TOP > 1対1のなりきりチャット

白む空に燻る紫煙 ---〆/4749


最初 [*]前頁 次頁[#] 最新 50レス ▼下へ
自分のトピックを作る
741: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-19 13:52:38

 








( 夢さえ見て居なかった様に思う。穏やかな時間を過ごした後の車内の静かな揺れ、窓から差し込む木漏れ日も眩し過ぎる物では無く心地の良い物で。誰かが近くに居る時程気を張って居なければと思って居た筈なのに、いつの間にか相手が側に居る時は安心出来る様になって居た。誰かの側で無防備に眠る事など、以前なら出来なかった筈なのに。---肩を揺らされて意識が浮上すると、車が停まって居る事、そして自分が眠っていた事に気付く。窓から外に視線を向けると自分の家の前だと理解し、かなり眠って居た様だと思うのと同時に病院の駐車場では無い事に「…家に帰って良いのか、?」と未だしっかり働いて居ない頭で相手に尋ねて小さく欠伸を噛み殺し。 )






 

742: ベル・ミラー [×]
2022-03-19 14:48:34




( 目を覚ました相手はまだ少しばかり寝惚けて居るのかもしれない。噛み殺した欠伸、ぼんやりと紡がれた疑問符浮かぶ言葉の其れらもあまり見ないものなれば、大人・男・上司の揃った三拍子をまるっと無きものにしてしまう“可愛い”を飲み込み「ンン…」と小さな声を漏らした後「残念だけど一瞬立ち寄るだけなんだ。着替えとか必要なもの取ったらまた戻らなくちゃならない。」伝える言葉は酷なものではあるが仕方の無い事で。残りはそんなに長く無いであろう入院生活に必要な物を持った相手が戻って来たのならば、名残惜しさと未だ残る穏やかな余韻を引き連れて時間に間に合う様病院へと戻ろうか )





743: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-19 15:18:31

 








( 相手の言葉にそうだろうなと肩を竦めつつ、必要な物を取りに行く為車を降りて。ジャケットは防弾チョッキを着る時に脱いで車に置いていた為無傷で病室に置かれて居る、退院の時に着るであろうワイシャツと必要な分の着替え、念の為の予備の薬などを詰めて部屋を出て。退院まではもう然程長くは無い筈で、此処まで来れば無駄な抵抗をせず、退院日が延長されない様に大人しく身体を休める事が最善だと思いながら車に戻り。---指定された時間まで20分程残した頃に病院の駐車場に到着すると、「___良い息抜きになった。退院の日が決まったらまた連絡する。」と声を掛けて病院へと戻って行き。 )






 

744: ベル・ミラー [×]
2022-03-19 16:26:34




( 海で過ごしたあの日からそう時間をは掛からずして相手は退院の日を迎えた。傷痕は残るがあれ程の大怪我なのだ、仕方の無い事だと言った医師の言葉に頷く他無かった其れからまた更に時は経ち、職場で相手と顔を合わせるのが普通になったと同時に最初は腫れ物に触る様な様子だった署員達の態度も事件前となんら変わらなくなった今日。思いの外デスクワークが上手く進まず重たい体に鞭を打ってパソコンにデータを打ち込む仕事を終わらせた時には時刻は夜中の0時を回っており「エバンズさん私先に帰るね。お疲れ様でした。」ぐ、と縮こまった筋肉を伸ばす様に伸びをして帰り支度をすればまだデスクに居る相手に声を掛けて署を出て行き。自宅マンションの駐車場に車を停めて__其処から自宅に入る事は叶わなかった。背後に人影を感じて振り返った時にはもう意識が落ちる寸前で、途切れる意識の最後の最後で理解したのは口と鼻を押さえる様にして当てられたハンカチから香る薬品の匂いで )





745: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-19 17:23:00

 








