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白む空に燻る紫煙 ---〆/4959


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自分のトピックを作る
4904: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-08 01:22:07

 





( 今回の捜査に刑事として関わる事が得策でない事は、当然自分でも理解していた。到底万全とは言えない状態で心身の不調を騙し騙し捜査に当たれば周囲にも無用な迷惑を掛ける事も。此の事件に固執するのは謂わば自分の“エゴ”だ。十数年前に果たせなかった事を、かつて自分を引き戻してくれた_____妹に瓜二つのアンナには、せめて。じっとりと汗ばんだ背中を摩られるも、相手の問いには小さく頷いて。ワイシャツの首元を緩めベッドに横になる。眠るのが怖いという思いはありながら、身体は疲れていて程なくして浅い眠りに落ちていた。---夢は、酷く鮮明だった。あのコテージで真っ赤な血溜まりに立つ自分の前にはアンナの遺体。現実の昼間と同じように現場の状況を確認するために部屋を1つずつ開けていく。奥に進みある部屋の扉を開けると、折り重なるようにして被害者が倒れる幼稚園の一室が広がっていた。声にならない悲鳴と共に飛び起きた身体には痛みが襲う。「……っ、あ゛…はぁ…ッ…!_____違う、っ…」自分に言い聞かせるように紡いだのは、記憶の混同を感じる防ぐための言葉。酷い発作に引き摺り込まれる事を避けたいという思いから、なんとか意識を繋ぎ止めようとするのだが、ベッドの上に身体を起こしたまま徐々に呼吸は浅くなっていき、瞳には暗い翳りが落ち。 )







 

4905: ベル・ミラー [×]
2025-04-08 11:08:44





( 普段より遥かに覚束無い足取りで寝室に向かいベッドに横になった相手の後を追い、尚も背中を擦り続ける事暫く。鎮痛剤の効果が僅かに効き始めて来たのかやがて酷い痛みに耐えていた相手がまるで気を失うかの様にして眠りに落ちたのを見ると、汗で額に張り付く前髪を一度だけ払ってやった後静かに寝室を出て。相手のジャケットを丁寧にハンガーに掛けながら視界が滲んだのは心が揺れているから。唇を噛み締め溢れだしそうな感情を抑え込む様に一つ深呼吸をし、続いて水道水をグラス半分飲み干してからソファに腰掛け鞄の中から事件の資料を取り出し真剣な表情で目を通す。出来る事はたった一つ。今回の事件を一分でも、一秒でも早く解決する事だ。___細かい文字を何度も何度も読み、遺体の写真を隅々まで凝視し、この静まり返った部屋の中で壁に掛かる時計の秒針の音も認識出来ない程没頭していた脳に唯一届くもの。良いか悪いかそれは相手の声にならない悲鳴だった。弾かれた様に資料から顔を上げ寝室の扉を開けると暗い部屋の中、ベッドの上で座り込み狂った呼吸を懸命に押さえ付け様としている相手の姿があり。「っ、!」直ぐ様傍に駆け寄り枕元の間接照明を点ければ、その勢いのままベッドに上がり相手の頬に両手を添え顔を持ち上げて。真正面から見る褪せた碧眼は暗く翳り、彷徨いを見せている。「…エバンズさん、」と呼び掛け強引に視線を合わせようとしながら、親指の腹を頬に滑らせ「…此方見て、私がわかる…?」意識が今何処にあるのかを確かめるべくその顔を覗き込んで )






4906: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-08 21:38:09

 





