれた唇からは懸命な音が漏れ、それを確りと聞き届けるや否や、ちゃんとわかっているとばかりに頷き。『ああ、わかってるよ。お前が週刊誌に書かれている様な奴じゃない事は俺がちゃんとわかってる。…ジョーンズも、警視正も、ミラーの嬢ちゃんもお前の味方だ。』何も心配する事は無い、相手が悪だと思う人は少なくとも近い距離の人達の中には決して居ないと、安心させるようにそう言葉にしつつ窶れ冷えている頬を指の腹で軽く撫で。そのまま再び意識を落とすかと思われた相手は、朦朧とした中でも今日が何の日かを確りと認識しているようで、頻りに“お墓参り”に行きたいと所望する。狂った呼吸に阻まれながら、それだけはやり遂げねばならぬ使命感の様に。けれど相手の願いを今は聞く事が出来ないのだ。断らねばならぬ事にやるせなさを覚えながら、朦朧としている意識の相手に声が届く様にと僅かに顔を近付け『__叶えてやりたいが、今は絶対安静なんだ。免疫力が低下してるせいで肺炎になってる。…身体辛いだろ?』聞こえていようがいまいが、返事があろうがなかろうが、子供に言い聞かせるような何処と無く柔らかい声色で今の状態の説明を )






4168: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 03:42:39

 






( 夢現な状態だったかもしれないが、それでも相手の言葉は確かに届き”味方だ“という言葉は少しばかり心を落ち着かせた。週刊誌に書かれた記事、其れを目にした殆どの人が自分を遺族に辛く当たり人の心が無い冷酷な男だと思っても、真実ではないと理解してくれている人が身近に居る。幾ら目を背けても、記者に付け回され周囲から白い目を向けられた時間は酷く長く感じて、心を抉られる苦しい時間だったのだ。---妹の墓参りに行く事は出来ない、と相手は自分に語り掛けたのだろう。しかし其れに反応を示すよりも前に再び意識を手放し眠りに沈む事となり。安定剤の効果により発作を起こしてしまうような状態ではないもの、肺の炎症の所為で呼吸は相変わらず浅く掠れたもの。高熱も続いており、今の状態では職務に復帰できる見通しは立たないと言わざるを得ないだろう。 )








 

4169: ベル・ミラー [×]
2024-03-20 10:20:41





( __相手が再び意識を手放してから数時間の間、意識の波の揺れはあり薄らと目が覚めた時にアダムス医師により手早いレントゲン検査と血液検査が行われ、酸素マスクは暫く外せない肺炎である事が明らかとなった。点滴の管からは解熱剤が流され、意識が混濁し発作に苦しめられる様になると出来るだけ軽い安定剤に変える__それが繰り返され面会時間が終わりになる事にはダンフォードは一度帰宅し。更に時間は過ぎて二度目の看護師の巡回が終わった夜11時30分過ぎ。何時ぞやと同じく盗んだ白衣に袖を通したクラークがニコニコと楽しそうな笑みを携えて相手の眠る病室の扉を開けた。そのまま眠る相手に近付き、枕元の間接照明を点けてモニターと点滴を確認してから上から顔を覗き込む。ぼんやりとしたオレンジの明かりに照らされた相手の顔は、数日前に署で見た時よりも遥かに窶れていて相当苦しんでいる事が伺えるものだから、思わず笑みも深くなると言うもので )






4170: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 13:44:58

 






( 精神的な苦しさに加えての身体の不調と言うのは堪え難い苦痛だった。一度発作を起こして仕舞えば弱った身体が付いて来ず、まともに呼吸が出来なくなる。意識は僅かに沈み込んだまま、身体も鉛のように重い。そんな中で、幾度と事件の、あの日の夢を見るのだ。______僅かに意識が浮かび上がり、睫毛が震えると閉じていた瞼が薄く開く。ぼんやりとした灯りの中、此方を見下ろす人物は白衣を着ていて、医師の巡回だろうと思えば再び意識を手放しそうになり。変わらず酸素を供給されているにも関わらず、胸は重たく息はし辛いままだった。ふと、今は何時だろうかと思うのだがスマートフォンに手を伸ばす事さえ億劫で、暗い部屋の中では時計を確認する事も出来ずに。 )








 

4171: ベル・ミラー [×]
2024-03-20 14:12:00





アーロン・クラーク



( 暫しの間微笑みだけを浮かべ何も言葉を発する事無く眠る相手を見下ろし続けて居たのだが。ふいに長い睫毛が震え静かに瞼が持ち上がると、相手の持つ褪せた碧眼がオレンジの間接照明の光を僅かに浴びる。相手の意識はぼんやりとしていて白衣を着ている己を巡回中の医師と勘違いしているのだろうか。__医師は、こんな事しないですよね。そう言いたげに口角をより持ち上げると徐に片手を相手の胸に添え。__皮膚の、筋肉の、その下にある肺を押し潰す様に力を加える。酸素マスクをつけているとは言え、その加減を知らぬ行為は相手を肉体的に苦しめるには十分だろうか。相変わらず何も言葉を発する事無く、けれども相手の胸を押さえ付ける片手に込めた力だけは決して緩める事無く、己の見下ろす相手が苦しむ様を眺め続けて )






4172: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 14:33:43

 






( 幾度となく短い覚醒と眠りを繰り返しているように、再び意識が静かに閉じる直前だった。不意に胸元に手が添えられた感覚を感じたのも束の間、其れは摩るような優しいものではなく明らか押し潰そうとするかのような強い力が込められて、呼吸を阻害する。「_____っ、かは…ッ、…」ただでさえ苦しかった呼吸はより浅く、酸素を取り込めなくなり胸に強い痛みが走る。その行為に、当然相手が医者などではない事は直ぐに理解して力の入らない手で相手の手を退けようとその手首を掴むのだが、びくともしない。外から圧が加えられた事で渇いた咳が唇を震わせ、喘ぐような呼吸に変わると苦しさから表情が歪み。 )








 

4173: ベル・ミラー [×]
2024-03-20 15:02:59





アーロン・クラーク



( 胸を押さえ付けた途端に襲い来る苦しさを逃がす術が無くなったのだろう、相手の薄く開かれた唇から喘ぐ様な呼吸が漏れたのを聞き、それが更なる加虐心を煽るものだから胸を押す手の力はどんどん強くなる一方で。もっと、もっと、と膨れ上がるその気持ちは最早正常な思考では無い。苦痛から逃れる為にと伸ばされた相手の指先が手首へと掛かるが、今の状態ではそんなものは幼子の力と然程変わらぬものであり何の役にも立ちはしないのだ。『__こんばんは、警部補。夜中なので静かにして下さいね。』漸く発した言葉はこの場、この状況を作り上げている当人とは思えない程の柔らかな挨拶とある意味周りへの配慮。その言葉の柔らかさとは裏腹にもう片方の手を伸ばした先は相手の口元で、あろう事か酸素マスクさえも外してしまうと『苦しいですか?』と、答えられない事も、状態も、わかりきっている問いを投げ掛けて )






