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白む空に燻る紫煙 ---〆/4959


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自分のトピックを作る
4824: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-01 18:37:16

 





( 相手に支えて貰いながら身体を起こすと、視界はゆらゆらと不安定に揺らぐ。薬を飲みたいのだが、痛みが強く浅い呼吸ばかりが漏れ水を飲むだけの余裕がなかった。そのまま相手の肩口に埋めるように額を押し付けると、耐えるように唇を噛む。どれほどの時間そうしていたか、僅かばかり痛みが引き始めると鳩尾を軽く抑えたまま背凭れに置かれた枕へと背中を預けて。「______刺された時の、夢を見た…。」未だ熱を持った身体は怠く瞳は熱っぽく潤んでいるものの、先ほどのように朦朧としている訳ではないようで言葉を紡ぎ。あの事件で子供を失ったばかりに道を踏み外した彼と、残された妻は、今どうしているのだろうかと考えてしまう。同時に、自分が受けるべき痛みなのに、薬に頼り一人だけ楽になるつもりかと蔑むように言ったクラークの言葉が脳裏をよぎり、思わず鳩尾辺りに置いた手に力が入り。けれど相手から差し出された薬を拒否することはなく、少量の水で飲み込むと、再び背もたれに身体を預けて。「……使い物にならないな、」紡いだのは何処となく投げやりな、自分自身への嫌悪が滲んだ言葉。ようやく刑事に復帰するためにレイクウッドに戻って来たというのに、身体はずっと思い通りに動かない。外は青く白み始めているというのにこの時間にも相手を無理に起こしてしまっていると。 )






 

4825: ベル・ミラー [×]
2025-03-02 09:38:17





( 身体を起こした相手が直ぐに背後に体重を掛けないのならば、勿論の事拒む事はしない。肩口にある柔らかな焦げ茶を優しく撫でながら相手に襲い来る痛みが少しでも落ち着くのを待ち。___やがて身体を離した相手が溢したのは先程までの夢現なものでは無い、けれど過去に実際に起きた事の夢の内容だった。釣られる様にして相手の腹部へと視線を落としてから直ぐに瞳を持ち上げる。消えずに残った傷跡と同じ、否、それ以上に心に残り続けたのはきっと罪の意識だろう。あの時の男性は心神喪失の判断が下される事無く有罪となり、今も刑務所の中に居る。残された男の妻はあの家で夫の帰りを待ち続けて居るのだろうか。「…もう終わった事だって思えたら、どれだけ楽なんだろうね、」相手の中には今尚消える事の無い罪の意識が、夫婦の中には少なからずある恨みと膨大な悲しみが渦巻いているだろう。そうしてあの事件は己の心にも感じた事の無い恐怖を残した。そう言った“負の感情”を全て無くし、許し、前を見る事が出来たら__。薬を飲んだ姿を見て小さく微笑むと、捲れた布団を相手の足に掛け直す。鎮痛剤はやがて痛みをとり、解熱の効果も発揮する筈だ。ふ、と再び相手が溢した言葉には嫌悪や自嘲気味た色が混じっていて「私は少しも思わない。」と、間髪入れずに否定する。それから間を空ける事無く“でも”と言葉を置いてから「エバンズさんがそう思うなら、納得のいく時が来るまで私を使って。“今”のエバンズさんが難しいなって思う事、して欲しい事、全部言っていい。」真剣で、けれど酷く柔らかな語調でそう言葉にした後「だって私、優秀な部下でしょ?」と少しだけ悪戯な色も滲ませたのは、相手に重さを感じさせない為。「…持ちつ持たれつだよ。私が出来ない事や助けて欲しい事は、遠慮無くエバンズさんにお願いする。それで、ちょっと頼り過ぎたな、申し訳無いなって思った時は何かで埋め合わせをするの。」相手自身感じる嫌悪や、周りに迷惑を掛けてしまうと思う気持ち、それらは簡単には拭えないかもしれないが、何も難しく考えなくて良い、生きているならば当たり前の事なのだと )






4826: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-04 15:52:43

 





( 自分が使い物にならないのなら他人を使えば良い、というのは考えた事のない視点だった。実際は“使う”というよりは“頼る”という言葉が正しいのだろうが。自分が抱える現状へのやるせなさは否定する事なく、それでいて全てを自分1人で完結させる必要はないのだと諭すような相手の言葉は自然と受け取る事が出来るもので。その言葉を否定したりそれ以上後向きな言葉を紡ぐ事はせずに、少しして「…冷たい水を貰えるか、」と相手に頼んで。寒さは幾許か治り、今は身体の熱さと喉の渇きを覚えて。 )