( 苦しさを抱えながら懸命に呼吸を繰り返す中で相手と視線が重なると、妹の瞳が記憶の奥で揺れた気がした。目の前に見えているのは確かにベル・ミラーなのだが、セシリアとアンナの瞳がちらつくように重なり“今”を記憶に阻害されている感覚があった。分かると、相手の言葉に頷いたのだが其れも長くは続かず意識が過去に引き摺り込まれる。過去の事件が、新たに思い出してしまった事実がフラッシュバックした事で取り乱した様子を見せると、呼吸は一層浅く喘ぐようなものに変わる。「____っ、セシリア、…っ悪かった…許して、くれ…ッ…は、ぁ゛…セシリア、」血の色が頭から離れない。浅い呼吸を繰り返していた身体は徐々に痙攣を始め、譫言のように妹の名前を呼びながら身体は震えが止まらなくなっていた。意識を今に引き上げようと、抵抗のように強く握り締め爪を立てた腕には鬱血した痕が残る。---酷い発作が落ち着く兆しを見せたのは、40分以上が経ってからの事。ふと目の前の相手が“見える”ようになり、それと同時に褪せた碧眼からは涙が溢れた。あまりに苦しい状況に対する絶望と、相手を認識出来た事に対する安堵とが入り混じる。「……手を、…っ握って、やれなかった…あんなに苦しんだのに、…1人で逝かせてしまった、…!」涙ながらに言葉にしたのは、今回の一件で思い出した記憶と、その後悔で。 )






 

4907: ベル・ミラー [×]
2025-04-08 22:41:13





( 此方の問い掛けに頷きが返って来た事で安堵が胸に落ちるも、それは長く続かなかった。己を認識出来たのは僅かの間だけで、再び狂いを見せた呼吸と共に一瞬“今”にあった意識は過去へと落ちた様子。直ぐ近くで喘ぐ様な呼吸が繰り返され、その合間合間に何度も紡がれる妹の名前と謝罪に一度きつく双眸を閉じると、恐らく相手自身の意思とは関係無く止まらなくなっているのだろう震えを押さえ込む様に、先ずは近くの掛け布団を手繰り寄せ相手の背中に掛け、その後痙攣を繰り返す身体を確りと抱き竦め「…許してるよ、ちゃんと許してる。…大丈夫だから、」此方の声が今の相手に聞こえていなくとも何度も“大丈夫”を伝え続けて。___酷い発作が漸く少し落ち着き、身体の震えが治まりを見せて来た頃、次は先程まで翳りを見せていた相手の碧眼からとめどない涙が溢れた。同時に紡がれたのは“あの日”の後悔。“あんなに苦しんだのに”の一言を拾い思わず驚愕に見開かれた目で相手を見る。セシリアは…即死では無かったのか。至近距離の相手の表情は余りに悲痛な色に染まり、涙に邪魔され引き攣る喉から絞り出される後悔は重い。薄く開いた唇から何か言葉を発するよりも先に頬に冷たさが滑り、己もまた泣いている事に気が付いた。相手の涙を見たからか、その言葉で2人のその時を想像してしまったからか、物理的には有り得ないのにまるで抱き締めた相手の身体から絶望や痛みや後悔が…あの時の記憶が、流れ込んで来るかの様なそんな感覚を感じてしまったからか。思わず俯き、そこで相手の腕にある鬱血痕に気が付き涙の量は増す。以前駄目だと制した所謂自傷は、今回は列記とした抵抗だったのだろう。__セシリアは死の直前、相手に手を伸ばしたのだろうか。兄の姿は見えていたのだろうか。幼い園児を庇いながらもその心はきっと恐怖でいっぱいだった筈だ。流れ出る血の感覚を、撃たれた箇所の熱や痛みを、感じてしまっただろうか。相手は…伸ばされた手を握る事すらも出来ない程の絶望に一瞬にして染まってしまったのか。「…っ、ふ…ぅ、」痛い、なんて言葉が生温く感じられる程の余りに大きく重たい何かが胸の奥に根を張り体内から締め上げる様な感覚に俯いたまま嗚咽する。何に対しての涙なのかはわからなかった。泣き続けるべきなのは己では無く相手なのに、ただ、心が痛いのだ。相手の腕を緩く掴んだまま、何か言葉を発する事も出来ずにいて )






4908: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-08 23:49:49

 





