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白む空に燻る紫煙 ---〆/4959


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自分のトピックを作る
4864: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-19 02:40:01

 





( その後仕事を片付けて相手の家へと戻ると、ソファで眠っていた相手の姿を見つけ毛布を掛ける。用意してくれていた野菜スープを温め、少し照明を落とした部屋でゆっくりと其れを口に運んで。_____部屋が見つかれば直ぐに出て行くという話ではあったのだが、忙しなく過ぎる日々の中、不自由無く生活が出来ている状態に少なからず甘えてしまい、落ち着いて不動産屋に行く時間を取る事がないまま相手の家に居候して1ヶ月程が経っていた。レイクウッドに居た頃と変わらず捜査に奔走し、刑事たちの報告書に目を通し、与えられた警部補としての務めを果たそうとはしているのだが、非常勤のため限られた時間の中で出来る事はどうしても少ない。同時に身体の不調を感じる事が増え、以前のように無理が効かなくなった実感があった。薬を飲み繋ぎ、なるべく症状が出ないようにはしているのだが、反動が夜に来る事があるのは変わらない。自分が夜中に何度も目を覚ますのでは相手も落ち着いて眠れないだろうと、きちんと家を探さなければとは改めて思いはするのだが。---その日も日中は捜査の為聴取に出ており、戻ってからは資料を取り寄せ読み込んだり、部下の報告書に目を通したりと忙しなかった。それでも普段より早く21時前に家に戻ったのだが、重い疲労が付き纏っているような感覚に息を吐き出しつつ脱いだジャケットをソファの背凭れに掛けて。「…リアーナの証言は不明瞭な点が多かった。アリバイの裏も取れてない事を思うと、警戒しておいた方が良さそうだ。」家に戻っての第一声とは思えない、普段執務室で相手と話している時と同じような言葉を口にしつつ、ソファに腰を下ろすと背凭れに深く身体を預けて。  )








 

4865: ベル・ミラー [×]
2025-03-19 08:51:45





( ___署での仕事が終わり帰宅したのに相手の第一声は捜査中の“刑事”そのもの。ソファに腰掛けたのを一瞥し何時もよりミルクと砂糖を多めに入れたコーヒーを目前に置くと軽く頷きつつ「何かを隠してるのは間違い無いと思うけど、それが何か…。__明日もう一度リアーナの友人付近をあたってみる。」一度は引っ張られる様に明日の捜査方向の話をするのだが。相手の隣に腰掛けた途端に座り慣れたソファの程良い弾力と調度良い角度の背凭れに刑事としての張り詰めていた空気が解けた。仕事モードの終わりを示す様に深く息を吐き軽く首を回すが隣の相手が纏う空気は未だ捜査中の時のそれ。「…エバンズさん、明日も朝から忙しいだろうし今日は早めに寝よう。ワイシャツなんて着てたら休まるものも休まらない。」険しくも見える表情を見遣り、少しだけ困った様に笑みを浮かべた後休息を促す。その際ほんの僅かの戯言も織り交ぜつつ、寝室に置かれている相手のスウェットを持って来て )






4866: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-19 11:39:28

 




( ミルクの入った甘めのコーヒーを口にしながらも、考えるのは事件の事。早めに休もうという相手の提案には、そうすべきだろうと大人しく頷きつつ渡されたスウェットを受け取って。確かに仕事の時に着ているこのワイシャツでは、気持ちも身体も休まらない。シャワーを浴びて髪を乾かし、スウェットに袖を通すと、少しは張り詰めていた気分も解れたような気がして。促されるままベッドに入ると、途端に身体は休息を求め沈み込む身体を起こすのが億劫になる。未だ事件の事を頭で整理しようとしていたのだが、眠気に襲われ其れは諦めて。「_____先に休む、…」とだけ相手に告げると、程なく眠りに落ちていて。 )







 