( ___昼頃フロアが騒ついて居る為何かあったのかと聞けば、会議の時間になっても相手が出勤して居らず連絡も付かないのだと告げられる。相手は確かに昨晩、日付を跨いだ頃に挨拶を交わして署を出て行った。朝から姿は見えなかったが、捜査の関連で外に出て居る物だとばかり思っていたのだ。相手が仕事を放り出して連絡も無く休む等考えられない、自分からも電話を掛けて見るものの繋がる事は無く、妙な不安が一気に胸の内に広がり。既に相手の家を確認しに行っていたらしい同僚が戻って来ては、自宅に車は泊まっているが家の中からは応答が無く、倒れて居る可能性も考えて大家に合鍵で部屋を開けて貰ったが姿は無かったと。車が残されて居るのでは失踪の可能性は低い、何か事件に巻き込まれた可能性も視野に上へと報告が上がり。その後数日が経っても相手と連絡が付く事も、署に姿を見せる事も無く、誘拐事件として捜査が進められる事になったのがもう3週間程前の事になる。---捜査の指揮を任されたものの誘拐事件の被害者、捜索対象が相手であると言う事がいつになっても信じられ無い。デスクには当然相手の姿は無く、もう随分と長く声も聞いていないのだ。携帯は不通で位置情報を取得する事も出来ない。毎晩署に泊まり込む勢いで何か手掛かりが無いか懸命に捜査を続ける日々、酷い悪夢に魘される事も増えて居て。ある日、身元不明の20代女性の遺体が発見されたと捜査員の一人から電話が入り、其の報告の意とする所を理解するや否や頭に血が昇るのを感じて。「____っ、ふざけるな!其れが今必要な報告か?お前に指示したのは周辺の聴き込みと誘拐に使われた車の特定だ。言われた事もまともに出来無い無能ばかりだから一向に捜査が進まない!」電話口に怒鳴り付けると、フロアがシンと静まり返る。電話先の捜査員も繰り返し謝罪を口にした後に電話は切れて。苛立つ気持ちを必死に押さえ付けて深く息を吐き、そのまま立ち上がり自身も再度聴き込みに出るべく最悪な空気と共に静まり返ったフロアを後にして。 )







 

746: ベル・ミラー [×]
2022-03-19 20:21:19




( 目が覚めたのは四方八方がコンクリートに囲まれた六畳程の部屋だった。声の篭った様な響から想像するに地下室であろう、殺風景な其処は小さなランプの光だけが辺りをぼんやりと照らして、壁にくっつく様に薄いマットが敷かれている鉄パイプベッドが置かれている。一番最初に確認したが勿論扉には外から厳重に鍵が掛けられておりビクともしない。おまけに携帯は疎か持って居たバッグも何も無い状況に深い深い溜息が溢れ。__冷静に今置かれている状況を分析し、打開策を練る事が出来て居たのは監禁されてから数えて五日目までだった。六日目、ギ、ギギと錆び付いた音と共に扉が開いて部屋へと入って来たガタイの良い男の手には何かの液体が入った注射器が握られており、反射的に身の危険を感じ抵抗しようとするもあまりに違いすぎる体格差や数日まともに動いて居なかった事もあり、あっという間に組み敷かれ腕に突き刺された注射針の先端から体内へと液体を流し込まれて。__其れから三週間が経った現在まで男は毎日の様に現れた。隣に座りただ一方的に話をし出て行く日もあれば、機嫌が悪いのか長時間暴力を振るわれる日もあった。抵抗する気持ちも徐々に薄れていく中、男は気付いて居ないのか壁の角にやや古びたロープがポツンと置いてあり、其れが何かを認識した時、唯一置かれたパイプベッドで何が出来るかを想像してしまい頭の中は“死”で埋め尽くされたのだ。其れ程までに言うならば地獄。__其れから更に数日後、相手が怒鳴りつけた捜査員から相手のスマートフォンに電話があり『ミラー捜査官が連れ去られたと思われる車両が特定されました』とやや震える声色で告げられて )





747: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-19 21:39:56

 