( 相手が泣いている事に気付いたものの、思い出した過去の出来事について語るだけの体力は残っていなかった。ただ相手が己の腕を握る仄かな体温を感じ小さな嗚咽を聞きながら、気を失うようにして意識を手放していた。---発作が長く続いた事による疲労の所為だろう。皮肉にも齎された眠りは深いもので、明け方まで目を覚ます事はなかった。明け方、空が青みを帯びて白み始めた頃になって目を覚ますと、身体の重さを感じて深く息を吐き出す。たった1日で、かなり無理をして捜査を進めた時と同じような______自分自身で身体の不調を自覚する程に、影響を受けている事を思い知らされて。自分の直ぐ隣で布団も掛けずに寄り添うように眠っていた相手の頬に涙の跡が残っている事に気付くと、指の腹でその跡を拭うように頬を撫でる。布団を相手に掛けた後、静かに起き上がるとシャワーを浴びてじっとりと身体にかいていた汗を流して。リビングに戻ると、煙草を取り出してベランダに出る。アンナの事件捜査には関わらないと言ってしまえば楽なのだろうが、どうしてもそれは出来なかった。深い溜息と共に煙を吐き出すと、風に攫われた其れは静かに紺碧の空に溶けて。 )







 

4909: ベル・ミラー [×]
2025-04-09 11:08:13





( ___何時眠りに堕ちたのかはわからなかった。頬撫でられた事も、布団を掛けられた事も、相手が寝室を出て行った事にも気が付かず眠っていたのだがその眠りは決して穏やかなものでは無く。右も左も、上も下も真っ暗な闇の中でたった1人相手がその場に蹲って居るのだ。顔は見えずとも震える背中と漏れる嗚咽で泣いている事はわかる。傍に寄り背中を擦りたいのにその足は僅かも動かず「エバンズさん」と唇は動くのにその名前が音になり相手に届く事は無い。相手はたった1人で泣き続けて居る。__ふ、と意識が浮上した時既に部屋の中は夜中の様な暗がりに染まってはいなかった。隣に相手は居らず、目の奥が重たい様な感覚に一度眉間を軽く解してから静かにベッドを降りて寝室を出。相手はあの日の満月の夜の時と同じく部屋に背を向ける形でベランダに居た。漂う紫煙は直ぐに風に乗り形を崩す。__朝が、来なければ良いのにと一瞬思ってしまった。悪夢に魘される夜が続けと言う事では無い、ただ、朝が来てしまえば相手は再び心身に鞭を打ち苦しみを背負いながら捜査を続けるのだから。今度はあの日の様に勢い良く開け放つ事無く静かにベランダに続く窓を開ける。朝の冷たい風が吹き抜け身体に纏わりつく感覚の中、伸ばした手は相手の腕へ。隣に立ち、煙草の煙の香りに混じりボディーソープの香りが鼻腔を擽れば「__風邪ひくよ。」と、小さく声を掛け身長差のある相手を見上げ。その表情は柔らかく穏やかな笑みなれど、何処か切なさも滲んでいて )






4910: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-10 10:51:05

 





( 窓が開く音がして相手の声が聞こえると、隣に立った相手に流し目で視線を向ける。シャワーを浴びて少しばかり熱を持った身体に冷たい風が纏わりつく感覚は涼しくて心地が良いのだが、風邪を引くと言われれば其れもその通りで。「…お前も、何も掛けずに寝てただろう。」と、風邪を引くのは相手も同じだとばかりに返事をして。深い溜息に煙を乗せて、青みがかった空に視線を向ける。「……鮮明な夢を見るのは、きついな。」現実と錯覚する程にリアルな夢。血の色も、血溜まりを踏んだ時の感覚も、目の前に倒れる人たちも、全てが鮮明なのだ。それが心を深く抉ると口にして。けれど捜査を続けると決めたのは自分。「夜中に付き合わせて悪かった、…捜査に集中しないとな、」昨晩酷い発作を起こした自分の側に相手がずっと寄り添ってくれていた事はわかっていて、感謝と謝罪を。立ち止まっている場合ではない、きちんと捜査に集中しなければと、自分に言い聞かせるように言うと煙草を灰皿に入れて。落ち着いている今のうちに多めに薬を飲んでおこうと考えつつ、相手と共にリビングへと戻り。 )