4174: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-20 22:44:49

 







( ただでさえ肺炎の所為で呼吸が苦しい状態の中、胸を押さえ付けられた上に酸素マスクまでもを口元から外されてしまえば酸素の薄い場所に放り出されたかの如く上手く呼吸が出来なくなる。言葉は声にならず、掠れた音ばかりが唇から吐き出され喘ぐように浅く上下する胸も徐々に早くなって行き。今日はあの事件から12年の日。自分に恨みを抱き続ける彼が大人しくしている筈などないと分かっていたのに。相手の囁くような声は、最早深い罪悪感と共に過去の記憶を蘇らせるトリガーにさえなっていた。穏やかな口調の裏で相手の考えている事が、一人逃げるのかと責め罵られる事が分かってしまうからこそ、身体は正直に恐怖を感じる。安定剤で辛うじて繋ぎ止められていたものが、今にも断たれて苦痛の波に押し流されてしまいそうな恐怖感。辞めてくれと訴えるように小さく首を振ったものの、暗紫の瞳に記憶を引き出されるような感覚に呼吸の乱れは徐々に大きくなっていき。 )








 

4175: ベル・ミラー [×]
2024-03-21 00:00:19





アーロン・クラーク



( 案の定相手は何も答えない。否、答える事が出来ないと言った方が正しい状況でゼェゼェと繰り返される呼吸音だけが静かな病室に響き。酸素マスクを外したとて息が出来なくなり死んでしまう事は無いだろうが、相手は今それ程の恐怖を感じている筈だと思うと、その感情を与えたのが自分自身である事に表情は無意識に満足気なものへと変わり。苦しげに顰められた眉、薄く開く唇、懇願するように首を振る仕草、それらを全て余す事無く見届けてから、そこで漸く外した酸素マスクを再び相手の口元に近付けるとそのタイミングで胸を圧迫していた片手も離し。『__解熱剤も、安定剤も、今日の貴方には必要無いものでしょう?』数秒前の狂気じみた行為が何も無かったかのように自然な動作で傍らの椅子に腰掛けては、先程迄の笑みの消え失せた真顔で同意を求めるような言葉を送る。そうして視線を一度相手から枕元にある時計に移すと時間を確認し、__『もうすぐ今日が終わります。事件から12年が過ぎ、セシリアさんの命日も終わる。…でもルーカスの命日はまだこれからだ。』確かにあの事件に弟は巻き込まれたが、即死では無かった為に命を落としたのは翌日の事だ。視線をゆっくりと相手に戻し、人差し指と親指で挟む様にして点滴の管を上から下へとなぞる。辿り着いた先は針の刺される相手の腕。針を固定する白いガーゼの部分を静かに撫でながら『…これ、必要ですか?』と、選択肢は相手にある問い掛けだと言うのに、何処か答えは一択しかないとばかりの圧の感じられる口調で緩く首を擡げて見せて )






4176: アルバート・エバンズ [×]
2024-03-23 00:30:59

 






( 妹の命日は、事件の日は間も無く終わる。しかし“ルーカスの命日はこれから“という言葉は心に深く突き刺さった。以前彼の口から聞いた通り、彼の弟のルーカスは銃弾を胸に受けながらも直ぐに命を落とす事はなく、苦しみながら事件の翌日に亡くなったのだ。全員がせめて即死であったならという願いは幻想に過ぎず、痛みに苛まれ苦しんだ被害者が居る事を知った絶望は大きかった。そんな彼の命日を前に、自分一人楽になろうだなんて_______心身共に弱った状態ではそう洗脳されるのに時間は掛からず、相手の問いに喘ぐような呼吸の中で小さく首を振る。結局いつも突き落とされる先は“彼らを見殺しにした自分が楽になって良いはずがない”という罪悪感。一度その思考に足を取られて仕舞えば、正常な思考は働かない。自分が苦しむのは当然で、楽になる処置を受ける事など許される筈がない、と。 )








 

4177: ベル・ミラー [×]
2024-03-23 12:54:25





アーロン・クラーク



( 身体の苦しみも心の苦しみも余す事無く受け止めねばならぬ状況の中で、それでも相手は此方の問い掛けに首を横に振った。“必要無い”と__その答えを受けてそれで良いとばかりに満足そうに一度頷けば『貴方の望み通りにしてあげますね。』と。それは決して“相手自ら”望んだ事では無く言うならば誘導の果の洗脳なのだが。__再び時計を見れば時刻は夜の11時55分。素晴らしい時間だ、と今一度ガーゼの上を緩く撫でてから、皮膚が引っ張られる痛みを少しでも軽減させる様に静かにテープを外し、これまた痛みを極力感じさせぬ様にと優しい手付きで以て腕から注射針を引き抜く。その行動は相手を苦しめようとする者とはとても思えぬ程に思い遣りに溢れて居るのだが、実際そうでは無い事は相手自身が一番良くわかっている事だろう。注射針をそのままベッドの脇に放った後は『…ちゃあんと苦しんで下さいね。』と微笑み掛け、小さな止血、とばかりにガーゼを再び相手の腕に貼り直しその姿を呑気に椅子に座りながら眺め。時刻は夜11時57分。セシリアや他の犠牲者が亡くなった今日も、後3分後に訪れるルーカスの亡くなった日も、何方も相手は苦しまねばならぬのだとばかりに )






4178: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-02 22:04:33

 






( 点滴が外されても、此れまでに投与された薬は身体に残っている。直ぐに安定剤の効果が切れる事などあるはずがないのに、この男に点滴を外された上で“苦しめ”と言われればまるで操られているかのように身体は反応するのだ。正常な呼吸が困難な状況下で補助となる酸素マスクを外され、胸を圧迫され、既に浅くなっていた呼吸は相手に促されるかの如く徐々にそのペースを乱して酷い苦痛の中で過去の記憶が首を擡げ始める。セシリアの姿、倒れた園児たちの背中、血塗られた教室の床______遠くに押し留められていたそれらの光景が、少しずつ輪郭をはっきりとさせ鮮やかに蘇り始める。恐怖から呼吸は上擦り、浅い呼吸に耐えられない胸からは掠れた木枯らしのような音が響き。 )









 