(車両を特定出来たと言うスミス捜査員からの報告に直ぐにナンバーを聞き取りデータを照合する。車輌所持者として登録されて居たのはヒスパニック系の男、更にデータベースと照合すると女性への暴行や監禁の罪で過去にも逮捕されている前科持ちで、2年程前に出所して居る事が分かり。今回の状況を見るに此の男が相手を誘拐した事はほぼ間違いが無いだろうと、自分を落ち着かせる様に息を吐き出して。住所は此処から30km程離れた隣町、一度逮捕されて居るだけに警察の動きには敏感であろう事を思えば刺激して相手に危害が加わる事だけは避けたいが、余りに向こうの出方を伺い過ぎると過去に犯した過ちを繰り返す事に繋がり兼ねない。直ぐに逮捕状を請求し、その間決して察され無い様に家の様子や男の外出時間のルーティーンなどを見張らせて。---数日後逮捕状が発行されると、少しでも早く救出に繋げるべく話を通していた隣町を管轄するFBIと、既に現地入りさせていた捜査員が現場に向かい。異変に気付かれない様、この時点で向かっていたのは極少数の刑事たち。男が外出しようとしたタイミングで控えていた複数の刑事が室内に踏み込み、相手の姿を探す。男は罪がバレたと知り逃亡を試みたが抵抗も虚しく直ぐに逮捕されて。---現場に踏み込んだ捜査官たちは相手の名前を呼びながら室内を捜索し、その後地下室を発見。重たい扉を開け、パイプベッドの上でぐったりして居る相手を見つけて息がある事を確認すると「ミラー捜査官!分かりますか、レイクウッド署のスミスです!もう大丈夫ですよ。」と声を掛けて。男の確保を受け、控えて居た救急車も出動し現場は一気に物々しい雰囲気となる。報告を待ち侘びる30km離れたレイクウッドにも男の確保の報告は入ったものの相手の無事だけが未だ未確定で、電話を前にどうか無事であってくれと祈る様な、胸の張り裂ける様な心持ちで顔を覆ったまま報告を待つ。フロアに居る他の署員達も同じで、誰一人声を上げる事は無く。 )








 

748: ベル・ミラー [×]
2022-03-19 22:59:06




( 重たい扉が耳に嫌な音を残して開く時、其れは持っている物はその都度違えど男が入って来る時以外無いのだ。だからこそ涙も流れ無くなった乾いた心を抱き締めパイプベッドで身を横たえる今回も其れだと疑わず、光のすっかり消え失せた虹彩を静かに扉の方に向けるだけで。__されど鼓膜を震わせ聞こえた声も瞳に映る其の人も此処数日見慣れ続けた男では無いではないか。“もう大丈夫”の言葉を掬い上げ頭では言葉の意味を理解している筈なのに心も体もまるで何かに操られでもしているかの様に何もかもを拒絶する。意志とは関係無くガタガタと震え出す体に合わせる様に唇は「嫌だ」と繰り返し。反応があったのは其れが最後。ぷつりと糸が切れた様に意識を手放した後はスミス捜査官やその他諸々駆け付けた人達があれこれと手配し、現場検証も行われ同時進行でレイクウッドへ『ミラー捜査官は意識こそ失ってるものの無事でした。直ぐに総合病院へと搬送します。』との報告がスミス捜査官から入るだろう。__救急車が総合病院へと辿り着いて個室の病室へと運ばれた丁度其の時、ふ、と意識が浮上したと同時に酷い過呼吸や目眩、フラッシュバックに襲われ腕に刺されている点滴の針を無理矢理引き抜くや否や、誰も寄せ付けない、まるで手負いの動物の如く全てを拒絶し医師も看護師も一度病室を出て行く他無くなり )





749: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-19 23:35:37

 