 

4911: ベル・ミラー [×]
2025-04-10 13:25:51





__そうだっけ?全然覚えてない。
( 何かに引き摺り込まれる様にして眠りに落ちた事は理解していたが、目が覚めた時身体は確りの掛け布団の中にあったものだから、それはつまり先に目が覚めた相手が態々掛けてくれたと言う事。少しばかりおどけた様に笑い肩を竦めて見せた後は吐き出された紫煙を追う様にして同じく空を見上げ。「…そうだね。…今回は特に、」今請け負っている事件捜査がどうしたって”あの事件“を思い起こさせる事は確か。小さく頷き言葉尻を切る事で、次は謝罪に対して首を横に振り気にしていない事を伝えるのだが。その謝罪の後の言葉には頷く事が出来なかった。捜査に集中するべきなのは絶対で、それが刑事である事の努めで、被害者や遺族に対して真摯的な向き合い方だ。わかっている。わかっているのに、これ以上相手の苦しむ姿を、涙を流す姿を、見たくないと思ってしまうのだ。結局何も返事をする事が出来ないまま相手と共にリビングに戻ると「…コーヒー淹れるね。何時もより少しだけ甘いやつ、」と、顔を向け__「待って、」ケトルにお湯を沸かすよりも先に相手が取り出した薬の量に反射的に制止の言葉が口をついて出た。一度に飲んでも良い数は知っている。捜査の”障害“となる全てを抑え付ける為に規定以上の数の薬を飲もうとしている相手の考えも。それで全てを押さえ込む事が仮に出来たとしても、後に襲うのは大きな副作用と薬を飲む前以上に何倍にも膨れ上がる苦しみだ。心の底から苦しんで欲しく無いと思うが、それでも、見過ごす事は出来ない。「……」相手を見上げる真剣な瞳は暗に“駄目だ”と物語っていて )






4912: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-10 23:58:42

 





( 甘い珈琲を淹れると言う相手の言葉に頷いてソファの方へと向かうと、昨晩置きっぱなしにしていた鞄から処方薬を取り出す。シートを手に水を汲んだコップを手にした所で制止されると、相手と視線を重ねる。規定を超えた量を飲んだ時の副作用を案じているのだろう。決められた量以上の薬を独断で飲むのは当然良い事ではないと分かっては居るが、普段の薬だけで制御し切れるとも思わなかった。「______いつもの薬だけで乗り切る自信が無い、」感じている率直な不安を口にしたものの、だからと言って勝手に多量の薬を服用して良いという事にはならないだろう。結局規定の2錠を水で流し込み残りを鞄へと戻すと、代わりに資料を取り出してソファに腰を下ろし。 )







 

4913: ベル・ミラー [×]
2025-04-11 00:23:44





( 相手のその不安は正直な所己も感じている事だった。事件が事件である為身体にも心にも掛かる負担は相当なもので、普段の薬で湧き上がる様々な症状を綺麗に取り除けるとはとても思わないのだが。「__エバンズさん、此処はレイクウッドだよ。エバンズさんの事を確りとわかってる医者の居る所。…点滴とかの処置も出来るかもしれないし相談してみよう。」それでも駄目なものは駄目だ。結局規定の量だけを飲んだ姿を見て表情をまた僅か笑みに戻すと、相手が病院嫌いだと言う事は重々承知の上でアダムス医師の話を出し。__普段より少しだけ砂糖とミルクの量を多めに入れたコーヒーを資料を避ける様に相手の目前に置いては、隣に腰掛けつつ己もまた別の資料に目を通し出勤時間までの間、少しでも犯人逮捕に繋がる何かを得ようとして )






4914: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-11 01:36:53

 