4867: ベル・ミラー [×]
2025-03-19 13:33:03





( その言葉に頷きつつ、程無くして小さな寝息が聞こえると安堵を胸に浴室へ。熱めのシャワーを浴びながら考えるのは此処最近の相手の事で。昼間捜査に出て居る時は薬の服用もあってか目に見えて大きく体調を崩す事は無いものの、その反動の様なものは確実に夜現れていた。悪夢を見て魘される頻度も多くなった様に思うし、目下の隈も薄れる事無く鎮座し続けて居る。本部で悪化した体調はレイクウッドに戻って来たからと言ってそう簡単に治るものでも無いのだろう。__凡そ30分程でシャワーを終え脱衣所に出る。湿った髪の毛を乾かし黒のスウェットを身に纏い、眠る支度は整った。窓の向こうに見える月は丸く輝き、それをぼんやりと見ながら少しの休憩の後にリビングの電気を消して寝室を覗けば相手はまだ眠りの底に居る様で。起こさぬ様注意を払いつつ静かに隣に寝転ぶと、背を向ける相手の髪の先を数回控え目に撫で、その後は遅い来る眠気に抗う事もせずに眠りの淵へと落ちて行き、何時しか深い深い眠りの中でぼんやりとした夢を見て )






4868: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-19 14:57:47

 





( 揺蕩うような眠りの中に居たものの、不意に意識が浮上した。意識の遠い所で過去の事件や血の色を見ていたような気はするのだが、いつものように悪夢に魘され引き摺り出されるような寝覚めではない。ただ鳩尾に重たくのし掛かるような不快な痛みがあり、此れの所為かと理解する。もう一度眠ろうと目を閉じたものの痛みに意識が行ってしまい眠れそうもなく、少しして隣の相手を起こさないよう静かに起き上がると寝室を出て。明かりの落ちたリビングは何処かひんやりとしていて、しんと静まり返っている。シンクの前で鎮痛剤を水で流し込んだものの、少しして徐に冷蔵庫を開ける。中には、少し前に相手とゆっくり夕食を食べた時に開けて未だ残っているワインの瓶が入っていて。それを取り出すと手近にあったグラスに注ぐ。ソファに戻り、明かりを点ける事もしないままに其れを口にしつつ、背凭れに身体を預けて。此の痛みや息苦しさの所為で、思うように仕事が出来ない。暫くの間ソファに座っていたものの、痛みと余計な思考を振り払いたくて、仕事用の鞄の中から煙草の箱を取り出して。気を紛らわせる為にしか吸わない為、一箱を消費するのに何ヶ月と掛かるのだが、お守りの様に鞄に入れていた。煙草を一本咥えた所で、流石に相手の部屋で吸うわけには行かないと、静かに窓を開けて。ベランダに出ると冷たい風が吹き抜け緩やかにカーテンを揺らす。窓を閉めると煙草の先端にライターで火をつけ、深く煙を吐き出して。 )







 

4869: ベル・ミラー [×]
2025-03-19 20:11:30





( 相手が寝室を出た事にも気付かぬ程深い眠りだったのだが、無意識に寝返りを打った時に隣に誰も居ない事で意識がゆっくりと浮かび上がった。未だ眠気まなこで僅かに上半身を起こし隣を、続いて寝室全体を確認するが矢張り相手の姿は何処にも無い。けれど涙に濡れた声や苦しげな呼吸音が聞こえず静かな事から恐らく直ぐに戻って来るだろうと再び身体を布団に預け目を閉じるのだが。一度浮上した意識は今回そう簡単に眠りに落ちてはくれなかった。目を閉じたまま暫し黙し、仕方無い…と胸中で呟くと水を飲んでから眠る事にしようと比較的ゆっくりとした動作で以てベッドを降りて寝室を出。__リビングは暗く相手の姿は無かったが、ふ、と視線を向けた先。カーテンの隙間から差し込む月明かりがフローリングを照らしていた。そのまま瞳だけを持ち上げると、窓の外、部屋に背を向けた相手が立って居て細い紫煙が立ち昇っている。ドクン、と心臓が高鳴った。それが恐怖によるものだと認識するよりも早く足は動いていて、窓の縁に指を掛けるや否や勢い良く開け放ち。冷たい風を纏い伸ばした手は煙草を持たぬ相手の片腕を強く掴む。「__どう、したの…、」その絞り出した問い掛けは切羽詰まった様な唐突なもの。どうもこうも無い、見た通り煙草を吸っているだけなのだが、暗い空に昇る紫煙の様に月明かりに照らされた相手が消えてしまいそうで、何故だかそんな漠然とした不安に襲われたのだ。その表情には先程までの眠気は無く焦燥が滲んでいて )