 

4827: ベル・ミラー [×]
2025-03-04 19:15:08





( 真面目な癖に不器用で、繊細で、優しい相手。その心の内には沢山の葛藤や思い通りに動かない身体や感情への苛立ちや焦り、もどかしさがあるのだろう。抱えるには重たいそれらを僅かでも手放して欲しいと思う程には心を寄せて来た。___やがてほんの少し落ち着いたのだろう相手が喉の渇きを訴えれば直ぐに頷きグラスを持ち寝室を出て。冷蔵庫を開け冷えたミネラルウォーターを、と思った時。先程作りはしたが中身の減る事の無かったリンゴジュースが目に留まり思案する。凡そ数秒の後、ミネラルウォーターをグラスに注ぎリンゴジュース入りのグラスも手に何方でも選べる様にと寝室に戻って来ると、先程と同じ様にベッドの縁に腰掛けつつ「__こっちが水ね。…一応リンゴジュースもあるけど、エバンズさん飲まなかったら私が飲むから。」2つのグラスを相手の前に差し出し選択肢を委ねて )






4828: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-05 13:25:23

 





( 戻ってきた相手の手には2つのグラスが握られていた。水を貰おうと思っていたもののよく冷えたりんごジュースはさっぱりとして美味しいだろうと思えば其方に惹かれ、りんごジュースの入ったグラスを受け取って。口にしたジュースは熱い身体に心地が良く、普段飲む機会が少ない事も相まってか、甘味と酸味がとても濃く感じられた。「…さっぱりする、」と感想を溢しつつ、「…風邪を引いた時にりんごが出てくるのは何処も同じだな、」と徐に告げて。 )






 

4829: ベル・ミラー [×]
2025-03-05 13:59:09





美味しいし栄養もある、風邪なんてあっという間に良くなるよ。
( 当初希望していた水では無く相手が選んだのはリンゴジュースの方だった。嗚呼、作っておいて良かったと静かに飲み進める姿を見て柔らかな灯りが胸中に広がったのを感じ。__薬が効果を見せ始めた事で幾許か身体が楽になったのだろうか、眠る事をせず徐に続けられた会話に思わず一度瞬く。その文脈は過去の話をする時のもので、それが何気無く相手の口から出るのが酷く珍しいと思ったからだ。ミネラルウォーターの入ったグラスを一度サイドテーブルに置いてから身体を向け直し「私の家もそうだった。…エバンズさんのご両親も?」と、尋ねつつ、「__さっきね、エバンズさん“インコ”の話してたんだよ。覚えてないかもしれないけど、“マリー”って。」少しの間を空けて意識が朦朧としていた先程の相手の夢の話をする。“マリー”を飼っていたのはセシリアで、その過去の話をすれば嫌な記憶の方を思い出してしまうかとも思ったのだが、そうでは無い、優しい微笑みが行き交っていたであろう頃を少しでも思い出す事が出来たなら、今一緒にその話がしたいと、そう感じて )






4830: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-05 16:42:38

 





( 口にしたりんごジュースの甘みが過去の記憶を呼び起こした______と思ったのだが、どうやらそうではなかったようだ。風邪をひいた時は母親がりんごを剥いてくれた覚えがあると、相手の問いには頷いて。部屋の入らず扉の所から此方を心配そうに覗く妹の姿も記憶の中には刻まれている。インコの話をしていた、と言われてもどういう訳かその記憶は全くなかった。けれど確かに相手が口にした“マリー”という名前は、妹がインコにつけていた名前で「…寝惚けていたのかもな、」とひと言だけ答えて。枕に背中を預けつつ、ずっと触れずにいた過去の記憶を少しだけ辿る。幸せだった、何気ない過去を掘り返してしまえば、もっと苦しくなると考えて思い出さないようにしていたのだ。けれど、それでは幸せそうな妹の表情や姿までもを忘れてしまいそうになる。「______マリーゴールドのように黄色い身体だから、マリーになった。……マリーには、自分の事を“セシリー”と教えてたな。」自分の事を、マリーの名前にも似た愛称で覚えさせようとしていた事をふと思い出して言葉にする。けれど記憶を辿り過ぎるべきではないと自制が働き「…もう30年近く前の話だ、」と自分で締め括り。 )