( _____事件の発覚から1週間ほどが経っても、捜査線上に有力な容疑者が上がる事はなかった。カフェの同僚、学生時代からの友人、常連と、アンナを取り巻いていた人間関係を洗い出しているものの捜査に“進展は無い“というのが現時点の評価だろう。進展がないにも関わらず、この事件の捜査に長く身を投じていれば心身は徐々に蝕まれる。少し眠っても夜中に酷い発作を起こし、明け方近くまで其れが続く事もあった。不調は少しずつ日中にも影響を及ぼすようになっていて、薬の効きが悪いと感じるようにもなっていた。---現場検証の写真は必要が無い限りなるべく見返さないようにしていたものの、鑑識の説明を受ける時などはそうもいかない。現場に残された痕跡について追加で分かった事を説明に来た鑑識官と、写真を見ながら其の内容を聞く。光を失った緑色の瞳が自分を真っ直ぐ見据えているように思えて、血の気を失った白い肌に真っ赤な血が流れる様が思い出された気がして、平静を装う事に必死だった。説明を終えた鑑識官が部屋を出て行った後、思い出すなと自分に言い聞かせながら写真を封筒に戻す。けれど既に呼吸は浅くなり始めていて、椅子に腰を下ろすとなんとか其れを押さえつけようと目元を覆いつつ深く息を吐き出して。この時間は報告書を持って来る署員も多い。此処で発作を起こす訳にはいかないと、パソコンに目を向けて報告内容を追記しようとするのだが、視界は不安定に揺れていた。 )







 

4915: ベル・ミラー [×]
2025-04-11 08:52:41





( ___殺害現場が限られた人しか来ない付近に監視カメラも無い辺鄙な場所、と言う事もまた捜査難航を助長させているのかもしれない。有力な証言を得る事が出来ない日が続き、それでもほんの僅かの切っ掛けで捜査が軌道に乗る事もあると今日もまた朝から聞き込みに出ていた。___署に戻って来たのはお昼過ぎ。成果は0だがもう一度アンナを取り巻く周辺の人達の証言を纏め直そうと思っての事。自身のデスクに立ち寄り上着を脱いでからその足で警部補執務室へ。何時もならノックの後直ぐに入室を許可する返事があるのだが今回はその声が返って来る事は無く、数秒待ってから中を覗き見る様に静かに扉を開け。デスクに座りパソコンの画面を見詰める相手の眉間には皺が深く刻まれ心做しか呼吸が安定していない。調子を崩したのは明らかで部屋に入り扉を閉めるや否や、軽くその背に掌を宛てがい。「…最後に薬飲んだの何時?」パッと見、デスク付近に薬も無いし足元のゴミ箱に空のシートが捨てられている気配も無い。相手の事だから周りに怪しまれない様にと細心の注意を払いゴミを別の場所に捨てた可能性もあるが。背にあてた手を軽く上下に動かす事で少しでも落ち着く事が出来るならと )






4916: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-11 12:25:17

 





( 扉が開いた事で僅かに身構えたものの入って来たのは捜査に出ていた相手だった。目元を覆い、押さえ付けるようにゆっくりと呼吸を繰り返す。「…朝、2錠飲んだきりだ、」決められた量を決められた時間に飲んだ以外は服用していないと答えて。---不意に、外で救急車のサイレンの音が響いた。署の近くの道を通過しただけ、それだけの事だったが不安定な今はその音が記憶に直結してしまった。自分がどうする事も出来ずに血の海に立ち尽くす中、要請を受けて現場に急行したのであろうパトカーや救急車のサイレンの音が、遠くで幾つも響いていたのだ。その光景が鮮明にフラッシュバックし、喉の奥が詰まるような閉塞感を覚えた。その時に感じた恐怖が、絶望が、血の色と共に押し寄せる。「_____っ、は…ッあ、……っ、」目元を覆ったまま、途端に不規則になった呼吸は肺に酸素を届けない。鳩尾の痛みが強まり、ワイシャツを握りしめたまま意味を為さなくなった呼吸を喘ぐように繰り返すこととなり。 )