4179: ベル・ミラー [×]
2024-04-02 22:56:38





アーロン・クラーク



( 枕元に備え付けられている時計の数字が00:00を示した事で“アナンデール事件から12年目”が終わりを迎えた。代わりに“ルーカスの命日”が訪れ結果的に相手はその何方も苦しむ事となり、クラークの負に塗れた気持ちを昂らせるには十分な結果となった訳で。__目前で苦しむ人を前にして何とも優雅に足を組み替える。手を差し伸べる事も、欲しい言葉を掛けてやる事もしない。ただ、まるで心など無いかの様に無機質な紫暗を向けるだけ。やがて“観察”に終止符を打つべく立ち上がると、枕元の間接照明の電気をOFFにし病室に再び暗闇をもたらし。『…さて、満足したので帰りますね。また会いに来ます。』静かに紡いだのは、相手が望んでいない事など関係無いとばかりの欲に忠実な言葉。苦しむ相手をそのままにさっさと病室から姿を消して。相手の様子が可笑しい事、点滴や酸素マスクが外れている事に看護師が気が付くのは、後数時間後の次なる巡回の時で )






4180: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-10 03:40:05

 






( ただでさえ肺炎の所為で呼吸が苦しい中で発作を起こし、補助的な役割を果たすはずの酸素マスクも外れている事で意識を保つのに必要な酸素を取り入れる事だけで精一杯だった。管が繋がったままの針は床に落ち、先端からは少しずつ薬液が滲み出るものの其れが身体に入る事はない。巡回で看護師が状況に気付いた時には既に意識の混濁があり、夜中にも関わらず病室は慌ただしくなり。---血中酸素濃度がかなり低下していた事、肺炎の症状が重い事、発作が頻繁に起こる事、そして常に目の届く所で経過を観察する必要があると判断された事で、高度治療室へと移されたのは明け方の事。ダンフォードにその事を伝える術はなく、面会が出来ないと知るのはいつものように彼が病院を訪れてからになるだろう。 )








 

4181: ベル・ミラー [×]
2024-04-10 13:47:37





ルイス・ダンフォード



( __その日、午後からの仕事が比較的スムーズに進み何時もより数時間早く相手の面会に行く事が出来た、のだが。病室の扉を開けるよりも先に声を掛けて来た看護師から、夜中に酷い発作を起こした相手は高度治療室へと移動になり、医者や看護師の目の届くそこで面会は一切禁止だと告げられ絶句する。クラークの存在を知らないからこそ一夜にしてそこまで症状が悪化したのかと思うと同時に、ふ、と浮かんだのはクレアの姿。相手の過去を知る人で、相手もまたクレアにならば変な気を遣わず自然と弱みを見せられるのではと考えれば後の行動は早いもので。看護師に礼を言ってからスマートフォンを取り出し【クレア・ジョーンズ】の名前を押す。数コールの後に彼女の声が聞こえれば『…ダンフォードだ、元気にしてたか?』と先ずは名乗り『久し振りの連絡が楽しい話じゃなくて悪いんだが__エバンズが入院した。心身共にかなり状態が悪くてな、今日から高度治療室に移されたらしい。』続けて簡単に相手の状態を説明するもその声色が重たい空気を纏っている事、“高度治療室”の単語から大変な事になっている事は容易に想像が出来るだろう )






4182: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-17 03:50:50

 




クレア・ジョーンズ




( ワシントンの本部で普段通り仕事をしていたクレアは、スマートフォンが着信を知らせている事に気付き其れを手に取り、画面に表示された人物の名前に思わず目を丸くした。電話先の彼はまだ新人の頃の直属の上司で、自分とエバンズにとってはいわば指導教官のような存在。彼がレイクウッドに出張に来たと言う話は聞いていたものの、直接話をする機会はなかなか無かったのだ。『はい、ジョーンズです。』と電話に出ると、“本当にご無沙汰しています、ダンフォードさん。”と言葉を続けて。しかしその電話は懐かしい再会を喜ぶには程遠い理由で自分に掛かって来たものだった。同期であるエバンズは心身に不調を来たし入院______更には高度治療室での治療が必要なほどに状態が悪いらしい。ここ数週間の週刊誌での報道は当然把握していて、誰よりも優しく繊細で、誰よりも不器用な彼の身をずっと案じていたのだ。彼の心を、二度と立ち上がれない程に打ち砕いてしまうだけの威力がある悪意を持った言葉、文章の数々。彼だけがあの事件で責められる事など、彼だけが罪悪感に苛まれる事など、決してあってはならないと言うのに。『……私も直ぐに向かいます。何か必要な物や…お手伝い出来る事があれば教えてください。』と告げつつも、エバンズの不調に際してミラーから連絡がなかった事を思う。いつもなら彼女は、こういう場合に自分を頼ってくれるのだ。『ミラー刑事は其処にいますか?』と、相手に尋ねて。 )









 

4183: ベル・ミラー [×]
2024-04-17 13:22:27





ルイス・ダンフォード



( 自分にとっては勿論の事、エバンズにとってもクレアの存在は大きいものだろうからこそ“直ぐに来る”と言う彼女からの申し出は心強いものだった。『助かる。…取り敢えずは来てくれるだけで有難いよ。治療室に居る以上面会は一切禁止らしくてな、何かしてやりたくても出来やしねェ。』と重たい溜め息混じりにやや荒っぽくそう答えては、元々エバンズが入院していた病室の扉の横の壁に背を凭れるように立ち直し。彼女の口から【ミラー】の名前が出ればそれにも思わず表情が険しくなる。『…それがな、数日前から出張で居ねェんだ。それに、アイツ自身今の状態を嬢ちゃんには隠したがってる。』遠くで1人捜査をしているミラーに余計な心配を掛けたくない気持ちはわからなくもないが、戻って来てそこでエバンズの今の状況を間近で見た時の心配や絶望感の方が何倍も大きいとも思うのだ。どうしたものか、と言いたげに再度溜め息を吐き出して )





4184: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-19 02:10:07

 