( 目の前の電話が鳴るや否や、ワンコールと待たずに耳に当てた受話器から聞こえた“無事”の言葉に痛い程張り詰めていた緊張が解ける気がして「……そうか、良くやってくれた。直ぐに向かう。」と安堵の吐息を漏らして。其の反応に固唾を呑んで見守って居た署員達も沸き立ち、涙を流す同僚も居た。コートを羽織り直ぐに署を出るとタクシーで隣町の総合病院まで向かい。---医者から告げられたのは、心に深い傷を負って居ると言う事。かなり酷い扱いを受けて居たのだろう、フラッシュバックや過呼吸と言ったPTSDに近い症状が見られる上、今は性別を問わず近付く人間を怖がる事、特に針に強い恐怖心を示す為点滴の処置が出来ずに居る事などを告げられ思わず唇を噛み締める。フラッシュバックを繰り返す辛さも、自分の意志に反して呼吸が可笑しくなる苦しさもよく知っている。その上相手は死と隣り合わせの恐怖に晒され続け、一向に助けが来ない事に絶望もしただろう。せめてもう少し早く相手を救い出す事が出来ていれば、心に負う傷も最小限で留められたかもしれないのに、捜査を上手く運べなかったやるせ無さを感じざるを得ず。奥の病室に居るが今は面会は出来ないと告げられたものの、あまりに強い不安を感じて居るであろう相手を安心させてやらなければと言う思いのまま立ち上がり。相手のパニック症状を悪化させるだけだとの制止を振り切り外から施錠されて居る病室の鍵を開けて扉を開くと、扉の開く音に反応したのだろう、ありありと恐怖の浮かんだ瞳が向けられる。明るい緑色の瞳に光は無く、恐怖と不安に支配されすっかり心が枯れてしまって居る事がその姿からだけでも手に取るように分かり、あまりの痛々しさに足が止まり。制止を振り切ってまで病室の扉を開けたものの、近付けば怖がらせてしまう事が分かりその場に立ち尽くしたまま「____ミラー、」と、一言相手の名前を呼んで。 )








 

750: ベル・ミラー [×]
2022-03-20 00:10:51




( 窓を背に壁に凭れる様に背を折って座り込み、膝に顔を埋め両の手で耳を塞ぐ其の腕からは先程無理矢理引き抜いた点滴の傷からぷくりとした血が滲み、足元には剥き出しになった注射針が管を巻く様に転がっており。自らの荒い呼吸音だけが酷く大きく響いていた病室の中、ふいに扉が開けば其れは塞いだ耳にも届いてしまい全く違う音にも関わらず耳の奥にへばりついた重たく錆び付いた鉄の扉の音と同じに聞こえ弾かれる様に顔を上げて。果たして其処に居たのは此処一ヶ月程心が捜し求めた相手。肩を震わせ荒い呼吸を繰り返す中で、頭も心も相手の存在を確りと認識する事が出来た瞬間に暗い闇を携えて居た緑の瞳に注意深く観察しなければ気が付けない位ほんの僅か光の欠片が戻り。薄く開いた唇が数回開いて、閉じて、を繰り返し漸く狂った呼吸に混じる様に至極小さな音で「…約束……」と文になっていない短い単語のみが落とされるも刹那、相手が病室に入ったと医師から聞いた別の捜査員が相手に伝える事項を引き連れて顔を覗かせた瞬間に、再び体の震えが始まり音にならない言葉の代わりに嫌だと何度も首を左右に振り。_不味いと思った捜査員は姿が見えぬ様急いで顔を引っ込めつつ、伝えたい事があると一度病室から出る様相手を呼んで )





751: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-20 00:33:47

 








( 向けられた恐怖を孕んだ瞳と視線が重なり、ほんの僅かに光がちらついた様に思えた。嗚呼、相手は暗い暗い闇の底から浮かび上がろうとして居るのだと思えば、また胸が締め付けられる様な感覚を覚えて。一瞬顔を覗かせた見知った筈の捜査官は矢張り拒絶の対象の様で、自分は危害を加える様な事はしないとこの状況でも理解してくれて居るのだろうかと思うのと同時に、相手の口から漏れた呟きに静かに頷いて。「……お前は約束を守ってくれると信じてた。」死なない努力をする、生きる事を決して諦めない___いつの日か自分を安心させる為相手が紡いだ言葉が、其の約束が果たされる事を信じて居たと、相手は確かに其れを守ってくれたと告げて僅かながら表情を和らげて。---捜査員に声を掛けられると静かに部屋を出て扉を閉める。痛々しい姿に現実を目の当たりにした様に思えて重たい息を吐き出すと、目の前の捜査員に話す様促して。 )







 