 

4831: ベル・ミラー [×]
2025-03-05 21:25:06





( “寝惚けていた”と言う返事には特別何かを言う事無く首を縦に動かす事で肯定を。“マリー”一見女性名の様にも思えるその名前は、セシリアのありったけの優しさや愛をもって考え抜かれ、インコにとって彼女からの一番最初の贈り物となった訳だ。黄色い身体を震わせ、音楽を奏でるかの様に美しい鳴き声を披露しながら、曇りの無い真っ黒な瞳に1人と1羽にとっての特別だろう愛称を繰り返す笑顔の彼女を映していたのだろうか。相手は己が見た事の無い様な幸せそうな表情でその様子を見詰めていたのだろうか。その光景を一度だって見た事が無いのに、何故だか無性に心が揺れる。幸せと悲しみは表裏一体だと昔聞いた事があったがその通りなのかもしれない。「……」今何かを言ったとして、その声が間違い無く隠しきれない震えを纏うだろうと思えば口を開ける筈が無く、僅か視線を落としたまま暫し黙す。何も知らない、何も見た事が無い己ですら想像しただけで泣きたくなるのだから、相手が悲しみや苦しみを感じない訳が無いのだ。けれど___そこに確かにあった幸せを思い出せなくなる事は、思い出さない事は、絶対にあってはならない。「……セシリアさん可愛いね。」相手が話を締め括ったその後、つ、と視線を持ち上げ微笑むと「ねぇエバンズさん、何時かエバンズさんが話しても良いって思える時が来たら、その時は楽しかった過去の話を聞かせて。他愛無い日常の話でも、家族の話でも、どんな話でも構わないから。」今直ぐ、とは言わずそう願い出て。例えどれだけ長い年月が経ったとしても、相手が過去の話を出来るその日が来る事が己の身勝手な幸せでもあると、口に出す事は無く )






4832: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-08 23:08:09

 





( 自分が語った過去のセシリアの姿を“可愛い”と、まるでその様子を共に見ていたかのような共感の言葉。あの頃の妹の姿は、蓋をして記憶の底に沈めなければいけないとずっと思っていたが、相手の共感は穏やかなものだった。______過去の話を、幸せだった昔の話を語る事が出来る日は来るのだろうか。再び傷を抉る事になりそうで、事件よりも昔に想いを馳せる事は殆どしていない。「……いつか、話せる時が来たらな、」とだけ、曖昧な言葉を今は紡ぐに留めて。そうして水を一口飲むと、再びベッドへと横になり「…もう少し眠る、…」と告げて。 )






 

4833: ベル・ミラー [×]
2025-03-10 17:37:44





( ___“非常勤”としてではあるが、警部補の役職のまま職場復帰が出来る様になった相手と共に凡そ1年半振りの仕事をする事1週間。逃走中の犯人と思われる男性が町外れの小屋付近で目撃されたとの通報があり、偶然近くに居た己と相手が向かう事になったのが数十分前の事。辺りは時折強く吹く風が木々の葉を揺らす音と、遠くに車が走る音が聞こえるだけの辺鄙な場所で、閉められたカーテンの僅かな隙間からは男の姿が時折確認出来る程。___応援が到着したのは更に数分が経ってからだった。正面と裏口にそれぞれ出入口が一つずつ、残りは然程大きくない窓が数箇所で、人員の配置や作戦を隊員達に話す相手の声と吹き抜ける風の合間、聞こえたのは女性の“助けて”と言う声。……否、もしかしたらそう聞こえただけなのかもしれない。けれど妙にハッキリと鼓膜に残るその声と、もっと幼い、涙に濡れた幻聴が聞こえた瞬間にまるで突き動かされる様に片手は拳銃の安全装置を外していた。声が聞こえた気がした、人質が居る可能性がある、本来ならば真っ先に指揮を執る相手に伝えるべき事の筈なのに、そんな冷静な判断すらも何処かに吹っ飛び、ただ、間に合わなくなる前に助け出さなければと。普段ならばどれ程危険な事か確りとわかる筈なのに。「…っ、」急に狭まった視野には最早小屋しか映らず、拳銃の柄を握り締めるや否や、小屋の方へと歩みを進めて )






4834: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-10 20:00:03

 