クレア・ジョーンズ


( ミラーが側に居ないとは思っていなかっただけに、ダンフォードの答えに対する驚きは大きかった。最近は彼女の存在が彼の支えになっていると思える程に2人は近しい間柄。12年目という節目の時こそ不安定な彼の側に居たいとミラー自身も願った事だろう。しかしやむを得ず出張に行く事になった______そして彼もまた、遠くの地で頑張っている筈の彼女に心配を掛けまいと自分の状況をひた隠しにしているのだろう。やるせなさにため息を吐きつつも『……分かりました。夜にはそっちに着くようにします。』とだけ伝えて電話を切り。---その夜、レイクウッドに着いたのは21時前の事。駅前で待っていたダンフォードは数年前と全く変わらず、久しぶりの再会を喜んだ。エバンズを心配する時の口ぶりも表情も、あの頃と何も変わらないと思いつつ、彼の車で病院まで向かい。治療室の中で酸素マスクや点滴を付けて横たわるその姿は、彼が銃弾に倒れ意識を回復しなかったあの時を彷彿とさせた。痩せたように見える身体と、眠っていても分かる目の下のクマ、胸が上下する感覚は心なしか早く浅い呼吸が聞こえて来るようだった。彼に関する週刊誌の記事は未だ下火になる事なく世間の関心を集めていて、それが彼を追い詰めている事は一目瞭然。ミラーが居ないという事もまた、此処まで状況が悪化した要因のひとつと言えるだろう。ガラス越しに見る彼の姿に少しばかり表情を曇らせるも、相手に視線を向けて。『______彼はきっと怒るでしょうけど、ミラー刑事に連絡するべきだと思います。ここまで状態が悪いなんてきっと彼女も思っていないだろうし…状況が分からない方が不安なはず。それにあの子の存在は、今のアルバートにとっては大きな支えです。ちょっとしたきっかけで、彼が絶望の淵から引き上げられるのを前にも見たんです。』と真っ直ぐに告げて。 )









 

4185: ベル・ミラー [×]
2024-04-19 13:37:54





ルイス・ダンフォード



( __数年振りに顔を合わせた相手は様々な経験をして来たのだろうか、当時よりも何処か凛として見えた。本来ならばこうして時間を合わせる事が出来たのなら3人で食事の一つでも行きたい所なのに、高度集中治療室で沢山の管に繋がれ横たわる彼の姿がそんな状況では無い事を示しているものだから、胸が締め付けられる思いになるのだ。『…コイツのこういう姿は見たくない、』と、隣の相手に聞こえているかどうかの声量で溢れ落ちる様にして呟いたのは紛れもない本音。目を覚まさないかもしれない、という恐怖が纏わりついて離れないのはそれだけの危うさや儚さを彼から感じてしまうからか。__話がミラーの事に移れば隣の相手へと視線を向け。真剣な表情で紡がれる言葉を聞き、少しばかり思案するように再びガラス越しに眠る相手を一瞥しては『……担当してる事件が解決してもいないのに、とんで来るなんて事になったら大変だぞ。』と、言葉を返す。勿論ミラーが彼の支えになる人物の1人である事は間違い無いだろうし、彼の心を少しでも楽に出来るのがミラーだと言うのならば近くに居るべきだと思う。思うのだが。“適当な人”だと思われていても“警察”だ、矢張り捜査を優先的に考える所はあるし、何より何時かの日の飲み会で彼から聞いたミラーは衝動的な所があると。加えてミラーの事を深く知らない。再び相手の意見を聞くべき体勢の間を空けて )





4186: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-19 16:24:21

 





クレア・ジョーンズ




( 確かに相手の言う事はもっともだ。彼の状態を知り、側に居たいという思いに突き動かされて今請け負っている捜査を打ち捨ててまでレイクウッドに戻って来てしまったら。そうなれば、状況がどうであれ彼女に対して仕事に対する責任感がないという評価が下されるのは間違いない。しかし、ミラーはそこまで衝動的には動かないという確信があった。『_____その心配は無いと思います。新人の彼女を此処まで育てたのはアルバートです。自分の私的な都合や感情で捜査に悪影響を及ぼす事は決してあってはならないと常に伝えている筈だし…彼自身が其の信条のもと動いているのを、一番近くで見ている筈ですから。』と微笑んで。自分たちの都合は遺族には一切関係のない事、だからこそ無理を押してでも第一に事件解決に注力する。その教えをミラーはしっかりと受けている筈だと。『彼の状態を打ち明けて、今はダンフォードさんと私が側に居るから心配いらないと伝えます。その上で、捜査が終わったら直ぐにアルバートの所に来て欲しいと、…そう言うのはどうでしょう?』と提案して。 )








 

4187: ベル・ミラー [×]
2024-04-19 23:33:50





ルイス・ダンフォード



( “心配は無い”と言い切った相手が続けた言葉は何の疑問も無く胸に落ちる納得の出来るものだった。確かにミラーの事は深く知らないがエバンズの事はよく知っている。彼が例え自分の身を犠牲にしたとしても遺族に寄り添い、最後の最後まで事件解決に全力を尽す事を。そうしてそんな彼の傍で、彼の背中を見て此処まで来たミラーならば__。大丈夫だと自信があるのだろうその微笑みを見て漸く僅かに微笑み返しては『…嬢ちゃんの事を知ってるのは俺よりもお前の方だ。そんなお前が心配ないと言うなら、そうなんだろうよ。…電話は頼む。』エバンズの事は勿論の事、目の前に居る相手の事も信じているからこその返事と共に提案に首を縦に振り。それから態とらしく肩を竦めると『…それにしても、昔からお前の言葉には説得力がある。』と、少しばかりの過去への懐かしさを滲ませて )





4188: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-20 10:57:10

 





クレア・ジョーンズ



( 相手が微笑みを浮かべ同意を示してくれた事に安堵すると表情を緩め、未だガラスの向こうで眠りの中にいる彼に視線を向けて。相手の口から紡がれた言葉に再び相手へと視線を戻すと少しばかり困ったように肩を竦め『そんな事ありません、私からすれば2人の方がずっと。』と答えて。言葉の説得力で言えば、飄々としていながらどんな言葉にも圧倒的な信頼とのあるダンフォードと、頭の回転が早く口を開けば鋭いまでの正論を淀みなく紡ぐエバンズの方がずっと上回ると思うのだ。新人時代の本部での仕事は間違いなく大変だったのだが、あの頃に戻りたいとも思ってしまう。ダンフォードの元でエバンズとがむしゃらに捜査に明け暮れた日、喧嘩をした日、酒に付き合わされ3人で笑い合った日。冷たさのない彼の瞳を見たいと、相手も同じように思う事があるだろう。---相手に断りを入れて病院の中庭に出ると、スマートフォンを取り出しミラーの番号を表示させる。少しの間を空けたものの番号をタップすると電話を耳に当て。そうして相手が電話に出たなら『______もしもし、ベルちゃん?急にごめんなさい、…ちょっと話したい事があるの。今少し時間を貰えるかしら、』と切り出して。 )






 