752: ベル・ミラー [×]
2022-03-20 01:03:01




( 相手が今再び病室へと戻るのならば伝えておく必要があると捜査員は口を開いた。『地下室にあったロープですが、恐らくミラー捜査官が輪っか状に結んだだろうと言う事です。…何かが最後まで其れに首を通す事を躊躇わせたのだろうと精神科医が言っていました。其れと打たれた注射の中身ですが、意識を混濁させる成分と、体の_筋肉の動きを鈍くさせる成分が入っていたようです。点滴をして処置すれば命に別状は無いと。』告げた言葉は今此の場で直ぐに伝える事の出来る情報のみで、後は全て詳しく調べなければ分からないと頭を下げ再び署に戻るべく病院を後にして。__相手が病室を出て行った事で再び自身の荒い呼吸だけが響く様になった室内で、耳の奥に残ったのは“信じていた”と言う相手の言葉。アメリカでの誘拐監禁事件は被害者が見付けられるまでに平気で数年掛かるものが多く、FBIという立場だからこそ一般人よりも其の実状を知って居た心が諦めを覚えるのも早く、こんな生き地獄が何年も続くのならばもういっそ、と結んだ紐を握り締めた事も数回じゃなかったのだ。その度に浮かんだのは相手の顔で、約束で、**ないと何度も何度も呟いて。“ミラー”と呼ぶ声がふいに耳の奥でこだました瞬間、先程まで病室に入る人全員出て行って欲しいと拒絶したのに今は相手の近くにだけは行きたいと確かに心が訴え、同時に目の前が涙の膜でぐにゃりと歪んでは「…エバ、ズさん…っ…」と視線を閉まった扉に向け、乾いて張り付いた喉からまるで縋る様に必死で声を発して )





753: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-20 01:32:22

 








( 1ヶ月にも及ぶ絶望の中で、相手は幾度と死を選ぼうとした。分かっては居ても辛い事実だが、其れ程追い詰められた状況下であの日の約束だけが相手の記憶の片隅に引っ掛かり、辛うじて死への衝動を引き留める糸になったのかもしれない。抵抗や逃亡の意欲を削ぎ落とし、身体的にも従順にする為だけに薬が投与されていたと思うと余りの醜悪さに言葉も無く。捜査員からの報告に頷き、暫し落ち着かせるべきだろうかと再び部屋に戻る事を躊躇したものの自分を呼ぶ微かな声が聞こえた気がして再び扉を開けて。上手く呼吸が出来ない中で自分の名前を呼びながら泣きじゃくる相手の姿に息が詰まる。暗い地下室で逃げる術も無く、朦朧とした意識の中いつ助けが来るかも分からない__どれ程辛く、どれ程絶望的な気持ちになった事だろう。その場に留まる事はせず、病室の奥まで歩いて行くと床にしゃがみ込み、冷えて震えている相手の身体を引き寄せる様にして抱き寄せる。相手の後頭部と背に腕を回し、其の背を優しく落ち着かせる様に摩りながら「…ミラー、よく戻った。よく、死を踏み留まった。お前を誇りに思う。」とはっきり言葉を紡いで。いつも相手が自分を引き上げてくれる様に、今度は自分が相手を深い闇の中から引き上げなければ成らないと。 )








 

754: ベル・ミラー [×]
2022-03-20 01:57:04




( 涙で歪んだ視界にも開いた扉が映り、ひゅ、と喉の奥に息が引っ掛かるも直ぐに相手である事を認識すれば再び泣き声は其の大きさを増し。硬い床を踏む靴の音が近付き、目前でしゃがみ込んだ相手に抱き寄せられた瞬間、最早植え付けられた恐怖から反射的に身を強ばらせる様に硬直するも背中を摩られる手の温もりと鼓膜を震わせる聞き慣れた声に徐々に体からは力が抜けていき、背中に腕を回す事が出来なく四肢はだらりと垂れ。されど其れと同時に瞳には先程と同様ほんの僅かの小さな光が宿り。「約束、した…っ…」何れ程交わした約束が大きく太い糸として最後の最後まで残ったか。未だ完璧に元に戻った訳では無い意識と呼吸の合間でまるで監禁されていた時と同じ様に何度も何度も其れだけをひたすらに言葉にしつつ、ややして体の震えが治まりを見せて来た頃次は怖い、嫌だ、をまるで夢うつつの様に繰り返して )





755: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-20 02:25:21

 