 

4917: ベル・ミラー [×]
2025-04-11 18:18:32





( 相手の返事に腕時計に視線を落とす。前回の服用から既に十分な時間は経っていて今飲んでも問題無いと判断すれば相手の背から手を離し鞄の中にあるだろう処方箋の袋を取ろうとしたのだが。__遠くに救急車のサイレンの音が聞こえ署の近くの道を通過したのだろう、音が大きくなり再び遠く消えていったのを鼓膜が当たり前に拾った時、相手の呼吸音が変わった。ハッとして顔を向けると先程までの狂いそうなのを辛うじて抑え込めていた呼吸とは違い、肺まで確りと酸素が届いていない、喉の奥で引っ掛かる様な息遣いの相手がその苦しさと鳩尾の痛みに耐える様にシャツを握り締めていて。浅い呼吸に混じり喘ぐ様な声が漏れるこの状態ではとても錠剤を飲み込む事など出来ないだろう。先ずは少しでも呼吸のペースを取り戻し、薬を飲む事が出来る所まで回復しなければならない。この時間帯、署員が何時この部屋の扉をノックしても可笑しくは無い状況もまた焦燥が募るもので。過去の思い出したくない記憶が強制的に呼び起こされているのならば、塗り替える切っ掛けが必要だ。徐にポケットからスマートフォンを取り出し開いたのはアルバムのフォルダー。何時かの日、相手と共に訪れた陽の光が反射しキラキラと輝く青い海を撮影した動画を流すと、それを相手の前に置き。「…ほら、見て。海綺麗だったよね?少し肌寒かったけど、ちゃんと潮の匂いもした。…覚えてるでしょ?」波が寄せては返す一定の音が静かに部屋に流れる中、相手の背を擦りながら、血に濡れた記憶では無い別を思い出せる様にゆっくりと話し掛けて )






4918: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-13 22:41:28

 




( あの日鳴り響いていたサイレンの音と、目の前に広がる絶望的な光景。身体の奥から恐怖が湧き上がってくるような感覚を覚える中、“違う音”が記憶の波の中に挟み込まれる。寄せては返す波の音は、辺りが血の海と化した教室では聞き得ないもの。手繰り寄せられる記憶は、赤ではなく穏やかな青に近い色の筈だ。目元を覆っていた事もあり、相手のスマートフォンの画面に流れる映像は目にしていなかったものの、波の音はフラッシュバックした記憶を徐々に追いやり、別の記憶を齎した。浅くなった呼吸はそれ以上苦しげなものになる事はなく、落ち着けるように浅く繰り返されるばかり。ややして上げた顔には汗こそ滲んでいるものの、其の瞳に過去に支配された暗い影は落ちておらず「______大丈夫だ、…覚えてる、」と小さく答えて。鳩尾の痛みは完全には引いていなかったものの、鞄から薬を取り出すと僅かに震える指先で錠剤を取り出し水で流し込んで。 )







 

4919: ベル・ミラー [×]
2025-04-14 00:18:50





( 相手の背中を擦りながらどうにか意識を別の所へ、と語り掛ける事数分か。顔を上げたその表情に倦怠感の様な色こそ滲んでいるものの先程までの酷い発作は治まっているのが確認出来れば安堵を胸に落とし薬を飲む姿を一瞥し。けれど100%の安堵に支配された訳では無いのが正直な所。本来調子が悪い時でも救急車のサイレンで意識が持っていかれる事など無かった筈だ。それ程までに今の相手は心身共にギリギリの…もしかしたら既にそのギリギリすらも通り越した所に居るのかもしれない。発作に加えて痛むのだろう、鳩尾付近を押さえる仕草も此処数日間で何度も目撃した。動画を終わらせスマートフォンをポケットに戻した後、再度腕時計に視線を落としてから「…エバンズさん、もう一度周辺の聞き込みに行こう。」と提示したのは、この時間、此処に居れば多くの署員が報告書の確認やら何やらで出入りして来る、そうなれば不調を勘づかれる可能性があると思っての事で。___署を出て、相手の座る助手席側の窓を少し開け風の通りを良くしてから車を走らせる。真新しいミネラルウォーターのペットボトルは相手が何時飲む事があっても良い様にドリンクホルダーに欠かさない。アンナの職場であるカフェに続く一本道、事故か何かでもあったのか、今日は何故か車通りが多く普段以上に進みが遅かった。やがて赤信号でも無いのに前方車が完全に停車し、己の車も後続車も次々と停車し完全なる渋滞が出来上がる中、運転席側の窓も少し開けたタイミングで何処かの車が大きく、長く響くクラクションを鳴らした。そんな事をしたって渋滞なのだから車は動かないのだと内心溜め息を吐きながら反応する様に小さく肩を竦めて )