4189: ベル・ミラー [×]
2024-04-20 12:14:48





( __事件の捜査は考えていたより何倍も難航したものの、後一歩の所まで迫れる状態にあった。それは勿論の事喜ばしい状況であるのだがどうしても引っ掛かるのはレイクウッド署で連絡の取れなくなっているエバンズの事。昨晩サラから連絡があり“警部補が戻って来ない”と言われたばかりなのだ。一日の有給では職場に復帰出来ない程に調子が悪いのか、最悪何処かで倒れている可能性もあるのではないか。考えれば考える程ネガティブな事しか浮かばない状況に本日何度目かの溜め息が重たく吐き出されたその時。ふいにスマートフォンが着信を知らせ、手に取れば画面にはクレアの名前が表示されていて。こんな時間に急に話したい事とは__何だか無性に胸の奥がザワザワと揺れる。「…勿論、今ホテルだから問題ありません。」と言葉を返しつつ、ベッドの縁へと腰を下ろし話を聞く体勢を )





4190: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-20 17:00:58

 




クレア・ジョーンズ




( 出張先での捜査に対する焦燥感や彼の状況が分からない不安もあるのか相手の口調は普段のように明るいものではなく、自分の言葉を待つ様子からも少しの不安が伝わった。『今レイクウッドに来てるの。ダンフォードさんにも久しぶりに会ったわ。』と、明るい声色を心掛けつつ状況を語ったものの、早く本題に入るべきだろう。『______実は、アルバートの容態が良くないの。事件の前の日、夜に署内で倒れたのをダンフォードさんが見つけて、搬送されてそのまま入院になったんですって。ベルちゃんには言わないよう、アルバートから固く口止めされていたみたい。…でも、肺炎を併発して高度治療室に移る事になったって今日ダンフォードさんから電話を貰って。私たちも面会が出来ないんだけど…状況だけでも貴女に伝えた方が良いと思ったの。今は私たちが見てるから心配はいらない。捜査が終わったら、病院に来て欲しいの。』と、此処に至るまでの状況を説明して。エバンズの許可を得て連絡している訳ではなく、あくまで自分の判断で連絡したのだと告げつつあまり不安を煽らないように言葉を選びながら。 )







 

4191: ベル・ミラー [×]
2024-04-20 20:06:49





( 話し始めた相手の声は明るさを滲ませ、元上司との久し振りになるのだろう再会を喜んでいるものだったのだが。その前の切り出しの言葉の端に滲んでいた少しの重たさを見逃した訳では無いのだ。だからこそ相手の口から“アルバート”の名前が出た事に息を飲み、続いた“容態が良くない”に絶句する事となった。“どれくらい?”そう問い掛けるよりも先に、署内で倒れた、入院、肺炎、高度集中治療室、面会が出来ない…と。畳み掛ける様な“最悪”に思考が全く追い付かないとはこの事だ。そりゃあ連絡も取れないしサラが署に来ないと言う訳だ。加えて自分には連絡しないようにと口止めされていたなんて。「ッ、」きっと派遣先で事件捜査をしている己に余計な心配を掛けない様にと、ちゃんと集中出来るようにと、そう考えた配慮なのだろうが。例え命令だったとしても“こんな時”に何故彼の元を離れてしまったのかと思わず視界が歪む。スマートフォンを持つ手にも、シーツを握る手にも力が篭もりやるせなさに暫く言葉を紡ぐ事が出来なかった。一度深く深呼吸をして、“心配はいらない”の言葉だけを頭にも心にも残す努力をする。2人が側に居るのなら、きっと、きっと、大丈夫。「___事件解決次第…直ぐに行きます。だから……私が言うのも違うけど、エバンズさんの事をよろしくお願いします…っ、」一度ぎゅ、と瞳を閉じて“行きたい”を閉じ込める。けれども人の気持ちとはそんな簡単に割り切れないもの。堪えた言葉の代わりに涙が頬を伝い、雫が床へと落ちる前に拭っては「…クレアさん、本当はエバンズさんの傍に居たい…。」と、相手にだからこそ言えた本当の気持ちを震える息と共に溢して )





4192: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-20 23:56:01

 




クレア・ジョーンズ




( 電話の向こうで相手が息を飲むのが分かった。僅かに吐き出された息で涙を我慢しているのであろう事も。そして全ての気持ちを押し殺して、相手は“捜査が終わったら”直ぐに病院に向かうと答えた。『…大丈夫、きちんと私たちが着いてるから。何も心配しないで。』と、安心させるように告げて。しかし暫しの沈黙の後に涙ながらに紡がれた言葉こそ、相手が心から願う事だろう。大切な人が苦しんでいる時、何を差し置いてでも側に居たいと願うのは可笑しな事ではない。『______そうよね、気持ちは分かるわ。…だけど貴女が悩みながらも出張に行ったのも、事件の日に帰って来る事を選ばなかったのも、アルバートの側に居たいと感じるのと同じくらい、あの人に近付きたい、失望させたくないって言う気持ちがあるからだと思うの。其れは正しい事。焦らなくて良いの、アルバートは貴女が全力で捜査に取り組む事を望んで、自分なりに努力した過程を評価する筈よ。その上で、戻って来たらたくさん支えてあげて。』---未だ病院に来てから目を覚ましている彼の様子を見る事は出来ていない。其れでも苦しんでいる彼が、相手が側にいる事で救われると分かっているからこそ焦りを生まないよう相手に語りかけて。 )







 

4193: ベル・ミラー [×]
2024-04-21 00:28:34





( 涙ながらに溢した本音を相手は否定しなかった。“気持ちは分かる”と今にも張り裂けてしまいそうな心に寄り添い、それでいて焦燥に駆られる不安定さを優しく包み込み大切な事を思い出させてくれる。__誰よりも尊敬出来て信頼の出来る上司に少しでも近付きたくて、彼の様な警察官になりたくて、此処まで来た。何時だって真っ直ぐに目の前の事件と向き合い遺族に寄り添う、そんな彼に指導された自分が“今出来るベスト”を放棄してどんな顔で彼の前に立てると言うのか。“良くやった”_ふ、と時折彼が掛けてくれる労いの言葉が鮮明に思い出され、涙が止まらなくなった。電話の向こうの相手には見えていないとわかりつつも、何度も何度も頭を縦に振る。「…きちんと事件を解決して、胸を張って、っ…戻って来ます、」彼にも、彼を支えてくれる相手やダンフォードにも、恥ずかしい姿は見せないと涙に邪魔されながらも強い意志の元でそう返事をしては、一度だけ小さく鼻を啜った後「クレアさん、ありがとうございます。」とお礼を紡ぎ )





4194: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-21 01:03:46

 