___大丈夫だ。ミラー、こっちを見ろ。俺が傍に居る。
( 上手く息が出来ない時は、背を摩る掌の感覚に意識を向けて其のペースを掴む。現実と過去の境が分からなくなった時は、此の場所で相手と共に居る今この瞬間が現実なのだと言い聞かせる。どちらも相手が此れまで自分にして来てくれた事で、其れによって幾度と無く救われて来た。背を摩りながら大丈夫だと言い聞かせ、ややして一度身体を離すと相手の頬に手を添え視線を重ねて。こうして2人で居る今が現実で、今は危害を加える者は誰も居ない。影を落とした相手の薄い緑の瞳を真っ直ぐに見据えたまま、指の腹で相手の頬を撫ぜ。「……お前が約束を守ってくれたから、俺は一人にならなくて済んだ。こうしてきちんと立ててる。__犯人はもう出て来ない、お前は安全だ。」相手があの約束を守ったからこそ、自分はしっかり立てて居ると、相手は其れを望んでくれて居ただろうと語り掛ける。相手を苦しめた犯人は逮捕されこの場には居らず、二度目の有罪となり恐らくもう檻から出て来る事は無いだろう__必ずそうして見せると、普段よりも優しい声色で相手に言い聞かせて。 )








 

756: ベル・ミラー [×]
2022-03-20 03:01:30




( 体が離された事で消えた人の熱を無意識の内に欲する様に重たい片腕は持ち上がるも、続いて頬に手を添えられ強制的に視線が合わさった事で目の前に居るのが確かに相手だと分かる。涙の線が幾つも流れた滑りの悪い頬を撫でる指先が酷く優しい事も、紡がれる言葉の一つ一つが心を安心させる方向に進む事もちゃんと分かるのだ。じんわりと広がる様に其の範囲を広げた光がたっぷりの時間を掛けて緑の虹彩を覆えば、其れと同時に体の震えと嗚咽が止まり。瞳からはボタボタと涙が流れ続けはするものの先程までのパニック的発作は見られず。「……」真っ赤になった瞳でただただ真っ直ぐに相手を見詰め、視界に映る人物が誰なのかをまるで自分に分からせる様な行為の後、小さく頭を縦に動かし其のまま強い疲労感に抗う事無く静かに瞳を閉じれば、まるで安心しきった子供の様に相手の腕の中で再び意識を失って。__病室の外から中の様子を伺って居た医師と看護師がもう大丈夫だろうと静かに中に入って来る。其の手には新しい点滴の注射が握られており、相手に視線を向けるや否や悩む様な口振りで『今点滴をした所で、目を覚まし気付いた時に再びパニックを起こして引き抜かれる可能性が高いです。_其れならきちんと意識がある時に大丈夫だと分かって貰った状態で打ちたいのですが…人に注射をした経験は?』何より強い恐怖を見せた針が意識を取り戻した時に腕に既に刺さっているとなると、再びフラッシュバックが起こる可能性はかなりの確率で、今唯一近付けるのは相手だけとなると成るべく早く点滴を施したい医師の気持ち的にはやむを得ない選択の一つも視野に入れなくては成らず。『我々が病室に入る事、注射をする事でパニックになるであろう彼女を宥める事が出来れば本来其れが一番でなのですが、』されど医師でも看護師でもない警察に点滴をさせるのは幾ら何でも、と言う真っ当な気持ちも医者として確りと持ち合わせて居るからこそ何が最善策なのかと相手の意見も聞く事を選び )





757: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-20 10:36:05

 







( 相手が此方を見つめる瞳に光が宿ったのを見て酷く安堵する。凭れ掛かる様にして意識を手離した相手の背を変わらず優しく摩りながら、扉の開く音に視線を向けると医師と看護師が立っていて。早めに点滴を施して身体を楽にしてやりたいと言うのは同じ思いだったが、確かに折角落ち着いて来て居る今再びパニックを起こさせてしまう事は避けたい。注射の経験は無いと首を振りつつ、殆ど知識の無い自分では血管を傷付けて仕舞う恐れもある為助けにはなれないだろうと。「見なくて済む様に俺が支えて居ます。点滴の針が見えない様に、上から包帯を巻いて貰えますか。」自分が相手を支えて居る間に点滴を施し、針が見えない様に上から包帯を巻く事で恐怖心を和らげるのでは無いかと告げ、相手が目を覚ましても顔を上げない様、自分の肩口に顔を埋めさせる様な体勢で後頭部を軽く撫でる様にして抑え。 )