4870: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-20 09:30:30

 




( 吐き出した煙は、明るい月の光に照らされて輪郭が鮮明になったのも束の間、冷たい風に浚われてあっという間に闇夜に溶けて消えた。其れを眺める褪せた青色の瞳にも月が冷たく光を落として。肺を満たした煙が唇から吐き出されて夜空に溶けて行く様は、何故か心が落ち着くような静けさを感じた。不意に窓が勢いよく開く音がして、振り返るよりも前に腕を掴まれていた。此処は相手の家なのだから相手以外に居ないのだが、腕を掴む手の力が強かったため少しばかり驚いた表情で相手と視線を重ねて。幾許かの焦りや不安のようなものが滲む相手の問い掛けに「_____悪い、起こしたか。」と尋ねると「…目が冴えて、少し吸いたくなった。」とだけ答えて。未だ痛みは落ち着いておらず、ワインも煙草も気を紛らわせる為の行動なのだが、その事には触れなかった。 )






 

4871: ベル・ミラー [×]
2025-03-20 10:34:30





( 此方を振り返った相手の碧眼に斜めから差した月の光が反射し、一瞬涙の膜が張っているかの様に感じたのだがそうでは無かった。ただ、闇夜で淡く光っただけ。落とされた謝罪とこんな夜の寒空の下此処に居た理由を聞き吐き出した息は次は安堵から来るもので。「…少し喉が渇いただけ。」と答えるも、その指先の力こそ抜けど相手の腕を離す事はしなければ「部屋で吸っていいからもう戻って。風邪ひいちゃう。」夜風に晒され冷えている事は掴んだ箇所のスウェットの冷たさで知っている。そこで漸く腕から手を離すと相手の背中に軽くその手を添える様にして部屋の中へと促し。__窓を閉め間接照明を点ける代わりにカーテンを開ければ、差し込む月の光がその量を増し部屋をぼんやりと照らした。ソファに腰掛ける相手の足に膝掛けを掛け、少しでも冷えた身体を暖める手助けになればと行った行動により、テーブルの上にワインボトルとグラスが置いてある事に気が付く。寝る前は無かったのだから目が覚めた相手が飲んでいるのは間違い無いのだが。煙草を吸う事も、夜中に目覚めお酒を飲む事も、相手にとっては理由のある事だ。ただ単に目が冴えてしまいもう一度眠る為の軽い時間潰しの時も勿論あるだろうが、殆どの場合そうでは無い事を長く相手を見て来て知った。悪夢が尾を引き眠れないか…身体の調子が悪く睡魔を連れて来ないか…。「……。」徐に相手の隣に腰を下ろすと、何も聞く事無く、何も言う事無く、ただ、無言のままに相手の鳩尾付近に手を当てて )






4872: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-20 12:35:59

 