( 相手の決意が籠った言葉に、クレアは微笑みつつ頷くと同時に『何かあったらいつでも電話して、』と元気付けるように告げつつ、彼女なら大丈夫だと確信していた。---エバンズは精神的なものも重なっているのか、肺の炎症が落ち着くのに通常の患者よりも時間を要し高度集中治療室を出る事ができたのは今朝の事だった。その間に彼自身の人格を否定するような______無理矢理事件とこじ付けたような内容の新たな記事が週刊誌に掲載されたものの、世間の関心を引き付け続ける程の掴みはなく、レイクウッド署の前からは少しずつ記者が減り始めて。一般の入院病棟に戻りはしたものの、酸素マスクは未だ外れず微熱も残っている状態。安定剤によって酷い発作は抑えられているものの、ダンフォードにもクレアにも多くを語らず、事件の幻影に苦しんでいる事は手に取るように分かった。 )







 

4195: ベル・ミラー [×]
2024-04-21 01:33:21





ルイス・ダンフォード



( __高度集中治療室から一般病棟に戻ったのは喜ばしい事だったが、だからと言ってエバンズの肺炎が治った訳でも退院が出来るまでに回復した訳でも無い。それでもガラス越しなどでは無く手の届く距離で相手の側に居られる状況は酷く安心出来るもので。事件から12年目は相手の心を傷付けるだけ傷付けて静かに過ぎ去り、けれどもまだその余韻を確りと残している。例え事件の報道がされなくなり世間が再び日常に戻ろうとも、相手の時間はあの時から止まったままだ。酸素マスクを付けて静かに呼吸を繰り返し、まるで遠くの過去を見ているような瞳を覗き込み『コーヒー買いに行って来るが、お前は何がいい?』と問い掛ける。その際目にかかる前髪の束を軽く払ってやり )





4196: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-21 12:05:20

 






( 此方を覗き込むダンフォードと視線が重なると、自分は要らないと小さく首を振り。定期的に病室を訪れる2人に余計な苦労を掛けていることもやるせない、休みが長引き仕事に復帰出来ずにいる不甲斐なさや、重たく沈んだままの気持ちを抱えたままでいて。相手がコーヒーを買いに部屋を出た後、廊下を歩く革靴の音が聞こえた。其れは入院患者の見舞客か、回診の医師のものだったのだろうが思い出されるのはひとつ。ルーカスの分も苦しめと言った彼の顔が思い出されて、思わず喉元に息が引っかかる。僅かに身体を横向きに、ベッドの手すりを握り締めると上擦り始める呼吸に耐えながら苦しげに表情を歪めて。 )







 

4197: ベル・ミラー [×]
2024-04-21 12:37:20





ルイス・ダンフォード



( 何も要らない、と首を振った相手に『わかった。』とだけ答えて部屋を出る。同じ階の奥にある休憩室の自販機で温かいカップコーヒーを買いその場で立ったまま一口啜れば、喉を通り胃に落ちた苦味が僅かに曇る心を晴らした__ような気がした。それからもう一口飲み、まだ半分以上中身の残るそれと共に廊下を進み再び相手の居る病室に戻ったのだが。数分前までベッドに静かに横たわって居た筈の相手は、手すりを握り締めゼェゼェと荒い呼吸を繰り返しているではないか。不味い、と小走りに駆け寄りベッド脇の台にカップを置けば『エバンズ、大丈夫だ。』と、声を掛け背中を擦り。その際外れてしまわないようにと相手の口元にある酸素マスクを軽く押えて )





4198: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-21 13:36:25

 






( 事件の日の光景が脳裏に焼き付きて離れない。いつか見せられた血の気のない妹の写真と、床に倒れた子どもたちの姿が鮮明に思い出され、思わず縋るように相手の手を掴んでいた。未だに肺に引っ掛かるような重たい痛みは幾らか残っていて、背中を摩られる感覚を感じながら懸命に呼吸を繰り返す。酸素マスクを抑えられるさりげない動作によって思い出されたのは、苦痛を与えようと胸を押さえつけた“彼”の動作。そして楽になる資格などないと酸素マスクを外された事。「_____ッ、」僅かに表情に恐怖心が滲み、掴んでいた相手の片手を離すとマスクを抑える方の相手の手を退かそうと、喘ぐような呼吸ながら力を込めて。 )






 

4199: ベル・ミラー [×]
2024-04-21 14:13:46





ルイス・ダンフォード



( 小刻みに上下する背中を何度も擦る中で一瞬褪せた碧眼と視線が交わった。しかしその瞳には何故か恐怖の色が浮かんでいて、続け様に酸素マスクを押える此方の手を外そうと力を込められるものだから、思わず背を摩る手が止まる。少しの驚きを含んだ声色で『エバンズ?』と、呼び掛けた所で“誰か”と勘違いしている可能性が浮かぶと、一先ず何に対してなのかわからぬ恐怖心を取り払う事が先だろうと抗う事をせずに静かに酸素マスクから手を離し。『大丈夫だ。…俺が誰かちゃんとわかるな?』背中に添えた手は相手の身体を支える為に、もう片方の手で次は酸素マスクでは無くコメカミ付近を緩く撫で、その瞳に自身の姿を映す為に少しだけ顔を近付けつつ落ち着かせるように、宥めるように、話し掛けて )





4200: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-22 04:03:11

 






( 相手の手が離れた事で張り詰めていた恐怖は僅かばかり緩み、同時に促されるようにして視線が重なった相手の顔を認識すると問い掛けに小さく頷いて。上擦った呼吸は直ぐに落ち着く事はなかったものの、宥めるようにこめかみ辺りを緩く撫でる相手の優しい手に自分の手を重ねると、緩く握りしめて。週刊誌の記事のこと、事件のこと、クラークのこと______思い出すだけでどうしようもなく苦しくなる。相手の手を握り締めたまま、浅い呼吸を懸命に繰り返し苦しさを逃そうとして。 )







 

4201: ベル・ミラー [×]
2024-04-22 08:50:05





ルイス・ダンフォード



( 再び瞳が重なった相手が静かに頷くのを見て、それで良いとばかり軽く微笑む。髪を梳く様な動きでコメカミ付近を撫で続けながら、恐怖心が僅か薄まったのを感じて反対側の手で軽く酸素マスクの端に触れると『__これは、お前が付けてていい…必要なものだ。』と告げる。あの一瞬見せた恐怖の色が何処から来たものか、何に対してのものなのかはわからないが、背に触れた事に関してでは無いと直感的に感じたのだ。だからこその言葉を選び、後は未だ呼吸の安定しない相手が一秒でも早く楽になるのを待つ為に、頭から手を離し再び背を緩く擦ってやり )





4202: アルバート・エバンズ [×]
2024-04-25 09:52:31

 






( 言い聞かせるように紡がれた言葉に少しばかり怯えたような色が薄れると、背中を摩る手に意識を向ける。苦痛を取り除くために手を貸してくれている相手に促されるようにして、少しずつ気持ちが落ち着くと、今は楽になっても良いのかもしれないと思えた。やがて上擦っていた呼吸は酷い発作を引き起こすまでに悪化することはなく、少し掠れた正常なものへと戻り。 )