 

758: ベル・ミラー [×]
2022-03-20 11:01:02




( 相手の言葉に頷いた看護師は足早に一度病室を出て行き、直ぐに清潔で真っ白の包帯を片手に再び戻って来て。無理矢理腕から引き抜かれ無造作に床に転がった点滴の残骸を見えない様片付け、其の行為によって数滴落ちた小さな血痕を丁寧に拭き取り、そうして服の袖を捲り上げ露になった素肌に消毒を施して後は用意の出来た針を血管に刺せばいいだけと言う所でふ、と意識が回復すれば置かれている状況に反射的に体が強ばるも、己を抱き締める相手が誰なのかを瞬時に思い出せば其の体からは一瞬力が抜け。__長くは持たなかった。肩口に顔を埋められて居る体勢で勿論何も見えては居ないのだが最早職業病の一つでもあるのか、不味いと動きを止めた医師と看護師の気配を敏感に感じ取れば「…エバンズさん…っ、嫌だ!」此処に相手以外の誰かが居ると言う事実に切羽詰まった様な声を上げ支えから逃れようと身動ぎをして )





759: アルバート・エバンズ [×]
2022-03-20 11:31:24

 







ミラー、大丈夫だ。落ち着け。何も危害は加えさせない、
( 暴れ出しそうになる相手が顔を上げて仕舞わない様抱き竦め、落ち着く様にと耳元で語り掛ける。相手の後頭部を支えたまま自分の胸元に顔を埋めさせて居る相手に「…心臓の音に耳を澄ませろ、」と促して背を摩る。鼓動に意識を向けると酷く安心するのだ。ほんの僅かに相手の動きが緩慢になると少し力を緩め、背を摩る手は止めないままに静かに言葉を紡ぐ。「___妹は雷が苦手だったんだ。まだあいつが小学校に入り立ての頃、セシリアが夜になって泣きながら俺の部屋に来た事がある。…雷の音が聞こえない様に、こうして鼓動を聞いて居ると怖くないって…そう言った。」一見、今の此の状況には特別関係の無い昔の話。其れでも自分が妹の話をする時、いつも相手が其れに耳を傾け優しく頷いてくれる事を知っていた。雷を怖がった妹の様に、漠然とした恐怖に襲われて居る相手にも落ち着きを取り戻して貰う為の術。ほんの少し身体から力が抜けたのを感じると、後ろで様子を窺っている医師に視線を向けて。 )






 

760: ベル・ミラー [×]
2022-03-20 11:53:56




( 誰か知らない人が居ると言う事実に頭も心もあっという間に恐怖一色に染まるが、確かに上下する相手の胸元と規則正しく刻む心臓の鼓動を聞いている内に体からは徐々に力が抜けて行き。特別な事では無い其れは今此の時ばかりは魔法の様な力を持つ、そうして相手の考えた術は成功する事になるのだ。鼓膜が“セシリア”の名前を拾った瞬間に動きはピタリと止まり、こんな状況下に置いても相手の話を聞きたいと願う心は紡ぐ過去の話を求める様に自然と頭を持ち上げさせ、泣き腫らした真っ赤な瞳で相手を見上げつつまるで話の続きを促す様な間が空いて。__相手からの視線に一つ頷いた看護師は怖がらせない様に細心の注意を払いながら細い腕に注射針を刺した。その際一瞬の体の強ばりはあったものの特別な抵抗を受けなかった事に人知れず安堵し、言われた通りに針が見えない様に包帯を巻いて。此れで栄養も入れられるし、血液中に流された薬を中和する事も出来る。静かに立ち上がった医師と看護師は相手に一礼して最小限に抑えた足音で静かに病室を出て行き )





最初 [*]前頁 次頁[#] 最新 50レス ▲上へ

名前: 下げ

トリップ: ※任意 半角英数8-16文字
※画像を共有する場合は、外部の画像アップローダなどをご利用ください

規約 マナー
※トリップに特定文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます

【お勧め】
初心者さん向けトピック



[0]セイチャットTOP
[1]1対1のなりきりチャット
[9]最新の状態に更新
お問い合わせフォーム
(C) Mikle