( もう少し此処に居ると言おうと思ったのだが、冷えるからと促されれば携帯灰皿に煙草を押し込んでリビングへと戻り。中に入ると、暖房を入れていないにも関わらず暖かさを感じて外の寒さを思い知る。グラスに注いだ赤ワインを呷り息を吐くと、不意に相手の手が鳩尾に触れて。痛みがある為、相手の手が触れる瞬間僅かばかり身体が強張ったものの、外傷ではない為当然強い痛みを引き連れて来る事もなく、程なく緊張は解ける。鎮痛剤も未だ効いていないのだろう、何か気が紛れる事をしていないと痛みに意識が行ってしまう。「……思うように、仕事を進められない。身体がどうしても着いて来ないんだ、」弱音とも取れる言葉を不意に吐き出したのは、月明かりだけが周囲を照らす薄暗さの中だったからだろうか。もう一口ワインを口にして。 )






 

4873: ベル・ミラー [×]
2025-03-20 14:52:30





( 鳩尾に手を当てた瞬間に相手の身体が強張ったのを感じ、夜中の意識の覚醒が何によるものだったのかを知る。程なくその身体からは力が抜けるが恐らくまだ痛みが完全に無くなった訳では無いのだろう。鳩尾から手を離す際、相手の足に掛けた膝掛けを僅か引き上げる事で腹部までを覆い。__以前とは異なりお酒では無く温もりによる睡眠の継続を促す事はしなかった。それは儚くも美しくも感じられる月明かりの中だからか、相手がふいに漏らした気持ちにもどかしさが宿っていたからか。普段痛みを隠し強がる相手が落とす本音は、どうしたって感情を揺さぶられ、緑の瞳にはグッと切なさが滲むのだ。「…前にアダムス医師に点滴してもらったの覚えてる?どうしても駄目な時は、また助けて貰おう。」病院を嫌がる相手ではあるが、強い薬でその場限りを押さえ付け副作用として別の問題が出るのでは本末転倒。彼に助けを求める事は決して悪い事でも恥ずべき事でも無いのだと優しく微笑みつつ、「今は焦らないで、って言った所で納得出来ないのはわかってる。」と、告げては軽く肩を擦って )






4874: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-20 17:34:04

 





( ワシントンの医者に罹っていた時に貰った大量の薬があるため、レイクウッドに戻って来ても未だアダムス医師と顔を合わせる事はしていなかった。ワシントンの医者は、専門外ではあるが同じ薬を処方する事なら出来ると、診察もそこそこに一気に数ヶ月分を処方するようなタイプだったのだ。どうしても辛くなったら、一時的な処置をしてもらう事も可能だという相手の言葉には小さく頷いて。「向こうでは…どうしても、些細なきっかけであの頃の記憶が呼び覚まされた。その環境も良くなかったんだろうな、」本部での2年間が症状を悪化させた理由は当時と結び付いてしまっている環境の所為でもあっただろうという自覚はあり、そう呟いて。「______セシリアと、最後に食事をした店を数年ぶりに見かけた。…ワシントンには辛い記憶が多すぎた、」ワイングラスの中の赤に月が光を落とし、妙に感傷的になっているのだろうか。ワシントンでの事を断片的に言葉にしつつ、息を吐き。 )





 