( 町外れの小屋に逃走中の犯人が身を潜めているという状況下、集まった機動隊員たちに状況と犯人確保までの手順を伝えている時だった。小屋の近くで男に動きがないか監視していた筈の相手が視界の端で動いた気がして、意識が其方に向くと説明の途中ながら相手へと視線を向ける。相手は中の状況を窺いつつ待機するようにと伝えてあった場所を離れ小屋の入り口に近付いていた。手には拳銃が握られ_______その安全装置は外れている。自分の指示を聞いていなかった訳でもあるまい。小屋へと近づく相手を止める必要があったが、大きな声で相手を呼ぶ訳にもいかず、「ミラー、戻れ!」と落とした声で呼びかけて。 )





 

4835: ベル・ミラー [×]
2025-03-10 20:44:22





( 一歩、一歩、着実に小屋の入口へと近付く最中。背後から風の音に混じり制止を命令する相手の呼び掛けが確かに聞こえ、一度は歩みが止まったかの様に見えたのだが。___近付いた事によりカーテンの僅かな隙間から犯人の姿だけでは無く先程聞いた声の主であろう、後ろで手首を拘束された若い女性が泣きながら床に座り込んでいる姿を目の当たりにすると、その瞬間、命令など、指示など、まるで無かったかの様に頭から吹っ飛び焦燥が湧き出した。今なら助けられる、早くしないと間に合わなくなる……まるで何かに突き動かされるかの様に、どれもこれも冷静さを欠いた感情ながらそれを押し止める事無く勝手な自己判断の元、命令無視となる形で小屋の正面の扉を開けるや否や、単独の強行突入に踏み切って )






4836: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-10 22:44:51

 





( 一度は此方の呼び掛けに気付き足を止めたかに見えた相手だったが、小屋の窓の奥を見つめたまま拳銃を構え直す小さな仕草を見て、突入するつもりなのだと理解して。綿密に作戦を練り機動隊をそれぞれの持ち場に配置した上でタイミングを見計らって突入の指示を出すのが正しい順序なのだが、未だ体勢も何も整っていない。けれど相手は既に行動を起こそうとしている。犯人が完全に丸腰で逃亡を続けているとは考えにくく、其処に1人で飛び込むなど危険極まりない行為だ。面と向かって対峙した状態で拳銃を向けられればどうなるか。_____しかし、この状況で相手を止める事は既に出来ないと判断し、相手が小屋の扉に手を掛けるのとほぼ同時に「ミラーを援護しろ!」と指示を出して。響いた銃声が誰によるものかも分からず、体制が整って居ないと自負しているだけに重傷者が出るかもしれないという恐怖が確かに纏わりついていた。---生憎犯人はFBIに張り込まれている事には気づいておらず、突然の突入に驚き腰の拳銃に手を掛けるのが遅れた。その数秒と、急な指示にも関わらずすぐさま状況を汲み取り援護に動いた隊員達の瞬発力によって、程なく犯人は確保され。 )







 

4837: ベル・ミラー [×]
2025-03-11 00:01:00





( 小屋の中は窓という窓にカーテンが閉められ昼間だと言うのに何処か薄暗く、扉を開いた後の事はまるで一種の早送りの様に流れたと感じた。響いた銃声は己の物でも犯人の物でも無く相手の咄嗟の指示で突入した機動隊員の物。その銃弾は誰も負傷させる事無く奥の壁に傷を付け、直ぐ様取り押さえられた犯人は抵抗も虚しく隊員数名によって小屋の外へと出され、待機していた捜査官に手錠を掛けられ逮捕となった。「__もう、大丈夫です。」泣き腫らした真っ赤な瞳になみなみと溢れんばかりの涙を溜め震える女性は、何度も頷きこそすれど余りの恐怖に言葉を紡ぐ事は無い。その女性の傍らに膝を着きつつ手首を縛る紐を解き、安心させる様に声を掛けたのだが人質を無傷で助け出す事が出来た確かな安堵がある筈なのに、それは間違いないのに、地に足が付かない様な不安定な感覚も同時に覚えているのは何故だろうか。銃声とはまた違う大きな音が、聞こえる筈が無いのに耳の奥で震えている。やがて力の入らぬ縺れる足を懸命に動かし、隊員に両脇を支えられる様にして女性が小屋を出た事で、室内に残ったのは自身だけとなった。外は騒がしいが先程までの激しさは今此処には無い。「……、」やや俯き加減のまま、女性が座り込んでいた場所を静かに見詰めて )






4838: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-11 00:37:57

 