4920: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-14 00:38:26

 





( 調子が良くない中、執務室に居て署員たちと幾度と顔を合わせる事は避けたいという思いもあった為、相手が聞き込みの提案をして来た事には素直に同意を示して。重たい倦怠感を抱えつつ、少し背凭れを倒して窓の外へと視線を向ける。車の進みが徐々に遅くなり、殆ど進まなくなった事で正面へと視線を向けると、赤いランプがかなり先まで続いているのが分かった。「…この道で渋滞は厄介だな、」抜ける道が無いため、渋滞の解消を待つしかないと思えば溜息と共にそう告げて。再び視線を窓に戻した時、長いクラクションの音が響き思わず肩が跳ねた。それと同時に、ほぼ強制的に事件の記憶が引き摺り出されるような感覚。先ほど執務室での発作からそう時間が経っていない上、安定剤も服用したというのに。何度も過呼吸の症状が起きれば当然身体にも大きな負担が掛かる。先ほどよりも浅くなった呼吸は戻るための糸口を見つけられず、更には身体の痛みも先ほどより強い。背凭れから身体を起こし前のめりになるも、酸欠の所為で目の前は真っ白だった。「……っ、…く、ぁ゛…っは、」自分の意思も関係なく脳裏に鮮明に蘇る記憶。銃声が耳にこびり着き、フラッシュバックが直ぐに止む事はなく。 )







 

4921: ベル・ミラー [×]
2025-04-14 01:19:51





( 何処の誰が鳴らしたクラクションかは知らないが渋滞が困るのは捜査に出ている此方とて同じ事なのだと肩を竦めたその直後、隣に座る相手の肩が小さく跳ねたのと同時に先程執務室で起きた状態と同じ…否、それよりも酷く感じられる浅く狂った呼吸を繰り返す姿があれば思わず目を見開く。このフラッシュバックの発作が何によって誘発されたものか、それが数秒前のクラクションであると直ぐに察したものの、今の相手の状態では何が引き金となるかは未だ読めない。響くその音が過去の銃声やもしかしたら現場に駆け付ける警察車両が鳴らした音に繋がってしまったのかもしれない。「っ、落ち着いて、大丈夫だから…!」前屈みになり身体を丸める様に鳩尾の痛みに耐え、発作に苦しむ相手に片手を伸ばし肩を擦るのが精一杯なのは今運転中と言う最悪の状況だから。おまけに抜ける道の無い中での渋滞。アクセルから足を離し相手を抱き締める事も、こんな道の真ん中に車を完全に停車させる事も出来ない。前を見、進みを確認しなければ事故に繋がる可能性もあるし下手すれば後続車に次なるクラクションを鳴らされる可能性もある。為す術の無い四面楚歌な状況に焦りばかりが募り、思わずハンドルを握る片手が小さく震えた。早くこの渋滞を抜けて何処かに車を停めたいのに、1人苦しむ相手を抱き締め呼吸を戻す手助けをしたいのに。「何も起きてない、さっきのは事件とは全く関係の無い音で、急に鳴ったからエバンズさんは少しビックリしちゃっただけ。…だからねっ、大丈夫なんだよ、」時折前方を確認しながら何時の間にか震えていた手で相手の肩を擦り続け、記憶にある悪い音じゃないのだと、大丈夫なのだと、声を掛け続けるのだがそんな簡単に落ち着く事が無いのも知っている。手の震えに釣られる様に徐々に言葉にも震えが混じり、焦りとは別に恐怖も生まれる中、それでも一向に解消されない渋滞はまるでそれすらも意思を持ち、嘲笑いながら相手を苦しめる為に送り込まれた何かの様にすら感じてしまい )