 

4203: ベル・ミラー [×]
2024-04-25 16:11:03





ルイス・ダンフォード



( 一度呼吸が正常に戻れば、後はよっぽどの事が無い限り今直ぐ再び狂う事は無いだろうと安堵する。安定剤や解熱剤がその効果を発揮し、相手の苦しみを一時でも落ち着かせてくれるのも近いだろうか。背中を擦る手は止めぬままに『少し休め。』と一言声を掛け。_それにしてもあの瞳に浮かんだ恐怖の色は何だったのかと思案する。過去の記憶に苦しむ姿を見るのは決して初めての事では無いが、あそこまで目に見えてわかる“恐怖”を宿した瞳は初めて見たように思うのだ。考えている内に背を擦る手が止まり、ただ黙したままに相手を見詰めて )





4204: アルバート・エバンズ [×]
2024-05-01 22:09:04

 






( クラークの一件について、誰かに話す事はしなかった。それはいつか、妄言だと決めつけた医者が居たからか、或いは彼の存在自体を口にする事に言い知れぬ恐怖を感じるからか、話すまでの事ではないと思ったからか。自分でも理由は分からないが、ダンフォードにもその話をする事は選ばず、やがて再び眠りに落ちていて。---あと数日もすれば酸素マスクがなくても正常に呼吸が出来るようになるだろうと考えていたアダムス医師だったが、そもそも当初は此処まで重い症状が長引くとは想定していなかった。勿論日常的な揺らぎや捜査に追われて体調を崩す事も多々あるが、ミラーの存在がエバンズを主に”精神的に“支えていたのだと言うことを改めて知る結果となった。 )






 

4205: ベル・ミラー [×]
2024-05-01 22:37:17





( 相手が眠りに落ちたのを見届けたダンフォードは、心に巣食った僅かな疑念を残したままに一先ず残して来た仕事を片付ける為に病室を出、署へと戻り。__時刻は午後16時を少し過ぎた頃。難航していた事件が漸く揺るぎない犯人逮捕の証拠を見付けた事で解決する事が出来たミラーは、派遣先の署員達に挨拶を済ませるや否や警視正にメールを送り、レイクウッド署に戻るよりも先に車を飛ばしエバンズが入院していると聞かされた病院へと来ていた。駐車場に車を停め、助手席に上着を放り投げたまま鞄だけを引っ掴み、長い髪を後ろ一つで纏めたその姿は捜査終わりそのもの。駐車場から正面玄関までは全速力で、院内へと足を踏み入れれば早足で。入院病棟の詰所で看護師から、“エバンズは高度集中治療室から一般の病室に戻った”という旨の話を聞き、泣きたくなる程の安堵を胸に教えられた病室へと向かえば扉の横の壁には相手の名前があり。やや乱れた呼吸を落ち着かせ、扉を二度ノックする。「…失礼します。」と声を掛けて扉を開け病室へと入れば、真っ白なベッドの上に横になる相手の姿が視界に飛び込んで来たものだから、安堵も、やるせなさも、後悔も、何もかもの気持ちがごちゃ混ぜに「__…エバンズ、さん、」呼んだ名前は詰まり、情けなく震えて )






4206: アルバート・エバンズ [×]
2024-05-01 23:06:42

 






( 相手が病室に来た時は、浅い眠りの中にいた。胸は普段よりも僅かに浅く上下し、マスクの中に籠った呼吸音が響く。ふと、声が聞こえた気がして目を開いたのは相手が呼び掛けてから数十秒後の事。褪せたブルーの瞳に窓から差し込む光を受けて、やがて隣へと視線を向ける。相手に最後に会った日と比べれば、だいぶ窶れた印象を与えるだろう。白い肌は肉が落ちた事で薄く、目元のクマを濃く見せる。相手と視線が重なり少しして「_____ミラー、」と相手の名前を呼んだ。相手が此処に居る事に対する僅かな驚きが含まれた、ここ最近では少しばかりはっきりした声色。入院している事を相手に知られていた事への疑問や弁明よりも、何よりも先に出て来たのは「…事件は、解決したのか、?」という言葉だった。 )







 

4207: ベル・ミラー [×]
2024-05-01 23:36:06





( 真っ白の壁、真っ白の天井、真っ白の布団。その中で眠る相手を出会ってから何度見て来ただろう。その度に心臓に無遠慮に冷たい氷を押し付けられた様な痛みと恐怖を覚えるのだ。けれど相手は何時だって必ずその褪せた碧眼に光を通す。今だって。それを見て、今度は泣き崩れたくなる程の安堵を覚える。__繰り返し、繰り返し、そうやって時間は進むのだろうか。緑と碧が交わり相手の薄い唇が僅かに開き、そこから漏れた声に何度も首を縦に振る。“ミラー”の名前に応える様に、そうして続けられた問いに答える様に。一歩小さく踏み出された片足を切っ掛けに、後は心に従うまま小走りで駆け寄れば、途中相手の輪郭が歪み涙を堪えられなかった事を自覚する。その涙が頬を伝う事は無いが、たっぷりと濡れた瞳のまま腰を折り相手の頭を抱く様に腕を回し、「…ちゃんと、終わらせて来ました。」一度小さく鼻を啜って言葉にしたのは上司である相手に対する報告。行動と言葉のアンバランスさはそのままに震える息を僅かに吐き出しては「…間に合わなくて…大事な時に、エバンズさんの近くに居たかったのに…、…ごめんなさいっ、」事件から12年目の日、セシリアの命日、己が相手の側に居たからと言って相手の苦しみが無くなる訳では無く、あくまでも此方の勝手で、エゴだとわかって居るが間に合わせたかったのだと謝罪を口にして )






4208: アルバート・エバンズ [×]
2024-05-02 00:40:23

 






( 初めての1人での出張、捜査の進捗が思わしくなく帰る事が出来ないという電話を受けた時もその後も、不安定になるあの日に自分の側に居て欲しいと願うよりも相手の事がずっと気掛かりだった。だからこそ、例え時間を要したとしても相手が事件に区切りを付けて戻ってきた事は喜ばしい事だった。相手からの報告に「_____よくやった、」とひと言答える。上司らしい威厳もない状態ながら、相手の働きを労う必要があると思った。---あまりにも苦しい時間だった。追い詰められ、妹に想いを馳せる事も出来ないままに過ぎてしまった節目の日。謝る事はないと小さく首を振るも「……セシリアに、悪い事をした。墓参りにも行ってやれずに…」と言葉を紡ぎ、あの日の事を、そしてその夜の事を思い出し喉の奥がぎゅっと苦しくなるのを感じて浅く息を吐き。 )