( 犯人は手錠を掛けられ、中にいた人質と見られる女性は隊員に支えられながら病院へと搬送された。相手が真っ直ぐに彼女の元へ向かい声を掛ける姿を見れば、恐らく犯人の動向を監視する中で人質の存在に気が付き、思わず身体が動いたのだろうと想像は出来る。小屋の中に人質が囚われているという情報は無かったため、怪我も無く無事に救出出来た事に安堵こそするのだが。犯人の移送と女性のケア、病院への搬送を隊員たちに指示するのと同時に、体勢が整わないままの危険な突入となった事を謝罪し、一瞬の判断での援護に感謝を述べる。この一件については隊員達の直属の上司にも自分から詫びを入れると伝えて。---「______どういうつもりだ、」小屋へと足を踏み入れると、相手の背中越しに低く怒りの滲んだ声で言葉を投げ掛ける。「俺が指示したのは中の監視だけだ。誰が突入を許可した。」相手と視線は重なっておらず、どんな表情をしているかは窺い知れない。どんな思いがあってその行動に出たのかも分からないが、冷ややかな声で言葉を紡ぎ。 )






 

4839: ベル・ミラー [×]
2025-03-11 01:08:39





( ___背後で床を踏みしめる足音が聞こえ、その音が真後ろで止まったかと思えば続いて怒りの滲んだ低く静かな声が落とされた。一拍程の僅かな間の後にゆっくりと振り返り相手と視線を合わせる。碧眼には一目見ただけでわかる冷たさが宿っていて、その瞳を見た途端に先程までの何処か浮世離れしたかの様な不安定さが影を潜め、浮遊していた感覚が戻った。__自分は何をした。相手の言う通り、指示されたのは小屋の中の監視で突入では無い。ましてあの時、まだ相手は機動隊員と綿密な作戦を練っている真っ最中で、己は勿論、他の隊員の誰にも突入の指示は出ていなかったのだ。“助けて”と、その言葉と人質の女性の姿を見て咄嗟に身体が動いてしまった。途中、確かな制止の言葉を聞いたのに。明らかな、絶対におかしてはいけなかった単独の突入に弁解の余地は無い。「……誰も、」僅かに視線を落とし、誰の許可も受けてはいないと消え入りそうな声で返事をした後、「…申し訳ありませんでした…。」と、これまた変わらぬ声量での謝罪を告げて )






4840: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-11 09:02:00

 





( 小さな声で紡がれた謝罪に、自分がした事の重大さが分かっているのかと思わず声を荒げる。「お前1人の勝手な行動で、あの場にいた全員が危険に晒された!考え無しに突入して、相手が拳銃を手にしていたらどうするつもりだった?体制も整っていない、機動隊の咄嗟の援護が無ければ死んでいた可能性だってある!」1人の誤った判断や身勝手な行動、或いはそれよりも些細な事象でさえ、積み上げてきた全てを崩壊させる可能性がある事を知っている。状況を頭で処理するよりも早く、一瞬にして奪われる命がある事を知っている。自分自身の危険さえ顧みない相手の無謀な行動もまた許せなかった。「人質の存在が分かっていれば、より安全に配慮した作戦を選べた!今回は運良く被害が出なかったが、時に1人の身勝手な行動で全てが水の泡になる。自分の行動がどれだけ周りに迷惑を掛けるものだったか、よく考えろ!」怒りのままに言葉を紡ぎ、人質さえ危険に晒す可能性のある行動だと非難して。銃を構え直す、その些細な仕草で一瞬にして現場が地獄へと変わった時の事が今も脳裏に焼きついている。自分の行動をもう一度客観的に見つめて反省するようにと告げて。 )







 