4922: アルバート・エバンズ [×]
2025-04-14 01:59:36

 




( 呼吸を元のペースに戻す為のきっかけも無く、浅い呼吸がただ苦しい。身体が震えるのを抑える事が出来ず、動かない車の中でどれ程苦しんだか。“今”を映さない瞳にも、フロントガラスの向こうの赤いランプの光は届き、それが血濡れた記憶をより鮮明にさせた。「______っ、セシ、リア…ッ、あ゛、はぁ…っ、」身動きの取れない車内で譫言のように何度も妹の名前を呼び、襲い来る記憶の波に耐える時間が数十分は続き、漸く此処が車内だと認識出来るまでに戻ったものの意識はまだぼんやりとしていた。酷く汗を掻いた身体は鉛のように重たく感じられ、目の前で起きているかのような過去の記憶を鮮明に繰り返した所為で心は不安定になっていた。些細な音が記憶を呼び覚まし、耐え難い苦痛を齎す今の状況はあまりにも負担が大きい。此の苦痛を繰り返したくない一心で、処方薬へと手が伸びる。先ほど飲んだばかりの発作止めと、2回分の鎮痛剤。明らかに過剰摂取なのだが、この苦痛をこれ以上繰り返したくなかった。今この瞬間、苦痛が抑えられるなら後で苦しむ事になっても構わないとさえ思ったのだ。相手が運転中で此方に気付かない、或いは気付いても直ぐには止められない状況下で薬を水で流し込むと、襟元を緩めて背凭れへと身体を預けて。 )







 

4923: ベル・ミラー [×]
2025-04-14 13:05:37





( 狭い車内に相手の苦しみに喘ぐ呼吸と、繰り返される“セシリア”を呼ぶ声が広がる。助けられなかった事を懺悔する様に何度も何度も譫言の様に繰り返される彼女の名前は、余りに悲痛な想いを纏っていて耳を塞ぎたくなる程に心を乱される。視界が滲んだのを唇を噛み締め、ハンドルを強く握る事で抑え込むと、そこで漸く前方車両が緩やかに動き始め「…もう抜けられるからね。」と、一声掛けて車を発進させ。前方を見詰めある程度の車間距離を保ち運転をしていた為、相手の手が水のペットボトルに伸びた時にはもう既に何もかもが遅かった。取り出された薬の量も過剰で、それを飲んでも良いだけの時間は未だ経っていない。けれど……制止の言葉は音にならなかった。仮に車が停まっていたとして、それでも薬を飲むなと言えただろうか。署内でも、車内でも、あれだけ苦しみ、それからどうしても逃れたいと言う相手の気持ちがまるで流れ込む様に伝わってしまった。後に来る副作用の怖さなど、考えられない程に苦しかった筈だ。奥歯を噛み締め、“見なかった事”を決めた心は重く揺れる。___やがて一本道を抜けた先にあるカフェが見えて来たのだがスピードを緩める事はしなかった。犯人の足取りが掴めず捜査が難航している事は百も承知なのだが、私情だなんだと言われても今優先すべき事はカフェに聞き込みに行く事では無い。「__エバンズさん、降りて。」車を停めた場所は病院の駐車場。未だ過呼吸や身体に纏わりつく痛みが尾を引く倦怠感が続いているだろう相手に真剣な表情でそう告げると、自身が先に降りた後に助手席側に回り扉を開ける事で促して )






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