 

4209: ベル・ミラー [×]
2024-05-02 01:24:20





( 酸素マスクに阻まれやや籠った声だったが、聞き逃す筈が無い。1人出張に行き時間こそ掛れど事件を解決してこの場に戻って来た己に対する最大級の労いの言葉。腕を解き、思わず弾かれた様に顔を上げ間近で相手の顔を見る。こんなにも窶れ、絶望の中に居ても心配し気に掛けてくれていたと言うのか。__“アルバートは貴女が全力で捜査に取り組む事を望んで、自分なりに努力した過程を評価する筈よ。”__ふ、と今度はクレアの言葉が脳裏を過ぎった。再び緩む涙腺を落ち着かせる為に一度深呼吸をして、それから少しだけ態とらしくも見えただろうか、誇らしい笑顔で「エバンズさんの部下だからね。」と、答え。__相手の苦しげに吐き出された言葉でハッとした。ずっと入院していた相手は大切な日にお墓の前に居る事すらも出来なかったのだ。それに気が付いた時、次に脳裏を過ぎったのは誰かの言葉では無く鮮明に浮かんだ“腕時計”。後は考えるよりも先に身体は動き、「エバンズさん、少しの間待ってて。…鍵借りるね、」ベッド脇の台の下、置かれている相手の鞄の中から家の鍵を取り出すと、相手が何かを言うよりも先に足早に病室を出て行き。___それから凡そ30分。次に病室の扉を開けた時、その手には“セシリアの腕時計”があり「……勝手に持って来ちゃってごめんなさい。でもこれ、今はエバンズさんの側にあるべきだと思って。」少しばかり切なさを含んだ柔らかな笑顔で、宝物を手渡す様に、その時計を静かに相手の掌へと移動させ。「少しくらい遅れても、きっと許してくれる。…折角会うなら少しでも元気なエバンズさんの方が、セシリアさんも安心する筈だよ。」ベッド脇の椅子に腰掛けつつ、まるで“お墓”では無く“生きている妹”に会いに行く話の様に、言葉を続けて )






4210: アルバート・エバンズ [×]
2024-05-02 07:13:19

 






( 泣き出しそうな表情から、少しばかり得意げな表情へと変わるのを見てほんの少し口角を持ち上げる。相手は少し前の”何もできない新人“とは違う。1人でも立派に事件を解決へと導ける刑事に成長したのだと思えば心強さも感じ。---鍵を持って病室を出て行った相手が戻って来たのは数十分後の事だった。相手の手にしている物が何かを理解し、其れが掌に乗せられた時、言いようのない感情が一気に込み上がって来るのを感じた。週刊誌の報道で身に覚えのない遺族の証言により一方的に罵られやるせなさを抱えた事、一挙手一投足を悪印象に繋げようと嫌な言葉を投げ掛けて来た記者たちの事、妹の命日に墓参りをしてやる事もできない悔しさ、事件で被害者たちを見殺しにした以上苦しむのが当然だと冷たい目を向けてきたクラークへの恐怖心______ずっとそれらを1人で抱え、苦しくて堪らなかったのだ。報道は、同じく被害者である妹にも申し訳ない内容だった。腕時計を握り締め、抑えきれない涙が溢れるとあっという間に呼吸は浅く喘ぐようなものに変わる。押さえ込んでいた感情が溢れたような、子どもが泣きじゃくるような息遣い。「…っ、セシリア……!」妹の名前を紡ぐのが精一杯だったが、腕時計は握り締めたままで。 )








  

4211: ベル・ミラー [×]
2024-05-02 10:00:57





( 相手の“こう言う泣き方”を見たのは物凄く久し振りだったように思う。瞳を潤ませ、静かに涙を溢す事は多々あれど此処まで感情を前面に出し嗚咽に邪魔される泣きじゃくり方は滅多に無い。それ程までに辛かったのだろう。苦しかったのだろう。相手の心は既に限界を超えていた筈だ。心無い記者の言葉や記事の内容に心を殺したった1人で耐え、妹の命日に彼女と向き合う事も出来ずそのやるせなさを抱え、ただ真っ白のベッドの上で点滴に繋がれる__こんな時の過ごし方を相手自身が一番望んで居なかった筈。セシリアの名前を何度も呼びながら泣きじゃくる相手に“大丈夫”の言葉は掛けなかった。涙を流す事で後に襲い来る披露や呼吸の苦しさはあるだろうが、それよりも今は閉じ込めた感情を吐き出す事の方が大切だと思ったから。借りた鍵を鞄に戻し、腕時計を握り締める相手の手を包み込む。それから余計な言葉は何も無く、相手の肩を優しく擦り、流れる大粒の涙に構う事無く頬を撫で、相手が此処数日間抱え続けた痛みも苦しみも恐怖も、負と呼べる何もかもの感情が流れ出るその時まで隣で寄り添う事を決めて )






4212: アルバート・エバンズ [×]
2024-05-02 12:48:39

 






( 人目も憚らずに、というのはこういう事だろうか。声を上げて泣くことこそしないものの、抑えきれない嗚咽が漏れ涙が枕を濡らす。ずっと鉛のように重たいものが喉の奥にあるような感覚だった。週刊誌の報道は全て嘘だと訴えたかった、それでも話をした遺族にも何かしらの抱え切れぬ苦しい思いがあったのだとしたら、自分が声を大にして其れを否定する事は正しい事ではないかもしれないとも思ったのだ。1人で耐え切るはずだったのに無様にも署内で倒れ、妹の墓参りにさえ行けなかった事も、気持ちを暗く沈ませた。それでも今、妹の形見を手にして、相手が側にいる事で言いようのない安堵感を感じていた。 )







 

4213: ベル・ミラー [×]
2024-05-02 13:14:57





( 涙で濡れ仄かに赤みを帯びた目元を親指の腹で優しく撫でながら、相手の手の中にある形見の腕時計を一瞥する。既に壊れ秒針を刻む事の無いそれは無機質な物の筈なのに酷く優しい温かさを放つ様に思えて、強い強い想いのある人の魂は物にも宿り、その人を静かに護り寄り添う様な、そんな事が本当にあるような気持ちになるのだ。「__言いたい事ある?」何度も何度も喉元まで出掛かった、音として訴えたかった事が、それでも懸命に飲み込み抱え込んだ言葉と気持ちが、膨れ上がり今にも爆発してしまいそうな思いが相手にはある筈だと思えば、それをもう1人我慢する必要は無いのだと言い聞かせる。感情を吐き出せる様にとさり気無く導きながら全てを聞き届けると )






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