4841: ベル・ミラー [×]
2025-03-11 16:03:45





( 感情を剥き出しにする様に荒げられた怒声に肩が跳ね身体が強張る。睨まれる事や注意される事はあれど此処まで大きな怒りをぶつけられたのは初めてだった。容疑者を相手に取り調べをする時の刺す様な冷たい威圧感とはまた違う、ビリビリとした産毛が逆立つ様な恐怖はあっという間に身体に纏わり、視線を逸らす事すら出来ない。けれど相手の言う事は何一つ間違って無いのだ。もしあの時犯人が此方の無謀な突入に気付いていて扉の前で銃を構えていたら、もし機動隊の援護が遅れ激しい銃撃戦になっていたら、もし犯人が1人では無かったら__全て“死”に結び付く。どれ程危険で、浅はかで、愚かな行為だったのか確りと理解している筈なのに。「…っ、」再び脳裏を過ぎったのは、爆発物を身体に巻き付けられたった1人泣き崩れていた少女の姿。“助けて”と繰り返す懇願も、タイマーが作動しカウントダウンを告げる機械音も、“退避しろ!”と叫ぶ隊員の声も、昨日の事の様に思い出せる。あの時、先に爆弾を解除した妹の方を抱き抱えていた己は、退避する道しか選べなかった。__「…人質が助かるなら構わない…っ!」__言ってはいけない、特に相手には絶対に言ってはいけない言葉が売り言葉に買い言葉の様に感情に任せて口を着いていた。勿論本心では無い。自分の命であれ何かと天秤にかけ軽んじるつもりは毛頭無いのだが、ハッとした時にはもう既に後の祭り。「__違…、……、」失言だとわかるからこそ弁解しようとして、一度口から出してしまった言葉はもう戻らないと気が付く。今度は視線を合わせている事が出来ず俯いて )






4842: アルバート・エバンズ [×]
2025-03-11 20:57:49

 





( 相手の瞳が不安定に揺らいだ後、紡がれたのは“人質が助かるなら構わない”という言葉。______そんなものは結果論だ。人質が救われ誰も怪我をしなかった今回だから言える事であって、独断での行動は危険性の方が高い事は間違いない。人質が助かるなら、“他の何が犠牲になっても”構わない、と暗に言っているようなものだ。「……人質が救われさえすれば、刑事は死んでも良いのか。自分が、機動隊員が犠牲になるのは“仕方ない”事なのか。」命の重さを天秤に掛けるようなその考え方は、あの事件の時、マスコミが、世間が、暗に自分達に向けた言葉と同じではないか。相手の言葉の背景に何があるのか、其れを知る由はない。低く、怒りを抑え込むようにして紡いだ言葉には、過去の事件に対する感情が加わり、相手の言わんとする事に対して穿った受け取り方になっていたかもしれないが、今は其れを分析できるほど冷静ではなかった。「お前が言っているのはそういう事だ。身勝手な自分の行動を正当化するな!」人質を救うための咄嗟の行動であることは理解するが、独断で行動する事の危険性を受け入れず、人質が救われたから良いと言わんばかりの言葉を許す事は出来なかった。「独断での行動が正しかったと思っている限り、刑事として捜査に関わる資格はないと思え。」冷たく相手に言葉を投げ掛けると、相手を残したまま小屋を出て行き。 )







 

4843: ベル・ミラー [×]
2025-03-11 21:47:11





( 先程迄の怒声とは違い、まるで失望を纏ったかの様な低く冷たい言葉は一瞬にして身を凍らせた。“人質の命”も“刑事や機動隊員の命”も何方も重さの全く同じ尊いもの。___何時かの日“生きる事を諦めない、死なない努力をする”と他でも無い目の前の相手に心の底から誓ったのに、同じ唇で今度は全く正反対の事を紡いだのだ。喉の奥で息が引っ掛かり、警告音の様な音が鳴り響いている感覚がある。違う、と。相手の言葉を否定したい気持ちの片隅で確かに今回も“あの時”もこの命を犠牲に助ける事が出来るならと思ったのだから。身勝手極まりない思考で、行動だった事は頭では確りと理解出来ているのに心が別の所にある。冷たい正論をその身に受けながら、震える唇を噛み締め立ち尽くしたままで居たが、ややして相手が小屋を出て行くと口元を掌で覆い崩れる様にして床に膝を着き。「__…っ、ぁ…、」溢れ返りそうなそれが何かはわからない。もう一度謝罪をしたいのか…それは果たして誰に。泣き喚きたいとしても“あの時”の事に関しての涙は何故か流れないのだ。修復出来ない、何か大きなものが壊れる音が聞こえた気がした。___相手が小屋から出た時、既に犯人を乗せた警察車両と、人質の女性を乗せた車はその場に無かった。残るのは機動隊員と警察官が数名、その中に最初は居なかった筈のアンバーの姿があった。応援としては間に合う場所に居なかったものの、一先ずの解決を無線で聞き駆け付けたのだ。そうして相手が小屋の中でミラーと居る間に何があったのかを近くに居た機動隊員から聞いた。『……お疲れ様です。』と、鋭い空気を纏う相手に軽く頭を下げて )






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