4875: ベル・ミラー [×]
2025-03-20 22:25:36





( グラスの中の赤を呷りながら静かに話し始めた相手の言葉に耳を傾ける。月明かりに照らされたその横顔に赤みこそ差している訳では無いが、体内を巡るアルコールは少なからず相手の心にも作用し、だからこそ普段よりも饒舌に__そうして“セシリア”の名前を出し過去の話をしたのかもしれない。“あの事件”があったまさにその場所に約2年もの間身を置いた相手は、例えどれ程望まなくたって当時を思い出す様々に触れた筈だ。それは当時と変わらずそこに有る建物であり、風に混じる仄かな香りであり、移り変わる天気すらももしかしたら。「…ワシントンに居る以上避けては通れなかったもんね。全てを回避する事は出来なかった。」同意する様に頷きを落とし、相手が如何に過酷な状況の中に居たかを思い少しだけ表情が険しくなるが。同時にその中に居る事でどれ程の負荷が心身にのし掛かっていたのかを自覚していても尚、己を…他者を無用な脅威から遠ざけようとしてくれたその不器用な優しさに胸が痛むのだ。__相手とセシリアが最後に食事をした場所は果たしてどんな所だったのだろうかと想像する。その場所に行ってみたい、だなんてとても口には出来ないがその時の2人はきっと美味しい食事を前に幸せに笑っていたのだろう。「…何時か__…何時か、思い出すワシントンの記憶が辛いものじゃなくなればいいな。…セシリアさんと食事をしたお店を見て、あの時のご飯は美味しかった、妹は笑顔だったなぁって。エバンズさんの記憶に強く残る“あの事件”の時のセシリアさんじゃなくて、今は少し見えなくなっちゃってる…エバンズさんを笑顔に出来るセシリアさんの記憶で、何時かエバンズさんの心がいっぱいになって欲しい。」暗い壁を僅かに揺れる瞳で見詰めながら、静かに、普段よりも遥かに穏やかな声色で紡ぐのは己が望む相手の幸せだ。今直ぐには無理な事で、笑顔の妹を思い出す事で辛さが増す結果になるかもしれないが、それでも何時か…辛さを感じる心の隙間すらも“相手の望む”セシリアの姿で埋め尽くされて欲しいと思う )






4876: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-21 11:26:06

 






( “あの事件”の時ではないセシリアの姿。事件から十数年が経って漸く、其れを______幼い頃の断片的な記憶や、ワシントンに居た頃の記憶を時々思い出すようになった。幸せな記憶を振り返るべきではないと、未だに自分でブレーキを掛けてしまう事が多いのだが。「……そうなったら良いな、」とだけ、静かに同意を示して。一番最初に思い出してしまうのは、悲しくも“あの日”の姿。辛い記憶で埋め尽くされてしまわぬように、せめて笑顔の妹を忘れずに居られるようにと、財布の中に妹の写真を入れている。けれど幾ら其の笑顔を記憶に焼き付けようとしても、あの瞬間の姿がフラッシュバックしてしまう、そればかりは自分でコントロールする事が難しかった。_____だからだろうか、笑顔の相手を見ると、明るいその瞳を見ると安心するのだ。薄暗い中で、隣に座る相手に視線を向けると、柔らかな月光を湛えた相手の瞳を見つめて。 )





 


4877: ベル・ミラー [×]
2025-03-21 13:47:29





( 静かに落とされた同意の言葉は相手自身が一番渇望している事だろう。一度だけ見せて貰った事のある財布の中に大切にしまわれた1枚の写真。幸せそうなセシリアのその笑顔が何時だって相手の中にあって欲しい。「__なるよ。時間は掛かるだろうけど、何時か必ずそうなる。」暗闇を見詰めたまま紡いだのは何の根拠も無い未来を確定する言葉。その言葉を躊躇いも無くハッキリと落とした後に隣の相手に顔を向け、緑の瞳を細める事で柔らかく微笑むと「大好きなお兄ちゃんの事を、何時までも苦しめる筈無いからね。」まるで出会った事も話をした事も無いセシリア事を知る様な言葉を。続けて「エバンズさんの記憶に残るなら笑顔じゃなきゃ。」と、これは己が思う事。もし何時かの未来__相手と離れる時が来た時。思い出して貰える表情は矢張り笑顔だったら良いと思うから。幸せな人生だったのだと、身勝手にも思って欲しいのだ )






4878: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-21 23:51:16

 





( 記憶が悲しい瞬間で途絶える事ほど辛いものはない。それまでがどれほど幸せな笑顔で溢れていたとしても、残酷にも一瞬にして全てを塗り替えられてしまう。その奥にあった笑顔を思い出す事さえ酷く難しくなってしまうのだ。相手の瞳に浮かぶ色は、穏やかな、楽しげな、明るいものであって欲しい。其れは決して、今は亡き妹と重ねて“妹の分まで”と願っての事ではなく、相手自身が幸せであって欲しいと願うから。言葉を発する事はしないままにグラスの赤を飲み干すと、くらりと視界が揺れる。薬が効き始めている事と僅かな酔いとが結び付いたようで、不快な痛みは薄れつつあった。「…せめて2年前のように、人並みに働けるように精進する。」とひと言告げると、ワインの瓶にコルクの蓋を閉めて。 )






 

4879: ベル・ミラー [×]
2025-03-22 13:11:02





無理だけはしないでね。…私が近くに居る事を忘れないで。
( “人並みに”と相手は言ったが2年前の相手は少なくとも“人並み以上に”働いていた。沢山の痛みや苦しみを1人壊れそうな心に押し込めて捜査に万進するその姿は“刑事の鏡”と言えば聞こえは良いが、決してそんな言葉で片付けて良い事では無い筈だ。頷きと共に返すのは矢張り心配の乗る、相手には幾度と無く掛け続けた言葉で。相手の中にある自分自身に対する苛立ちやもどかしさは、身体が着いて来ない事によるもの。誰かに頼るのでは無く自分で確りと仕事をしたいと思う人にとっては“頼れ”と言うのは心を楽にする言葉では無いかもしれない。特に変に気を遣われたりする事が嫌いな相手にとっては余計にだろう。それでも側に居る以上相手を支え、力になりたいと思うのは当然だ。ワインボトルに蓋を閉めた事でこれ以上飲まないのだと判断すれば「…眠れそう?」と
問い掛けて )






4880: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-22 15:06:25

 




( “頼れ“と直接的に言われるよりも”近くに居る事を忘れるな“という言葉は、真っ直ぐに胸に落ちた。人に頼る事が苦手な自覚はある為、頼って欲しいと言われてもどうすれば良いかが分からずいつも曖昧な返答になってしまう。けれど、”近くに居る事を忘れない“事なら、自分にも出来る気がしたのだ。「…やってみる、」とだけ素直に頷くと、ワインボトルを手に立ち上がる。冷蔵庫に其れを戻すと、「…多分な。少し痛みも落ち着いた、」と答えて。もう一度横になって少し眠ろうと思えば、グラスの中身を飲み干した。 )






 

4881: ベル・ミラー [×]
2025-03-22 22:30:33





( 返って来たのは随分と素直な返事。珍しい事もあるものだと思いつつもそれを言葉にする事無く破顔するだけで終え。__相手が冷蔵庫にワインボトルをしまったのを見届け2人で寝室に戻る。隣同士に寝転べば久し振りを感じた僅かな煙草の残り香が鼻腔を擽り、再び仄かな切なさが胸中に渦巻くのだが静かに目を閉じる。瞼の裏の暗闇を見詰めたまま「きっと今日は朝まで眠れる。…おやすみなさい、エバンズさん。」掛け布団の中で身体を丸めるように微動し、少しだけ相手の方に身を寄せつつゆっくりと言葉を紡ぎ、後は温もりと呼ぶ温かさの中で眠る事として )






4882: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-23 01:06:52

 





( ______“その事件”が起きたのは、レイクウッドに戻り、漸く少しずつ働き方のペース感覚を掴み始めていた頃だった。郊外で女性の遺体が見つかったという一報が入り、現場に向かう事となった。ミラーは別の件で出ており署内には居なかった為、電話を掛けて今対応している件が一段落したら現場に来て欲しいと伝える。「警備にはお前が遅れて来る事を伝えておく。現場の住所はメールで送るからそっちが落ち着いたら来てくれ。」と。---現場は市街地から40分ほど離れた郊外。少し鬱蒼とした林道を抜けると湖に出る。其の湖畔にあるコテージは夏や冬の一定の期間しか使われておらず、それ以外の時期は管理を任された人が時々掃除をしているらしい。今朝いつもの様に外を掃いていると、玄関の鍵が壊されているのを見つけ、不審に思い中に入った所、若い女性の遺体を見つけた______というのが通報内容だった。コテージの手前には規制線が貼られ、警備の為に立っている警官からの敬礼に軽く答えつつ「後から、レイクウッド署のミラーという女性刑事が来る。」とだけ伝えてコテージの中に足を踏み入れて。雨戸が締め切られたコテージ内は暗く、ソファなどの家具には埃除けの布が掛かっている。リビングに当たる場所の暖炉の前に女性が倒れているのを見つけ、ジャケットのポケットから手袋を取り出して其れを嵌めると静かに近づいた。此方に背を向けるように倒れた女性の焦茶色の髪が床に広がっている。外傷を確認する為正面に回り込み________薄く開かれたままの瞳と目が合った瞬間、“見てはいけない”と警告が鳴り響くのを感じた。ひゅ、と喉の奥で掠れた音がして、一瞬にして“同じ情景”の記憶の波が押し寄せていた。薄く開かれたままの緑色の瞳や青白い肌に生気はない。自分はこの光景を見た事がある、そして彼女を知っている。其れを理解した瞬間、此の場にこれ以上留まる事は不可能だった。身体に強い痛みが走るのと同時に吐き気に襲われ、まともに立っていられる状態でもない。リビングを出て壁に掴まりながら、逃げるようにコテージの奥へ奥へと向かい、ゲスト用の寝室であろう部屋へ移動して。床に崩れるも呼吸が上手く出来ない。どうか嘘だと言って欲しい。自分ではどうする事も出来ないままに鮮明な記憶の中に引き摺り込まれ。 )








 

4883: ベル・ミラー [×]
2025-03-23 10:21:54





( ___請け負って居た別の事件が大方片付き一段落した事で、向かった先は既に相手が現場検証を初めて居るだろうレイクウッド郊外にある湖畔の別荘。道の左右から木々が伸びる薄暗い道を抜け湖の手前で車を停めると、規制線の前に立つ警備員にFBI手帳を見せ「レイクウッド署のベル・ミラーです。」と名乗り手袋を嵌める。規制線を潜り、壊された玄関の鍵を一瞥してからコテージの中に入れば何処かひんやりと感じられる空気に身が引き締まり、相手の姿は無いものの何か気になる箇所でも発見したのだろうと、先に遺体を確認するべく暖炉の前に倒れる様にして亡くなっている今回の被害者の傍らに歩み寄り__「……え、」その顔を見た時、余りの衝撃に一瞬呼吸が止まり身体が硬直した。彼女を知っている。決して忘れる事の無いその女性は、以前エバンズが妹の記憶以外を無くした時に【セシリア・エバンズ】として相手の前に立ってくれたカフェの店員だ。セシリアに瓜二つの風貌で、兄である相手も見間違える程。記憶を取り戻した相手と、今度お礼も兼ねてお茶をしに行くと決めて居たのに、結局沢山の事件捜査に追われ未だ叶っていなかった。彼女の名前は【アンナ】だ。__知り合いが事件の被害者になる捜査はこれが初めてで、薄く開かれた光の無い緑の瞳を見下ろしながら立ち竦んで居たも、ふいにリビングに隣接する部屋の奥から物音が聞こえ、弾かれた様に顔を上げる。何処か霧掛かって居た意識が引き戻され、その瞬間に頭の中はこの光景を既に見ているだろう相手の事でいっぱいになった。不味い、と早鐘を打つ胸のまま閉められた扉の一つ一を開け放ち__コテージの一番奥の寝室らしき部屋に相手は居た。床に崩れ落ち、狂った呼吸を元に戻す事も出来ないでいるその姿を見て警告音が鳴る。「…っ、エバンズさん、ミラーです!わかりますか、」早足に相手の側に歩み寄り両膝を床に付く形で座り込むと、上下する背中を擦りながらやや声を上げる様にして名を名乗り。焦燥を纏いながらも先ずは相手の意識が今“何処”にあるのかの確認をして )






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